説明

定着用鉄筋の製造方法および高周波誘導加熱器の磁界発生電極

【課題】鉄筋に対して鍔状に装着される定着部材の偏心および傾きを小さくすることのできる定着用鉄筋の製造方法を提供するとともに、高周波誘導加熱器を使用する際に所定範囲で加熱させることができる磁界発生電極を提供する。
【解決手段】定着用鉄筋の製造方法は、隆起部3および膨出部4をそれぞれ構成する隆起部構成領域31および膨出部構成領域41を含む所定領域を同時に加熱する加熱工程と、定着部材2を所定位置に固定的に配置する定着部材装着工程と、鉄筋1を先端から圧縮する鉄筋圧縮工程による。高周波誘導加熱器の磁界発生電極は、断面半円形を対向することにより円筒状を形成し、先端に接点を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱や梁等に配設される鉄筋であって、その先端を定着し得る構造の定着用鉄筋の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、定着用鉄筋としては、鉄筋先端に定着部を成型するもの(特許文献1参照)のほかに、鉄筋先端にネジ部を圧着して定着部を螺着するもの(特許文献2および3参照)があった。しかし、いずれも一長一短があり、汎用性を向上させるため、本願の出願人が、定着部材に鉄筋を挿通させたうえで、当該鉄筋の先端を膨出させた膨出部を構成する定着用鉄筋を開発した(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2000−265618号公報(4頁−5頁、図4・図7)
【特許文献2】特開2001−159214号公報(4頁、図1)
【特許文献3】特開2001−12012号公報(2頁、図1)
【特許文献4】特開2006−194069号公報(9頁−11頁、図1・図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記定着用鉄筋は、膨出部により定着部材の引っ張り強度を増加させるものであるが、定着部材の位置を固定するために、隆起部を構成するものであった。そして、この隆起部と膨出部は、鉄筋を加熱して軟化させた後に先端から鉄筋の軸線方向に圧縮することによって、鉄筋そのものを周辺に張り出させる方法により構成していた。しかし、隆起部および膨出部は、鉄筋を圧縮した際に鉄筋そのものが周辺に盛り上がって構成されるものであるから、圧縮工程において、隆起部および膨出部の中心が鉄筋の軸線から偏ること、または、定着部材の表面が鉄筋の軸線に対して垂直にならないことが生じていた。そのため、本願の出願人は、強度試験を重ねることにより、偏心の許容範囲および傾きの許容範囲を見出し、その許容範囲内で実施しているのが現状である。
【0004】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、鉄筋に対して鍔状に装着される定着部材の偏心および傾きを小さくすることのできる定着用鉄筋の製造方法を提供するとともに、高周波誘導加熱器を使用する際に所定範囲で加熱させることができる磁界発生電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、定着用鉄筋の製造方法にかかる本発明は、配設されるべき鉄筋の先端に定着部材を鍔状に装着し、上記鉄筋の先端付近の所定個所を全周にわたって隆起させてなる隆起部を設けるとともに、上記鉄筋の先端を圧縮して膨出させた膨出部を設け、上記隆起部と膨出部により上記定着部材を挟持してなる定着用鉄筋の製造方法であって、上記隆起部および膨出部をそれぞれ構成する隆起部構成領域および膨出部構成領域を含む所定領域を同時に加熱する加熱工程と、上記定着部材を所定位置に固定的に配置する定着部材装着工程と、上記鉄筋を先端から圧縮する鉄筋圧縮工程とにより、隆起部構成領域の隆起および膨出部構成領域の膨出を同時に行うことを特徴とする定着用鉄筋の製造方法を要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、所定囲を同時かつ均一に加熱することから、上記加熱工程後に鉄筋を先端から圧縮することによって、隆起部構成領域を隆起させるとともに、膨出部構成領域を膨出させることが可能となる。そして、膨出部構成領域は、鉄筋先端近傍であるため当該鉄筋の先端に作用する圧縮力が強く作用して大きく膨出することとなり、隆起部構成領域は、当該鉄筋先端から少し離れた位置であるため圧縮力が弱く作用し、表面が少し隆起する程度に変形されることとなる。また、鉄筋は定着部材に挿通された状態であり、定着部材が固定的に維持されることから、鉄筋の軸線は定着部材の中心に維持される。
【0007】
また、定着用鉄筋の製造方法にかかる本発明は、配設されるべき鉄筋の先端に定着部材を鍔状に装着し、上記鉄筋の先端付近の所定個所を全周にわたって隆起させてなる隆起部を設けるとともに、上記鉄筋の先端を圧縮して膨出させた膨出部を設け、上記隆起部と膨出部により上記定着部材を挟持してなる定着用鉄筋の製造方法であって、定着部材の貫通孔に鉄筋を挿通する鉄筋挿通工程と、上記隆起部および膨出部をそれぞれ構成する隆起部構成領域および膨出部構成領域ならびに定着部材が固定される定着部材固定領域を同時に加熱する加熱工程と、上記定着部材を定着部材固定領域に移動した後固定的に配置する定着部材装着工程と、上記鉄筋を先端から圧縮する鉄筋圧縮工程とにより、隆起部構成領域の隆起および膨出部構成領域の膨出を同時に行うことを特徴とする定着用鉄筋の製造方法をも要旨とするものである。
【0008】
上記の構成によれば、定着部材は、鉄筋の挿通により予め鉄筋に装着されることとなり、加熱工程および圧縮工程のために固定手段によって鉄筋を予め固定する際に、定着部材を異なる固定手段により予め固定させることができ、この固定された定着部材を圧縮工程前に固定手段により移動させることで定着部材を所定位置に固定的に配置することができる。また、定着部固定領域を含む鉄筋先端付近全体を加熱するため、定着部材が装着される予定位置の鉄筋も加熱されることとなり、定着部材の貫通孔内部に鉄筋表面を密着させることができる。さらに、鉄筋の固定手段と定着部材の固定手段との相対的な位置関係を調整することによって定着部材の装着位置を決定する場合には、定着部材の装着位置を一定にすることができ、機械化による大量加工が可能となる。
【0009】
上記発明において、鉄筋挿通工程は、前記隆起部構成領域を超える位置まで挿通してなる鉄筋挿通工程とすることができる。この場合、加熱工程において、加熱すべき隆起部構成領域、膨出部構成領域および定着部材固定領域から定着部材を外すこととなり、上記各領域を均等に加熱させることができる。
【0010】
また、上記各発明の加熱工程において、高周波誘導加熱器を使用することができる。この場合、高周波誘導加熱器の加熱コイル(または磁界発生電極)を所定の領域を加熱できる程度の長さとすることで、当該領域を均等に加熱させることができる。
【0011】
他方、高周波誘導加熱器の磁界発生電極にかかる本発明は、定着用鉄筋の製造方法に使用する高周波誘導加熱器の磁界発生電極であって、断面半円形を対向することにより円筒状を形成し、先端に接点を備えたことを特徴とする高周波誘導加熱器の磁界発生電極を要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、半円状電極を鉄筋の両側に配置することにより、鉄筋の周りに円筒状を形成させることができ、先端の接点において接続することにより、先端の接点を介して通電することとなるか、半円状の電極を流れる電流は、全体として弧状に流れることとなり、複数巻きのコイルと同様の磁界を発生させることとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、定着部材を固定した状態により鉄筋圧縮工程が実施されることから、定着部材の姿勢を安定させることができる。また、鉄筋が圧縮される間、当該鉄筋の軸心を定着部材の中心に維持させることができ、鉄筋の偏心の発生を防止できる。さらに、一度の加熱工程および圧縮工程により隆起部および膨出部を構成できることとなるから、加工時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。定着用鉄筋の製造方法にかかる本発明の実施形態は、図1に示すように、鉄筋1の先端付近において定着部材2を固定した定着用鉄筋を製造するものである。製造される定着用鉄筋の定着部材2は、隆起部3と膨出部4によって挟まれた状態で固定され、膨出部4が定着部材2の先端側を支えることにより、鉄筋1と定着部材2との一体性が保持され、また、隆起部3が定着部材2の移動を制限することにより、当該定着部材2の装着位置および装着状態が安定化されている。本発明にかかる製造方法の第一の実施形態は貫通孔21を有する定着部材2を鉄筋1に装着したうえで、鉄筋1を加熱・変形させて隆起部3および膨出部4を構成させるものである。
【0015】
本実施形態を加工手順に沿って図2ないし図4を参照しつつ以下に詳述する。まず、定着部材2の貫通孔21に鉄筋1を挿通するのである(図2(a))。これが鉄筋挿通工程である。この鉄筋挿通工程では、具体的には鉄筋1を移動させるのではなく、固定された鉄筋に対して相対的に定着部材2を移動することにより行われるのである。その理由は、長尺かつ大重量の鉄筋1を移動させるよりも軽量かつ短尺の定着部材2を移動することが容易だからである。そして、鉄筋挿通後の定着部材2は、後工程である加熱工程において加熱されるべき隆起部構成領域31および膨出部構成領域41を避け、隆起部構成領域31よりも後方に配置するのである。これにより、加熱すべき領域に定着部材2が存在せず、鉄筋1に加熱手段を接近させることができるのである。
【0016】
上記のように鉄筋挿通工程が終了した後に、隆起部構成領域31および膨出部構成領域41を同時に加熱するのである(図2(b)、(c)。これが加熱工程である。加熱手段としては、ガス圧接用バーナを使用することができるほか、高周波誘導加熱器を使用することができる。ガス圧接用バーナを使用する場合には、当該バーナを鉄筋1の軸線方向に移動して、加熱領域全体に熱エネルギを伝達させることにより、または、複数の同種バーナを並列に(鉄筋の軸線方向に)配置して、熱源を多く設けることにより、加熱領域全体を同時に加熱することができる(図6(b)参照)。他方、高周波誘導加熱器を使用する場合には、所定の加熱領域を包囲する加熱コイル(磁界発生電極)を使用することにより、加熱領域全体を同時に加熱させることができる。
【0017】
そこで、本実施形態では、図2(b)、(c)において示すように、高周波誘導加熱器を使用したものとしている。周知のとおり、高周波誘導加熱器は、高周波電源に接続された加熱コイルCが螺旋状に形成されており、この加熱コイルCの内側に被加熱物である鉄筋1を挿通するのである。そこで、鉄筋1の先端から、隆起部構成領域31に至る範囲、すなわち、隆起部構成領域31および膨出部構成領域41を含む鉄筋1の先端部分の全範囲に加熱コイルCを配置させ、高周波磁束により同時に先端付近全体を加熱させるのである(図2(c))。なお、加熱コイルCは鉄筋の加熱領域に応じた長さが必要となるため、鉄筋1の先端外方に加熱コイルCの取り外しに必要な空間を確保しなければならないことから(図2(b))、後述の半円形電極を使用する場合がある(図5参照)。
【0018】
次に、図3に示すように、上記高周波誘導加熱器により十分に鉄筋1の温度が上昇したとき、定着部材2を定着部材固定領域51(隆起部構成領域31と膨出部構成領域41の中間)に移動するとともに、その位置において固定的に保持するのである。このとき、図中矢印を付した方向に力を作用させることにより挟持させることが可能である。また、定着部材2の固定状態は、外周を3点支持する状態により、鉄筋1の中心と貫通孔21の中心とを一致させることが容易となる。以上が定着部材装着工程である。なお、鉄筋1については、加熱工程の段階から固定的に保持される(例えば、図中矢印方向に挟持する)必要があり、その固定状態を変更することなく、定着部材2のみを移動させることにより、定着部材2を最適な位置に容易に移動できるのである。
【0019】
上記のように鉄筋1および定着部材2が固定的に支持される状態において、鉄筋1の先端から加熱部分を圧縮するのである。これが圧縮工程である。上記圧縮は、圧縮機6のシリンダ61を鉄筋1の軸線方向に直線的に押圧するものであり、シリンダ61の先端は、鉄筋1の先端表面よりも大きい面積を有するヘッド62が設けられている。
【0020】
上記圧縮工程により圧縮される鉄筋1は、図4に示すように、加熱された部分が径方向に張り出すように徐々に変形されることとなる。このとき、鉄筋1の先端付近は、全体的に径方向に膨出する(図4(a))こととなるのであるが、膨出する部分の一部には定着部材2が配置されていることから、定着部材2の内面が存在することにより、膨出部分が定着部材2よりも先端側と、後方側とに分かれる状態で、それぞれが膨出することとなるのである(図4(b),(c))。そして、隆起部構成領域31および膨出部構成領域41が適宜な大きさまで隆起または膨出したとき圧縮工程が終了するのである(図4(d))。ここで、適宜な大きさとは、膨出部4が定着用鉄筋に必要な強度を有する程度の大きさであり、本願の発明者らによる実験によれば、断面の径が概略鉄筋外径の約1.75倍である。
【0021】
ここで、加熱工程および圧縮工程を終了した鉄筋1の先端は、上述のように、定着部材2の先端側には膨出部4が構成され、反対側には隆起部3が構成されるのであるが、定着部材2の貫通孔21に挿通されている部分(定着部材固定領域)も圧縮工程により膨出するため、当該貫通孔21の内部表面には、当該膨出した鉄筋1が密着することとなる。この貫通孔21の内部表面に鉄筋が密着することにより、定着部材2と鉄筋1とのクリアランスがなくなり、定着部材の固定状態を安定させることとなる。
【0022】
本実施形態は、上記のような態様であるから、圧縮工程において隆起または膨出される隆起部構成領域31および膨出部構成領域41は、定着部材2の貫通孔21によって鉄筋の中心が維持されつつ、圧縮力が付与されることとなり、当該圧縮工程時における各部3,4の中心が偏ることを防止できる。また、定着部材2は固定的に配置された状態で圧縮工程が行われるため、定着部材2の偏心および傾きの発生を防止できる。
【0023】
次に、定着用鉄筋の製造方法に使用する磁界発生電極にかかる本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、図5に示すように、高周波交流器(図示せず)に接続される二分割の電極7,8で構成されている。この両電極7,8は、本体部分71,81が断面半円形に構成され、それぞれ凹部を内向きにして対向させることによって、本体部分71,81によって略円筒状を形成するようになっている。
【0024】
ここで、電極7,8の基部72,82は、回動軸9に支持され、この回動軸9を中心に両電極7,8を回動させることにより、電極7,8の先端73,83が接し、または、離れることができるようになっている。また、電極7,8の先端73,83は、接点として機能させるために適宜面積を有する当接部74,84を備えており、両当接部74,84が接することによって高周波交流器に接続する回路が閉ざされることとなり電流が流れるのである。なお、本実施形態のような電極7,8は、材質を銅製とすることによって導電率を良くすることができるが、熱伝導率も同時に高くなるため、電極表面には冷却水の循環パイプ(図示せず)が配置されることが望ましい。この種の水冷方式は、加工機等において採用されることがあり、冷却水の循環パイプは、電極7,8と同じ銅製により構成される部分と、冷却水循環器に接続される樹脂製パイプ部分とで構成され、銅製部分が電極7,8の表面に溶接されるとともに、電極7,8から離れたところに樹脂パイプが使用されるものである。
【0025】
本実施形態は、上記のような構成であるから、電極7,8の先端73,83の間隔を広くすることにより、回路を開いた状態にするとともに、鉄筋1が本体部分71,81の内側に配置させることが可能となる(図5(a))。すなわち、両先端73,83の間隔を十分に広げることにより、当該先端73,83を鉄筋1の反対側(図中下側)に移動する(鉄筋1を本体部分71,81の内側付近に位置するまで移動する)ことができ、この状態において先端73,83を当接させることにより、鉄筋周辺に電極7,8を円筒状に配置することができるのである(図5(b))。これと同時に回路が閉ざされることとなるから、電源供給を開始すると、電極7,8に電流が流れることとなるのである。このときの電流は、電極に沿って鉄筋1の表面近傍を周方向に向かって流れ、コイルと同様の磁界を発生させることができる。しかも、流れる電流は当然に高周波の交流であるため、高周波の磁界(磁束)が鉄筋1に発生することとなる。
【0026】
このように、本実施形態の電極7,8を使用すれば、既述した加熱コイルCのように、鉄筋1の先端から当該コイルCを挿通させる必要がなく、鉄筋1の軸線方向のスペースを確保することが不要となる。このことは、加熱工程の後に実施される圧縮工程に移行する際、圧縮装置のピストン等を予め鉄筋1の先端付近に設置することが可能となり、加熱した鉄筋1が冷却する前に(加熱後瞬時に)圧縮工程を実施することができるのである。従って、冷却の程度を見込んで過剰な加熱をする必要がなく、また、加熱に必要なエネルギ消費を節約することにもなり得る。
【0027】
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様をとることができる。例えば、上記の実施形態においては、定着部材2は、その貫通孔21に予め鉄筋1を挿通させることにより、加熱工程前に定着部材2を鉄筋1に対して鍔状に仮に装着しているが、この定着部材2は、加熱工程の後に鉄筋1に装着するものであってもよい。なお、鉄筋1は、少なくとも圧縮工程において固定されなければならず、従って、加熱工程よりも前の段階で固定することが望ましく、鉄筋1の固定装置(鉄筋1の保持装置)に鉄筋1を設置する際に、鉄筋1を固定するとともに、引き続き定着部材2を装着して、同じ固定装置(保持装置)により定着部材2を固定することができれば好適である。
【0028】
また、鉄筋1に装着された定着部材2を所定位置に移動させるためには、鉄筋1を固定し、定着部材2を移動する方法のほかに、定着部材2を固定し、鉄筋1を移動する方法がある。既述のように、鉄筋1を移動させるよりも定着部材2を移動させるほうが容易であるとの理由からは、前者の移動方法が選択されるべきであるが、肝心なことは、相対的に移動した定着部材2が、鉄筋1の先端から最適な距離を有して配置されることである。定着部材2が固定的に配置されるものであることを考慮すれば、鉄筋1の先端から定着部材2までの範囲が実質的な膨出部構成領域を形成することとなるからである。
【0029】
さらに、加熱工程においてガス圧接用バーナにより鉄筋1を加熱する場合には、図6(a)に示すように、二方向に分岐した略馬蹄形の二股ノズル107を使用し、この二股ノズルの両方から鉄筋1の中心(軸心)に向かってガスが噴出するように、噴出口171〜173の位置および向きを調整することが好ましい。そして、複数のバーナを並列に配置する場合は、図6(b)に示すように、同種のノズル107を同じ状態で並べることにより、鉄筋1の加熱領域全体を同時に加熱することができる。そして、これらのノズル107の噴出口は、それぞれの位置において鉄筋1の中心(軸心)に向かうように調整されることにより、鉄筋1の表面から中心に向かって加熱することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】定着用鉄筋の製造方法により製造される定着用鉄筋を示す説明図である。
【図2】定着用鉄筋の製造方法にかかる実施形態の加熱工程までを示す説明図である。
【図3】定着用鉄筋の製造方法にかかる実施形態の圧縮工程を示す説明図である。
【図4】定着用鉄筋の製造方法にかかる実施形態の圧縮工程における鉄筋先端の隆起・膨出の状態を示す説明図である。
【図5】磁界発生電極にかかる実施形態を示す説明図である。
【図6】ガス圧接用バーナの使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 鉄筋
2 定着部材
3 隆起部
4 膨出部
6 圧縮機
7,8 磁界発生電極
9 電極の回動軸
31 隆起部構成領域
41 膨出部構成領域
51 定着部材固定領域
61 圧縮機のシリンダ
62 圧縮機のヘッド
107 ガス圧接用バーナのノズル
171,172,173 ガスの噴出口
C 加熱コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配設されるべき鉄筋の先端に定着部材を鍔状に装着し、上記鉄筋の先端付近の所定個所を全周にわたって隆起させてなる隆起部を設けるとともに、上記鉄筋の先端を圧縮して膨出させた膨出部を設け、上記隆起部と膨出部により上記定着部材を挟持してなる定着用鉄筋の製造方法であって、上記隆起部および膨出部をそれぞれ構成する隆起部構成領域および膨出部構成領域を含む所定領域を同時に加熱する加熱工程と、上記定着部材を所定位置に固定的に配置する定着部材装着工程と、上記鉄筋を先端から圧縮する鉄筋圧縮工程とにより、隆起部構成領域の隆起および膨出部構成領域の膨出を同時に行うことを特徴とする定着用鉄筋の製造方法。
【請求項2】
配設されるべき鉄筋の先端に定着部材を鍔状に装着し、上記鉄筋の先端付近の所定個所を全周にわたって隆起させてなる隆起部を設けるとともに、上記鉄筋の先端を圧縮して膨出させた膨出部を設け、上記隆起部と膨出部により上記定着部材を挟持してなる定着用鉄筋の製造方法であって、定着部材の貫通孔に鉄筋を挿通する鉄筋挿通工程と、上記隆起部および膨出部をそれぞれ構成する隆起部構成領域および膨出部構成領域ならびに定着部材が固定される定着部材固定領域を同時に加熱する加熱工程と、上記定着部材を定着部材固定領域に移動した後固定的に配置する定着部材装着工程と、上記鉄筋を先端から圧縮する鉄筋圧縮工程とにより、隆起部構成領域の隆起および膨出部構成領域の膨出を同時に行うことを特徴とする定着用鉄筋の製造方法。
【請求項3】
前記鉄筋挿通工程は、前記隆起部構成領域を超える位置まで挿通してなる鉄筋挿通工程である請求項2記載の定着用鉄筋の製造方法。
【請求項4】
前記加熱工程は、高周波誘導加熱器を使用する加熱工程である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の定着用鉄筋の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の定着用鉄筋の製造方法に使用する高周波誘導加熱器の磁界発生電極であって、断面半円形を対向することにより円筒状を形成し、先端に接点を備えたことを特徴とする高周波誘導加熱器の磁界発生電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−155260(P2010−155260A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334206(P2008−334206)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(594065515)株式会社ディビーエス (10)
【Fターム(参考)】