説明

容器搬送装置

【課題】複数の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを並列させた複列搬送手段6に容器2をアキュームする際に、衝撃が発生したり後方の容器から押し圧がかかることを防止する。
【解決手段】単列で容器を搬送する上流側コンベヤ4と前記複列搬送手段の間に上流側接続手段8を設け、上流側コンベヤといずれかの単列コンベヤとを選択的に接続する。複列搬送手段と単列で容器を搬送する下流側コンベヤ10の間に下流側接続手段12を設け。いずれか一つの単列コンベヤを下流側コンベヤに接続する。上流側接続手段と複列搬送手段を、その前後の搬送手段よりも低速で運転する。下流側コンベヤに設けた検知手段70が容器の滞留を検知したときに、上流側接続手段を切り換えるとともに、それまで容器を搬送していた単列コンベヤを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器搬送装置に係り、特に、容器の搬送経路の途中に、容器を一時的に貯留するアキューム装置を備えた容器搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上流側の容器処理装置で処理をした容器を搬送コンベヤを介して下流側の容器処理装置に送って別の処理を行う容器処理ラインにおいて、下流側の容器処理装置がトラブル等により停止しあるいは減速したために搬送コンベヤ上に容器が滞留した場合に、上流側の容器処理装置を停止させずに運転を継続できるようにするために、容器を一時的に貯留するアキューム装置を備えた容器搬送装置が従来から用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載されたアキューム装置は、上流側の容器処理装置に接続されて処理済みの容器を搬送する第1コンベヤと、下流側の容器処理装置に接続されて前記上流側容器処理装置で処理された容器を送り込む第2コンベヤと、これら上流側の第1コンベヤと下流側の第2コンベヤとの中間に配置され、複数の単列コンベヤを並列に配置したアキュームコンベヤと、上流側の第1コンベヤによって搬送されてきた容器を、アキュームコンベヤの各列に分岐させて導入することが可能な導入手段と、アキュームコンベヤの各列上の容器を下流側の第2コンベヤ上に合流させる排出手段と、アキュームコンベヤの各列上の容器をそれぞれ停止させるストッパと、下流側の容器処理装置の停止等による容器の滞留状態や、アキュームコンベヤの各列上の容器の貯留状態を検知するセンサと、これらセンサからの信号により前記導入手段、排出手段およびストッパ等の作動を制御する制御装置等を備えている。
【0004】
前記アキューム装置は、通常の運転時には、上流側の容器処理装置で処理された容器が第1コンベヤによって搬送され、導入手段によってアキュームコンベヤの一つの単列コンベヤに送られて搬送された後、排出手段から第2コンベヤを経て下流側の容器処理装置に供給される。また、下流側の容器処理装置が、トラブル等により停止して次第に上流側に向かって容器が滞留していった場合には、上流側の容器処理装置で処理されて送られてきた容器を、導入手段によってアキュームコンベヤの前記単列コンベヤとは別の各列に分岐させて順次導入し貯留していく。そして、下流側の容器処理装置が復帰したときには、先ず、通常運転時に使用していた単列コンベヤ上の容器を排出した後、その他の各列コンベヤに貯留した容器を、貯留した順にストッパを開放して、排出手段によって下流側の第2コンベヤ上に送り出すようにして、上流側の容器処理装置で処理された順に下流側の容器処理装置に供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−72235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたアキューム装置は、アキュームコンベヤ上に容器をアキュームする場合に、各単列コンベヤの下流端付近に設けているストッパを作動させて、その単列コンベヤに導入されてきた容器を停止させてアキュームするようにしている。この装置のようにコンベヤの走行により搬送されてきた容器をストッパによって強制的に停止させると、大きな衝撃が発生し、また、ストッパに停止された容器に次々と後続の容器が当たって停止されるため、後続の容器からの押し圧がかかって容器が傷ついたり変形するという問題があった。そして、このような問題を回避するために、あまり多くの容器を貯留させることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器を単列で搬送する上流側コンベヤと、容器を単列で搬送する単列コンベヤを複数列配置した複列搬送手段と、前記上流側コンベヤと前記複列搬送手段のいずれかの単列コンベヤとを選択的に接続する上流側接続手段と、容器を単列で搬送する下流側コンベヤと、前記複列搬送手段のいずれかの単列コンベヤと前記下流側コンベヤとを選択的に接続する下流側接続手段と、下流側コンベヤ上の容器の滞留を検出する検出手段と、この検出手段の検出信号が入力されるとともに、前記複列搬送手段の各単列コンベヤ、前記上流側搬送手段および下流側搬送手段の作動を制御する制御手段とを備え、前記複列搬送手段のいずれかの単列コンベヤを介して上流側コンベヤから下流側コンベヤへ容器を搬送し、下流側コンベヤに容器が滞留したときには、上流側接続手段の作動により接続を切り換えて、異なる単列コンベヤに容器を搬入して貯留する容器搬送装置において、前記上流側接続手段は、前記上流側コンベヤと接続されて単列で容器を搬送する導入コンベヤを備え、この導入コンベヤから前記複列搬送手段の各単列コンベヤまでの間を、前記上流側コンベヤおよび下流側コンベヤよりも容器搬送速度を遅く設定し、上流側コンベヤによって間隔をあけて搬送されてきた容器の間隔を接近させて搬送し、かつ、下流側コンベヤ上の容器の滞留を検出して、制御手段が下流側接続手段を切り換えて別の単列コンベヤに容器を搬入した際に、これまで容器を搬送していた単列コンベヤを停止させることを特徴とするものである。
【0008】
また、第2の発明は、前記上流側接続手段は、容器の本数をカウントする計数手段を備え、前記複列搬送手段の単列コンベヤに搬入される容器の本数をカウントすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器搬送装置は、上流側接続手段の導入コンベヤから複列搬送手段の各単列コンベヤまでの搬送速度を上流側コンベヤおよび下流側コンベヤよりも遅く設定してあるので、複列搬送手段の単列コンベヤ上では容器が接近した状態で搬送されており、下流側コンベヤに容器が滞留したときには、上流側接続手段によって、容器を搬入していた単列コンベヤから他の単列コンベヤに切り換えて容器を搬入するとともに、容器を搬送していた単列コンベヤを停止させることにより、多数の容器を接近させた状態で貯留することができるので、容器を貯留する際に容器に衝撃を与えることがなく、また、停止した容器に後方の容器からの押し圧がかかることもない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】容器搬送装置の全体の構成を示す平面図である。(実施例1)
【図2】複列搬送手段の横断面図である。
【図3】上流側コンベヤおよび上流側接続手段の平面図である。
【図4】下流側接続手段の平面図である。
【図5】(a)〜(d)図は、それぞれ異なる搬送状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
単列で容器を搬送する上流側コンベヤと、単列で容器を搬送する単列コンベヤを複数列配置して成る複列搬送手段との間に上流側接続手段が配置され、上流側コンベヤを複数の単列コンベヤのいずれかに選択的に接続する。また、前記複列搬送手段と、単列で容器を搬送する下流側コンベヤとの間に下流側接続手段が配置され、複列搬送手段のいずれかの単列コンベヤと下流側コンベヤとを選択的に接続する。下流側コンベヤには容器が滞留したときにこれを検出する検出手段が設けられており、この検出手段の検出信号が入力されるとともに、前記各単列コンベヤの駆動と、上流側接続手段および下流側接続手段の作動を制御する制御手段を備えている。上流側コンベヤから搬送されてきた容器を複列搬送手段のいずれかの単列コンベヤを介して下流側コンベヤに搬送するようになっており、下流側コンベヤ上に容器が滞留したことを検出手段が検出した際に、上流側接続手段を切り換えて上流側コンベヤから異なる他の単列コンベヤに容器を搬入して貯留するようにした装置であって、前記上流側接続手段は、単列で容器を搬送する導入コンベヤを備えており、この導入コンベアから前記複列搬送手段の各単列コンベヤまでの搬送速度を、上流側コンベヤおよび下流側コンベヤの容器搬送速度よりも遅く設定し、しかも、前記のように下流側コンベヤに容器が滞留したために異なる単列コンベヤに切り換えて容器を搬入するようにした際には、容器を搬入する単列コンベヤを切り換える毎に、これまで容器を搬送していた単列コンベヤを停止させるようにしたので、単列コンベヤに貯留された容器をストッパ等により強制的に停止させる必要がなく、容器やストッパに衝撃や後方からの押し圧が作用することもないので、容器が変形したり傷付いたりすることを防止するという目的を達成する。また、単列コンベヤでは容器の間隔を接近させて搬送しているため、単列コンベヤの全長に亘って効率的に多数の容器を貯留することができる。
【実施例1】
【0012】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この容器搬送装置は、図示しない上流側の容器処理装置に接続され、この容器処理装置で処理された容器2を単列で搬送する上流側コンベヤ4と、複数の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを平行に配置して構成した複列搬送手段6と、上流側コンベヤ4によって単列で搬送されてきた容器2を、前記複列搬送手段6のいずれかの単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hへ分岐させて導入する上流側接続手段8と、図示しない下流側の容器処理装置に接続され、前記上流側容器処理装置で処理されて複列搬送手段6によって搬送されてきた容器2を下流側容器処理装置に送り込む下流側コンベヤ10と、複列搬送手段6の各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hによって搬送されてきた容器2を、単列で容器2を搬送する下流側コンベヤ10上に集合させる下流側接続手段12とを備えている。
【0013】
複列搬送手段6は、図2に示すように、それぞれ両側の搬送ガイド14を備えた複数の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを平行に配置した構成をしており、この実施例では8列の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを備えている。
【0014】
上流側コンベヤ4によって搬送されてきた容器2を、複列搬送手段6の各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hのいずれかに分岐させて送り出す上流側接続手段8について、図3により説明する。上流側接続手段8は、その上流部を構成する導入コンベヤ16と、下流側の分岐部18とを有している。導入コンベヤ16は単列で容器2を搬送するようになっている。この導入コンベヤ16の上流端16aが上流側コンベヤ4の下流端4aに並列して配置されており、上流側コンベヤ4の上方から導入コンベヤ16の上方に亘って配置された固定ガイド20によって、上流側コンベヤ4上を単列で搬送されてきた容器2を導入コンベヤ16上に乗り移らせるようになっている。導入コンベヤ16によって搬送される容器2は、前記固定ガイド20によって案内されて分岐部18の幅方向の中央部に向けて搬送される。
【0015】
分岐部18は、送られてきた容器2を搬送するコンベヤ(以下、分岐コンベヤ22と呼ぶ)と、この分岐コンベヤ22の上方に配置されて、分岐コンベヤ22上を搬送される容器2を案内する揺動ガイド24およびその下流側の分岐ガイド26を備えている。揺動ガイド24は、分岐コンベヤ22の上流端の中央部24aを支点として、下流側を容器搬送方向の左右に揺動できるようになっている。上流側コンベヤ4および導入コンベヤ16の上方に配置された前記固定ガイド20の下流端が、揺動ガイド24の上流端に接続されている。
【0016】
揺動ガイド24の下流端に接続されている分岐ガイド26は、揺動ガイド24と一体として容器搬送方向の左右に揺動するとともに、容器搬送方向の前後に伸縮可能な伸縮部28と、この伸縮部28の先端(下流端)に連結された直進部30とを有している。直進部30は取付部材32を介して可動フレーム34に連結されており、可動フレーム34の容器搬送方向への移動(図3中に実線で示す位置と想像線で示す位置との間で進退動する)によって進退動する。また、取付部材32は可動フレーム34上を容器搬送方向の左右に往復移動できるようになっており、分岐コンベヤ22の両端部間に亘って往復移動する。可動フレーム34の容器搬送方向の前後への移動によって、分岐ガイド26の直線部30が容器搬送方向に進退動することにより、前記伸縮部28が揺動ガイド24に対して伸縮する。また、分岐ガイド26の直線部30が可動フレーム34上を容器搬送方向の左右に往復移動することにより、揺動ガイド24および分岐ガイド26の伸縮部28が、前記揺動ガイド24の上流端の支点24aを中心に下流側が容器搬送方向の左右に揺動する。前記直線部30の下面側には、この直線部30から複列搬送手段6に送り出される容器2の数をカウントする計数手段36が設けられている。このように構成される上流側接続手段8において、導入コンベヤ16および分岐コンベヤ22の揺動ガイド24、分岐ガイド26により、上流側コンベヤ4と複列搬送手段6のいずれかの単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hとを選択的に接続するようになっている。
【0017】
下流側接続手段12は、図4に示すように、複列搬送手段6の8本の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hによって搬送されてきた容器2を、一列に集合させて下流側コンベヤ10に引き渡すものである。この下流側接続手段12は、8列の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを2列ずつ集合させて4列にし、さらに、これら4列を2列ずつ集合させて2列にし、最終的にこの2列を集合させて一列にした後、下流側コンベヤ10に容器2を引き渡すようになっている。この下流側接続手段12は、容器搬送方向上流側の複列搬送手段6側(図4の左側)に、各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hに対応して、コンベヤ上に設けられた両側のガイド38によって形成された8本の容器搬送経路40(以下、上流側搬送経路と呼ぶ)が配置されている。これら8本の上流側搬送経路40の下流側(図4の右側)に、コンベヤ上に設けられた両側ガイド42により形成された4本の容器搬送経路44(以下、中間搬送経路と呼ぶ)が形成されている。8本の上流側搬送経路40は2本ずつが組になっており、一組の上流側搬送経路40とその下流側に位置する1本の中間搬送経路44との間に、それぞれ切り換えガイド46(以下、第1切り換えガイドと呼ぶ)が配置されている。この第1切り換えガイド46は、それぞれエアシリンダ48の作動により中間搬送経路44側を支点として揺動できるようになっており、対応する2本の上流側搬送経路40のいずれか一方に選択的に切り換えて接続される。なお、エアシリンダ48は、サーボモータ等の他のアクチュエータとすることもできる。
【0018】
また、4本の中間搬送経路44と、コンベヤ上に設けられた両側ガイド50により形成されたその下流側の2本の搬送経路52(以下、下流側搬送経路と呼ぶ)の間にも、2箇所の切り換えガイド54(以下、第2切り換えガイドと呼ぶ)が配置されている。この第2切り換えガイド54も第1切り換えガイド46と同様に、エアシリンダ56の作動によって下流側搬送経路52の上流端を支点として切り換えることができるようになっており、2本の中間搬送経路44の一方が下流側搬送経路52に接続される。さらに、この2本の下流側搬送経路52は、下流側コンベヤ10に接続されるようになっており、下流側コンベヤ10の上流端を支点として揺動可能な第3切り換えガイド58をエアシリンダ60によって揺動させて2本の下流側搬送経路52のいずれか一方に接続するように切り換える。これら上流側搬送経路40、中間搬送経路44、第1切り換えガイド46、下流側搬送経路52、第2切り換えガイド54、第3切り換えガイド58により、複列搬送手段6のいずれかの単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hと、下流側コンベヤ10とを選択的に接続する下流側接続手段12が構成されている。なお、本実施例においては、8列から4列、4列から2列、2列から1列と容器搬送経路を集合させるように構成したが、これに限るものではなく、8列を2列として1列としたり、4列から1列とするなど様々な組み合わせを採用することができる。
【0019】
本発明では、上流側接続手段8の導入コンベヤ16から複列搬送手段6の各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hまでの各コンベヤの搬送速度を、上流側コンベヤ4と、下流側接続手段12および下流側コンベヤ10よりも遅く設定している。この容器搬送装置が正常な運転をしているときには、上流側の容器処理装置において処理された容器2は、上流側コンベヤ4によって一定の間隔をあけた状態で一列で搬送されてくる。これらの容器2が上流側コンベヤ4から上流側接続手段8の導入コンベヤ16に搬入されると、導入コンベヤ16の搬送速度が遅いため、容器2の搬送方向前後の間隔が詰まり、容器2が前後に接触した状態または接近した状態になって搬送される。また、複列搬送手段6を通過して下流側接続手段12に移ると、この下流側接続手段12は速い速度で運転されているので、容器2は再び一定の間隔に離されて搬送され、下流側コンベヤ10によって図示しない下流側容器処理装置に送られる。
【0020】
上流側コンベヤ4の下流部と導入コンベヤ16の上流端に、それぞれセンサ62、64が設けられており(図1参照)、これらセンサ62、64の検出信号が制御装置66に入力される。制御装置66は、これらセンサ62、64からの信号に応じて、上流側接続手段8および複列搬送手段6の各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの駆動を制御する。上流側コンベヤ4に設けられているセンサ62(以下、第1センサと呼ぶ)が一定時間オンになった場合には、導入コンベヤ16によって搬送されている容器2の接近した状態が上流側コンベヤ4まで延びてきているので、導入コンベヤ16以降の各コンベヤを加速する。これにより、上流側コンベヤ4まで容器2が詰まっている状態を解消する。
【0021】
前記のように導入コンベヤ16以降の搬送速度を、通常運転時よりも加速した状態にすると、導入コンベヤ16以降も容器2の間隔が開いた状態になってしまう。この状態になると、導入コンベヤ16の上流端に設けたセンサ64(以下、第2センサと呼ぶ)がオフになる。第2センサ64がオフになったとき、つまり、容器2が間隔をあけた状態になったときには、導入コンベヤ16以降のコンベヤを再び減速する。正常な搬送状態では、上流側コンベヤ4では容器2が一定の間隔で搬送され、導入コンベヤ16以降の各コンベヤでは容器2が接近しまたは接触した状態で搬送されており、上流側コンベヤ4上で容器2が接近したり接触した状態になったときと、導入コンベヤ16以降のコンベヤ上で容器2の間隔が開いてしまったときには、これら第1センサ62および第2センサ64からの信号によって、上流側接続手段8および複列搬送手段6の各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの駆動を制御して正常な搬送状態に戻すようになっている。
【0022】
また、複列搬送手段6の各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの入口に、それぞれはみ出しセンサ68が設けられている。上流側接続手段8から複列搬送手段6の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hに送り込まれた容器2が、例えば、1個余分に送り込まれて単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの上流側にはみ出してしまった場合には、前記分岐ガイド26の直進部30が搬送方向の左右に移動できなくなってしまうおそれがあるので、このように単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの上流側に容器2がはみ出してしまったときには、このはみ出しセンサ68により検出して警報を出力するようにしている。
【0023】
さらに、複列搬送手段6を構成する各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの下流端に、それぞれ先頭センサ70が配置されている。この先頭センサ70は、各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hに容器2をアキュームしているときには、先頭の容器2がこの先頭センサ70に検出されると、この検出信号が入力された制御手段66からの指令信号により、前記上流側接続手段8を切り換えて、異なる単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hに容器2を供給するとともに、この先頭センサ70によって容器2が検出された単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを停止させる。この実施例では、各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hに搬送されている容器2を停止させるストッパがないので、単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの走行を停止することによりアキュームされた容器2を停止させる。なお、この実施例に係る装置には、単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H上を搬送される先頭の容器2を検出する先頭センサ70の他に、前記上流側接続手段8の直線部30に計数手段36が設けられており、この計数手段36が予め設定された個数の容器2が単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hに送り込まれたことをカウントしたときに、上流側接続手段8により分岐させる単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを切り換えるとともに、それまで容器2を供給していた単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを停止させるようにすることもできる。
【0024】
また、この先頭センサ70は、単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H上にアキュームした容器2を払い出す際に、その単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの最後尾の容器2を検出するようになっている。単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H上にアキュームされていた容器2が、下流側の容器処理装置のトラブル等が解消して通常の運転速度で運転を再開したことにより順次払い出されるときには、払い出されている単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの最後尾の容器2をこの先頭センサ70が検出すると、この検出信号に応じて制御手段66が、最後尾の容器2が検出された単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを停止させるとともに、この単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの次に容器2がアキュームされた別の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの運転を開始する。
【0025】
下流側の容器処理装置に接続されている下流側コンベヤ10には、下流側容器処理装置がトラブル等により停止あるいは減速したために容器2が滞留したときに、これを検出する検出手段72(滞留検出センサ)が設けられている。下流側コンベヤ10上に容器2が滞留したことをこの検出手段72が検出すると、複列搬送手段6のうち正常運転時に使用していた単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hから他の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hに切り換えてアキュームを行うようになっている。
【0026】
以上の構成に係る容器搬送装置の作動について説明する。図1に示す容器搬送装置の容器搬送方向上流側(図1の左方)に図示しない容器処理装置が接続され、下流側には別の容器処理装置が接続されており、上流側容器処理装置で処理された容器2がこの容器搬送装置を介して下流側の容器処理装置に供給される。上流側容器処理装置で処理された容器2は、例えば、スターホイール等の排出手段によって一定の間隔で排出され、上流側コンベヤ4上を単列で一定の間隔をあけて搬送される。上流側コンベヤ4によって単列で搬送されてきた容器2は、この上流側コンベヤ4から、上方に設置されている固定ガイド20によって、その下流端4aに平行して配置されて、単列で容器2を搬送する導入コンベヤ16上に乗り移る。
【0027】
通常の運転時は、上流側接続手段8の導入コンベヤ16以降は、上流側コンベヤ4よりも低速で運転されており、図5(a)に示すように、上流側コンベヤ4によって一定の間隔をあけて搬送されてきた容器2は、導入コンベヤ16上に乗り移ると互いに接近し、前後に接触した状態または極めて接近した状態で搬送される。上流側接続手段8に搬入されて搬送される容器2は、上流側の固定ガイド20に続く揺動ガイド24と、この揺動ガイド24の下流側に接続された分岐ガイド26(伸縮部28および直線部30)を介して、複列搬送手段6のいずれかの単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hに送り込まれる。図5(a)に示す例では、8本の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hのうち最も下方(容器搬送方向Aの最も右側)に位置する単列コンベヤ6Hに分岐させて搬送している。この状態のまま正常に運転が行われている間は、上流側の容器処理装置から下流側の容器処理装置に送られる容器2は、この第8番目の単列コンベヤ6Hによって搬送される。
【0028】
複列搬送手段6の一つの単列コンベヤ6Hによって搬送された容器2は、下流側接続手段12を介して下流側コンベヤ10上に搬入され、さらに、下流側の容器処理装置(図示せず)に供給される。下流側接続手段12では、図4に示すように、上流側搬送経路40の上から(容器搬送方向の最も左側から)7番目の搬送経路40と8番目の搬送経路40のいずれか一方を、第1切り換えガイド46によって4本の中間搬送経路44のうち最も下方(容器搬送方向の最も右側)の搬送経路44に接続するようになっており、前記のように最も下方の単列コンベヤ6Hによって搬送されている容器2は、そのまま最も下方の上流側搬送経路40に送り込まれるので、第1切り換えガイド46を、エアシリンダ48によって切り換えて最も下方の中間搬送経路44を最も下方の上流側搬送経路40に接続させる。また、第2切り換えガイド54と第3切り換えガイド58も、それぞれ最も下方の中間搬送経路44および下方側の下流側搬送経路52に接続するように切り換えておく。このようにして、図5(a)の最も下方の単列コンベヤ6Hによって搬送された容器2は、下流側接続手段12の各搬送経路の最も下方側の搬送経路40、44、52を介して搬送されて下流側コンベヤ10に送られ、下流側容器処理装置に供給される。また、下流側接続手段12および下流側コンベヤ10は、上流側の複列搬送手段6よりも高速で走行しているので、接近した状態または接触した状態で搬送されていた容器2は、再び所定の間隔をあけた状態に引き離されて搬送される。
【0029】
下流側容器処理装置がトラブル等により停止した場合や減速した場合には、下流側容器処理装置に容器2を供給する下流側コンベヤ10上に次第に容器2が滞留してくる。下流側コンベヤ10上に滞留した容器2が検出手段(滞留検出センサ)72により検出されると、この検出信号が入力された制御手段66の指令により、容器2を搬送している最も下方の単列コンベヤ8Hを停止させるとともに、上流側接続手段8を切り換えることにより、前記単列コンベヤ6H以外のいずれかの単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G上に容器2を送り込む。上流側接続手段8の分岐ガイド26を切り換える際には、直線部30が取り付けられている可動フレーム34を上流側に後退させた状態で、揺動ガイド24から分岐ガイド26の伸縮部28および直線部30に容器2を送り込みつつ直線部30を前進させるとともに、この直線部30を左右方向に移動させて、容器2を送り込むいずれかの単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hの前方(上流)に位置させる。この実施例では、上流側接続手段8の分岐ガイド26を、複列搬送手段6の上から(容器搬送方向Aの最も左側から)3番目の単列コンベヤ6Cの前方に位置させて、この単列コンベヤ6C上に容器2を搬入する( 図5(b)参照)。
【0030】
第3番目の単列コンベヤ6Cに搬入された容器2の先頭が、下流側に設けられた先頭センサ70の位置まで到達して、この先頭センサ70に検出されると、この第3番目の単列コンベヤ6Cの駆動を停止するとともに、上流側接続手段8から容器2を送り込む単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hを切り換えて、他の単列コンベヤ(この実施例では6Cおよび6H以外の単列コンベヤ)に容器2をアキュームする。なお、容器2をアキュームする単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hは、前述のように通常運転時に容器2を供給するための搬送コンベヤとして使用していた単列コンベヤ(この実施例では図5の最も下方の単列コンベヤ6H)以外のコンベヤであれば、どの単列コンベヤでも選択することが可能であるが、後にアキュームされた容器2を払い出す際に、隣接した単列コンベヤ(例えば、第8番目の単列コンベヤ6Hの次に第7番目の単列コンベヤ6G)から排出しようとすると、第1切り換えガイド46の切り換えタイミングによってスムーズに排出されない場合があるので、第8番目の単列コンベヤ6Hの次には、下側(容器搬送方向Aにおける右側)の4本の単列コンベヤ6E、6F、6G、6H以外のコンベヤ(上方(容器搬送方向Aにおける左側)の4本の単列コンベヤ6A、6B、6C、6D)のいずれかにアキュームすることが好ましい。さらにその次には、下側の4本の単列コンベヤのいずれか、例えば、第5番目または第6番目の単列コンベヤ6E、6Fにアキュームする。またその次は、一番上か2番目の単列コンベヤ6A、6Bにアキュームする。このようにして全ての単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hにアキュームすることができる。全ての単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6Hに容器2をアキュームした状態を図5(d)に示す。
【0031】
複列搬送手段6内に容器2をアキュームした後、下流側容器処理装置の運転が再開した場合には、複列搬送手段6の各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H上に貯留されている容器2を、上流側容器処理装置から送られてきた順序通りに払い出す。例えば、図5(b)に示す状態から復帰する場合について説明する。正常運転時には、最も下方の単列コンベヤ6Hを介して上流側容器処理装置から下流側容器処理装置に容器2を供給しており、下流側容器処理装置が停止したときに、この第8番目の単列コンベヤ6Hを停止して、第3番目の単列コンベヤ6Cにアキュームしている。この状態から下流側容器処理装置が再び運転を開始して処理を行うときには、上流側容器処理装置から先に排出されてきた容器2を先に下流側容器処理装置に供給し、他の単列コンベヤにアキュームされた容器2をその後で下流側容器処理装置に供給する。また、複数列の単列コンベヤにアキュームされているときには、アキュームされた順序で下流側容器処理装置に供給する。図5(b)の状態から払い出しを行う場合には、先ず、もともと上流側容器処理装置から下流側容器処理装置への搬送経路として使用していた第8番目の単列コンベヤ6H上の容器2を先に下流側容器処理装置に供給する。このときには、下流側接続手段12は、図5(a)に示す通常運転時と同じ状態のままで、第8番目の単列コンベヤ6H上の容器2を下流側コンベヤ10に送り込む。
【0032】
第8番目の単列コンベヤ6C上の容器2が順次排出されて最後尾の容器2が先頭センサ70の位置に到達すると、この先頭センサ70からの信号により、次に容器2が送り込まれていた第3番目の単列コンベヤ6C上の容器2を下流側容器処理装置に供給する。この第3番目の単列コンベヤ6C上の容器2は、下流側接続手段12の上から3番目の上流側搬送経路40に入るので、上から2番目の第1切り換えガイド46をエアシリンダ48によって図4に示す状態から上方に切り換えて第3番目の上流側搬送経路40を第2番目の中間搬送経路44に接続する。また、この第2番目の中間搬送経路44を第2切り換えガイド54によって上方の下流側搬送経路52に接続する。さらに、この下流側搬送経路52を、第3切り換えガイド58を切り換えることにより下流側搬送コンベヤ10に接続する。このように下流側接続手段12を切り換えながら複列搬送手段6の各単列コンベヤ6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H上にアキュームされていた容器2を、アキュームされた順序通りに払い出す。その後は、最後に容器2がアキュームされた単列コンベヤ上の容器2を払い出すとともに、この単列コンベヤをそのまま上流側容器処理装置から下流側容器処理装置への搬送経路として使用して運転を継続する(図5(c)参照)。
【符号の説明】
【0033】
2 容器
4 上流側コンベヤ
6 複列搬送手段
6A 単列コンベヤ
6B 単列コンベヤ
6C 単列コンベヤ
6D 単列コンベヤ
6E 単列コンベヤ
6F 単列コンベヤ
6G 単列コンベヤ
6H 単列コンベヤ
8 上流側接続手段
10 下流側コンベヤ
12 下流側接続手段
66 制御手段
72 検出手段(滞留検出センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を単列で搬送する上流側コンベヤと、容器を単列で搬送する単列コンベヤを複数列配置した複列搬送手段と、前記上流側コンベヤと前記複列搬送手段のいずれかの単列コンベヤとを選択的に接続する上流側接続手段と、容器を単列で搬送する下流側コンベヤと、前記複列搬送手段のいずれかの単列コンベヤと前記下流側コンベヤとを選択的に接続する下流側接続手段と、下流側コンベヤ上の容器の滞留を検出する検出手段と、この検出手段の検出信号が入力されるとともに、前記複列搬送手段の各単列コンベヤ、前記上流側搬送手段および下流側搬送手段の作動を制御する制御手段とを備え、
前記複列搬送手段のいずれかの単列コンベヤを介して上流側コンベヤから下流側コンベヤへ容器を搬送し、下流側コンベヤに容器が滞留したときには、上流側接続手段の作動により接続を切り換えて、異なる単列コンベヤに容器を搬入して貯留する容器搬送装置において、
前記上流側接続手段は、前記上流側コンベヤと接続されて単列で容器を搬送する導入コンベヤを備え、この導入コンベヤから前記複列搬送手段の各単列コンベヤまでの間を、前記上流側コンベヤおよび下流側コンベヤよりも容器搬送速度を遅く設定し、上流側コンベヤによって間隔をあけて搬送されてきた容器の間隔を接近させて搬送し、かつ、下流側コンベヤ上の容器の滞留を検出して、制御手段が下流側接続手段を切り換えて別の単列コンベヤに容器を搬入した際に、これまで容器を搬送していた単列コンベヤを停止させることを特徴とする容器搬送装置。
【請求項2】
前記上流側接続手段は、容器の本数をカウントする計数手段を備え、前記複列搬送手段の単列コンベヤに搬入される容器の本数をカウントすることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−195534(P2010−195534A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42827(P2009−42827)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】