安定な抗菌性組成物及びその製造方法
抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法であって、抗菌性成分を媒体中で準備し、及び前記抗菌性成分を表面活性成分と接触させ、該表面活性成分は、媒体pH、温度及びイオン強度の少なくとも1つにおける変化に対して前記抗菌成分の活性を維持するのに少なくとも部分的に十分な量で含む抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願第60/721288号(2005年9月28日出願)(全趣旨を参照することによりここに取り込む)の優先権を享有する。
米国政府は、農務省からマサチューセッツユニバーシティへの許可番号2004−35201−15358に準じてこの発明に対する特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
抗菌物質及び抗生物質は、一般に、腐敗微生物又は病原性微生物(細菌性、イースト及びかび)を阻害し、感染を抑制し、種々のシステム(例えば、食品、医薬、化粧品及びバイオメディカル装置)の劣化を防止するために機能する。抗菌物質は、それらの分子特徴及び機能において大きく変動し得る。通常、化合物は、親油性、親水性又は両親媒性(つまり、親水性及び親油性)である。いくつかの化合物は、細菌膜への侵入によって膜破壊物質の働きをし、それによって漏出(例えば、リゾチーム、ナイシン、ナタマイシン、フェノール樹脂(例えば、オイゲノール及びカルバクロール))をもたらす。大部分のこれらの化合物は両親媒性であり、荷電するかもしれないし、しないかもしれない。他の化合物は、細胞に拡散し、細胞内部のpH(例えば、乳酸及び酢酸等の有機酸、乳酸ナトリウム及び二酢酸ナトリウム等の有機酸塩)を調整することによってATP産生を崩壊させ、あるいは微生物の遺伝物質との相互作用によって直接細胞の生殖のメカニズムを無能にする。
【0003】
抗菌物質は、通常、任意に2つに分類される。「規制認可(regulatory approved)」(合成的かもしれない)及び天然化合物である。前者は、有機酸(酢酸、乳酸、プロピオン酸)、安息香酸、ソルビン酸、亜硝酸塩、亜硫酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル(パラベン)ならびにリゾチーム、ナイシン、ナタマイシン及びラクトフェリンを含むいくつかの天然抗菌物質である。後者は、微生物による合成物、植物及び動物源を含む。例えば、Amaryllidaceae族(例えば、ニンニク、タマネギ)及びCruciferae族(マスタード、セイヨウワサビ)から抽出された化合物は、特に効果的であることが示された。一方、ベンジルペニシリン及びフェノキシメチルペニシリン(それぞれ、ペニシリンG及びV)は、発酵によって産生され、広範囲にわたる半合成抗生物質(例えば、アンピシリン)の塩基性前駆体である。いくつかの化合物が、近年有効であることが見出され、食物系において特に興味がもたれており、例えば、甲殻類の殻から抽出されるキチンの部分的又は完全な脱アセチル化によって産生されるキトサンが注目されている。
【0004】
これらの化合物は、それらの分子、機能及び物理的性質(例えば、極性、つまり、極性、無極性又は両親媒性)、可溶性(例えば、油溶性、水溶性、アルコール可溶性)、分子組織(例えば、個々の分子又は分子複合体)、性状(例えば、固体又は液体)及び物理的形態(例えば、固体又は液体)によって、種々の異なる形態で材料に適用することができる。実際には、抗菌物質及び抗生物質は、純粋物質又はキャリヤーマトリクスに分散した物質の混合によって、食品、化粧品及び製薬材料によってしばしば取り入れられる。あるいは、これらの化合物は、例えば、スプレーコーティング又はディッピング法を用いて、外部源からの表面成長及び汚染を防止するために、表面に塗布することができる。
【0005】
文献で確認されたように、抗菌物質及び抗生物質のより広範囲にわたる使用を実行することに関する障害の大きな理由のうちの1つは、それらの有効性が往々にして低く、環境状況(例えば、温度、pH、塩類のようなイオン性化合物の存在)に強く依存するということである。特に、pH及び/又はイオン強度が臨界値に達すると、それらの機能が静電的相互作用に依存する荷電抗菌物質は、それらの活性及び安定性を失うかもしれない。例えば、有機酸は、抗菌活性を示すために低pHが必要である。低pHでは、化合物は荷電せず、細菌膜を通して拡散することができる。より高いpHでは、プロトン損失の後、それらは負に荷電する。細菌膜も負に荷電するため、化合物は膜によって静電反発し、細菌膜内部に拡散することができず、その結果、化合物は活性化が失われる。さらなる問題は、可溶性及び一般的な分散安定性における変化、つまり、化合物は高分子構造を形成し、結果として、容易に溶液性を乱し得る。
【0006】
図1は、さらに詳細な先行技術及び環境状況が変化した場合、両親媒性抗菌物質が遭遇するかもしれない一般的な問題を例示する。図1Aは、抗菌物質が、それら適用されるシステムに容易に分散して存在する場合を例示する。pHの変化、イオン又は反対に荷電された化合物の添加及び温度の変化で、化合物は、それらの可溶性を失うか、溶液を乱す高分子凝集を形成するかもしれない。この場合、システムは2つの相に分かれる。図1Bは、抗菌物質がコロイド分散体(凝集が臨界ミセル濃度を越える場合)として存在するケースを例示する。pHの変化、イオン又はカウンターイオン化合物の添加及び温度の変化で、コロイド粒子は凝集し、大きな高分子構造を形成し、その結果、相分離をおこすであろう。
【0007】
いずれの場合も、不安定化はしばしば視覚的に観察することができる。溶液又は分散液は、まず最初に透明で、熱力学的に安定である。一般に、その系は、最初に濁ったようになり、次いで、凝集抗菌物質がリッチな濁った下層と抗菌物質のない(透明な)上澄層を形成する(図1C)。いずれのケースも、品質欠陥として認められるバルクシステムの物理化学的な特性の変化に至るため、重篤な適用問題をもたらす。より重要なことに、これは抗菌性の機能性を失い、微生物の成長が可能になるという重篤な状態を招く。
【0008】
発明の要旨
上記を考慮して、本発明の目的は、抗菌性組成物及び/又はそれらの製造及び/又はアセンブリ方法を提供することであり、それによって、上で概説されるそれらを含む先行技術の種々の不備及び欠点を解消することができる。本発明の1以上の観点が特定の目的に対処することができ、一方、1以上の他の観点では、特定の他の目的に対処することができることが、当業者によってよく理解される。本発明のすべての観点、すべてのその点において、各々の目的は等しく適用されないかもしれない。そのように、以下の目的は、本発明のいかなる唯一の観点に関してでも、択一的に見ることができる。
【0009】
本発明の目的は、1以上の安定な抗菌性組成物を提供することであり、そのような安定性は、その組成物の製造において用いられる1以上の化合物と比較して、全体の実効荷電を低減させることで表すことができる。
本発明の関連する目的は、前駆抗菌性化合物と比較して、環境の変化及びpH、温度及び/又はイオン強度によって比較的より影響を受けない組成物を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、1以上の安定な抗菌性組成物を提供することがでり、そのような安定性は、1以上の表面活性化合物と併用された場合、化学的変化又は劣化を低減することで表すことができる。
【0011】
本発明の他の目的は、抗菌活性を示し、広範な適用又は最終用途条件において機能的性能を向上させる組成物又は関連システムを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、向上した相安定性を示す組成物又は関連システムを提供することであり、液体、固体又は半固体媒体から物理的分離を低減することで表すことができる。
【0013】
本発明の他の目的は、広範な温度、イオン強度又はpH条件において組成物又は製品の視覚的及び機能的品質を、維持又は保存することである。
【0014】
本発明の他の目的、特徴、利益及び利点が要旨及び以下の記載から明らかであり、抗菌性化合物、組成物、関連製剤又は製造技術の知識を有する当業者にとって容易に理解できるであろう。そのような目的、特徴、利益及び利点は実施例、データ、図面及びこれらから引き出される全ての合理的な推論の単独またはここに組み込まれた参考文献の検討を一緒に考慮することにより明らかであろう。
【0015】
一つには、本発明は、適用又は最終用途条件下で抗生及び/又は抗菌機能が可能な第1の成分と、表面活性機能が可能な第2の成分とを含有する組成物を含むことができ、そのような第1の成分は、(a)実質的に特定媒体において非結合又は非自己アセンブリであるか、(b)所定の最小限の濃度での媒体において自己アセンブリまたは結合されており、そのような第2の成分は、(a)第1の成分(a)又は(b)にて、所定の最小限の濃度での媒体においてアセンブリ又は結合されているか、(b)第1の成分(a)又は(b)にて、所定の最小限の濃度より低い濃度で実質的に非結合であるか又は非自己アセンブリである。濃度に関係なく、そのような第2の成分の接触を利用することができ、少なくとも部分的に第1の成分の活性を維持するために十分である。
【0016】
そのような組成物の第1又は第2の成分のいずれかについて、それぞれの成分の所定の最小限の濃度は、特定の媒体において自己アセンブリ又は結合した成分の熱力学的に安定した分散液又は懸濁液を提供する濃度を示すことができる。ミセル形態に結合又はアセンブリされたこれらの成分に関して、そのような最小限かつ十分の濃度は、その媒体に対する臨界ミセル濃度として示すことができる。そのような種々の他の第1及び第2の成分について、熱力学的安定性とは、実質的に相分離することなく、媒体中にそのような成分のいずれかが存在することと理解することができる。
【0017】
限定されることなく、そのような各第1及び第2の成分の構造的及び/又は化学的特性は、特定の媒体との及び互いのその相互作用として定義することができる。特定の実施形態では、各第1及び第2の成分は、電荷にかかわらず、双極分子又は水素結合を誘導する両親媒性とすることができる。他の特定の実施形態では、第1及び第2の成分の一方又は双方は、疎水性/親油性を伴う特定の媒体条件下で、実効荷電を有することができる。そのような第1及び第2成分の組成物は、成分のより小さい安定性と比較して、特定の媒体中で、結果として生じる結合、アセンブリ及び/又は熱力学的安定性の目的でのみ制限される。
【0018】
特定の実施形態では、そのような組成物は、両親媒性の第1成分と、第2の両親媒性表面活性成分とを含むことができ、第1成分は、実効正電荷部(例えば、カチオン)を有し、特定の媒体中で、実質的に結合したか、自己アセンブリ(会合)したか、実質的に非結合であるか、非会合であるかであり、第2成分は、実効負荷電部(例えば、アニオン)を有し、媒体中で、自己会合したか、結合したか、あるいは実質的に非荷電(例えば、非イオン性)とすることができる。逆に、特定の他の実施形態では、そのような組成物は、結合/自己会合した又は実質的に非結合又は非自己会合のどちらかであり、実効負荷電部(例えば、アニオン)を有する両親媒性の第1の成分と、実効正荷電部(例えば、カチオン)を有し、媒体中で、自己会合した又は結合した、両親媒性の第2の表面活性成分(あるいは実質的に非荷電(例えば、非イオン性)である)とを含んでもよい。成分の結合、会合又は構成に限定されることなく、そのような実施形態では、第1の成分及び/又は結果としての組成物は、最初の個々の成分荷電と比較して、小さな実効電荷を有することができ、それによって組成物の安定性及び/又は抗菌活性が維持され、又はpH、温度及び/又はイオン強度における環境変化に少なくともより影響されにくくなる。
【0019】
ある他の実施形態では、そのような組成物は、両親媒性の第1成分と、第2の両親媒性表面活性成分とを含むことができ、第1成分は、実効正電荷部(例えば、カチオン)を有し、特定の媒体中で、実質的に非結合か、非自己会合した又は会合したか、結合し、第2成分は、実効負荷電部(例えば、アニオン)を有し、特定の媒体中で、実質的に非自己会合又は非結合、あるいは媒体条件下で、実質的に非荷電(例えば、非イオン性)とすることができる。逆に、種々の他の実施形態では、そのような組成物は、非結合/非自己会合の又は結合又は自己会合のいずれかの、実効負荷電部(例えば、アニオン)を有する両親媒性の第1の成分と、実効正荷電部(例えば、カチオン)を有し、媒体中で、実質的に非自己会合の又は非結合の(あるいは実質的に非荷電(例えば、非イオン)とすることができる)両親媒性の第2の表面活性成分とを含むことができる。同様に、そのような実施形態では、成分の結合、会合又は構成に限定されることなく、第1の成分及び/又は結果としての組成物は、最初の個々の成分荷電と比較して小さな実効電荷を有することができ、それによって組成物の安定性及び/又は抗菌活性を維持することができ、又はpH、温度及び/又はイオン強度における環境変化に少なくともより影響されにくくなる。
【0020】
当該分野で理解されるように、そのような組成物は、流体又は液体媒体中で存在又は形成することができ、あるいは、形成され、その後、固体又は半固体媒体あるいは関連マトリクス材料に取り込むことができる。代表的な流体/液体媒体は、限定されることなく、水性、アルコール性又は疎水性/親油性とすることができ、特定の実施形態では、担体成分として使用することができる。代表的な固体媒体は、限定されることなく、食品成分又は製品及び担体、結合剤又は医療、医薬、食品、化粧品及びパーソナルケア製品の広い範囲において一般に見出される種類の成分とすることができる。
【0021】
一つには、本発明は、また、抗菌/抗生物質の組成物を製造する方法を含む。そのような方法は、上記により詳細に記載したような第1の抗菌/抗生成分(a)又は(b)を準備し、第2表面活性成分(a)又は(b)をいずれかの第1成分と接触させることを含む。そのような接触は、特定の媒体中で行うことができ、第1及び第2成分のそれぞれは、互いに及び/又は上述した媒体と相互作用することができる。それらから得られた組成物は、その後、媒体、単体又はマトリクス材料に取り込むことができ、それらに抗菌/抗生特性を与えるために、その後の取り込み、基材成分への適用のために単離することができる。
【0022】
一つには、本発明は、また、抗菌活性を維持するために表面活性成分を用いる方法を含む。そのような方法は、媒体中で抗菌成分を準備し、そのような成分を表面活性成分と接触させることを含む。表面成分は、媒体pH、温度及び/又はイオン強度における変化に対して抗菌成分の活性を少なくとも部分的に十分に維持する量とすることができる。そのような接触は、そのような媒体中での抗菌成分を安定化するのに少なくとも部分的に(ある程度)十分なもの、例えば、抗菌成分は媒体中でのミセル形成に十分な濃度とすることができる。抗菌成分がイオンである場合、そのような接触は、抗菌成分の実効電荷を減少させるのに少なくとも部分的に十分なものとすることができる。
【0023】
従って、以下に示すように、本発明は、種々の安定化された抗菌性組成物及びそれらの使用方法、製造方法を提供し、そのような組成物は、食品から医薬、パーソナルケア製品産業に及ぶ種々の用途に使用することができる。特に、本発明のある実施形態で有用であるように、現在利用できる成分化合物(例えば、限定されることなく、処方されるかもしれないようなラウリン酸アルギナート、種々のポリオキシエチレンソルビタン)を、さらなる特定の規制承認を必要とせずに使用することができる。本発明は当該分野でのある欠点に取り組むため、その使用及び手段は、実質的に抗菌物質の増大した用途及びそれらから利用できる利益の実現をもたらさなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のある限定されない実施形態であり、界面活性成分及び抗菌物質又は抗生成分を含むコロイド組成物は、以下のいずれの組み合わせによって製造することができる。
界面活性剤との組み合わせにおいて、混合ミセルシステムを形成することができるいずれかの抗菌物質をも使用することができる。特に、イオン化合物を含むシステムにおける安定性の問題を悪化するラウリン酸アルギナートのような荷電、両親媒性抗菌物質を、本発明との関係で考慮することができる。いずれにしても、本発明は、また、ナイシン、ナタ−ナイシン、リゾチームのようなタンパク質又はポリペプチド抗菌物質、有機及び/又はアミノ酸及びそれらの塩、並びにそれらのフェノール性又はポリフェノール成分を含むエッセンシャルオイル成分に適用することができる。
【0025】
コロイド分散液を形成することができる及びコロイド分散液と同類のものを形成することができるであろう又は抗菌物質を安定化させるであろういずれかの表面活性物質が適している。これは、公知で、利用可能なミセル形成界面活性剤の全てを含む。抗菌物質の性質によって、界面活性剤は、アニオン性、カチオン性又は非イオン性のいずれでもよい。限定されることなく、そのような表面活性成分は、例えば、モノグリセライドの酢酸エステル(ACTEM)、モノグリセリドの乳酸エステル(LACTEM)、モノグリセライドのクエン酸エステル(CITREM)、モノグリセライドのジアセチル酸エステル(DATEM)、モノグリセライドのコハク酸エステル、ポリグリセロールポリリシノール酸エステル、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、脂肪酸の蔗糖エステル、モノ及びジグリセリド、果物酸エステル、ステアロイルラクチラート塩、ポリソルベート、澱粉、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び/又はそれらの組合せを含む。そのような表面活性機能が可能な他の成分は、これと同時出願の「カプセル化エマルジョン及びその製造方法」という係属中の出願において提供又は表されている(全趣旨を参照することによりここに取り込む)。一般に、非イオン性又は荷電界面活性剤と、荷電抗菌物質との組み合わせは、混合ミセルの全電荷が減少するために、抗菌物質単独よりも、塩、pH及び温度に対する耐性が期待されている。
【0026】
図2は、本発明の実施で有用ないくつかの異なった成分の組み合わせを示す。図2Aは、抗菌物質が、単独で熱力学的に安定コロイド分散体を形成しないと見なす。この場合において、カチオン、非イオン又はアニオン界面活性剤ミセルの超ミセル溶液の添加は、中性、正又は負に荷電されるかもしれない混合ミセルの生成をもたらすであろう。これらのシステムは、顕著に、塩、pH及び温度に耐性となっていることが期待される。図2Bは、抗菌物質が単独でコロイド凝集(例えば、ラウリン酸アルギナート等)を形成すると見なす。この場合、サブミセル界面活性剤濃度の添加は、それらの単独種の対応物より実質的に安定で活性となる同様の混合ミセル構造の形成をもたらす。光学的機能について、これらのシステムは、常に透明であることを期待することができる(図2C)。
【0027】
ある限定されない実施形態において、ラウリン酸アルギナート(LAE)、新規なカチオン性界面活性剤は、エチルラウリン酸アルギナートHCl(INCI名)又はエチル−Nα−ドデカノイル−L−アルギナートヒドロキシド(IUPAC名)として化学的に知られているラウリン酸、L−アルギニン及びエタノールの誘導体である。図3参照。LAEは、グラム陽性菌、グラム陰菌、イースト及び菌類に対する阻害活性を有する広範なスペクトルの抗菌物質である。一般の病原体、例えば、大腸菌及びリステリア菌に対する最小阻害濃度が10ppm未満であることが報告され、それは、ナイシン、メチル及びプロピルパラベン、エッセンシャルオイル化合物(チモール、カルバクロール、オイゲノール)並びに有機酸及びそれらの塩のような他の食品承認抗菌物質のMICと比較して1桁以上低い。ラウリン酸アルギナートの高い抗菌活性は、その後に細胞死をもたらすかもしれない膜内外の電位の漏れ及び損失を引き起こす細胞の膜完全性を崩壊する損傷有機体及び病原体の負荷電細胞膜に結合する強い静電性のためである。
【0028】
LAEは、その最近承認されたGRASステータスのために、さらに注目されている。その化合物は、容易に代謝され、天然に存在するアミノ酸アルギニンを産生し、それはオルニチンと尿素とにさらに分解される。肝臓及びプラズマの双方における急速な加水分解のため、インビボでLAEにさらされる時間は非常に短く、健康への影響は最小限であると考えられる。Mirenat(登録商標)−N、ラウリン酸アルギネートの市販品は、プロピレングリコール(一般に用いられる安定化剤)中LAEの25%(w/w)の製剤である。食品システムの適用のためのレベルは、約0.5から約2g/Lで変動するかもしれない。
【0029】
多くの他のイオン性又は非イオン性界面活性剤のように、臨界濃度を越える適当な溶媒に分散された場合、ラウリン酸アルギナートは球状結合コロイド(いわゆるミセル)を形成するために自発的に自己会合する。臨界ミセル濃度(CMC)以下で、界面活性剤モノマーが、溶媒相にわたって分散された一つの分子として存在する。非イオン性界面活性剤に反して、イオンミセルの形成及び安定性は、pH及イオン強度に依存する。より一般的に上述したように、NaCl又はCaCl2のような塩類の添加は、例えば、球状粒子からより大きな円筒形の凝集に結合コロイドの形状変換を誘導するかもしれない。これらの凝集は、散乱光に対して十分大きいかも知れず、それによって溶液における濁りをもたらす。他の例では、対イオンがシステムに添加された場合、イオンミセルは、凝集し、その後沈殿することが報告されている。界面活性剤ミセルの沈殿は、洗浄力、乳化及び泡安定化のような機能の低下と密接に関係しており、よって、この特定の機能が必要である製剤において好ましくない。多くの食品が相当量の塩を含むかもしれず及び/又は広範囲にわたるpH値にわたって形成されているため、食品へのラウリン酸アルギナートのようなイオン性界面活性剤の添加は、コロイド分散液の不安定化をもたらすかもしれない。
【0030】
以下の実施例3〜6によれば、LAEを、非イオン性界面活性剤(例えば、トウィーン20(登録商標)(T20)、実施例3及び図3及び4参照)の有無で試験した。純粋な2回蒸留水の表面張力は、25.9℃において、71.57±0.57であることが見出された。ミレナット濃度が増加する間、IFTは、直線的でないが、減少する傾向にある(図5)。実際、ミレナットが非常に低濃度では、表面張力に変化はない。ほとんどないモノマーが添加されて全表面を被覆するからである。さらなる界面活性剤が添加される場合、表面張力は、直線的に減少し、モノマーは表面に向かい、それら自体を整合し、表面張力を減少させる。ミレナットが所定の濃度の後、表面張力にさらなる変化がなく、表面は界面活性剤で完全に覆われたからである。
【0031】
純粋なシステムの臨界ミセル濃度を、全体の界面活性剤濃度の対数に対して表面張力値をプロットすることによって決定した。臨界ミセル濃度の値を決定するために、2つの線状フィットを用いた。最初の線は、表面張力の線状減少によって特徴付けられた濃度間隔でフィットさせ、第2の線は、ほとんど一定の表面張力となる濃度の領域にフィットさせた。フィットされた線が交差する点は、臨界ミセル濃度(CMC)の値と一致する。ここでは、CMCがミレナット濃度0.25%v/vで達する。これは、ラウリン酸アルギナート1.65mmol/Lと一致し、文献値より4倍低い。従って、すべての実験を、実測値を相当上回る濃度:5%v/vで行うであろう。
【0032】
いくつかの実験を、ミレナットを含む溶液の安定性における塩類の影響を調べるために行った。緩衝液がシステムの本当の作用をマスクすることができたため、ここではpHを制御しなかった。しかし、塩類の添加の後、それはほとんど不変のままであった。添加した電解質によって与えられるさらなる対イオン(アニオン)は、それがカチオン性界面活性剤(つまり、塩化物イオンCl-)によって与えられたものと同じ種類であると見なされる。従って、塩化物(つまり、塩化ナトリウムNaClと塩化カルシウムCaCl2)が使われた。最終的に、5%v/vのミレナット及び0〜200g/LのNaCl又は0〜200g/LのCaCl2となるものを用いた。特に、低塩濃度では、沈殿はゆっくり生じ、最高5日かかった。このペースは、長さ数ミリメートルとなっるかもしれない規則的な粒子をほとんどもたらさなかった。ほとんど毎回沈殿が生じ、ほとんど又は全く濁りが目立たなかった。表1の結果は、質的な視覚観察を示す。
【0033】
表1:界面活性剤混合物の塩類の影響:観察は、塩類の添加の72時間後に行った。C:透明、P:沈殿有り
【0034】
【表1】
塩化ナトリウム又は塩化カルシウムの種々の量を添加したシステムにおける沈殿生成物のろ過データから、沈殿自体が塩の添加に反応したことを示す。各塩を添加した時、沈殿生成物の量は顕著に増加し、これは、バックグラウンドのイオン濃度が増加するにつれて、ある溶解した結合生成物が、より沈殿可能になることを示す。沈殿塊は非常に少なく、総溶液塊のわずか数%のフラクションのみであることを示すことに留意すべきである。
【0035】
そのような結果は、ミレナットが正に荷電する親水性ヘッドを有するカチオン性界面活性剤であるという事実から説明されることができ、従って、ミセルのζ−電位の正の値によって確認されるように、ミセル表面は正に荷電する。同じ符号のイオン粒子が互いに接近している場合、それらは静電的に互いに反発し、よって、粒子が離れたまま、安定した懸濁液をもたらす。これは、粒子間静電反発がいかなる凝集の発生をも妨げるのに十分なことを意味する。この領域では、静電力は、カチオン性分子を互いに十分遠くに離れて保つのに相当強力である。塩類の不安定作用は、Cl-カチオンの電荷スクリーニング作用によって説明することができる。そのような条件下、対イオンはミセルに静電的に密接に結合し、ミセルごとに全体的な静電的正電荷の損失をもたらす。
【0036】
対イオンの量がミセルの飽和限界を越えると、沈殿が起こる。構造間の電子反発によるこの損失は、電荷中性化沈殿とみなされる。事実、粒子は互いに近接する。それらを離す傾向がある静電反発力は、ヴァンデルヴァールス力を相殺するのに十分でない。その結果、粒子は互いの方へ引き寄せられる傾向があり、不安定な懸濁液を形成し、沈殿が発生する。ミセルサイズに関して(図6)、塩濃度が増加するにつれて、電解質の存在分布は右にシフトする。同じ形状が、NaClの存在で観察される。対イオン添加による電荷中性化は、また、ミセル中に占有する有効な界面活性剤のヘッド基領域を減少し、よって、ミセルの凝集数を増加させ、より大きいサイズをもたらす。
【0037】
しかし、ノニオン界面活性剤が媒体に加えられると、沈殿は高い塩濃度で阻害された。図7に示される純粋及び混合システムの見た目のサイズ分布を考慮せよ。各々の純粋な界面活性剤のシステムは、ミセルをつくる能力を示す。イオン性(LAE)ミセル(CMC=0.25%v/v)は、非イオン物質(T20)ミセルより小さく、それらのCMCはT20(それぞれ、0.25%v/v及び0.3%v/v、図示せず)と全く同じである。このサイズは、疎水性のテイルの種々の長さと一致する。2つの成分が同じ水性媒体に入れられると、双方の先の純粋なミセルは消失し、より小流体力学半径を有する新たなカテゴリーの化合物が出現することとなり、これは、カチオン及び非イオンオン性粒子からなる混合ミセルの存在を反映するものであると考えられる。
【0038】
ノニオン性の遮蔽は、予想外と見なすことができる。T20量が増加すると、より多くの非荷電界面活性剤分子が、イオンミセルに結合する。これは、より低いζ−電位をもたらす(表2)。静電反発の影響は、純粋なイオンミセルでのものほど高くないが、対イオンの結合は、ノニオン界面活性剤の添加で減少すると考えられ、ミセルにおける表面の電荷密度の減少のため、結合は、ノニオン界面活性剤の添加で同時に減少し、ミセルスクリーニングが低下する。
【0039】
表2:ミセルのζ−電位におけるT20添加の影響。濃度はv/vであり、特に断らない場合、pHは4.00である。
【0040】
【表2】
【0041】
図9は、ミレナット5%v/vとT20の種々の濃度(v/v)とを含有する溶液の滴定の結果を示す。溶液pHは、0.5NのNaOHを添加することによって段階的に増加させ、各々の添加後2分間記録した。各溶液へ添加されたOHの総量に対してプロットした。各添加後3分間、サブサンプルを吸光度の測定のために、キュベットにピペットによって分配した。全てのシステムは、水酸化ナトリウム添加の早い段階で、pHのわずかな増加を示し、その後pHジャンプ(つまり、pH曲線における速くて深い折れ線)した。しかし、この急激な変化は、種々のT20濃度のそれぞれに対して、同じ水酸化物イオン濃度では起こらない。実際、それは次第にグラフの右にシフトする。最初のpH値が各溶液について互いに非常に近接することを留意せよ。これに対して、11mmolのOH-の添加に対応する最終pH値は、同じでなく、T20の量が高くなるにつれて、減少する傾向がある。そのような結果は、ノニオン化合物量の増加につれて、向上した緩衝能力に関連するかもしれない。
【0042】
媒体中のバックグランドイオンH+及びOH-の濃度に影響するため、pHが沈殿に影響を及ぼすことが予想される。塩化物の対イオンがそうであるように、水酸化物は、界面活性剤モノマー及びミセルと相互作用することが予想される。図10において、600nmの小さい吸収を、純粋及び混合溶液のそれぞれについてpHに対してプロットした。分散液の吸光度の最初の変化率は沈殿率の質的な尺度であるとみなされている。懸濁した粒子密度の増加にともなって、光吸収は増加する。
【0043】
純粋な成分の曲線に関して、吸光度は4.3近辺のpH値以上で強く増加し、溶解した成分の相当な不安定性を示す。他のシステムに関して、類似した急激な変化が、純粋なカチオン溶液(それぞれ5.2及び6.3、1%のT20)に対してよりも、比較的高いpH値以上であるが、3つの混合システム中、2つで観察される。有意な吸収度変化が、5%のミレナット及び5%(v/v)のT20からなる混合システムで認められない。塩の実験に反して、沈殿が即座に見えた点に注意せよ。実際、pHは、可溶性イオンに直接的な影響を及ぼす。pHの増加とともに、カチオン界面活性剤は、その正電荷を低下させ、最終的にその溶解性を失う。これは、ζ−電位(表2)の減少によって示される。そのような条件下、それらは、それらの反発作用を示すことができなくなる。ミセルサイズのpH依存で示されるように、近隣のミセル間の静電反発のこの低下が、凝集を招く。バルク水性媒体のpHが増大する間、ラウリン酸アルギナートのミセルが大きくなることを示す図11参照。
【0044】
図12で示すように、類似した関係が、種々の懸濁液中でのフィルタ及びpHで保持された粒子間において見出された。沈殿が5%v/vのT20を含む混合溶液に対する比濁実験によって検出されなかったとしても、小さな固体構造が存在し、0.45μmでのろ過によって検出することができることに留意することは興味深い。これは、沈殿が、使用される比濁法によって検出されたものよりわずかに低いイオン濃度で起こるかもしれないことを示唆する。
【0045】
いずれの理論又は操作モードに限定されず、そのようなデータは、カチオン性及びノニオン性ヘッド基を含む混合ミセルの形成を支持する。LAEの純粋ミセルで認められたように、混合ミセルは、増加した溶液で成長する(図13)。しかし、その作用は、それほど強くない。これは、ノニオン性分子は正のものとの間で相互作用するため、ミセル表面が純粋ミセルでのように強く正に電荷されていないためかもしれない。同様の展開が、バルク媒体中でのT20の異なる容量のフラクションで観察される。
【0046】
図14に示したように、沈殿は、それらの形成、添加されたイオンの量及びノニオン界面活性剤の存在によって異なるように見える。実際、pHが閾値を上回って高くなる場合、固体粒子が現れる。沈殿の初期状態においてのそれらの出現は、透明な、長方形形状のプレート様結晶からなる(A)。固体のいくつかは、偏光下で干渉色を示した。より高いpH値に達するとき、沈殿は、アモルファスで分散したマトリクスに埋設された小さな固体粒子からなり、確かにより小さい粒子を含む(B)。T20が沈殿前の溶液に添加された場合、新たな形態が現れる。沈殿の初期状態において細いフィラメント(C)。後に、pHの増加に伴い、結晶が現れる(D)。
【0047】
塩の添加の後、顕微鏡写真は、フィラメント(E及びF)によって取り囲まれた「コア」でのネットワークの存在を明らかにする。同じ構成が、沈殿を引き起こす塩類のいずれの濃度ででも見出される。さらに、そのパターンは、T20の添加でいずれの変化も示さない。
【0048】
上述したように、ラウリン酸アルギナートのような代表的なイオン性抗菌物質が、溶液中で、添加された対イオン又は水酸化物イオンと反応し、固体構造を形成する。これに対して、低い水塩濃度及び低いpHで、コロイド懸濁液はより安定している。対イオン濃度及びpHの増大は、より多くの沈殿をもたらす。これらの物理化学的なストレスに対するそのような界面活性剤ミセルの安定性作用を、ノニオン界面活性剤の混合物への添加によって強化することができる。ノニオン界面活性剤は、イオン性ヘッド基の間での反発を減少させ、混合ミセル形成を促進し、イオン性モノマー濃度を減少させ及び沈殿を減少させる(この現象)ことによって、塩分耐性を増加させる傾向がある。
【0049】
より詳しくは、特定の実施形態に関するように、広範なスペクトルの抗菌性官能性を有するカチオン界面活性剤LAEは、溶液から沈殿し、非酸性条件及び塩の存在下、活性を低下させるかもしれない。ラウリン酸アルギナートとノニオン界面活性剤とを含む組成物は、不安定性の問題の解決を促進することができる。pH2〜13で5wt%のLAE、200g/LまでのNaCl及びCaCl2を含有する水溶液を、非イオン性乳化剤(例えば、ツウィーン20、0.5〜5wt%)の有無で調製した。濁度を、分光測光法で評価した。沈殿の形成を、濾過によって定量し、それらの構造を光学顕微鏡検査で測定した。安定した分散液の臨界ミセル濃度(CMC)を、滴下張力測定によって測定した。ミセルのサイズ及び電荷を、レーザー光散乱技術を使用して測定した。塩誘発静電遮蔽及びpH誘発変化減少のため、pH>4.1ならびにそれぞれ>10g/L及び>15g/LのNaCl及びCaCl2濃度で、LAEは溶液から沈殿した。沈殿は針状形態であった。ツウィーン20の添加は、界面活性剤の濃度に依存して、NaCl及びCaCl2の存在及びpH>4.1で、LAEの安定性を増加した。例えば、0.5wt%のツウィーン20の添加の後、沈殿が、>50g/LのNaCl及び>200g/LのCaCl2ならびにpH>11で生じた。沈殿の形成は、5wt%のツウィーン20の添加後、完全に抑えられた。CMC及びζ−電位測定は、混合ミセルシステムの形成を示した。混合システムでのCMCは、単一の界面活性剤システムに比較して小さく、ミセルのζ−電位はツウィーン20の添加に伴って一般に減少した。そのような結果は、ノニオン界面活性剤のラウリン酸アルギナートへの添加が、静電的に誘発された不安定化に対する安定性を改善することができ、それによって、食品システムでの用途の範囲を広げることができることを示唆する。同様に、その結果が示すように、当業者及び本発明の認識する者によってよく理解されるように、そのような表面活性及び抗菌性成分は、本発明の種々の広範な観点、他の表面活性及び抗菌成分の使用にをとおして得られる利益を代表する。
【0050】
実施例
以下の限定的されない実施例及びデータは、本発明の種々の観点及び本発明の組成物、システム及び/又は方法に関連する特徴を示し、それは、種々の抗生物質/抗菌物質成分及び界面活性成分を含む組成物の製造を含み、ここで記載される方法論を通して達成することができる。先行技術と比較すると、本発明の組成物、システム及び方法は、意外で、予想外で、先行技術と反対である結果とデータを提供する。本発明の有用性は、いくつかのそのような組成物を用いることにより示されることができ、本発明の範囲に相応するように、相当する結果が、種々の他の抗生物質、抗菌物質、界面活性剤及び乳化剤成分で得られることは当業者によってよく理解されている。
【0051】
実施例1a
例えば、当該分野で遭遇する作用の例として、ラウリン酸アルギナートを検討する。NaClのような単純な塩類の添加は、化合物の正電荷の減少をもたらし、それは凝集及び相分離ならびに抗菌活性の低下をもたらす。最初に透明であったラウリン酸アルギナートの溶液は、塩の添加により濁る。最終的に、大きな浮塊沈殿が底へ移るため、非常に濁った沈殿相及び透明な上澄相が観察される。
【0052】
実施例1b
本発明の実証のために、脱イオン水中のラウリン酸アルギナートの透明溶液を調製することができる。HCl及びNaOHの添加によって、分散液は、濁り、大きな凝集の形成を示す。最終的に、それらの凝集相は分離される(図示せず)。ノニオン界面活性剤(この場合、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)の十分濃度の添加により、分散液の安定性が回復し、透明な外観をもたらす。
【0053】
実施例2
上述したように、種々の有機酸及びそれらの誘導体は、抗菌性活性を提供することができる。そのような成分の代表例である安息香酸を検討する。pKaより上のpHの増加は、プロトン解離をもたらすことができ、化合物に負電荷を与え、抗菌活性を低下させる。臨界pHは、一般に約4である。本発明のさらなる例として、安息香酸及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含む組成物は、全体として低減した実効荷電を伴う混合ミセル形成を与える。そのようなシステムは、安息香酸のみと比較して、微生物表面での相互作用を改善する。その結果、高いpHでさえ、より高い抗菌活性が得られる。
【0054】
実施例3〜6に関して:
材料及び溶液の調製
濃縮ミレナット(登録商標)溶液(25%のラウリン酸アルギナート、75%のPEG)を、A&B Ingredientsから得、さらなる精製なしで用いた。ポリオキシエチレン(29)ソルビタンモノラウレート(トゥイーン20)、溶媒(HCl、NaOH、純度>99%)及びNaCl(99%)を、Sigma Chemical(セントルイス、MO)から得た。すべての溶液を、2回蒸留の脱イオン水を用いて調製した。ミセル溶液を、2回蒸留水で適切な濃縮で穏やかに界面活性剤(トゥイーン及びLAE)を混合することにより調製した。必要に応じて、pHを、HCl及びNaOHを使って調節した。
【0055】
pHの測定
全ての溶液のpHを、Accumet model ARl 5 pH-meter(Fisher)を用いて記録した。機器を適当な緩衝液を用いて測定前に較正した。
【0056】
溶液の濁度
pHを調整し、塩類を含有する溶液の吸光度を、UV−可視スペクトロフォトメータ(Spectronic 2 ID, Milton Roy, Rochester, NY)を用いて、600nmの波長にて、分光法で測定した。全ての測定を、大気温度にて、3回繰り返した。溶液の吸光度における変化を、大きな粒子及び/又は凝集の形成のために間接測定として使用した。
【0057】
沈殿保持
沈殿を含む50mlのミセル溶液を、ワットマン0.45μmのナイロンフィルタでろ過した。フィルタを5日間、55℃にて乾燥し、乾燥沈殿物重量を天秤を用いて測定した。沈殿保持の割合を、
PR=mp/ms (1)として計算した。
式中、mpは沈殿の質量、msは50ml溶液の初期に分散した界面活性剤の質量である。
【0058】
実施例3
沈殿の微細構造
沈殿物の微細構造を、ミセル溶液のpHを調節し、塩を添加した後、24時間、光学顕微鏡検査によって評価した。沈殿を含有する溶液の1滴を、顕微鏡スライドに置き、カバースリップで覆い、次いで、微細構造を光学顕微鏡検査(偏光子を伴うニコン顕微鏡Eclipse E400、ニコン社、日本)を使って行った。画像を、コンピュータ上にインストールしたデジタル画像処理ソフトウェア(ミクロVideo Instruments社、エイボン、MA)に接続したCCDカメラ(CCD-300-RC、DAGE-MTI、ミシガンシティ、IN)を使って得た。
【0059】
実施例4
表面張力の測定
滴形状分析張力測定器(モデルDSA-GlO MK2、クリュスUSA、シャーロット、NC)を、界面活性剤溶液(20.0±0.5℃)の表面張力を測定するために用いた。張力測定法で、全ての滴形状の数値解析によって、ペンダント滴又は泡の様子を測定する。滴形状からの界面張力の計算は、毛管現象のヤング−ラプラス方程式に基づき、詳細な説明は他で見つけることができる(Dukhin、クレッチマーら、1995)。表面張力の測定を、20.0±0.5℃で行った。厳密な温度調節を確実にするために、気泡を、サーモスタットで調温し、キュベットに含まれる界面活性剤溶液中に含浸したシリンジの逆にされた先端で形成した。シリンジ/キュベットシステムを、光源及び高速CCDカメラ間の光学台に置いた。CCDカメラは、10秒間につき1フレームの速度でコンピュータのハードディスク上へイメージを記録するために、ビデオフレーム取り込みボードに接続し、輪郭分析による滴プロフィールを得た。測定されたDITeq値が30分間不変であったとき、サンプルが平衡に達したとみなした(動的平衡界面張力DITeq)。表面張力測定の精度を、±0.2×10-3N/mとした。溶液密度を、ヤング−ラプラス方程式を用いた表面張力の正確な判定のために必要とした。溶液を、水浴で20℃に平衡に保ち、密度をデジタル密度メーター(35N DMA、アントンPaar社、グラーツ、オーストリア)を用いて測定した。DMA35Nを用いた密度測定の精度を、±0.001g/cm3とした。すべて測定(密度及び表面張力)を5回繰り返した。
【0060】
実施例5
粒径分析
動的散乱光技術(NanoZSモデル、ZEN3600、マルヴァーンInstruments、MA)を、ミセルの流体力学半径を測定するために用いた。その機器は、633nmの赤色レーザーで回折パターンからミセルのサイズを測定し、検出器を173°にセットした。温度を25℃で平衡にした。粒径寸法を、平均直径d43=Σnidi4/Σnidi3又はd32=Σnidi3/Σnidi2として報告した(ここで、niは直径diの滴の数である)。個々の粒子径測定を、同じサンプルにおいて得られる3つの読みの平均から決定した。
【0061】
実施例6
ζ−電位
ミセル溶液のζ−電位を、電気泳動技術を用いて測定した。サンプルを粒子電気泳動器具(Zetasizer Nanoseries ZS、マルヴァーンInstruments、ウースターシャー、英国)の測定チャンバとして機能する使い捨てキュベットに置き、ζ−電位を、滴が印加電界中で動いた方向及び速さを測定することによって、測定した。電気泳動の機動性測定値をζ−電位値に換算するために、Smoluchowskyの数学モデルをソフトウェアにより用いた。個々のζ−電位の測定を、同じサンプルにおいて得られる5つの読みの平均から決定した。
【0062】
本発明の原則が特定の実施形態と関連して記述される一方、これらの説明が例証として加えられ、どのような形態であれ、本発明の範囲を制限することを目的とするものでないことは明確に十分理解されていなければならない。例えば、種々のより広範において、本発明は種々の医薬、化学製品、ヘルスケア、食品、化粧品及びパードナルケア製品を構成することができ、それぞれはそのような1以上の抗菌性組成物によって成立することをここに示した。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図面の簡単な説明
【図1】従来技術を示す図であり、凝集及び結果としての相分離をもたらすイオン化合物のpH及び濃度の変化における抗菌物質及び抗生物質の不安定性を示す。
【図2】本発明のミセル形成界面活性剤及び抗菌物質を含む混合抗菌システムの形成を示す。
【図3】LAE(イオン性抗菌物質の代表例)の構造実験式C20H41N4O3Cl、の構造を示す。
【図4】ツイーン20(他のノニオン界面活性剤の代表例)の化学分子構造、分子式C58H114O26。
【図5】本発明における、IFT変化対ミレナット濃度、LAE型又は製剤の可能な1つを示す。ブラケットは、標準偏差を示す。
【図6】CaCl2濃度に依存するLAEミセルサイズ、各溶液は、5%v/vのミレナット及び種々のCaCl2量を含む。
【図7】pH4における純水及び混合システムの容量に対するミセルサイズの分布。
【図8】総界面活性剤濃度の関数としての表面張力を示すグラフである。
【図9】純水及び混合システムの滴定:pH対システムに添加した水酸化物イオンの量。
【図10】600nmでのpHに依存する吸光度のプロットを示す。参照はミレナット5v/v%であり、他は、T20を混合したミレナット5v/v%である。
【図11】pH依存ラウリン酸アルギナートのサイズの変化。溶液はミレナット5v/v%の比較である。
【図12】ミレナット5%v/v及び異なる濃度のツイーン20を0.45μmのフィルターで保持した固体の割合の依存性を示すプロットである。
【図13】pHに依存する混合ミセルサイズを示す。各溶液は、ミレナット5%v/v及びツイーン29の5%v/vを含む。
【図14】異なる条件下における異なるLAEシステムに対する顕微鏡観察にって得られた電子化画像を示す。拡大倍率は200倍である。Aはミレナット5v/v%、pH4.02;Bはミレナット5v/v%、pH11;Cはミレナット5v/v%+T20の0.05%、pH5.02;Dはミレナット5v/v%+T20の0.5%、pH11.01;Eはミレナット5v/v%+CaCl230g/L;Fはミレナット5v/v%+NaCl30g/L。
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願第60/721288号(2005年9月28日出願)(全趣旨を参照することによりここに取り込む)の優先権を享有する。
米国政府は、農務省からマサチューセッツユニバーシティへの許可番号2004−35201−15358に準じてこの発明に対する特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
抗菌物質及び抗生物質は、一般に、腐敗微生物又は病原性微生物(細菌性、イースト及びかび)を阻害し、感染を抑制し、種々のシステム(例えば、食品、医薬、化粧品及びバイオメディカル装置)の劣化を防止するために機能する。抗菌物質は、それらの分子特徴及び機能において大きく変動し得る。通常、化合物は、親油性、親水性又は両親媒性(つまり、親水性及び親油性)である。いくつかの化合物は、細菌膜への侵入によって膜破壊物質の働きをし、それによって漏出(例えば、リゾチーム、ナイシン、ナタマイシン、フェノール樹脂(例えば、オイゲノール及びカルバクロール))をもたらす。大部分のこれらの化合物は両親媒性であり、荷電するかもしれないし、しないかもしれない。他の化合物は、細胞に拡散し、細胞内部のpH(例えば、乳酸及び酢酸等の有機酸、乳酸ナトリウム及び二酢酸ナトリウム等の有機酸塩)を調整することによってATP産生を崩壊させ、あるいは微生物の遺伝物質との相互作用によって直接細胞の生殖のメカニズムを無能にする。
【0003】
抗菌物質は、通常、任意に2つに分類される。「規制認可(regulatory approved)」(合成的かもしれない)及び天然化合物である。前者は、有機酸(酢酸、乳酸、プロピオン酸)、安息香酸、ソルビン酸、亜硝酸塩、亜硫酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル(パラベン)ならびにリゾチーム、ナイシン、ナタマイシン及びラクトフェリンを含むいくつかの天然抗菌物質である。後者は、微生物による合成物、植物及び動物源を含む。例えば、Amaryllidaceae族(例えば、ニンニク、タマネギ)及びCruciferae族(マスタード、セイヨウワサビ)から抽出された化合物は、特に効果的であることが示された。一方、ベンジルペニシリン及びフェノキシメチルペニシリン(それぞれ、ペニシリンG及びV)は、発酵によって産生され、広範囲にわたる半合成抗生物質(例えば、アンピシリン)の塩基性前駆体である。いくつかの化合物が、近年有効であることが見出され、食物系において特に興味がもたれており、例えば、甲殻類の殻から抽出されるキチンの部分的又は完全な脱アセチル化によって産生されるキトサンが注目されている。
【0004】
これらの化合物は、それらの分子、機能及び物理的性質(例えば、極性、つまり、極性、無極性又は両親媒性)、可溶性(例えば、油溶性、水溶性、アルコール可溶性)、分子組織(例えば、個々の分子又は分子複合体)、性状(例えば、固体又は液体)及び物理的形態(例えば、固体又は液体)によって、種々の異なる形態で材料に適用することができる。実際には、抗菌物質及び抗生物質は、純粋物質又はキャリヤーマトリクスに分散した物質の混合によって、食品、化粧品及び製薬材料によってしばしば取り入れられる。あるいは、これらの化合物は、例えば、スプレーコーティング又はディッピング法を用いて、外部源からの表面成長及び汚染を防止するために、表面に塗布することができる。
【0005】
文献で確認されたように、抗菌物質及び抗生物質のより広範囲にわたる使用を実行することに関する障害の大きな理由のうちの1つは、それらの有効性が往々にして低く、環境状況(例えば、温度、pH、塩類のようなイオン性化合物の存在)に強く依存するということである。特に、pH及び/又はイオン強度が臨界値に達すると、それらの機能が静電的相互作用に依存する荷電抗菌物質は、それらの活性及び安定性を失うかもしれない。例えば、有機酸は、抗菌活性を示すために低pHが必要である。低pHでは、化合物は荷電せず、細菌膜を通して拡散することができる。より高いpHでは、プロトン損失の後、それらは負に荷電する。細菌膜も負に荷電するため、化合物は膜によって静電反発し、細菌膜内部に拡散することができず、その結果、化合物は活性化が失われる。さらなる問題は、可溶性及び一般的な分散安定性における変化、つまり、化合物は高分子構造を形成し、結果として、容易に溶液性を乱し得る。
【0006】
図1は、さらに詳細な先行技術及び環境状況が変化した場合、両親媒性抗菌物質が遭遇するかもしれない一般的な問題を例示する。図1Aは、抗菌物質が、それら適用されるシステムに容易に分散して存在する場合を例示する。pHの変化、イオン又は反対に荷電された化合物の添加及び温度の変化で、化合物は、それらの可溶性を失うか、溶液を乱す高分子凝集を形成するかもしれない。この場合、システムは2つの相に分かれる。図1Bは、抗菌物質がコロイド分散体(凝集が臨界ミセル濃度を越える場合)として存在するケースを例示する。pHの変化、イオン又はカウンターイオン化合物の添加及び温度の変化で、コロイド粒子は凝集し、大きな高分子構造を形成し、その結果、相分離をおこすであろう。
【0007】
いずれの場合も、不安定化はしばしば視覚的に観察することができる。溶液又は分散液は、まず最初に透明で、熱力学的に安定である。一般に、その系は、最初に濁ったようになり、次いで、凝集抗菌物質がリッチな濁った下層と抗菌物質のない(透明な)上澄層を形成する(図1C)。いずれのケースも、品質欠陥として認められるバルクシステムの物理化学的な特性の変化に至るため、重篤な適用問題をもたらす。より重要なことに、これは抗菌性の機能性を失い、微生物の成長が可能になるという重篤な状態を招く。
【0008】
発明の要旨
上記を考慮して、本発明の目的は、抗菌性組成物及び/又はそれらの製造及び/又はアセンブリ方法を提供することであり、それによって、上で概説されるそれらを含む先行技術の種々の不備及び欠点を解消することができる。本発明の1以上の観点が特定の目的に対処することができ、一方、1以上の他の観点では、特定の他の目的に対処することができることが、当業者によってよく理解される。本発明のすべての観点、すべてのその点において、各々の目的は等しく適用されないかもしれない。そのように、以下の目的は、本発明のいかなる唯一の観点に関してでも、択一的に見ることができる。
【0009】
本発明の目的は、1以上の安定な抗菌性組成物を提供することであり、そのような安定性は、その組成物の製造において用いられる1以上の化合物と比較して、全体の実効荷電を低減させることで表すことができる。
本発明の関連する目的は、前駆抗菌性化合物と比較して、環境の変化及びpH、温度及び/又はイオン強度によって比較的より影響を受けない組成物を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、1以上の安定な抗菌性組成物を提供することがでり、そのような安定性は、1以上の表面活性化合物と併用された場合、化学的変化又は劣化を低減することで表すことができる。
【0011】
本発明の他の目的は、抗菌活性を示し、広範な適用又は最終用途条件において機能的性能を向上させる組成物又は関連システムを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、向上した相安定性を示す組成物又は関連システムを提供することであり、液体、固体又は半固体媒体から物理的分離を低減することで表すことができる。
【0013】
本発明の他の目的は、広範な温度、イオン強度又はpH条件において組成物又は製品の視覚的及び機能的品質を、維持又は保存することである。
【0014】
本発明の他の目的、特徴、利益及び利点が要旨及び以下の記載から明らかであり、抗菌性化合物、組成物、関連製剤又は製造技術の知識を有する当業者にとって容易に理解できるであろう。そのような目的、特徴、利益及び利点は実施例、データ、図面及びこれらから引き出される全ての合理的な推論の単独またはここに組み込まれた参考文献の検討を一緒に考慮することにより明らかであろう。
【0015】
一つには、本発明は、適用又は最終用途条件下で抗生及び/又は抗菌機能が可能な第1の成分と、表面活性機能が可能な第2の成分とを含有する組成物を含むことができ、そのような第1の成分は、(a)実質的に特定媒体において非結合又は非自己アセンブリであるか、(b)所定の最小限の濃度での媒体において自己アセンブリまたは結合されており、そのような第2の成分は、(a)第1の成分(a)又は(b)にて、所定の最小限の濃度での媒体においてアセンブリ又は結合されているか、(b)第1の成分(a)又は(b)にて、所定の最小限の濃度より低い濃度で実質的に非結合であるか又は非自己アセンブリである。濃度に関係なく、そのような第2の成分の接触を利用することができ、少なくとも部分的に第1の成分の活性を維持するために十分である。
【0016】
そのような組成物の第1又は第2の成分のいずれかについて、それぞれの成分の所定の最小限の濃度は、特定の媒体において自己アセンブリ又は結合した成分の熱力学的に安定した分散液又は懸濁液を提供する濃度を示すことができる。ミセル形態に結合又はアセンブリされたこれらの成分に関して、そのような最小限かつ十分の濃度は、その媒体に対する臨界ミセル濃度として示すことができる。そのような種々の他の第1及び第2の成分について、熱力学的安定性とは、実質的に相分離することなく、媒体中にそのような成分のいずれかが存在することと理解することができる。
【0017】
限定されることなく、そのような各第1及び第2の成分の構造的及び/又は化学的特性は、特定の媒体との及び互いのその相互作用として定義することができる。特定の実施形態では、各第1及び第2の成分は、電荷にかかわらず、双極分子又は水素結合を誘導する両親媒性とすることができる。他の特定の実施形態では、第1及び第2の成分の一方又は双方は、疎水性/親油性を伴う特定の媒体条件下で、実効荷電を有することができる。そのような第1及び第2成分の組成物は、成分のより小さい安定性と比較して、特定の媒体中で、結果として生じる結合、アセンブリ及び/又は熱力学的安定性の目的でのみ制限される。
【0018】
特定の実施形態では、そのような組成物は、両親媒性の第1成分と、第2の両親媒性表面活性成分とを含むことができ、第1成分は、実効正電荷部(例えば、カチオン)を有し、特定の媒体中で、実質的に結合したか、自己アセンブリ(会合)したか、実質的に非結合であるか、非会合であるかであり、第2成分は、実効負荷電部(例えば、アニオン)を有し、媒体中で、自己会合したか、結合したか、あるいは実質的に非荷電(例えば、非イオン性)とすることができる。逆に、特定の他の実施形態では、そのような組成物は、結合/自己会合した又は実質的に非結合又は非自己会合のどちらかであり、実効負荷電部(例えば、アニオン)を有する両親媒性の第1の成分と、実効正荷電部(例えば、カチオン)を有し、媒体中で、自己会合した又は結合した、両親媒性の第2の表面活性成分(あるいは実質的に非荷電(例えば、非イオン性)である)とを含んでもよい。成分の結合、会合又は構成に限定されることなく、そのような実施形態では、第1の成分及び/又は結果としての組成物は、最初の個々の成分荷電と比較して、小さな実効電荷を有することができ、それによって組成物の安定性及び/又は抗菌活性が維持され、又はpH、温度及び/又はイオン強度における環境変化に少なくともより影響されにくくなる。
【0019】
ある他の実施形態では、そのような組成物は、両親媒性の第1成分と、第2の両親媒性表面活性成分とを含むことができ、第1成分は、実効正電荷部(例えば、カチオン)を有し、特定の媒体中で、実質的に非結合か、非自己会合した又は会合したか、結合し、第2成分は、実効負荷電部(例えば、アニオン)を有し、特定の媒体中で、実質的に非自己会合又は非結合、あるいは媒体条件下で、実質的に非荷電(例えば、非イオン性)とすることができる。逆に、種々の他の実施形態では、そのような組成物は、非結合/非自己会合の又は結合又は自己会合のいずれかの、実効負荷電部(例えば、アニオン)を有する両親媒性の第1の成分と、実効正荷電部(例えば、カチオン)を有し、媒体中で、実質的に非自己会合の又は非結合の(あるいは実質的に非荷電(例えば、非イオン)とすることができる)両親媒性の第2の表面活性成分とを含むことができる。同様に、そのような実施形態では、成分の結合、会合又は構成に限定されることなく、第1の成分及び/又は結果としての組成物は、最初の個々の成分荷電と比較して小さな実効電荷を有することができ、それによって組成物の安定性及び/又は抗菌活性を維持することができ、又はpH、温度及び/又はイオン強度における環境変化に少なくともより影響されにくくなる。
【0020】
当該分野で理解されるように、そのような組成物は、流体又は液体媒体中で存在又は形成することができ、あるいは、形成され、その後、固体又は半固体媒体あるいは関連マトリクス材料に取り込むことができる。代表的な流体/液体媒体は、限定されることなく、水性、アルコール性又は疎水性/親油性とすることができ、特定の実施形態では、担体成分として使用することができる。代表的な固体媒体は、限定されることなく、食品成分又は製品及び担体、結合剤又は医療、医薬、食品、化粧品及びパーソナルケア製品の広い範囲において一般に見出される種類の成分とすることができる。
【0021】
一つには、本発明は、また、抗菌/抗生物質の組成物を製造する方法を含む。そのような方法は、上記により詳細に記載したような第1の抗菌/抗生成分(a)又は(b)を準備し、第2表面活性成分(a)又は(b)をいずれかの第1成分と接触させることを含む。そのような接触は、特定の媒体中で行うことができ、第1及び第2成分のそれぞれは、互いに及び/又は上述した媒体と相互作用することができる。それらから得られた組成物は、その後、媒体、単体又はマトリクス材料に取り込むことができ、それらに抗菌/抗生特性を与えるために、その後の取り込み、基材成分への適用のために単離することができる。
【0022】
一つには、本発明は、また、抗菌活性を維持するために表面活性成分を用いる方法を含む。そのような方法は、媒体中で抗菌成分を準備し、そのような成分を表面活性成分と接触させることを含む。表面成分は、媒体pH、温度及び/又はイオン強度における変化に対して抗菌成分の活性を少なくとも部分的に十分に維持する量とすることができる。そのような接触は、そのような媒体中での抗菌成分を安定化するのに少なくとも部分的に(ある程度)十分なもの、例えば、抗菌成分は媒体中でのミセル形成に十分な濃度とすることができる。抗菌成分がイオンである場合、そのような接触は、抗菌成分の実効電荷を減少させるのに少なくとも部分的に十分なものとすることができる。
【0023】
従って、以下に示すように、本発明は、種々の安定化された抗菌性組成物及びそれらの使用方法、製造方法を提供し、そのような組成物は、食品から医薬、パーソナルケア製品産業に及ぶ種々の用途に使用することができる。特に、本発明のある実施形態で有用であるように、現在利用できる成分化合物(例えば、限定されることなく、処方されるかもしれないようなラウリン酸アルギナート、種々のポリオキシエチレンソルビタン)を、さらなる特定の規制承認を必要とせずに使用することができる。本発明は当該分野でのある欠点に取り組むため、その使用及び手段は、実質的に抗菌物質の増大した用途及びそれらから利用できる利益の実現をもたらさなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のある限定されない実施形態であり、界面活性成分及び抗菌物質又は抗生成分を含むコロイド組成物は、以下のいずれの組み合わせによって製造することができる。
界面活性剤との組み合わせにおいて、混合ミセルシステムを形成することができるいずれかの抗菌物質をも使用することができる。特に、イオン化合物を含むシステムにおける安定性の問題を悪化するラウリン酸アルギナートのような荷電、両親媒性抗菌物質を、本発明との関係で考慮することができる。いずれにしても、本発明は、また、ナイシン、ナタ−ナイシン、リゾチームのようなタンパク質又はポリペプチド抗菌物質、有機及び/又はアミノ酸及びそれらの塩、並びにそれらのフェノール性又はポリフェノール成分を含むエッセンシャルオイル成分に適用することができる。
【0025】
コロイド分散液を形成することができる及びコロイド分散液と同類のものを形成することができるであろう又は抗菌物質を安定化させるであろういずれかの表面活性物質が適している。これは、公知で、利用可能なミセル形成界面活性剤の全てを含む。抗菌物質の性質によって、界面活性剤は、アニオン性、カチオン性又は非イオン性のいずれでもよい。限定されることなく、そのような表面活性成分は、例えば、モノグリセライドの酢酸エステル(ACTEM)、モノグリセリドの乳酸エステル(LACTEM)、モノグリセライドのクエン酸エステル(CITREM)、モノグリセライドのジアセチル酸エステル(DATEM)、モノグリセライドのコハク酸エステル、ポリグリセロールポリリシノール酸エステル、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、脂肪酸の蔗糖エステル、モノ及びジグリセリド、果物酸エステル、ステアロイルラクチラート塩、ポリソルベート、澱粉、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び/又はそれらの組合せを含む。そのような表面活性機能が可能な他の成分は、これと同時出願の「カプセル化エマルジョン及びその製造方法」という係属中の出願において提供又は表されている(全趣旨を参照することによりここに取り込む)。一般に、非イオン性又は荷電界面活性剤と、荷電抗菌物質との組み合わせは、混合ミセルの全電荷が減少するために、抗菌物質単独よりも、塩、pH及び温度に対する耐性が期待されている。
【0026】
図2は、本発明の実施で有用ないくつかの異なった成分の組み合わせを示す。図2Aは、抗菌物質が、単独で熱力学的に安定コロイド分散体を形成しないと見なす。この場合において、カチオン、非イオン又はアニオン界面活性剤ミセルの超ミセル溶液の添加は、中性、正又は負に荷電されるかもしれない混合ミセルの生成をもたらすであろう。これらのシステムは、顕著に、塩、pH及び温度に耐性となっていることが期待される。図2Bは、抗菌物質が単独でコロイド凝集(例えば、ラウリン酸アルギナート等)を形成すると見なす。この場合、サブミセル界面活性剤濃度の添加は、それらの単独種の対応物より実質的に安定で活性となる同様の混合ミセル構造の形成をもたらす。光学的機能について、これらのシステムは、常に透明であることを期待することができる(図2C)。
【0027】
ある限定されない実施形態において、ラウリン酸アルギナート(LAE)、新規なカチオン性界面活性剤は、エチルラウリン酸アルギナートHCl(INCI名)又はエチル−Nα−ドデカノイル−L−アルギナートヒドロキシド(IUPAC名)として化学的に知られているラウリン酸、L−アルギニン及びエタノールの誘導体である。図3参照。LAEは、グラム陽性菌、グラム陰菌、イースト及び菌類に対する阻害活性を有する広範なスペクトルの抗菌物質である。一般の病原体、例えば、大腸菌及びリステリア菌に対する最小阻害濃度が10ppm未満であることが報告され、それは、ナイシン、メチル及びプロピルパラベン、エッセンシャルオイル化合物(チモール、カルバクロール、オイゲノール)並びに有機酸及びそれらの塩のような他の食品承認抗菌物質のMICと比較して1桁以上低い。ラウリン酸アルギナートの高い抗菌活性は、その後に細胞死をもたらすかもしれない膜内外の電位の漏れ及び損失を引き起こす細胞の膜完全性を崩壊する損傷有機体及び病原体の負荷電細胞膜に結合する強い静電性のためである。
【0028】
LAEは、その最近承認されたGRASステータスのために、さらに注目されている。その化合物は、容易に代謝され、天然に存在するアミノ酸アルギニンを産生し、それはオルニチンと尿素とにさらに分解される。肝臓及びプラズマの双方における急速な加水分解のため、インビボでLAEにさらされる時間は非常に短く、健康への影響は最小限であると考えられる。Mirenat(登録商標)−N、ラウリン酸アルギネートの市販品は、プロピレングリコール(一般に用いられる安定化剤)中LAEの25%(w/w)の製剤である。食品システムの適用のためのレベルは、約0.5から約2g/Lで変動するかもしれない。
【0029】
多くの他のイオン性又は非イオン性界面活性剤のように、臨界濃度を越える適当な溶媒に分散された場合、ラウリン酸アルギナートは球状結合コロイド(いわゆるミセル)を形成するために自発的に自己会合する。臨界ミセル濃度(CMC)以下で、界面活性剤モノマーが、溶媒相にわたって分散された一つの分子として存在する。非イオン性界面活性剤に反して、イオンミセルの形成及び安定性は、pH及イオン強度に依存する。より一般的に上述したように、NaCl又はCaCl2のような塩類の添加は、例えば、球状粒子からより大きな円筒形の凝集に結合コロイドの形状変換を誘導するかもしれない。これらの凝集は、散乱光に対して十分大きいかも知れず、それによって溶液における濁りをもたらす。他の例では、対イオンがシステムに添加された場合、イオンミセルは、凝集し、その後沈殿することが報告されている。界面活性剤ミセルの沈殿は、洗浄力、乳化及び泡安定化のような機能の低下と密接に関係しており、よって、この特定の機能が必要である製剤において好ましくない。多くの食品が相当量の塩を含むかもしれず及び/又は広範囲にわたるpH値にわたって形成されているため、食品へのラウリン酸アルギナートのようなイオン性界面活性剤の添加は、コロイド分散液の不安定化をもたらすかもしれない。
【0030】
以下の実施例3〜6によれば、LAEを、非イオン性界面活性剤(例えば、トウィーン20(登録商標)(T20)、実施例3及び図3及び4参照)の有無で試験した。純粋な2回蒸留水の表面張力は、25.9℃において、71.57±0.57であることが見出された。ミレナット濃度が増加する間、IFTは、直線的でないが、減少する傾向にある(図5)。実際、ミレナットが非常に低濃度では、表面張力に変化はない。ほとんどないモノマーが添加されて全表面を被覆するからである。さらなる界面活性剤が添加される場合、表面張力は、直線的に減少し、モノマーは表面に向かい、それら自体を整合し、表面張力を減少させる。ミレナットが所定の濃度の後、表面張力にさらなる変化がなく、表面は界面活性剤で完全に覆われたからである。
【0031】
純粋なシステムの臨界ミセル濃度を、全体の界面活性剤濃度の対数に対して表面張力値をプロットすることによって決定した。臨界ミセル濃度の値を決定するために、2つの線状フィットを用いた。最初の線は、表面張力の線状減少によって特徴付けられた濃度間隔でフィットさせ、第2の線は、ほとんど一定の表面張力となる濃度の領域にフィットさせた。フィットされた線が交差する点は、臨界ミセル濃度(CMC)の値と一致する。ここでは、CMCがミレナット濃度0.25%v/vで達する。これは、ラウリン酸アルギナート1.65mmol/Lと一致し、文献値より4倍低い。従って、すべての実験を、実測値を相当上回る濃度:5%v/vで行うであろう。
【0032】
いくつかの実験を、ミレナットを含む溶液の安定性における塩類の影響を調べるために行った。緩衝液がシステムの本当の作用をマスクすることができたため、ここではpHを制御しなかった。しかし、塩類の添加の後、それはほとんど不変のままであった。添加した電解質によって与えられるさらなる対イオン(アニオン)は、それがカチオン性界面活性剤(つまり、塩化物イオンCl-)によって与えられたものと同じ種類であると見なされる。従って、塩化物(つまり、塩化ナトリウムNaClと塩化カルシウムCaCl2)が使われた。最終的に、5%v/vのミレナット及び0〜200g/LのNaCl又は0〜200g/LのCaCl2となるものを用いた。特に、低塩濃度では、沈殿はゆっくり生じ、最高5日かかった。このペースは、長さ数ミリメートルとなっるかもしれない規則的な粒子をほとんどもたらさなかった。ほとんど毎回沈殿が生じ、ほとんど又は全く濁りが目立たなかった。表1の結果は、質的な視覚観察を示す。
【0033】
表1:界面活性剤混合物の塩類の影響:観察は、塩類の添加の72時間後に行った。C:透明、P:沈殿有り
【0034】
【表1】
塩化ナトリウム又は塩化カルシウムの種々の量を添加したシステムにおける沈殿生成物のろ過データから、沈殿自体が塩の添加に反応したことを示す。各塩を添加した時、沈殿生成物の量は顕著に増加し、これは、バックグラウンドのイオン濃度が増加するにつれて、ある溶解した結合生成物が、より沈殿可能になることを示す。沈殿塊は非常に少なく、総溶液塊のわずか数%のフラクションのみであることを示すことに留意すべきである。
【0035】
そのような結果は、ミレナットが正に荷電する親水性ヘッドを有するカチオン性界面活性剤であるという事実から説明されることができ、従って、ミセルのζ−電位の正の値によって確認されるように、ミセル表面は正に荷電する。同じ符号のイオン粒子が互いに接近している場合、それらは静電的に互いに反発し、よって、粒子が離れたまま、安定した懸濁液をもたらす。これは、粒子間静電反発がいかなる凝集の発生をも妨げるのに十分なことを意味する。この領域では、静電力は、カチオン性分子を互いに十分遠くに離れて保つのに相当強力である。塩類の不安定作用は、Cl-カチオンの電荷スクリーニング作用によって説明することができる。そのような条件下、対イオンはミセルに静電的に密接に結合し、ミセルごとに全体的な静電的正電荷の損失をもたらす。
【0036】
対イオンの量がミセルの飽和限界を越えると、沈殿が起こる。構造間の電子反発によるこの損失は、電荷中性化沈殿とみなされる。事実、粒子は互いに近接する。それらを離す傾向がある静電反発力は、ヴァンデルヴァールス力を相殺するのに十分でない。その結果、粒子は互いの方へ引き寄せられる傾向があり、不安定な懸濁液を形成し、沈殿が発生する。ミセルサイズに関して(図6)、塩濃度が増加するにつれて、電解質の存在分布は右にシフトする。同じ形状が、NaClの存在で観察される。対イオン添加による電荷中性化は、また、ミセル中に占有する有効な界面活性剤のヘッド基領域を減少し、よって、ミセルの凝集数を増加させ、より大きいサイズをもたらす。
【0037】
しかし、ノニオン界面活性剤が媒体に加えられると、沈殿は高い塩濃度で阻害された。図7に示される純粋及び混合システムの見た目のサイズ分布を考慮せよ。各々の純粋な界面活性剤のシステムは、ミセルをつくる能力を示す。イオン性(LAE)ミセル(CMC=0.25%v/v)は、非イオン物質(T20)ミセルより小さく、それらのCMCはT20(それぞれ、0.25%v/v及び0.3%v/v、図示せず)と全く同じである。このサイズは、疎水性のテイルの種々の長さと一致する。2つの成分が同じ水性媒体に入れられると、双方の先の純粋なミセルは消失し、より小流体力学半径を有する新たなカテゴリーの化合物が出現することとなり、これは、カチオン及び非イオンオン性粒子からなる混合ミセルの存在を反映するものであると考えられる。
【0038】
ノニオン性の遮蔽は、予想外と見なすことができる。T20量が増加すると、より多くの非荷電界面活性剤分子が、イオンミセルに結合する。これは、より低いζ−電位をもたらす(表2)。静電反発の影響は、純粋なイオンミセルでのものほど高くないが、対イオンの結合は、ノニオン界面活性剤の添加で減少すると考えられ、ミセルにおける表面の電荷密度の減少のため、結合は、ノニオン界面活性剤の添加で同時に減少し、ミセルスクリーニングが低下する。
【0039】
表2:ミセルのζ−電位におけるT20添加の影響。濃度はv/vであり、特に断らない場合、pHは4.00である。
【0040】
【表2】
【0041】
図9は、ミレナット5%v/vとT20の種々の濃度(v/v)とを含有する溶液の滴定の結果を示す。溶液pHは、0.5NのNaOHを添加することによって段階的に増加させ、各々の添加後2分間記録した。各溶液へ添加されたOHの総量に対してプロットした。各添加後3分間、サブサンプルを吸光度の測定のために、キュベットにピペットによって分配した。全てのシステムは、水酸化ナトリウム添加の早い段階で、pHのわずかな増加を示し、その後pHジャンプ(つまり、pH曲線における速くて深い折れ線)した。しかし、この急激な変化は、種々のT20濃度のそれぞれに対して、同じ水酸化物イオン濃度では起こらない。実際、それは次第にグラフの右にシフトする。最初のpH値が各溶液について互いに非常に近接することを留意せよ。これに対して、11mmolのOH-の添加に対応する最終pH値は、同じでなく、T20の量が高くなるにつれて、減少する傾向がある。そのような結果は、ノニオン化合物量の増加につれて、向上した緩衝能力に関連するかもしれない。
【0042】
媒体中のバックグランドイオンH+及びOH-の濃度に影響するため、pHが沈殿に影響を及ぼすことが予想される。塩化物の対イオンがそうであるように、水酸化物は、界面活性剤モノマー及びミセルと相互作用することが予想される。図10において、600nmの小さい吸収を、純粋及び混合溶液のそれぞれについてpHに対してプロットした。分散液の吸光度の最初の変化率は沈殿率の質的な尺度であるとみなされている。懸濁した粒子密度の増加にともなって、光吸収は増加する。
【0043】
純粋な成分の曲線に関して、吸光度は4.3近辺のpH値以上で強く増加し、溶解した成分の相当な不安定性を示す。他のシステムに関して、類似した急激な変化が、純粋なカチオン溶液(それぞれ5.2及び6.3、1%のT20)に対してよりも、比較的高いpH値以上であるが、3つの混合システム中、2つで観察される。有意な吸収度変化が、5%のミレナット及び5%(v/v)のT20からなる混合システムで認められない。塩の実験に反して、沈殿が即座に見えた点に注意せよ。実際、pHは、可溶性イオンに直接的な影響を及ぼす。pHの増加とともに、カチオン界面活性剤は、その正電荷を低下させ、最終的にその溶解性を失う。これは、ζ−電位(表2)の減少によって示される。そのような条件下、それらは、それらの反発作用を示すことができなくなる。ミセルサイズのpH依存で示されるように、近隣のミセル間の静電反発のこの低下が、凝集を招く。バルク水性媒体のpHが増大する間、ラウリン酸アルギナートのミセルが大きくなることを示す図11参照。
【0044】
図12で示すように、類似した関係が、種々の懸濁液中でのフィルタ及びpHで保持された粒子間において見出された。沈殿が5%v/vのT20を含む混合溶液に対する比濁実験によって検出されなかったとしても、小さな固体構造が存在し、0.45μmでのろ過によって検出することができることに留意することは興味深い。これは、沈殿が、使用される比濁法によって検出されたものよりわずかに低いイオン濃度で起こるかもしれないことを示唆する。
【0045】
いずれの理論又は操作モードに限定されず、そのようなデータは、カチオン性及びノニオン性ヘッド基を含む混合ミセルの形成を支持する。LAEの純粋ミセルで認められたように、混合ミセルは、増加した溶液で成長する(図13)。しかし、その作用は、それほど強くない。これは、ノニオン性分子は正のものとの間で相互作用するため、ミセル表面が純粋ミセルでのように強く正に電荷されていないためかもしれない。同様の展開が、バルク媒体中でのT20の異なる容量のフラクションで観察される。
【0046】
図14に示したように、沈殿は、それらの形成、添加されたイオンの量及びノニオン界面活性剤の存在によって異なるように見える。実際、pHが閾値を上回って高くなる場合、固体粒子が現れる。沈殿の初期状態においてのそれらの出現は、透明な、長方形形状のプレート様結晶からなる(A)。固体のいくつかは、偏光下で干渉色を示した。より高いpH値に達するとき、沈殿は、アモルファスで分散したマトリクスに埋設された小さな固体粒子からなり、確かにより小さい粒子を含む(B)。T20が沈殿前の溶液に添加された場合、新たな形態が現れる。沈殿の初期状態において細いフィラメント(C)。後に、pHの増加に伴い、結晶が現れる(D)。
【0047】
塩の添加の後、顕微鏡写真は、フィラメント(E及びF)によって取り囲まれた「コア」でのネットワークの存在を明らかにする。同じ構成が、沈殿を引き起こす塩類のいずれの濃度ででも見出される。さらに、そのパターンは、T20の添加でいずれの変化も示さない。
【0048】
上述したように、ラウリン酸アルギナートのような代表的なイオン性抗菌物質が、溶液中で、添加された対イオン又は水酸化物イオンと反応し、固体構造を形成する。これに対して、低い水塩濃度及び低いpHで、コロイド懸濁液はより安定している。対イオン濃度及びpHの増大は、より多くの沈殿をもたらす。これらの物理化学的なストレスに対するそのような界面活性剤ミセルの安定性作用を、ノニオン界面活性剤の混合物への添加によって強化することができる。ノニオン界面活性剤は、イオン性ヘッド基の間での反発を減少させ、混合ミセル形成を促進し、イオン性モノマー濃度を減少させ及び沈殿を減少させる(この現象)ことによって、塩分耐性を増加させる傾向がある。
【0049】
より詳しくは、特定の実施形態に関するように、広範なスペクトルの抗菌性官能性を有するカチオン界面活性剤LAEは、溶液から沈殿し、非酸性条件及び塩の存在下、活性を低下させるかもしれない。ラウリン酸アルギナートとノニオン界面活性剤とを含む組成物は、不安定性の問題の解決を促進することができる。pH2〜13で5wt%のLAE、200g/LまでのNaCl及びCaCl2を含有する水溶液を、非イオン性乳化剤(例えば、ツウィーン20、0.5〜5wt%)の有無で調製した。濁度を、分光測光法で評価した。沈殿の形成を、濾過によって定量し、それらの構造を光学顕微鏡検査で測定した。安定した分散液の臨界ミセル濃度(CMC)を、滴下張力測定によって測定した。ミセルのサイズ及び電荷を、レーザー光散乱技術を使用して測定した。塩誘発静電遮蔽及びpH誘発変化減少のため、pH>4.1ならびにそれぞれ>10g/L及び>15g/LのNaCl及びCaCl2濃度で、LAEは溶液から沈殿した。沈殿は針状形態であった。ツウィーン20の添加は、界面活性剤の濃度に依存して、NaCl及びCaCl2の存在及びpH>4.1で、LAEの安定性を増加した。例えば、0.5wt%のツウィーン20の添加の後、沈殿が、>50g/LのNaCl及び>200g/LのCaCl2ならびにpH>11で生じた。沈殿の形成は、5wt%のツウィーン20の添加後、完全に抑えられた。CMC及びζ−電位測定は、混合ミセルシステムの形成を示した。混合システムでのCMCは、単一の界面活性剤システムに比較して小さく、ミセルのζ−電位はツウィーン20の添加に伴って一般に減少した。そのような結果は、ノニオン界面活性剤のラウリン酸アルギナートへの添加が、静電的に誘発された不安定化に対する安定性を改善することができ、それによって、食品システムでの用途の範囲を広げることができることを示唆する。同様に、その結果が示すように、当業者及び本発明の認識する者によってよく理解されるように、そのような表面活性及び抗菌性成分は、本発明の種々の広範な観点、他の表面活性及び抗菌成分の使用にをとおして得られる利益を代表する。
【0050】
実施例
以下の限定的されない実施例及びデータは、本発明の種々の観点及び本発明の組成物、システム及び/又は方法に関連する特徴を示し、それは、種々の抗生物質/抗菌物質成分及び界面活性成分を含む組成物の製造を含み、ここで記載される方法論を通して達成することができる。先行技術と比較すると、本発明の組成物、システム及び方法は、意外で、予想外で、先行技術と反対である結果とデータを提供する。本発明の有用性は、いくつかのそのような組成物を用いることにより示されることができ、本発明の範囲に相応するように、相当する結果が、種々の他の抗生物質、抗菌物質、界面活性剤及び乳化剤成分で得られることは当業者によってよく理解されている。
【0051】
実施例1a
例えば、当該分野で遭遇する作用の例として、ラウリン酸アルギナートを検討する。NaClのような単純な塩類の添加は、化合物の正電荷の減少をもたらし、それは凝集及び相分離ならびに抗菌活性の低下をもたらす。最初に透明であったラウリン酸アルギナートの溶液は、塩の添加により濁る。最終的に、大きな浮塊沈殿が底へ移るため、非常に濁った沈殿相及び透明な上澄相が観察される。
【0052】
実施例1b
本発明の実証のために、脱イオン水中のラウリン酸アルギナートの透明溶液を調製することができる。HCl及びNaOHの添加によって、分散液は、濁り、大きな凝集の形成を示す。最終的に、それらの凝集相は分離される(図示せず)。ノニオン界面活性剤(この場合、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)の十分濃度の添加により、分散液の安定性が回復し、透明な外観をもたらす。
【0053】
実施例2
上述したように、種々の有機酸及びそれらの誘導体は、抗菌性活性を提供することができる。そのような成分の代表例である安息香酸を検討する。pKaより上のpHの増加は、プロトン解離をもたらすことができ、化合物に負電荷を与え、抗菌活性を低下させる。臨界pHは、一般に約4である。本発明のさらなる例として、安息香酸及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含む組成物は、全体として低減した実効荷電を伴う混合ミセル形成を与える。そのようなシステムは、安息香酸のみと比較して、微生物表面での相互作用を改善する。その結果、高いpHでさえ、より高い抗菌活性が得られる。
【0054】
実施例3〜6に関して:
材料及び溶液の調製
濃縮ミレナット(登録商標)溶液(25%のラウリン酸アルギナート、75%のPEG)を、A&B Ingredientsから得、さらなる精製なしで用いた。ポリオキシエチレン(29)ソルビタンモノラウレート(トゥイーン20)、溶媒(HCl、NaOH、純度>99%)及びNaCl(99%)を、Sigma Chemical(セントルイス、MO)から得た。すべての溶液を、2回蒸留の脱イオン水を用いて調製した。ミセル溶液を、2回蒸留水で適切な濃縮で穏やかに界面活性剤(トゥイーン及びLAE)を混合することにより調製した。必要に応じて、pHを、HCl及びNaOHを使って調節した。
【0055】
pHの測定
全ての溶液のpHを、Accumet model ARl 5 pH-meter(Fisher)を用いて記録した。機器を適当な緩衝液を用いて測定前に較正した。
【0056】
溶液の濁度
pHを調整し、塩類を含有する溶液の吸光度を、UV−可視スペクトロフォトメータ(Spectronic 2 ID, Milton Roy, Rochester, NY)を用いて、600nmの波長にて、分光法で測定した。全ての測定を、大気温度にて、3回繰り返した。溶液の吸光度における変化を、大きな粒子及び/又は凝集の形成のために間接測定として使用した。
【0057】
沈殿保持
沈殿を含む50mlのミセル溶液を、ワットマン0.45μmのナイロンフィルタでろ過した。フィルタを5日間、55℃にて乾燥し、乾燥沈殿物重量を天秤を用いて測定した。沈殿保持の割合を、
PR=mp/ms (1)として計算した。
式中、mpは沈殿の質量、msは50ml溶液の初期に分散した界面活性剤の質量である。
【0058】
実施例3
沈殿の微細構造
沈殿物の微細構造を、ミセル溶液のpHを調節し、塩を添加した後、24時間、光学顕微鏡検査によって評価した。沈殿を含有する溶液の1滴を、顕微鏡スライドに置き、カバースリップで覆い、次いで、微細構造を光学顕微鏡検査(偏光子を伴うニコン顕微鏡Eclipse E400、ニコン社、日本)を使って行った。画像を、コンピュータ上にインストールしたデジタル画像処理ソフトウェア(ミクロVideo Instruments社、エイボン、MA)に接続したCCDカメラ(CCD-300-RC、DAGE-MTI、ミシガンシティ、IN)を使って得た。
【0059】
実施例4
表面張力の測定
滴形状分析張力測定器(モデルDSA-GlO MK2、クリュスUSA、シャーロット、NC)を、界面活性剤溶液(20.0±0.5℃)の表面張力を測定するために用いた。張力測定法で、全ての滴形状の数値解析によって、ペンダント滴又は泡の様子を測定する。滴形状からの界面張力の計算は、毛管現象のヤング−ラプラス方程式に基づき、詳細な説明は他で見つけることができる(Dukhin、クレッチマーら、1995)。表面張力の測定を、20.0±0.5℃で行った。厳密な温度調節を確実にするために、気泡を、サーモスタットで調温し、キュベットに含まれる界面活性剤溶液中に含浸したシリンジの逆にされた先端で形成した。シリンジ/キュベットシステムを、光源及び高速CCDカメラ間の光学台に置いた。CCDカメラは、10秒間につき1フレームの速度でコンピュータのハードディスク上へイメージを記録するために、ビデオフレーム取り込みボードに接続し、輪郭分析による滴プロフィールを得た。測定されたDITeq値が30分間不変であったとき、サンプルが平衡に達したとみなした(動的平衡界面張力DITeq)。表面張力測定の精度を、±0.2×10-3N/mとした。溶液密度を、ヤング−ラプラス方程式を用いた表面張力の正確な判定のために必要とした。溶液を、水浴で20℃に平衡に保ち、密度をデジタル密度メーター(35N DMA、アントンPaar社、グラーツ、オーストリア)を用いて測定した。DMA35Nを用いた密度測定の精度を、±0.001g/cm3とした。すべて測定(密度及び表面張力)を5回繰り返した。
【0060】
実施例5
粒径分析
動的散乱光技術(NanoZSモデル、ZEN3600、マルヴァーンInstruments、MA)を、ミセルの流体力学半径を測定するために用いた。その機器は、633nmの赤色レーザーで回折パターンからミセルのサイズを測定し、検出器を173°にセットした。温度を25℃で平衡にした。粒径寸法を、平均直径d43=Σnidi4/Σnidi3又はd32=Σnidi3/Σnidi2として報告した(ここで、niは直径diの滴の数である)。個々の粒子径測定を、同じサンプルにおいて得られる3つの読みの平均から決定した。
【0061】
実施例6
ζ−電位
ミセル溶液のζ−電位を、電気泳動技術を用いて測定した。サンプルを粒子電気泳動器具(Zetasizer Nanoseries ZS、マルヴァーンInstruments、ウースターシャー、英国)の測定チャンバとして機能する使い捨てキュベットに置き、ζ−電位を、滴が印加電界中で動いた方向及び速さを測定することによって、測定した。電気泳動の機動性測定値をζ−電位値に換算するために、Smoluchowskyの数学モデルをソフトウェアにより用いた。個々のζ−電位の測定を、同じサンプルにおいて得られる5つの読みの平均から決定した。
【0062】
本発明の原則が特定の実施形態と関連して記述される一方、これらの説明が例証として加えられ、どのような形態であれ、本発明の範囲を制限することを目的とするものでないことは明確に十分理解されていなければならない。例えば、種々のより広範において、本発明は種々の医薬、化学製品、ヘルスケア、食品、化粧品及びパードナルケア製品を構成することができ、それぞれはそのような1以上の抗菌性組成物によって成立することをここに示した。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図面の簡単な説明
【図1】従来技術を示す図であり、凝集及び結果としての相分離をもたらすイオン化合物のpH及び濃度の変化における抗菌物質及び抗生物質の不安定性を示す。
【図2】本発明のミセル形成界面活性剤及び抗菌物質を含む混合抗菌システムの形成を示す。
【図3】LAE(イオン性抗菌物質の代表例)の構造実験式C20H41N4O3Cl、の構造を示す。
【図4】ツイーン20(他のノニオン界面活性剤の代表例)の化学分子構造、分子式C58H114O26。
【図5】本発明における、IFT変化対ミレナット濃度、LAE型又は製剤の可能な1つを示す。ブラケットは、標準偏差を示す。
【図6】CaCl2濃度に依存するLAEミセルサイズ、各溶液は、5%v/vのミレナット及び種々のCaCl2量を含む。
【図7】pH4における純水及び混合システムの容量に対するミセルサイズの分布。
【図8】総界面活性剤濃度の関数としての表面張力を示すグラフである。
【図9】純水及び混合システムの滴定:pH対システムに添加した水酸化物イオンの量。
【図10】600nmでのpHに依存する吸光度のプロットを示す。参照はミレナット5v/v%であり、他は、T20を混合したミレナット5v/v%である。
【図11】pH依存ラウリン酸アルギナートのサイズの変化。溶液はミレナット5v/v%の比較である。
【図12】ミレナット5%v/v及び異なる濃度のツイーン20を0.45μmのフィルターで保持した固体の割合の依存性を示すプロットである。
【図13】pHに依存する混合ミセルサイズを示す。各溶液は、ミレナット5%v/v及びツイーン29の5%v/vを含む。
【図14】異なる条件下における異なるLAEシステムに対する顕微鏡観察にって得られた電子化画像を示す。拡大倍率は200倍である。Aはミレナット5v/v%、pH4.02;Bはミレナット5v/v%、pH11;Cはミレナット5v/v%+T20の0.05%、pH5.02;Dはミレナット5v/v%+T20の0.5%、pH11.01;Eはミレナット5v/v%+CaCl230g/L;Fはミレナット5v/v%+NaCl30g/L。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法であって、
抗菌性成分を媒体中で準備し、及び
前記抗菌性成分を表面活性成分と接触させ、該表面活性成分は、媒体pH、温度及びイオン強度の少なくとも1つにおける変化に対して前記抗菌成分の活性を維持するのに少なくとも部分的に十分な量で含む抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法。
【請求項2】
表面活性成分は、イオン性、非イオン性表面活性成分及びそれらの組み合わせから選択される請求項1の方法。
【請求項3】
抗菌性成分は、両親媒性であり、媒体中でミセルを形成するための十分な濃度で含まれる請求項1の方法。
【請求項4】
表面活性成分は、両親媒性であり、媒体中で、ミセル形成のために十分なまたはそれ以下の濃度で含まれる請求項3の方法。
【請求項5】
抗菌性成分は、アニオン部を含み、前記表面活性成分は、カチオン及び非イオン部から選択される部位を含む請求項4の方法。
【請求項6】
抗菌性成分は、カチオン部を含み、前記表面活性成分は、アニオン及び非イオン部から選択される部位を含む請求項4の方法。
【請求項7】
抗菌性成分は、カチオン性、両親媒性であり、表面活性成分は非イオン性である請求項6の方法。
【請求項8】
抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法であって、
イオン性両親媒性の抗菌性成分を媒体中で準備し、該抗菌性成分は媒体中で、ミセル形成に十分な濃度で含まれ、及び
前記抗菌性成分を両親媒性表面活性成分と接触させ、該表面活性成分は、イオン性及び非イオン性成分ならびにこれらの組み合わせから選択され、少なくとも1つの表面活性成分は抗菌性成分の活性を維持するのに少なくとも部分的に十分な量で含まれる抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法。
【請求項9】
表面活性成分は、媒体中で、ミセル形成のために十分なまたはそれ以下の濃度で存在する請求項8の方法。
【請求項10】
抗菌性成分は、アニオン部を含み、前記表面活性成分は、カチオン及び非イオン部から選択される部位を含む請求項9の方法。
【請求項11】
抗菌性成分は、カチオン部を含み、前記表面活性成分は、アニオン及び非イオン部から選択される部位を含む請求項9の方法。
【請求項12】
抗菌性成分は、カチオン性、両親媒性であり、表面活性成分は非イオン性である請求項11の方法。
【請求項13】
抗菌性成分は、ラウリン酸アルギナートである請求項12の方法。
【請求項14】
表面活性成分は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートである請求項12の方法。
【請求項15】
イオン性、両親媒性抗菌性成分、両親媒性表面活性成分及び組成媒体を含む抗菌性組成物であって、少なくとも1つの成分は、媒体中でミセルを形成するのに十分な濃度で含有される抗菌性組成物。
【請求項16】
アニオン性、両親媒性抗菌性成分を含み、前記表面活性成分は、カチオン性表面活性成分、非イオン性表面活性成分及びそれらの組み合わせから選択される請求項15の抗菌性組成物。
【請求項17】
カチオン性、両親媒性抗菌性成分を含み、前記表面活性成分は、アニオン性表面活性成分、非イオン性表面活性成分及びそれらの組み合わせから選択される請求項15の抗菌性組成物。
【請求項18】
医薬的に許容されるキャリア成分を含む請求項15の抗菌性組成物。
【請求項19】
食品等級媒体を含む、該組成物が食品成分に適用される請求項15の抗菌性組成物。
【請求項20】
ラウリル酸アルギナート塩、両親媒性の非イオン性表面活性成分及び組成媒体を含み、前記アルギナート塩が、媒体中でミセルを形成するための十分な濃度で含まれる抗菌性組成物。
【請求項21】
表面活性成分は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートである請求項20の抗菌性組成物。
【請求項22】
食品成分上の請求項21の組成物。
【請求項1】
抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法であって、
抗菌性成分を媒体中で準備し、及び
前記抗菌性成分を表面活性成分と接触させ、該表面活性成分は、媒体pH、温度及びイオン強度の少なくとも1つにおける変化に対して前記抗菌成分の活性を維持するのに少なくとも部分的に十分な量で含む抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法。
【請求項2】
表面活性成分は、イオン性、非イオン性表面活性成分及びそれらの組み合わせから選択される請求項1の方法。
【請求項3】
抗菌性成分は、両親媒性であり、媒体中でミセルを形成するための十分な濃度で含まれる請求項1の方法。
【請求項4】
表面活性成分は、両親媒性であり、媒体中で、ミセル形成のために十分なまたはそれ以下の濃度で含まれる請求項3の方法。
【請求項5】
抗菌性成分は、アニオン部を含み、前記表面活性成分は、カチオン及び非イオン部から選択される部位を含む請求項4の方法。
【請求項6】
抗菌性成分は、カチオン部を含み、前記表面活性成分は、アニオン及び非イオン部から選択される部位を含む請求項4の方法。
【請求項7】
抗菌性成分は、カチオン性、両親媒性であり、表面活性成分は非イオン性である請求項6の方法。
【請求項8】
抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法であって、
イオン性両親媒性の抗菌性成分を媒体中で準備し、該抗菌性成分は媒体中で、ミセル形成に十分な濃度で含まれ、及び
前記抗菌性成分を両親媒性表面活性成分と接触させ、該表面活性成分は、イオン性及び非イオン性成分ならびにこれらの組み合わせから選択され、少なくとも1つの表面活性成分は抗菌性成分の活性を維持するのに少なくとも部分的に十分な量で含まれる抗菌性成分の活性を維持するために表面活性成分を用いる方法。
【請求項9】
表面活性成分は、媒体中で、ミセル形成のために十分なまたはそれ以下の濃度で存在する請求項8の方法。
【請求項10】
抗菌性成分は、アニオン部を含み、前記表面活性成分は、カチオン及び非イオン部から選択される部位を含む請求項9の方法。
【請求項11】
抗菌性成分は、カチオン部を含み、前記表面活性成分は、アニオン及び非イオン部から選択される部位を含む請求項9の方法。
【請求項12】
抗菌性成分は、カチオン性、両親媒性であり、表面活性成分は非イオン性である請求項11の方法。
【請求項13】
抗菌性成分は、ラウリン酸アルギナートである請求項12の方法。
【請求項14】
表面活性成分は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートである請求項12の方法。
【請求項15】
イオン性、両親媒性抗菌性成分、両親媒性表面活性成分及び組成媒体を含む抗菌性組成物であって、少なくとも1つの成分は、媒体中でミセルを形成するのに十分な濃度で含有される抗菌性組成物。
【請求項16】
アニオン性、両親媒性抗菌性成分を含み、前記表面活性成分は、カチオン性表面活性成分、非イオン性表面活性成分及びそれらの組み合わせから選択される請求項15の抗菌性組成物。
【請求項17】
カチオン性、両親媒性抗菌性成分を含み、前記表面活性成分は、アニオン性表面活性成分、非イオン性表面活性成分及びそれらの組み合わせから選択される請求項15の抗菌性組成物。
【請求項18】
医薬的に許容されるキャリア成分を含む請求項15の抗菌性組成物。
【請求項19】
食品等級媒体を含む、該組成物が食品成分に適用される請求項15の抗菌性組成物。
【請求項20】
ラウリル酸アルギナート塩、両親媒性の非イオン性表面活性成分及び組成媒体を含み、前記アルギナート塩が、媒体中でミセルを形成するための十分な濃度で含まれる抗菌性組成物。
【請求項21】
表面活性成分は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートである請求項20の抗菌性組成物。
【請求項22】
食品成分上の請求項21の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−510082(P2009−510082A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533583(P2008−533583)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/037729
【国際公開番号】WO2007/038627
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(399093869)ユニバーシティー オブ マサチューセッツ (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/037729
【国際公開番号】WO2007/038627
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(399093869)ユニバーシティー オブ マサチューセッツ (19)
【Fターム(参考)】
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