説明

安否確認システム

【課題】対象者に意識させることなく確実に検出でき、かつ特別な習慣付けが不要な安否確認システムを提供する。
【解決手段】安否確認システム10は、対象者の口腔内の歯科補綴物に設けられた発信素子Tと、発信素子Tからの信号を受信して発信素子Tを検知したことを示す検知通知を出力するセンサ30と、センサ30からの検知通知を受信してインターネットWへ送信する通信装置40と、通信装置40からの検知通知に基づいて対象者の安否を確認する管理サーバ50とを備えている。歯科補綴物を有床義歯20としたことにより、対象者は、起床したときと就寝するときとで、入れ歯ケースとした容器60に収納するので、センサ30を、入れ歯ケースに設ける習慣があるため、少なくとも1日1回ずつの発信素子Tの検知および非検知を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一人暮らしの老齢者や一人暮らしの要介護者などの安否を確認するための安否確認システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一人暮らしの老齢者や一人暮らしの要介護者などは、安否が心配されるため、定期的に介護者が訪問して対象者の様子を観察する、いわゆる「見守り」を実施することが大事である。しかし、介護者による定期的な訪問は、介護者の負担が大きい。このような実情に勘案して、遠隔地から対象者の安否が確認できる技術が開発されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
特許文献1には、テレビ用のリモコンから発せられた光信号を受光センサで検出し、当該検出時点から安否確認時間内に再度光信号が検出されない場合に、安否確認用端末から生存確認必要信号をホストコンピュータへ送信することで対象者に異変が発生したことが確認できる安否確認装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数のカメラからの画像データから差分をとり画像間の変化量をもって生き物活動状況に定量的変換を行い、一定時間以上生き物活動状況が異常に減少するなどの異常を検出した場合、生存確認のために外的刺激手段、例えば光などを与え、更に一定時間画像間の変化量を監視し活動の異常が継続した場合のみメールや画像を配信する生き物生存自動監視システムが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、人が触れたことを検出するタッチセンサを有する送信端末と、タッチセンサが人の接触を検出したことを示す信号を受信するパケット受信部と、その信号を少なくとも1回受信したことを通知するLEDとを備えたコミュニケーションシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−293774号公報
【特許文献2】特開2004−30548号公報
【特許文献3】特開2004−70744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の安否確認装置では、テレビを見ない老齢者や、例えば公共放送のチャンネルしか見ない老齢者などは、リモコンによりテレビを操作する頻度が少ないため適さないものと思われる。
【0008】
また、特許文献2に記載の生き物生存自動監視システムでは、魚や鳥の生存監視の例が記載されているが、老齢者の安否確認に使用したときにはネットワーク機能付きカメラで画像を撮影しているので、対象者が監視されているとう意識を持つおそれがあるため、精神衛生上、好ましくないものと思われる。
【0009】
更に、特許文献3に記載のコミュニケーションシステムでは、安否確認のためにタッチセンサに触れることが必要なるため、タッチセンサを玄関のドアノブに設置したときには外出しない老齢者には適さないものと思われる。また、タッチセンサをペット型ロボットの頭部に設置したときには、頭部をなでたりすることが必要となるため、ペット型ロボットに触れることが習慣付いていない老齢者には適さないものと思われる。
【0010】
そこで本発明は、対象者に意識させることなく確実に検出でき、かつ特別な習慣付けが不要な安否確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の安否確認システムは、対象者の口腔内の歯科補綴物に設けられた発信素子と、前記発信素子からの信号を受信して前記発信素子を検知したことを示す検知通知を出力するセンサと、前記センサからの検知通知を受信して電気通信回線へ送信する通信装置と、前記通信装置からの検知通知に基づいて前記対象者の安否を確認する管理サーバとを備えたことを特徴とする
【0012】
本発明の安否確認システムによれば、発信素子が対象者の口腔内に装着される歯科補綴物に設けられているため、通信装置を介して受信した検知通知により、対象者に意識させることなく管理サーバにて安否の確認をすることができる。また、歯科補綴物であれば、日常、対象者が装着するものであるので、新たな習慣付けの必要がない。
【0013】
前記歯科補綴物は、有床義歯であり、前記センサは、前記有床義歯を収納する容器に設けられているのが望ましい。歯科補綴物が有床義歯であれば、対象者は就寝する際に有床義歯を外して容器に収納し、起床して食事する際に有床義歯を取り出して装着する。このような習慣は概ね毎日変化がない。従って、有床義歯を収納する容器にセンサを設けることで、少なくとも1日1回ずつの発信素子の検知および非検知を検出することができる。
【0014】
前記管理サーバは、対象者が朝起きて前記容器から前記有床義歯を取り出す時間として設定された非検知時間となっても、前記容器に設けられたセンサが、前記発信素子からの信号を受信しているとき、または/および対象者が就寝する前に前記容器へ前記有床義歯を収納する時間として設定された検知時間となっても、前記容器に設けられたセンサが、前記発信素子からの信号が受信できないときに異常として判断することで、対象者の異常を早めに検知することができる。
【0015】
前記管理サーバは、前記容器から前記有床義歯を取り出す時間または/および前記容器に前記有床義歯を収納する時間を所定期間計測して計測時間とし、この計測時間に応じて前記時間を設定することで、非検知時間や検知時間を、習慣的に有床義歯を外したり装着したりする時間とすることができるので、より正確な時間を設定することができる。
【0016】
前記センサは、対象者が居住する住居のトイレ、廊下または部屋のいずれかまたはこれらの組み合わせ、もしくは全部に設置されていると、住居の中での活動する対象者をセンサにより検知することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、日常、対象者の口腔内に装着される歯科補綴物に、発信素子が設けられているため、新たな習慣付けの必要がないので、対象者に意識させることなく確実に検出でき、かつ特別な習慣付けが不要な安否確認システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る安否確認システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す有床義歯および発信素子を説明するための図である。
【図3】図1に示す容器を説明するための図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図4】図1に示す管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す管理サーバの安否判定部の動作を説明するための図であり、管理サーバが、前回、非検知通知を受信している場合を示すフローチャートである。
【図6】図4に示す管理サーバの安否判定部の動作を説明するための図であり、管理サーバが、前回、検知通知を受信している場合を示すフローチャートである。
【図7】図4に示す管理サーバの時間設定部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る安否確認システムの構成を示す図である。
【図9】図8に示す安否確認システムの有床義歯を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る安否確認システムを、図面に基づいて説明する。
図1に示す安否確認システム10は、老齢者や要介護者などの対象者の活動を検知して、対象者の安否を確認することができるものである。
【0020】
安否確認システム10は、発信素子を内蔵した有床義歯20と、発信素子からの信号を検知するセンサ30と、センサ30からの検知通知を電気通信回線の一例であるインターネットWへ送信する通信装置40と、インターネットWからの検知通知に基づいて対象者の安否を確認する管理サーバ50とを備えている。
【0021】
有床義歯20は、対象者(装着者)が装着する局部床義歯や部分義歯と称される部分入れ歯や、全部床義歯や総義歯と称される総入れ歯などとすることができる。本実施の形態では、図2(A)に示すように、上顎全部の歯牙を人工歯22とし、これらの人工歯22が義歯床21に支持された入れ歯の有床義歯20としている。
【0022】
有床義歯20には、左上6番の人工歯22aに、発信素子Tが埋め込まれている。この発信素子Tが埋め込まれた人工歯22aは、義歯床21に支持された他の人工歯22と異なる色に形成されている。本実施の形態1では、他の人工歯22が黄色を帯びた白色であるのに対し、人工歯22aは赤色に着色されている。この着色は、人工歯22aを樹脂成形する際に、成形材に着色材を混合して形成することができる。なお、人工歯22aの色は、赤色以外に、他の人工歯22と区別が付けばよいので、青色や緑色、濃淡の変更などとすることができる。
【0023】
発信素子Tは、人工歯22aの中心部に設けた窪み22bに収納されている。発信素子Tが収納された窪み22bは、蓋として樹脂が充填されている。発信素子Tは、非接触式のパッシブダグ型のRFIDタグとすることができる。
この発信素子Tには、個人を特定するための識別情報(ID情報)と、氏名、住所、生年月日、性別などの個人情報などが格納されている。発信素子Tにセンサ30から電波を照射して起電力を得ることで、発信素子T内に記憶させた各種情報をセンサ30へ送信する。
【0024】
センサ30は、電波を送信して有床義歯20に埋め込まれた発信素子Tから信号(各種の情報)を読み取れれば、この信号を検知通知として通信装置40へ出力する。また、センサ30は、信号が読み取れなくなれば非検知通知を通信装置40へ出力する。検知通知は、発信素子Tを検知した旨の情報と、発信素子Tからの識別情報と個人情報である。非検知通知は、発信素子Tを検知できなくなった旨の情報と、発信素子Tからの識別情報である。本実施の形態1に係るセンサ30は、歯科補綴物である有床義歯20を収納する容器60に設けられている。
【0025】
容器60は、図3に示すように平面視略半円形状に形成された蓋付きの入れ歯ケースである。容器60には、その底面にセンサ30が配置されている。容器60は単なる収納容器とするだけなく、洗浄容器とすることができる。容器60の電源は電池としたり、電灯線から供給を受けたりすることができる。
【0026】
通信装置40は、図1に示すように、センサ30からの検知通知をインターネットWに接続された管理サーバ50へ送信する。通信装置40とセンサ30とは無線通信としたり有線通信としたりすることができるが、容器60の持ち運びを容易とするために、無線通信とするのが望ましい。
【0027】
管理サーバ50は、インターネットWに接続された安否確認装置として機能するコンピュータである。管理サーバ50は、安否確認プログラムを動作させることで、安否確認装置として機能する。管理サーバ50は、図4に示すように通信部51と、安否判定部52と、報知部53と、時間設定部54と、カレンダ部55と、記憶部56とを備えている。
【0028】
通信部51はインターネットWからの情報を受信して安否判定部52へ出力したり、安否判定部52からの情報を入力してインターネットWへ送信したりする機能を備えている。安否判定部52は、所定時間のうちに、検知通知を受信したり、非検知通知を受信したりすることにより対象者が活動状況にあることを判定したり、活動できない状況にあることを判定したりする。報知部53は、安否判定部52により安否が確認されたとき、または異常が検知されたときに、対象者の親族や関係者に報知する。本実施の形態の報知部53では、電子メールにより安否の状態を報知する機能を備えている。時間設定部54は、安否判定部52が対象者の安否の判定を行う際の時間を設定する。カレンダ部55は、日にち、時間を計測する。記憶部56は、OSやアプリケーションなどのプログラムだけでなく、各種の設定情報や統計情報が格納される。
【0029】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る安否確認システムの動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。なお、対象者は、通常、午前8時に起床し、午後9時に就寝するものとする。従って、記憶部56には、予め非検知通知の通知が予想される非検知時間として午前9時が設定され、検知通知の通知が予想される検知時間として午後10時が設定されているものとする。
【0030】
図5に示すように、前回、非検知通知を受信しているのであれば、管理サーバ50では、安否判定部52が記憶部56から検知時間である「午後10時」を読み込み(ステップS10)、現時刻をカレンダ部55から読み込んで(ステップS20)、現時刻が検知時間を過ぎたか否かを判定する(ステップS30)。
【0031】
対象者は、就寝前の午後9時に、有床義歯20を取り外して容器60へ収納する。有床義歯20を容器60へ収納することで、容器60に設けられたセンサ30が有床義歯20に設けられた発信素子Tからの信号を受信する。センサ30は発信素子Tからの信号を検知通知として通信装置40へ出力する。通信装置40では、検知通知を、インターネットWを介して管理サーバ50へ送信する。
【0032】
管理サーバ50では、現時刻が検知時間を過ぎていない場合に、安否判定部52が検知通知を受信したか否かを判定している(ステップS40)。安否判定部52は、検知通知を受信していない場合に、ステップS20へ移行する。
【0033】
安否判定部52が午後10時前に通信部51を介して検知通知を受信すると、対象者が問題なく有床義歯20を外し、就寝したことが確認できる。報知部53は記憶部56に設定された送信先アドレスを識別情報に基づいて読み出し、対象者が活動状態にあり、問題ないことを電子メールにて通知する(ステップS50)。
【0034】
ステップS30にて、検知時間である午後10時までに検知通知が受信できなかった場合であるが、通常、対象者は、午後9時には就寝して有床義歯20を外し容器60へ収納しているので、管理サーバ50側で検知通知が受信できるはずである。しかし、午後10時になっても有床義歯20が容器60へ収納されていないことから、対象者に何か不測の事態が発生した可能性がある。そこで、安否判定部52が異常と判定することで、報知部53が電子メールで親族や関係者に問題があることを通知する(ステップS60)。
【0035】
なお、ステップS50にて、問題ない旨の電子メールを関係者へ送信するようにしているが、毎日の電子メールの受信に問題があるようであれば、問題ないときに電子メールを送信しないようにすることも可能である。
【0036】
次に、前回、管理サーバ50が検知通知を受信している場合を図6に基づいて説明する。安否判定部52が記憶部56から非検知時間である「午前9時」を読み込み(ステップS110)、現時刻をカレンダ部55から読み込んで(ステップS120)、現時刻が非検知時間となったか否かを判定する(ステップS130)。
【0037】
対象者は、起床後の午前8時に、有床義歯20を容器60から取り出して装着する。有床義歯20が容器60から取り出されることで、容器60に設けられたセンサ30は有床義歯20に設けられた発信素子Tからの信号が受信できなくなる。センサ30は発信素子Tからの信号を非検知通知として通信装置40へ出力する。通信装置40では、非検知通知を、インターネットWを介して管理サーバ50へ送信する。
【0038】
管理サーバ50では、現時刻が非検知時間を過ぎていない場合に、安否判定部52が非検知通知を受信したか否かを判定している(ステップS140)。安否判定部52は、検知通知を受信していない場合に、ステップS120へ移行する。
【0039】
安否判定部52が午前9時前に通信部51を介して非検知通知を受信すると、対象者が問題なく起床して有床義歯20を装着したことが確認できる。報知部53は記憶部56に設定された送信先アドレスを識別情報に基づいて読み出し、対象者が活動状態にあり、問題ないことを電子メールにて通知する(ステップS150)。
【0040】
ステップS130にて、非検知時間である午前9時までに非検知通知が受信できなかった場合であるが、通常、対象者は、午前8時には起床して容器60から有床義歯20を取り出し装着する習慣であるため、管理サーバ50側で午前8時過ぎには非検知通知が受信できるはずである。しかし、午前10時になっても有床義歯20が容器60へ収納されていないことから、対象者に何か不測の事態が発生した可能性がある。そこで、安否判定部52が異常と判定することで、報知部53が電子メールで親族や関係者に問題があることを通知する(ステップS160)。
【0041】
なお、ステップS150にて、問題ない旨の電子メールを関係者へ送信するようにしているが、ステップS50と同様に、毎日の電子メールの受信に問題があるようであれば、問題ないときに電子メールを送信しないようにすることも可能である。
【0042】
このように、発信素子Tが対象者の口腔内に装着される歯科補綴物(有床義歯20)に設けているため、通信装置を介して受信した検知通知により、対象者に意識させることなく管理サーバ50にて安否の確認をすることができる。また、有床義歯20であれば、日常、対象者が装着するものであるので、新たな習慣付けの必要がない。従って、対象者が監視されているという意識を持つことなく、対象者の安否を確認することができる。
【0043】
また、対象者は就寝する際に有床義歯20を外して容器60に収納し、起床して食事する際に有床義歯20を取り出して装着するよう習慣付いている。このような習慣は概ね毎日変化がない。従って、有床義歯20を収納する容器60にセンサ30を設けることで、少なくとも1日1回ずつの発信素子Tの検知および非検知を確実に検出することができる。
【0044】
次に、時間設定部54による検知時間および非検知時間の設定方法について、図7に基づいて説明する。
時間設定部54は、検知通知または非検知通知を受信した時刻(以下、この時刻を受信時刻と称す。)を受信時にカレンダ部55から読み込み、対象者を識別する識別情報に関連付けて記憶部56に格納する(ステップS210)。
時間設定部54は、所定期間、受信時刻を格納したか否かを判定する(ステップS220)。例えば、時間設定部54が1ヵ月間の時刻を格納すれば、受信時刻の最も遅い時刻を抽出する(ステップS230)。例えば、受信時刻の最も遅い時刻を午前8時15分とする。
【0045】
そして、時間設定部54はこの最も遅い受信時刻に少しの余裕を加えた時刻、例えば15分を加えた時刻を、検知時間、非検知時間として記憶部56へ格納する(ステップS240)。老齢者は生活リズムが安定しており極端にばらつくことが少ないため、最も遅い受信時刻を検知時間、非検知時間としてもよいが、万が一、有床義歯20の収納または取り出しが遅くなってしまったときに誤報となってしまうため、余裕を加えるのが望ましい。
【0046】
このように、時間設定部54が、非検知時間または/および検知時間を設定することで、非検知時間を習慣的に有床義歯を外す時間とすることができ、検知時間を習慣的に有床義歯を装着する時間とすることができるので、より正確な時間を設定することができる。
【0047】
また、対象者が外出している際に、万が一に事故や災害にあって、対象者から身元が聞き出せない状況にあっても、有床義歯20を対象者の口腔から取り出して読取装置などで発信素子Tの情報を読み取ることができる。このとき、対象者(装着者)が活動できる状態であっても、有床義歯20は取り外しが簡単なので、有床義歯20に内蔵された発信素子Tからデータを読み取ることが容易である。また、有床義歯20を取り外した状態で、読取装置で読み取ることができるので、有床義歯20を読取装置に接近させた状態とすることができる。従って、発信素子Tからの電波が微弱でも読み取ることができる。
【0048】
また、有床義歯20は、図2に示すように、人工歯22aを識別するための凹凸を設けることなく人工歯22の色の違いで発信素子Tを内蔵しているか否かを判断することができるので、対象者となる装着者に違和感を与えない。
また、装着者が、会話ができない状況であっても、発信素子Tを内蔵している有床義歯20を装着しているか否かが一目で判断することができるので、有床義歯20を取り出し、発信素子Tを内蔵した人工歯22aを特定して読取装置に接近させた状態で読み取ることができ、個人を特定することができる。
更に、発信素子Tが内蔵されていることを示すために、人工歯22aを形成するための成形材に着色材を混合しただけなので、人工歯22に刻印を付与するより、簡単な工程で人工歯に識別するための着色を行うことができる。
【0049】
なお、本実施の形態1では、発信素子Tを内蔵する歯科補綴物を有床義歯20としたが、架工義歯や歯冠補綴物などとしても、常に対象者に装着した状態となるため、発信素子Tを内蔵する歯科補綴物として採用することができる。
【0050】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る安否確認システムを、図面に基づいて説明する。
なお、図8においては、図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。図8では、インターネットWと管理サーバ50とを図示していない。
【0051】
図8に示す安否確認システム11は、センサ30からの電波を起電力として有床義歯20xに内蔵した発信素子Tが送信する電波に十分な到達距離がある場合に、対象者の住居Hの各所にセンサ30を配置することで、対象者の住居内での活動を監視するものである。
【0052】
有床義歯20xは人工歯と人工歯を支持する義歯床とを備えた入れ歯であるため、図8に示すように、義歯床に発信素子Tを内蔵させることができるだけなく、アンテナAを埋設することができる。従って、発信素子Tからの電波の到達距離を延ばすことができる。
図7に示す住居Hでは、玄関、トイレ、台所、居間、和室、洋室、廊下および容器60にセンサ30が設置されている。これらのセンサ30は、通信装置40と有線または無線により接続されている。
【0053】
対象者の住居H内での移動を細かく監視するときには、センサ30に他のセンサ30と識別するための情報を設定しておき、センサ30が発信素子Tからの信号を受信すると、発信素子Tの識別情報と共に、センサ30の識別情報を、通信装置40を介して管理サーバ50へ検知通知として送信する。センサ30の識別情報を管理サーバ50へ送信することで、対象者が住居H内でどのように移動しているかを管理サーバ50で把握することができる。また、容器60に設けられたセンサ30が識別できるので、実施の形態1で説明した管理サーバ50の制御も可能である。
【0054】
対象者が住居H内で移動していることだけがわかればよいのであれば、センサ30が検知した発信素子Tの識別情報のみを管理サーバ50へ検知通知として送信する。
このように、住居H内にセンサ30を設置することで、日中に活動する対象者は有床義歯20xを装着した状態なので、特別な習慣付けが不要である。従って、対象者が監視されているという意識を持つことなく、住居Hの中での活動する対象者をセンサ30により検知することができる。
【0055】
実施の形態1,2では、対象者が屋内にいる場合を例に説明したが、屋外でもセンサ30を適宜配置し、通信装置40と接続することで、対象者の安否を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、歯科補綴物を装着している老齢者や要介護者の安否の確認を行う際には好適である。
【符号の説明】
【0057】
10,11 安否確認システム
20,20x 有床義歯
21 義歯床
22,22a 人工歯
22b 窪み
30,31 センサ
40 通信装置
50 管理サーバ
51 通信部
52 安否判定部
53 報知部
54 時間設定部
55 カレンダ部
56 記憶部
60 容器
T 発信素子
A アンテナ
W インターネット
H 住居

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の口腔内の歯科補綴物に設けられた発信素子と、
前記発信素子からの信号を受信して前記発信素子を検知したことを示す検知通知を出力するセンサと、
前記センサからの検知通知を受信して電気通信回線へ送信する通信装置と、
前記通信装置からの検知通知に基づいて前記対象者の安否を確認する管理サーバとを備えたことを特徴とする安否確認システム。
【請求項2】
前記歯科補綴物は、有床義歯であり、
前記センサは、前記有床義歯を収納する容器に設けられている請求項1記載の安否確認システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、対象者が朝起きて前記容器から前記有床義歯を取り出す時間として設定された非検知時間となっても、前記容器に設けられたセンサが、前記発信素子からの信号を受信しているとき、または/および対象者が就寝する前に前記容器へ前記有床義歯を収納する時間として設定された検知時間となっても、前記容器に設けられたセンサが、前記発信素子からの信号が受信できないときに異常として判断する請求項2記載の安否確認システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記容器から前記有床義歯を取り出す時間または/および前記容器に前記有床義歯を収納する時間を所定期間計測して計測時間とし、この計測時間に応じて前記非検知時間、前記検知時間を設定する請求項3記載の安否確認システム。
【請求項5】
前記センサは、対象者が居住する住居のトイレ、廊下または部屋のいずれか、またはこれらの組み合わせ、もしくは全部に設置されている請求項1から4のいずれかの項に記載の安否確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97440(P2013−97440A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237354(P2011−237354)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(505420703)株式会社ギコウ (3)
【Fターム(参考)】