審美的な層を有する口用の製品
包装された歯を白くする製品が提供される。包装には、第1側面及び第2側面を有する基材が含まれ、同基材は、人間のユーザの口腔において使用される寸法である。歯を白くする剤を含む第1組成物が、基材の第1側面に隣接して配置されている。審美的薬剤を含む第2組成物が、基材の第2側面に隣接して配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、審美的な層を有する口用の製品、より具体的には審美的な層を有する歯を白くする製品に関する。
【背景技術】
【0002】
歯を白くすることは、過去数年にわたって大変人気を呼んでいる。ますます多くの消費者が、自分たちの歯を白くすることを選択している。歯を白くするための選択肢には、練り歯磨き、口内洗浄剤、チューインガム、医院内での漂白、及び最も一般的には、店頭販売又は歯科医のいずれかから入手されるトレイと共に用いられる、歯を白くする溶液が挙げられる。化学的ホワイトニング剤と組み合わせた物質のストリップを使用する歯を白くする製品が当該技術分野において既知である。例えば、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,891,453号及び第5,879,691号の基材は、物質の可撓性ストリップと、過酸化物薬剤及びカルボキシポリメチレンゲル化剤を有する歯を白くする組成物とを含むホワイトニング製品を説明している。過酸化水素及びカルボキシポリメチレンは、歯を白くする用途において共通の成分であるものの、一方又は両方共、使用中の望ましくない味覚に寄与し得る。従って、味覚を改善する審美的的薬剤を有する歯を白くする製品への欲求がある。しかし、歯を白くする製品の他の構成要素(例えば、歯を白くする組成物における水、物質のストリップを保管するパッケージにおける物質)と共に、過酸化物薬剤は、芳香剤、感覚的薬剤、及び着香剤などの潜在的な審美的薬剤と反応し得る。故に、味覚を改善する審美的薬剤を有し、同薬剤が長時間にわたる保管に安定である歯を白くする製品への欲求もある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
包装された歯を白くする製品が提供される。パッケージは、第1側面及び第2側面を有する基材を含み、同基材は人間のユーザの口腔において使用される寸法である。歯を白くする剤を含む第1組成物は、基材の第1側面に隣接して配置されている。審美的薬剤を含む第2組成物は、基材の第2側面に隣接して配置されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、添付図面と関連させた以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0005】
本発明の好ましい実施形態について詳細に述べるが、それらの実施例は添付図面に図解されており、図を通して同種の数字は同じ要素を示すが、同じ最後の2桁の数字を有する要素(例えば20及び120)は類似の要素であることを暗示する。本発明は、本明細書では、米国特許第5,891,453号及び第6,419,906号において記載されるような歯を白くするストリップに関して説明され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれるものの、本発明は、他の歯を白くする製品と同様に、本明細書において次に更に充分に説明される他の口用の製品と共に使用できると考えられる。
【0006】
図1、図2、及び図3に関し、本発明によって作製される代表的な歯を白くする製品20が次に説明される。歯を白くする製品20は、第1側面24及び第2側面26を有する基材22と、第1側面24に隣接して配置した、第1組成物から形成される第1層28と、第2側面26に隣接して配置した、第2組成物から形成される第2層30とを含む。任意に、多数又は複数のほぼU字形状のポケット31が、基材22において形成され得る。ポケットには、第1組成物が充填されて、基材に質感を提供する。ポケットは基材に形成されるので、多数のポケットは事実上、ほぼ平面である。同様に、任意に、基材22に対向している第1層及び第2層の一側面又は両側面は、図4及び図5における例によって示されるように、剥離ライナー32によって覆われるか、又は第1層及び第2層の一側面若しくは両側面31は、露出していてもよい。一実施形態では、第1組成物は、歯を白くする組成物であり、第2組成物は審美的薬剤を含む。本発明は、歯を白くする組成物に関して説明されるものの、第1組成物が他の形態で提供されてもよいことが認められる。例えば、ホスフェート、フッ化イオン源、抗菌剤、抗炎症剤、栄養素、酵素、酸化防止剤、H−2拮抗物質などが、歯を白くする剤の代わりに使用できる。これらの、及び本発明と共に使用するのに好適である他の口用ケア剤が、米国特許第6,136,297号に記載され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる。
【0007】
歯を白くする組成物は、基材22上にコーティングされるか又は塗られることができ、少なくとも約0.01mm、少なくとも約0.02mm、少なくとも約0.05mm、又は少なくとも約0.07mm、及び/又は約0.05mm未満、約1mm未満、約2mm未満、又は約3mm未満の厚さを有する第1層28を形成する。これらの測定値は、基材22の表面から第1層28を通る上面まで測定することによって取られる。第1層28は均一で、均質な、連続する層であることが望ましいものの、同層28はまた、不均質、不連続、及び/又は異成分であってもよい。例えば、第1層28は、構成成分の積層体又は別個の層、構成成分の非晶質混合物、異なる構成成分の別個のストリップ、スポット、若しくは他のパターン、又はこれらの構造体の組み合わせであってもよい。更に、第1層は、基材22の一部分として又は基材22と混合されて形成され得る。あるいは、第1組成物は、米国特許第6,419,906号における例によって記載されるように、基材22と置換され得る。例えば、第1組成物は、ポリマー中に組み込まれる歯を白くする剤を有する水和性エチレンオキシドポリマーを含むフィルム又はストリップの形態で提供され得る。次に、審美的薬剤を含む第2層30が、エチレンオキシドポリマーフィルムの一側面に隣接するフィルムとして形成され得る。本明細書で使用される用語「隣接して配置した」は、物質表面上への直接の配置を指すことを意図するか、又は中間の更なるコーティングがあるような物質表面近くの配置を含み得る。例えば、審美的薬剤を含む第2層30とエチレンオキシドポリマーフィルムとの間に配置したコーティング物質があってもよい。
【0008】
第1層28を形成する歯を白くする組成物は、粘稠な液体、ペースト、ゲル、溶液、固体、又は層を形成し得る他のいかなる状態又は相の形態でも提供できる。一実施形態では、歯を白くする組成物は、ゲルの形態で提供され、低せん断速度(約1秒-1)で約0.2(200)〜約1000Pa・s(1,000,000cP)の粘度を有し、もう1つの実施形態では、粘度は約100(100,000)〜約800Pa・s(800,000cP)である。他の実施形態では、粘度は、約150(150,000)〜約700Pa・s(700,000cP)か、又は約300(300,000)〜約700Pa・s(700,000cP)である。
【0009】
歯を白くする組成物の量は、意図される用途、基材22の寸法、過酸化物薬剤の濃度、及び所望の効果次第で変化する。一般に、約1g未満が提供される。もう1つの実施形態では、約0.05g〜約0.5gが提供され、更にもう1つの実施形態では、約0.1g〜約0.4gの歯を白くする組成物が提供される。基材22の1平方センチメートル当たりの歯を白くする組成物の量は、約0.2g/cm2未満、約0.005〜約0.1g/cm2、又は約0.01g/cm2〜約0.05g/cm2である。
【0010】
当該技術分野において既知であるように、歯を白くする組成物は降伏応力も有する。降伏応力は、物質が動き始める前の物質上の力の量である。降伏応力は、歯を白くする組成物が薄層を形成することができ、また製造、取り扱い、及び保管によって生じる障害にも対処することができるように充分に高くなければならない。歯を白くする組成物の降伏応力は、約2Pa〜約3000Pa、約20Pa〜約2000Pa、約200Pa〜約1500Pa、又は約400Pa〜約1200Paである。
【0011】
歯を白くする組成物と共に使用するのに好適な歯を白くする剤には、過酸化水素、亜塩素酸金属塩、過ホウ酸塩、過オキソ酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。過酸化物薬剤には、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な亜塩素酸金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。歯を白くする更なる剤には、次亜塩素酸及び二酸化塩素が挙げられる。歯を白くする剤は、いかなる濃度でも存在し得るものの、過酸化物薬剤は、歯を白くする組成物の少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、又は少なくとも15重量%、及び/又は約15重量%未満、約20重量%未満、約25重量%未満、約30重量%未満、又は約40重量%未満と等量の過酸化水素の濃度で存在することが好ましい。これらの濃度は過酸化水素について表されるものであり、過酸化カルバミド、過酸化カルシウムなど、その他の過酸化物を遊離させる分子については、適当な変換を行わなければならないことが理解される。
【0012】
歯を白くする組成物の更なる構成要素には、水、ゲル化剤、保湿剤、pH調整剤、安定化剤、減感剤、及び反応促進剤又は漂白活性化剤を挙げられるが、これらに限定されない。一般的なゲル化剤は膨潤可能なポリマーである。歯を白くする組成物を層に形成し得るゲル化剤の有効濃度は、ゲル化剤の各種類で変化する。薄層は、歯を白くする組成物を基材上で薄層に形成できる粘度及び降伏応力を有する。これらの薬剤で形成した歯を白くする組成物はまた、口の目標区域に基材の充分な接着性固着を提供することもある。例えば、カルボキシポリメチレンを有する歯を白くする組成物を形成するためのゲル化剤の濃度は、歯を白くする組成物の約0.1重量%〜約15重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、又は約3重量%〜約6重量%である。ポロキサマーゲル化剤の有効濃度は、歯を白くする組成物の約10重量%〜約40重量%、約20重量%〜約35重量%、又は約25重量%〜約30重量%である。
【0013】
本発明において有用な好適なゲル化剤には、ノベオン社(Noveon,Inc.)によって製造される「ぺムレン」、カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポロキサマー、ラポナイト、カラギーナン、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、及びカラヤガム、キサンガム、グアーガム、アラビアゴム、トラガカントガムなどの天然ゴム、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明で使用するのに好ましいゲル化剤は、商品名「カーボポール(Carbopol)」でB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)から入手されるカルボキシポリメチレンである。特に好ましいカーボポール(Carbopol)には、カーボポール934、940、941、956、971、974、980、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、カーボポール(Carbopol)956である。カルボキシポリメチレンは、活性なカルボキシル基を有する弱酸性ビニルポリマーである。
【0014】
他の好適なゲル化剤には、限られた水溶性を有するポリマー、及び水溶性に欠けるポリマーの両方が挙げられる。限られた溶解性を有する好適な接着剤には、ヒドロキシルエチル又はプロピルセルロースが挙げられる。水溶性に欠ける接着剤には、エチルセルロース及びポリオックス樹脂が挙げられる。本組成物で使用するのに好適なもう1つの可能な接着剤は、分子量約50,000〜約300,000のポリビニルピロリドンである。本組成物において使用するのに好適な、更に別の可能な接着剤は、ガントレッツ(Gantrez)と半合成の水溶性ポリマーであるカルボキシメチルセルロースとの組み合わせである。
【0015】
口の組織に安全な組成物を製造するためにpH調整剤も加えてもよい。このようなpH調整剤、又は緩衝剤は、組成物のpHを調整するのに好適であるいかなる物質であってもよい。好適な物質には、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、スズ酸ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、塩酸、クエン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。組成物のpHを約3〜約10、約4〜約8.5、又は約4.5〜約8に調整するために、pH調整剤は、充分な濃度で加えられる。pH調整剤はほぼ、組成物の約0.01重量%〜約15重量%、又は約0.05重量%〜約5重量%の濃度で存在する。
【0016】
好適な安定化剤には、安息香酸、サリチル酸、ブチル化ヒドロキシトルエン、スズ塩、リン酸塩、及びその他のものが挙げられる。好適な漂白活性化剤には、トリクロロイソシアヌル酸、及びリン酸塩、例えばピロリン酸四ナトリウムが挙げられる。
【0017】
減感剤も、歯を白くする組成物において使用してもよい。これらの薬剤は、過敏性のある歯を有する消費者に好ましい場合がある。減感剤には、硝酸カリウム、クエン酸、クエン酸塩、塩化ストロンチウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。硝酸カリウムは、好ましい減感剤である。歯の過敏性を軽減させる効果を提供するその他の薬剤も、本発明に含まれる。典型的に、減感剤の濃度は、歯を白くする組成物の約0.01重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約8重量%、又は約1重量%〜約7重量%である。
【0018】
歯を白くする組成物では、第1組成物の構成要素として保湿剤を含むのが望ましいことが多い。保湿剤は、レオロジー的安定性及び/又は物理的安定性を提供し、ユーザに様々な審美性を提供する。一般的な保湿剤には、ポリオール(例:グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール)が挙げられる。ポリオールは、歯を白くする組成物の約40重量%未満、約0重量%〜約35重量%、約1重量%〜約30重量%、又は約5重量%〜約15重量%の濃度で存在する。ポリオールの濃度が減少する時、歯を白くする組成物の残部は水を含み得る。一般に、水の濃度は、全歯を白くする組成物の少なくとも約0重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%、及び/又は約99重量%未満、約90重量%未満、約80重量%未満、又は約70重量%未満である。この水の濃度は、その他の物質と共に導入される量に加算して、加えられる遊離水を含む。
【0019】
基材22は、ポリマー、天然及び合成の織布、不織布、ホイル、紙、ゴム、及びこれらの組み合わせなどの材料から形成されてもよい。基材22は材料の単一層であっても、又は1を超える層の積層体であってもよい。一実施形態では、基材22は、材料のほぼ平坦な又は平面的ストリップの形体で提供される。好適なポリマーには、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチルビニルアセテート、エチルビニルアルコール、デュポン社(DuPont)によって製造されたマイラー(登録商標)などのポリエステル、デュポン社(Dupont)によって製造されたテフロン(登録商標)などのフッ素樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。更に、基材22は、図1に示されるような平面よりもロールの形態で提供され得ることが考察される。あるいは、基材22は、事前成形された歯用トレイ又は歯用可撓性トレイ、ワックス、発泡体、水和性フィルム、多孔質ウェブ又はフィルム、及び前述のものの任意の組み合わせなど、他の形態で提供できることが考察される。これらの他の基材のいくつかは、米国特許第6,419,906号;第4,173,243号;第5,310,563号;第6,045,811号;第5,326,685号;第5,575,654号;及びRE34,196号に記載され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる。
【0020】
基材22は、その用途による寸法であることができ、一般的に人間のユーザの口腔のための、より具体的には歯を白くする製品20における寸法であるものの、基材は、図6、図7、図8、及び図9において一般的に示されるように、漂白されることが所望される歯又は歯40の列に個々に適合する寸法である。一般にこれは、装用者が笑っている時に見える上若しくは下の歯列の、又は上顎の歯群若しくは下顎の歯群のいずれかの前面の6〜8本の歯である。任意に、基材22は、歯に対して配置した時、上又は下の歯列全体に合致してもよい。一実施形態では、基材22は、唇側表面(すなわち、前側表面)の一部分と、歯に隣接する軟組織42とを覆い、また、歯の切端の上で歯の舌側表面(すなわち、裏面)の少なくとも一部分上まで折り重なる寸法である。もう1つの実施形態では、基材22は更に、少なくとも前側中央の6本の歯(犬歯〜犬歯)を覆う寸法である。基材22は、丸い角を有する四角形で、長さ約6.5cmx幅1.5cmの寸法の上顎のストリップであってもよく、及び/又は基材22は、丸い角を有する台形で、長さ5cmx幅2cmの寸法の下顎のストリップであってもよい。歯を白くする用途における基材22の寸法及び形状の更なる記載は、米国特許出願09/268,185(1999年3月15日出願)に開示されており、その内容全体を参考として本明細書に組み込む。
【0021】
いくつかの実施形態では、非常に小さい力をかけることで、歯の表面の輪郭に沿って覆うことができるように、基材22は、相対的に低い曲げ剛性を有するべきである;すなわち、基材をほぼ平坦な形状まで戻させるための残りの力が基材内にほとんどないので、着用者の口、歯、及び歯と歯の間の溝の湾曲への適合が維持される。基材の可撓性によって、物理的に刺激することなく、基材が長時間にわたって隣接する軟組織に接触するのが可能になる。基材は歯に対してそれを成形するのに圧力を必要とせず、適用する場合、永続的に変形することなく歯の表面及び歯の空間の隙間に容易に適合する。基材22が薄い可撓性ストリップの形態で提供される時、基材は、少なくとも約0.001mm、又は少なくとも約0.005mm、及び/又は約1mm未満、約0.1mm未満、約0.05mm未満、約0.03mm未満、又は約0.02mm未満の厚さを有する。
【0022】
曲げ剛性とは、基材の厚さ、幅、及び材料の弾性係数の組み合わせの機能である材料特性である。この試験は、ポリオレフィンのフィルム及びシートの剛性を測定する方法である。それは、水平梁の末端に固定されたひずみゲージを用いて、試料の曲げに対する抵抗力を測定する。梁の反対側の末端が、試料のストリップ全体を押して、ストリップの一部を試料が置かれている水平台の垂直な溝の中に押し入れる。ひずみゲージにワイヤー接続されたマイクロアンメータは、曲げたわみ力のg数で較正される。試料の剛性はマイクロアンメータから直接読み取られ、試料ストリップの幅1cm当りのg数として表される。好ましいが、本発明に必要ではない実施形態では、可撓性基材は、試験方法ASTM D2923−95により、スウィング−アルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Co.)(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手可能なハンドル・オー・メーター(Handle-O-Meter)、モデル#211−300で測定される時、約5g/cm未満の曲げ剛性を有する。好ましくは、基材22は約4g/cm未満、約3g/cm未満、又は約0.1g/cm〜約1g/cmの曲げ剛性を有する。
【0023】
上記のように、剥離ライナー32は、第1層28に隣接して任意に提供され得る。剥離ライナー32は、第1層28がそれ自体及び基材22に表すよりも少ない親和性を第1層28に表す任意の材料から形成され得る。例えば、剥離ライナー32は、紙、又は3M社(3M Corp.)(ミネソタ州ミネアポリス)によって製造されるスコッチパック(登録商標)などのポリエステルから形成されることができ、同ライナーは、基材22が剥離ライナー32から引き離される時、剥離ライナー32からの歯を白くする組成物の剥離を助けるために、非粘着物質でコーティングされる。代表的なコーティングには、ワックス、シリコーン、テフロン(Teflon)(登録商標)などのフルオロポリマー、フルオロシリコーン、又はその他の非粘着型の物質を挙げることができる。また、好適なコーティングには、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる米国特許第3,810,874号;第4,472,480号;第4,567,073号;第4,614,667号;第4,830,910号;及び第5,306,758号に記載されるコーティングの1つを挙げてもよい。剥離剤として好適であり得る好適な物質の更なる記載は、参考として本明細書に組み込まれるカーク・オスマー(Kirk-Othmer)の工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、21巻の207〜218ページに見出される。剥離ライナー32は、図1に示されるような基材22と少なくとも同じ寸法及び形状であるべきものの、剥離ライナー32は、基材を超えて伸びることができるので、剥離ライナー32から基材22(及び付随する第1、第2層)を剥がすのは容易である。
【0024】
歯を白くする製品20は、様々な形状及び寸法で提供できる、図10に示されるようなパッケージ44に配置されてもよい。しかし、パッケージ44の形状及び寸法は歯を白くする製品20の形状及び寸法にぴったり適合し、使用の用意ができるまで密閉されることが望ましい。小袋、箱、プラスチック容器、封筒、袋、又は当該技術分野において既知のその他の好適な包装の形態でパッケージを提供することができる。複数のパッケージ44及び歯を白くする製品20は、まとめられるか、又はさもなければセットで提供されて、歯を白くするシステムの充分な供給が、何日もの使用のために利用できる。より好ましくは、パッケージ44の上部空間46の体積は、約0.1mm3〜約30,000mm3、又は約50mm3〜約10,000mm3である。第1層28の体積に対する上部空間36の体積の割合は、1〜約500、好ましくは1〜約400である。より好ましくは、第1層28の体積に対する上部空間46の体積の割合は、1〜約200、又は1〜約100である。パッケージ44は、半透明でない材料から作製されて、水分透過性が低い又は全くなく、ほぼ不透過性であるべきである。パッケージ44は、1つ以上の材料から作製されて、任意に内側ライナーを有してもよい。例えば、小袋がホイルから作製されて、ポリエチレンの内側層を有し得る。半透明ではなく、水分の透過を妨げるその他の好適な材料には、プラスチック、紙、ホイル、厚紙、ポリマー、及びゴムが挙げられる。複数のパッケージ44を保管する第2のパッケージ(図示せず)も提供できる。
【0025】
本発明の一態様によって、第2層30を形成する第2組成物は、1つ以上の審美的薬剤を含む。第2組成物は、粘稠な液体、ペースト、ゲル、溶液、固体、粉末、又は層を形成し得る他の任意の状態若しくは相の形態で提供できる。本明細書において使用される用語「審美的薬剤」は、味覚、嗅覚、又は体性の感覚に影響を及ぼす任意の薬剤を指す。審美的薬剤の例には、着香剤(例:甘味剤、苦味剤、酸味剤など)、芳香剤(例:揮発性油及びエッセンス)、及び感覚剤(例:冷却剤、加温剤など)が挙げられる。これらの薬剤は、本明細書において次に更に充分に検討されるように封入されて、第2層30からパッケージ44の上部空間46内への放出を低減し、薬剤の配達を導いて、薬剤を、水、過酸化水素、歯を白くする製品及びパッケージの他の構成要素などの反応物質から保護してもよい。好適な薬剤がいくつか、本明細書において次に説明される。これらの薬剤は本明細書において便宜上、着香剤、芳香剤、及び感覚剤として説明されるものの、いくつかの薬剤は、1を超える範疇に分類されてもよいことが認められる。例えば、ペパーミント油は、芳香剤及び感覚剤(すなわち、冷却剤)の両方と考えられてもよい。同様に、複数の審美的薬剤が第2層30の中に含まれてもよい。例えば、メントールモノホスフェート(MMP)及びN−エチル−p−メタン−3カルボキサミド(WS−3)など、他の審美的薬剤と組み合わせた、スクラロースなどの甘味剤を含むことが望ましいこともある。
【0026】
好適な甘味剤には、天然甘味剤及び人工甘味剤の両方が含まれる、当該技術分野において周知のものが挙げられる。好適な水溶性甘味剤には、単糖類、二糖類、及びキシロース、リボース、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、ショ糖(砂糖)、マルトース、転化糖(フルクトースとショ糖由来のグルコースとの混合物)、部分的に加水分解したデンプン、コーンシロップ固形物、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、及びグリチルリチンなどの多糖類が挙げられる。好適な水溶性人工甘味料には、可溶性サッカリン塩、すなわち、ナトリウム又はカルシウムサッカリン塩、シクラメート塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−二酸化物のナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−二酸化物のカリウム塩(アセスルファム−K)、サッカリンの遊離酸形状などが挙げられる。他の好適な甘味剤には、ジペプチド系甘味剤が挙げられ、例えば、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)及び米国特許第3,492,131号に記載する物質などのL−アスパラギン酸由来の甘味剤、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5,ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキシエン)−アラニンなどである。例えば、スクラロースの製品銘柄で既知である通常の砂糖(スクロース)の塩素化誘導体など、自然発生の水溶性甘味剤由来の水溶性甘味剤、及びタウマトコースダニエリ(タウマチンI及びII)などのタンパク質系甘味剤が使用できる。一般に、第2層30を形成する組成物は、甘味剤の、約0重量%超、約0.001重量%超、約0.01重量%超、約0.5重量%超、約1重量%超、約10重量%超、約25重量%超、又は約50重量%超、及び/又は約99重量%未満、約90重量%未満、約40重量%未満、約20重量%未満、約5重量%未満、又は約3重量%未満を含み得る。第2層30が本明細書において次に更に充分に検討されるような粉末の形態の甘味剤を実質的に含む時、甘味剤の上の範囲が、ほぼ適用可能である。
【0027】
冷却剤は、多種多様な物質のいずれかから選択できる。このような物質に含まれるのは、カルボキサミド、メントール、ケタール、ジオール、及びこれらの混合物である。本発明の組成物における好ましい冷却剤は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物などのパラメンタンカルボキサミド剤である。更なる好ましい冷却剤は、メントール、タカサゴ(Takasago)によって製造され、TK−10として既知の3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・レイマー(Haarmann and Reimer)によって製造され、MGAとして既知のメントングリセロールアセタール、及びハーマン・アンド・レイマー(Haarmann and Reimer)によって製造され、フレスコラット(登録商標)として既知のメチルラクテートからなる群から選択される。本明細書で使用されるメントール及びメンチルという用語には、これらの化合物の右旋性異性体及び左旋性異性体、並びにこれらのラセミ混合物が含まれる。TK−10については、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日発行)に記載されている。WS−3及び他の薬剤は、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載され;その開示が参考として本明細書に組み込まれる。一般に、第2層30を形成する組成物は、冷却剤の、約0重量%超、約0.001重量%超、約0.01重量%超、約0.1重量%超、約1重量%超、約10重量%超、約25重量%超、又は約50重量%超、及び/又は約99重量%未満、約90重量%未満、約75重量%未満、約40重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約2重量%未満を含む。本明細書において次に更に充分に検討されるように、第2層30が粉末の形態の冷却剤を実質的に含む時、甘味剤の上の範囲がほぼ適用可能である。
【0028】
天然及び人工の芳香剤が使用できる。いくつかの好適な芳香剤には、合成油、精油、オレオ樹脂、エッセンス、及び植物、葉、花、果実など由来の抽出物、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。代表的な油には、スペアミント油、桂皮油、冬緑油、ペパーミント油、丁子油、ベイ油、ユーカリ油、タイム油、シーダー葉油、ナツメグ油、セージ油、ビターアーモンド油が挙げられる。同様に、バニラ油、シトラス油、レモン油、オレンジ油、グレープ油、ライム油、及びグレープフルーツ油を含む、人工果実油、天然果実油、及びエッセンスと、アップル、洋ナシ、ピーチ、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む果実エッセンスとが有用である。これらの芳香剤は、個々に又は混合で使用されてもよい。一般的に使用される芳香剤には、個々に使用されても又は混合で使用されてもよい、ミント(例:ペパーミント、メントール、スペアミント、及び冬緑油)、シナモン誘導体、及び様々な果実油又はエッセンスが挙げられる。一般に、第2層30を形成する組成物は、芳香剤の、約0重量%超、約0.001重量%超、約0.01重量%超、約0.1重量%超、又は約1重量%超、及び/又は約60重量%未満、約30重量%未満、約15重量%未満、又は約5重量%未満を含む。
【0029】
審美的薬剤はまた、他の要素と組み合わされること、結合されること、又は複合されること、及び/又は封入されることもある。例えば、ある組成物は、芳香剤など、少なくとも1つの審美的薬剤をリン酸化することによって処方されてもよい。これらの組成物は、本明細書ではホスフェート誘導体と呼ばれ、国際公開第95/07683号に更に充分に記載され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる。ホスフェート誘導体は、ホスフェートの架橋によって少なくとも1つの審美的薬剤を接着性構成成分に連結することも含む。ピロホスフェート及びトリホスフェートのグループ分けは、ホスフェート基に置換されてもよい。本明細書において使用する用語「接着性構成成分」は、エステルアミド、又はリン(V)原子とのチオエステルの結合のどちらかを形成できる、水酸基、アミノ基、又はチオール基を有するモノマー、オリゴマー、又はポリマーのどれかを指すことを意図している。モノマー、オリゴマー、又はポリマーは、非置換のままであるか又はエステルアミドによって結合されるかのどちらかであってもよい更なる水酸基、アミノ基、又はチオール基を有するか、あるいは審美的薬剤にも固着するリン(V)原子へのチオエステルの結合も有してもよい。好ましい化合物は、C12−C18ジアシルグリセロール、部分的に加水分解したビニルアセテート/エチレンコポリマー、セルロース、キチン、グルコース、グルコサミン、シリカゲル、グリセロール(gycerol)、及び低級アルキルビニルエーテル−マレイン酸からなる群から選択される。審美的薬剤は、2つの官能基若しくは固着位置によってリンに結合するか、又はポリマーを含む、帯電した化合物若しくは物質とのクーロンの相互作用によって結合してもよい。
【0030】
ホスフェート誘導体の審美的薬剤は、口腔において一般的に見出されるものなど、ホスファターゼ酵素によって、審美的薬剤からホスフェートが開裂した後に離れ得る。ホスファターゼ酵素には、酸性、塩基性、及びピロホスファターゼが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい審美的薬剤には、メントール、3−1−メントキシプロパン−1、2−ジオール(「TK−10」)、メントングリセロールアクチール(「MGA」)、及びメンチルラクテートからなる群から選択される冷却剤が挙げられる。本明細書において使用される用語「メントール」及び「メンチル」には、これらの化合物の右旋性異性体及び左旋性異性体と、そのラセミ(reacemic)混合物が含まれる。好ましいホスフェート誘導体には、メンチルモノホスフェート、メンソールモノホスフェート、オイゲニモノホスフェート、チミルモノホスフェート、1−メンチルジホスフェート、ビス1−メンチルピロホスフェート、及び1−メンチルトリホスフェートが挙げられる。ホスフェート誘導体は、次の式:
【0031】
【化1】
によって表されることができる。
【0032】
上の式中、
Rは、好ましくは、冷却剤、甘味剤、及び着香剤からなる群から選択され;
R’及びR”は、R、接着性構成成分、M+、M++、C、及び水素からなる群から別々に選択され;
M+及びM++は、人間の有機又は身体プロセスに重要である金属カチオンである。好ましいM+カチオンは、ナトリウム及びカリウムである。好ましいM++カチオンは、亜鉛、マグネシウム、マンガン、銅、及びスズである。
【0033】
C+は、有機カチオンである。有機カチオンには、正に帯電した窒素原子、リン原子、酸素原子、又はイオウ原子が挙げられる。そのようなカチオンは、1を超える正に帯電した位置を含み、窒素原子、リン原子、酸素原子、又はイオウ原子を含むオリゴマー又はポリマーの場合、多くの正に帯電した中心が存在することがある。好ましい有機カチオンには、アンモニウム、プロトン化したグルコサミンなどのプロトン化したアミン、及びプロトン化したキトサンなどの、部分的に又は充分にプロトン化したアミン含有ポリマーが挙げられる。
【0034】
X、X’、及びX”は、酸素、窒素、及びイオウからなる群から別々に選択され;また
nは1〜3の整数である。
更に、R’は、R”と等しくてもよく、好ましくはR’及びR”は、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、マンガン、銅、及びスズからなる群から選択される。ホスフェート誘導体は非常に安定で、審美的薬剤からホスフェートが開裂した後にのみ審美的薬剤を離すので、ホスフェート誘導体は、本発明において特に好ましい。
【0035】
第2層30からパッケージ44の上部空間46内への拡散を最小化するために、又は審美的薬剤の安定性を増大するために、審美的薬剤は封入されてもよい。好適な封入剤には、上記の感覚薬剤と共に包接錯体を形成できる、6〜12のグルコース単位、特に、α−、β−、γ−シクロデキストリン、及びこれらの混合物、及び/又はこれらの誘導体、及び/又はこれらの混合物を含む非置換シクロデキストリンなど、既知である任意のシクロデキストリンが挙げられる。α−、β−、及びγ−シクロデキストリンは、特に、アメリカン・メイズ・プロダクツ社(American Maize-Products Company)(アマイゾ(Amaizo))(インディアナ州ハモンド);ロクエッティ社(Roquette Corporation)(イリノイ州ガーニー);及びシノイン・ファーマシューティカル・アンド・ケミカルワークス社(Chinoin Pharmaceutical and Chemical Works,Ltd.)(ハンガリー、ブダペスト)から入手可能である。既知であるシクロデキストリンの多くの誘導体がある。代表的な誘導体には、米国特許第3,426,011号(パーマーター(Parmerter)ら、1969年2月4日発行);同第3,453,257号、同第3,453,258号、同第3,453,259号、及び同第3,453,260号(全てパーマーター(Parmerter)ら、1969年7月1日発行);同第3,459,731号(グラメラ(Gramera)ら、1969年8月5日発行);同第3,553,191号(パーマーター(Parmerter)ら、1971年1月5日発行);同第3,565,887号(パーメーター(Parmerter)ら、1971年2月23日発行);同第4,535,152号(ゼトリ(Szejtli)ら、1985年8月13日発行);同第4,616,008号(ヒライ(Hirai)ら、1986年10月7日発行);同第4,638,058号(ブラント(Brandt)ら、1987年1月20日発行);同第4,746,734号(ツチヤマ(Tsuchiyama)ら、1988年5月24日発行);及び同第4,678,598号(オギノ(Ogino)ら、1987年7月7日発行)に開示されたものが挙げられ、前記特許の全てが参考として本明細書に組み込まれる。本明細書において使用するのに好適なシクロデキストリン誘導体の例には、メチル−β−CD、ヒドロキシエチル−β−CD、及び特に、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウオーキー);ワッカー・ケミカルズ社(Wacker Chemicals)(コネチカット州ニューカナーン);及びシノイン・ファーマシューティカル・ワークス社(Chinoin Pharmaceutical Works)(ハンガリーブダペスト)から入手できる、置換の程度の異なる(DS)ヒドロキシプロピル−β−CDが挙げられる。水溶性誘導体も非常に望ましい。
【0036】
個々のシクロデキストリンは、例えば、多機能な薬剤を使用して、共に結合されて、オリゴマー、ポリマーなどを形成してもよい。そのような物質の例は、アマイゾ社(Amaizo)から、またアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)から市販されている(β−CD/エピクロロヒドリンコポリマー)である。シクロデキストリンの混合物を使用して複合体の混合物を提供することが望ましいこともある。シクロデキストリンの混合物は、米国特許第3,425,910号(アームブルスター(Armbruster)ら、1969年2月4日発行);第3,812,011号(オカダ(Okada)ら、1974年5月21日発行);第4,317,881号(ヤギ(Yagi)ら、1982年3月2日発行);第4,418,144号(オカダ(Okada)ら、1983年11月29日発行);及び第4,738,923号(アメラール(Ammeraal)、1988年4月19日発行)に記載されるプロセスを含むシクロデキストリンの調製のための既知のプロセスから中間製品を使用することによって便利に得られ、前記特許の全てが参考として本明細書に組み込まれる。いくつかのシクロデキストリン混合物が、例えば、エンスイコ・シュガー・リファイニング社(Ensuiko Sugar Refining Company)(横浜)から市販されている。シクロデキストリン複合物は、当該技術分野において既知であるいくつかの方法で形成できる。そのような方法の例が米国特許第5,571,782号;第3,812,011号;第4,317,881号;第4,418,144号;及び第4,378,923号に記載され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる。
【0037】
審美的薬剤から形成されたコアと、審美的薬剤の剥離を制御するための、コアの上のコーティング層とを含むマイクロカプセルなど、他の封入技術も使用されてよい。噛むなどの物理的力で破壊するか、又は唾液による接触時に分散若しくは乳化するコーティング物質を含む、耐水性であって、使用中に審美的薬剤を剥離するコーティング物質が好ましい。好適なコーティングには、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、カゼイン、アルギネート、ワックス、脂質、及びこれらの混合物から形成されるものが挙げられる。コーティング層は、静電気力によって共に保持されたコロイド状の球体の集合のためのプロセスであるコアセルベーションによって作製でき、また水を有するそのようなコロイド状の物質の存在下でフレーバー油のエマルションを希釈して、エマルションのpH若しくは温度を調節することによって、又はそのような技術の任意の組み合わせによって作製され得る。その要旨が参考として本明細書に組み込まれる米国特許第5,759,599号;第5,266,335号;第5,498,439号;及び第4,983,404号は、いくつかの封入コーティングと、本発明と共に使用できる同コーティングを形成するプロセスとを記載している。当該技術分野において既知の他のプロセスも使用できる(例:スプレーコーティング)。多数の封入が本発明と共に使用できる。例えば、様々な封入技術が、共に第2層30に組み込まれて、異なる剥離特性を提供する様々な審美的薬剤と共に使用できる。あるいは、数個の封入技術が使用されて、単一の審美的薬剤について多数の層の封入を提供できる。
【0038】
第2組成物は、審美的薬剤を基材22に結合するか、固着するか、又はさもなければ接着する担体物質も含み得る。一実施形態では、担体物質は、基材22に対して接着性であるが、その露出した側面は、基材上で形成された後は非接着性であるフィルムの形成を促進する。任意に、第2層30の露出した側面は、潤滑剤でコーティングされて、非接着性表面を提供できる。好適な潤滑剤の粉末には、ステアリン酸マグネシウム、エチルセルロース、及びステアリルフマル酸ナトリウムが挙げられる。更に、担体物質は、溶解、拡散、分散、又は他の手法によって、使用中に第2層30からの審美的薬剤の剥離を促進するべきである。好ましくは、担体物質は唾液で分散可能である。第2層は、約0.005mm超、約0.02mm超、及び/又は約1cm未満、約5mm未満、約2mm未満、約1mm未満、又は約0.1mm未満の厚さを有する。第1層、基材、及び第2層の全体的な厚さは、約0.01mm超、約0.05mm超、約0.1mm超、約0.2mm超、及び/又は約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満、約0.4mm未満、約0.3mm未満、又は約0.2mm未満である。一般に、第2組成物は、担体物質の、少なくとも約0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、又は少なくとも約95重量%、及び/又は約98重量%未満、約90重量%未満、約80重量%未満、約50重量%未満、約25重量%未満、又は約10重量%未満を含む。好適な担体物質には、全体的又は部分的炭水化物(例:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、デンプン、アラビアゴム)、脂質(例:飽和した及び部分的に飽和した植物油、ココヤシ油、コカバター、ベニバナ油、パーム核油などの脂肪及び油)、ワックス(例:蜜蝋及びカルナウバワックス)、炭化水素(例:ワセリン及び鉱物油)、シリコーン、プロテイン(例:カゼイン及びアルギネート)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。審美的薬剤が不揮発性である時、HPMCなどの炭水化物を含む担体物質が好ましいものの、審美的薬剤が揮発性である時、脂質又は炭化水素を含む担体物質が好ましい。
【0039】
第2層30は、1つ以上の担体物質の組み合わせ及び/又は誘導体から形成できるか、又は同層30は、別個の担体物質及び/又は審美的薬剤から形成された多重層を備え得る。更に、別個の第2層30は、基材22上の様々な位置に、又は互いに上に重なって形成でき、各第2層30は、別個の担体物質及び/又は審美的薬剤から形成されることが考察される。例えば、第2層の一部分は、第1審美的薬剤の迅速な剥離のために迅速に溶解するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでもよく、また第2層の別の部分は、第2審美的薬剤の持続された剥離のために、同薬剤を長時間にわたって拡散するシリコーンを含んでもよい。あるいは、第2層30は、基材に直接隣接する、脂質などの第1担体物質を含む第1副次層と、基材の反対側の第1副次層の上に、HPMCなどの炭水化物を含む第2副次層とを備えてもよく、第2副次層は第1副次層を覆う。HPMCを含む第2副次層は、口腔に露出しているので、ユーザに脂質を含む第1副次層に対して改善された感覚(例:「非接着性」外側層)を提供できる。
【0040】
第2層30は担体物質を組み込んでもよいものの、第2層は、静電気力で基材22に接着する乾燥粉末のみから形成されてもよいことが考察される。粉末は、ダスティング、乾燥スプレー、又は当該技術分野において既知である他の手段によって基材に適用される、乾燥した封入された審美的薬剤であってもよい。粉末は本質的に、審美的薬剤、若しくは封入した形態の審美的薬剤からなってもよいし、又は審美的薬剤は、ステアリン酸マグネシウム、エチルセルロース、及びステアリルフマル酸ナトリウムなど、他の乾燥物質と混合されていてもよい。
【0041】
図11に関して、歯を白くする製品20を形成する方法が次に説明される。剥離ライナーのシート60は、ローラー62から広がり、ドラム64の上に送られる。剥離ライナーのシート60は、当該技術分野において既知であるフィルム作製プロセスによって形成されてもよい。剥離ライナーのシート60(及び基材22のシート66)は、当該技術分野において既知であるフィルム作製プロセスによって形成されてもよい。シート60及び66は、吹き込み工程又はキャスト工程により製造することができる。基材の曲げ剛性に影響を及ぼさない押し出し及びその他の工程のような工程も用いてよい。ノズル68は、剥離ライナーのシート60上に歯を白くする組成物の第1層70をスプレーする。基材22のシート66は、ローラー71から広がって、歯を白くする組成物の第1層70上へ軽く押し付けられ、その結果、3層積層体を形成する。積層体は、ローラー72まで送られ、同ローラーが基材22の外側縁部を切断する。ローラー72での切断操作の後、基材22の余分なシート66は、ローラー76によって取り上げられ、その結果、剥離ライナーのシート60上に、基材22及び歯を白くする組成物を残す。ローラー78は、剥離ライナーを切断して、個々の歯を白くする製品20を形成する。余分な剥離ライナーはローラー80によって取り上げられるものの、歯を白くする製品20はコンベヤ82によって集められ、その後、同製品20はパッケージに挿入されて、包装された歯を白くする製品が形成される。
【0042】
第2層30は、シート60上で第1層が形成される前又は後に形成できる。第2組成物は、審美的薬剤、担体物質、好適な溶媒(例:エタノール又はエチルアセテートなどの食物等級溶媒)、及び任意の他の所望される構成要素(例:水、及び/又はグリセロール又はプロピレングリコールなどの保湿剤)を混合することによって形成できる。混合物は、ノズルによってスプレーされてもよいし、又はさもなければ基材を形成するために使用されるシート66上にコーティングされてもよい。これは別個のプロセスで行われ、次に、第2層30を組み込むシート66がロールされて、ローラー71から送られることができる。第2組成物は、例えば、熱風対流プロセスによって乾燥させ、溶媒を除去し、第2組成物をシート66に接着させて、第2層30を形成することができる。第2層を形成するために溶媒プロセスが使用される場合、歯を白くする組成物の層の形成前にシート66上に第2層が形成されることが好ましい。
【0043】
本発明を実行するために、消費者はパッケージを開け、歯を白くする製品を取り出す。消費者によって基材が複数の隣接する歯にあてがわれる。歯に面する基材の側面は、好ましくは粘稠な状態である歯を白くする組成物でコーティングされ、歯を白くする剤だけでなく、歯の表面と基材との間の粘着性も提供して、長時間、基材を適所に保持する。基材は、歯に隣接する軟組織にあてがわれ、複数の歯の切端の上及びその舌側の側面上に折り畳まれる。基材は、歯に軽く押し付けられることによって、及び/又は消費者が歯と歯の間の溝を優しく吸うことによって容易に歯に適合する。基材は、剥がすことで、着用者によって容易に取り外される。各々の継続的な処置では、未使用の歯を白くする製品を使用することが好ましい。審美的薬剤を含む第2層は、口腔に直接露出するので(すなわち、使用中に唇及び/又は舌に露出する)、唾液が審美的薬剤を容易に遊離させ、その結果、快い味覚を提供できる。審美的薬剤の遊離は、歯の切端の上で折り畳まれる時、基材の唇側及び舌側の一方又は両方の上の、第2層の露出した表面の上で、舌の先端の動きによって促進され得る。
【0044】
歯の表面は、歯を白くする製品があてがわれる前に整えられる必要はない。例えば、着用者は、デリバリーシステムをあてがう前に、自分の歯を磨くか若しくは口をすすぐことを選択してもよいし、又はしなくてもよい。歯の表面は、基材があてがわれる前に乾燥させるか、又は唾液若しくは水で過度に湿らせる必要はない。好ましくは、基材及び組成物は、装着時にほとんど気付かれないように、ほぼ透明である。歯を白くする製品の薄さは、歯の表面まで歯を白くする剤が拡散する速度を加速するために、装用者の口の内側の高温が通常の冷たい歯まで、基材を通して熱を送ることを可能にする。好ましくは、装用者は、歯を白くする製品を、1日につき約5分〜約120分間、好ましくは約30分〜約60分間連続的に歯にあてがう。一般に、これは、連続して約7日〜28日間、1日に1回行われる。時間数及び日数は、所望される漂白の量、着用者の歯、及び初期的な漂白又は持続的な漂白が所望されるかどうかを含むいくつかの要素による。
【0045】
第2組成物の次の実施例は、本発明の範囲にある実施形態を更に記載及び説明している。これらの実施例は、単に例示の目的で示されており、その多くの変更が本発明の主旨及び範囲を逸脱することなしに可能であるため、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書におけるパーセントは、他に言及されない限り重量による。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
次の構成成分を有する第2組成物が調製される:
【0047】
【表1】
【0048】
(実施例2)
次の構成成分を有する第2組成物が調製される:
【0049】
【表2】
【0050】
(実施例3)
次の構成成分を有する第2組成物が調製される:
【0051】
【表3】
【0052】
(実施例4)
次の構成成分を有する第2組成物が調製される:
【0053】
【表4】
本発明の特定の実施形態を図示し説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変形及び変更をなし得ることが当業者には明らかであり、本発明の範囲内にある全てのそのような変更を付随する請求項に含めることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によって製造した歯を白くする製品の斜視図。
【図2】図1の線2〜2に沿って取った、歯を白くする製品の断面側面図。
【図3】複数のポケットが示されている、図1の歯を白くする製品のもう1つの実施形態の断面側面図。
【図4】剥離ライナーを更に含む、図1の歯を白くする製品の斜視図。
【図5】図4の線5〜5に沿って取った、歯を白くする製品の断面側面図。
【図6】あてがわれた図1の歯を白くする製品を有する複数の歯の断面平面図であり、歯を白くする製品は、歯の前側又は唇側表面にあてがわれる。
【図7】図6の線7〜7に沿って取った、歯及び歯を白くする製品の断面側面図。
【図8】あてがわれた図1の歯を白くする製品を有する複数の歯の断面平面図であり、歯を白くする製品は、歯の前側又は唇側表面と、歯の後側又は舌側表面と、歯の唇側表面に隣接する軟組織とにあてがわれる。
【図9】図8の線9〜9に沿って取った、歯及び歯を白くする製品の断面側面図。
【図10】パッケージ内に配置された、図1の歯を白くする製品の断面側面図。
【図11】本発明の実施形態を製造するプロセスの模式図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、審美的な層を有する口用の製品、より具体的には審美的な層を有する歯を白くする製品に関する。
【背景技術】
【0002】
歯を白くすることは、過去数年にわたって大変人気を呼んでいる。ますます多くの消費者が、自分たちの歯を白くすることを選択している。歯を白くするための選択肢には、練り歯磨き、口内洗浄剤、チューインガム、医院内での漂白、及び最も一般的には、店頭販売又は歯科医のいずれかから入手されるトレイと共に用いられる、歯を白くする溶液が挙げられる。化学的ホワイトニング剤と組み合わせた物質のストリップを使用する歯を白くする製品が当該技術分野において既知である。例えば、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,891,453号及び第5,879,691号の基材は、物質の可撓性ストリップと、過酸化物薬剤及びカルボキシポリメチレンゲル化剤を有する歯を白くする組成物とを含むホワイトニング製品を説明している。過酸化水素及びカルボキシポリメチレンは、歯を白くする用途において共通の成分であるものの、一方又は両方共、使用中の望ましくない味覚に寄与し得る。従って、味覚を改善する審美的的薬剤を有する歯を白くする製品への欲求がある。しかし、歯を白くする製品の他の構成要素(例えば、歯を白くする組成物における水、物質のストリップを保管するパッケージにおける物質)と共に、過酸化物薬剤は、芳香剤、感覚的薬剤、及び着香剤などの潜在的な審美的薬剤と反応し得る。故に、味覚を改善する審美的薬剤を有し、同薬剤が長時間にわたる保管に安定である歯を白くする製品への欲求もある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
包装された歯を白くする製品が提供される。パッケージは、第1側面及び第2側面を有する基材を含み、同基材は人間のユーザの口腔において使用される寸法である。歯を白くする剤を含む第1組成物は、基材の第1側面に隣接して配置されている。審美的薬剤を含む第2組成物は、基材の第2側面に隣接して配置されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、添付図面と関連させた以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0005】
本発明の好ましい実施形態について詳細に述べるが、それらの実施例は添付図面に図解されており、図を通して同種の数字は同じ要素を示すが、同じ最後の2桁の数字を有する要素(例えば20及び120)は類似の要素であることを暗示する。本発明は、本明細書では、米国特許第5,891,453号及び第6,419,906号において記載されるような歯を白くするストリップに関して説明され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれるものの、本発明は、他の歯を白くする製品と同様に、本明細書において次に更に充分に説明される他の口用の製品と共に使用できると考えられる。
【0006】
図1、図2、及び図3に関し、本発明によって作製される代表的な歯を白くする製品20が次に説明される。歯を白くする製品20は、第1側面24及び第2側面26を有する基材22と、第1側面24に隣接して配置した、第1組成物から形成される第1層28と、第2側面26に隣接して配置した、第2組成物から形成される第2層30とを含む。任意に、多数又は複数のほぼU字形状のポケット31が、基材22において形成され得る。ポケットには、第1組成物が充填されて、基材に質感を提供する。ポケットは基材に形成されるので、多数のポケットは事実上、ほぼ平面である。同様に、任意に、基材22に対向している第1層及び第2層の一側面又は両側面は、図4及び図5における例によって示されるように、剥離ライナー32によって覆われるか、又は第1層及び第2層の一側面若しくは両側面31は、露出していてもよい。一実施形態では、第1組成物は、歯を白くする組成物であり、第2組成物は審美的薬剤を含む。本発明は、歯を白くする組成物に関して説明されるものの、第1組成物が他の形態で提供されてもよいことが認められる。例えば、ホスフェート、フッ化イオン源、抗菌剤、抗炎症剤、栄養素、酵素、酸化防止剤、H−2拮抗物質などが、歯を白くする剤の代わりに使用できる。これらの、及び本発明と共に使用するのに好適である他の口用ケア剤が、米国特許第6,136,297号に記載され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる。
【0007】
歯を白くする組成物は、基材22上にコーティングされるか又は塗られることができ、少なくとも約0.01mm、少なくとも約0.02mm、少なくとも約0.05mm、又は少なくとも約0.07mm、及び/又は約0.05mm未満、約1mm未満、約2mm未満、又は約3mm未満の厚さを有する第1層28を形成する。これらの測定値は、基材22の表面から第1層28を通る上面まで測定することによって取られる。第1層28は均一で、均質な、連続する層であることが望ましいものの、同層28はまた、不均質、不連続、及び/又は異成分であってもよい。例えば、第1層28は、構成成分の積層体又は別個の層、構成成分の非晶質混合物、異なる構成成分の別個のストリップ、スポット、若しくは他のパターン、又はこれらの構造体の組み合わせであってもよい。更に、第1層は、基材22の一部分として又は基材22と混合されて形成され得る。あるいは、第1組成物は、米国特許第6,419,906号における例によって記載されるように、基材22と置換され得る。例えば、第1組成物は、ポリマー中に組み込まれる歯を白くする剤を有する水和性エチレンオキシドポリマーを含むフィルム又はストリップの形態で提供され得る。次に、審美的薬剤を含む第2層30が、エチレンオキシドポリマーフィルムの一側面に隣接するフィルムとして形成され得る。本明細書で使用される用語「隣接して配置した」は、物質表面上への直接の配置を指すことを意図するか、又は中間の更なるコーティングがあるような物質表面近くの配置を含み得る。例えば、審美的薬剤を含む第2層30とエチレンオキシドポリマーフィルムとの間に配置したコーティング物質があってもよい。
【0008】
第1層28を形成する歯を白くする組成物は、粘稠な液体、ペースト、ゲル、溶液、固体、又は層を形成し得る他のいかなる状態又は相の形態でも提供できる。一実施形態では、歯を白くする組成物は、ゲルの形態で提供され、低せん断速度(約1秒-1)で約0.2(200)〜約1000Pa・s(1,000,000cP)の粘度を有し、もう1つの実施形態では、粘度は約100(100,000)〜約800Pa・s(800,000cP)である。他の実施形態では、粘度は、約150(150,000)〜約700Pa・s(700,000cP)か、又は約300(300,000)〜約700Pa・s(700,000cP)である。
【0009】
歯を白くする組成物の量は、意図される用途、基材22の寸法、過酸化物薬剤の濃度、及び所望の効果次第で変化する。一般に、約1g未満が提供される。もう1つの実施形態では、約0.05g〜約0.5gが提供され、更にもう1つの実施形態では、約0.1g〜約0.4gの歯を白くする組成物が提供される。基材22の1平方センチメートル当たりの歯を白くする組成物の量は、約0.2g/cm2未満、約0.005〜約0.1g/cm2、又は約0.01g/cm2〜約0.05g/cm2である。
【0010】
当該技術分野において既知であるように、歯を白くする組成物は降伏応力も有する。降伏応力は、物質が動き始める前の物質上の力の量である。降伏応力は、歯を白くする組成物が薄層を形成することができ、また製造、取り扱い、及び保管によって生じる障害にも対処することができるように充分に高くなければならない。歯を白くする組成物の降伏応力は、約2Pa〜約3000Pa、約20Pa〜約2000Pa、約200Pa〜約1500Pa、又は約400Pa〜約1200Paである。
【0011】
歯を白くする組成物と共に使用するのに好適な歯を白くする剤には、過酸化水素、亜塩素酸金属塩、過ホウ酸塩、過オキソ酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。過酸化物薬剤には、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な亜塩素酸金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。歯を白くする更なる剤には、次亜塩素酸及び二酸化塩素が挙げられる。歯を白くする剤は、いかなる濃度でも存在し得るものの、過酸化物薬剤は、歯を白くする組成物の少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、又は少なくとも15重量%、及び/又は約15重量%未満、約20重量%未満、約25重量%未満、約30重量%未満、又は約40重量%未満と等量の過酸化水素の濃度で存在することが好ましい。これらの濃度は過酸化水素について表されるものであり、過酸化カルバミド、過酸化カルシウムなど、その他の過酸化物を遊離させる分子については、適当な変換を行わなければならないことが理解される。
【0012】
歯を白くする組成物の更なる構成要素には、水、ゲル化剤、保湿剤、pH調整剤、安定化剤、減感剤、及び反応促進剤又は漂白活性化剤を挙げられるが、これらに限定されない。一般的なゲル化剤は膨潤可能なポリマーである。歯を白くする組成物を層に形成し得るゲル化剤の有効濃度は、ゲル化剤の各種類で変化する。薄層は、歯を白くする組成物を基材上で薄層に形成できる粘度及び降伏応力を有する。これらの薬剤で形成した歯を白くする組成物はまた、口の目標区域に基材の充分な接着性固着を提供することもある。例えば、カルボキシポリメチレンを有する歯を白くする組成物を形成するためのゲル化剤の濃度は、歯を白くする組成物の約0.1重量%〜約15重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、又は約3重量%〜約6重量%である。ポロキサマーゲル化剤の有効濃度は、歯を白くする組成物の約10重量%〜約40重量%、約20重量%〜約35重量%、又は約25重量%〜約30重量%である。
【0013】
本発明において有用な好適なゲル化剤には、ノベオン社(Noveon,Inc.)によって製造される「ぺムレン」、カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポロキサマー、ラポナイト、カラギーナン、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、及びカラヤガム、キサンガム、グアーガム、アラビアゴム、トラガカントガムなどの天然ゴム、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明で使用するのに好ましいゲル化剤は、商品名「カーボポール(Carbopol)」でB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)から入手されるカルボキシポリメチレンである。特に好ましいカーボポール(Carbopol)には、カーボポール934、940、941、956、971、974、980、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、カーボポール(Carbopol)956である。カルボキシポリメチレンは、活性なカルボキシル基を有する弱酸性ビニルポリマーである。
【0014】
他の好適なゲル化剤には、限られた水溶性を有するポリマー、及び水溶性に欠けるポリマーの両方が挙げられる。限られた溶解性を有する好適な接着剤には、ヒドロキシルエチル又はプロピルセルロースが挙げられる。水溶性に欠ける接着剤には、エチルセルロース及びポリオックス樹脂が挙げられる。本組成物で使用するのに好適なもう1つの可能な接着剤は、分子量約50,000〜約300,000のポリビニルピロリドンである。本組成物において使用するのに好適な、更に別の可能な接着剤は、ガントレッツ(Gantrez)と半合成の水溶性ポリマーであるカルボキシメチルセルロースとの組み合わせである。
【0015】
口の組織に安全な組成物を製造するためにpH調整剤も加えてもよい。このようなpH調整剤、又は緩衝剤は、組成物のpHを調整するのに好適であるいかなる物質であってもよい。好適な物質には、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、スズ酸ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、塩酸、クエン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。組成物のpHを約3〜約10、約4〜約8.5、又は約4.5〜約8に調整するために、pH調整剤は、充分な濃度で加えられる。pH調整剤はほぼ、組成物の約0.01重量%〜約15重量%、又は約0.05重量%〜約5重量%の濃度で存在する。
【0016】
好適な安定化剤には、安息香酸、サリチル酸、ブチル化ヒドロキシトルエン、スズ塩、リン酸塩、及びその他のものが挙げられる。好適な漂白活性化剤には、トリクロロイソシアヌル酸、及びリン酸塩、例えばピロリン酸四ナトリウムが挙げられる。
【0017】
減感剤も、歯を白くする組成物において使用してもよい。これらの薬剤は、過敏性のある歯を有する消費者に好ましい場合がある。減感剤には、硝酸カリウム、クエン酸、クエン酸塩、塩化ストロンチウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。硝酸カリウムは、好ましい減感剤である。歯の過敏性を軽減させる効果を提供するその他の薬剤も、本発明に含まれる。典型的に、減感剤の濃度は、歯を白くする組成物の約0.01重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約8重量%、又は約1重量%〜約7重量%である。
【0018】
歯を白くする組成物では、第1組成物の構成要素として保湿剤を含むのが望ましいことが多い。保湿剤は、レオロジー的安定性及び/又は物理的安定性を提供し、ユーザに様々な審美性を提供する。一般的な保湿剤には、ポリオール(例:グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール)が挙げられる。ポリオールは、歯を白くする組成物の約40重量%未満、約0重量%〜約35重量%、約1重量%〜約30重量%、又は約5重量%〜約15重量%の濃度で存在する。ポリオールの濃度が減少する時、歯を白くする組成物の残部は水を含み得る。一般に、水の濃度は、全歯を白くする組成物の少なくとも約0重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%、及び/又は約99重量%未満、約90重量%未満、約80重量%未満、又は約70重量%未満である。この水の濃度は、その他の物質と共に導入される量に加算して、加えられる遊離水を含む。
【0019】
基材22は、ポリマー、天然及び合成の織布、不織布、ホイル、紙、ゴム、及びこれらの組み合わせなどの材料から形成されてもよい。基材22は材料の単一層であっても、又は1を超える層の積層体であってもよい。一実施形態では、基材22は、材料のほぼ平坦な又は平面的ストリップの形体で提供される。好適なポリマーには、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチルビニルアセテート、エチルビニルアルコール、デュポン社(DuPont)によって製造されたマイラー(登録商標)などのポリエステル、デュポン社(Dupont)によって製造されたテフロン(登録商標)などのフッ素樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。更に、基材22は、図1に示されるような平面よりもロールの形態で提供され得ることが考察される。あるいは、基材22は、事前成形された歯用トレイ又は歯用可撓性トレイ、ワックス、発泡体、水和性フィルム、多孔質ウェブ又はフィルム、及び前述のものの任意の組み合わせなど、他の形態で提供できることが考察される。これらの他の基材のいくつかは、米国特許第6,419,906号;第4,173,243号;第5,310,563号;第6,045,811号;第5,326,685号;第5,575,654号;及びRE34,196号に記載され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる。
【0020】
基材22は、その用途による寸法であることができ、一般的に人間のユーザの口腔のための、より具体的には歯を白くする製品20における寸法であるものの、基材は、図6、図7、図8、及び図9において一般的に示されるように、漂白されることが所望される歯又は歯40の列に個々に適合する寸法である。一般にこれは、装用者が笑っている時に見える上若しくは下の歯列の、又は上顎の歯群若しくは下顎の歯群のいずれかの前面の6〜8本の歯である。任意に、基材22は、歯に対して配置した時、上又は下の歯列全体に合致してもよい。一実施形態では、基材22は、唇側表面(すなわち、前側表面)の一部分と、歯に隣接する軟組織42とを覆い、また、歯の切端の上で歯の舌側表面(すなわち、裏面)の少なくとも一部分上まで折り重なる寸法である。もう1つの実施形態では、基材22は更に、少なくとも前側中央の6本の歯(犬歯〜犬歯)を覆う寸法である。基材22は、丸い角を有する四角形で、長さ約6.5cmx幅1.5cmの寸法の上顎のストリップであってもよく、及び/又は基材22は、丸い角を有する台形で、長さ5cmx幅2cmの寸法の下顎のストリップであってもよい。歯を白くする用途における基材22の寸法及び形状の更なる記載は、米国特許出願09/268,185(1999年3月15日出願)に開示されており、その内容全体を参考として本明細書に組み込む。
【0021】
いくつかの実施形態では、非常に小さい力をかけることで、歯の表面の輪郭に沿って覆うことができるように、基材22は、相対的に低い曲げ剛性を有するべきである;すなわち、基材をほぼ平坦な形状まで戻させるための残りの力が基材内にほとんどないので、着用者の口、歯、及び歯と歯の間の溝の湾曲への適合が維持される。基材の可撓性によって、物理的に刺激することなく、基材が長時間にわたって隣接する軟組織に接触するのが可能になる。基材は歯に対してそれを成形するのに圧力を必要とせず、適用する場合、永続的に変形することなく歯の表面及び歯の空間の隙間に容易に適合する。基材22が薄い可撓性ストリップの形態で提供される時、基材は、少なくとも約0.001mm、又は少なくとも約0.005mm、及び/又は約1mm未満、約0.1mm未満、約0.05mm未満、約0.03mm未満、又は約0.02mm未満の厚さを有する。
【0022】
曲げ剛性とは、基材の厚さ、幅、及び材料の弾性係数の組み合わせの機能である材料特性である。この試験は、ポリオレフィンのフィルム及びシートの剛性を測定する方法である。それは、水平梁の末端に固定されたひずみゲージを用いて、試料の曲げに対する抵抗力を測定する。梁の反対側の末端が、試料のストリップ全体を押して、ストリップの一部を試料が置かれている水平台の垂直な溝の中に押し入れる。ひずみゲージにワイヤー接続されたマイクロアンメータは、曲げたわみ力のg数で較正される。試料の剛性はマイクロアンメータから直接読み取られ、試料ストリップの幅1cm当りのg数として表される。好ましいが、本発明に必要ではない実施形態では、可撓性基材は、試験方法ASTM D2923−95により、スウィング−アルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Co.)(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手可能なハンドル・オー・メーター(Handle-O-Meter)、モデル#211−300で測定される時、約5g/cm未満の曲げ剛性を有する。好ましくは、基材22は約4g/cm未満、約3g/cm未満、又は約0.1g/cm〜約1g/cmの曲げ剛性を有する。
【0023】
上記のように、剥離ライナー32は、第1層28に隣接して任意に提供され得る。剥離ライナー32は、第1層28がそれ自体及び基材22に表すよりも少ない親和性を第1層28に表す任意の材料から形成され得る。例えば、剥離ライナー32は、紙、又は3M社(3M Corp.)(ミネソタ州ミネアポリス)によって製造されるスコッチパック(登録商標)などのポリエステルから形成されることができ、同ライナーは、基材22が剥離ライナー32から引き離される時、剥離ライナー32からの歯を白くする組成物の剥離を助けるために、非粘着物質でコーティングされる。代表的なコーティングには、ワックス、シリコーン、テフロン(Teflon)(登録商標)などのフルオロポリマー、フルオロシリコーン、又はその他の非粘着型の物質を挙げることができる。また、好適なコーティングには、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる米国特許第3,810,874号;第4,472,480号;第4,567,073号;第4,614,667号;第4,830,910号;及び第5,306,758号に記載されるコーティングの1つを挙げてもよい。剥離剤として好適であり得る好適な物質の更なる記載は、参考として本明細書に組み込まれるカーク・オスマー(Kirk-Othmer)の工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、21巻の207〜218ページに見出される。剥離ライナー32は、図1に示されるような基材22と少なくとも同じ寸法及び形状であるべきものの、剥離ライナー32は、基材を超えて伸びることができるので、剥離ライナー32から基材22(及び付随する第1、第2層)を剥がすのは容易である。
【0024】
歯を白くする製品20は、様々な形状及び寸法で提供できる、図10に示されるようなパッケージ44に配置されてもよい。しかし、パッケージ44の形状及び寸法は歯を白くする製品20の形状及び寸法にぴったり適合し、使用の用意ができるまで密閉されることが望ましい。小袋、箱、プラスチック容器、封筒、袋、又は当該技術分野において既知のその他の好適な包装の形態でパッケージを提供することができる。複数のパッケージ44及び歯を白くする製品20は、まとめられるか、又はさもなければセットで提供されて、歯を白くするシステムの充分な供給が、何日もの使用のために利用できる。より好ましくは、パッケージ44の上部空間46の体積は、約0.1mm3〜約30,000mm3、又は約50mm3〜約10,000mm3である。第1層28の体積に対する上部空間36の体積の割合は、1〜約500、好ましくは1〜約400である。より好ましくは、第1層28の体積に対する上部空間46の体積の割合は、1〜約200、又は1〜約100である。パッケージ44は、半透明でない材料から作製されて、水分透過性が低い又は全くなく、ほぼ不透過性であるべきである。パッケージ44は、1つ以上の材料から作製されて、任意に内側ライナーを有してもよい。例えば、小袋がホイルから作製されて、ポリエチレンの内側層を有し得る。半透明ではなく、水分の透過を妨げるその他の好適な材料には、プラスチック、紙、ホイル、厚紙、ポリマー、及びゴムが挙げられる。複数のパッケージ44を保管する第2のパッケージ(図示せず)も提供できる。
【0025】
本発明の一態様によって、第2層30を形成する第2組成物は、1つ以上の審美的薬剤を含む。第2組成物は、粘稠な液体、ペースト、ゲル、溶液、固体、粉末、又は層を形成し得る他の任意の状態若しくは相の形態で提供できる。本明細書において使用される用語「審美的薬剤」は、味覚、嗅覚、又は体性の感覚に影響を及ぼす任意の薬剤を指す。審美的薬剤の例には、着香剤(例:甘味剤、苦味剤、酸味剤など)、芳香剤(例:揮発性油及びエッセンス)、及び感覚剤(例:冷却剤、加温剤など)が挙げられる。これらの薬剤は、本明細書において次に更に充分に検討されるように封入されて、第2層30からパッケージ44の上部空間46内への放出を低減し、薬剤の配達を導いて、薬剤を、水、過酸化水素、歯を白くする製品及びパッケージの他の構成要素などの反応物質から保護してもよい。好適な薬剤がいくつか、本明細書において次に説明される。これらの薬剤は本明細書において便宜上、着香剤、芳香剤、及び感覚剤として説明されるものの、いくつかの薬剤は、1を超える範疇に分類されてもよいことが認められる。例えば、ペパーミント油は、芳香剤及び感覚剤(すなわち、冷却剤)の両方と考えられてもよい。同様に、複数の審美的薬剤が第2層30の中に含まれてもよい。例えば、メントールモノホスフェート(MMP)及びN−エチル−p−メタン−3カルボキサミド(WS−3)など、他の審美的薬剤と組み合わせた、スクラロースなどの甘味剤を含むことが望ましいこともある。
【0026】
好適な甘味剤には、天然甘味剤及び人工甘味剤の両方が含まれる、当該技術分野において周知のものが挙げられる。好適な水溶性甘味剤には、単糖類、二糖類、及びキシロース、リボース、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、ショ糖(砂糖)、マルトース、転化糖(フルクトースとショ糖由来のグルコースとの混合物)、部分的に加水分解したデンプン、コーンシロップ固形物、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、及びグリチルリチンなどの多糖類が挙げられる。好適な水溶性人工甘味料には、可溶性サッカリン塩、すなわち、ナトリウム又はカルシウムサッカリン塩、シクラメート塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−二酸化物のナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−二酸化物のカリウム塩(アセスルファム−K)、サッカリンの遊離酸形状などが挙げられる。他の好適な甘味剤には、ジペプチド系甘味剤が挙げられ、例えば、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)及び米国特許第3,492,131号に記載する物質などのL−アスパラギン酸由来の甘味剤、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5,ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキシエン)−アラニンなどである。例えば、スクラロースの製品銘柄で既知である通常の砂糖(スクロース)の塩素化誘導体など、自然発生の水溶性甘味剤由来の水溶性甘味剤、及びタウマトコースダニエリ(タウマチンI及びII)などのタンパク質系甘味剤が使用できる。一般に、第2層30を形成する組成物は、甘味剤の、約0重量%超、約0.001重量%超、約0.01重量%超、約0.5重量%超、約1重量%超、約10重量%超、約25重量%超、又は約50重量%超、及び/又は約99重量%未満、約90重量%未満、約40重量%未満、約20重量%未満、約5重量%未満、又は約3重量%未満を含み得る。第2層30が本明細書において次に更に充分に検討されるような粉末の形態の甘味剤を実質的に含む時、甘味剤の上の範囲が、ほぼ適用可能である。
【0027】
冷却剤は、多種多様な物質のいずれかから選択できる。このような物質に含まれるのは、カルボキサミド、メントール、ケタール、ジオール、及びこれらの混合物である。本発明の組成物における好ましい冷却剤は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物などのパラメンタンカルボキサミド剤である。更なる好ましい冷却剤は、メントール、タカサゴ(Takasago)によって製造され、TK−10として既知の3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・レイマー(Haarmann and Reimer)によって製造され、MGAとして既知のメントングリセロールアセタール、及びハーマン・アンド・レイマー(Haarmann and Reimer)によって製造され、フレスコラット(登録商標)として既知のメチルラクテートからなる群から選択される。本明細書で使用されるメントール及びメンチルという用語には、これらの化合物の右旋性異性体及び左旋性異性体、並びにこれらのラセミ混合物が含まれる。TK−10については、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日発行)に記載されている。WS−3及び他の薬剤は、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載され;その開示が参考として本明細書に組み込まれる。一般に、第2層30を形成する組成物は、冷却剤の、約0重量%超、約0.001重量%超、約0.01重量%超、約0.1重量%超、約1重量%超、約10重量%超、約25重量%超、又は約50重量%超、及び/又は約99重量%未満、約90重量%未満、約75重量%未満、約40重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約2重量%未満を含む。本明細書において次に更に充分に検討されるように、第2層30が粉末の形態の冷却剤を実質的に含む時、甘味剤の上の範囲がほぼ適用可能である。
【0028】
天然及び人工の芳香剤が使用できる。いくつかの好適な芳香剤には、合成油、精油、オレオ樹脂、エッセンス、及び植物、葉、花、果実など由来の抽出物、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。代表的な油には、スペアミント油、桂皮油、冬緑油、ペパーミント油、丁子油、ベイ油、ユーカリ油、タイム油、シーダー葉油、ナツメグ油、セージ油、ビターアーモンド油が挙げられる。同様に、バニラ油、シトラス油、レモン油、オレンジ油、グレープ油、ライム油、及びグレープフルーツ油を含む、人工果実油、天然果実油、及びエッセンスと、アップル、洋ナシ、ピーチ、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む果実エッセンスとが有用である。これらの芳香剤は、個々に又は混合で使用されてもよい。一般的に使用される芳香剤には、個々に使用されても又は混合で使用されてもよい、ミント(例:ペパーミント、メントール、スペアミント、及び冬緑油)、シナモン誘導体、及び様々な果実油又はエッセンスが挙げられる。一般に、第2層30を形成する組成物は、芳香剤の、約0重量%超、約0.001重量%超、約0.01重量%超、約0.1重量%超、又は約1重量%超、及び/又は約60重量%未満、約30重量%未満、約15重量%未満、又は約5重量%未満を含む。
【0029】
審美的薬剤はまた、他の要素と組み合わされること、結合されること、又は複合されること、及び/又は封入されることもある。例えば、ある組成物は、芳香剤など、少なくとも1つの審美的薬剤をリン酸化することによって処方されてもよい。これらの組成物は、本明細書ではホスフェート誘導体と呼ばれ、国際公開第95/07683号に更に充分に記載され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる。ホスフェート誘導体は、ホスフェートの架橋によって少なくとも1つの審美的薬剤を接着性構成成分に連結することも含む。ピロホスフェート及びトリホスフェートのグループ分けは、ホスフェート基に置換されてもよい。本明細書において使用する用語「接着性構成成分」は、エステルアミド、又はリン(V)原子とのチオエステルの結合のどちらかを形成できる、水酸基、アミノ基、又はチオール基を有するモノマー、オリゴマー、又はポリマーのどれかを指すことを意図している。モノマー、オリゴマー、又はポリマーは、非置換のままであるか又はエステルアミドによって結合されるかのどちらかであってもよい更なる水酸基、アミノ基、又はチオール基を有するか、あるいは審美的薬剤にも固着するリン(V)原子へのチオエステルの結合も有してもよい。好ましい化合物は、C12−C18ジアシルグリセロール、部分的に加水分解したビニルアセテート/エチレンコポリマー、セルロース、キチン、グルコース、グルコサミン、シリカゲル、グリセロール(gycerol)、及び低級アルキルビニルエーテル−マレイン酸からなる群から選択される。審美的薬剤は、2つの官能基若しくは固着位置によってリンに結合するか、又はポリマーを含む、帯電した化合物若しくは物質とのクーロンの相互作用によって結合してもよい。
【0030】
ホスフェート誘導体の審美的薬剤は、口腔において一般的に見出されるものなど、ホスファターゼ酵素によって、審美的薬剤からホスフェートが開裂した後に離れ得る。ホスファターゼ酵素には、酸性、塩基性、及びピロホスファターゼが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい審美的薬剤には、メントール、3−1−メントキシプロパン−1、2−ジオール(「TK−10」)、メントングリセロールアクチール(「MGA」)、及びメンチルラクテートからなる群から選択される冷却剤が挙げられる。本明細書において使用される用語「メントール」及び「メンチル」には、これらの化合物の右旋性異性体及び左旋性異性体と、そのラセミ(reacemic)混合物が含まれる。好ましいホスフェート誘導体には、メンチルモノホスフェート、メンソールモノホスフェート、オイゲニモノホスフェート、チミルモノホスフェート、1−メンチルジホスフェート、ビス1−メンチルピロホスフェート、及び1−メンチルトリホスフェートが挙げられる。ホスフェート誘導体は、次の式:
【0031】
【化1】
によって表されることができる。
【0032】
上の式中、
Rは、好ましくは、冷却剤、甘味剤、及び着香剤からなる群から選択され;
R’及びR”は、R、接着性構成成分、M+、M++、C、及び水素からなる群から別々に選択され;
M+及びM++は、人間の有機又は身体プロセスに重要である金属カチオンである。好ましいM+カチオンは、ナトリウム及びカリウムである。好ましいM++カチオンは、亜鉛、マグネシウム、マンガン、銅、及びスズである。
【0033】
C+は、有機カチオンである。有機カチオンには、正に帯電した窒素原子、リン原子、酸素原子、又はイオウ原子が挙げられる。そのようなカチオンは、1を超える正に帯電した位置を含み、窒素原子、リン原子、酸素原子、又はイオウ原子を含むオリゴマー又はポリマーの場合、多くの正に帯電した中心が存在することがある。好ましい有機カチオンには、アンモニウム、プロトン化したグルコサミンなどのプロトン化したアミン、及びプロトン化したキトサンなどの、部分的に又は充分にプロトン化したアミン含有ポリマーが挙げられる。
【0034】
X、X’、及びX”は、酸素、窒素、及びイオウからなる群から別々に選択され;また
nは1〜3の整数である。
更に、R’は、R”と等しくてもよく、好ましくはR’及びR”は、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、マンガン、銅、及びスズからなる群から選択される。ホスフェート誘導体は非常に安定で、審美的薬剤からホスフェートが開裂した後にのみ審美的薬剤を離すので、ホスフェート誘導体は、本発明において特に好ましい。
【0035】
第2層30からパッケージ44の上部空間46内への拡散を最小化するために、又は審美的薬剤の安定性を増大するために、審美的薬剤は封入されてもよい。好適な封入剤には、上記の感覚薬剤と共に包接錯体を形成できる、6〜12のグルコース単位、特に、α−、β−、γ−シクロデキストリン、及びこれらの混合物、及び/又はこれらの誘導体、及び/又はこれらの混合物を含む非置換シクロデキストリンなど、既知である任意のシクロデキストリンが挙げられる。α−、β−、及びγ−シクロデキストリンは、特に、アメリカン・メイズ・プロダクツ社(American Maize-Products Company)(アマイゾ(Amaizo))(インディアナ州ハモンド);ロクエッティ社(Roquette Corporation)(イリノイ州ガーニー);及びシノイン・ファーマシューティカル・アンド・ケミカルワークス社(Chinoin Pharmaceutical and Chemical Works,Ltd.)(ハンガリー、ブダペスト)から入手可能である。既知であるシクロデキストリンの多くの誘導体がある。代表的な誘導体には、米国特許第3,426,011号(パーマーター(Parmerter)ら、1969年2月4日発行);同第3,453,257号、同第3,453,258号、同第3,453,259号、及び同第3,453,260号(全てパーマーター(Parmerter)ら、1969年7月1日発行);同第3,459,731号(グラメラ(Gramera)ら、1969年8月5日発行);同第3,553,191号(パーマーター(Parmerter)ら、1971年1月5日発行);同第3,565,887号(パーメーター(Parmerter)ら、1971年2月23日発行);同第4,535,152号(ゼトリ(Szejtli)ら、1985年8月13日発行);同第4,616,008号(ヒライ(Hirai)ら、1986年10月7日発行);同第4,638,058号(ブラント(Brandt)ら、1987年1月20日発行);同第4,746,734号(ツチヤマ(Tsuchiyama)ら、1988年5月24日発行);及び同第4,678,598号(オギノ(Ogino)ら、1987年7月7日発行)に開示されたものが挙げられ、前記特許の全てが参考として本明細書に組み込まれる。本明細書において使用するのに好適なシクロデキストリン誘導体の例には、メチル−β−CD、ヒドロキシエチル−β−CD、及び特に、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウオーキー);ワッカー・ケミカルズ社(Wacker Chemicals)(コネチカット州ニューカナーン);及びシノイン・ファーマシューティカル・ワークス社(Chinoin Pharmaceutical Works)(ハンガリーブダペスト)から入手できる、置換の程度の異なる(DS)ヒドロキシプロピル−β−CDが挙げられる。水溶性誘導体も非常に望ましい。
【0036】
個々のシクロデキストリンは、例えば、多機能な薬剤を使用して、共に結合されて、オリゴマー、ポリマーなどを形成してもよい。そのような物質の例は、アマイゾ社(Amaizo)から、またアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)から市販されている(β−CD/エピクロロヒドリンコポリマー)である。シクロデキストリンの混合物を使用して複合体の混合物を提供することが望ましいこともある。シクロデキストリンの混合物は、米国特許第3,425,910号(アームブルスター(Armbruster)ら、1969年2月4日発行);第3,812,011号(オカダ(Okada)ら、1974年5月21日発行);第4,317,881号(ヤギ(Yagi)ら、1982年3月2日発行);第4,418,144号(オカダ(Okada)ら、1983年11月29日発行);及び第4,738,923号(アメラール(Ammeraal)、1988年4月19日発行)に記載されるプロセスを含むシクロデキストリンの調製のための既知のプロセスから中間製品を使用することによって便利に得られ、前記特許の全てが参考として本明細書に組み込まれる。いくつかのシクロデキストリン混合物が、例えば、エンスイコ・シュガー・リファイニング社(Ensuiko Sugar Refining Company)(横浜)から市販されている。シクロデキストリン複合物は、当該技術分野において既知であるいくつかの方法で形成できる。そのような方法の例が米国特許第5,571,782号;第3,812,011号;第4,317,881号;第4,418,144号;及び第4,378,923号に記載され、その要旨が参考として本明細書に組み込まれる。
【0037】
審美的薬剤から形成されたコアと、審美的薬剤の剥離を制御するための、コアの上のコーティング層とを含むマイクロカプセルなど、他の封入技術も使用されてよい。噛むなどの物理的力で破壊するか、又は唾液による接触時に分散若しくは乳化するコーティング物質を含む、耐水性であって、使用中に審美的薬剤を剥離するコーティング物質が好ましい。好適なコーティングには、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、カゼイン、アルギネート、ワックス、脂質、及びこれらの混合物から形成されるものが挙げられる。コーティング層は、静電気力によって共に保持されたコロイド状の球体の集合のためのプロセスであるコアセルベーションによって作製でき、また水を有するそのようなコロイド状の物質の存在下でフレーバー油のエマルションを希釈して、エマルションのpH若しくは温度を調節することによって、又はそのような技術の任意の組み合わせによって作製され得る。その要旨が参考として本明細書に組み込まれる米国特許第5,759,599号;第5,266,335号;第5,498,439号;及び第4,983,404号は、いくつかの封入コーティングと、本発明と共に使用できる同コーティングを形成するプロセスとを記載している。当該技術分野において既知の他のプロセスも使用できる(例:スプレーコーティング)。多数の封入が本発明と共に使用できる。例えば、様々な封入技術が、共に第2層30に組み込まれて、異なる剥離特性を提供する様々な審美的薬剤と共に使用できる。あるいは、数個の封入技術が使用されて、単一の審美的薬剤について多数の層の封入を提供できる。
【0038】
第2組成物は、審美的薬剤を基材22に結合するか、固着するか、又はさもなければ接着する担体物質も含み得る。一実施形態では、担体物質は、基材22に対して接着性であるが、その露出した側面は、基材上で形成された後は非接着性であるフィルムの形成を促進する。任意に、第2層30の露出した側面は、潤滑剤でコーティングされて、非接着性表面を提供できる。好適な潤滑剤の粉末には、ステアリン酸マグネシウム、エチルセルロース、及びステアリルフマル酸ナトリウムが挙げられる。更に、担体物質は、溶解、拡散、分散、又は他の手法によって、使用中に第2層30からの審美的薬剤の剥離を促進するべきである。好ましくは、担体物質は唾液で分散可能である。第2層は、約0.005mm超、約0.02mm超、及び/又は約1cm未満、約5mm未満、約2mm未満、約1mm未満、又は約0.1mm未満の厚さを有する。第1層、基材、及び第2層の全体的な厚さは、約0.01mm超、約0.05mm超、約0.1mm超、約0.2mm超、及び/又は約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満、約0.4mm未満、約0.3mm未満、又は約0.2mm未満である。一般に、第2組成物は、担体物質の、少なくとも約0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、又は少なくとも約95重量%、及び/又は約98重量%未満、約90重量%未満、約80重量%未満、約50重量%未満、約25重量%未満、又は約10重量%未満を含む。好適な担体物質には、全体的又は部分的炭水化物(例:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、デンプン、アラビアゴム)、脂質(例:飽和した及び部分的に飽和した植物油、ココヤシ油、コカバター、ベニバナ油、パーム核油などの脂肪及び油)、ワックス(例:蜜蝋及びカルナウバワックス)、炭化水素(例:ワセリン及び鉱物油)、シリコーン、プロテイン(例:カゼイン及びアルギネート)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。審美的薬剤が不揮発性である時、HPMCなどの炭水化物を含む担体物質が好ましいものの、審美的薬剤が揮発性である時、脂質又は炭化水素を含む担体物質が好ましい。
【0039】
第2層30は、1つ以上の担体物質の組み合わせ及び/又は誘導体から形成できるか、又は同層30は、別個の担体物質及び/又は審美的薬剤から形成された多重層を備え得る。更に、別個の第2層30は、基材22上の様々な位置に、又は互いに上に重なって形成でき、各第2層30は、別個の担体物質及び/又は審美的薬剤から形成されることが考察される。例えば、第2層の一部分は、第1審美的薬剤の迅速な剥離のために迅速に溶解するヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでもよく、また第2層の別の部分は、第2審美的薬剤の持続された剥離のために、同薬剤を長時間にわたって拡散するシリコーンを含んでもよい。あるいは、第2層30は、基材に直接隣接する、脂質などの第1担体物質を含む第1副次層と、基材の反対側の第1副次層の上に、HPMCなどの炭水化物を含む第2副次層とを備えてもよく、第2副次層は第1副次層を覆う。HPMCを含む第2副次層は、口腔に露出しているので、ユーザに脂質を含む第1副次層に対して改善された感覚(例:「非接着性」外側層)を提供できる。
【0040】
第2層30は担体物質を組み込んでもよいものの、第2層は、静電気力で基材22に接着する乾燥粉末のみから形成されてもよいことが考察される。粉末は、ダスティング、乾燥スプレー、又は当該技術分野において既知である他の手段によって基材に適用される、乾燥した封入された審美的薬剤であってもよい。粉末は本質的に、審美的薬剤、若しくは封入した形態の審美的薬剤からなってもよいし、又は審美的薬剤は、ステアリン酸マグネシウム、エチルセルロース、及びステアリルフマル酸ナトリウムなど、他の乾燥物質と混合されていてもよい。
【0041】
図11に関して、歯を白くする製品20を形成する方法が次に説明される。剥離ライナーのシート60は、ローラー62から広がり、ドラム64の上に送られる。剥離ライナーのシート60は、当該技術分野において既知であるフィルム作製プロセスによって形成されてもよい。剥離ライナーのシート60(及び基材22のシート66)は、当該技術分野において既知であるフィルム作製プロセスによって形成されてもよい。シート60及び66は、吹き込み工程又はキャスト工程により製造することができる。基材の曲げ剛性に影響を及ぼさない押し出し及びその他の工程のような工程も用いてよい。ノズル68は、剥離ライナーのシート60上に歯を白くする組成物の第1層70をスプレーする。基材22のシート66は、ローラー71から広がって、歯を白くする組成物の第1層70上へ軽く押し付けられ、その結果、3層積層体を形成する。積層体は、ローラー72まで送られ、同ローラーが基材22の外側縁部を切断する。ローラー72での切断操作の後、基材22の余分なシート66は、ローラー76によって取り上げられ、その結果、剥離ライナーのシート60上に、基材22及び歯を白くする組成物を残す。ローラー78は、剥離ライナーを切断して、個々の歯を白くする製品20を形成する。余分な剥離ライナーはローラー80によって取り上げられるものの、歯を白くする製品20はコンベヤ82によって集められ、その後、同製品20はパッケージに挿入されて、包装された歯を白くする製品が形成される。
【0042】
第2層30は、シート60上で第1層が形成される前又は後に形成できる。第2組成物は、審美的薬剤、担体物質、好適な溶媒(例:エタノール又はエチルアセテートなどの食物等級溶媒)、及び任意の他の所望される構成要素(例:水、及び/又はグリセロール又はプロピレングリコールなどの保湿剤)を混合することによって形成できる。混合物は、ノズルによってスプレーされてもよいし、又はさもなければ基材を形成するために使用されるシート66上にコーティングされてもよい。これは別個のプロセスで行われ、次に、第2層30を組み込むシート66がロールされて、ローラー71から送られることができる。第2組成物は、例えば、熱風対流プロセスによって乾燥させ、溶媒を除去し、第2組成物をシート66に接着させて、第2層30を形成することができる。第2層を形成するために溶媒プロセスが使用される場合、歯を白くする組成物の層の形成前にシート66上に第2層が形成されることが好ましい。
【0043】
本発明を実行するために、消費者はパッケージを開け、歯を白くする製品を取り出す。消費者によって基材が複数の隣接する歯にあてがわれる。歯に面する基材の側面は、好ましくは粘稠な状態である歯を白くする組成物でコーティングされ、歯を白くする剤だけでなく、歯の表面と基材との間の粘着性も提供して、長時間、基材を適所に保持する。基材は、歯に隣接する軟組織にあてがわれ、複数の歯の切端の上及びその舌側の側面上に折り畳まれる。基材は、歯に軽く押し付けられることによって、及び/又は消費者が歯と歯の間の溝を優しく吸うことによって容易に歯に適合する。基材は、剥がすことで、着用者によって容易に取り外される。各々の継続的な処置では、未使用の歯を白くする製品を使用することが好ましい。審美的薬剤を含む第2層は、口腔に直接露出するので(すなわち、使用中に唇及び/又は舌に露出する)、唾液が審美的薬剤を容易に遊離させ、その結果、快い味覚を提供できる。審美的薬剤の遊離は、歯の切端の上で折り畳まれる時、基材の唇側及び舌側の一方又は両方の上の、第2層の露出した表面の上で、舌の先端の動きによって促進され得る。
【0044】
歯の表面は、歯を白くする製品があてがわれる前に整えられる必要はない。例えば、着用者は、デリバリーシステムをあてがう前に、自分の歯を磨くか若しくは口をすすぐことを選択してもよいし、又はしなくてもよい。歯の表面は、基材があてがわれる前に乾燥させるか、又は唾液若しくは水で過度に湿らせる必要はない。好ましくは、基材及び組成物は、装着時にほとんど気付かれないように、ほぼ透明である。歯を白くする製品の薄さは、歯の表面まで歯を白くする剤が拡散する速度を加速するために、装用者の口の内側の高温が通常の冷たい歯まで、基材を通して熱を送ることを可能にする。好ましくは、装用者は、歯を白くする製品を、1日につき約5分〜約120分間、好ましくは約30分〜約60分間連続的に歯にあてがう。一般に、これは、連続して約7日〜28日間、1日に1回行われる。時間数及び日数は、所望される漂白の量、着用者の歯、及び初期的な漂白又は持続的な漂白が所望されるかどうかを含むいくつかの要素による。
【0045】
第2組成物の次の実施例は、本発明の範囲にある実施形態を更に記載及び説明している。これらの実施例は、単に例示の目的で示されており、その多くの変更が本発明の主旨及び範囲を逸脱することなしに可能であるため、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書におけるパーセントは、他に言及されない限り重量による。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
次の構成成分を有する第2組成物が調製される:
【0047】
【表1】
【0048】
(実施例2)
次の構成成分を有する第2組成物が調製される:
【0049】
【表2】
【0050】
(実施例3)
次の構成成分を有する第2組成物が調製される:
【0051】
【表3】
【0052】
(実施例4)
次の構成成分を有する第2組成物が調製される:
【0053】
【表4】
本発明の特定の実施形態を図示し説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変形及び変更をなし得ることが当業者には明らかであり、本発明の範囲内にある全てのそのような変更を付随する請求項に含めることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によって製造した歯を白くする製品の斜視図。
【図2】図1の線2〜2に沿って取った、歯を白くする製品の断面側面図。
【図3】複数のポケットが示されている、図1の歯を白くする製品のもう1つの実施形態の断面側面図。
【図4】剥離ライナーを更に含む、図1の歯を白くする製品の斜視図。
【図5】図4の線5〜5に沿って取った、歯を白くする製品の断面側面図。
【図6】あてがわれた図1の歯を白くする製品を有する複数の歯の断面平面図であり、歯を白くする製品は、歯の前側又は唇側表面にあてがわれる。
【図7】図6の線7〜7に沿って取った、歯及び歯を白くする製品の断面側面図。
【図8】あてがわれた図1の歯を白くする製品を有する複数の歯の断面平面図であり、歯を白くする製品は、歯の前側又は唇側表面と、歯の後側又は舌側表面と、歯の唇側表面に隣接する軟組織とにあてがわれる。
【図9】図8の線9〜9に沿って取った、歯及び歯を白くする製品の断面側面図。
【図10】パッケージ内に配置された、図1の歯を白くする製品の断面側面図。
【図11】本発明の実施形態を製造するプロセスの模式図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージと、
前記パッケージ内に配置され、人間のユーザーの口腔において使用される寸法である、第1側面と、該第1側面と反対側の第2側面とを有する基材と、
前記基材の前記第1側面に隣接して配置され、歯を白くする薬剤を含む第1組成物と、
前記基材の前記第2側面に隣接して配置され、審美的薬剤を含む第2組成物と
を備える包装された歯を白くする製品。
【請求項2】
前記審美的薬剤が、着香剤、芳香剤、感覚剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項3】
審美的薬剤が封入されている請求項1又は2に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項4】
前記審美的薬剤がホスフェート誘導体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項5】
前記第2層が、炭水化物、脂質、ワックス、炭化水素、シリコーン、タンパク質、これらの組み合わせ、及びこれらの誘導体からなる群から選択される担体物質を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項6】
前記第2層が、約0.005mm〜約2mmの厚さを有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項7】
前記歯を白くする薬剤が過酸化物薬剤であり、前記歯を白くする組成物が更に水を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項8】
前記審美的薬剤が甘味剤であり、該甘味剤の濃度が前記第2組成物の約0.01重量%〜約40重量%である請求項1〜7のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項9】
前記審美的薬剤の濃度が、前記第2組成物の約50重量%〜約90重量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項1】
パッケージと、
前記パッケージ内に配置され、人間のユーザーの口腔において使用される寸法である、第1側面と、該第1側面と反対側の第2側面とを有する基材と、
前記基材の前記第1側面に隣接して配置され、歯を白くする薬剤を含む第1組成物と、
前記基材の前記第2側面に隣接して配置され、審美的薬剤を含む第2組成物と
を備える包装された歯を白くする製品。
【請求項2】
前記審美的薬剤が、着香剤、芳香剤、感覚剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項3】
審美的薬剤が封入されている請求項1又は2に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項4】
前記審美的薬剤がホスフェート誘導体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項5】
前記第2層が、炭水化物、脂質、ワックス、炭化水素、シリコーン、タンパク質、これらの組み合わせ、及びこれらの誘導体からなる群から選択される担体物質を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項6】
前記第2層が、約0.005mm〜約2mmの厚さを有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項7】
前記歯を白くする薬剤が過酸化物薬剤であり、前記歯を白くする組成物が更に水を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項8】
前記審美的薬剤が甘味剤であり、該甘味剤の濃度が前記第2組成物の約0.01重量%〜約40重量%である請求項1〜7のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【請求項9】
前記審美的薬剤の濃度が、前記第2組成物の約50重量%〜約90重量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装された歯を白くする製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−508928(P2006−508928A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540160(P2004−540160)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/029840
【国際公開番号】WO2004/028499
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/029840
【国際公開番号】WO2004/028499
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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