説明

対流型加熱炉の温度分布の改良

多重域対流型加熱炉が提供され、特定の温度分布を得る目的で炉の冷却室からのガスは炉の加熱ゾーンの一つまたはそれ以上へ向けらる。冷却室から加熱ゾーンの一つまたはそれ以上へ導入されるガスは加熱ゾーンに存在するものと同じ種類のガスであり、典型的には窒素である。好ましい態様では、対流型加熱炉は、複数の隣接する加熱ゾーンにより構成される加熱室と加熱室出口の冷却室とからなる。コンベヤは製品が加熱ゾーンと炉の冷却室を通って移動するのに伴い炉を通って延びる。冷却室は加熱ゾーンの一つまたはそれ以上と接続されて冷却室からの冷却ガスが選択された加熱ゾーンへ導入され得る。一つの態様では、冷却ガス流路は、全ての加熱ゾーンに設けられ、冷却ガスは関連バルブを開放することにより意図するゾーンへ導入される。代りに、冷却ガス流路には冷却ガスの導入が望ましい際には所定のゾーンへのみ設置され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、35U.S.C.第119条(e)項による2002年9月26日出願の仮特許出願番号第60/413,879号による優先権を主張し、その内容はここに組み入れられる。
連邦政府による援助または研究に関する表明
なし
【0002】
発明の背景
多重域対流型加熱炉(multizone convention furance)は印刷回路板上の部品のリフロー半田付け、セラミック多層回路または他のセラミック製品焼結のような多様な熱処理用途に使用される。対流型加熱炉は、その性質上、独立して熱制御されるゾーン内において再循環流路に極めて多量のガスを流すものである。異なる温度で動作している隣接ゾーン間のガスの混合を防止することは難しい。高温域のガスは低温域に移動しやすく、その結果意図する以上に低温域の温度が上昇することになる。その結果、特定の温度分布を維持することが困難となり、意図する分布を維持するのにより過酷な調整努力を要する。
【0003】
本発明の概略
本発明によると、多重域対流型加熱炉には、加熱炉の冷却室からのガスが特定の温度分布を与える目的で一つまたはそれ以上の加熱炉の加熱ゾーンへ流入される。冷却室から一つまたはそれ以上の加熱ゾーンへ導入されるガスは、加熱ゾーンに存在するガスと同じ種類のガスであり、典型的には窒素である。加熱炉の冷却室からの冷却ガスの、一つまたはそれ以上の加熱ゾーンへの導入は意図する温度レベル以上に加熱ゾーンを過熱する傾向を減少させ、一つまたはそれ以上の加熱ゾーンの温度を意図する温度仕様内に収める。
【0004】
好ましい態様では、対流型加熱炉は隣り合う複数の加熱ゾーンからなる加熱室と加熱室出口端にある冷却室とからなる。コンベヤーは製品が加熱炉の加熱ゾーンと冷却室を通過して移動する動きに沿って加熱炉内を延びている。各加熱ゾーンには製品に加熱ガスを供する加熱装置が具備される。一つの態様では、加熱ガスは製品の先端と底の両方に突き当たる。代わりの実施態様では、加熱ガスは製品の先端または底のみに突き当たる。各加熱装置はプレナム(plenum、空気溜り)内に配置される電気ヒーターと、ブロワ−モーターを具備し、このモーターはプレナム内の回転翼を駆動させ、オリフィス板のオリフィスを通して加熱ガスを製品に当てる加熱ガス流を起こさせる。装置は、同じかまたは類似の構造であり、補修または置き換えのために容易に移動可能にモジュール化することができる。加熱装置のそれぞれは、加熱炉の多重域の長さ方向に沿って意図する温度分布を創り出すように独立して操作可能である。冷却室は、加熱ゾーンの一つまたはそれ以上と組みとなり冷却室からの冷却ガスを選択された加熱ゾーンへ導入することができる。一つの態様では、冷却ガスの流路は加熱ゾーンの全てに設けられており、そして冷却ガスは付属弁を開放することにより意図するゾーンへ導入される。代りに、冷却ガス流路は冷却ガスの導入が必要とされる所定のゾーンのみに設けられる。
【0005】
図面の簡単な説明
本発明は添付の図面によりその詳細がより理解される。
図1は、本発明に従う多重域対流型加熱炉の概略側面図である。
図2は、冷却ガス流路を示す多重域対流型加熱炉の部分斜視図である。
図3は図2の冷却ガス流路を設けた多重域加熱炉の底面図である。
図4は加熱炉の長さ方向にわたる温度分布の例示の図である。
図5は一つのバルブ配列を示す本発明の概略図である。
図6は他のバルブ配列を示す本発明の概略図である。
図7は多重域対流型加熱炉に使用されるプレナムボックスの部分斜視図である。
図8は多重域対流型加熱炉に使用されるブロワ−装置の部分斜視図である。
【0006】
発明の詳細な説明
図1には多重域対流型加熱炉10が示され、図示の態様では6個のゾーン加熱室を有する。各ゾーンはコンベヤー16により炉の中を移動する製品14上に加熱ガスを注ぐ上部及び下部加熱装置12を具備する。冷却室18は加熱室の出口端に位置し、製品が加熱ゾーンから冷却室を通って炉出口から外に出るのに対応して、加熱室を通ってコンベア16が延びている。冷却室18は、一つまたはそれ以上で個別に調整可能であり得るが、配管20とバルブ22を経由して各加熱ゾーンにつながっている。バルブ22のそれぞれは各ゾーンに接続されるパイプ20の各配管内に配置される。バルブはガス流路の開閉が可能な型でありまた流量を調整することが可能な型である。冷却室18からの冷却ガスは目的とするゾーンへの対応するバルブを開けることにより加熱ゾーンの一つまたはそれ以上へ選択的に供給される。ガスは典型的には窒素で、製品の対流加熱のための加熱炉の加熱ゾーンに使用されのと同じである。
【0007】
他の態様では、冷却ガスは冷却ガスの導入が必要な選択された加熱ゾーンのみへ供給される。冷却ガスは加熱ゾーンの所定のもののみに供給されるのでガス流路を閉鎖するバルブは不要である。以下に説明されるように調節弁はガス流を調整するために使用される。図2では三つのゾーンの加熱装置12が示され、それぞれは冷却室18に接続される入口15を有する冷却ガス管13に接続される。図3は多重域加熱炉の底面を示し、3個の加熱装置12が冷却ガス配管に接続しているのを図示する。
【0008】
冷却ガスは意図する温度分布を維持するために十分な量選択されたゾーンへ導入される。典型的な温度分布は図4に示される。加熱炉内を移動する製品の温度は予備加熱の間所望の温度まで上昇し、しばしば加熱(soak)サイクルと称される、そして、複数のゾーンを通過する間その温度に維持され、その後温度はより高い温度に上昇し、しばしばスパイク(spike)サイクルと称される、その後製品が冷却室へ移動し炉の外へ出るにつれて温度は低下することが明らかである。よく知られるように、特定の製品の処理要求に適合するように温度分布は設定され得る。選択された加熱ゾーンへ供給される冷却ガスの容量は意図する量を供給する配管の大きさにより調節されることができるし、またはかわりに、一つまたはそれ以上のバルブを使用して流速を調節することによることもできる。選択されたゾーンへの冷却ガス流を調節するために調節バルブ23が配管20に設けられている一つの弁設備が図5に示される。他のバルブ設備が図6に示され、別個のバルブ22が、選択されたゾーンのそれぞれへつながる配管の各枝管に設けられている。
【0009】
加熱炉の冷却室から加熱ゾーンの一つまたはそれ以上への冷却ガスの導入により、加熱ゾーンが意図する温度レベルを超えて過熱する傾向が減少し、意図する温度仕様内に加熱ゾーンの一つまたはそれ以上の温度が維持される。
【0010】
加熱装置のそれぞれは好ましくはモジュラー構造として、修理や交換のために容易に取り外しが可能とされる。加熱炉と加熱装置は本発明の譲受人の特許、アメリカ特許第6394794号公報に記載されるものを使用できる。各加熱装置12は、プレナムボックス30とブロワ−装置32を具備する。プレナムボックスは図7に示される。ボックスは、開口列を有する一つまたはそれ以上のオリフィス板34を具備し、開口を通してコンベヤ上の製品にガスのジェットが衝突する。電気ヒーター33(図1)はプレナムボックス内に収納され、ガスは希望の温度に加熱されるためにヒーターを通過し、その後製品上に突き当たるためにオリフィス板の開口を通過することとなる。加熱炉の配列に応じてプレナムボックスの複数が製品の下また上の加熱炉ケース内に一体化して設けられる。図1の態様では、プレナムボックスは加熱室の加熱ゾーンに配置される加熱装置の下部および上部の部分である。同様なプレナムボックスがコンベア上の製品に冷却ガスのジェットを供給するように冷却室に使用することができる。冷却室に使用するためにはヒーターは必要ない。
【0011】
ブロワ−装置は図8に示される。ブロワ−装置は関連のプレナムボックスに接続されて、オリフィス板を通してガスを流れさせて室内を循環させるようにボックス内に高圧をまたボックス外には低圧を発生させる。ブロワ−装置は修理や交換のために設置と移動が容易な屋外交換ユニットである。ブロワ−装置は板38上に設置されたブロワ−モーター36を具備し、外気漏洩を防止するためのガスケットまたは他のシール材を有する。図3に見られるように回転翼を含むファン筐体(housing)40はボックスの開口を通ってプレナムボックス内へ延びる。ファン筐体はプレナムボックスとオリフィス板を通って製品上に再循環させるように炉室からガスを吸い込むためのガス吸入口41を具備する。ダクト43は、加熱ガスと混合するために冷却ガスをプレナムボックス内へ導入する冷却ガスパイプ20に接続する。ブロワ−装置とプレナムボックス間のガスケットまたは他のシール材はプレナムボックスとブロワ−装置間の気密封止のために設置される。ブロワ−装置の構造と操作の詳細は前述のアメリカ特許第6394794号公報に記載される。
【0012】
適用可能な加熱ゾーンにおける加熱装置のプレナムボックスのドロー(draw、引き)は、冷却室から選択された加熱ゾーンへ冷却ガスを移動させる。もしもガスの推力を更に必要ならば、図5のブロワ−21により例示して示されるようにブロワ−を冷却ガス流路に設置する。
【0013】
対流型加熱炉は典型的には当業界に公知のもの、たとえば入口と出口小室(vestibule)、集塵機および温度とガスの制御器を具備することができる。
【0014】
本発明は特に例示されたものに限られないし、また添付の請求項の全範囲とその精神を包含するように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に従う多重域対流型加熱炉の概略側面図である。
【図2】冷却ガス流路を示す多重域対流型加熱炉の部分斜視図である。
【図3】図2の冷却ガス流路を設けた多重域加熱炉の底面図である。
【図4】加熱炉の長さ方向にわたる温度分布の例示の図である。
【図5】一つのバルブ配列を示す本発明の概略図である。
【図6】他のバルブ配列を示す本発明の概略図である。
【図7】多重域対流型加熱炉に使用されるプレナムボックスの部分斜視図である。
【図8】多重域対流型加熱炉に使用されるブロワ−装置の部分斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱ゾーンを有し、各加熱ゾーンは加熱ガスを加熱炉内をコンベアで搬送される製品に供給する加熱装置を少なくとも一つ有する;
加熱炉内を通る製品を搬送するコンベア;
冷却室を通って搬送される製品に冷却ガスを供給する冷却装置を少なくとも一つ有する加熱装置出口端の冷却室;および
冷却室から加熱室の少なくとも一つの加熱ゾーンへ冷却ガスを導入するための冷却室から炉室の少なくとも一つの加熱ゾーンへのガス流路であって、加熱ゾーンの少なくとも一つに導入される冷却ガスの容量は加熱ゾーンの少なくとも一つにおける温度を意図するものとするようなものである、
ことからなる対流型加熱炉。
【請求項2】
ガス流路が冷却室から炉室の加熱ゾーンの複数へ接続される請求項1の対流型加熱炉。
【請求項3】
複数の加熱ゾーンへの各ガス流路が開放位置で冷却ガスを関連加熱ゾーンへ導入し、閉止位置で冷却ガスの関連加熱ゾーンへの導入を禁止するバルブを有する請求項2の対流型加熱炉。
【請求項4】
ガス流路が冷却室から炉室の加熱ゾーンの全てに至るように接続され、そしてガス流路は一つまたはそれ以上の加熱ゾーンへ選択的に冷却ガスを導入するように働くバルブ装置を具備する請求項1の対流型加熱炉。
【請求項5】
各加熱装置は開口列を備えるオリフィス板を有するプレナムボックスを具備し、該開口を通して加熱ガスのジェットが製品に突き当たり、そして加熱ガスをオリフィス板を通して流すようにプレナムボックス内で高圧を発生させるブロワ−装置をも具備する請求項1の対流型加熱炉。
【請求項6】
各プレナムボックスは加熱室の長さ方向にわたり類似のオリフィスボックスに隣接して設置されるモジュラー構造である請求項5の対流型加熱炉。
【請求項7】
各ブロワ−装置は各プレナムボックスにモジュラー化されて移動可能に設置される請求項6の対流型加熱炉。
【請求項8】
複数の加熱ゾーンはそれぞれコンベヤーの下部と上部に加熱装置を具備する請求項1の対流型加熱炉。
【請求項9】
冷却ガスは冷却室から加熱ゾーンの少なくとも一つへガス流路のサイズで決定される容量で流れるようにされる請求項1の対流型加熱炉。
【請求項10】
冷却ガスは冷却室から加熱ゾーンの少なくとも一つへガス流路のバルブ設備で決定される容量で流れるようにされる請求項1の対流型加熱炉。
【請求項11】
冷却ガスを冷却室から加熱室の加熱ゾーンの少なくとも一つへ移動させる働きをしそしてガス流路にブロワーを具備する請求項1の対流型加熱炉。
【請求項12】
少なくとも一つの加熱装置のドロー(draw)により冷却ガスが冷却室から加熱室の少なくとも一つの加熱ゾーンへ移動される請求項1の対流型加熱炉。
【請求項13】
複数の加熱ゾーンを有し、各加熱ゾーンは炉内を通って搬送される製品へ加熱ガスを供給する加熱装置を少なくとも一つ具備し;
炉内を通って製品を搬送する;
冷却室を通って搬送される製品へ冷却ガスを供給するための冷却装置を少なくとも一つ有する加熱室の出口端に位置する冷却室;および
冷却室はガス流路により加熱装置の少なくとも一つに結合され、該ガス流路を通って冷却ガスは冷却室から加熱ゾーンの少なくとも一つ内へ一つまたはそれ以上の加熱ゾーンの意図する温度が得られるような容量で導入される、
ことからなる対流型加熱炉。
【請求項14】
加熱装置のドロー(draw)により冷却ガスが冷却室から加熱室の少なくとも一つの加熱ゾーンへ移動される請求項13の対流型加熱炉。
【請求項15】
冷却室が複数の加熱ゾーンの加熱装置に接続される請求項13の対流型加熱炉。
【請求項16】
冷却室から加熱ゾーンへのガス流路に加熱ゾーンへの冷却ガス流れを調節するためのバルブが設けられる請求項15の対流型加熱炉。
【請求項17】
バルブ設備は冷却ガスを受け入れる加熱ゾーンの全てへの流れを調節する働きをするガス流路中の調整バルブを具備する請求項16の対流型加熱炉。
【請求項18】
バルブ設備は冷却ガス流を調節するために冷却ガスを受け入れる各加熱ゾーンにガス流路中の調整バルブを具備する請求項16の対流型加熱炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−500545(P2006−500545A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539800(P2004−539800)
【出願日】平成15年7月15日(2003.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/022084
【国際公開番号】WO2004/029531
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(500454839)ビーティーユー インターナショナル インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】