説明

姿勢検査システム及び姿勢検査用椅子

【課題】 人が椅子に座っている際の姿勢について、正しい姿勢で椅子に座っているか否かを簡単に検査することができるようにして、姿勢矯正の参考情報を入手できるようにした姿勢検査システム及び姿勢検査用椅子を提供する。
【解決手段】 身体の予め定められた部分に設けられ、固有情報が記憶された記憶手段を有する非接触ICタグと、前記非接触ICタグに記憶された固有情報を非接触で読み取る読取手段が、姿勢測定箇所にそれぞれ備えられている椅子と、前記椅子と通信可能に接続され、前記椅子から受信した情報に基づいて、前記身体が正しい姿勢で椅子に座っているか否かを判定する手段を有する管理装置と、が備えられている姿勢検査システムと、前記読取手段が、前記人体が前記椅子に正しく座った際に、該身体の胸部の後部と、腰部の後部と、膝部の後部とに対面する箇所にそれぞれ設けられている姿勢検査用椅子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体が正しい姿勢で椅子に座っているか否かを検査することができる姿勢検査システム及び、人体が正しい姿勢で座っているか否かを検査するための姿勢検査用椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
仕事や勉強などで椅子に長時間座り続ける生活をしている人の中には、正しくない姿勢で椅子に座わり続けた結果、次第に骨盤に歪みが生じて、筋肉が硬直して血管や神経が圧迫され、頭痛、肩こりが起きたり、リンパ節が圧迫されて老廃物の排泄がうまくいかず冷え性やむくみなどの障害をかかえている人がいる。
【0003】
しかしながら、椅子に座る際の姿勢について、その本人自身が、どのような姿勢で座ることが正しい姿勢であるのかわからないことも多い。
例えば、本人自身が正しい姿勢で座っていると思っていても、個々人の癖や習慣などで自然に身体を左右のどちらかに傾向けた状態で座っていたり、椅子に対して腰部の座る位置が習慣として浅い状態で座っていたり、背中が猫背などの状態で座っていたりなど不健康な座り方をしていることも多く、本人自身が気づかないまま日頃から正しい姿勢で座っていない場合がある。
このために、本人自身も気づかない間に身体の所定部分に余計な付加をかけている場合もあるが、客観的に自分の日頃の座り方が正しい座り方をしているのか否かを調べることができないために、今後どのような点について注意して座るようにしたらよいのかといった矯正点についてもわからないという問題がある。
【0004】
また、正しい姿勢を身に付けていくことは、健康な身体を形成していく上でも重要な要素であることから、できるだけ年齢が若いうちから正しい姿勢を身に付けることが大切である。
このために、例えば、小学校などの教室で生徒が授業を受けている時にも正しい座り方をして授業を受けているのかを調べて、健全な身体作りをしていくことも大切である。
しかしながら、先生が個々の生徒の座り方まで調べられないために、日頃から姿勢のよくない座り方をしている生徒が誰なのかがわからず、その生徒に対して正しい姿勢について指導できないという問題もある。
いずれにしても、従来は、座っている際の姿勢の状態について、簡単に調べることができないので、姿勢の矯正もどのようにしたらよいのかわからないという問題がある。
【0005】
また、従来技術としては、姿勢矯正や骨盤矯正を行う機能を有する椅子が公知となっている。(例えば、特許文献1及び2、参照)
しかしながら、これら公知技術では、座っている姿勢が正しい姿勢であるか否かについてわからないために、その本人がこれから先に座る際にどのような点に心がけて座るようにしたらよいのかわからないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2005−103215号公報
【特許文献2】実用新案登録第3106192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、人が椅子に座っている際の姿勢について、正しい姿勢で椅子に座っているか否かを簡単に検査することができるようにして、姿勢矯正の参考情報を入手できるようにした姿勢検査システム及び姿勢検査用椅子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、本発明の姿勢検査システムは、正しい姿勢で椅子に座っているか否かを検査する姿勢検査システムであって、身体の予め定められた部分に設けられ、固有情報が記憶された記憶手段を有する非接触ICタグと、前記非接触ICタグに記憶された固有情報を非接触で読み取る読取手段が、姿勢測定箇所にそれぞれ備えられている椅子と、前記椅子と通信可能に接続され、前記椅子から受信した情報に基づいて、前記身体が正しい姿勢で椅子に座っているか否かを判定する手段を有する管理装置と、が備えられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の姿勢検査用椅子は、身体の予め定められた部分に設けられ、固有情報が記憶された記憶手段を有する非接触ICタグから、非接触で前記固有情報を読み取る読取手段が備えられた椅子であって、
前記読取手段が、前記人体が前記椅子に正しく座った際に、該身体の胸部の後部と、腰部の後部と、膝部の後部とに対面する箇所にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本発明の姿勢検査システムは、身体が正しい姿勢で座っている場合に、椅子の所定の位置に設けられた読取手段で、身体に設けられた非接触ICタグの情報を受信できるようにしてあるので、人が椅子に座っている際の姿勢について、正しい姿勢で椅子に座っているか否かを簡単に検査することができ、姿勢矯正の参考情報を入手できるという効果がある。
【0011】
また、姿勢検査用椅子は、椅子の所定の位置に設けられた読取手段が、椅子に正しく座った際に、身体の胸部の後部と、腰部の後部と、膝部の後部とに対面する箇所にそれぞれ設けられているので、人が椅子に座っている際の姿勢について、正しい姿勢で椅子に座っているか否かを簡単に検査することができ、姿勢矯正の参考情報を入手できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る姿勢検査システム及び姿勢検査用椅子について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る姿勢検査システム及び姿勢検査用椅子の概要を説明する図、図2は、本発明の実施形態に係る姿勢検査システムに使用する非接触ICタグ身体取り付け具であって、(a)は、非接触ICタグ身体取り付け具の斜視図、(b)は、非接触ICタグ身体取り付け具を身体の一部に巻き付けた状態を示す斜視図、図3は、本発明の実施形態に係る姿勢検査システムの使用状態を説明する図、図4は、本発明の実施形態に係る姿勢検査システムに用いる非接触ICタグのシステムブロック図、図5は、本発明の実施形態に係る姿勢検査システムのシステム構成を示すシステムブロック図、図6は、本発明の実施形態に係る姿勢検査システムの処理手順を示すフローチャート図である。
【0013】
まず、図1に示すように、本発明の実施形態に係る姿勢検査用椅子1(以下、椅子1ともいう。)は、図1に示すように、身体がその椅子1に座った状態となった際に、身体の胸部の後部と、腰部の後部と、膝部の後部とに対面する箇所に、それぞれ6つの読取手段であるアンテナ2a,2b,3a,3b,4a,4bが設けられている。
この6つのアンテナのうち、アンテナ2a,2bは、椅子1に座っている身体胸部の後部の位置について、椅子1の背もたれの部分に正しい姿勢で座っているか否かを判定する際に必要な情報を受信するためのものである。
また、アンテナ3a,3bは、椅子1に座っている身体腰部の後部の位置について、椅子1に正しい姿勢で座っているか否かを判定する際に必要な情報を受信するためのものである。
更に、アンテナ4a,4bは、椅子1に座っている身体膝部の後部の位置について、椅子1に正しい姿勢で座っているか否かを判定する際に必要な情報を受信するためのものである。
尚、上記の実施形態の説明では、一例として6つのアンテナを設けた椅子について説明するが、姿勢の状態をより正確に調べるためには、アンテナをできるだけ多く設けることが好ましい。
【0014】
また、椅子1には、管理装置であるパソコン5が通信コード6で通信可能に接続されている。
椅子1に設けられた6つのアンテナ2a,2b,3a,3b,4a,4bで読み取られた情報は、通信コード6によりパソコン5へ送信されて、椅子1に座っている身体が正しい姿勢により座っているか否かを判定する際の情報として使用される。
【0015】
更に、本発明の実施形態に係る姿勢検査システムでは、上記の椅子1と共に、図2に示す帯状の非接触ICタグ身体取り付け具7が使用される。
この非接触ICタグ身体取り付け具7には、非接触ICタグ8が備えられ、また、身体の胴体や足などの巻きつけた後に、簡単に留められるようにするためにテープなどの留め具9が所定位置に設けられている。
非接触ICタグ身体取り付け具7のサイズは、その非接触ICタグ身体取り付け具7を巻きつける身体の部分に応じて、巻きつけ可能にその長さや幅寸法が設定されている。
この非接触ICタグ身体取り付け具7は、身体に取り付ける場所により、非接触ICタグ8を複数設ける場合もある。
図2に示す非接触ICタグ身体取り付け具7は、膝部用であるので非接触ICタグ8が1つだけ設けられているが、胸部用又は腰部用には、2つの非接触ICタグ8が所定の間隔をあけて備えられている。
【0016】
図2(a)には、身体に巻き付ける前の状態の非接触ICタグ身体取り付け具7が示されているが、身体9に巻きつける場合には、図2(b)に示すように、身体の一部に巻き付けた後に、テープなどの留め具9により固定される。
また、非接触ICタグ身体取り付け具7を身体に巻き付ける際には、非接触ICタグ8が設けられた部分を、身体に対して椅子1側にして巻き付け、座った際に、椅子1に設けられたアンテナが非接触ICタグ8と近接できるようにして、非接触ICタグ8に記憶されている固有情報の読み取りが行えるようにする。
【0017】
図3には、本発明の実施形態に係る姿勢検査システムにより、椅子1に座った身体9の姿勢を検査している実施状態が示されている。
身体9には、胸部用非接触ICタグ身体取り付け具7a、腰部用非接触ICタグ身体取り付け具7b、膝部用非接触ICタグ身体取り付け具7cが、それぞれ予め定められた身体の位置に巻き付けられている。
身体に非接触ICタグ身体取り付け具を巻き付ける位置は、椅子1に設けられた6つのアンテナ2a,2b,3a,3b,4a,4bとの関係で、正しい座り方を行った際に、それら各々のアンテナと、身体に巻き付けた際の非接触ICタグ8とが近接する位置に設けるようにする。
【0018】
非接触ICタグ身体取り付け具に設けられた非接触ICタグ8は、図4に示すように、アンテナ10、CPU11、記憶手段であるメモリ12が備えられ、このメモリ12には、非接触ICタグ8毎に異なるタグ管理番号などの固有情報が予め記憶されている。
椅子1に設けられたアンテナ2a,2b,3a,3b,4a,4bは、非接触ICタグ8が近接して電波による送受信が可能な範囲となった場合に、非接触ICタグ8から固有情報の読み取りが可能になる。
【0019】
次に、本発明の実施形態に係る姿勢検査システムに関するシステム構成を、図5に示すシステムブロック図に基づいて説明する。
椅子1には、6つのアンテナ2a,2b,3a,3b,4a,4bと、制御手段13と、記憶手段14と、通信手段15とが備えられている。
アンテナ2a,2bは、身体9が正しい姿勢で座っている場合に、胸部用非接触ICタグ身体取り付け具7aに設けられた2つの非接触ICタグ8のアンテナ10と送受信ができて、その2つの非接触ICタグ8に記憶されている固有情報の読み取りが可能になっている。
【0020】
また、アンテナ3a,3bは、身体9が正しい姿勢で座っている場合に、腰部用非接触ICタグ身体取り付け具7bに設けられた2つの非接触ICタグ8のアンテナ10と送受信ができて、その2つの非接触ICタグ8に記憶されている固有情報の読み取りが可能になっている。
そして、アンテナ4a,4bは、身体9が正しい姿勢で座っている場合に、膝部用非接触ICタグ身体取り付け具7cに設けられた2つの非接触ICタグ8のアンテナ10と送受信ができて、その2つの非接触ICタグ8に記憶されている固有情報の読み取りが可能になっている。
【0021】
また、管理装置であるパソコン5には、通信手段16、表示手段17、計時手段18、判定手段19、登録手段20、記憶手段21、制御手段22などが備えられている。
6つのアンテナ2a,2b,3a,3b,4a,4bは、非接触ICタグ8が所定距離になった際に、それぞれの非接触ICタグ8に記憶されている固有情報の読み取りを行い、それら読み取った固有情報をパソコン5に送信する。
これらの読み取り処理は、検査を行っている所定に時間の間に継続して行われる。
パソコン5の判定手段19は、記憶手段21に予め記憶されている照合用情報との照合処理を行い、姿勢が正しい状態であるか否かの判定を行う。
この判定手段19での判定は、予め設定した時間間隔毎に行なわれる。
例えば、30秒毎に判定した場合には、30秒毎の固有情報の読み取り状態について判定結果がでることになる。
【0022】
また、登録手段20は、判定手段19による判定結果の情報を記憶手段21に登録する。
また、計時手段18は、姿勢の検査を開始してから終了するまでの時間において、判定した結果を時系列で記憶手段21に記憶させることができるようにしてあり、所定に時間内において座っている姿勢がどのように変化しているのかが記憶させられるようにしてある。
【0023】
次に、本発明の実施形態に係る姿勢検査システムの処理手順を、図6のフローチャート図に基づいて説明する。
姿勢の検査を行う際には、まず、身体9に、胸部用非接触ICタグ身体取り付け具7a、腰部用非接触ICタグ身体取り付け具7b、膝部用非接触ICタグ身体取り付け具7cを、それぞれ予め定められた身体の位置に巻き付けた後に、椅子1に座り、検査開始用のスイッチを入れる。
その後、椅子1に設けられた6つのアンテナ2a,2b,3a,3b,4a,4bから電波が送信される。(ステップS1)
そして、各々の非接触ICタグ身体取り付け具7の非接触ICタグ8が、各々のアンテナに近づくことで、各々のアンテナが、非接触ICタグ8に記憶されている固有情報を読み取る。(ステップS2)
【0024】
アンテナは、読み取った固有情報を通信手段15により、パソコン5に送信する。(ステップS3)
パソコン5は、読み取った固有情報に基づいて、姿勢が正しい状態となっているか否かを判定手段19で判定する。(ステップS4)
そして、判定手段19で判定された判定結果情報は、記憶手段21に随時に時間経過情報と関係付けて記憶させる。(ステップS5)
また、この判定手段19で判定された判定結果情報は、表示手段17にも数値情報やグラフ情報などとして表示させる。(ステップS6)
【0025】
以上の処理により、椅子1に座っている姿勢に関して、正しい姿勢か否かの情報を入手できるようにしてある。
また、これら記憶手段21に記憶した情報を解析して、検査した個々人に対する姿勢に関する注意事項を分析して参考情報として表示させるようにしてもよい。
【0026】
また、上記の実施形態においては、非接触ICタグ身体取り付け具7を用いて非接触ICタグ8を身体9に設けるようにしたが、複数の非接触ICタグ8を予め備えた服を着るようにしてもよい。
また、本発明の実施形態に係る姿勢検査システム及び姿勢検査用椅子では、椅子1に設けたアンテナの全てが非接触ICタグ8からの固有情報を読み取った場合に、正しい姿勢により座っていると判定されるように構成されているが、椅子1に設けるアンテナの数をより多くすることで、所定の位置に設けたアンテナが非接触ICタグ8からの固有情報を読み取った場合に、正しくない姿勢で座っていることが判定されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る姿勢検査システム及び姿勢検査用椅子の概要を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る姿勢検査システムに使用する非接触ICタグ身体取り付け具であって、(a)は、非接触ICタグ身体取り付け具の斜視図、(b)は、非接触ICタグ身体取り付け具を身体の一部に巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る姿勢検査システムの使用状態を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る姿勢検査システムに用いる非接触ICタグのシステムブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る姿勢検査システムのシステム構成を示すシステムブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る姿勢検査システムの処理手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0028】
1 姿勢検査用椅子
2a,2b,3a,3b,4a,4b,10 アンテナ
5 パソコン
6 通信コード
7 非接触ICタグ身体取り付け具
7a 胸部用非接触ICタグ身体取り付け具
7b 腰部用非接触ICタグ身体取り付け具
7c 膝部用非接触ICタグ身体取り付け具
8 非接触ICタグ
9 留め具
11 CPU
12 メモリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正しい姿勢で椅子に座っているか否かを検査する姿勢検査システムであって、
身体の予め定められた部分に設けられ、固有情報が記憶された記憶手段を有する非接触ICタグと、
前記非接触ICタグに記憶された固有情報を非接触で読み取る読取手段が、姿勢測定箇所にそれぞれ備えられている椅子と、
前記椅子と通信可能に接続され、前記椅子から受信した情報に基づいて、前記身体が正しい姿勢で椅子に座っているか否かを判定する手段を有する管理装置と、
が備えられていることを特徴とする姿勢検査システム。
【請求項2】
身体の予め定められた部分に設けられ、固有情報が記憶された記憶手段を有する非接触ICタグから、非接触で前記固有情報を読み取る読取手段が備えられた椅子であって、
前記読取手段が、前記人体が前記椅子に正しく座った際に、該身体の胸部の後部と、腰部の後部と、膝部の後部とに対面する箇所にそれぞれ設けられていることを特徴とする姿勢検査用椅子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−151622(P2008−151622A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339336(P2006−339336)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】