説明

密閉洗浄装置

【課題】洗浄装置の密閉性を確保しながら、多数の被洗浄物を連続的処理を可能にする。
【解決手段】液体洗浄ゾーンZ3と、蒸気洗浄ゾーンZ2と、乾燥ゾーンZ1とを密閉容器1内に設けた密閉洗浄装置であって、密閉容器1内の天井部に設けられ、被洗浄物を収容したバスケット12を搬入搬出させるための搬入口16、搬出口17とそれぞれ開閉する蓋18,18と、液体洗浄槽3の洗浄液中、蒸気洗浄ゾーンZ2中、搬入口16下及び搬出口17下の乾燥ゾーン中に設けられ、それぞれバスケット12を載置させる複数のバスケット受台15と、搬入口16を通じて搬入口16下のバスケット受台15にバスケット12を受け渡す搬入装置と、密閉容器1内に移動自在に設けられ、各バスケット受台15との間でバスケット12を移載する移載装置21と、搬出口17を通じて搬出口17下のバスケット受台15からバスケット12を取り上げて搬出する搬出装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一つの密閉容器中で被洗浄物(ワーク)の液体洗浄、蒸気洗浄、乾燥を行う密閉洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の洗浄装置として、例えば、密閉容器中で被洗浄物を洗浄液により一次洗浄した後、密閉容器から洗浄液を抜き取りその代わりに洗浄用蒸気を導入することで二次洗浄を行う洗浄装置が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の洗浄装置には、洗浄装置の密閉性を確保しながら、多数の被洗浄物を、連続的に且つ滞留なく処理することができないという問題がある。
本発明は、このような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る好ましい態様は、被洗浄物をこれを収容するバスケット毎、洗浄液中で一次洗浄する液体洗浄ゾーンと、被洗浄物を液体洗浄ゾーンから洗浄液と同じ洗浄液の洗浄用蒸気中に引き上げてバスケット毎、二次洗浄する蒸気洗浄ゾーンと、二次洗浄後の被洗浄物を、蒸気洗浄ゾーンから冷却された凝縮雰囲気中に引き上げてバスケット毎、乾燥させる乾燥ゾーンと、を密閉容器内に設けた密閉洗浄装置であって、
密閉容器内の天井部に設けられ、被洗浄物を収容したバスケットを密閉容器内に搬入させるための搬入口と、密閉容器の天井部に設けられ、被洗浄物を収容したバスケットを密閉容器内から外部に搬出させるための搬出口と、搬入口、搬出口をそれぞれ開閉する蓋と、液体洗浄槽の洗浄液中、蒸気洗浄ゾーン中、搬入口下の乾燥ゾーン中及び搬出口下の乾燥ゾーン中に設けられ、それぞれバスケットを載置させるための複数のバスケット受台と、外部から搬入口を通じて搬入口下のバスケット受台にバスケットを受け渡す搬入装置と、密閉容器内に移動自在に設けられ、各バスケット受台との間でバスケットを移載する移載装置と、搬出口を通じて搬出口下のバスケット受台からバスケットを取り上げて外部に搬出する搬出装置と、を備えた洗浄装置を提供するものである。
【0005】
また、請求項2記載の発明は、前記搬入装置、前記移載装置、搬出装置が、相互の連携により、前記密閉容器の内外で前記バスケットを順送りさせるように構成された請求項1記載の密閉洗浄装置を提供するものである。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記洗浄液が低沸点洗浄液である密閉洗浄装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗浄装置の密閉性を確保しながら、多数の被洗浄物を連続的に且つ滞留なく処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、添付図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
【0009】
参照する図面において、図1は本発明の一実施の形態に係る密閉洗浄装置の正面図、図2は図1のA−A線断面図である。
密閉洗浄装置は、主として、洗浄部と搬送部とから構成される。図1、図2に示されるように、洗浄部は、洗浄部本体としての密閉容器1と、液体洗浄のための液体洗浄槽3と、蒸気洗浄のための洗浄用蒸気を生成するための蒸発槽2とを備えて構成されている。
密閉容器1は、天上部と底部とを有する筒体状に形成されており、天井部に、被洗浄物を搬入するための搬入口16と、被洗浄物を搬出するための搬出口17とが設けられている。搬入口16及び搬出口17には蓋18,18が設けられている。蓋18,18は、例えば、ヒンジにより回転自在なハッチ式又はアクチュエータにより開閉自在なゲート弁から構成される。蓋18をゲート弁で構成した場合は短時間での開閉が可能となるので、密閉容器1の密閉性を向上させることができる。また、装置全高が低くすることができる。また、密閉容器1の上部内には冷却コイル4が設けられていて、乾燥ゾーンZ1となっており、密閉容器1内の底部内は液体洗浄ゾーンZ3となっており、複数の液体洗浄槽3が設けられている。液体洗浄槽3は、密閉容器1内の底部内に垂直に設けられた隔壁3aによって区画されており(本実施の形態では、二槽を形成した例を示す)、それぞれに被洗浄物を洗浄するために低沸点洗浄液が貯留されている。なお、本実施の形態では、環境基準に適合するため、臭素系洗浄液、塩素系洗浄液又はふっ素系洗浄液等の低沸点洗浄液が貯留されている。また、効率的な洗浄のため、液体洗浄槽3の底部側に超音波振動子41が設置されている。超音波振動子41を振動させて洗浄液が攪拌すると、洗浄効率が飛躍的に向上するので洗浄時間を大幅に短縮することができる。
【0010】
また、液体洗浄槽3,3間の隔壁3aには溢流堰1cが設けられ、密閉容器1の側壁下部との対峙部に、洗浄液を回収するために溢流口8が設けられている。
溢流口8は、側壁下部の溢流堰1cから見て下流側の液体洗浄槽3に設けられており、洗浄液の回収、洗浄液の蒸気を密閉容器1内に導入させるための配管(以下、洗浄用蒸気導入管という)2cを介して蒸発槽2内と連通している。
【0011】
蒸発槽2には、液体洗浄槽3と同じ洗浄液が貯留され、洗浄液を加熱して洗浄用蒸気を生成するためヒータ2bが設けられている。この実施の形態では、ヒータ2bとして加熱コイルが設けられるが、抵抗加熱式のヒータを設けてもよい。加熱コイルは、冷凍機の冷凍サイクル(図示せず)に凝縮器として接続されており、冷却コイル4も冷凍サイクルの冷凍機に蒸発器として接続されている。冷凍サイクルに加熱コイルと冷却コイル4とを接続すると、冷凍機の効率よい運用が可能となる。
【0012】
冷却コイル4は密閉容器1の側壁上部の内面に沿わせて設けられており、冷却コイル4の下方に凝縮液受け43が設置される。凝縮液受け43は、配管10hを介して水分離器10の導入口部10eに接続される。水分離器10は、本体である密閉槽10aと、密閉槽10a内に上下方向に蛇行する流路10bを形成することにより、比重差によって洗浄液と水分とに分離する複数のバッフル板10cとから構成されている。水分離器10の凝縮液の排出口部10iは、排出管10gを介して下流側の液体洗浄槽3に接続されている。
【0013】
次に、洗浄部における洗浄工程について説明する。
まず、準備工程として、冷凍機が作動され、冷却コイル4が冷却され、ヒータ2bとしての加熱コイルが加熱される。すると、密閉容器1の上部内雰囲気、及び、密閉容器1の側壁上部が冷却され、密閉容器1の上部内に、冷却・凝縮により、被洗浄物の乾燥を行うための乾燥ゾーン(冷却ゾーン)Z1が形成される。
【0014】
また、ヒータ2bの加熱により、洗浄液の蒸気が生成され、洗浄用蒸気供給管2cを介して密閉容器1内に導入される。乾燥ゾーンZ1は冷却コイル4により冷却されるので、乾燥ゾーンZ1下と液体洗浄ゾーンZ3との間に充満する洗浄用蒸気により蒸気洗浄ゾーンZ2が形成され、結果として、乾燥ゾーンZ1と冷却ゾーンとの間に蒸気ラインLが形
成される。蒸気ラインLが形成されると、乾燥ゾーンZ1での冷却、凝縮が安定し、洗浄部の密閉性が安定する。なお、洗浄用蒸気の温度は、蒸発槽2から洗浄蒸気が連続的に供給されることで洗浄液の沸点に保持される。
【0015】
蒸気ラインLが形成されると、搬入口16の蓋18を開いて被洗浄物がバスケット12に入れた状態で液体洗浄槽3中に挿入され、被洗浄物の一次洗浄が行われる。液体洗浄槽3の洗浄液は、超音波振動子41により攪拌されるので、短時間で一次洗浄を終了させることができる。
【0016】
一次洗浄が終了すると、被洗浄物はバスケット12毎、蒸気洗浄ゾーンZ2中に引き上げられ、ここで、蒸気洗浄、すなわち、二次洗浄が行われる。蒸気洗浄の後は、乾燥ゾーンZ1中に引き上げられ、乾燥が行われる。
【0017】
乾燥ゾーンZ1中では、被被洗浄物の表面に付着している洗浄液等の液分は、バスケット12や被洗浄物に蓄積されている蓄熱によって蒸発し、蒸発した洗浄液や水分は、冷却ゾーン中に拡散し、冷却コイル4の表面、密閉容器1上部内の側壁内面で凝縮液となって凝縮液受け43dに捕集される。
乾燥の終了後は、被洗浄物はバスケット12毎、搬出口17から外部へと搬出される。
【0018】
凝縮液は、凝縮液受け43の排出口部10iから排出管10gを通じて水分離器10の流路10bに導入される。水分離器10の流路10bは、バッフル板10cにより上下方向に蛇行しており、水分は、洗浄液よりも比重が軽いため、比重差により、流路10bの上流部、すなわち、水分の滞留部に滞留する。
下流側のバッフル板10cを溢流した洗浄液は、液体洗浄槽3に還流される。また、流路10bの上流部に滞留した水分は、水分の滞留部に連通する水分の排出管10gから排出される。なお、水分の排出は、排出管10gに設けられた弁35の開閉によって行われる。
【0019】
そして、本実施の形態に係る洗浄部では、このような被洗浄物の液体洗浄、蒸気洗浄、乾燥の繰り返しにより、上流側の液体洗浄槽3から洗浄液が溢流し、溢流した洗浄液が溢流口8及び蒸気供給管を通じて蒸発槽2に回収される。このため回収した洗浄液は、再び、洗浄用蒸気として蒸気洗浄ゾーンZ2へと供給され、洗浄用蒸気として繰り返し使用される。
【0020】
このように、本実施形態に係る洗浄部は、冷却コイル4により、洗浄液や水分を凝縮させ、凝縮液から水分を分離した液を液体洗浄槽3に戻し、液体洗浄槽3からの溢流液として蒸発槽2に戻すことにより、繰り返し利用する構成となっており、高価な洗浄液を使用しながらも低コストで被洗浄物を洗浄する構成となっている。また、本実施の形態に係る洗浄部は、冷却により、凝縮液とするので、蓋18,18を開いたときに洗浄用蒸気が外部漏出することもない。よって、密閉性が高く、環境破壊の虞のない環境基準に適合したシステムとなる。
【0021】
なお、密閉容器1内の乾燥ゾーンZ1に圧力制御弁を備えるアキュームレータ(図示せず)を取り付け、密閉容器1内の圧力変動をアキュームレータに吸収させるようにしてもよい。圧力変動が吸収されると、密閉容器1内の内圧の変動や上昇が防止され、蒸気ラインLの変動が防止されるので、蓋18,18と搬入口16、搬出口17との密閉性をさらに向上させることができる。
【0022】
<搬送部>
次に、図1乃至図7を参照して前記バスケット12の一例と、バスケット12の搬送部
について説明する。
参照する図面において、図3はバスケット受台15に対する密閉容器1内の移載装置21の移載動作を示す平面図、図4は洗浄部の平面図、図5は図1のV−V線断面図、図6はバスケット12を載置するバスケット受台15を示す図、図7は移載装置21にバスケット12が載置された状態を示す側面図である。
【0023】
<バスケット>
図6に示すように、バスケット12は、ステンレスなど耐腐食性金属線材からなる枠体12aと、同じく、耐食性金属線材から形成された金網12bとから構成される。バスケット12の相対峙する一対の側部上部には、後述するハンガ29によって吊り上げるための吊部12cが設けられ、バスケット12の底面部の四隅には、後述する移載装置21のフォーク21aにバスケット12を支持させるためそれぞれ脚部12dが設けられる。また、バスケット12の底面中央部には後述する移載装置21の凹状の係合部50と係合されたときに前後左右への移動及び回転を防止するように下方に向って凸に係合部51が設けられている。
【0024】
<密閉容器内搬送系>
密閉容器1内には、各ゾーン間で被洗浄物を搭載したバスケット(以下、説明の便宜上、ワークとバスケット12とを含めて単にバスケットと略す)12を移載するためのバスケット受台15と、各バスケット受台15との間でバスケット12を移載するための移載装置21が設けられる。バスケット受台15は、搬入口16下の乾燥ゾーンZ1中、各液体洗浄槽3の洗浄液中、蒸気洗浄ゾーンZ2中、搬入口16下の乾燥ゾーンZ1中にそれぞれ水平に設置される。
<バスケット受台>
図6に示されるように、各バスケット受台15は、それぞれ一対の受台構成部材15a,15aから構成されており、各ゾーンに水平に支持される。各バスケット受台15は一対の受台構成部材15a,15aから構成されており、各バスケット受台15の一対の受台構成部材15a,15aはそれぞれ搬入口16と搬出口17とを結ぶ線上(以下、搬送ラインという)を挟んでそれぞれ対称の位置に設けられている。なお、各液体洗浄槽3もこの搬送ラインを基準として、バスケット12を挿入できるように設けられている。
【0025】
図1、図3、図7に示すように、移載装置21は、フォーク21aと、フォーク21aを支持するアーム21bと、アーム21bを上下方向に沿わせて案内する垂直ガイド21d又は複数のローラによりガイドするローラガイド(図示せず)と、垂直ガイド21dを搬送ライン方向に沿わせて移動させるための水平ガイド21f、アーム21b、水平ガイド21fをそれぞれ移動させる駆動機構(図示せず)とが設けられる。
駆動機構は、例えば、モータ、ラック及びモータとラックを連結して駆動力を伝達する1枚のギヤ又はギヤ列から構成される。また、駆動機構のモータとしては、例えば、目標位置に停止するためクラッチ(ブレーキ)を有するモータ、例えば、サーボモータが用いられる。
【0026】
一対のフォーク21aには、図7に示すように、バスケット受台15からバスケット12の掬い上げと載置のための台座24が設けられ、台座24の上部には、バスケット12底部の凸状の係合部51を係合する凹状の係合部50が設けられる。凹状の係合部50及びバスケット12の凸状の係合部51は、バスケット12の前後左右への移動や回転を防止するために、それぞれ平面視角形に形成されている。
このように構成された移載装置21は、フォーク21aを除いた各部が密閉容器1の側壁1b及び天井部1aに気密に連接された移載装置収容部21e内に収容されている。移載装置21のアーム21bの昇降ストロークは、搬入口16、搬出口17下のバスケット受台15と液体洗浄槽3内のバスケット受台15の適宜下方にフォーク21aを移動させ
て配置させることができるよう、各バスケット受台15の位置に基づいて決定されており、アーム21bの水平方向のストロークも各バスケット受台15の下方の適宜下方にフォーク21aを移動することができるよう、各バスケット受台15の位置に基づいて決定されている。なお、移載装置収容部21eもこのようなストロークに対応するように形成されている。
【0027】
<外部搬送装置>
密閉容器1外の搬送装置としては、密閉容器1の両側方に密閉容器1を挟むように、搬入装置としての搬入コンベア20aと搬入装置としての搬出コンベア20bとが設けられる。
この場合、搬入コンベア20aは、洗浄処理前のバスケット12を搬送するためのコンベア、搬出コンベア20bは乾燥処理後のバスケット12を搬送するためのコンベアである。
また、密閉容器1の上方には、天井レール22が設置され、天井レール22にワークの搬入、搬出のために2台のワーク搬送台車23a,23bが設置される。
一方のワーク搬送台車(以下、搬入台車という)23aは、搬入コンベア20aと乾燥ゾーンZ1内の搬入口16下のバスケット受台15との間でバスケット12を移載し、他方のワーク搬送台車(以下、搬出台車という)23bは、搬出コンベア20bと乾燥ゾーンZ1中の搬出下のバスケット受台15との間でバスケット12を移載する。
【0028】
図1又は図5に示すように、搬入台車23a及び搬出台車23bには、一対の天井レール22に沿って移動する台車部26と、台車部26の荷台26aに垂直に取り付けられた昇降用アクチュエータ27と、昇降用アクチュエータ27のロッド先端部にブラケット40を介して支持されるハンガ29とが設けられている。
ハンガ29は、一対のハンガ部材29a,29bと、ハンガ部材29a,29bの基部側を移動自在に支持する支持軸32と、ハンガ部材29a,29の移動ストロークを設定するストッパ(ナット)30と、ハンガ部材29a,29bの基端部に掛け渡された開閉用アクチュエータ31とから構成され、ハンガ部材29a,29bの互いの対峙面に、前記バスケット12の一対の吊部12cの係合孔に係合する爪33が設けられる。また、台車部26の荷台26aには、昇降用アクチュエータ27のロッドの重力方向下方への伸縮を可能とするため、上下に開口する開口部26bが設けられる。
【0029】
このように、搬入口16、搬出口17、搬入台車23a、搬出台車23b、搬入コンベア20a及び搬出コンベア20bを設けると、バスケット12の搬入、搬出に対する処理能力を大幅に向上させることができる。
また、前記したように密閉容器1の各ゾーンにバスケット受台15を配置して各バスケット受台15とフォーク21aとの間でバスケット受台15を移載する構成とすると、移載により空いているバスケット受台15に次のバスケット12を移載することができ、密閉容器1内で処理できるバスケット12の数を増加させることができるので、搬送タクトの短縮が可能となり、全体の処理数を増加させることができる。
【0030】
<制御部>
制御部(図示せず)は、例えば、演算処理部、データ記憶部、I/O、データ入力部を有するコントローラ(シーケンサを含む)又は周知のコンピュータから構成される。
検出系は、バスケット受台15毎にバスケット12が載置されているかどうかをそれぞれ検出する複数の機内バスケット検出センサ(図示せず)と、搬入コンベア20aの移載位置にバスケット12が存在するかどうかを検出する搬入側の機外洗浄浄用籠検出センサ(図示せず)と、搬出コンベア20bの移載位置にバスケット12が存在するかどうかを検出する搬出側の機外バスケット検出センサ(図示せず)とを備えて構成され、制御部は、搬入側機外バスケット検出センサ(図示せず)からOFF信号が出力されたときに処理
を中断し、ON信号が出力されたときに、処理を開始する。
制御部の固定記憶部には、搬入コンベア20aに対する搬入台車23aのバスケット受取位置、搬出コンベア20bに対するバスケット12の受け渡し位置、バスケット12の搬入位置、バスケット12の液体洗浄位置、バスケット12の蒸気洗浄位置、バスケット12の乾燥位置、バスケット12の搬出位置、冷凍機の吐出量の目標値、乾燥ゾーンZ1の雰囲気温度の目標値、密閉容器1内圧力の目標値、蒸発槽2のヒータ2bの目標温度など運転に必要な制御値が、予め、格納される。
【0031】
次に、前記制御部が実行する被洗浄物を収容したバスケット12の液体洗浄、蒸気洗浄、乾燥の各工程について説明する。
【0032】
制御部は、起動すると、まず、イニシャライズを実行する。
この工程では、搬入コンベア20aに対する搬入台車23aのバスケット受取位置、搬出コンベア20bに対するバスケット12の受け渡し位置、バスケット12の搬入位置、バスケット12の液体洗浄位置、バスケット12の蒸気洗浄位置、バスケット12の乾燥位置、バスケット12の搬出位置、冷凍機の吐出量の目標値、乾燥ゾーンZ1の雰囲気温度の目標値、密閉容器1内圧力の目標値、蒸発槽2のヒータ2bの目標温度など運転に必要な制御値を、前記制御部の記憶部から読み込む。
【0033】
次に、イニシャライズで読み込んだ各制御値に基づいて冷凍機を作動し蒸発槽2のヒータ2bを作動する。
そして、密閉容器1内の乾燥ゾーンZ1の雰囲気温度が目標値、すなわち、洗浄液や油脂分の凝縮温度に到達し、密閉容器1内の圧力値が目標値に到達したときは、乾燥ゾーンZ1の雰囲気温度が目標温度、すなわち、乾燥ゾーン中の液分を全て凝縮させるように冷凍機の流量(圧縮機の吐出量)を制御すると共に、蒸発槽2のヒータ2bの温度を目標温度である洗浄液の沸点に制御する。なお、ヒータ2bが加熱コイルの場合は、冷凍機の流量制御により、加熱コイルへ供給する高温側の流量を制御する。また、攪拌手段を液体洗浄槽3内に設置している場合は、攪拌手段を作動して液体洗浄槽3内の洗浄液を攪拌する。
乾燥ゾーンZ1の雰囲気温度が目標温度に安定し、密閉容器1内の圧力が目標圧力に安定するとバスケット搬入工程を実施する。
【0034】
バスケット搬入工程では、搬入側機外バスケット検出センサからのON、OFF信号により、搬入台車23aに対する受取位置にバスケット12が存在するが否かを判定する。バスケット12が存在する場合、処理を続行し、存在しない場合は、処理を中断する。搬入台車23aに対する受け渡し位置にバスケット12がある場合は、イニシャライズ工程で参照したバスケット受取位置に搬入台車23aを移動させて停止し、開閉用アクチュエータ31によりハンガ29を開いた状態で昇降用アクチュエータ27を伸長させる。その後、バスケット受取位置で、昇降用アクチュエータ27の伸長が停止され、開閉用アクチュエータ31の収縮によってハンガ29の爪33がバスケット12の吊部12cに係合する。
次に、開閉用アクチュエータ31の収縮を保持した状態で昇降用アクチュエータ27を収縮させて搬入コンベア20aからバスケット12を取り上げる。
【0035】
バスケット12を取り上げた後は、搬入台車23aを搬入位置に移動させて停止し、搬入口16の蓋18を開とする。その後、搬入台車23aを停止し、開閉用アクチュエータ31の収縮を保持した状態で昇降用アクチュエータ27を伸長させ、バスケット12を、搬入口16下の乾燥ゾーンZ1に設置されているバスケット受台15に載置する。この後、開閉用アクチュエータ31の伸長によりハンガ29を開いてバスケット12の吊部12cからハンガ29の爪33を外し、ハンガ29からバスケット12を切り離す。ハンガ2
9からのバスケット12の切り離しを終了すると、続いて、昇降用アクチュエータ27の収縮により、ハンガ29を密閉容器1外に戻して蓋18を閉じる。
これにより、洗浄、乾燥処理が可能となり、バスケット12の液体洗浄(一次洗浄)、蒸気洗浄(二次洗浄)、乾燥工程が開始される。
【0036】
液体洗浄工程(一次洗浄工程)では、イニシャライズ工程で参照したバスケット12の搬入位置とバスケット12の液体洗浄位置とに基づいて、移載装置21の垂直ガイド21dの駆動装置、アーム21bの昇降位置が駆動される。まず、搬入口16下のバスケット受台15の一対の受台構成部材15a,15aの下面よりも下方に台座24が位置するよう、アーム21bの高さ位置が調節される。次に、図3、図7に示すように、垂直ガイド21dの水平方向の移動により、アーム21b及び台座24をバスケット受台15の下方に移動させて台座24をバスケット12の掬い取り位置に停止させ、この後、アーム21bの上昇によってフォーク21aを上昇させ、台座24の凹状の係合部50をバスケット12底面の凸状の係合部51に係合させる。そして、アーム21bをさらに上昇させバスケット12を上昇させることによって、搬入口16下のバスケット受台15からバスケット12を掬い取る。このとき、バスケット12の前後左右への移動、回転は、凹状の係合部50と凸状の係合部51との係合により、防止されるので、バスケット12が落下することも移載先の移載位置に対してずれが生じることもない。
以下、このような操作を単に掬い取りという。
【0037】
バスケット12の掬い取りを終了すると、次に、バスケット12の液体洗浄位置に基づいて垂直ガイド21dを水平方向に移動させ、アーム21bをバスケット12の液体洗浄位置に停止し、続いてアーム21bの下降により、バスケット12を、液体洗浄槽3中のバスケット受台15に載置し、さらに、下降させることにより、バスケット12底部の凸状の係合部51から台座24の凹状の係合部50を抜き取って作業を終了する。
これにより、フォーク21aにバスケット12の四隅の脚部12dが一対の受台構成部材15a,15aに載置される。
以下、このようなバスケット12の操作を単に移載という。
【0038】
この後は、液体洗浄槽3内での垂直ガイド21dの水平方向の移動(後退)により、フォーク21aをバスケット受台15の下方から引き上げ可能な位置に戻し、アーム21bの上昇によってフォーク21aを液体洗浄槽3外に引き上げる。
超音波振動子41は、液体洗浄槽3へのバスケット12の挿入前か、又はフォーク21aの抜き取り直後に作動する。
バスケット12は所定の洗浄時間の間、液体洗浄槽3内で洗浄される。液体洗浄槽3で洗浄をしている間は、移載装置21は空きとなり、搬入口16下のバスケット受台15も空きとなる。
このため、制御装置は、バスケット搬入工程を実施し、搬入口16下のバスケット受台15に次のバスケット12(二番目)を設置させて蓋18を閉じる。
また、本実施形態のように複数の液体洗浄槽3を設けて段階的に液体洗浄を行う場合は、先の液体洗浄槽(以下、第1の液体洗浄槽)3のバスケット受台15から取り上げたバスケット12(一番目)が次の液体洗浄槽(以下、第2の液体洗浄槽)3のバスケット受台15に移載されたときに、第1の液体洗浄槽3が空きになる。
この場合、制御装置は、第1の液体洗浄槽3での液体洗浄の際に搬入口16下のバスケット受台15に移載した次のバスケット12(二番目)を、前記と同様に、第1の液体洗浄槽3のバスケット受台15に移載した後、前記搬入工程を実施して、次のバスケット12(三番目)を搬入口16下のバスケット受台15に載置する。
そして、第2の液体洗浄槽3での液体洗浄工程を終了すると、第1の液体洗浄槽3での洗浄の場合と同様に、フォーク21aを第2の液体洗浄槽3から槽外に抜き出し、その後、バスケット12の蒸気洗浄位置に基づいてアーム21bの水平方向の移動、アーム21
bの垂直方向の移動を行い、このバスケット12(一番目)を蒸気洗浄ゾーンZ2中のバスケット受台15に移載して所定時間、蒸気洗浄を実施する。
【0039】
蒸気洗浄ゾーンZ2にバスケット12(一番目)が移動されると、第2の液体洗浄槽3が空きとなり、洗浄工程の遅滞を招くことなる。このため、蒸気洗浄が終了するまでの間で第1の液体洗浄槽3のバスケット受台15から第2の液体洗浄槽3のバスケット受台15に次のバスケット12(二番目)を掬い取って移載し、搬入口16下のバスケット受台15のバスケット12を掬い取って第1の液体洗浄槽3のバスケット受台15に移載する。これにより、搬入口16下のバスケット受台15に空きが発生するので、搬入口16下のバスケット受台15に次のバスケット12(四番目)を移載する。
蒸気洗浄が終了すると、バスケット12の搬出位置に基づく垂直ガイド21d、アーム21bの移動によって蒸気洗浄ゾーンZ2からバスケット12を掬い取り、このバスケット12(一番目)を、乾燥ゾーンZ1中の搬入口16下のバスケット受台15に移載する。
【0040】
搬出口17下のバスケット受台15へのバスケット12の移載を終了すると、蒸気洗浄ゾーンZ2のバスケット受台15が空きになるので、第2の液体洗浄槽3での液体洗浄後に、第2の液体洗浄槽3のバスケット受台15からバスケット12(二番目)を掬い取り、蒸気洗浄ゾーンZ2中のバスケット受台15に移載する。第2の液体洗浄槽3が空きとなると、次に第1の液体洗浄槽3のバスケット受台15からバスケット12(三番目)を掬い取ってこれを第2の液体洗浄槽3のバスケット受台15に移載し、空きとなった第1の液体洗浄槽3のバスケット受台15に搬入口16下のバスケット受台15からバスケット12(四番目)を掬い取ってこれを第1の液体洗浄槽3のバスケット受台15に移載する。これにより、搬入口16下のバスケット受台15が空きとなるので、搬入工程を実施し、次のバスケット12(五番目)を搬入口16下のバスケット受台15に載置する。
【0041】
乾燥ゾーンZ1での乾燥が終了すると、バスケット搬出工程を実施する。
この工程では、搬出台車23bにより搬出側コンベアに洗浄、乾燥を終えたバスケット12を移載する。搬出台車23bと搬入台車23aとは、構成が同じであるので、この工程では、搬入工程とは逆の手順でバスケット(一番目)12が搬出コンベア20bに移載される。そして、搬出口17の蓋18が閉とされ、蒸気洗浄ゾーンZ2のバスケット受台15からバスケット12(二番目)のバスケット12を掬い取ってこれを搬出口17下のバスケット受台15に移載する。次に、第2の液体洗浄槽3のバスケット受台15からバスケット12(三番目)を掬い取ってこれを蒸気洗浄ゾーンZ2のバスケット受台15に移載し、続いて、第1の液体洗浄槽3のバスケット受台15からバスケット12(四番目)を掬い取ってこれを第2の液体洗浄槽3のバスケット受台15に移載する。この後は、搬入口16下のバスケット受台15から後続のバスケット12(五番目)のバスケット12を掬い取ってこれを第1の液体洗浄槽3のバスケット受台15に移載する。そして、搬入工程を実行して空きとなった搬入口16下のバスケット受台15に次のバスケット12(六番目)を載置する。
【0042】
このように、制御部は、密閉容器1内のフォーク21aと各ゾーンに設置されているバスケット受台15を有効に活用し、空きとなったバスケット受台15に後続のバスケット12、すなわち、バスケット12を移載することによって、遅滞及び滞留のない連続的な処理を可能とする。これにより、バスケットのタクトスピードが増し、処理能力が大幅に向上する。また、乾燥ゾーンZ1により密閉性が保持され、高価な臭素系洗浄液が外部に漏出することがないので、環境に影響を及ぼすこともない。
【0043】
なお、乾燥ゾーンZ1に、液体洗浄、蒸気洗浄、乾燥の工程でそれぞれ処理時間が異なり、処理時間の相違により、バスケット12の滞留が発生するような場合は、乾燥ゾーン
Z1に予備のバスケット受台15を設けてバスケット12の滞留を吸収するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、天井レール22と台車23a,23bとを用いてバスケット12を搬送する説明をしたが、これに限定されることなく、周知のオーバーヘッドコンベアを用いてもよい。
さらに、本実施の形態では、バスケット12の有無をセンサにより、検出し、空きとなったバスケット受台15に後続のバスケット12を載置させて、この後、搬入コンベア23a、移載装置21、搬出コンベア23bの相互の連携により、密閉容器1の内外で複数のバスケット12を順送りすることで、バスケット12の処理数を増加させるという説明をしたが、センサを用いず、タイムチャート(プログラムブルタイムチャート)の搬送スケジュールに基づいて、搬入コンベア23a、移載装置21、搬出コンベア23bの相互の連携を制御することによって被洗浄物の連続処理を行うようにしてもよい。また、タイムチャートの制御とセンサのフィードバック制御の併用により、制御の信頼性を向上させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態に係る密閉洗浄装置の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】バスケット受台に対する密閉用機内の移載装置の移載動作を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る洗浄装置の平面図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】バスケットを載置するバスケット受台を示す図である。
【図7】移載装置にバスケットが載置された状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 密閉容器
1a 天井部
12 バスケット
15 受台
16 搬入口
17 搬出口
18 蓋
20a 搬入コンベア(搬入装置)
20b 搬出コンベア(搬出装置)
21 移載装置
Z1 乾燥ゾーン
Z2 液体洗浄ゾーン
Z3 蒸気洗浄ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物をこれを収容するバスケット毎、洗浄液中で一次洗浄する液体洗浄ゾーンと、被洗浄物を液体洗浄ゾーンから洗浄液と同じ洗浄液の洗浄用蒸気中に引き上げてバスケット毎、二次洗浄する蒸気洗浄ゾーンと、二次洗浄後の被洗浄物を、蒸気洗浄ゾーンから冷却された凝縮雰囲気中に引き上げてバスケット毎、乾燥させる乾燥ゾーンと、
を密閉容器内に設けた密閉洗浄装置であって、
密閉容器内の天井部に設けられ、被洗浄物を収容したバスケットを密閉容器内に搬入させるための搬入口と、密閉容器の天井部に設けられ、被洗浄物を収容したバスケットを密閉容器内から外部に搬出させるための搬出口と、搬入口、搬出口をそれぞれ開閉する蓋と、液体洗浄槽の洗浄液中、蒸気洗浄ゾーン中、搬入口下の乾燥ゾーン中及び搬出口下の乾燥ゾーン中に設けられ、それぞれバスケットを載置させるための複数のバスケット受台と、外部から搬入口を通じて搬入口下のバスケット受台にバスケットを受け渡す搬入装置と、密閉容器内に移動自在に設けられ、各バスケット受台との間でバスケットを移載する移載装置と、搬出口を通じて搬出口下のバスケット受台からバスケットを取り上げて外部に搬出する搬出装置と、を備えた密閉洗浄装置。
【請求項2】
前記搬入装置、前記移載装置、前記搬出装置が、相互の連携により、前記密閉容器の内外で前記バスケットを順送りさせるように構成された請求項1記載の密閉洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄液が低沸点洗浄液である請求項1又は2記載の密閉洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−219966(P2009−219966A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65244(P2008−65244)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(390034234)株式会社ワールド機工 (7)
【Fターム(参考)】