説明

実装装置および実装方法

【課題】入射光を折り曲げて射出する光学部品を精度良く位置合わせし、基板に実装すること。
【解決手段】本発明のある実施の形態の実装装置1は、基板2が載置されるステージ11、基板2上に実装するプリズム3を搬送するマニピュレータ12、光源ユニット13、撮像ユニット15、制御部16等を備える。撮像ユニット15は、マニピュレータ12によって把持されたプリズム3の光入射面33側の側方において、プリズム3によって折り曲げられる光の光路内に配設されたカメラ151を備える。そして、制御部16は、カメラ151によって撮像された画像データをもとに、ステージ11の移動量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を折り曲げて射出する光学部品を基板に実装する実装装置および実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透明な基板(透明パネル)に対して電子部品を実装する手法として、透明パネルと電子部品とに位置決めマークを設け、これら透明パネルの位置決めマークと電子部品の位置決めマークとの相対位置を透明パネルの実装面とは反対側の面から認識するようにしたものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−273497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばプリズム等のような入射光を折り曲げて射出する透明な光学部品を基板に実装する場合がある。しかしながら、このような光学部品を基板に実装する際、基板と対向させる面と反対側の面が光を透過せず、この反対側の面側から光学部品と基板とに付された位置決めマークを認識できない場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みなされたものであって、入射光を折り曲げて射出する光学部品を精度良く位置合わせし、基板に実装することができる実装装置および実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる実装装置は、基板と、前記基板側からの光を入射させる第1の面と、該入射した光を折り曲げて射出する第2の面とを備えた光学部品と、前記光学部品の第1の面と前記基板とを対向配置させた状態で、前記基板と前記光学部品とを相対的に移動させて前記基板と前記光学部品との位置を調整する調整手段と、前記第2の面から射出される光の光路上に配置された撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された画像データをもとに、前記調整手段による前記基板と前記光学部品との相対的な移動量を制御し、前記光学部品を前記基板に実装する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる実装装置は、上記の発明において、前記第2の面に照明光を照射する光源部を備え、前記光源部は、該光源部の光軸が前記撮像手段の光軸と同軸となるように配設されたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる実装装置は、上記の発明において、前記撮像手段は、前記第2の面を撮像するとともに、前記光学部品を介して前記第1の面と対向配置された前記基板を撮像し、前記制御手段は、前記画像データを画像認識処理して前記光学部品を介した前記基板の像の少なくとも一部を認識する基板認識手段と、前記画像データを画像認識処理して前記第2の面の像の少なくとも一部を認識する光学部品認識手段と、を有し、前記基板の像の少なくとも一部と前記第2の面の像の少なくとも一部とをもとに、前記基板と前記光学部品との相対的な移動量を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる実装装置は、上記の発明において、前記基板は、前記光学部品との対向面に付されたアライメントマークを備え、前記基板認識手段は、前記光学部品を介した前記基板の像に含まれる前記アライメントマークを認識し、前記光学部品認識手段は、前記第2の面の外形を認識し、前記制御手段は、前記画像データ中の前記アライメントマークの中心位置と前記第2の面の中心位置とが一致するように前記基板と前記光学部品との相対的な移動量を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる実装装置は、上記の発明において、前記基板は、有効撮像領域を有する撮像素子であり、前記基板認識手段は、前記光学部品を介した前記撮像素子の像に含まれる前記有効撮像領域の外形を認識し、前記光学部品認識手段は、前記第2の面の外形を認識し、前記制御手段は、前記有効撮像領域の中心位置と前記第2の面の中心位置とが一致するように前記撮像素子と前記光学部品との相対的な移動量を制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる実装装置は、上記の発明において、前記第2の面は、光の通過範囲となる有効領域を有し、前記光学部品認識手段は、前記第2の面の外形を認識することで前記有効領域を区画する境界線を算出し、前記制御手段は、前記有効領域の中心位置を前記第2の面の中心位置とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる実装装置は、上記の発明において、前記光学部品は、プリズムであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる実装方法は、基板と、該基板側からの光を入射させる第1の面および該入射した光を折り曲げて射出する第2の面を備えた光学部品の前記第1の面と、を対向配置する工程と、前記第2の面に照明光を照射する工程と、前記第2の面の画像データを撮像する工程と、前記撮像された画像データをもとに、前記基板と前記光学部品との相対的な移動量を制御し、前記基板と前記光学部品との位置を調整する工程と、前記調整された前記光学部品を前記基板に実装する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、基板側からの光を入射させる光学部品の第1の面を基板と対向配置することとした。また、第1の面から入射した光を折り曲げて射出する光学部品の第2の面から射出される光の光路上に撮像手段を配置することとした。これによれば、光学部品の第2の面側から、光学部品を介して第1の面と対向配置された基板を撮像することができる。そして、このようにして撮像手段によって撮像された画像データをもとに、基板と光学部品との位置を調整することができる。したがって、入射光を折り曲げて射出する光学部品を精度良く位置合わせし、基板に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施の形態1の実装装置の全体構成を説明する模式図である。
【図2】図2は、実施の形態1においてステージ上に載置される基板の平面図である。
【図3】図3は、実施の形態1のプリズムの光入射面を示す側面図である。
【図4】図4は、実施の形態1における基板とプリズムとの位置合わせの原理を説明する図である。
【図5】図5は、実施の形態1の実装装置による基板上へのプリズムの実装手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、カメラのアライメントマーク観察用位置およびプリズム観察用位置とを説明する説明図である。
【図7】図7は、変形例においてステージ上に載置される基板の平面図である。
【図8】図8は、変形例のプリズムの光入射面を示す側面図である。
【図9】図9は、変形例における基板とプリズムとの位置合わせの原理を説明する図である。
【図10】図10は、実施の形態2の実装装置の全体構成を説明する模式図である。
【図11】図11は、ステージの座標系とプリズムを上面側から撮像するカメラの座標系との関係を説明する説明図である。
【図12】図12は、ステージの座標系とプリズムを光入射面側から撮像するカメラの座標系との関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明に係る実装装置の好適な実施の形態について説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0017】
(実施の形態1)
実施の形態1では、入射光を折り曲げて射出する光学部品としてプリズムを例示する。そして、このプリズムをアライメントマークの付された基板に実装する実装装置を例示する。図1は、実施の形態1の実装装置1の全体構成を説明する模式図である。図1に示すように、実装装置1は、基板2が載置されるステージ11、基板2上に実装する光学部品の一例であるプリズム3を搬送するマニピュレータ12、光源部としての光源ユニット13、光路分割素子14、撮像手段としての撮像ユニット15等を備える。
【0018】
ここで、マニピュレータ12によって把持されるプリズム3は、後に基板2上に実装されて、基板2側からの光を入射し、また光源ユニット13から入射した光の射出面となる第1の面(以下、「光射出面」と呼ぶ。)31と、基板2側からの光を射出し、また光源ユニット13からの光の入射面となる第2の面(以下、「光入射面」と呼ぶ。)33と、入射光を反射する反射面35とを備える。そして、実施の形態1では、ステージ11とマニピュレータ12とが協働して調整手段として機能し、基板2とプリズム3の光射出面31とを離間させて対向配置させるとともに、この状態で基板2とプリズム3とを相対的に移動させる。
【0019】
具体的には、ステージ11は、モータ等の駆動手段によってX軸方向およびY軸方向に移動自在に構成されるとともに、Z軸を軸中心としてXY平面内で回転自在に構成されている。このステージ11は、後述するステージ制御部161の制御のもと、マニピュレータ12が把持したプリズム3の光射出面31の下方にステージ11上の基板2の上面内に設定されるプリズム3の実装目標位置(実施の形態1では図2に示して後述するアライメントマーク21)を位置付ける。そしてこの後、ステージ11は、ステージ制御部161の制御のもと、XY平面内で移動および/または回転することによってプリズム3に対する基板2の位置を調整し、基板2とプリズム3とを位置合わせする。
【0020】
一方、マニピュレータ12は、プリズム3を基板2上に搭載するためのものであり、後述するマニピュレータ制御部162の制御のもと、プリズム3の光射出面31がステージ11(すなわち基板2)と平行になるようにプリズム3の側面100の反射面35側を上方から把持し、把持したプリズム3をZ軸方向に移動させる。
【0021】
光源ユニット13は、プリズム3の光入射面33に対し照明光を照射するための光源131を備える。また、光源ユニット13は、光源131から射出される光量を調整する不図示の光量調整装置を備える。光源131から照射された照明光は、光量調整装置によって所定の光量に調整される。光源ユニット13は、このように所定の光量に調整された照明光を射出し、光路分割素子14に入射させる。
【0022】
光路分割素子14は、ハーフミラー等で構成され、光源ユニット13から射出された照明光をプリズム3の光入射面33側に反射する。このように光路分割素子14によって反射された照明光は、プリズム3を介して基板2に入射される。また、光路分割素子14は、後述するように基板2によって反射され、プリズム3を介して入射される反射光を透過して撮像ユニット15に入射させる。
【0023】
撮像ユニット15は、例えばCCDやCMOS等の撮像素子で構成されるカメラ151を備え、カメラ151によって撮像した画像データを、後述する画像処理部163に出力する。また、撮像ユニット15は、カメラ151を光軸方向(X軸方向)に沿って移動させる不図示のカメラ位置調整装置を備える。ここで、カメラ151は、マニピュレータ12によって把持されて基板2の実装目標位置(アライメントマーク21)の上方に搬送されたプリズム3の光入射面33側の側方に配設される。より詳細には、カメラ151は、プリズム3によって折り曲げられる光の光路内において、光源ユニット13を構成する光源131と同一光軸となるようにZ軸上の位置が予め設定されて配設されている。そして、カメラ151は、カメラ位置調整装置によって所定のX位置に位置付けられた状態でプリズム3を光入射面33側から撮像する。
【0024】
また、実装装置1は、装置内の適所に収められた制御手段としての制御部16を備える。制御部16は、マイクロコンピュータ等で構成され、実装装置1を構成する各部の動作を制御して実装装置1を統括的に制御する。ここで、制御部16は、実装装置1の動作に必要な各種設定値等のデータを記録し、あるいは撮像ユニット15のカメラ151によって撮像された画像データを展開等するための記憶部17と接続されている。この記憶部17は、更新記憶可能なフラッシュメモリ等の各種ICメモリ、内蔵或いはデータ通信端子で接続されたハードディスク、CD−ROM等の情報記憶媒体およびその読取装置等を適宜組み合わせて実現される。この制御部16は、ステージ制御部161と、マニピュレータ制御部162と、基板認識手段および光学部品認識手段としての画像処理部163とを備える。
【0025】
ステージ制御部161は、ステージ11の移動を制御し、ステージ11をXY平面内の所定の位置に移動させるとともに、ステージ11の回転を制御し、Z軸を軸中心としてステージ11を所定の回転角度に回転させる。マニピュレータ制御部162は、マニピュレータ12の駆動を制御し、マニピュレータ12にプリズム3の側面100を把持させ、このマニピュレータ12をZ軸方向に移動させる。画像処理部163は、撮像ユニット15のカメラ151から入力された画像データにパターン認識等の画像認識処理を施すものであり、画像データに映る基板2の像およびプリズム3の光入射面33の外形(エッジ)を認識する。
【0026】
次に、実施の形態1の実装装置1が行う基板2とプリズム3との位置合わせの原理について説明する。図2は、ステージ11上に載置される基板2の平面図である。また、図3は、プリズム3の光入射面33を示す側面図である。そして、図4は、基板2とプリズム3との位置合わせの原理を説明する図である。
【0027】
図2に示すように、基板2は、矩形形状を有し、その上面中央に付された十字状のアライメントマーク21を備えている。このアライメントマーク21は、互いに直行する2本のラインL11,L13によって構成され、例えばその交差点P11が、基板2の上面内におけるプリズム3の実装目標位置と一致し、且つ各ラインL11,L13が基板2の端縁と平行になるように付されている。一方、プリズム3の光入射面33は、図3に示すように、上側の2つの角が面取りされた略矩形形状の外形を有する。
【0028】
ここで、上記した構成の実装装置1において、光源ユニット13から射出された照明光は、光路分割素子14を経由してプリズム3の光入射面33に入射され、反射面35によって反射されて光射出面31から射出される。そしてその後、プリズム3の光射出面31の下方に位置付けられたステージ11上の基板2に照射される。そして、この照明光は反射光として基板2側から反射され、プリズム3および光路分割素子14を経由して撮像ユニット15に入射し、この撮像ユニット15においてカメラ151によって撮像される。したがって、プリズム3に対し、光入射面33側から照明光を照射し、この光入射面33を撮像すると、得られる画像データには、プリズム3の光入射面33の外形が映る。また、得られる画像データのプリズム3の内側の領域には、プリズム3の光射出面31の下方に位置付けられた基板2のアライメントマーク21が映る。
【0029】
なお、背景技術で示した特許文献1を適用し、透明なプリズム3を上方(反射面35の上方)から撮像して位置合わせしようとしても、プリズム3の上面(反射面35の反対側の面)が光を透過しないため、プリズム3の上方からは光射出面31の下方の基板2の像を撮像することができない。
【0030】
実施の形態1の実装装置1は、このようにして撮像された画像データを画像認識処理することによって画像データに映るアライメントマーク21を認識し、図4に示すように、認識したアライメントマーク21の交差点P11の画像データ中での位置を算出する。また、カメラ151によって撮像された画像データを画像認識処理することによって画像データに映るプリズム3の光入射面33の外形を認識し、認識した光入射面33の外形をもとに、光入射面33の中心P13の画像データ中での位置を算出する。そして、算出した交差点P11の位置と光入射面33の中心P13の位置とが一致するようにステージ11の移動量を制御する。
【0031】
次に、実装装置1の各部の具体的な動作について説明する。図5は、実施の形態1の実装装置1による基板2上へのプリズム3の実装手順を示すフローチャートである。
【0032】
図5に示すように先ず、ステージ制御部161がステージ11を駆動し、マニピュレータ12によって把持されたプリズム3の光射出面31の下方に、ステージ11上の基板2のアライメントマーク21(実装目標位置)を位置付ける(ステップS1)。
【0033】
続いて、撮像ユニット15のカメラ151によって撮像された画像データを取得するが、実施の形態1では、アライメントマーク21を認識する場合(アライメントマーク認識時)とプリズム3の光入射面33の外形を認識する場合(プリズム認識時)とでカメラ151のX位置を異ならせて画像データを取得する。図6は、アライメントマーク認識時のカメラ151のX位置(アライメントマーク観察用位置)およびプリズム認識時のカメラ151のX位置(プリズム観察用位置)とを説明する説明図であり、図6では、各位置におけるプリズム3とカメラ151との位置関係を示している。図6中に矢印A1で示すように、カメラ151は、制御部16の制御のもと、カメラ位置調整装置によってX方向に変位し、アライメントマーク認識時とプリズム認識時とでプリズム3の光入射面33からの距離を異ならせて撮像し、画像データを取得する。
【0034】
ここで、アライメントマーク観察用位置は、アライメントマーク21にピントが合うように設定されたカメラ151のX位置であり、予め求めて記憶部17に記憶しておく。一方、プリズム観察用位置は、プリズム3の光入射面33にピントが合うように設定されたカメラ151のX位置であり、予め求めて記憶部17に記憶しておく。したがって、アライメントマーク観察用位置では、アライメントマーク21を対象として画像認識処理するのに適した画像データを得ることができる。また、プリズム観察用位置では、プリズム3の光入射面33の外形を対象として画像認識処理するのに適した画像データを得ることができる。なお、ここでは、カメラ151自体の位置を移動させる構成を例示したが、レンズを移動させることで画像認識処理の対象に合わせてピントを調節する構成としてもよい。
【0035】
より詳細には、実施の形態1では、アライメントマーク認識時とプリズム認識時とで照明光の光量についても可変に設定するようになっている。具体的には、アライメントマーク21を撮像するのに適した照明光の光量(アライメントマーク観察用光量)と、プリズム3の光入射面33を撮像するのに適した照明光の光量(プリズム観察用光量)とを予め求めて記憶部17に記憶しておく。そして、光源ユニット13は、制御部16の制御のもと、光量調整装置によってアライメントマーク認識時とプリズム認識時とで異なる光量の照明光を射出する。したがって、アライメントマーク認識時では、アライメントマーク21を対象として画像認識処理するのに適した明るさの画像データを得ることができる。また、プリズム認識時では、プリズム3の光入射面33の外形を対象として画像認識処理するのに適した明るさの画像データを得ることができる。
【0036】
図5に戻って動作を説明すると、ステップS1に続き、制御部16は、撮像ユニット15を駆動してカメラ151をアライメントマーク観察用位置に移動させるとともに、光源ユニット13を駆動して照明光の光量をアライメントマーク観察用光量に調整した上で、カメラ151によって画像データを取得する(ステップS3)。その後、画像処理部163が、得られた画像データを画像認識処理してアライメントマーク21を認識し、基板位置を算出する(ステップS5)。具体的には、アライメントマーク21のマークパターン画像を予め用意して記憶部17に記憶しておく。そして、画像処理部163は、このマークパターン画像とのマッチングによって、得られた画像データに映るアライメントマーク21を認識する。そして、画像処理部163は、認識したアライメントマーク21の交差点P11の画像データ中での位置を基板位置として算出する。
【0037】
続いて、制御部16は、撮像ユニット15を駆動してカメラ151をプリズム観察用位置に移動させるとともに、光源ユニット13を駆動して照明光の光量をプリズム観察用光量に調整した上で、カメラ151によって画像データを取得する(ステップS7)。その後、画像処理部163が、得られた画像データを画像認識処理してプリズム3の光入射面33の外形を認識し、プリズム位置を算出する(ステップS9)。具体的には、プリズム3の光入射面33の外形パターン画像を予め用意して記憶部17に記憶しておく。そして、画像処理部163は、この外形パターン画像とのマッチングによって、得られた画像データに映るプリズム3の光入射面33の外形を認識する。そして、画像処理部163は、認識した光入射面33の外形をもとに、光入射面33の中心の画像データ中での位置をプリズム位置として算出する。
【0038】
続いて、制御部16が、算出した基板位置とプリズム位置との差が予め設定される規定値内か否かを判定する。そして、規定値外の場合には(ステップS11:No)、制御部16は、基板位置とプリズム位置との差をもとに、基板位置がプリズム位置に一致するようにステージ11の移動量を算出する(ステップS13)。その後、ステージ制御部161が、算出した移動量に従ってステージ11の移動を制御し(ステップS14)、ステップS3に戻る。その後は、ステップS3〜ステップS14の処理を繰り返し行い、基板位置とプリズム位置との差が規定値内か否かを判定しながらステージ11をXY平面内で移動させる。この結果、基板2の位置がプリズム3の位置に合うよう調整され、プリズム3に対して基板2が位置合わせされる。
【0039】
一方、ステップS11において基板位置とプリズム位置との差が規定値内と判定した場合には(ステップS11:Yes)、マニピュレータ制御部162がマニピュレータ12を下降させ、プリズム3を基板2上へマウントする(ステップS15)。その後、基板2とプリズム3との接触部分に紫外線を照射して基板2上にプリズム3をUV接着し(ステップS17)、動作を終える。なお、接着剤は予め基板上に塗布されていてもよいし、プリズム3を基板2上へマウントした後に塗布してもよい。
【0040】
以上説明したように、実施の形態1によれば、プリズム3の光入射面33側に撮像ユニット15を配設することができる。そして、この撮像ユニット15のカメラ151によって撮像された画像データを画像認識処理し、画像データに映るアライメントマーク21を認識してその交差点P11の画像データ中での位置を基板位置として算出することができる。また、カメラ151によって撮像された画像データを画像認識処理し、画像データに映るプリズム3の光入射面33の外形を認識し、認識した光入射面33の外形をもとに、光入射面33の中心の画像データ中での位置をプリズム位置として算出することができる。そして、算出した基板位置がプリズム位置に一致するようにステージ11の移動量を制御することができる。したがって、入射光を折り曲げて射出するプリズム3を精度良く位置合わせし、基板2に実装することができる。また、複雑な装置構成を必要としないので、安価で簡易に実装装置1を実現できる。
【0041】
なお、実施の形態1では、画像データを画像認識処理することによって基板位置とプリズム位置とを算出し、これらの差をもとにステージ11の移動量を制御して基板2とプリズム3との位置合わせを行う場合を説明した。これに対し、さらにステージ11の回転量を制御して基板2とプリズム3との向きを調整するようにしてもよい。
【0042】
この場合には、例えば、認識したアライメントマーク21の図4に示すラインL11,L13の傾きを算出するとともに、認識したプリズム3の光入射面33の外形をもとに光入射面33の図4中に示す上下左右の各端縁E11〜E14の傾きを算出する。そして、算出したラインL13の傾きが上端縁E11あるいは下端縁E12の傾きと一致するようにステージ11の回転量を算出し、あるいは算出したラインL11の傾きが側端縁E13,E14の傾きと一致するようにステージ11の回転量を算出する。その後、算出した回転量をもとにステージ11の回転を制御し、プリズム3に対する基板2の向きを調整する。
【0043】
具体的には、例えば、実施の形態1で説明したプリズム3に対する基板2の位置の調整と同様に、これらの傾きの差が予め設定される規定値内か否かを判定しながらステージ11をXY平面内で回転させる。この結果、基板2の向きがプリズム3の向きに合うよう調整され、プリズム3に対する基板2の向きが調整される。これによれば、プリズム3に対する基板2の位置に加えて、プリズム3に対する基板2の向きを調整することができ、プリズム3をより高精度に基板2に実装することができる。
【0044】
また、実施の形態1では、基板2の実装目標位置にアライメントマークが付されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、基板に実装された撮像素子の上にプリズムを搭載する場合がある。このような場合には、画像データに映る撮像素子の撮像面を認識し、認識した撮像面の中心を実装目標位置として位置合わせすることとしてもよい。
【0045】
図7は、本変形例において実装装置1のステージ11上に載置される基板2aの平面図である。また、図8は、プリズム3aの光入射面33を示す側面図である。そして、図9は、基板2aとプリズム3aとの位置合わせの原理を説明する図である。
【0046】
図7に示すように、基板2aは、例えば矩形形状を有し、その上面中央にCCDやCMOS等の撮像素子23が実装されて構成される。ここで、撮像素子23は、マトリクス状に画素が配列された有効撮像領域である撮像面231を上にして基板2aの上面に実装されている。一方、プリズム3aの光入射面33は、実施の形態1と同様であり、図8に示すように、上側の2つの角が面取りされた矩形形状の外形を有する。ここで、プリズム3aの光入射面33は有効領域37を有しており、光学設計上光を通過させる領域となっている。ただし、有効領域37は、プリズム3aの設計時において光入射面33の外形端から一定の距離内側に図面上で規定されるものであり、図面をもとに作製されたプリズム3aの有効領域37を区画する境界線は外観上確認できない。また、プリズム3aの光入射面33の外形中心と有効領域37の中心とは一般的には一致する。したがって、プリズム3aの外形(すなわち光入射面33の外形)を認識することで、有効領域37の中心が得られる。
【0047】
本変形例では、実装装置1は、カメラ151によって撮像された画像データを画像認識処理することによって画像データに映る基板2aの撮像素子23の撮像面231の外形を認識し、図9に示すように、認識した撮像面231の中心P21の画像データ内での位置を算出する。また、カメラ151によって撮像された画像データを画像認識処理することによって画像データに映るプリズム3aの光入射面33の外形を認識し、光入射面33の外形中心P23の画像データ内での位置を算出する。そして、算出した撮像面231の中心P21の位置と、プリズム3aの光入射面33の外形中心P23(すなわち、有効領域37の中心)の位置とが一致するようにステージ11の移動量を制御する。
【0048】
なお、プリズム3aの光入射面33において、プリズム3aの外形中心位置と有効領域37の中心位置とが異なる場合に、有効領域37の中心と撮像面231の中心P21とを一致させたい場合には、まずプリズム3aの外形を認識する。ここで、上記したように、光入射面33の有効領域37は、プリズム3aの設計時において規定されている。そこで、この規定された情報と、認識したプリズム3aの外形とをもとに有効領域37を区画する境界線の位置を算出することで、有効領域37の中心を得る。そして、得られた有効領域37の中心の位置と撮像面231の中心P21の位置とが一致するようにステージ11の移動量を制御すればよい。
【0049】
本変形例によれば、実施の形態1と同様の効果を奏することができるとともに、基板2aに実装された撮像素子23の撮像面231の中心を実装目標位置としてプリズム3aに対する基板2aの位置を調整し、基板2aとプリズム3aとの位置合わせを行うことができる。
【0050】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2の実装装置1bの全体構成を説明する模式図である。なお、図10では、実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付して示している。図10に示すように、実装装置1bは、プリズム3の光入射面33を撮像するための光源ユニット13、光路分割素子14および撮像ユニット15とは別に、ステージ11の上方に配設された光源ユニット13−2、光路分割素子14−2および撮像ユニット15−2をさらに備える。なお、これら光源ユニット13−2、光路分割素子14−2および撮像ユニット15−2は、光源ユニット13、光路分割素子14および撮像ユニット15と同様の構成で実現できる。
【0051】
光源ユニット13−2、光路分割素子14−2および撮像ユニット15−2は、プリズム3を上面(反射面35の反対側の面)側から撮像するためのものであり、マニピュレータ12によって把持されたプリズム3の上方に撮像ユニット15−2のカメラ151−2が位置するように適所に配設される。
【0052】
また、この実装装置1bにおいて、制御部16bは、ステージ制御部161bと、マニピュレータ制御部162と、画像処理部163bとを備える。
【0053】
次に、実装装置1bの各部の動作について説明する。実施の形態2では、実装装置1bは、図5に示して説明した実装手順において、ステップS1でプリズム3の光射出面31の下方にステージ11上の基板2の実装目標位置を位置付けた後、カメラ151−2によって基板2およびプリズム3をプリズム3の上面側から撮像する。そして、得られた画像データをもとに、プリズム3に対する基板2の位置を粗調整する。
【0054】
具体的には先ず、制御部16bが、撮像ユニット15−2を駆動し、カメラ151−2によって撮像された画像データを取得する。続いて、画像処理部163bが、得られた画像データを画像認識処理し、画像データ中に映るプリズム3の上面の外形と基板2の外形とを認識することによって、基板2とプリズム3とのズレ量を算出する。その後、ステージ制御部161bが、算出したズレ量をもとに基板2を移動させ、プリズム3に対する基板2の位置を粗調整する。
【0055】
ここで、ステージ11の座標系と撮像ユニット15−2のカメラ151−2の座標系との関係およびステージ11の座標系と撮像ユニット15のカメラ151の座標系との関係について説明する。図11は、ステージ11の座標系と、カメラ151−2の座標系との関係を説明する説明図であり、プリズム3の上方からステージ11上の様子を俯瞰して示すとともに(a)、カメラ151−2によって撮像される撮像範囲を欄外に示している(b)。図11に示すように、カメラ151−2は、そのx座標方向がステージ11のX軸方向と一致し、y座標方向がステージ11のY軸方向と一致するように配設され、基板2およびプリズム3をプリズム3の上面側から撮像する。
【0056】
一方、図12は、ステージ11の座標系とカメラ151の座標系との関係を説明する説明図であり、プリズム3の光入射面33側からみたステージ11の側方を示すとともに(a)、カメラ151によって撮像される撮像範囲を欄外に示している(b)。図12に示すように、カメラ151は、プリズム3を介して基板2の像を撮像するため、そのx座標方向がステージ11のY軸方向に対応し、y座標方向がステージ11のX軸方向に対応することとなる。
【0057】
このため、後段の処理工程でステージ11の移動量を算出する際(図5のステップS13)には、カメラ151の座標系をステージ11の座標系に変換して移動量を算出する必要がある。なお、これは、実施の形態1でも同様である。
【0058】
なお、カメラ151−2によって撮像された画像データをもとにプリズム3に対して基板2の位置を粗調整した後の動作は実施の形態1と同様であり、図5に示して説明したステップS3〜ステップS17の実装手順に従って基板2とプリズム3とを位置合わせし、プリズム3を基板2に実装する。
【0059】
以上説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を奏することができるとともに、基板2とプリズム3との位置合わせに先立ち、カメラ151−2によって基板2およびプリズム3をプリズム3の上面側から撮像することができる。そして、得られた画像データをもとに、プリズム3に対する基板2の位置を粗調整することができる。これによれば、基板2とプリズム3との位置合わせを迅速に行うことができ、実装に要する時間を短縮できる。
【0060】
なお、上記した実施の形態1,2では、光射出面31と光入射面33との成す角度が直角(90度)のプリズム3を例示した。これに対し、光射出面と光入射面との成す角度が直角ではないプリズムを基板に実装する場合もある。このような形状のプリズムを実装する場合を想定して、プリズムを光入射面側から撮像するカメラ151を移動させてその光軸が任意の方向に沿うように変位させる変位手段を設けてもよい。この場合には、アライメントマーク認識時であれば、光軸と反射面との成す角度が、基板2と垂直な線分と反射面との成す角度と一致するようにカメラ151を変位させればよい。一方、プリズム認識時には、光入射面に対して光軸が垂直に交わるようにカメラ151を変位させればよい。
【0061】
また、上記した実施の形態1,2では、基板上にプリズムを実装する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ミラー等の入射光を折り曲げる他の光学部品を基板上に実装する場合に同様に適用できる。
【0062】
また、上記した実施の形態1,2では、プリズム3の光入射面33側から照明光を照射し、基板2によって反射された反射光を撮像する構成について説明した。これに対し、例えばガラス基板等の透明な基板上にプリズムを実装する場合には、基板の下側から照明光を照射するようにしてもよい。
【0063】
また、上記した実施の形態1,2では、ステージ11をXY平面内で移動させることによってプリズム3に対して基板2の位置を調整し、基板2とプリズム3とを位置合わせする場合について説明した。これに対し、ステージ11を移動させずにマニピュレータ12を移動させる構成とし、基板2に対してプリズム3の位置を調整して基板2とプリズム3とを位置合わせすることとしてもよい。あるいは、ステージ11およびマニピュレータ12の双方を逆方向に移動させることで基板2とプリズム3とを相対的に移動させ、これらの位置合わせをすることとしてもよい。なお、基板2とプリズム3との向きを調整する場合も同様であり、ステージ11またはマニピュレータ12あるいはこれらの両方を回転させて基板2とプリズム3とを相対的に回転させることで、基板2とプリズム3との向きを調整する構成としてよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明の実装装置および実装方法は、入射光を折り曲げて射出する光学部品を精度良く位置合わせし、基板に実装するのに適している。
【符号の説明】
【0065】
1,1b 実装装置
11 ステージ
12 マニピュレータ
13,13−2 光源ユニット
131,131−2 光源
14,14−2 光路分割素子
15,15−2 撮像ユニット
151,151−2 カメラ
16,16b 制御部
161,161b ステージ制御部
162 マニピュレータ制御部
163,163b 画像処理部
17 記憶部
2 基板
21 アライメントマーク
23 撮像素子
231 撮像面
3 プリズム
31 光射出面
33 光入射面
35 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板側からの光を入射させる第1の面と、該入射した光を折り曲げて射出する第2の面とを備えた光学部品と、
前記光学部品の第1の面と前記基板とを対向配置させた状態で、前記基板と前記光学部品とを相対的に移動させて前記基板と前記光学部品との位置を調整する調整手段と、
前記第2の面から射出される光の光路上に配置された撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像データをもとに、前記調整手段による前記基板と前記光学部品との相対的な移動量を制御し、前記光学部品を前記基板に実装する制御手段と、
を備えることを特徴とする実装装置。
【請求項2】
前記第2の面に照明光を照射する光源部を備え、
前記光源部は、該光源部の光軸が前記撮像手段の光軸と同軸となるように配設されたことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記第2の面を撮像するとともに、前記光学部品を介して前記第1の面と対向配置された前記基板を撮像し、
前記制御手段は、
前記画像データを画像認識処理して前記光学部品を介した前記基板の像の少なくとも一部を認識する基板認識手段と、
前記画像データを画像認識処理して前記第2の面の像の少なくとも一部を認識する光学部品認識手段と、
を有し、前記基板の像の少なくとも一部と前記第2の面の像の少なくとも一部とをもとに、前記基板と前記光学部品との相対的な移動量を制御することを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項4】
前記基板は、前記光学部品との対向面に付されたアライメントマークを備え、
前記基板認識手段は、前記光学部品を介した前記基板の像に含まれる前記アライメントマークを認識し、
前記光学部品認識手段は、前記第2の面の外形を認識し、
前記制御手段は、前記画像データ中の前記アライメントマークの中心位置と前記第2の面の中心位置とが一致するように前記基板と前記光学部品との相対的な移動量を制御することを特徴とする請求項3に記載の実装装置。
【請求項5】
前記基板は、有効撮像領域を有する撮像素子であり、
前記基板認識手段は、前記光学部品を介した前記撮像素子の像に含まれる前記有効撮像領域の外形を認識し、
前記光学部品認識手段は、前記第2の面の外形を認識し、
前記制御手段は、前記有効撮像領域の中心位置と前記第2の面の中心位置とが一致するように前記撮像素子と前記光学部品との相対的な移動量を制御することを特徴とする請求項3に記載の実装装置。
【請求項6】
前記第2の面は、光の通過範囲となる有効領域を有し、
前記光学部品認識手段は、前記第2の面の外形を認識することで前記有効領域を区画する境界線を算出し、
前記制御手段は、前記有効領域の中心位置を前記第2の面の中心位置とすることを特徴とする請求項4または5に記載の実装装置。
【請求項7】
前記光学部品は、プリズムであることを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項8】
基板と、該基板側からの光を入射させる第1の面および該入射した光を折り曲げて射出する第2の面を備えた光学部品の前記第1の面と、を対向配置する工程と、
前記第2の面に照明光を照射する工程と、
前記第2の面の画像データを撮像する工程と、
前記撮像された画像データをもとに、前記基板と前記光学部品との相対的な移動量を制御し、前記基板と前記光学部品との位置を調整する工程と、
前記調整された前記光学部品を前記基板に実装する工程と、
を含むことを特徴とする実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−150142(P2011−150142A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11399(P2010−11399)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】