説明

安全増力電動アクチュエータ

【課題】ワークに到達するまでは小さな駆動力で進み、ワーク到達後は大きな駆動力に自動的に切り換わる増力電動アクチュエータにおいて、ワークに到達する前に手などワーク以外の物に当たった時には安全のため大きな駆動力に切り換ることを防止した安全増力電動アクチュエータ。
【解決手段】電動モータ1の回転軸11と、ボールねじにより電動モータ1の回転を直進運動する直進運動体53との間に減速歯車機構2を配設し、直進中に直進運動体53の先端ねじ54がワークWに当たると高速用クラッチ板31から低速用クラッチ板32に自動的に切り換わるクラッチ機能と、ワークWに到達する前に手などワーク以外の物に当たった時はロックガイド63とリンクベース押え65の凹部に包蔵されたロックベアリング66によりロックされ、高速用クラッチ板31から低速用クラッチ板32に切り換わらないロック機能を有するクラッチ機構3が配設された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの回転駆動力を直進運動に変換し、直進ストローク途中のワークに到達と同時に作動力を増大させる電動アクチュエータにおいてワークに到達する前に手などワーク以外の物に当たった時には安全のため作動力を増大させることのない安全増力電動アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者はワークのカシメ工程、圧入工程においてワークに到達するまでのストロークは小さな作動力で、ワーク到達後大きな作動力に自動的に切り換わる増力電動アクチュエータに関して、既に、特願2010−34072により提案した。この増力電動アクチュエータはアクチュエータ本体の内部にボールねじ軸の回転によりボールねじ軸に噛み合うナットが固定された直進運動体を配設し、ボールねじ軸と電動モータの回転軸との間に歯数の異なる歯車を組み合わせた減速歯車機構を構成し、更に、減速歯車機構とアクチュエータ本体の直進運動体のナットに噛み合ったボールねじ軸との間には直進運動中の直進運動体の先端部がワークに当たると高速用クラッチ板から低速用クラッチ板に自動的に切り換わるクラッチ機構が配設された構造で、ワークに当たる前は高速、低出力で進み、ワークに当たると同時に、低速、高出力に切り換わり、カシメ、圧入作業を行なうことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特願2010−34072によると、ワークのカシメ工程、圧入工程において、ワークを人の手などによりカシメ機、圧入機に投入する場合、増力電動アクチュエータの直進運動体の先端部が手に当たってもワークと認識して、自動的に高出力に切換る問題があるため、直進運動体の先端部がワークに到達する前にワーク以外の物に当たった時に作動力を増大させない増力電動アクチュエータが要求されている。
【0004】
本発明は上述の課題を解決するものであり、電動モータの回転駆動力を直進運動に変換して用いる電動アクチュエータであって、直進ストローク途中のワークに到達すると同時に作動力が増大される増力電動アクチュエータにおいてワークに到達する前に手などワーク以外の物に当たった時には安全のため作動力を増大させることのない安全増力電動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために本発明の請求項1の安全増力電動アクチュエータはアクチュエータ本体の内部にボールねじ軸の回転によりボールねじ軸に噛み合うナットが固定された直進運動体を配設し、ボールねじ軸と電動モータの回転軸との間に減速歯車機構を構成し、更に、減速歯車機構とアクチュエータ本体の直進運動体のナットに噛み合ったボールねじ軸との間には直進運動中の直進運動体の先端部がワークに当たると高速用クラッチ板から低速用クラッチ板に自動的に切り換わるクラッチ機能部を有し、更に、直進運動体の先端部がワークの位置、即ち、既定の位置に到達する前に手などワーク以外の物に当たった時には安全のため、高速用クラッチ板から低速用クラッチ板に切り換わらないようにクラッチの切換え部をロックベアリングでロックできるロック機能部を有するクラッチ機構が配設されている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の安全増力電動アクチュエータであって、クラッチ機構のクラッチ機能部の構成がボールねじ軸にリンクベースが固定され、リンクベースには複数のジョイントリンクがボールねじ軸心に向かって揺動可能に揺動軸により連結され、更に、引張スプリングがジョイントリンク間に配設されて、引張スプリングの引張力によりジョイントリンクは高速用クラッチ板に摩擦力により連結されている。更に、直進運動体が直進し、既定の位置まで到達していない間は直進運動体の先端部に運動方向に対する抵抗負荷が生じても、揺動軸が固定されたリングベースがモータ側に移動し、ジョイントリンクが広がって低速用クラッチ板に切り換わらないようにロックベアリングでロックし、既定の位置に到達すると共に、リングベース押えの凹部内でロックしていたロックベアリングをロックガイドに配設した凹部に取り込んでロックを解除できることにより、既定の位置到達後、直進運動体の先端部に運動方向に対して抵抗負荷が生じると、ジョイントリンクが揺動軸を支点に広がり、高速用クラッチ板を離脱し、減速歯車機構と一体となった低速用クラッチ板に摩擦力により連結されるように構成されている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1、請求項2記載の安全増力電動アクチュエータであって、クラッチ機構のジョイントリンクの先端形状がR形状となっており、高速用クラッチ板は円筒形状でジョイントリンクとの連結側にはスムースに低速用クラッチ板に切り換えるためのテーパを構成した円錐形状のフランジ部が配設されている。
【0008】
請求項4に記載の発明はアクチュエータ本体のエンドカバーに固定されたケース板のエンドカバー近傍に位置検出スイッチが配設され、直進運動体の先端部に固定された直進運動体と平行に移動するロックガイドの上部には挟まれ検出スイッチが配設され、更に、位置検出スイッチと挟まれスイッチをON,OFFする検出ドグがボールねじのナットが挿通するチューブ外径の外側よりナットに固定され、直進運動体の先端部がワーク位置に到達した時は、位置検出スイッチが検出ドグに当接しON状態となり、ロックベアリングはロックガイドの凹部に取り込まれ、ロック状態が解除され、低速用クラッチ板に切り換わるが、直進運動体の先端部がワーク位置到達前に手などワーク以外の物に当たった時は、位置検出スイッチがOFF状態で先端ねじと直進運動体との間のスプリングを圧縮して、挟まれスイッチが検出ドグより離れ、OFF状態となった時は、電動モータを逆転させて、直進運動体を後退させることができる。
【発明の効果】
【0009】
上記のように請求項1の安全増力電動アクチュエータによれば、電動モータの回転軸とボールねじ軸との間に減速歯車機構が配設され、ボールねじ軸の回転により直進する直進運動体の先端部がワークに当接すると同時に高速用クラッチ板から低速用クラッチ板に切り換わるクラッチ機能部とワークの位置、即ち、既定の位置に到達する前に手などワーク以外の物に当たった時には安全のため、高速用クラッチ板から低速用クラッチ板に切り換わらないように、クラッチ切換え部をロックベアリングでロックできるロック機能部を有するクラッチ機構が連結されていることでワーク到達までは高速、低出力で進み、安全のため手などワーク以外の物に当接したときにもクラッチが切換らないようにロックし、ワーク到達後にはクラッチ切り換え部のロックが解除され、ワークに当接と同時にクラッチが高速、低出力から低速、高出力に切り換わるため安全で、省エネルギーが可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の安全増力電動アクチュエータのクラッチ機構が高速用クラッチ板と低速用クラッチ板の切り換えをするクラッチ機能部とクラッチの切り換え部をロックするロック機能部を有し、クラッチ機能部はボールねじ軸に固定されたリンクベースに複数のジョイントリンクがリンクベースの揺動軸を支点にボールねじ軸芯に向かって揺動可能に連結され、ジョイントリンクの他端は各ジョイントリンク間の略中央に取り付けられた引張スプリングにより電動モータの回転軸に連結された高速用クラッチ板に摩擦力により連結されているためボールねじ軸の回転により直進する直進運動体の先端部にワークがない場合は高速、低出力で直進でき、直進運動体の先端部にワークが当接すると直進運動体は直進できなくなり、電動モータの回転によりボールねじ軸と固定されたリンクベースが後退し、リンクベースに取り付けられたジョイントリンクは引張スプリングのスプリング力に打ち勝ってジョイントリンクはボールねじの軸芯に対して外側に移動し、高速用クラッチ板を離脱し、自動的に低速用クラッチ板に摩擦力により連結し、低速、高出力が可能となり、ロック機能部は直進運動体の先端部近傍に直進運動体と平行に移動するガイドロッドが連結され、更に、ガイドロッドのクラッチ機構側にロックガイドが連結され、ロックガイドに対向する位置に、リンクベースに当接して移動するリンクベース押えが配設され、更に、リンクベース押えの長手方向略中央部にはロックベアリングを包蔵する凹部を有し、ワーク位置到達前までは直進運動体の先端部に運動方向に対する抵抗負荷が生じても、ロックベアリングにより揺動軸が固定されたリングベースがモータ側に移動して、ジョイントリンクが広がらないようにロックすることができるため、手などワーク以外の物に当たっても低速、高出力に切り換ることがなく挟まれ防止が可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請請求項2記載の安全増力電動アクチュエータであって、クラッチ機構のジョイントリンクの先端形状がR形状となっているため高速用クラッチ板の円筒形状を傷をつけることなくスムースに連結でき、更に、高速用クラッチ板のジョイントリンクとの連結側にはテーパを構成した円錐形状のフランジ部が配設されているため、直進運動体の先端部にワークが当接したとき、ジョイントリンクのR形状部がテーパ部を滑り、スムーズに低速用クラッチ板に切り換えることが可能となる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、アクチュエータ本体のエンドカバーに固定されたケース板のエンドカバー近傍に直進運動体の先端部がワークに当接すると当接を検出できる位置検出スイッチが配設され、直進運動体の先端部に固定され、先端部と平行に移動するガイドロッドの上部に挟まれ検出スイッチが配設され、位置検出スイッチと挟まれスイッチON,OFFする検出ドグがボールねじのナットが挿通するチューブ外径の外側よりナットに固定され、挟まれスイッチは直進運動体が移動開始よりON状態で直進し、ワーク位置に到達した時は、位置検出スイッチも検出ドグに当接してON状態になり、ロック状態が解除され、クラッチが切り換わり、低速、高出力が可能にできる。しかし、ワーク位置到達前に手などワーク以外の物に当たった時は、位置検出スイッチが検出ドグに当接する前に物に当たり、先端部と直進運動体との間の弱いばねを圧縮して、挟まれスイッチが検出ドグより離れて、OFF状態となり、ワークに当接していない状態で物が挟まれていることが検出されるため、電動モータを逆転させて、直進運動体を後退させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の増力電動アクチュエータのワークに当たる手前の高速低出力駆動状態の正面断面図を示し、図2は低速高出力駆動状態の正面断面図を示している。この増力電動アクチュエータのアクチュエータ本体5はエンドカバー55と中間カバー56の間にチューブ57をボルト(図示せず)で固定し、アクチュエータ本体5の内部にはボールねじのナット52と一体固定した直進運動体53が一体となってチューブ57の内部をスライド可能に挿入され、直進運動体53の下側先端には直進運動体53との間にスプリング59を介して先端ねじ54がエンドカバー55から下方向に突出している。ナット52の内側にはナット52のねじに噛み合ったボールねじ軸51が直進運動体53の内径部を回転および直進できるように挿入され、更に、ボールねじ軸51の上側端部と電動モータ1の回転軸11との間には減速歯車機構2が配設され、更に、直進運動体53の先端ねじ54がワークWに当接する前に手などワーク以外の物に当たった時にはリングベース押え65の凹部65aに包蔵されたロックベアリング66がリンクベース押え65に対向するロックガイド63の間でクラッチの切り換えをロックし、ワーク到達まで物に当たらない時はロックガイド63の上部に配設された凹部63aによりロックベアリング66をリンクベース押え65の凹部65aより取り出して、直進運動体53の先端ねじ54がワークWに当たると高速用クラッチ板31から低速用クラッチ板32に切換わるクラッチ機構3が配設されている。
【0015】
次に、上記構成の安全増力電動アクチュエータの動作を説明する。電動モータ1への電気の投入を切換えて、回転軸11を電動モータ1の上側より見て右回転、左回転させることにより、ボールねじ軸51は減速歯車機構2とクラッチ機構3を介して高速、または低速で電動モータ1と同一方向に回転する。ボールねじ軸51に噛み合ったナット52と一体固定された直進移動体53は電動モータ1が右回転するとボールねじにより上方向に直進し、電動モータ1が左回転すると下方向に直進し、直動運動体53と一体となった先端ねじ54もエンドカバー55より下方向に突出して直進する。このとき、先端ねじ54がワークWに当たるまでは、電動モータ1の回転軸11と連結された高速用クラッチ板31が引張スプリング33の引張力によりジョイントリンク34が高速用クラッチ板31との間に発生する摩擦力により連結し、高速低出力で直進する。
【0016】
直進運動体53と一体となった先端ねじ54が下方向に直進し、ワークWに当たるとリンクベース35を押えているリンクベース押え65が凹部65aに包蔵されたロックベアリング66がロックガイド63の凹部63aに入り込んで、リンクベース35とリンクベース押え65はロックベアリング止め板67で止められることなく、一体となって移動できるため、直進運動体53はワークに当たり停止するが、電動モータ1は回転し続けるためボールねじ軸51が後退し、ボールねじ軸51と一体固定されたリンクベース35はリンクベース押え65と共に、リンクベース35に連結されたジョイントリンク34の揺動軸36も後退し、ジョイントリンク34は引張スプリング33の引張力に打ち勝って高速用クラッチ板31を離れて低速用クラッチ板32のジョイントリンク受け部32aまで広がり低速用クラッチ板32と連結する。しかし、ワークWに到達する前に手などワーク以外の物に当接すると、リンクベース35を押えているリンクベース押え65の凹部に包蔵されたロックベアリング66がロックベアリング止め板67によりロックされるため、リンクベース押え65がモータ側に移動できないため、高速用クラッチ板31から低速用クラッチ板32に切り換わることができない。
【0017】
次に、低速高出力作業後、電動モータ1を右回転すると、ジョイントリンク34と低速クラッチ板32の連結が解除され、引張スプリング33の引張力によりボールねじ軸51の軸心方向にジョイントリンク34が揺動して高速用クラッチ板31の円筒形状の外形部に連結し、高速低出力で直進運動体53が右方向に直進する。
【0018】
次に、第2の実施形態の安全増力電動アクチュエータを説明する。安全増力電動アクチュエータのクラッチ機構3のジョイントリンク34の先端形状がR形状となっており、更に、高速用クラッチ板31が円筒形状で上側端部には外形に広がるテーパ面を構成した円錐形状のフランジ部31aが形成されている。
【0019】
次に、上記構成の安全増力電動アクチュエータの動作を説明する。電動モータ1への電気の投入を切換えて、回転軸11を電動モータ1の上部より見て左回転すると先端ねじ54がワークWに当たるまではジョイントリンク34が引張スプリング33の引張力により引っ張られて、ジョイントリンク34の先端のR形状部が高速用クラッチ板31の円筒部外周に当たり、外周を傷つけることなく摩擦力により連結でき、直進運動体53は下方向に直進できる。更に、直進移動体53が直進し、先端ねじ54がワークWに当たり停止すると、ボールねじ軸51が後退し、ジョイントリンク34は揺動軸36を支点として、引張スプリング33の引張力に打ち勝って高速クラッチ板31の円筒部から上方向に滑り、角度θのテーパ面を構成した円錐形状のフランジ部をスムースに滑りながら広がって高速クラッチ板31から離れて低速用クラッチ板32の凹形状のジョイント受け部32aまで広がり、図4に示すようにジョイントリンク34の先端R部が摩擦力により連結できる。
【0020】
次に、第3の実施形態の安全増力電動アクチュエータを説明する。図3、図4に示すようにアクチュエータ本体5のエンドカバー55と一体となったケース板58のエンドカバー55近傍に位置検出スイッチ72が取付けられ、ガイドロッド62の上部には挟まれ検出スイッチ71が取付けられ、更に、検出ドグ73がチューブ57の外径の外側よりボールねじ51のナット52に固定されている。
【0021】
次に、上記構成の安全増力電動アクチュエータの動作を説明する。電動モータ1の回転により、直進運動体53が直進し、ワークW到達前に先端ねじ54が手などワーク以外の物に当たると位置検出スイッチ72はOFFの状態のままで、先端ねじ54がスプリング力の弱いスプリング59に打ち勝って連結されたロッドガイド62と共にモータ側に移動する。この場合、ガイドロッド62の上部に配置された挟まれ検出スイッチ71が検出ドグ73から離れOFFとなるため、物が挟まれたことが検出できるため、電動モータ1を逆転させて直進運動体53を戻すことができる。
【実施例】
【0022】
本発明の実施例としては電動モータ[回転数N:2,400rpm、トルクT:450N・mm]を使用し、減速歯車機構としては減速比1/30の遊星減速歯車を使用し、ボールねじ[リードL:20mm]を採用し、モータ駆動することにより、高速低出力時と低速高出力時の直進駆動体の速度(V)と推力(F)は減速比Gとした時、理論値V=(L×N/60)×G(mm/s)、F=(2π×T/L)/G(N)となり、
高速低出力時:G=1より
V=(20×2400/60)×1=800(mm/s)
F=(2π×450/20)/1=141(N)
低速高出力時:G=1/30
V=800×(1/30)=27(mm/s)
F=141/(1/30)=4230(N)
更に、挟まれ検出に関しては、直進運動体のストロークを90mmとし、ワーク位置をストロークエンド手前15mmにセットして、それに合わせて位置検出スイッチ、挟まれ検出スイッチ、検出ドグを取り付けて実験した。
実験の結果、理論値とほぼ近似した値が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態を示す安全増力電動アクチュエータの高速低出力駆動状態でワークに当たる手前の正面断面図
【図2】図1のワークに当たった後、高速用クラッチ板から低速用クラッチ板に切り換わり低速高出力駆動状態の正面断面図
【図3】本発明の第3実施形態を示す安全増力電動アクチュエータの高速低出力駆動状態で手などワーク以外の物に当たる手前の正面断面図
【図4】図3の手などワーク以外の物に当たった後、高速用クラッチ板から低速用クラッチ板への切り換えがロックされた正面断面図
【符号の説明】
【0024】
1−電動モータ
2−減速歯車機構
3−クラッチ機構
5−アクチュエータ本体
11−回転軸
31−高速用クラッチ板
31a−フランジ部
32−低速用クラッチ板
32a−ジョイントリンク受け部
33−引張スプリング
34−ジョイントリンク
34a−R形状部
35−リンクベース
36−揺動軸
41,42−ベアリング
51−ボールねじ軸
52−ナット
53−直進運動体
54−先端ねじ
55−エンドカバー
56−中間カバー
57−チューブ
58−ケース板
59−スプリング
61−ジョイントプレート
62−ガイドロッド
63−ロックガイド
63a,65a−凹部
64−押えベアリング
65−リンクベース押え
66−ロックベアリング
67,68−ロックベアリング止め板
71−挟まれ検出スイッチ
72−位置検出スイッチ
73−検出ドグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータの回転運動をボールねじにより直進運動に変換するアクチュエータ本体と、該電動モータの回転軸と該ボールねじのボールねじ軸との間に、減速歯車機構を構成し、直進運動体の運動方向に対し、既定の位置に到達する前に抵抗負荷が生じたときは高速用クラッチ板から低速用クラッチ板に切り換わらないように、クラッチの切り換え部をロックベアリングでロックし、既定の位置に到達後、抵抗負荷が生じたとき、該クラッチの切り換え部の該ロックベアリングによるロックを解除し、自動的に該高速用クラッチ板から該低速用クラッチ板に切り換わるクラッチ機構を備えたことを特徴とする安全増力電動アクチュエータ。
【請求項2】
クラッチ機構が高速用クラッチ板と低速用クラッチ板の切り換えをするクラッチ機能部とクラッチの切り換えをロックするロック機能部とを有し、クラッチ機能部は複数のジョイントリンクの一端がボールねじ軸の軸芯方向に揺動可能に連結され、該ジョイントリンク間は引張スプリングによりボールねじ軸の軸芯方向に引き合い、電動モータの回転軸と連結された高速用クラッチ板に摩擦力により連結するように配設され、直進運動体の先端部が既定の位置到達後、該直進運動体の先端部に運動方向に対する抵抗負荷が生じたとき、該ジョイントリンクの揺動軸が固定されたリンクベースが該電動モータ側に移動し、該ジョイントリンクが揺動軸を支点に広がり、該高速用クラッチ板を離脱し、減速歯車機構と一体となった該低速用クラッチ板に摩擦力により連結するクラッチ機能部と、該直進運動体の先端部が既定の位置まで到達していない間は該直進運動体の先端部に運動方向に対する抵抗負荷が生じても、該直進運動体の先端部近傍に平行に連結されたガイドロッドに固定されたロックガイドと該ロックガイドに対向する位置に配設されたリンクベース押えの凹部にロックベアリングを包蔵し、該リンクベース押えが該リンクベースを押え込んで移動できないように構成されたロック機能とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の安全増力電動アクチュエータ。
【請求項3】
クラッチ機構のジョイントリンクの先端形状がR形状で、高速用クラッチ板は円筒形状で、該ジョイントリンクとの連結側に円錐形状となるテーパ面のフランジ部を有することを特徴とする請求項2に記載の安全増力電動アクチュエータ。
【請求項4】
アクチュエータ本体のエンドカバー近傍に位置検出スイッチが配設され、ガイドロッドの上部には挟まれ検出スイッチが配設され、該位置検出スイッチと該挟まれ検出スイッチをON,OFFする検出ドグがチューブの外側よりボールねじのナットに固定され、直進運動体が直進し、該直進運動体の先端部がワークに当接した時、該位置検出スイッチが作動し、該ガイドロッドの上部の該挟まれ検出スイッチは該直進運動体が移動開始時よりスイッチON状態で進み、該位置検出スイッチがワークの位置に到達する前に物に当たると、該先端ねじと該直進運動体の間に配設された弱いばねを圧縮し、該挟まれ検出スイッチが該検出ドグから離れてスイッチが切り換わり、その信号を受けて電動モータを逆転させ、該直進運動体を後退させることを特徴とする請求項1,2,3記載の安全増力電動アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−29189(P2013−29189A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177283(P2011−177283)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(594120674)株式会社パボット技研 (21)
【Fターム(参考)】