説明

実装基板、電子装置及び半田加熱方法

【課題】実装基板上で、実装部品を半田接続し又は取り外すことが容易な実装基板、電子装置及び半田加熱方法を提供する。
【解決手段】実装基板10は、実装部品20の電極パッド21が半田接続される電極ランド11と、この電極ランド11の周囲に配置され二次元形状を有する導体パターン14と、サブランド12とを備える。サブランド12は、実装部品20に隣接して、熱伝導性部材13を介して電極ランド11と接続されている。導体パターン14は、少なくとも電極ランド11、熱伝導性部材13及びサブランド12を含む領域に切欠き部分16を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板、電子装置及び半田加熱方法に関し、更に詳しくは、実装部品が実装される実装基板、実装基板を有する電子装置、及び、実装基板上で、実装部品を半田接続し又は取り外すための半田加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
裏面に電極パッドを有する実装部品(例えば、ボタン型電池)は、電極パッドと実装基板上の電極ランドとを半田接続することで、実装基板上に搭載(実装)される。実装基板上に実装部品が搭載されると、実装基板の電極ランドは外部から見えなくなる。
【0003】
このため、実装基板上で、半田を溶融させて実装部品を取り外し、交換等のリペアを行う場合には、半田ごてを用いることができず、例えば、ブロアー等を用いたリフロー工程等、実装部品に直接熱を与える方法を用いていた。しかし、ボタン型電池は、熱を過度に与えると液漏れ等が生じる虞があるので、リフロー工程を用いてボタン型電池をリペアすること自体に問題があった。また、リフロー工程では、リフロー炉等、特殊な設備が必要となる。
【0004】
特許文献1には、実装基板にスルーホールを形成し、スルーホールの周囲の基板表面に電極ランドを設け、この電極ランドと、実装部品の裏面の電極パッドとを半田接続する技術が記載されている。この技術では、実装基板の電極ランドと実装部品の電極パッドとの半田接続の状態を、実装基板の裏側からスルーホールを介して確認できる。また、実装基板の裏側から半田ごて等でスルーホールを直接加熱して半田を溶融してリペアが可能である。
【特許文献1】特開2004−349418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、実装部品を実装するためだけに、実装基板上にスルーホールを予め形成する必要がある。また、スルーホールを多数形成することで、実装基板の強度が劣化し、実装基板を含む電子装置の信頼性を損なう可能性もある。
【0006】
本発明は、実装基板上で、実装部品を半田接続し又は取り外すことが容易な実装基板、電子装置及び半田加熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、実装部品の電極パッドが半田接続される電極ランドと、該電極ランドの周囲に配置され二次元形状を有する導体パターンとを備え、
前記実装部品に隣接して、熱伝導性部材を介して前記電極ランドと接続されたサブランドを有し、
前記導体パターンが、少なくとも前記電極ランド、前記熱伝導性部材及び前記サブランドを含む領域に切欠き部分を有することを特徴とする実装基板を提供する。
【0008】
また、本発明は、上述の実装基板を有することを特徴とする電子装置を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、実装基板上で、二次元形状を有する導体パターンに囲まれた電極ランドと実装部品の電極パッドとを半田を介して接続し又は取り外す方法であって、
前記実装部品に隣接して、熱伝導性部材を介して前記電極ランドと接続されたサブランドを形成し、
前記導体パターンに、少なくとも前記電極ランド、前記熱伝導性部材及び前記サブランドを含む領域に切欠き部分を形成し、
前記サブランドを経由して前記電極ランド上の半田を加熱することを特徴とする半田加熱方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実装基板、電子装置及び半田加熱方法では、実装基板上で、実装部品を半田接続し又は取り外すことを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施の形態について詳細に説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態に係る実装基板の構成を示す平面図である。図1(b)は、実装基板上に実装部品が搭載(実装)された状態を示す図である。図2は、図1に示す実装基板上に搭載される実装部品の構成を示す図である。ここで、実装部品とは、裏面に電極パッドを有する部品であって、例えばボタン型電池等が挙げられる。
【0012】
ボタン型電池20は、図2に示すように、裏面に形成された円形の端子21と、表面に接続された板金22とを有する。円形の端子21は、−電極(以下、裏面電極パッドという)である。裏面電極パッド21の外径は、ボタン型電池20の外径よりも小さい。
【0013】
板金22は、+電極(以下、表面電極パッドという)である。表面電極パッド22は、ボタン型電池20の外形20aから延長して形成され、さらに裏面電極パッド21と同一面内に位置するように折り曲げられている。
【0014】
実装基板10は、図1(a)に示すように、ボタン型電池20の裏面電極パッド21に接続される電極ランド(裏面電極ランド)11と、サブランド(リペア用ランド)12と、熱伝導性部材13とを備える。さらに、実装基板10は、導体パターン14と、ボタン型電池20の表面電極パッド22に接続される電極ランド(表面電極ランド)15とを備える。裏面電極ランド11は、ボタン型電池20を搭載する際に、裏面電極パッド21を半田付け(半田接続)するための円形のランドである。
【0015】
リペア用ランド12は、図1(a)に示すように、矩形状を有するランドであって、銅箔からなる熱伝導性部材13を介して裏面電極ランド11と接続されている。リペア用ランド12は、図1(b)に示すように、実装基板10上にボタン型電池20が搭載された状態で、ボタン型電池20に隣接する位置に形成されている。ここで、ボタン型電池20に隣接する位置とは、裏面電極ランド11と裏面電極パッド21とが半田接続されて、ボタン型電池20が実装基板10に搭載された場合であっても、ボタン型電池20の外形20aで覆われない位置である。
【0016】
導体パターン14は、二次元形状を有するグランドパターン(GND)であって、例えば銅箔で形成されている。導体パターン14は、裏面電極ランド11、リペア用ランド12、熱伝導性部材13及び表面電極ランド15の周囲に切欠き部分16を有する。切欠き部分16とは、銅箔が削除されている領域である。切欠き部分16は、図1に示すように、少なくとも裏面電極ランド11、リペア用ランド12及び熱伝導性部材13の周囲に形成されている。ここで、裏面電極ランド11は、切欠き部分16が形成されているので、熱伝導性部材13以外の銅箔とは接続されていない。
【0017】
次に、実装基板10上に搭載されたボタン型電池20を実装基板10から取り外してリペアする場合の動作について説明する。まず、リペア用ランド12を半田ごてで直接加熱する。リペア用ランド12に与えられた熱は、図1(a)に示す矢印に沿って、熱伝導性部材13を経由して裏面電極ランド11に伝わる。このとき、切欠き部分16は、熱が周囲に逃げることを抑制するので、裏面電極ランド11に熱が留まり易い。このため、リペア用ランド12から裏面電極ランド11に与える熱効率を向上できる。
【0018】
続いて、実装基板10の裏面電極ランド11とボタン型電池20の裏面電極パッド21との間の半田は、裏面電極ランド11に伝わった熱によって溶融する。次いで、実装基板10の表面電極ランド15は、半田ごてを用いて直接に加熱して、半田を溶融する。その後、所定の治具を用いて、ボタン型電池20を実装基板10から取り外す。このように、リペア用ランド12を半田ごてで直接に加熱することで、実装基板10からボタン型電池20を容易に取り外してリペアできる。
【0019】
以下、図3及び図4を参照して比較例について説明する。図3に示す比較例1の実装基板10Aは、リペア用ランド12及び熱伝導性部材13を形成していない点、さらに、導体パターン14Aに切欠き部分16を形成していない点で、上記実施形態の実装基板10と異なる。このような実装基板10Aにボタン型電池20を搭載すると、図3(a)の上面図及び図3(b)の側面図に示すように、実装基板10Aの裏面電極ランド11Aがボタン型電池20の外形20aで隠された状態となる。
【0020】
比較例1の実装基板10Aでは、表面電極ランド15Aとボタン型電池20の表面電極パッド22との間は半田ごてで直接に加熱できるものの、裏面電極ランド11A及びボタン型電池20の裏面電極パッド21を半田ごてで直接触れることはできない。従って、実装基板10Aからボタン型電池20を取り外してリペアを行うためには、リフロー炉等の特殊な設備を使用しなければならない。
【0021】
図4に示す比較例2の実装基板10Bは、上記切欠き部分16を形成していない点で、本実施形態の実装基板10と異なる。実装基板10Bでは、導体パターン14Bが、裏面電極ランド11B、リペア用ランド12B、熱伝導性部材13B及び表面電極ランド15Bの近傍にまで形成されている。このような実装基板10Bでは、リペア用ランド12Bに半田ごてで直接に熱を与えた場合であっても、図4に示す矢印に沿って、裏面電極ランド11B、リペア用ランド12B、熱伝導性部材13Bの近傍に形成されたグランドパターンに熱が逃げてしまう。その結果、半田が溶解するような熱量を裏面電極ランド11Bに与えることは非常に困難となる。
【0022】
また、比較例2の実装基板10Bでは、裏面電極ランド11Bとグランドパターンとが数箇所で接続されており、裏面電極ランド11Bの周囲に熱が更に逃げてしまう。従って、実装基板10Bでは、半田ごてを用いたリペアが困難となる。
【0023】
上記比較例に対して、本実施形態の実装基板は、実装部品の電極パッドが半田接続される電極ランドと、該電極ランドの周囲に配置され二次元形状を有する導体パターンとを備え、実装部品に隣接して、熱伝導性部材を介して電極ランドと接続されたサブランドを有し、導体パターンが、少なくとも電極ランド、熱伝導性部材及びサブランドを含む領域に切欠き部分を有する、本発明の実装基板の基本構成を有する。
【0024】
上記基本構成を採用することによって、実装部品に隣接したサブランドを加熱すれば、その熱が熱伝導性部材を介して電極ランドに伝わって半田を溶融できる。このとき、切欠き部分により、熱が周囲に逃げることを抑制できるので、熱伝導効率を向上できる。従って、半田ごてを用いて実装基板から実装部品を取り外してリペアすることや、実装基板と実装部品とを半田接続することを容易に行うことができる。
【0025】
また、切欠き部分が、実装部品及びサブランドを含む領域に対応した形状を有する。このため、実装部品及びサブランドの周囲に熱が逃げることを抑制し、サブランドから電極ランドへの熱伝導の効率を向上できる。
【0026】
更に、電極ランドが、実装部品の底面に覆われている。このように、電極ランドが実装部品に覆われて外部から確認できなくても、サブランドを加熱することで、半田を溶融できる。
【0027】
更に、電極ランドの下方に、第2の導体パターンが形成され、該第2の導体パターンが、少なくとも電極ランド、熱伝導性部材及びサブランドを含む領域に切欠き部分を有する。このため、実装基板が多層構造を有していた場合であっても、下方に配置された導体パターンに熱が逃げることを抑制し、熱伝導効率を向上できる。
【0028】
本発明の電子装置は、上述の基板構成を有する実装基板を有することを特徴とする。これにより、実装基板上に実装されている実装部品を容易にリペアできるので、電子装置の保守等を迅速に行い、信頼性を高めることができる。
【0029】
上記実施形態で示した半田加熱方法は、実装基板上で、二次元形状を有する導体パターンに囲まれた電極ランドと実装部品の電極パッドとを半田を介して接続し又は取り外す方法であって、実装部品に隣接して、熱伝導性部材を介して電極ランドと接続されたサブランドを形成し、導体パターンに、少なくとも電極ランド、熱伝導性部材及びサブランドを含む領域に切欠き部分を形成し、サブランドを経由して電極ランド上の半田を加熱する、本発明の半田加熱方法の基本構成を有する。この基本構成を採用することによって、切欠き部分により熱伝導効率を高めた上で、サブランドに与えた熱が、熱伝導性部材を介して電極ランドに伝わり、電極ランドと電極パッドとの間の半田を溶融できる。従って、半田ごてを用いてサブランドを直接加熱することで、実装部品の実装やリペアを容易に行うことができる。
【0030】
ここで、上記実施形態では、裏面電極ランド11を加熱するためのリペア用ランド12を、ボタン型電池20の外形20aで覆われない位置に形成し、さらに、裏面電極ランド11近傍の銅箔を削除して切欠き部分16を形成した。従って、リペア用ランド12を半田ごてで加熱し、その熱が効率的に裏面電極ランド11に伝わり、裏面電極ランド11上の半田を溶融できる。これにより、リフロー炉等の特殊な設備を使用することなく、ボタン型電池20のリペアを、半田ごてを用いて容易に行うことができる。
【0031】
また、上記実施形態では、実装基板10の表層についてのみ説明したが、これに限らず、実装基板10が、積層配線基板等の多層構造を有していてもよい。この場合には、実装基板10の下層へ熱が伝わり、熱伝導効率が低下することを考慮して、下層の銅箔を削除して切欠き部分を形成すればよい。このようにすれば、多層構造を有する実装基板10であっても、熱伝導効率を向上させることができる。
【0032】
また、上記実施形態では、実装部品としてボタン型電池20を例示したが、これに限らず、本実施形態の実装基板10は、裏面に電極パッドを有する適宜の実装部品に適用可能である。さらに、上記実施形態では、実装基板10からボタン型電池20を取り外す場合について説明したが、これに限らず、実装基板10上にボタン型電池20を搭載する場合にも適用できる。
【0033】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の実装基板、電子装置及び半田加熱方法は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る実装基板、及び実装基板上に実装部品が搭載された状態を示す図。
【図2】実装基板上に搭載される実装部品を示す図。
【図3】(a)及び(b)は、比較例1の実装基板上に実装部品が搭載された状態を示す図。
【図4】比較例2の実装基板の構成を示す図。
【符号の説明】
【0035】
10:実装基板
11:裏面電極ランド
12:リペア用ランド
13:熱伝導性部材
14:導体パターン
15:表面電極ランド
16:切欠き部分
20:ボタン型電池
20a:外形
21:裏面電極パッド
22:表面電極パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装部品の電極パッドが半田接続される電極ランドと、該電極ランドの周囲に配置され二次元形状を有する導体パターンとを備え、
前記実装部品に隣接して、熱伝導性部材を介して前記電極ランドと接続されたサブランドを有し、
前記導体パターンが、少なくとも前記電極ランド、前記熱伝導性部材及び前記サブランドを含む領域に切欠き部分を有することを特徴とする実装基板。
【請求項2】
前記切欠き部分が、前記実装部品及び前記サブランドを含む領域に対応した形状を有する、請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記電極ランドが、前記実装部品の底面に覆われている、請求項1又は2に記載の実装基板。
【請求項4】
前記電極ランドの下方に、第2の導体パターンが形成され、該第2の導体パターンが、少なくとも前記電極ランド、前記熱伝導性部材及び前記サブランドを含む領域に切欠き部分を有する、請求項1〜3の何れか一に記載の実装基板。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一に記載の実装基板を有することを特徴とする電子装置。
【請求項6】
実装基板上で、二次元形状を有する導体パターンに囲まれた電極ランドと実装部品の電極パッドとを半田を介して接続し又は取り外す方法であって、
前記実装部品に隣接して、熱伝導性部材を介して前記電極ランドと接続されたサブランドを形成し、
前記導体パターンに、少なくとも前記電極ランド、前記熱伝導性部材及び前記サブランドを含む領域に切欠き部分を形成し、
前記サブランドを経由して前記電極ランド上の半田を加熱することを特徴とする半田加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−153743(P2010−153743A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333016(P2008−333016)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】