説明

官能化ポリマーの製造プロセス

【課題】配位触媒系で作製した官能化ポリマーには多くの利点が伴うので、これら官能化ポリマーの作製に採用する改良された重合プロセス及び官能化ポリマーを提供する。
【解決手段】(a)配位触媒の存在下でモノマーを重合させて、ポリマーを生成させる工程と、(b)重合工程をルイス塩基で阻害する工程と、(c)前記ポリマーを官能化剤と反応させる工程とを含む、官能化ポリマーの作製方法及び官能化ポリマーを作製するための連続重合方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一以上の実施態様は、官能化されたポリマーを作製するためのプロセスを対象とするものであり、該プロセスは、活性重合混合物をルイス塩基で処理することと、該活性重合混合物中に含まれるポリマーを官能化剤と反応させることとを含むものである。
【背景技術】
【0002】
ポリマーは、溶液重合で作製されることがあり、該溶液重合においては、溶剤又は希釈剤中でモノマーを重合させる。また、ポリマーは、バルク重合(塊状重合とも称される)で作製されることもあり、該バルク重合においては、如何なる溶剤も存在しない又は実質存在しない条件下でモノマーを重合させ、実質的には、モノマー自体が希釈剤として作用する。
【0003】
シス-1,4-ポリジエン類等の立体規則性ポリマーは、配位触媒系の存在下で、共役ジエン類等のモノマーを重合させることによって製造することができる。配位触媒系の一例は、ランタニド系の触媒系である。ランタニド化合物、アルキル化剤、及びハロゲン源を含むランタニド系の触媒系は、シス-1,4-結合含量が高い共役ジエンポリマーを製造するのに有用であることが知られている。
【0004】
ある状況においては、配位触媒系で製造したポリマーは反応性である。その結果、該ポリマーを官能化剤と更に反応させて、目的に応じて調整した性質を有する官能化ポリマーを生成させるのに有利なことがある。一旦、官能化ポリマーを作製したら、該ポリマーが含まれる重合混合物は、該重合混合物を非反応性にするために、失活剤で失活させてもよい。例えば、該混合物を失活させることで、モノマーの更なる重合反応を止めることができ、並びに、残留する如何なる反応性ポリマー、触媒、及び/又は触媒成分をも不活性化することができる。この失活は、残留する反応性ポリマー、触媒、及び/又は触媒成分にプロトンを付加することによって起こることがある。
【0005】
配位触媒系で製造したポリマーと官能化剤を反応させる能力は、大抵は瑣末なことではない。ポリマーの反応性には多くの因子が影響する可能性があり、大抵は予測不能である。また、官能化剤と配位触媒系で製造したポリマーとの間の反応速度は、非常に遅いことがあり、或いは、モノマーの重合反応等の重合混合物内で起こる反応と競合することによって、影響を受けることもある。
【0006】
官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応の反応速度が遅いこと及び/又はその予測が不可能であることは、幾つかの不利益をもたらす。まず、モノマーの転化率(及び対応する分子量)を容易にコントロールすることができない。このことはバルク重合系において特に不利益となる可能性があり、なぜなら、温度コントロールが非常に難しい可能性があり、又は局所的なホットスポットが重合混合物内に生じることがあり、このことが、ポリマーの分解、ゲル化、及び/又は変色を生じさせる可能性があるからである。極端な場合には、重合速度の加速をコントロールできないことによって、ひどい”暴走”反応が引き起こされる可能性がある。同様に、モノマーの転化率をコントロールできないことによって、ゲルを生成する非常に高分子量の生成ポリマーがもたらされる可能性がある。不溶性のゲル状ポリマーの望ましくない蓄積によって、設備が汚染される可能性があり、このことによって、生産性が低下して、操業コストが上昇してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バルク重合系におけるこれ等の問題を回避するために、多大な注意を払って、重合混合物に官能化剤を導入する時期を適切に選択しなければならない。そして、混合物にプロトンを付加し、それによって混合物を不活性化するために、失活剤を導入するタイミングも同様に注意深く選択しなければならない。ある状況では、官能化剤にポリマーと反応するのに十分な時間を与える前に、重合混合物に失活剤を導入しなければならないことがある。
【0008】
配位触媒系で作製した官能化ポリマーには多くの利点が伴うので、これら官能化ポリマーの作製に採用する重合プロセスを改良する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一以上の実施態様は、(a)配位触媒の存在下でモノマーを重合させて、ポリマーを生成させる工程と、(b)重合工程をルイス塩基で阻害する工程と、(c)前記ポリマーを官能化剤と反応させる工程とを含む、官能化ポリマーの作製方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明の一以上の実施態様は、(a)反応器にモノマーと配位触媒とを導入して、重合混合物を形成する工程と、(b)触媒の存在下で前記モノマーの少なくとも一部を重合させる工程と、(c)前記モノマーを重合させる工程の後に、前記重合混合物にルイス塩基を加える工程と、(d)前記重合混合物に官能化剤を加える工程とを含む、官能化ポリマーの作製方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明の一以上の実施態様は、(a)配位触媒とモノマーとを連続的に導入して、重合混合物を形成する工程と、(b)第一区域内で、前記モノマーの少なくとも一部を重合させて、反応性ポリマーとする工程と、(c)前記第一区域から前記重合混合物を連続的に取り除き、該混合物を第二区域に移す工程と、(d)該第二区域内で、前記重合混合物にルイス塩基を連続的に導入する工程と、(e)前記第二区域から前記重合混合物を連続的に取り除き、該混合物を第三区域に移す工程と、(f)該第三区域内で、前記重合混合物に官能化剤を連続的に導入する工程とを含む、官能化ポリマーを作製するための連続重合方法を提供するものである。
【0012】
また、本発明の一以上の実施態様は、(a)配位触媒の存在下でモノマーを重合させて、ポリマーを生成させる工程と、(b)重合工程をルイス塩基で阻害する工程と、(c)前記ポリマーを官能化剤と反応させる工程とを含む方法で作製された官能化ポリマーを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一以上の実施態様によれば、配位触媒系で調製した活性重合混合物をルイス塩基で処理し、該ルイス塩基の存在下において、重合混合物内の反応性ポリマーを官能化剤と反応させる。活性重合混合物にルイス塩基を導入することによって、幾つかの利点を実現することができる。例えば、ある実施態様において、ルイス塩基は、反応性ポリマーが官能化剤と反応する能力に悪影響を及ぼすことなく、重合反応を阻害できる。そのため、モノマーの転化率及びポリマーの分子量に対するコントロールを失うことなく、ポリマーに官能化剤と反応するのに十分な時間を与えることができる。このことは、反応性ポリマーと官能化剤との間の反応速度が遅い場合、特に有利である。重合反応を高固体乃至バルク重合系で行う実施態様においては、活性重合混合物をルイス塩基で処理することによって、更なる利点がもたらされる。例えば、ポリマーと官能化剤との間の反応の過程においてモノマーの転化率をコントロールできるため、暴走重合の危険性が大幅に減少する。そして、ポリマーの分子量をコントロールできるため、設備の汚損も大幅に減少する。
【0014】
一以上の実施態様において、活性重合混合物は、モノマー、触媒、成長ポリマー(反応性ポリマーとも称される)を含み、また、任意に溶媒を含む。ある実施態様において、重合混合物は、非成長ポリマーと触媒残留物を任意に含んでもよい。
【0015】
一以上の実施態様において、モノマーとしては、配位重合、即ち、活性中心金属へのモノマーの配位を含むメカニズムによって機能する配位触媒によって引き起こされる重合反応を受け得るものが挙げられる。特定の実施態様において、モノマーには、共役ジエンモノマー類が、任意選択的に共役ジエンモノマー類と共重合することが可能なモノマーと共に含まれる。共役ジエンモノマー類の例としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、及び2,4-ヘキサジエンが挙げられる。前述のジエンモノマー類の2種以上からなる混合物を使用してもよい。共役ジエン類と共重合することが可能なモノマーの例としては、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、及びビニルナフタレン等のビニル置換芳香族モノマーが挙げられる。
【0016】
成長ポリマーとしては、モノマーの添加によって更なる重合反応を受けることが可能なポリマー化学種が挙げられる。一以上の実施態様において、成長ポリマーは、活性末端にアニオン又は負電荷を含むことがある。これらのポリマーとしては、配位触媒で開始されたものが挙げられる。これらの又は他の実施態様において、成長性のポリマー化学種は、擬似リビングポリマーとも称される。非成長ポリマーとしては、モノマーの添加によって更なる重合反応を受け得ないポリマー化学種が挙げられる。
【0017】
一以上の実施態様において、触媒は、連鎖重合機構によってモノマーを重合させることが可能な金属化合物を含む。これら金属化合物は、任意選択的に助触媒成分と共に、一種以上の有機金属化学種を含んでもよいし、それらの反応生成物(即ち、触媒残留物)を含んでもよい。配位触媒、即ち、成長するポリマー鎖中へのモノマーの挿入の前に活性中心金属へのモノマーの配位又は錯形成を含むメカニズムによってモノマーの重合を開始させる触媒が含まれる。配位触媒の重要な特徴は、多くの本(例えば、クラン,W.,配位重合の原理;ジョン・ウィリー&サンズ:ニューヨーク,2001)及び総説(例えば、ミュールハウプト,R.,マクロモレキュラー・ケミストリー・アンド・フィジクス2003,第204巻,289−327頁)で議論されている。配位触媒の有利な特徴は、重合反応を立体化学的に制御して、それによって立体規則性のあるポリマーを生成させる能力にある。当該技術分野において公知なように、配位触媒を生成する多数の方法があるが、総ての方法は、最終的には、モノマーに配位して、活性中心金属と成長するポリマー鎖との間の共有結合中にモノマーを挿入することが可能な活性中間体を生成させる。共役ジエン類の配位重合は、中間体としてπ-アリル錯体を経て進行すると考えられている。配位触媒は、1成分系であっても、2成分系であっても、3成分系であっても、多成分系であってもよい。一以上の実施態様において、配位触媒は、重金属化合物(例えば、遷移金属化合物又はランタニド合成物)、アルキル化剤(例えば、有機アルミニウム化合物)、及び任意に他の助触媒成分を組み合わせることによって形成することができる。
【0018】
様々な手順を用いて、配位触媒を調製することができる。一以上の実施態様において、配位触媒は、重合するモノマーに、逐次法又は同時法で触媒成分を別々に加えることによって、インサイチューで生成させることができる。他の実施態様においては、配位触媒を予め生成させておいてもよい。即ち、如何なるモノマーも存在しない状況下で、或いは、少量のモノマーの存在下で、重合系の外側で触媒成分を予備混合する。所望により、得られた予備形成触媒組成物を熟成させ、その後、重合させるモノマーに加えてもよい。
【0019】
配位触媒系の例としては、ニッケル系の触媒系、コバルト系の触媒系、及びランタニド系の触媒系が挙げられる。有用なニッケル系の触媒系が米国特許第6,479,601号、第6,451,934号、第4,562,172号、第4,562,171号、及び第4,223,116号に開示されており、これらを参照してここに取り込む。有用なコバルト系の触媒系が米国特許第6,479,601号、第4,954,125号、第4,562,172号、第4,562,171号、及び第4,522,988号に開示されており、これらを参照してここに取り込む。有用なランタニド系の触媒系が米国特許第6,897,270号、第7,094,849号、第6,992,147号、及び第7,008,899号に開示されており、これらを参照してここに取り込み、また、米国出願番号第60/875,484号、第11/640,711号、第11/710,713号、及び第11/710,845号にも開示されており、これらも参照してここに取り込む。特定の実施態様においては、共役ジエンモノマーを重合させてシス-1,4-ポリジエンにするために、ランタニド系の触媒系を使用する。
【0020】
一以上の実施態様において、重合混合物は、任意に溶媒を含んでもよい。適切な溶媒としては、触媒の存在下で、重合反応を受けたり、成長するポリマー鎖に取り込まれたりすることのない有機化合物が挙げられる。一以上の実施態様において、これらの有機化学種は、大気温度及び圧力で液体である。一以上の実施態様において、これら有機溶媒は、触媒組成物に対し不活性である。典型的な有機溶剤としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環式炭化水素等の沸点が低い又は比較的低い炭化水素類が挙げられる。芳香族炭化水素類の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。脂肪族炭化水素類の非限定的な例としては、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、イソペンタン、イソヘキサン類、イソペンタン類、イソオクタン類、2,2-ジメチルブタン、石油エーテル、ケロシン、ミネラルスピリット等が挙げられる。また、脂環式炭化水素類の非限定的な例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。また、市販の上記炭化水素類の混合物を用いてもよい。環境面の理由で、脂肪族炭化水素類及び脂環式炭化水素類が非常に好ましい。低沸点炭化水素溶剤は、典型的には重合反応が完了次第ポリマーから分離される。
【0021】
有機溶剤の他の例としては、パラフィン系オイル、アロマ系オイル、油展ポリマーに通常使用される他の炭化水素油等の分子量が高い高沸点炭化水素類が挙げられる。これらの炭化水素類は、不揮発性であるため、通常分離を必要とせず、ポリマー中に取り込まれたままである。
【0022】
活性重合混合物は、モノマーと、適当な条件下でモノマーの重合反応を開始させることが可能な触媒と、任意に溶剤とを組み合わせ、或いは導入することで調製することができる。
【0023】
一以上の実施態様において、重合を開始させるのに使用する触媒の量は、幾つかの因子に依存することがある。例えば、該量は、使用する触媒のタイプ、成分の純度、重合温度、所望の重合反応速度及び転化率、所望の分子量、並びに他の多くの因子に依存することがある。従って、それぞれの触媒乃至触媒成分を触媒として有効な量使用することができるという以外に、特定の総触媒濃度を限定的に述べることはできない。
【0024】
一以上の実施態様において、ランタニド系、ニッケル系又はコバルト系の配位触媒を使用する場合、ランタニド、ニッケル又はコバルト化合物の使用量は、モノマー100グラム当り、約0.001から約1mmol、他の実施態様では約0.005から約0.5mmol、更に他の実施態様では約0.01から約0.2mmolで変化させることができる。
【0025】
一以上の実施態様において、重合系は、概して、溶剤を相当量含む溶液重合系と見なすことができる。これらの場合、重合混合物の溶剤含有量は、重合混合物の総重量を基準として、20重量%を超えてもよく、他の実施態様においては50重量%を超えてもよく、更に他の実施態様においては80重量%を超えてもよい。適切な溶媒の例は、上述した。
【0026】
他の実施態様において、使用する重合系は、概して、実質的に溶剤を含まない、或いは溶剤を最小量含むバルク重合系と見なすことができる。これらの場合、重合混合物の溶剤含有量は、重合混合物の総重量を基準として、約20重量%未満であってもよく、他の実施態様においては約10重量%未満であってもよく、更に他の実施態様においては約5重量%未満であってもよい。更に他の実施態様において、重合混合物は実質溶剤を含まず、このことは、さもなければ重合プロセスにかなりの影響を及ぼす量の溶剤が存在しないことを指す。他の実施態様において、当業者は、バルク重合プロセス(即ち、モノマーが溶剤として作用するプロセス)の利点を認識するであろうから、重合混合物は、バルク重合を行うことによって求められる利点に悪影響を及ぼすよりも少ない量の溶剤を含む。特定の実施態様においては、重合混合物は溶媒を含まない。
【0027】
採用する重合系のタイプに関わらず、ある実施態様においては、触媒成分を重合系に送るのを容易にするために、キャリヤーとして低沸騰でも高沸点でもよい有機溶剤を少量用い、触媒成分を溶解又は懸濁させる。他の実施態様においては、触媒のキャリヤーとしてモノマーを使用することができる。更に他の実施態様においては、触媒成分を、如何なる溶剤をも含まない純状態で使用することができる。
【0028】
重合混合物は、当該技術分野で公知の如何なる従来技術を使用して生成させてもよい。一以上の実施態様においては、従前の撹拌槽型反応器中で溶液重合を行うことができる。他の実施態様において、特にモノマーの転化率が約60%未満の場合は、従前の撹拌槽型反応器中でバルク重合を行うことができる。更に他の実施態様において、特にバルク重合プロセスにおけるモノマーの転化率が約60%よりも高く、このことによって、通常非常に粘稠なセメントが生成する場合は、重合反応下の粘稠なセメントの移動がピストンによって、或いは実質ピストンによって推進される細長い反応器中でバルク重合を行ってもよい。例えば、この目的には、セメントが自己洗浄単軸スクリュー又は二軸スクリュー撹拌機によって押し進められる押出機が適切である。
【0029】
一以上の実施態様においては、重合混合物の調製に使用する成分の総てを単一の容器(例えば、従来の撹拌槽型反応器)内で組み合わせることができ、また、重合プロセスの総ての工程をこの容器内で実行することができる。他の実施態様においては、2種以上の成分を1つの容器中で予め組み合わせ、その後、モノマー(又は少なくともその一部)の重合が行われる他の容器に移すことができる。例えば、当該技術分野で公知のように、モノマーが存在しない条件下で、或いは、モノマーの存在下で、ある触媒成分を複数組み合わせて、重合反応を開始させる前にそれらを熟成させるのが有利なこともある。このタイプの技術が米国特許第6,699,813号、第6,897,270号、及び第7,094,849号に開示されており、これらを参照してここに取り込む。
【0030】
一旦、総ての成分を導入したら、モノマーの重合を進行させることができる。重合反応は、バッチプロセス、連続プロセス、又は半連続プロセスで実施することができる。半連続プロセスでは、既に重合したモノマーを置換する必要があるので、モノマーを断続的に投入する。一以上の実施態様においては、重合反応が進行する条件をコントロールして、重合混合物の温度を約−10℃から約200℃の範囲内に維持してもよく、他の実施態様においては約0℃から約150℃の範囲内に維持してもよく、更に他の実施態様においては約20℃から約100℃の範囲内に維持してもよい。一以上の実施態様において、重合熱は、熱的に制御された反応器ジャケットによる外部冷却よって取り除いてもよいし、反応器に連結した還流凝縮器の使用によるモノマーの気化及び凝縮による内部冷却よって取り除いてもよいし、それら2つの方法の組み合わせによって取り除いてもよい。また、条件をコントロールして、重合反応を約0.1気圧から約50気圧の圧力下で行ってもよいし、他の実施態様では約0.5気圧から約20気圧の圧力下で行ってもよいし、その他の実施態様では約1気圧から約10気圧の圧力下で行ってもよい。一以上の実施態様において、重合反応を実行できる圧力としては、モノマーの大部分を確実に液相にできる圧力が挙げられる。これらの又は他の実施態様においては、重合混合物を無酸素条件下に維持してもよい。
【0031】
一旦、所望のモノマー転化率に達したら、重合混合物をルイス塩基で処理する。一以上の実施態様においては、ルイス塩基及び重合混合物を導入することによって、混合物の処理を達成してもよい。これは、ルイス塩基を重合混合物に加えることによって行ってもよい。一以上の実施態様においては、ルイス塩基を純物質として重合混合物に導入することができる。他の実施態様においては、重合混合物に導入する前に、ルイス塩基を溶剤又はモノマーで希釈することができる。
【0032】
ルイス塩基は、一般には、一つ以上の電子対を他の物質に供与することが可能な物質(中性化合物又はイオン)と定義される。一方、一つ以上の電子対を受容することが可能な物質(中性化合物又はイオン)は、ルイス酸と称される。重合混合物を処理するためには、多種類のルイス塩基を使用することができる。一以上の実施態様において、ルイス塩基は、プロトン性水素原子を全く含まない。プロトン性水素原子としては、重合条件下でプロトンとして放出され得る水素原子が挙げられる。
【0033】
ルイス塩基は、ルイス酸に結合できるドナー原子のタイプに従って分類することができる。典型的なドナー原子としては、窒素、酸素、硫黄、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、セレン、テルル、及びハロゲン原子が挙げられる。また、ルイス塩基は、それらの配位座数に従って分類することもできる。ルイス塩基の配位座数とは、ルイス酸に結合できるドナー原子の数を指す。適切なルイス塩基は、種々の配位座数、例えば、単座配位、二座配位、三座配位、多座配位を有し得る。
【0034】
単座配位ルイス塩基の例としては、テトラヒドロフラン、フラン、N-メチルピロール、N-メチルイミダゾール、ピリジン、チオフェン、エーテル類、チオエーテル類、アミン類、ホスフィン類、ホスファイト類、アルシン類、スチビン類、ビスムチン類、ニトリル類、イソシアニド類、シアネート類、イソシアネート類、チオシアネート類、及びイソチオシアネート類が挙げられる。
【0035】
二座配位ルイス塩基の例としては、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、2,2-ビス(2'-テトラヒドロフラニル)プロパン、1,2-ビス(ピペリジノ)エタン、ジピペリジノメタン、2,2'-ジピリジル(2,2'-ビピリジンとも称される)、1,10-フェナントロリン、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-ピリジル)メタン、β-ジケトン類、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、シス-1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジメチルホスフィノ)ブタン、シス-1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エチレン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)ベンゼン、1,1'-ビス(ジメチルホスフィノ)フェロセン、及び1,2-ビス(ジメチルアルシノ)ベンゼンが挙げられる。
【0036】
三座配位ルイス塩基の例としては、2,2':6',2''-ターピリジン、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス(2-ピリジル)メタン、ビス(2-ジフェニルホスフィノエチル)フェニルアミン、ビス(2-ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、トリス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,1,1-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン、及びビス(3-ジメチルアルシノプロピル)メチルアルシンが挙げられる。
【0037】
四座配位ルイス塩基の例としては、N,N,N',N'',N''',N'''-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリス(2-ジフェニルホスフィノエチル)ホスフィン、トリス(2-ジフェニルホスフィノエチル)アミン、トリス(2-ジメチルアミノエチル)アミン、トリス(2-ジフェニルホスフィノフェニル)ホスフィン、トリス(2-ジフェニルアルシノフェニル)アルシン、及びトリス(2-メチルチオエチル)アミンが挙げられる。
【0038】
多座配位ルイス塩基の例としては、大環状窒素系ルイス塩基(例えば、ポルフィン、ポルフィリン類、及びフタロシアニン類)、大環状ポリエーテル類(クラウンエーテル類とも称される)、大環状ポリチオエーテル類(クラウンチオエーテル類とも称される)、混合酸素及び窒素供与原子を含む大環状二環式又は大環状多環式ルイス塩基(クリプテート類又はクリプタンド類とも称される)、及びエチレンジアミンテトラアセテート(EDTAとも称される)が挙げられる。
【0039】
ルイス塩基の重合混合物への添加のタイミング、ルイス塩基を重合混合物に導入するプロセス内の位置、並びに、重合混合物に導入するルイス塩基の量は、多数の因子に依存することがある。例えば、タイミングは、採用する重合混合物の固形分含量、処理設備、及びプロセス設計に依存して変化することがある。位置は、採用するプロセスが連続プロセスであるかバッチプロセスであるか等のプロセス設計に依存して変化することがある。量は、使用するルイス塩基のタイプ、使用する重合触媒のタイプ及び量、所望の重合阻害度合に依存して変化することある。ある実施態様では、モノマーの重合反応を完全に停止させることが有利なこともある。他の実施態様においては、重合速度を実質的に低下させたり、部分的に低下させたりすることが有利なこともある。
【0040】
一以上の実施態様においては、モノマーの転化率が少なくとも5%、他の実施態様では少なくとも10%、その他の実施態様では少なくとも20%、更に他の実施態様では少なくとも50%、更にその他の実施態様では少なくとも80%に達した後に、重合混合物にルイス塩基を添加する。これらの又は他の実施態様においては、モノマーの転化率が90%に達する前に、他の実施態様ではモノマーの転化率が70%に達する前に、その他の実施態様ではモノマーの転化率が50%に達する前に、更に他の実施態様ではモノマーの転化率が20%に達する前に、更にその他の実施態様ではモノマーの転化率が15%に達する前に、重合混合物にルイス塩基を添加する。
【0041】
一以上の実施態様においては、モノマー(又は少なくともその一部)の重合反応が起こる位置(例えば、容器内)において、重合混合物にルイス塩基を加えてもよい。他の実施態様においては、モノマー(又は少なくともその一部)の重合反応が起こる場所とは別の位置において、重合混合物にルイス塩基を加えてもよい。例えば、下流の反応器又は槽、インライン反応器又はミキサー、押出機、或いは揮発分除去装置等の下流の容器中で、重合混合物にルイス塩基を加えてもよい。
【0042】
特定の実施態様において、重合プロセスは、ルイス塩基の導入をプロセスの別の区域内で行う連続プロセスである。例えば、モノマー(又は少なくともその一部)の重合はプロセスのある区域(例えば、反応器)内で行われ、該区域は第一区域とも呼ばれる。所望のモノマー転化率に達した後、重合混合物は第一区域から取り出され、それに続く区域(例えば、下流の反応器)に導入され、該区域は第二区域とも呼ばれ、そこで、重合混合物にルイス塩基を導入することができる。特定の実施態様において、特にバルク重合を行う場合は、モノマーが完全に転換する前(例えば、転化率が50%になる前)に第一区域から重合混合物を取り出し、第二区域中で重合混合物にルイス塩基を加え、それによって更なるモノマーの転換を阻害又は停止させる。
【0043】
一以上の実施態様において、ランタニド系、ニッケル系又はコバルト系の配位触媒を使用する場合、重合混合物に導入するルイス塩基の量は、ランタニド、ニッケル、又はコバルト化合物1モル当り、約0.05から約100モル、他の実施態様では約0.1から約50モル、その他の実施態様では約0.2から10モルで変化させることができる。
【0044】
一以上の実施態様において、重合混合物へのルイス塩基の導入は、モノマーの重合反応に影響を与える。一以上の実施態様においては、ルイス塩基がモノマーの重合を阻害し、このことは、モノマーが重合する速度の低下を指す。特定の実施態様においては、ルイス塩基が実質的にモノマーが重合する速度を低下させ、このことは、重合反応の速度におけるかなりの低下を指す。他の実施態様においては、ルイス塩基がモノマーの重合反応を完全に停止させる。
【0045】
一以上の実施態様においては、官能化剤を重合混合物に導入し、ルイス塩基の存在下で、混合物内の反応性ポリマーを官能化剤と反応させる。
【0046】
官能化剤の選択は、使用する触媒系及び/又は反応性ポリマー鎖の性質に依存するかもしれない。一以上の実施態様において、官能化剤としては、反応性ポリマーと反応でき、それによって官能化剤と反応していない成長鎖とは異なる反応基をポリマーにもたらすことが可能な化合物又は試薬が挙げられる。反応基は、他のポリマー鎖(成長性及び/又は非成長性)や、補強性充填剤(例えば、カーボンブラック)等のポリマーと組み合わせることが可能な他の成分と反応できてもよいし、相互作用できてもよい。一以上の実施態様において、官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、付加又は置換反応を経て進行する。
【0047】
一以上の実施態様において、官能化剤としては、1つの高分子内に2つ以上の反応性のポリマー鎖を結合させる作用を有するカップリング剤が挙げられる。他の実施態様において、官能化剤としては、ポリマー鎖にヘテロ原子を付加乃至付与する化合物が挙げられる。特定の実施態様において、官能化剤としては、非官能化ポリマーから調製した類似のカーボンブラック充填加硫物に比べて、官能化ポリマーから調製したカーボンブラック充填加硫物の50℃でのヒステリシスロスを低減する基をポリマー鎖に付与する化合物が挙げられる。一以上の実施態様において、このヒステリシスロスの減少は、少なくとも5%であり、他の実施態様では少なくとも10%であり、その他の実施態様では少なくとも15%である。
【0048】
一以上の実施態様において、特にランタニド系の配位触媒系を用いて擬似リビングポリマーを生成させる場合、適切な官能化剤としては、ケトン基、アルデヒド基、アミド基、エステル基、イミダゾリジノン基、イソシアネート基、及びイソチオシアネート基等の基を含み得る化合物が挙げられる。これらの化合物の例が米国特許公開第2006/0004131A1号、第2006/0025539A1号、第2006/0030677A1号、及び第2004/0147694A1号に開示されており、これらを参照してここに取り込む。官能化剤の他の例としては、米国出願番号第11/640,711号に開示のようなアジン化合物、米国出願番号第11/710,713号に開示のようなハイドロベンズアミド化合物、米国出願番号第11/710,845号に開示のようなニトロ化合物、並びに米国出願番号60/875,484に開示のような保護されたオキシム化合物が挙げられ、これらの総てを参照してここに取り込む。更に他の例が、米国特許第4,906,706号、第4,990,573号、第5,064,910号、第5,567,784号、及び第5,844,050号、第6,992,147号、第6,977,281号、米国特許公開第2006/0004131A1号、日本国特許出願第05−051406A号、第05−059103A号、第10−306113A号、及び第11−035633A号に開示されており、これらを参照してここに取り込む。
【0049】
反応性ポリマー鎖を連結するのに使用でき、カップリング剤とも呼ばれる有用な官能化剤としては、当該技術分野で公知のものが挙げられ、特に限定されるものではないが、四塩化スズ等のハロゲン化金属、四塩化ケイ素等の半金属のハロゲン化物、ジオクチルスズビス(オクチルマレエート)等のエステル-カルボキシレート金属錯体、テトラエチルオルトシリケート等のアルコキシシラン類、テトラエトキシスズ等のアルコキシスタナン類が挙げられる。カップリング剤は、単独で用いてもよいし、他の官能化剤と組み合わせて用いてもよい。複数の官能化剤の組み合わせは、如何なるモル比で使用してもよい。
【0050】
官能化剤は、所望のモノマー転化率に達した後で、プロトン性水素原子を含む失活剤の添加前に、重合混合物に導入することができる。一実施態様においては、一旦、重合温度のピークが観察されたら、官能化剤を重合混合物に加えてもよい。他の実施態様においては、ピークの重合温度に達した後、約25〜35分以内に官能化剤を加えてもよい。一以上の実施態様においては、モノマーの転化率が少なくとも5%、他の実施態様では少なくとも10%、その他の実施態様では少なくとも20%、更に他の実施態様では少なくとも50%、更にその他の実施態様では少なくとも80%に達した後に、重合混合物に官能化剤を添加する。これらの又は他の実施態様においては、モノマーの転化率が90%に達する前に、他の実施態様ではモノマーの転化率が70%に達する前に、その他の実施態様ではモノマーの転化率が50%に達する前に、更に他の実施態様ではモノマーの転化率が20%に達する前に、更にその他の実施態様ではモノマーの転化率が15%に達する前に、重合混合物に官能化剤を添加する。
【0051】
特定の実施態様においては、ルイス塩基の導入の直前に、重合混合物に官能化剤を導入してもよい。しかしながら、官能化剤の添加のタイミングが、ルイス塩基のモノマーの重合反応を阻害する能力に悪影響を及ぼす程、ルイス塩基の添加よりもかなり前に官能化剤を添加しないことが望ましい。特定の実施態様においては、官能化剤をルイス塩基と共に導入する。その他の実施態様においては、重合混合物にルイス塩基を導入した後、重合混合物に官能化剤を加える。
【0052】
一以上の実施態様においては、ルイス塩基を加える位置(例えば、容器内)において、重合混合物に官能化剤を加えてもよい。他の実施態様においては、ルイス塩基を加える場所とは別の位置において、重合混合物に官能化剤を導入してもよい。例えば、下流の反応器又は槽、インライン反応器又はミキサー、押出機、或いは揮発分除去装置等の下流の容器中で、重合混合物に官能化剤を導入してもよい。
【0053】
特定の実施態様において、重合プロセスは、官能化剤の導入をプロセスの別の区域内で行う連続プロセスである。例えば、モノマー(又は少なくともその一部)の重合を第一区域中で行ってもよく、それに続く区域(第二区域)中でルイス塩基の導入を行ってもよく、更にそれに続く区域内で官能化剤の導入を行ってもよく、該区域は第三区域とも呼ばれる。特定の実施態様においては、ルイス塩基の添加から実質的に下流の区域内で、官能化剤の導入を行う。
【0054】
重合混合物に導入する官能化剤の量は、重合反応を開始させるのに用いる触媒のタイプ及び量、官能化剤のタイプ、所望の官能基数のレベル、並びに他の多くの因子等の種々の要因に依存することがある。
【0055】
一以上の実施態様において、ランタニド系触媒を使用する場合、官能化剤の量は、ランタニド合成物1モル当り、約1から約200モル、他の実施態様では約5から約150モル、その他の実施態様では約10から約100モルの範囲とすることができる。
【0056】
一旦、官能化剤を重合混合物に導入して所望の反応時間を与えたら、残留する如何なる反応性ポリマー、触媒、及び/又は触媒成分をも不活性化するために、重合混合物に任意に失活剤を加えてもよい。一以上の実施態様において、失活剤としては、特に限定されるものではないが、アルコール類、カルボン酸、無機酸又はそれらの混合物等のプロトン性化合物が挙げられる。特定の実施態様において、失活剤としては、ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。ポリヒドロキシ化合物及びその失活光剤としての使用方法が同時係属中の米国出願番号 (代理人整理番号P06050US1A)に開示されており、該出願は本願と同日に出願されたものであって、発明の名称が”重合停止剤としてのポリヒドロキシ化合物”であり、それを参照してここに取り込む。
【0057】
一以上の実施態様において、ポリヒドロキシ化合物としては、1分子当り2つ以上のヒドロキシ基(即ち、OH)を含む化合物が挙げられる。一以上の実施態様において、ポリヒドロキシ化合物は、当量分子量が100g/モル未満、他の実施態様では80g/モル未満、その他の実施態様では60g/モル未満、更にその他の実施態様では40g/モル未満であることを特徴とすることがあり、ここで、当量分子量は、ポリヒドロキシ化合物の分子量を1分子当りのヒドロキシ基の数で割った値に等しいものとして定義される。
【0058】
一以上の実施態様において、ポリヒドロキシ化合物は、大気圧下での沸点が180℃を超え、他の実施態様では200℃を超え、その他の実施態様では220℃を超え、更にその他の実施態様では240℃を超え、他の更なる実施態様では260℃を超えること特徴とするかもしれない。
【0059】
ポリヒドロキシ化合物のタイプとしては、ジヒドロキシ化合物、トリヒドロキシ化合物、テトラヒドロキシ化合物、及び多ヒドロキシ化合物が挙げられる。ポリヒドロキシ化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物、脂環式ポリヒドロキシ化合物、及び芳香族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。
【0060】
重合混合物に導入する失活剤の量は、重合反応を開始させるのに用いる触媒のタイプ及び量、並びに失活剤のタイプ等の幾つかの因子に基づいて変わることがある。
【0061】
一以上の実施態様においては、官能化剤を加える位置(例えば、容器内)において、重合混合物に失活剤を加えてもよい。他の実施態様においては、官能化剤を加える場所とは別の位置において、重合混合物に失活剤を導入してもよい。例えば、下流の反応器又は槽、インライン反応器又はミキサー、押出機、或いは揮発分除去装置等の下流の容器中で、重合混合物に失活剤を導入してもよい。
【0062】
特定の実施態様において、重合プロセスは、失活剤の導入をプロセスの別の区域内で行う連続プロセスである。例えば、プロセスの特定の区域(例えば、第三区域)内で行われる官能化剤の導入の後、当該区域から重合混合物を取り出して、それに続く、第四区域とも称される区域に導入し、該区域において重合混合物に失活剤を導入する。特定の実施態様においては、官能化剤が反応性ポリマーと反応するのに十分な時間を与えるために、官能化剤を導入する区域から十分下流の区域内で失活剤の導入を行う。
【0063】
一以上の実施態様においては、酸化防止剤を、失活剤と一緒に、或いは失活剤の導入前又は導入後に、重合混合物に添加してもよい。有用な酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール等の当該技術分野で公知のものが挙げられる。一以上の実施態様において、酸化防止剤の使用量は、生成ポリマーの約0.2重量%から約1重量%とすることができる。酸化防止剤は、純物質として加えることもできるし、必要に応じて、重合混合物に加える前に溶剤又はモノマーに溶解させて加えてもよい。
【0064】
一旦、重合混合物を失活させたら、重合混合物の種々の成分を回収してもよい。一以上の実施態様においては、未反応のモノマーを重合混合物から回収することができる。例えば、モノマーは、当該技術分野で公知の技術を用いて、重合混合物から蒸留することができる。一以上の実施態様においては、揮発分除去装置を用いて、重合混合物からモノマーを取り除いてもよい。一旦、重合混合物からモノマーを取り除いたら、該モノマーを精製し、貯蔵及び/又は重合プロセスに再循環させてもよい。
【0065】
また、生成ポリマーも、当該技術分野で公知の技術を用いて、重合混合物から回収することができる。一以上の実施態様においては、脱溶剤及び乾燥技術を用いることができる。例えば、特にバルク重合を行う場合は、脱溶剤押出機等の加熱スクリュー装置に重合混合物を通すことによってポリマーを回収することができ、ここで、該加熱スクリュー装置中では、適当な温度(例えば、約100℃から約170℃)で、大気圧下又は減圧下にて、揮発性物質が取り除かれる。この処理は、未反応のモノマー、並びに如何なる低沸点の溶剤をも取り除くのに役立つ。或いは、重合混合物に水蒸気脱溶剤を施し、続いて、得られたポリマー小片を熱気トンネル中で乾燥することによっても、ポリマーを回収することができる。また、重合混合物をドラム乾燥機上で直接乾燥することによっても、ポリマーを回収することができる。
【0066】
本発明に従って調製した製品ポリマーは、タイヤ部品の作製に使用することができる。本発明の製品ポリマーを単独で、或いは他のゴム状ポリマーと共に使用して、これらのタイヤ部品を作製することができる。使用可能な他のゴム状エラストマーとしては、天然及び合成のエラストマーが挙げられる。合成エラストマーは、典型的には、共役ジエンモノマー類の重合から得られる。これらの共役ジエンモノマー類は、ビニル芳香族モノマー類等の他のモノマーと共重合してもよい。他のゴム状エラストマーは、エチレンと一種以上のα-オレフィン類との重合、更には任意に一種以上のジエンモノマー類との重合から得られる。
【0067】
有用なゴム状エラストマーとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン-co-イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン-co-プロピレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、及びポリ(スチレン-co-イソプレン-co-ブタジエン)、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)、ポリ(エチレン-co-プロピレン-co-ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、及びそれらの混合物が挙げられる。これらのエラストマーは、直鎖、分岐鎖、星状等の無数の高分子構造を有していてもよい。また、ゴムの配合に通常用いる他の成分を添加してもよい。
【0068】
ゴム組成物は、無機及び有機充填剤等の充填剤を含んでもよい。有機充填剤としては、カーボンブラック及びデンプンが挙げられる。無機充填剤としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー(ケイ酸アルミニウム水和物)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
硫黄や過酸化物系の硬化系等の多数のゴム硬化剤(加硫剤とも呼ばれる)を使用できる。カーク−オスマー、化学技術百科事典、第20巻、365〜468頁、(第三版、1982年)、特には、390〜402頁の加硫剤及び補助物質の項、並びにA.Y.コラン、ポリマー科学及び工学の百科事典の加硫の項、(第二版、1989年)に、硬化剤が記載されており、これらを参照してここに取り込む。加硫剤は、一種単独で使用しても、組み合わせて使用してもよい。
【0070】
使用可能な他の成分としては、促進剤、オイル、ワックス、スコーチ防止剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着性付与樹脂、補強性樹脂、ステアリン酸等の脂肪酸、素練り促進剤、及び一種以上の追加のゴムが挙げられる。
【0071】
これらのゴム組成物は、トレッド、サブトレッド、ブラックサイドウォール、ボディプライスキン、ビードフィラー等のタイヤ部品の形成に有用である。
【0072】
一以上の実施態様において、ゴム成分と充填剤を含む初期マスターバッチを形成することによって、加硫可能なゴム組成物を調製してもよい。開始温度約25℃〜約125℃、排出温度約135℃〜約180℃で、この初期マスターバッチを混合することができる。早期加硫(スコーチとしても知られる)を防止するために、この初期マスターバッチから加硫剤を除外してもよい。一旦、初期マスターバッチを加工したら、最終混合段階において低温で初期マスターバッチ中に加硫剤を導入及び混合してもよく、ここで、該最終混合段階は加硫プロセスを開始させないことが好ましい。時々リミルとも呼ばれる追加の混合段階を、任意選択的に、マスターバッチの混合段階と最終混合段階の間で採用することができる。これらリミルの間で、種々の成分を添加することができる。ここで採用するゴムの配合技術及び添加物は、ゴムの技術(第2版、1973年)のゴムの配合及び加硫の項に記載されているように一般に知られている。
【0073】
また、米国特許第5,227,425号、第5,719,207号、第5,717,022号及び欧州特許第890,606号に記載されているように、シリカを充填したタイヤ用配合物に適用可能な混合条件及び手順が周知であり、これらの総てを参照してここに取り込む。一以上の実施態様において、充填剤としてシリカを(単独で又は他の充填剤と組み合わせて)使用する場合、混合中にカップリング剤及び/又は遮蔽剤をゴム配合物に加えてもよい。有用なカップリング剤及び遮蔽剤が、米国特許第3,842,111号、第3,873,489号、第3,978,103号、第3,997,581号、第4,002,594号、第5,580,919号、第5,583,245号、第5,663,396号、第5,674,932号、第5,684,171号、第5,684,172号、第5,696,197号、第6,608,145号、第6,667,362号、第6,579,949号、第6,590,017号、第6,525,118号、第6,342,552号及び第6,683,135号に開示されており、これらを参照してここに取り込む。一実施態様においては、カップリング剤及び遮蔽剤が実質的に存在しない状態で、本発明のポリマー及びシリカを含有させて、初期マスターバッチを調製する。
【0074】
加硫可能なゴム組成物をタイヤの製造に使用する場合、標準的なゴム成形、成型及び硬化技術を含む通常のタイヤ製造技術に従って、これら組成物をタイヤの構成部品に加工することができる。一般的には、モールド内で加硫可能な組成物を加熱することによって、加硫させることができ、例えば、約140℃〜約180℃に加熱してもよい。硬化乃至架橋したゴム組成物は、加硫物とも呼ばれ、該加硫物は一般に熱硬化性の3次元ポリマーネットワークを含む。加工助剤及び充填剤等の他の成分を、加硫ネットワークの全体に均一に分散させてもよい。米国特許第5,866,171号、第5,876,527号、第5,931,211号及び第5,971,046号に述べてあるようにして、空気入りタイヤを製造することができ、これらを参照してここに取り込む。
【0075】
他の実施態様においては、本発明の製品ポリマーを、ホース、ベルト、靴底、窓封止材等の一般の封止材、振動減衰ゴム、並びに他の産業の製品及び消費者向け製品の製造に使用することができる。
【0076】
本発明の実施の仕方を明らかにするために、以下の例を準備及び試験した。しかしながら、これらの例は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきものではない。請求の範囲が本発明の範囲を規定する役割を果たす。
【実施例】
【0077】
<例1>
この例では、バッチ且つ実質バルク重合プロセスによって、1,3-ブタジエンをシス-1,4-ポリブタジエンに重合させた。重合反応器は、高粘度のポリマーセメントを混合することが可能な機械撹拌器(軸及び刃)を具えた1ガロンのステンレスシリンダーから構成されていた。反応器の上部には、重合反応の期間全体に渡って、反応器の内側で発生する1,3-ブタジエンの蒸気を運び、凝縮して、再利用する還流凝縮器システムが連結されていた。また、反応器は、冷水が貫流する冷却ジャケットを具えていた。重合熱は、一部は還流凝縮器システムの使用による内部冷却によって除去し、また、一部は冷却ジャケットへの熱伝達による外部冷却によって除去した。
【0078】
反応器を乾燥窒素流で完全にパージし、その後、反応器に1,3-ブタジエンを100g投入することによって1,3-ブタジエンの蒸気で置換し、反応器を150°Fに加熱し、その後、反応器内に液体の1,3-ブタジエンが残らなくなるまで還流凝縮器システムの上部から1,3-ブタジエンの蒸気を放出させた。冷却水を還流凝縮器及び反応器のジャケットに適用し、反応器に1,3-ブタジエンモノマーを1302g投入した。モノマーを90°Fに温度調節した後、反応器に0.68Mのトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン溶液を29.1mL投入し、続いて、0.053Mのネオジム(III)バーサテート(NdV3)のヘキサン溶液を4.7mL加えた。反応器内部の混合物を5分間熟成させた後、反応器中に0.074Mのエチルアルミニウムジクロライド(EADC)のヘキサン溶液を5.0mL投入することによって、重合反応を開始させた。重合反応の開始からの15分後、イソプロパノールを4.6mL含むヘキサン1360gで希釈し、その後、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを5g含む3ガロンのイソプロパノールにバッチを落とすことによって、重合混合物を失活させた。凝固したポリマーをドラム乾燥した。ポリマーの収量は、159.1g(転化率12.2%)であった。モンサントのムーニー粘度計を用い、大ローター、予熱時間1分、実行時間4分で、ポリマーの100℃でのムーニー粘度(ML1+4)を決定してところ、21.5であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で求めたところ、ポリマーは、数平均分子量(Mn)が102,000g/モルで、重量平均分子量(Mw)が291,000g/モルで、分子量分布(Mw/Mn)が2.9であった。ポリマーの赤外線分光分析によって、シス-1,4-結合含量が98.9%で、トランス-1,4-結合含量が0.8%で、1,2-結合含量が0.3%であることが示された。
【0079】
<例2>
重合反応の開始から15分後、反応器中に0.10MのN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)のヘキサン溶液を2.6mL投入して重合混合物を処理する以外は、例1に記載の重合実験を繰り返した。TMEDAの添加から5分後、反応器に0.050Mのジ-n-オクチルスズビス(2-エチルヘキシルマレエート)(DOTBOMとも称される)のヘキサン溶液を2.6mLを加えた。5分後、イソプロパノールを4.6mL含むヘキサン1360gで希釈し、その後、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを5g含む3ガロンのイソプロパノールにバッチを落とすことによって、重合混合物を失活させた。凝固したポリマーをドラム乾燥した。ポリマーの収量は、165.1g(転化率12.7%)であった。得られたポリマーは、以下の特性を有していた。
ML1+4=35.0、Mn=115,000g/モル、Mw=329,000g/モル、Mw/Mn=2.9、シス-1,4-結合=98.8%、トランス-1,4-結合=0.9%、且つ1,2-結合=0.3%
【0080】
<例3>
重合反応の開始から14分後に重合混合物を失活させる以外は、例1に記載の重合実験を繰り返した。ポリマーの収量は、155.0g(転化率11.9%)であった。得られたポリマーは、以下の特性を有していた。
ML1+4=23.8、Mn=108,000g/モル、Mw=301,000g/モル、Mw/Mn=2.8、シス-1,4-結合=98.9%、トランス-1,4-結合=0.8%、且つ1,2-結合=0.3%
【0081】
<例4>
重合反応の開始から14分後、反応器中に0.20Mの2,2-ビス(2'-テトラヒドロフラニル)プロパンのヘキサン溶液を1.24mL投入して反応混合物を処理する以外は、例3に記載の重合実験を繰り返した。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフラニル)プロパンの添加から20秒後、反応器に0.11Mのジ-n-オクチルスズビス(2-エチルヘキシルマレエート)(DOTBOMとも称される)のヘキサン溶液を1.12mLを加えた。5分後、イソプロパノールを4.6mL含むヘキサン1360gで希釈し、その後、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを5g含む3ガロンのイソプロパノールにバッチを落とすことによって、重合混合物を失活させた。凝固したポリマーをドラム乾燥した。ポリマーの収量は、143.5g(転化率11.0%)であった。得られたポリマーは、以下の特性を有していた。
ML1+4=42.2、Mn=116,000g/モル、Mw=338,000g/モル、Mw/Mn=2.9、シス-1,4-結合=98.9%、トランス-1,4-結合=0.8%、且つ1,2-結合=0.3%
【0082】
例1で得られた結果と例2で得られた結果との比較、並びに例3で得られた結果と例4で得られた結果との比較は、重合混合物へのルイス塩基(例えば、TMEDA又は2,2-ビス(2'-テトラヒドロフラニル)プロパン)の添加が、反応性ポリマーがカップリング剤(DOTBOM)と反応する能力に悪影響を及ぼすことなく重合反応を阻害し、従って、モノマー転化率のコントロールを損なうことなく、ポリマーにDOTBOMと反応するのに十分な時間を与えられることを示している。
【0083】
<例5>
この例では、連続且つ実質バルク重合プロセスによって、1,3-ブタジエンをシス-1,4-ポリブタジエンに重合させた。純1,3-ブタジエン、0.0335MのNdV3のヘキサン溶液及び0.68MのTIBAを連続的に触媒熟成容器に供給し、該容器内で3成分を10分間互いに接触させた。触媒熟成容器は、内径が約1.1cmで且つ長さが約122mのコイル管を含み、該コイル管の長さは所望の滞留時間をもたらすのに十分長く、また、該管の内径は流れ成分の乱流速度プロファイルを達成するようなものとした。1,3-ブタジエン、TIBA、及びNdV3の熟成混合物を連続重合反応器に入れ、該反応器において、0.070MのEADCのヘキサン溶液の連続流と混合した。重合反応器は、高粘度のポリマーセメントを混合することが可能な機械撹拌器と、1,3-ブタジエンの気化/凝縮の比率をコントロールして反応器内のセメント温度をコントロールするのに用いる還流凝縮器とを具えていた。具体的には、凝縮器への冷水の流れを制御することによって、1,3-ブタジエンの気化/凝縮の比率を維持して、反応器の等温操作を可能とした。1,3-ブタジエン及び触媒からなる上述の混合物が反応器内で費やす29℃での平均滞留時間は18分であり、その間に、1,3-ブタジエンは約10%の転化率で重合した。生成したポリマーは、プログレッシブキャビティポンプを介して反応器から連続的に回収し、該ポンプ内で、本発明において重合反応阻害剤として用いるN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)の0.010Mのヘキサン溶液の流れをセメント中に導入及び混合した。プログレッシブキャビティポンプは、重合反応器内の液面を制御する役割も果たした。プログレッシブキャビティポンプを通した後、セメントをインラインミキサーに供給し、該ミキサー内で、本発明においてカップリング剤として用いるDOTBOMの0.010Mのヘキサン溶液の流れをセメント中に導入及び混合した。次に、反応性ポリマーとカップリング剤との間の反応に適切な滞留時間を付与する他の撹拌型反応器に、セメントを移した。続いて、如何なる残留反応性ポリマー及び触媒をも不活性化するために、セメントをエチレングリコールの流れで失活させた。IrganoxTM1076及びIrganoxTM1520を1,3-ブタジエンに溶解させた混合物からなる酸化防止剤の流れを添加することによって、セメントを更に安定化した。ポリマーから未反応のモノマーを除去するために、最終のセメント混合物を揮発分除去装置に送った。押出機を用いて、生成したポリマーを揮発分除去装置から押し出し、オーブン中で更に乾燥した。ポリマーは、以下の特性を有していた。
ML1+4=50.6、Mn=88,300g/モル、Mw=344,500g/モル、Mw/Mn=3.9、シス-1,4-結合=99.1%、トランス-1,4-結合=0.6%、且つ1,2-結合=0.3%
【0084】
上記の実験の実行においては、1,3-ブタジエンの供給速度を0.97lb/minとすることで、所望の反応器滞留時間を達成した。1,3-ブタジエン100g当りのNdV3の充填量を0.0156mmol、Nd/TIBA/EADCのモル比を1:80:1.25にできるレベルに、触媒成分の供給比率を維持した。TMEDA/Ndのモル比を1:1にできる比率でTMEDAを供給した。DOTBOM/Ndのモル比を0.5:1にできる比率でDOTBOMを供給した。TIBA及びEADCを完全に不活性化する比率でエチレングリコールを加えた。1つのヒドロキシ基が1つのアルミニウム-アルキル結合と反応するので、1モルのTIBAを不活性化するためには約1.5モルのエチレングリコールが必要であり、また、1モルのEADCを不活性化するためには1モルの約半分のエチレングリコールが必要である。IrganoxTM1076及びIrganoxTM1520は、生成ポリマー100重量部当りそれぞれ0.3及び0.08重量部のレベルで加えた。
【0085】
上記の実験の間、2つのTMEDA供給ポイントを試験し、即ち、一つはプログレッシブキャビティポンプの中心部においてであり、もう一方は該ポンプの排出ポイントにおいてである。TMEDA供給ポイントをポンプの中心からポンプの排出ポイントへ下流に移動させた場合、ポンプの排出ポイントの近傍で起こる汚損のレベルが上昇することが分かった。TMEDA供給ポイントをポンプの中心に戻すことによって、ポンプの排出ポイントの近傍で起こる汚損のレベルが劇的に減少することが分かった。また、上記の通り2つのTMEDA供給ポイントのいずれかを選択することで、インラインミキサー及びカップリング反応器等の下流の設備の汚損が有利になくなることが分かったことが注目される。
【0086】
当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱しない種々の変形及び変更が明らかである。本発明は、ここに示した説明用の実施態様に正規に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配位触媒の存在下でモノマーを重合させて、ポリマーを生成させる工程と、
(b)重合工程をルイス塩基で阻害する工程と
を含む、ポリマーの作製方法。
【請求項2】
(a)配位触媒の存在下でモノマーを重合させて、ポリマーを生成させる工程と、
(b)重合工程をルイス塩基で阻害する工程と、
(c)前記ポリマーを官能化剤と反応させる工程と
を含む、官能化ポリマーの作製方法。
【請求項3】
(a)反応器にモノマーと配位触媒とを導入して、重合混合物を形成する工程と、
(b)触媒の存在下で前記モノマーの少なくとも一部を重合させる工程と、
(c)前記モノマーを重合させる工程の後に、前記重合混合物にルイス塩基を加える工程と、
(d)前記重合混合物に官能化剤を加える工程と
を含み、
前記ルイス塩基を加える工程を、モノマー転化率が少なくとも10%となった後でモノマー転化率が90%になる前に行い、
前記重合混合物に官能化剤を加える工程を、前記ルイス塩基を加える工程の後に行う
ことを特徴とする、官能化ポリマーの作製方法。
【請求項4】
(a)モノマーと配位触媒とを連続的に導入して、重合混合物を形成する工程と、
(b)第一区域内で、前記モノマーの少なくとも一部を重合させて、反応性ポリマーとする工程と、
(c)前記第一区域から前記重合混合物を連続的に取り出し、該混合物を第二区域に移す工程と、
(d)前記第二区域内で、前記重合混合物にルイス塩基を連続的に導入する工程と、
(e)前記第二区域から前記重合混合物を連続的に取り出し、該混合物を第三区域に移す工程と、
(f)前記第三区域内で、前記重合混合物に官能化剤を連続的に導入する工程と
を含む、官能化ポリマーを作製するための連続重合方法。
【請求項5】
(a)配位触媒の存在下でモノマーを重合させて、ポリマーを生成させる工程と、
(b)重合工程をルイス塩基で阻害する工程と、
(c)前記ポリマーを官能化剤と反応させる工程と
を含む方法で作製された、官能化ポリマー。
【請求項6】
前記ルイス塩基が、テトラヒドロフラン、フラン、N-メチルピロール、N-メチルイミダゾール、ピリジン、チオフェン、エーテル類、チオエーテル類、アミン類、ホスフィン類、ホスファイト類、アルシン類、スチビン類、ビスムチン類、ニトリル類、イソシアニド類、シアネート類、イソシアネート類、チオシアネート類、及びイソチオシアネート類からなる群から選択される単座配位ルイス塩基であるか、
前記ルイス塩基が、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、2,2-ビス(2'-テトラヒドロフラニル)プロパン、1,2-ビス(ピペリジノ)エタン、ジピペリジノメタン、2,2'-ジピリジル(2,2'-ビピリジンとも称される)、1,10-フェナントロリン、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-ピリジル)メタン、β-ジケトン類、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、シス-1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジメチルホスフィノ)ブタン、シス-1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エチレン、1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)ベンゼン、1,1'-ビス(ジメチルホスフィノ)フェロセン、及び1,2-ビス(ジメチルアルシノ)ベンゼンからなる群から選択される二座配位ルイス塩基であるか、
前記ルイス塩基が、2,2':6',2''-ターピリジン、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス(2-ピリジル)メタン、ビス(2-ジフェニルホスフィノエチル)フェニルアミン、ビス(2-ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、トリス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,1,1-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン、及びビス(3-ジメチルアルシノプロピル)メチルアルシンからなる群から選択される三座配位ルイス塩基であるか、
前記ルイス塩基が、N,N,N',N'',N''',N'''-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリス(2-ジフェニルホスフィノエチル)ホスフィン、トリス(2-ジフェニルホスフィノエチル)アミン、トリス(2-ジメチルアミノエチル)アミン、トリス(2-ジフェニルホスフィノフェニル)ホスフィン、トリス(2-ジフェニルアルシノフェニル)アルシン、及びトリス(2-メチルチオエチル)アミンからなる群から選択される四座配位ルイス塩基であるか、
前記ルイス塩基が、大環状窒素系ルイス塩基、大環状ポリエーテル類、大環状ポリチオエーテル類、混合酸素及び窒素供与原子を含む大環状二環式又は大環状多環式ルイス塩基、及びエチレンジアミンテトラアセテートからなる群から選択される多座配位ルイス塩基である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載の方法。

【公開番号】特開2009−57553(P2009−57553A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−204844(P2008−204844)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】