説明

寸法の変化する外郭適合化された複合補強材を製作するための方法および装置

【課題】単一の複合成形材を用いつつ、比較的簡単な工具によって形成されるブレード補強材などの複合補強材を製作するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】複合成形材を外郭適合化されたブレード縦通材に形成するための工具装置であって、長さに沿って可撓性とされた長尺パンチと長尺金型を有する。成形材はパンチを用いて押圧されて形成され、成形材は金型に導かれる。パンチおよび金型は、一対の可撓性プレートの間に載置される。プレートと連結されたプレスは、プレートを所望の外郭に曲げることで成形材を外郭適合化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、大まかには、複合構造体の製作に関しており、より詳しくは、平らな複合成形材を寸法の変化するブレード補強材などの外郭適合化された補強基礎構造体に形成するための方法および装置を扱うものである。
【背景技術】
【0002】
ブレード補強材のような複合補強基礎構造体は、ブレード縦通材と称されることがあり、海洋産業および航空機産業で頻繁に使用されている。これらの縦通材は、2つ以上の補強部材を接合することで製作することができる。例えば、ブレード形の縦通材は、断面がL字形またはC字形の2つの部材を背面で合わせて接合することで製作することができる。これらの部材は、複数の複合成形材をマンドレルまたは他の工具上で形成する手作業のホットドレープによって形成することができる。形成後、それらの部材は、背面で合わせて配置され、オートクレーブで共に硬化される。複数の別々の成形材を用いてブレード縦通材を製作することは、複数の工具を必要とし、比較的労働集約的であり、製造のフロー時間を増加させる可能性がある。
【0003】
ある適用においては、上記のブレード縦通材などの補強材は、それらの取り付けられる、外郭適合化される航空機の外皮などの構造物に合致するように、長さに沿って外郭適合化される必要がある可能性がある。しかしながら、従来の工具を用いて高度に外郭適合化された縦通材を形成しようとすると、成形材が圧搾されるにつれて成形材の層にしわが寄る傾向があるため、難しい問題に直面する可能性がある。したがって、複合材を用いて高度に成形された縦通材を製作することは、一般的に、層にしわが寄る危険性を抑えるために、各層が金型または他の工具上に手作業で積層される手動積層技法に限定されている。手動積層技法は、労働集約的であるため、コストがかかるとともに比較的時間がかかる。別の問題として、縦通材の1つまたは複数の部位では、縦通材を外皮の局所における外郭に合致させるために、層の積層減少および/または積層増加がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、単一の複合成形材を用いつつ、比較的簡単な工具によって形成されるブレード縦通材などの複合補強材を製作するための方法および装置が必要とされている。また、層の積層減少または積層増加を用いた局所的な外郭適合化を含め、長さに沿って縦通材の外郭適合化を可能とする上記の形式の方法および装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示された実施形態は、単一の複合成形材を所望の縦通材構成に形成するように、簡単化された工具を用いてブレード形縦通材を製作するための方法および装置を提供する。工具のコストおよびプロセスフロー時間は、所望の縦通材構成を達成するために複数の成形材を形成したり複数の補強部材を組み立てたりする必要性がないので、削減することができる。実施形態は、縦通材の長さに沿った層の積層増加および層の積層減少を許容することで、縦通材の局所的な外郭適合化を可能としている。成形材は、層にしわの寄るのが抑えられ、および/または、層のずれが抑えられた状態で形成されている間、長さに沿って外郭適合化させることができる。
【0006】
開示された一実施形態によれば、複合成形材を外郭適合化されたブレード縦通材に形成するための装置が提供される。その装置は、長さに沿って可撓性とされた長尺パンチと、長さに沿って可撓性とされ、概して平らな複合成形材がパンチによってプレス成形され得る長尺金型とを有する。装置はさらに、第1層および第2層をそれぞれ裏当てする第1可撓性プレートおよび第2可撓性プレートと、ブレードに連結され、パンチおよび金型を所望の外郭に形成するためのプレスとを有する。
【0007】
開示された別の実施形態によれば、複合成形材を、少なくとも1つの厚さ変化があって、鍔を有する外郭適合化されたブレード補強材に形成するための装置が提供される。その装置は、第1可撓性プレートおよび第2可撓性プレートと、長尺パンチおよび長尺金型とを有している。概して平らな複合成形材は、パンチと金型との間でプレス成形され得る。パンチおよび金型は、それぞれの長さに沿って可撓性であり、第1プレートおよび第2プレートの間に挟まれている。装置は、それらプレートの一方と金型との間に配置され、押圧形成する間に、厚さ変化の全域に渡って成形材への実質的に一定の圧力を維持するための第1のシムを少なくとも有している。装置はさらに、プレートを曲げて部品および金型を外郭適合化するためのプレスを有している。シムは、概して可撓性である。
【0008】
さらに別の実施形態によれば、複合ブレード補強材を製作する方法が提供される。その方法は、パンチを用いて成形材を金型のキャビティへと導くことで、概して平らな成形材を一対の鍔を有するハット形に形成するステップを含んでいる。プレートが鍔を覆うように金型上に載置され、パンチがプレートに対して押し付けられて鍔を押圧して保持する。ハット形は、プレートがパンチによって鍔に対して押圧されている間に、金型を絞ることによって補強材のブレードへと形成される。
【0009】
また、さらに別の実施形態によれば、外郭適合化された複合ブレード補強材を製作する方法が提供される。その方法は、実質的に平らな成形材を金型の上に配置するステップと、その平らな成形材をパンチを用いてハットに形成するステップであって、形成の成された成形材を金型のキャビティへと押圧するステップとを含んでいる。この方法はさらに、形成された成形材が金型にある間に、金型を曲げることで形成された成形材を外郭適合化させるステップを含んでいる。形成された成形材を外郭適合化させるステップは、パンチが金型内にある間に、パンチを曲げるステップを含んでいる。
【0010】
手短に言えば、本発明の一態様によれば、複合成形材を外郭適合化されたブレード縦通材に形成するための装置が提供され、その装置は、長さに沿って可撓性とされた長尺パンチと、長さに沿って可撓性とされ、概して平らな複合成形材がパンチによってプレス成形され得る長尺金型と、第1金型および第2金型をそれぞれ裏当てする第1可撓性プレートおよび第2可撓性プレートと、パンチおよび金型の外郭を変更するために、第1可撓性プレートおよび第2可撓性プレートに連結された金型・パンチ外郭変更機構とを有している。
【0011】
有利には、装置では、パンチは、概して平面であって、複数の個別のパンチ区画を有している。
【0012】
有利には、装置では、金型は、金型キャビティを画定する離間された第1金型部および第2金型部を有し、第1金型部および第2金型部の間でパンチが受け入れ可能とされている。
【0013】
有利には、装置では、第1金型部および第2金型部は、それらの間にある成形材を絞るために互いに向かって側方へと変位可能であり、装置は、成形材を絞る第1金型部および第2金型部に側方への力を付与するための拡張可能部材をさらに有している。
【0014】
有利には、装置では、拡張可能部材は、それぞれが金型部の両側にあり、加圧空気源に連結するように適合された一対の膨張可能なホースを有している。
【0015】
有利には、装置は、成形材に係合するように適合されており、成形材の局所における外郭に概して合致する外郭を有している少なくとも1つのシムをさらに有している。
【0016】
有利には、装置は、第1プレートおよび第2プレートに連結されており、成形材がパンチと金型との間にある際に第1プレートおよび第2プレートを外郭適合化するためのプレスをさらに有している。
【0017】
有利には、装置は、金型とパンチとの間に取り外し可能に設置することができ、成形材を形成する間に成形材の一部を保持するためのプレートをさらに有している。
【0018】
本発明の別の態様によれば、複合成形材を、少なくとも1つの厚さ変化がある鍔を有する外郭適合化されたブレード補強材に形成するための装置が提供される。その装置は、第1可撓性プレートおよび第2可撓性プレートと、長さに沿って可撓性とされ、第1プレートおよび第2プレートの間に挟まれており、概して平らな複合成形材が間においてプレス成形され得る長尺パンチおよび長尺金型と、それらプレートの一方と金型との間に配置された少なくとも第1のシムと、プレートを曲げてパンチおよび金型を外郭適合化するためのプレスとを有している。
【0019】
有利には、装置では、シムは概して可撓性である。
【0020】
有利には、装置はさらに第2のシムを有しており、第1のシムは金型の第1の側と第1プレートとの間に配置され、第2のシムは金型の第2の側と第2プレートとの間に配置される。
【0021】
有利には、装置では、パンチは、概して平面であって、複数の個別のパンチ区画を有しており、金型は、金型キャビティを画定する離間された第1と第2の可撓性の金型部を有し、パンチがそれら金型部の間に受け入れ可能とされている。
【0022】
有利には、装置はさらに、それぞれが複数の金型部の両側にあり、加圧空気源に連結するように適合され、金型部に側方への力を付与するための一対の膨張可能なホースを有している。
【0023】
有利には、装置では、第1のシムは、厚さ変化に概ね対応するテーパ部を有している。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、複合ブレード補強材を製作する方法が提供され、その方法は、概して平らな成形材を形成するステップと、概して平らな成形材を金型のキャビティに導くことで成形材を一対の鍔を有するハット形に形成するようにパンチを用いるステップと、パンチを金型キャビティから抜き出すステップと、鍔を覆う金型上にプレートを載置するステップと、プレートにパンチを押し付けることで金型に対して鍔部を保持するステップと、鍔部が金型に対して保持されている間に、金型を用いてハットを絞ることで、生じたハット形をブレードに形成するステップとを含んでいる。
【0025】
有利には、方法はさらに、成形材を金型内に配置するステップを含んでいる。
【0026】
有利には、方法はさらに、金型上の成形材上に加熱ブランケットを配置するステップと、成形材を、加熱ブランケットを用いて形成温度に加熱するステップとを含んでいる。
【0027】
有利には、方法はさらに、ブレードが形成される前に、金型およびパンチを外郭適合化することによって成形材を長さに沿って外郭適合化するステップを含んでいる。
【0028】
有利には、方法はさらに、ブレードが形成された後に、金型およびパンチを外郭適合化することによって成形材を長さに沿って外郭適合化するステップを含んでいる。
【0029】
有利には、方法はさらに、ブレードが形成された後に、鍔部の間に充填材を配置するステップと、鍔部および充填材の上にプレートを再び載置するステップと、パンチをプレートに対して下方に導くことで充填材を圧搾するステップとを含んでいる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、外郭適合化された複合ブレード補強材を製作する方法が提供され、その方法は、実質的に平らな複合成形材を金型キャビティ金型の上に配置するステップと、成形材を金型キャビティ内でハットに押圧して形成するようにパンチを用いることを含む、平らな成形材を金型に対して押圧して形成するステップと、形成された成形材が金型にある間に、金型を曲げることで形成された成形材を外郭適合化させるステップとを含んでいる。
【0031】
有利には、装置では、押圧形成することは、パンチが成形材を金型キャビティ内でハットへと形成している間に、成形材の鍔部を金型に当てて形成することと、パンチを金型キャビティから抜き出すことと、ハットを側方に圧搾してブレードにするように金型を用いることとを含んでいる。
【0032】
有利には、装置では、外郭適合化は、ハットが圧搾されてブレードになる前に行われる。
【0033】
有利には、装置では、形成された成形材を外郭適合化することは、パンチを金型に沿って曲げることを含んでいる。
【0034】
本発明の別の態様によれば、寸法の変化する外郭適合化された複合ブレード縦通材を形成するための装置が提供され、その装置は、離間された第1長尺可撓性プレートおよび第2長尺可撓性プレートと、第2プレートに向かい合う第1プレートに装着されており、金型キャビティを間に有する第1金型部および第2金型部を有し、各金型部が第1プレート上で摺動可能で個々に移動可能な複数の金型ブロックに分割されており、金型ブロックを共に連結する可撓性ストラップをさらに有する金型と、金型の両側にあって第1プレートに固定され、金型ブロックを側方において保持するための一対のブラケットと、金型ブロックおよびブラケットの間にそれぞれあって、金型部に側方への力を付与するための加圧空気源に連結されるように適合された一対のホースと、金型部の各々および第1プレートの間にあって、成形材が形成されるにつれて厚さが変化する成形材の面に一定の力を伝達するための第1テーパ状シムと、実質的に平らで、第2プレートに取り付けられた実質的に直交して延びる、成形材の一部を金型キャビティ内で形成するための長尺パンチであって、複数の個別の可動パンチ部に分割されているパンチと、パンチの各側面にあって第2プレートに固定され、成形材が形成されるにつれて厚さが変化する成形材の面に一定の力を伝達するための第2テーパ状シムと、第1プレートおよび第2プレートに連結され、プレートを曲げることでパンチおよび金型を所望の外郭に形成するための複数のアクチュエータとを有している。
【0035】
本発明のさらに別の態様によれば、寸法の変化する外郭適合化された複合ブレード縦通材を形成する別の方法が提供され、その方法は、実質的に平らな、複数の複合プリプレグ成形材を提供するステップと、第1の充填材を成形材に配置するステップと、平らな成形材を、2つの向かい合う金型部およびそれらの間の金型キャビティを有する金型上に配置するステップと、成形材を形成温度に加熱するステップと、成形材の第1の部分および第1の充填材を金型キャビティに導いてハットを形成するようにパンチを使用するステップと、ハットがパンチによって形成されるときに、成形材の第2の部分を金型に対し押圧して縦通材の鍔部を形成するように第1プレートを使用するステップと、パンチを金型キャビティから後退させるステップと、縦通材の鍔部上に第2プレートを載置するステップと、第2プレートに圧力を付与するようにパンチを用いて金型に対して鍔部を保持するステップと、第2プレートを除去するステップと、それぞれの金型部に側方への圧力を付与するように一対の加圧されたホースを用いるステップと、金型部の間のハットを絞ることでハットをブレードに形成するように金型部を使用するステップと、ブレードが絞られている間に、パンチおよび金型の各々をそれぞれの長さに沿って外郭適合化することによって形成された成形材を外郭適合化するステップと、鍔部の間の溝に第2の複合充填材を配置するステップと、第2の充填材の上に接着剤および布地層を付与するステップと、第2プレートを、フランジ部の上に、第2の充填材、接着剤、布地層に重なる第2プレートを再び載置するステップと、圧力を第2プレートに付与し、第2の充填材、接着剤、布地層を圧搾するようにパンチを用いるステップと、第2の充填材が圧搾された後にパンチを後退させるステップと、金型部を互いに離間するように動かすステップと、第2プレートを除去するステップと、金型から形成された縦通材を除去するステップとを含んでいる。
【0036】
有利な実施形態の特性であると考えられる新規は、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、有利な実施形態は、使用における好ましい態様や、さらなる目的および有利性と同様に、本発明の開示の有利な実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面とともに参照しながら読むことで最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】開示された方法および装置で製作された、外郭適合化された複合ブレード縦通材の側面図である。
【図2】図1の横断線2−2における断面図である。
【図3】図2と同様であるが、縦通材の別の形成を示す図である。
【図4】実質的に平らな成形材を図1〜図3に示すブレード縦通材に形成するのに使用される工具装置の斜視図である。
【図5】図6の横断線5−5における断面図であり、成形材が形成される状態を示す。
【図6】図5の横断線6−6における断面図である。
【図6A】形成する工程において、ブレードの外郭に合致するように金型ブロックがどのように変位するかを示す、積層増加を有するブレードの一部の平面図である。
【図7】図4に示す工具装置を採用する金型・パンチ外郭変更機構の平面図である。
【図8】図1および図2に示す外郭形成されたブレード縦通材を製作する方法の流れ図である。
【図9】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図10】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図11】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図12】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図13】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図14】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図15】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図16】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図17】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図18】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図19】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図20】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図21】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図22】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図23】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図24】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図25】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図8に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図26】図3に示す外郭形成されたブレード縦通材を製作する方法の流れ図である。
【図27】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図28】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図29】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図30】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図31】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図32】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図33】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図34】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図35】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図36】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図37】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図38】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図39】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図40】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図41】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図42】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図43】図4に示す工具装置の概略図であり、それぞれ、図26に示す製作方法の連続するステップを示す。
【図44】航空機生産および保守の手順の流れ図である。
【図45】航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
まず、図1および図2を参照すると、開示された実施形態は、ブレード形縦通材50などの長尺の複合補強材を製作するための方法および装置に関する。ブレード形縦通材50は、実質的に平らなブレード52と、ブレード52に実質的に直交して延びる鍔54とを有している。鍔54は、ブレード52の一端から側方に延び、半径部60によってブレード52に連結された一対の鍔部54aを有する。ブレード縦通材50は、それの長さに沿う1つまたは複数の外郭58を有していてもよい。図示した実施形態においては、縦通材50は、鍔54の曲面56に実質的に一定の外郭58を有している。他の実施形態においては、縦通材50は、一定の曲率である、または、一定の曲率ではない1つまたは複数の外郭58を有していてもよい。また、後でより詳細に説明されるように、鍔54は、航空機の外皮61などの鍔54の取り付けられる構造物の局所的な外郭に鍔54を合致させるために、鍔54の長さに沿う1つまたは複数の箇所で、寸法が変化してもよく、あるいは、厚さT1を有していてもよい。また、ブレード52の厚さT2および/または高さHは、縦通材50の長さに沿って変化していてもよい。
【0039】
開示された方法および装置は、図3に示すハイブリッド−Iの縦通材50aなどのブレード形縦通材50の他の形状を製作するのに使用されてもよい。縦通材50aは、角ばった形状の外側端62、および鍔54を有するブレード52を有している。ブレード端62は、三角形状とされた複合充填材64を有している。ただし、他の形状も可能である。鍔54は、V字形の溝57を、鍔部54aがブレード52と交わる箇所に有している。溝57は、溝57の形状に実質的に合致する三角形状の断面を有する複合充填材66で満たされている。充填材64、66は、それぞれ、繊維で強化されていてもよいし、されていなくてもよい接着剤を含むことができ、また代わりに、帯状のプリプレグテープ(図示せず)を含むこともできる。
【0040】
図4〜図6は、単一の、実質的に平らな、複数の層の複合成形材55を用いて、図1〜図3に示した縦通材を形成するのに採用することができる工具装置68を示す。成形材は、限定されることはないが、炭素繊維エポキシプリプレグなどの複合材料の複数の層59を有することができ、また、縦通材50の鍔54(図2)を外皮61の局所的な外郭などの、局所的な外郭に合致させるために、積層増加98を有していてもよい。工具装置68は概して、下方金型70、上方パンチ88、ならびに、金型70およびパンチ88がそれぞれ装着される一対の可撓性プレート72、74を有している。金型70は、金型キャビティ86を形成するように離間され、プレート72上を互いに接近離間する方向であって、実質的に側方へと摺動可能な一対の金型部70a、70bを有している。金型部70a、70bの各々は、75で分割されており、複数の金型ブロック76を有している。金型ブロック76は、図示の例では概して長方形の断面を有しているが、他の断面形状も可能である。
【0041】
金型ブロック76は、プレート72、74の長さに沿って隣り合うようにして一直線に並べられており、例えば、限定されることはないが、可撓性の金属ストラップを備えることができる可撓性連結具78によって共に結合されている。金型ブロック76は、プレート72上に装着されており、成形材55の形成および外郭適合化の間にそれぞれの軸が中立のままとなっているように、連結具78によって相互に連結されている。金型ブロック76は、木材、金属、セラミック、または複合材料などの任意適切な比較的硬い材料を含むことができ、また、内側形成面76aおよび上方形成面76bを有している。一対のL字形の長尺ブラケット82がプレート72上で金型70の両側に装着されており、それらは、プレート72上の金型ブロック76を共に保持しつつ、金型ブロック76によって発生させられる側方への形成力に反応するように機能する。バッグまたはブラダと称されることがある一対の膨張可能なホース84がブラケット82および金型ブロック76の間に挟まれており、それらは、適切な加圧空気源(図示せず)に連結されるように適合されている。ホース84は、形成の作業および/または外郭適合化の作業の間に、金型ブロック76に側方への力を付与するように、選択的に加圧され得る。しかしながら、他の機構が、金型ブロック76に側方への力を付与するために提供されてもよい。
【0042】
パンチ88は、実質的に平らであり、パンチ88を、鍔54の平面56(図1および図2)に実質的に直交する平面(図示せず)においてパンチ88の長さに沿って湾曲させることができる複数のパンチ部92に分割するスリット90を有している。パンチ88は、金属、セラミック、または複合材料などの任意適切な硬い材料で形成され得る。
【0043】
前述のように、縦通材50は、それを外皮61(図1)の局所的な外郭に合致させるために、縦通材50の長さに沿う局所的な部位で変化する鍔の厚さT1を有していてもよい。これらの局所的な部位で成形材55に一定の圧力が付与されるように厚さ変化を許容するために、適切に外郭適合化させる下方シム80および上方シム94がそれぞれ提供され得る。例えば、図4および図6に示すように、成形材55は、鍔部54a(図2)の部位で積層増加層98を有していてもよい。実質的に均等な形成圧力が積層増加層98の部位に確実に付与されるように、上方シム94は、積層増加層98の断面形状に実質的に合致する外郭96を有している。図には示されてないが、下方シム80はまた、縦通材50の鍔部54aの厚さ変化を許容するために、金型ブロック76の下に下方シム80の長さに沿った1つまたは複数の外郭を有していてもよい。また、下方シム80は、それの長さに沿ってブレードの高さを変更するために、金型キャビティ86(図4)の下の部位においてテーパ状とされていてもよい(図示せず)。シム80、94は、力を成形材55に伝達するが、工具装置68の外郭適合化の間に、シム80、94を曲げることができるのに必要な程度に可撓性である、実質的に非圧縮性の任意の材料から形成され得る。
【0044】
図6Aを参照すると、前述のように、縦通材のブレード52の厚さT2は長さに沿って変化していてもよい。例えば、ブレード52は、ブレードの厚さT2を増加させる局所的な積層増加97を有していてもよい。形成する工程の間、積層増加97の部位99における金型ブロック76は、下方プレート72上で外側の方へと摺動し101、積層増加97によって示される外郭に合致し、ブレード52への実質的に一定の形成圧力を維持する。
【0045】
図7は、図4〜図6に示す工具装置68を組み込んだ金型・パンチ外郭変更機構105を示す。金型・パンチ外郭変更機構105は、例えば、限定されることはないが、プレス105を備えることができる。複数の個別の離間されたアクチュエータ100が、両側の押圧プレート104上にそれぞれ装着されており、互いに接近離間する方向に動くように適合されている。工具装置68は、押圧プレート104の間に置かれている。押圧部プレート104は、シリンダアクチュエータなどの、押圧プレート104を変位させるための適切な電動式の機構(図示せず)に連結することができ、成形材を形成する作業の間に工具装置68を拡げたり閉めたりする。各アクチュエータ100は、プレート72、74の一方と連結されたプランジャ102を有しており、プランジャ102は、プレート72、74を曲げ、それにより工具装置68を長手方向に外郭適合化することで成形材55を外郭適合化するために、プレート72、74に力を付与する。2010年4月29日に発行された米国特許出願第2010/0102482号で開示された機構など、他の機構が工具装置68を長手方向に外郭適合化するのに採用されてもよい。この開示された機構の全体は、本明細書で参照されて援用される。
【0046】
ここで図8に着目すると、外郭適合化されたブレード縦通材を製作する方法の個々のステップが記載されている。また、これらのステップは、図9〜図25に、図形によって順に示されている。ステップ110から始めると、実質的に平らな複数層の複合成形材55は、パンチ88が持ち上げられた位置にある状態で、金型ブロック76の上に載置146される(図9)。成形材55の中央ブレード部52は、金型キャビティ86の上に位置し、成形材55の外側鍔部54aは、金型ブロック76を超えて側方へと延びている。成形材55が金型ブロック76に載置される前または後のいずれかにおいて、帯状の接着剤148が成形材55の上に配置されてもよい。次に、図8でステップ112に記載するように、加熱ブランケット150(図10)が成形材55の上に載置される152。次に、ステップ114では、成形材が加熱ブランケット150を用いて加熱され(図11)、それによって成形材55を適切な形成温度へと軟化させる。他の型式の加熱装置が成形材55を加熱するのに使用されてもよく、その加熱装置には放射型のヒータおよび誘導型のヒータ(図示せず)が含まれるが、それらに限定されることはない。ステップ116では、加熱ブランケット150が、図12に示すように154で取り除かれる。ステップ118では、成形材55のブレード部52が、パンチ88の金型キャビティ86内への込み158によって、ハット156(図13)に形成される。ハット156が図13に示すように形成されていくにつれて、金型ブロック76が成形材55に対して荷重を与えたままにするために、圧力P1の第1中間レベルがホース82によって金型ブロック76に付与される。しかしながら、圧力P1のこの中間レベルは、パンチ88によって発生する外側の方への圧力よりも小さく、その結果、ハット156に対して荷重を与えているにもかかわらず、金型ブロック76は、ハット部156がキャビティ86内で完全に形成されるまで外側の方へと移動168する。
【0047】
次に、ステップ120では、側方内側の方への圧力P1が金型ブロック76によってハット156に対して保持されつつ(図14)、上端プレート74が圧力164を鍔部54aに付与し、下にある金型ブロック76との間で鍔部54aを形成する。任意選択で、ステップ122では、不完全に形成された成形材55が、工具装置68の外郭適合化85によって外郭適合化され(図15)、その間、金型ブロック76によるハット156への側方内側の方への圧力P1は、引き続き維持されている。工具装置68の外郭適合化85は、図7に示したプレスで行うことができ、プレスは、前述のように、鍔54の平面56(図1および図2を参照)に実質的に平行な平面(図示せず)においてプレート72、74を曲げる。プレート72、74が所望の曲率に曲げられるにつれて、パンチ88および金型78の両方は、湾曲してプレート72、74の曲率に合致してくる。図4〜図6に関連して前述したように、下方シム80および上方シム94によって、工具装置68が所望の形状へと外郭適合化85されていくときに、鍔部54aへの実質的に一定の形成圧力が維持される。
【0048】
図8のステップ124では、パンチ88が金型キャビティ86から後退させられる(図16)。次に、ステップ126では、実質的に平らなプレート160(図17)が鍔部54a上に載置162される。ステップ128では、パンチ88が降下158(図18)させられてプレート160に接触することで、プレート160から鍔部54aに荷重を与えて鍔部54aを固定する。次に、ステップ130では、鍔部54aが、プレート160およびパンチ88により付与される力によって、金型ブロック76に対する位置が保持され、圧力P2(図19)が、ホース82によって金型ブロック76に付与され、ハット156をブレード52へと絞る。圧力P2は、ステップ118〜ステップ122の間に金型ブロック76に付与される圧力P1よりも大きい形成圧力である。
【0049】
図8に示すステップ134では、パンチ88は後退180(図20)させられ、プレート160は除去167され、V字形の溝165が鍔部54aの間に残される。図8に示すステップ136では、複合充填材66が、図21に示すように、溝165に配置される。次に、ステップ138では、帯状の接着剤174(図22)および布地層172が充填材66の上に配置される。ステップ140では、鍔54に重なるように、プレート160が再び載置される(図23)。そしてステップ142に示すように、布地層172、接着剤の帯174、および充填材66は、図24に示すように、パンチ88を下方に変位させてプレート160に接触させることで圧搾される。最後に、ステップ144では、図25に示すように、パンチ88が後退180させられ、プレート160は除去184され、完全に形成されたブレード縦通材50を工具装置68から抜き出すことが可能となる。
【0050】
なお、上記に記載された実施形態の方法では、工具装置68の外郭適合化は、図15に示すように、成形材55が不完全に形成されている状態のときに行われることに留意すべきである。しかしながら、代わりに、成形材55は、図19に示すハット156がブレード52に圧搾された後で、ステップ132で外郭適合化されてもよい。工具装置68を外郭適合化することは、任意選択であって、工具装置68を用いて実質的に直線状の縦通材(図示せず)を形成するときには必要とされない。縦通材の外郭適合化が必要ないときは、ステップ122〜ステップ132を行う必要はない。いずれの場合でも、開示された方法は、有利には形成の工程および/または外郭適合化の工程の間に、層の滑りを許容することができるために、層にしわが寄るのを抑えることができ、かつ、優れた特性を有し、ならびに/または、性能の向上を示す最終部品を作り出すことができる。さらに、別の実施形態においては、成形材55の長さに沿った外郭適合化が、ブレード52が形成された後であって、金型ブロック76上に鍔部54aを形成する前に行われる。充填材66は、外郭適合化されたブレード部52上に鍔部54aが形成された後に、溝165に配置される。この記載した実施形態の方法は、外郭適合化の工程を容易にすることができ、特に、より高度に外郭適合化された縦通材50を製作する場合には、しわのより少なく、かつ/または、成形材55がより簡単に外郭適合化される、部品品質の改善をもたらすことになる。
【0051】
ここで図26に着目すると、関連する図27〜図43とともに、図3に示す縦通材のように、ハイブリッド型のブレード縦通材50aを製作する方法のステップが示されている。図27〜図43から見て取ることができるように、図3に示す縦通材50aを製作するのに使用される工具装置68は、2つのことを除いて、前述のものと実質的に同様となっている。具体的には、図27に示すように、パンチ88の端には、パンチ88の長さに沿う概してV字形の溝88aが設けられており、溝88aは、三角形状の充填材64の大きさおよび形状と実質的に合致している。また、金型ブロック78の各々は、底の角に沿って斜面または面取り155を有しており、図3に示すブレード52の角ばった形状の外側端62を形成する際に助けとなる。
【0052】
ここで図26を参照すると、ステップ188では、実質的に平らな複合成形材55(図27)が金型ブロック76上に載置220される。帯状の接着剤148が成形材55に付与されてもよく、それに続いて、上方充填材64が中央の帯状の接着剤148の上に配置される。次に、ステップ190で、加熱ブランケット150(図28)が成形材55の上に載置222される。図26のステップ192では、加熱ブランケット150が用いられて成形材55を加熱(図29)して適切な形成温度にする。図26のステップ194では、ブランケット150が、図30に示すように取り除かれる224。ステップ196では、パンチ88が金型キャビティ86(図31)内に向かって下方へと変位させられ、成形材55をハット156に形成する。パンチ88が引き続きキャビティ86を通って下方へと移動すると、上方プレート74が、鍔部54aに接触し、金型ブロック76に対して下方で鍔部54aを形成する。ステップ196の間、側方への圧力P1が、膨張可能なホース82(図4および図5参照)によって金型ブロック76に付与される。
【0053】
ステップ198ではパンチ88が後退され(図33)、ステップ200では実質的に平らなプレート160(図34)が不完全に形成された成形材55の鍔部54a上に載置226される。ステップ202では、パンチ88が、プレート160に載置され(図35)、鍔部54aに圧力を付与してそれらを金型ブロック76に対して保持する。ステップ204では、側方への圧力P2が、ホース82によって金型ブロック76に付与(図36)され、金型ブロック76によってハット156(図35)がブレード52へと圧搾させられる。
【0054】
次に、ステップ206では、図37に示すように、パンチ88がプレート74から除去され、形成された縦通材52は、任意選択で、図7に示されたもののように、力164をプレート72、74に付与し、プレート72、74を曲げて所望の外郭にするプレスを用いる工具装置68を外郭適合化することによって、外郭適合化85されてもよい。ステップ206における工具装置68の外郭適合化85の間に、ホース82による金型ブロック76への側方内側の方への圧力P2が維持されている。
【0055】
ステップ206での縦通材52の外郭適合化に続いて、パンチ88は、208で示すように後退180させられ、プレート160が除去228される。図26のステップ210では、下方充填材66(図39)が鍔部54aの間の溝165に載置される。次に、ステップ212で示すように、帯状の接着剤148および布地層225が充填材66の上に配置される(図40参照)。図26のステップ214で示すように、プレート160は鍔部54aに再び載置230される(図41)。ステップ216では、パンチ88が、下方へと変位させられてプレート160と接触し、布地層225および帯状の接着剤148を充填材66に対して圧搾する。ステップ216の間、金型ブロック76への圧力P1が維持される。最後に、図26のステップ218では、パンチ88が後退180させられ(図43)、プレート160は除去232され、完成された縦通材52が工具装置68から抜き出される。
【0056】
前述のように、工具装置68の外郭適合化は、図26〜図43に示される方法を実施するときには任意選択であり、工具装置68を用いて、図3に示すハイブリッド−I形状を有する実質的に直線状の縦通材(図示せず)を形成するときには必要とされない。縦通材の外郭適合化が必要ないときは、ステップ198〜ステップ206を行う必要はない。図27〜図43と関連して記載された実施形態では、ブレード部52の外郭適合化は、鍔部54が形成された後に行われる。しかしながら、代わりに、他の実施形態では、ブレード部52が形成された後に鍔部54aを形成し、それに続いて上方充填材66が配設され得るのが好ましい可能性がある。鍔部54aが形成される前に成形材55を外郭適合化することで、外郭適合化の工程がより簡単になる可能性があり、かつ/または、部品品質が改善される可能性がある。
【0057】
開示の実施形態は、様々な潜在用途で、具体的には、例えば、航空宇宙用途、海洋用途、自動車用途、および、自動化された積層機器が使用される可能性のある他の用途を含む運送産業での利用が見い出せるであろう。したがって、ここで図44および図45を参照すると、開示の実施形態は、図44に示されるように、航空機の製造および保守の方法236および図45に示されるような航空機238という状況において使用することができる。開示の実施形態の航空機の用途には、例えば、限定されることはないが桁や補強材などの縦通材の積層が、それに限定されることなく含まれ得る。生産前段階において、例示の方法236には、航空機238の仕様決定および設計240、ならびに、材料調達242が含まれ得る。生産の間では、構成部品および部分組立品の製造244、ならびに、航空機238のシステムインテグレーション246が行われる。その後、航空機238は、認証および納入248を経て、保守中250となる。顧客による使用の間、航空機238には定期的な点検および保守252が計画され、その点検および保守には、変更、再構成、改修なども含まれる。
【0058】
方法236の工程の各々は、システムインテグレータ、第三者、および/または運用者(例えば、顧客)によって行われ、あるいは、実施されてもよい。説明のために言うと、システムインテグレータには、限定されることはないが、多くの航空機製造者および主なシステム下請け業者が含まれ得る。第三者には、限定されることはないが、多くの販売業者、下請け業者、および供給業者が含まれ得る。また、運用者には、航空会社、リース会社、軍事体、保守組織などが含まれ得る。
【0059】
図45に示すように、例示の方法236で生産された航空機238には、複数のシステム256および内装258を備えた機体254が含まれ得る。高度なシステム256の例には、1つまたは複数の推進システム260、電気システム262、油圧システム264、および環境システム266が含まれる。他に多くのシステムが含まれていてもよい。航空宇宙の例として示しているが、本開示の原理は、海洋産業や自動車産業などの他の産業に適用可能である。
【0060】
本明細書で具体化されたシステムおよび方法は、生産および保守の方法236のうちの1つまたは複数の任意の段階において採用することができる。例えば、生産工程244に対応する構成部品または部品組立品は、航空機238が使用されている間に生産される構成部品または部品組立品と同様の手法で製作または製造することができる。また、1つまたは複数の装置の実施形態、方法の実施形態、またはそれらの組合せは、生産の段階244および246の間に、例えば、実質的に、航空機238の組立てを速めたり、航空機238のコストを低減させたりすることで利用されてもよい。同様に、1つまたは複数の装置の実施形態、方法の実施形態、またはそれらの組合せは、航空機238が使用されている間に、例えば、限定されることはないが、点検および保守252に利用されてもよい。
【0061】
異なる有利な実施形態の説明が、解説および説明の目的のために提供されたが、その説明は、包括的であったり、開示された形態の実施形態に限定したりすることを意図するものではない。多くの変更および変形が、通常の当業者には明らかとなるであろう。さらに、異なる有利な実施形態は、他の有利な実施形態と比較して、異なる有利性を提供する可能性がある。選択された1つまたは複数の実施形態は、実施形態および実用的な用途の原理を最もよく説明するために、ならびに、他の通常の当業者が、検討している具体的な使用に適合するような、様々な変更がされる様々な実施形態のために開示を理解できるようにするために、選択されて記載されている。
【符号の説明】
【0062】
50 縦通材
55 複合成形材
70 金型
70a 金型部
70b 金型部
72 下方プレート
74 上方プレート
76 金型ブロック
76a 内側形成面
76b 上方形成面
80 下方シム
82 ホース
86 金型キャビティ
88 長尺パンチ
94 上方シム
100 アクチュエータ
105 金型・パンチ外郭変更機構
118 ハットを形成(パンチを金型内に変位)
120 鍔に追加の圧力を付与しつつハットを絞る
122 外郭適合化工具により縦通材を外郭適合化
124 パンチを後退
126 プレートを載置
128 プレートに圧力を付与して鍔を保持
130 ハットのウェブを圧搾
132 任意選択で工具を外郭適合化することで縦通材を外郭適合化(形成圧力を維持)
134 パンチを後退およびプレートを除去
136 充填材を載置
138 接着剤および布地を充填材上に付与
140 プレートを載置
142 布地、接着剤、および充填材を、パンチ88をプレートに載置することで圧搾(圧搾されるハットのウェブへの側方への圧力を維持)
160 プレート
196 ハットを形成(側方への圧力を熱い成形材に付与しつつパンチを金型へと変位)
198 パンチ金型を後退
200 プレートを載置
202 プレートに追加の圧力を付与して鍔を保持
204 ハットを圧搾
206 金型を外郭適合化することで縦通材を外郭適合化(形成圧力を維持)
208 パンチを後退およびプレートを除去
210 下方充填材を載置
212 接着剤および布地を下方充填材上に付与
214 プレートを載置
216 布地、接着剤、および充填材を、パンチ金型をプレートに対して降下させることで圧搾(圧搾されるハットへの側方への圧力を維持)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合成形材を外郭適合化されたブレード縦通材に形成するための装置であって、
長さに沿って可撓性とされた長尺パンチと、
長さに沿って可撓性とされ、概して平らな複合成形材が前記パンチによってプレス成形され得る長尺金型と、
前記第1金型および前記第2金型をそれぞれ裏当てする第1可撓性プレートおよび第2可撓性プレートと、
前記パンチおよび前記金型の外郭を変更するために、前記第1可撓性プレートおよび前記第2可撓性プレートに連結された金型・パンチ外郭変更機構と
を有する装置。
【請求項2】
前記パンチは、概して平面であって、複数の個別のパンチ区画を有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記金型は、金型キャビティを画定する離間された第1金型部および第2金型部を有し、前記パンチは前記第1金型部および前記第2金型部の間に受け入れ可能とされている請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記金型部は、それらの間にある前記成形材を絞るために互いに向かって側方へと変位可能であり、前記装置は、前記成形材を絞る前記第1金型部および前記第2金型部に側方への力を付与するための拡張可能部材をさらに有する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記拡張可能部材は、それぞれが前記金型部の両側にあり、加圧空気源に連結するように適合された一対の膨張可能なホースを有する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記成形材に係合するように適合されており、前記成形材の局所における外郭に概して合致する外郭を有している少なくとも1つのシムをさらに有する請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1プレートおよび前記第2プレートに連結されており、前記成形材が前記パンチと前記金型との間にある際に前記第1プレートおよび前記第2プレートを外郭適合化するためのプレスをさらに有する請求項1ないし6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記金型と前記パンチとの間に取り外し可能に設置することができ、前記成形材を形成する間に前記成形材の一部を保持するためのプレートをさらに有する請求項1ないし7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
複合ブレード補強材を製作する方法であって、
概して平らな成形材を形成するステップと、
前記概して平らな成形材を金型のキャビティに導くことで前記成形材を一対の鍔を有するハット形に形成するようにパンチを用いるステップと、
前記パンチを前記金型キャビティから抜き出すステップと、
プレートを前記鍔を覆う前記金型上に載置するステップと、
前記プレートに前記パンチを押し付けることで前記金型に対して前記鍔部を保持するステップと、
前記鍔部が前記金型に対して保持されている間に、前記金型を用いて前記ハットを絞ることで、前記生じたハット形をブレードに形成するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記成形材を前記金型内に配置するステップをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金型上の前記成形材上に加熱ブランケットを配置するステップと、
前記成形材を、前記加熱ブランケットを用いて形成温度に加熱するステップと
をさらに含む請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ブレードが形成される前に、前記金型および前記パンチを外郭適合化することによって前記成形材を長さに沿って外郭適合化するステップをさらに含む請求項9ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ブレードが形成された後に、前記金型および前記パンチを外郭適合化することによって前記成形材を長さに沿って外郭適合化するステップをさらに含む請求項9ないし12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ブレードが形成された後に、前記鍔部の間に充填材を配置するステップと、
前記鍔部および前記充填材の上に前記プレートを再び載置するステップと、
前記パンチを前記プレートに対して下方に導いて前記充填材を圧搾するステップと
をさらに含む請求項9ないし13のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2013−43448(P2013−43448A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−175673(P2012−175673)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】