説明

実装装置および電子モジュールの製造方法

【課題】電極の種類が異なる複数の電子部品を一括して基板に実装する。
【解決手段】複数の電子部品のうちの第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極を加熱する加熱部と、第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極から放熱させる放熱部と、加熱部または放熱部と第1電子部品の電極との間に設けられた第1熱伝導部材と、加熱部または放熱部と第2電子部品の電極との間に設けられた第2熱伝導部材とを備え、第1熱伝導部材と第2熱伝導部材とは、単位時間当たりの伝導熱量が異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置および電子モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、抵抗器等の電子部品をプリント配線板等の基板に実装する場合に、電子部品と基板とを押圧して熱圧着により電子部品を実装することが行われている。また、電子部品を押圧するヘッドにエラストマーを配置して、種類の異なる複数の電子部品を一括して基板に実装することも行われている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−32952号公報
【特許文献2】特開2007−324413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品には、基板の電極と電気的に接続される電極が配されている。しかし、電子部品の電極の種類によって、圧着温度が異なる。そこで、電極の種類が異なる複数の電子部品を一括して基板に実装することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、複数の電子部品と基板とを熱圧着する実装装置であって、複数の電子部品のうちの第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極を加熱する加熱部と、第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極から放熱させる放熱部と、加熱部または放熱部と第1電子部品の電極との間に設けられた第1熱伝導部材と、加熱部または放熱部と第2電子部品の電極との間に設けられた第2熱伝導部材とを備え、第1熱伝導部材と第2熱伝導部材とは、単位時間当たりの伝導熱量が異なる実装装置が提供される。
【0006】
上記の実装装置は、基板が載置されるステージと、第1熱伝導部材を介して第1電子部品を基板に対して押圧し、第2熱伝導部材を介して第2電子部品を基板に対して押圧するヘッドとをさらに備えてよい。上記の実装装置において、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材は、エラストマーで形成されてよい。上記の実装装置において、ステージは、第1電子部品が配置される領域に対応する第1個別ステージと、第2電子部品が配置される領域に対応する第2個別ステージとを有してよく、加熱部は、第1個別ステージを介して第1電子部品の電極を加熱し、第2個別ステージを介して第2電子部品の電極を加熱してよい。
【0007】
上記の実装装置において、第1熱伝導部材と第2熱伝導部材とは熱伝導率が異なってよい。上記の実装装置において、第1熱伝導部材の単位時間当たりの伝導熱量は、第1電子部品の電極の種類に応じて定められてよく、第2熱伝導部材の単位時間当たりの伝導熱量は、第2電子部品の電極の種類に応じて定められてよい。
【0008】
本発明の第2の態様においては、複数の電子部品が基板に実装された電子モジュールの製造方法であって、複数の電子部品のうちの第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極をそれぞれ異なる温度に調整する温度調整段階と、第1電子部品および第2電子部品のそれぞれと基板とを熱圧着する熱圧着段階とを備える製造方法が提供される。
【0009】
上記の製造方法は、第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極を加熱する加熱部と、第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極から放熱させる放熱部と、加熱部または放熱部と第1電子部品の電極との間に設けられた第1熱伝導部材と、加熱部または放熱部と第2電子部品の電極との間に設けられた第2熱伝導部材とを備える実装装置により実行されてよく、第1熱伝導部材と第2熱伝導部材とは、単位時間当たりの伝導熱量が異なってよい。温度調整段階では、加熱部が第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極を加熱し、放熱部が第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極から放熱させることで、第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極をそれぞれ異なる温度に調整してよい。
【0010】
上記の製造方法において、実装装置は、基板が載置されるステージと、第1熱伝導部材を介して第1電子部品を基板に対して押圧し、第2熱伝導部材を介して第2電子部品を基板に対して押圧するヘッドとを更に備えてよい。熱圧着段階は、ステージに基板を載置する載置段階と、ヘッドが、第1熱伝導部材を介して第1電子部品を基板に対して押圧し、第2熱伝導部材を介して第2電子部品を基板に対して押圧する押圧段階とを有してよい。上記の製造方法において、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材は、エラストマーで形成されていてよい。
【0011】
上記の製造方法において、温度調整段階の前に、第1電子部品および第2電子部品と基板との間に、熱硬化性樹脂を含む接着フィルムを配置するフィルム配置段階を更に備えてよい。熱圧着段階では、接着フィルムを熱硬化させることにより、第1電子部品および第2電子部品のそれぞれと基板とを熱圧着してよい。
【0012】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実装装置100の断面図の一例を概略的に示す。
【図2】実装装置200の断面図の一例を概略的に示す。
【図3】伝熱ユニット330の断面図の一例を概略的に示す。
【図4】伝熱ユニット430の断面図の一例を概略的に示す。
【図5】実装装置500の断面図の一例を概略的に示す。
【図6】実施例1の予備実験の結果を示す。
【図7】実施例2の実験結果を示す。
【図8】実施例2の実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。なお、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、比率、配置等は現実のものとは異なる場合がある。また、説明の都合上、図面相互間においても互いの寸法の関係又は比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0016】
図1は、実装装置100の断面図の一例を概略的に示す。図1では、実装装置100を基板10と共に図示する。実装装置100は、基板10に複数の電子部品を実装して、電子モジュールを製造してよい。実装装置100は、電子部品40、電子部品60および電子部品80と、基板10とを熱圧着してよい。電子部品40、電子部品60および電子部品80は、基板10の上に配された他の複数の電子部品と共に熱圧着されてよい。
【0017】
基板10の種類は特に限定されるものではないが、プリント配線板、フレキシブル基板であってよい。電子部品40、電子部品60および電子部品80の種類は特に限定されるものではないが、抵抗器、コンデンサ等の受動部品、またはICチップであってよい。本実施形態において、基板10は、プリント配線板であってよい。電子部品40および電子部品60は、ICチップであってよい。電子部品80は、抵抗器であってよい。
【0018】
電極の種類は特に限定されるものではないが、本実施形態において、電子部品40の電極42および電子部品80の電極82は半田バンプであってよく、電子部品60の電極62は、スタッドバンプであってよい。この場合、電子部品40および電子部品80は、電極42および電極82の半田が加熱され溶融することで、基板10の電極14および電極18の上に実装される。一方、電子部品60は、針状の電極62が基板10の電極16と接触して潰れることで、基板10の電極16の上に実装される。これにより、電子部品60の実装は、電子部品40および電子部品80の実装より低い温度でも実施できる。
【0019】
本実施形態において、電子部品40、電子部品60および電子部品80と、基板10との間に、接着フィルム24、接着フィルム26および接着フィルム28が配置される。接着フィルム24、接着フィルム26および接着フィルム28は、例えば、少なくとも膜形成樹脂、液状硬化成分および硬化剤からなる。接着フィルム24、接着フィルム26および接着フィルム28は、各種ゴム成分、柔軟剤、各種フィラー類等の添加剤を含んでもよく、更に、導電性粒子を含んでもよい。
【0020】
膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂を例示できる。材料の入手の容易さおよび接続信頼性の観点からフェノキシ樹脂を含むことが好ましい。液状硬化成分としては、液状エポキシ樹脂、アクリレートを例示できる。接続信頼性および硬化物の安定性の観点から2以上の官能基を有することが好ましい。硬化剤としては、液状硬化成分が液状エポキシ樹脂の場合は、イミダゾール、アミン類、スルホニウム塩、オニウム塩を例示できる。液状硬化成分がアクリレートの場合には、有機過酸化物を例示できる。
【0021】
実装装置100は、基板10が載置されるステージ110と、ヘッドユニット120とを備えてよい。ステージ110は、加熱部112を有してよい。加熱部112は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極を加熱してよい。加熱部112は、ヒータであってよい。加熱部112は、複数のヒータを有してよい。このとき、複数のヒータはそれぞれ独立に制御されてよい。また、加熱部112が、電子部品40、電子部品60および電子部品80の少なくとも一つの電極を加熱してよい。例えば、本実施形態において、加熱部112が、電子部品40および電子部品80の半田バンプを加熱してよい。
【0022】
ヘッドユニット120は、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148と、ヘッド150とを有してよい。ヘッド150は、基板10に対向する側の面に凹部154、凹部156および凹部158を有してよい。ヘッド150は、電子部品40、電子部品60および電子部品80を基板10に対して押圧する。
【0023】
ヘッド150は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極から放熱させてよい。ヘッド150は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極から、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148を介して、熱を放散させてよい。ヘッド150は、放熱部の一例であってよい。
【0024】
熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148は、それぞれ、凹部154、凹部156および凹部158に配されてよい。熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148のそれぞれは、実装装置100が熱圧着を実行する場合に、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極と熱的に接続される。
【0025】
これにより、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148の形状、構造または材料を選択することで、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極とヘッド150との間の伝導伝熱を制御できる。熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148は、実装する電子部品の種類、形状、大きさもしくは基板上の位置、または電子部品と基板との接続方法に応じて交換されてよい。
【0026】
熱伝導部材144は、電子部品40の電極42からの放熱が、主に熱伝導部材144を介しておこるように配されてよい。同様に、熱伝導部材146は、電子部品60の電極62からの放熱が、主に熱伝導部材146を介しておこるように配されてよい。熱伝導部材148は、電子部品80の電極82からの放熱が、主に熱伝導部材148を介しておこるように配されてよい。これにより、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極とヘッド150との間の伝導伝熱をより精度よく制御できる。
【0027】
熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148のうち少なくとも一つと、他の熱伝導部材とは、単位時間当たりの伝導熱量が異なってよい。例えば、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148のうち少なくとも一つと、他の熱伝導部材とで、熱伝導率λが異なってよい。これにより、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148の単位時間当たりの伝導熱量を調整することができる。
【0028】
熱伝導部材の単位時間当たりの伝導熱量は、例えば、電子部品の電極とヘッド150との間の熱伝導抵抗、電子部品の電極とヘッド150との間の温度差、または、電子部品の電極とヘッド150との間の伝熱面積により調整することができる。電子部品の電極とヘッド150との間の熱伝導抵抗は、熱伝導部材の熱伝導率の他に、熱伝導部材の厚みまたは熱伝導部材の構造によって調整できる。
【0029】
熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148が、ヘッド150と電子部品の電極との間に設けられる場合には、熱伝導部材の熱伝導率λが小さいほど、熱伝導部材の厚さが厚いほど、ヘッド150と電子部品の電極との温度差が小さいほど、または、ヘッド150もしくは電子部品の電極と熱伝導部材との間の伝熱面積が小さいほど、短時間で電子部品の電極の温度が上昇する。
【0030】
熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148の単位時間当たりの伝導熱量は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極の種類に応じて定められてよい。これにより、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極の温度を、それぞれの電極の種類に応じて異なる温度に調整することができる。その結果、過熱による、基板10の反り、電子部品40の破損等の不具合を抑制することができる。
【0031】
本実施形態において、電子部品40の電極42および電子部品80の電極82は半田バンプであり、半田が溶融する250℃程度の温度で圧着する。一方、電子部品60の電極62はスタッドバンプであり、180℃程度の温度で圧着できる。そこで、熱伝導部材146は、熱伝導部材144および熱伝導部材148と比較して熱伝導率λの大きな材料を含んでよい。
【0032】
これにより、加熱部112が基板10またはステージ110を均一に加熱して、電子部品40、電子部品60および電子部品80と基板10とを熱圧着する場合であっても、電子部品60の電極62から熱伝導部材146を介して放熱される熱量を、電子部品40の電極42から熱伝導部材144を介して放熱される熱量および電子部品80の電極82から熱伝導部材148を介して放熱される熱量より大きくすることができる。その結果、電子部品40の電極42の温度を、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極の温度と比較して低くすることができる。
【0033】
熱伝導部材の単位時間当たりの伝導熱量を調整して電子部品の電極の温度を調整することで、実装する電子部品の種類、形状、大きさもしくは基板上の位置、または電子部品と基板との接続方法が変更されても、当該変更に対して容易に対応することができる。また、加熱部112のヒータの数が実装すべき電子部品の数より少ない場合であっても、より精度よく、複数の電子部品の電極の温度をそれぞれ異なる温度に調整することができる。
【0034】
なお、本実施形態において、熱伝導部材の単位時間当たりの伝導熱量を調整することで、電子部品の電極の温度を調整する場合について説明した。しかし、電子部品の電極の温度を調整する方法は、これに限定されない。例えば、加熱部112が複数の電子部品の電極のそれぞれに対応する複数のヒータを備え、複数のヒータを独立に制御することで、電子部品の電極の温度をそれぞれ調整してもよい。
【0035】
熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148のうち少なくとも1つは、シリコーンゴムなどのエラストマーを含んでよい。熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148のうち少なくとも1つは、ダイラタンシー流体を含んでよい。これにより、異なる種類の電子部品を基板に実装する場合であっても、電子部品にかかる圧力に分布が生じることを抑制でき、電子部品をより均一に加圧できる。
【0036】
熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148の基板10に対向する側の面は、ヘッド150の基板10に対向する側の面から突出してよい。これにより、ヘッド150が、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148を介して、電子部品40、電子部品60および電子部品80を基板10に対して押圧することができる。
【0037】
次に、実装装置100を用いた電子モジュールの製造方法の一例について説明する。本実施形態において、まず、基板10を準備する。電子部品40の電極42、電子部品60電極62のおよび電子部品80の電極82を、それぞれ、基板10の電極14、電極16および電極18と電気的に接続できるように、基板10の上に、電子部品40、電子部品60および電子部品80を配置することで、基板10を準備できる。基板10と、電子部品40、電子部品60および電子部品80との間には、接着フィルム24、接着フィルム26および接着フィルム28が配置される。
【0038】
次に、準備した基板10をステージ110に載置する。その後、ヘッドユニット120をステージ110に向かってフェイスダウンさせ、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148と、電子部品40、電子部品60および電子部品80とを接触させる。そして、加熱部112が電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極を加熱する。
【0039】
本実施形態において、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148の単位時間当たりの伝導熱量は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極の種類に応じて定められている。これにより、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148と、対応する電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極とを熱的に接続することで、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極をそれぞれ異なる温度に調整することができる。
【0040】
なお、加熱部112は、ヘッドユニット120を電子部品40、電子部品60および電子部品80と接触させる前に、予め、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極を、電子部品60の電極62の圧着温度より低い温度まで加熱しておいてもよい。これにより、圧着時間を短縮することができる。
【0041】
電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極が所定の温度に達したら、ヘッド150が、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148を介して、電子部品40、電子部品60および電子部品80を基板10に対して押圧する。これにより、接着フィルム24、接着フィルム26および接着フィルム28の上に仮置された電子部品40、電子部品60および電子部品80と、基板10とを熱圧着することができる。
【0042】
このように、温度調整段階と、熱圧着段階とを経ることにより、複数の電子部品が基板上に実装された電子モジュールを製造できる。また、電子部品の電極の種類に応じて、単位時間当たりの伝導熱量が異なる熱伝導部材を用いることで、電極の種類が異なる複数の電子部品を一括して基板に実装することができる。
【0043】
以上、本実施形態において、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148がヘッド150と基板10との間に配される場合について説明した。しかし、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148の配置方法はこれに限定されない。例えば、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148が加熱部112と基板10との間に配されてもよい。
【0044】
このとき、熱伝導部材144は、加熱部112から電子部品40の電極42への伝導伝熱が、主に熱伝導部材144を介しておこるように配されてよい。同様に、熱伝導部材146は、加熱部112から電子部品60の電極62への伝導伝熱が、主に熱伝導部材146を介しておこるように配されてよい。熱伝導部材148は、加熱部112から電子部品80の電極82への伝導伝熱が、主に熱伝導部材148を介しておこるように配されてよい。これにより、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極と加熱部112との間の伝導伝熱をより精度よく制御できる。
【0045】
熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148が、加熱部112と基板10との間に設けられる場合には、熱伝導部材の熱伝導率λが大きいほど、熱伝導部材の厚さが小さいほど、加熱部112と電子部品の電極との温度差が大きいほど、または、加熱部112もしくは電子部品の電極と熱伝導部材の間の伝熱面積が大きいほど、短時間で電子部品の電極の温度が上昇する。
【0046】
なお、本実施形態において、加熱部112がステージ110に配される場合について説明した。しかし、加熱部112はこれに限定されない。例えば、加熱部112はヘッド150に配されてもよい。このとき、ステージ110が放熱部として機能してもよい。
【0047】
本実施形態において、基板10の電子部品が実装されていない面がステージ110と対向するように、基板10をステージ110の上に載置して、ヘッド150で電子部品を基板10に対して押圧した。しかし、実装装置100はこれに限定されない。例えば、基板10の電子部品が実装されている面がステージ110と対向するように、基板10をステージ110の上に載置して、ヘッド150で基板10を電子部品に対して押圧してよい。このとき、ステージ110にダイラタンシー流体が配されていてもよい。
【0048】
図2は、実装装置200の断面図の一例を概略的に示す。図2では、実装装置200を基板10と共に図示している。実装装置200は、ヘッドユニット120の代わりにヘッドユニット220を備える以外は、実装装置100と同様の構成を有してよい。そこで、実装装置200については、ヘッドユニット220とヘッドユニット120との相違点を中心に説明し、重複する説明については省略する場合がある。
【0049】
ヘッドユニット220は、伝熱ユニット230と、ヘッド250と、放熱板260とを有してよい。伝熱ユニット230は、ヘッドユニット220に着脱自在に配されてよい。これにより、実装する電子部品の種類、形状、大きさもしくは基板上の位置、または電子部品と基板との接続方法に応じて、伝熱ユニット230を容易に交換することができる。
【0050】
本実施形態において、伝熱ユニット230は、放熱板260と基板10との間に配されてよい。伝熱ユニット230は、支持部232と、熱伝導部材144と、熱伝導部材146と、熱伝導部材148とを有してよい。
【0051】
支持部232は、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148を支持する。支持部232には、貫通孔234、貫通孔236および貫通孔238が形成されてよい。熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148は、それぞれ、貫通孔234、貫通孔236および貫通孔238に配されてよい。
【0052】
なお、本実施形態において、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148が、支持部232に設けられた貫通孔に配される場合について説明した。しかし、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148の配置方法は、これに限定されない。例えば、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148が、支持部232に設けられた凹部に配されてもよい。
【0053】
支持部232は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極から放熱させてよい。支持部232は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極から、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148を介して、熱を放散させてよい。支持部232は、放熱部の一例であってよい。
【0054】
この場合、支持部232は、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148のうちの少なくとも一つより熱伝導率λの大きな材料で形成されてよい。これにより、支持部232より熱伝導率λの小さな熱伝導部材を介して、電子部品から放熱される熱の移動が、支持部232における熱伝導により律速されることを防止できる。
【0055】
一方、本実施形態において、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148は、それぞれ、貫通孔234、貫通孔236および貫通孔238に配される。そこで、支持部232は、断熱性を有する材料で形成されてよい。または、支持部232は、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148のうちの少なくとも一つより熱伝導率λの小さな材料で形成されてよい。
【0056】
これにより、貫通孔234、貫通孔236および貫通孔238の側面からの伝導伝熱を抑制できる。その結果、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148の形状、構造または材料を選択することで、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極と放熱板260との間の伝導伝熱をより精度よく制御できる。
【0057】
本実施形態において、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148は、それぞれ、放熱板260と、電子部品40の電極42、電子部品60の電極62および電子部品80の電極82のそれぞれとの間に設けられてよい。これにより、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148の形状、構造または材料を選択することで、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極と放熱板260との間の伝導伝熱を制御できる。
【0058】
熱伝導部材144は、電子部品40の電極42から放熱板260への伝導伝熱が、主に熱伝導部材144を介しておこるように配されてよい。同様に、熱伝導部材146は、電子部品60の電極62から放熱板260への伝導伝熱が、主に熱伝導部材146を介しておこるように配されてよい。熱伝導部材148は、電子部品80の電極82から放熱板260への伝導伝熱が、主に熱伝導部材148を介しておこるように配されてよい。これにより、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極と放熱板260との間の伝導伝熱をより精度よく制御できる。
【0059】
伝熱ユニット230が放熱板260と電子部品の電極との間に設けられる場合には、熱伝導部材の熱伝導率λが小さいほど、熱伝導部材の厚さが厚いほど、放熱板260と電子部品の電極との温度差が小さいほど、または、放熱板260もしくは電子部品との電極と熱伝導部材の間の伝熱面積が小さいほど、短時間で電子部品の電極の温度が上昇する。
【0060】
ヘッド250は、伝熱ユニット230を介して、電子部品を基板10に押圧してよい。これにより、ヘッド250は、熱伝導部材144を介して電子部品40を基板10に対して押圧することができる。ヘッド250は、熱伝導部材146を介して電子部品60を基板10に対して押圧することができる。ヘッド250は、熱伝導部材148を介して電子部品80を基板10に対して押圧することができる。
【0061】
ヘッド250は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極から放熱させてよい。ヘッド250は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極から、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148を介して、熱を放散させてよい。ヘッド250は、放熱部の一例であってよい。
【0062】
放熱板260は、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極から放熱させてよい。放熱板260は、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148を介して、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極から熱を放散させてよい。放熱板260は、放熱部の一例であってよい。放熱部の他の例としては、熱交換器を例示できる。
【0063】
放熱板260は、ヘッド250に設けられ、ヘッド250を冷却してよい。実装する電子部品の種類、形状、大きさもしくは基板上の位置、または電子部品と基板との接続方法に応じて、放熱板260の配置もしくは冷却能力を変更してもよい。放熱板260の冷却能力は、例えば、放熱板260の材質、大きさ等を変更することで変更できる。
【0064】
以上、本実施形態において、伝熱ユニット230が放熱板260と基板10との間に配される場合について説明した。しかし、伝熱ユニット230はこれに限定されない。例えば、伝熱ユニット230が加熱部112と基板10との間に設けられてもよい。このとき、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148は、それぞれ、加熱部112と、電子部品40の電極42、電子部品60の電極62および電子部品80の電極82のそれぞれとの間に配される。
【0065】
熱伝導部材144は、加熱部112から電子部品40の電極42への伝導伝熱が、主に熱伝導部材144を介しておこるように配されてよい。同様に、熱伝導部材146は、加熱部112から電子部品60の電極62への伝導伝熱が、主に熱伝導部材146を介しておこるように配されてよい。熱伝導部材148は、加熱部112から電子部品80の電極82への伝導伝熱が、主に熱伝導部材148を介しておこるように配されてよい。これにより、電子部品40、電子部品60および電子部品80のそれぞれの電極と加熱部112との間の伝導伝熱をより精度よく制御できる。
【0066】
伝熱ユニット230が加熱部112と基板10との間に設けられる場合には、熱伝導部材の熱伝導率λが大きいほど、熱伝導部材の厚さが小さいほど、加熱部112と電子部品の電極との温度差が大きいほど、または、加熱部112もしくは電子部品の電極と熱伝導部材の間の伝熱面積が大きいほど、短時間で電子部品の電極の温度が上昇する。
【0067】
図3は、伝熱ユニット330の断面図の一例を概略的に示す。伝熱ユニット330は、支持部332と、熱伝導部材344と、熱伝導部材346と、熱伝導部材348および熱伝導部材349の積層体とを有してよい。伝熱ユニット330、支持部332、熱伝導部材344、熱伝導部材346、熱伝導部材348および熱伝導部材349の積層体は、それぞれ、伝熱ユニット230、支持部232、熱伝導部材144、熱伝導部材146および熱伝導部材148に対応する。
【0068】
対応する部材同士は、同様の構成を有してよい。よって、伝熱ユニット330およびその構成要素については、伝熱ユニット230およびその構成要素との相違点を中心に説明し、重複する説明については省略する場合がある。
【0069】
支持部332には、貫通孔334、凹部336および凹部338が形成されてよい。熱伝導部材344および熱伝導部材346は、それぞれ、貫通孔334および凹部336に配されてよい。熱伝導部材344の厚さは、熱伝導部材346の厚さより厚い。これにより、熱伝導部材344と熱伝導部材346とが同一の材料により形成されている場合であっても、熱伝導部材344と熱伝導部材346とでは、単位時間当たりの伝導熱量が異なる。
【0070】
熱伝導部材348および熱伝導部材349は、凹部338に積層されて配されてよい。これにより、熱伝導部材348および熱伝導部材349の積層体が形成される。熱伝導部材348の材料と熱伝導部材349の材料とは、同一であってもよく、異なってもよい。熱伝導部材348の材料と熱伝導部材349の材料とが同一の場合であっても、熱伝導部材348と熱伝導部材349との境界における熱抵抗により、上記積層体と同一の厚さの熱伝導部材と、上記積層体とでは単位時間当たりの伝導熱量が異なる。これにより、熱伝導部材346の厚さと、熱伝導部材348および熱伝導部材349積層体の厚さが同一の場合であっても、熱伝導部材346と熱伝導部材348および熱伝導部材349の積層体とでは、単位時間当たりの伝導熱量が異なる。
【0071】
図4は、伝熱ユニット430の断面図の一例を概略的に示す。伝熱ユニット430は、支持部432と、熱伝導部材444と、熱伝導部材446と、熱伝導部材448とを有してよい。伝熱ユニット430、支持部432、熱伝導部材444および熱伝導部材446は、それぞれ、伝熱ユニット230または伝熱ユニット330、支持部232または支持部332、熱伝導部材144または熱伝導部材344、および、熱伝導部材146または熱伝導部材346に対応する。熱伝導部材448は、熱伝導部材148、または、熱伝導部材348および熱伝導部材349の積層体に対応する。
【0072】
対応する部材同士は、同様の構成を有してよい。よって、伝熱ユニット430およびその構成要素については、伝熱ユニット230または伝熱ユニット330およびそれらの構成要素との相違点を中心に説明し、重複する説明については省略する場合がある。
【0073】
支持部432には、貫通孔434、貫通孔436および凹部438が形成されてよい。熱伝導部材444、熱伝導部材446および熱伝導部材448は、それぞれ、貫通孔434、貫通孔436および凹部438に配されてよい。
【0074】
熱伝導部材444は、ヘッド250と対向する側の面に凹部445を有してよい。これにより、熱伝導部材444は、凹部445がない場合と比較して、熱伝導部材444とヘッド250との間の伝熱面積が小さい。その結果、熱伝導部材444は、凹部445がない場合と比較して、単位時間当たりの伝導熱量が小さい。
【0075】
熱伝導部材446は、貫通孔447を有してよい。これにより、熱伝導部材446は、貫通孔447がない場合と比較して、熱伝導部材446とヘッド250との間の伝熱面積および熱伝導部材446と電子部品との間の伝熱面積が小さい。その結果、熱伝導部材446は、貫通孔447がない場合と比較して、単位時間当たりの伝導熱量が小さい。
【0076】
熱伝導部材448は、凹部438と対向する側の面に凹部449を有してよい。これにより、熱伝導部材448は、凹部449がない場合と比較して、熱伝導部材448と支持部432との間の伝熱面積が小さい。その結果、熱伝導部材448は、凹部449がない場合と比較して、単位時間当たりの伝導熱量が小さい。
【0077】
図5は、実装装置500の断面図の一例を概略的に示す。図5では、実装装置500を基板10と共に図示している。実装装置500は、ステージ510がステージ110と異なる以外は、実装装置200と同様の構成を有してよい。そこで、実装装置500については、ステージ510とステージ110との相違点を中心に説明し、重複する説明については省略する場合がある。
【0078】
ステージ510は、加熱部112と、個別ステージ514と、個別ステージ516と、個別ステージ518とを有する。個別ステージ514は、電子部品40が配置される領域に対応する。個別ステージ516は、電子部品60が配置される領域に対応する。個別ステージ518は、電子部品80が配置される領域に対応する。
【0079】
本実施形態において、加熱部112は、個別ステージ514を介して電子部品40の電極42を加熱する。加熱部112は、個別ステージ516を介して電子部品60の電極62を加熱する加熱部112は、個別ステージ518を介して電子部品80の電極82を加熱するこれにより、圧着による、基板10、電子部品40、電子部品60または電子部品80の反りを抑制することができる。個別ステージの面積は、対応する電子部品の面積の1.3倍以上6.5倍以下であってよい。これにより、電子部品および基板の反りを効果的に抑制できる。
【実施例】
【0080】
(実施例1)
熱伝導率λが3.0[W/mK]のゴムと、熱伝導率λが0.21[W/mK]のゴムとが配されたヘッドを用いて、厚さが0.2mmのプリント配線板に、Auスタッドバンプを有するLSIと、ソルダーバンプを有するLSIとを実装した。Auスタッドバンプを有するLSIおよびソルダーバンプを有するLSIと、プリント配線基板との間には、厚さが50μmのNCF(Non−Conductive Film)を配置した。NCFは熱硬化性樹脂および硬化剤を含んでおり、硬化開始温度以上に加熱されると硬化を開始する。これにより、上記のLSIの背面とプリント配線基板とがNCFにより接着され、上記のLSIがプリント配線基板上に固定される。
【0081】
NCFは、以下の手順で作製した。まず、フェノキシ樹脂10質量部(東都化成株式会社製、YP50)、液状エポキシ樹脂10質量部(ジャパンエポキシレジン株式会社製、EP828)、イミダゾール系潜在性硬化剤15質量部(旭化成株式会社製、ノバキュア3941HP)、ゴム成分5質量部(レジナス化成株式会社製、RKB)、無機フィラー50質量部(株式会社アドマテックス製、SOE2)、シランカップリング剤1質量部(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、A−187)に、トルエン100質量部を加え攪拌し、均一な樹脂溶液を調整した。
【0082】
次に、上記の樹脂溶液を剥離基材上にバーコーターを用いて塗布し、80℃の加熱オーブンにて溶媒を揮発および乾燥させた。剥離基材の材質は、ポリエチレンテレフタレートを選択した。これにより、一方の側に剥離基材を有するNCFが得られた。得られたNCFは、以下の手順でプリント基板上に貼り付けた。まず、剥離基材とともに、NCFを所定の形状にスリットした。次に、プリント配線基板上にNCFを仮貼りし、剥離基材を剥離することで、プリント配線基板上にNCFを貼り付けた。
【0083】
熱伝導率λが3.0[W/mK]のゴム、および、熱伝導率λが0.21[W/mK]のゴムは、それぞれ、平面形状が1辺50mmの正方形であり、厚さが5mmのゴムを用いた。Auスタッドバンプを有するLSIおよびソルダーバンプを有するLSIは、それぞれ、平面形状が一辺6.3mmの正方形であり、厚さが0.2mmのLSIの裏面に、Auスタッドバンプまたはソルダーバンプが85μmピッチで配されたものを用いた。
【0084】
熱伝導率λが3.0[W/mK]のゴムを介して、Auスタッドバンプを有するLSIをプリント配線板に押圧した。熱伝導率λが0.21[W/mK]のゴムを介して、ソルダーバンプを有するLSIをプリント配線板に押圧した。加熱部の設定は、ステージの温度が265℃になるように設定した。圧着時間は20秒に設定した。これにより、Auスタッドバンプを有するLSIのAuスタッドバンプと、プリント配線板の電極とを電気的に接続した。また、ソルダーバンプを有するLSIのソルダーバンプ、プリント配線板の電極とを電気的に接続した。
【0085】
なお、それぞれのゴムの熱伝導率λおよび圧着時間は、それぞれのLSIのバンプの種類の応じて決定した。それぞれのゴムの熱伝導率λを決定するにあたり、熱伝導率λが5.0[W/mK]のゴムと、熱伝導率λが3.0[W/mK]のゴムと、熱伝導率λが0.21[W/mK]のゴムとが配されたヘッドを用いて、予め予備実験を実施した。予備実験において、それぞれのゴムの平面形状および厚さ、NCFおよびプリント配線板の厚さ、ならびに、加熱部の設定は、実施例1と同様とした。それぞれのゴムが配されたヘッドをプリント配線板に押圧して、プリント配線板のそれぞれのゴムと接する領域の温度の経時変化を測定した。
【0086】
図6に、予備実験の結果を示す。図6の横軸は、圧着を開始してからの経過時間[秒](図中、圧着時間と表記する。)を表す。図6の縦軸は、プリント配線板のそれぞれの領域における温度[℃]を表す。
【0087】
曲線602は、熱伝導率λが0.21[W/mK]のゴムと接する領域の温度の経時変化を示す。圧着時間が15秒を超えると温度の上昇速度が緩やかになった。圧着時間が20秒の時点における温度は、250℃であった。曲線604は、熱伝導率λが3.0[W/mK]のゴムと接する領域の温度の経時変化を示す。圧着時間が15秒を超えると温度の上昇速度が緩やかになった。圧着時間が20秒の時点における温度は、185℃であった。曲線606は、熱伝導率λが5.0[W/mK]のゴムと接する領域の温度の経時変化を示す。圧着時間が15秒を超えると温度の上昇速度が緩やかになった。圧着時間が20秒の時点における温度は、175℃であった。
【0088】
Auスタッドバンプは、180〜185℃で圧着できる。ソルダーバンプは、250℃程度で圧着できる。そこで、図6に示した予備実験の結果に基づき、圧着時間を20秒と決定した。また、2つのゴムの熱伝導率λを、それぞれ、3.0[W/mK]と0.21[W/mK]とに決定した。
【0089】
圧着後、それぞれのLSIについて、それぞれのバンプとプリント配線板の電極との間の導通抵抗を測定した。導通抵抗は、4端子法で測定した。導通抵抗は2回の測定値の平均値として求めた。Auスタッドバンプを有するLSIのAuスタッドバンプとプリント配線板の電極との間の導通抵抗は0.11Ωであり、十分に低い値であった。ソルダーバンプを有するLSIのソルダーバンプとプリント配線板の電極との間の導通抵抗は、0.10Ωであり、十分に低い値であった。実施例1の結果より、両者とも良好に実装できていることがわかる。
【0090】
ゴムは、熱伝導部材の一例であってよい。よって、実施例1の結果より、単位時間あたりの伝導熱量が異なる熱伝導部材を用いて、複数の電子部品のそれぞれの電極をそれぞれ異なる温度に調整することで、異なる種類の電極を有する複数の電子部品を基板に実装できることがわかる。
【0091】
(実施例2)
ステージの大きさを変えて、厚さが0.6mmのプリント配線板に、平面形状が一辺6.3mmの正方形であり、厚さが0.2mmのLSIの裏面に、Auスタッドバンプが150μmピッチで配されたLSIを実装した。LSIは、厚さが50μmのNCF(Non−Conductive Film)を用いて、プリント配線板に実装した。ヘッドとLSIとの間に、厚さが0.05mmのテフロン(登録商標)シートを配して圧着を実施した。
【0092】
圧着は、以下の手順で実施した。まず、温度が60℃、圧力が5kgf、圧着時間3秒の条件で、LSIをプリント配線板に仮圧着した。次に、温度が180℃、圧力が10kgf、圧着時間20秒の条件で、LSIをプリント配線板に圧着した。ステージの平面形状は正方形とし、ステージの大きさが、1辺が7mm、15mm、20mmおよび40mmである場合のそれぞれについて、同様の条件で実験した。
【0093】
図7は、ステージの大きさとプリント配線板およびLSIの反り量との関係を示す。図7の横軸は、ステージの大きさを表す。図7の縦軸は、プリント配線板およびLSIの反り量を示す。反り量は、プリント配線板およびLSIの中心部が盛り上がっている場合を正とし、プリント配線板およびLSIの周縁部が盛り上がっている場合を負とした。図7において、四角形のプロットはプリント配線板の反り量を示し、菱形のプロットはLSIの反り量を示す。
【0094】
図8は、ステージの大きさとプリント配線板およびLSIの反り量の差との関係を示す。反り量の差は、図7の実験結果に基づいて、ステージの1辺が7mm、15mm、20mmおよび40mmである場合のそれぞれについて、LSIの反り量からプリント配線板の反り量を引くことで算出できる。
【0095】
図7および図8に示すとおり、全ての場合についてプリント配線板およびLSIの反り量を非常に小さくすることができた。これらの結果より、ステージの大きさを小さくすることで、プリント配線板およびLSIの反り量を低減できることがわかる。これにより、ステージに電子部品対応する個別ステージを設けることで、基板および電子部品の反り量を低減できることがわかる。
【0096】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0097】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0098】
10 基板
14 電極
16 電極
18 電極
24 接着フィルム
26 接着フィルム
28 接着フィルム
40 電子部品
42 電極
60 電子部品
62 電極
80 電子部品
82 電極
100 実装装置
110 ステージ
112 加熱部
120 ヘッドユニット
144 熱伝導部材
146 熱伝導部材
148 熱伝導部材
150 ヘッド
154 凹部
156 凹部
158 凹部
200 実装装置
220 ヘッドユニット
230 伝熱ユニット
232 支持部
234 貫通孔
236 貫通孔
238 貫通孔
250 ヘッド
260 放熱板
330 伝熱ユニット
332 支持部
334 貫通孔
336 凹部
338 凹部
344 熱伝導部材
346 熱伝導部材
348 熱伝導部材
349 熱伝導部材
430 伝熱ユニット
432 支持部
434 貫通孔
436 貫通孔
438 凹部
444 熱伝導部材
445 凹部
446 熱伝導部材
447 貫通孔
448 熱伝導部材
449 凹部
500 実装装置
510 ステージ
514 個別ステージ
516 個別ステージ
518 個別ステージ
602 曲線
604 曲線
606 曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品と基板とを熱圧着する実装装置であって、
前記複数の電子部品のうちの第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極を加熱する加熱部と、
前記第1電子部品および前記第2電子部品のそれぞれの電極から放熱させる放熱部と、
前記加熱部または前記放熱部と前記第1電子部品の電極との間に設けられた第1熱伝導部材と、
前記加熱部または前記放熱部と前記第2電子部品の電極との間に設けられた第2熱伝導部材と
を備え、
前記第1熱伝導部材と前記第2熱伝導部材とは、単位時間当たりの伝導熱量が異なる
実装装置。
【請求項2】
前記基板が載置されるステージと、
前記第1熱伝導部材を介して前記第1電子部品を前記基板に対して押圧し、前記第2熱伝導部材を介して前記第2電子部品を前記基板に対して押圧するヘッドと
をさらに備える
請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記第1熱伝導部材および前記第2熱伝導部材は、エラストマーで形成されている
請求項2に記載の実装装置。
【請求項4】
前記ステージは、
前記第1電子部品が配置される領域に対応する第1個別ステージと、
前記第2電子部品が配置される領域に対応する第2個別ステージと
を有し、
前記加熱部は、前記第1個別ステージを介して前記第1電子部品の電極を加熱し、前記第2個別ステージを介して前記第2電子部品の電極を加熱する
請求項2または3に記載の実装装置。
【請求項5】
前記第1熱伝導部材と前記第2熱伝導部材とは、熱伝導率が異なる
請求項1から4のいずれかに記載の実装装置。
【請求項6】
前記第1熱伝導部材の単位時間当たりの伝導熱量は、前記第1電子部品の電極の種類に応じて定められており、
前記第2熱伝導部材の単位時間当たりの伝導熱量は、前記第2電子部品の電極の種類に応じて定められている
請求項1から5のいずれかに記載の実装装置。
【請求項7】
複数の電子部品が基板に実装された電子モジュールの製造方法であって、
前記複数の電子部品のうちの第1電子部品および第2電子部品のそれぞれの電極をそれぞれ異なる温度に調整する温度調整段階と、
前記第1電子部品および前記第2電子部品のそれぞれと前記基板とを熱圧着する熱圧着段階と
を備える製造方法。
【請求項8】
前記第1電子部品および前記第2電子部品のそれぞれの電極を加熱する加熱部と、前記第1電子部品および前記第2電子部品のそれぞれの電極から放熱させる放熱部と、前記加熱部または前記放熱部と前記第1電子部品の電極との間に設けられた第1熱伝導部材と、前記加熱部または前記放熱部と前記第2電子部品の電極との間に設けられた第2熱伝導部材とを備える実装装置により実行され、
前記第1熱伝導部材と前記第2熱伝導部材とは、単位時間当たりの伝導熱量が異なり、
前記温度調整段階は、前記加熱部が前記第1電子部品および前記第2電子部品のそれぞれの電極を加熱し、前記放熱部が前記第1電子部品および前記第2電子部品のそれぞれの電極から放熱させることで、前記第1電子部品および前記第2電子部品のそれぞれの電極をそれぞれ異なる温度に調整する、
請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記実装装置は、
前記基板が載置されるステージと、
前記第1熱伝導部材を介して前記第1電子部品を前記基板に対して押圧し、前記第2熱伝導部材を介して前記第2電子部品を前記基板に対して押圧するヘッドとを更に備え、
前記熱圧着段階は、
前記ステージに前記基板を載置する載置段階と、
前記ヘッドが、前記第1熱伝導部材を介して前記第1電子部品を前記基板に対して押圧し、前記第2熱伝導部材を介して前記第2電子部品を前記基板に対して押圧する押圧段階とを有する、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1熱伝導部材および前記第2熱伝導部材は、エラストマーで形成されている、
請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記温度調整段階の前に、前記第1電子部品および前記第2電子部品と前記基板との間に、熱硬化性樹脂を含む接着フィルムを配置するフィルム配置段階を更に備え、
前記熱圧着段階は、前記接着フィルムを熱硬化させることにより、前記第1電子部品および前記第2電子部品のそれぞれと前記基板とを熱圧着する、
請求項7から10のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−109046(P2011−109046A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265650(P2009−265650)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】