説明

対象物識別装置

【課題】対象物が遠行状態にある場合においても正確に目標を識別することが出来る信頼性の高い対象物識別装置を提供する。
【解決手段】複数の波長帯の画像データ(長波長赤外線画像データ、中波長赤外線画像データ)に基づいて信号が得られていない領域や信号強度が飽和してしまっている領域の情報を補間することができるため詳細な温度状態を観察することができる。また、フレア発出途中過程において対象物とフレアの像に重なりが生じる場合であっても、適切に対象物を識別および検出することができる。従って、対象物の識別性能が向上し、信頼性の高い対象物識別装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の対象物識別装置は、近赤外線波長領域の画像データ及び遠赤外線波長領域の画像データの2波長領域の画像データを利用して、対象物とフレアとの赤外線特性の違いを利用した減算手段により対象物を識別する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、近赤外線領域の画像データ及び中赤外線領域の画像データを利用して対象物の本体情報、フレアの画像情報を抽出し、それらに基づいて対象物を識別する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−174828号公報
【特許文献2】特許第3431206号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の対象物識別装置は、対象物が遠行状態に(撮像装置に対して対象物が遠方へ進行している状態)ある場合、対象物とフレアの絶対温度及びその温度分布は似通ったものとなり、誤識別が生じ誤誘導を招く恐れがあり、信頼性を欠いていた。
【0005】
そこで本発明は、対象物が遠行状態にある場合においても正確に目標を識別することが出来る信頼性の高い対象物識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に請求項1記載の対象物識別装置は、第1の波長帯での画像データである第1の画像データと、第2の波長帯での画像データである第2の画像データとを同じ視野で取得する画像データ取得手段と、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データのうち一方を一次対象画像データ、もう一方を二次対象画像データと設定する画像データ設定手段と、前記一次対象画像データ上での対象物の状態を示す第1の状態パターンを記憶する第1の記憶手段と、前記二次対象画像データ上での対象物の状態を示す第2の状態パターンを記憶する第2の記憶手段と、前記一次対象画像データ上において前記第1の状態パターンとの類似度を示す第1類似度評価値を算出する第1類似度算出手段と、前記第1の類似度評価値を基に対象物の候補位置を抽出する候補位置抽出手段と、前記候補位置において前記第2の状態パターンとの類似度を示す第2類似度評価値を算出する第2類似度算出手段と、前記第1類似度評価値、及び前記第2類似度評価値に基づいて前記視野内において対象物を識別する識別手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、対象物が遠行状態にある場合においても正確に目標を識別することが出来る信頼性の高い対象物識別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る対象物識別装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る対象物識別装置の処理を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施の形態1に係る長波長赤外線画像データ及び中波長赤外線画像データを示す図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る第1類似度評価値の算出方法を説明する図。
【図5】本発明の実施の形態1に係る候補位置の抽出方法を説明する図。
【図6】本発明の実施の形態1に係る候補位置の抽出方法を説明する図。
【図7】本発明の実施の形態2に係る対象物識別装置の構成を示す図。
【図8】本発明の実施の形態2に係る対象領域の設定方法を説明する図。
【図9】本発明の実施の形態3に係る対象物識別装置の構成を示す図。
【図10】本発明の実施の形態4に係る対象物識別装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る対象物識別装置の構成を示す構成図である。図1に示すように対象物識別装置は、同じ視野の2波長帯(例えば、長波長帯及び中波長帯)の赤外線画像データを撮像する撮像系100、2波長帯の赤外線画像データのうちの一方(長波長帯の赤外線画像データ)を一次対象画像データ104として設定し、もう一方(中波長帯の赤外線画像データ)を二次対象画像データ105として設定する画像データ設定部103、画像データ設定部103から入力された一次対象画像データ104上での対象物の状態を示す第1の状態パターンを記憶する第1状態記憶部106(第1の記憶手段)、二次対象画像データ105上での対象物の状態を示す第2の状態パターンを記憶する第2状態記憶部107(第2の記憶手段)、一次対象画像データ104上で第1の状態パターンとの類似度を示す第1の類似度評価値を算出する第1類似度算出部108(第1類似度算出手段)、第1の類似度評価値を基に対象物の候補位置を抽出する候補位置抽出部109(候補位置抽出手段)、候補位置抽出部109において抽出された候補位置において第2の状態パターンとの類似度を示す第2の類似度評価値を算出する第2類似度算出部110(第2類似度算出手段)、第2類似度算出部110によって算出された第2の類似度評価値に基づいて視野内における対象物の存在領域を識別する評価識別部111(識別手段)を有している。
【0011】
撮像系100は、ジンバル機構(図示しない)などにより駆動されて対象物に指向する。視野内の像はレンズ200、及びダイクロイックミラー201を介して長波長赤外線センサ202、及び中波長赤外線センサ203に案内される。ダイクロイックミラー201は、長波長の赤外線を透過し中波長の赤外線を反射するもので、レンズ200に対して後方に配置される。透過方向には長波長赤外線センサ202が配置され、反射方向には中波長赤外線センサ203が設けられている。
【0012】
長波長赤外線センサ202は、案内されて結像した光学的画像を長波長赤外線画像データ101(第1の画像データ)に変換し、画像データ設定部103に出力する。一方、中波長赤外線センサ203は、案内されて結像した光学的画像を中波長赤外線画像データ102(第2の画像データ)に変換し、画像データ設定部103(画像データ設定手段)に出力する。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態1に係る対象物識別装置の処理のフローチャートである。以下、図2を参照して対象物識別装置の行う処理について説明する。撮像系100は、ジンバル機構などにより駆動されて対象物に指向し、視野内の像はレンズ200、及びダイクロイックミラー201を介して長波長赤外線センサ202、及び中波長赤外線センサ203に案内される(St1)。
【0014】
長波長赤外線センサ202は、St1において案内されて結像した光学的画像を長波長赤外線画像データ101に変換し、画像データ設定部103に出力する。一方、中波長赤外線センサ203は、St1において案内されて結像した光学的画像を中波長赤外線画像データ102に変換し、画像データ設定部103に出力する(画像データ取得手段)(St2)。図3に画像データ設定部103に出力された長波長赤外線画像データ101、及び中波長赤外線画像データ102を示す。
【0015】
画像データ設定部103は、入力された長波長赤外線画像データ101、及び中波長赤外線画像データ102に基づいて一次対象画像データ104、及び二次対象画像データ105を設定し、(St3)。一次対象画像データ104を第1類似度算出部に出力し、二次対象画像データ105を第2類似度算出部に出力する。
【0016】
一次対象画像データ104、及び二次対象画像データ105の設定方法は、長波長赤外線画像データ101上の信号強度が所定の閾値以上となる領域の形状と、中波長赤外線画像データ102上の信号強度が所定の閾値以上となる領域の形状の複雑さを比較し、複雑である方を一次対象画像データ104、もう一方を二次対象画像データ105として設定する。
【0017】
複雑さの評価方法は、長波長赤外線画像データ101上の信号強度により所定の閾値以上となる領域(T1)、閾値未満となる領域(T2)に二値化する。また、中波長赤外線画像データ102上の信号強度が所定値以上となる領域(T3)、閾値未満となる領域(T4)に二値化する。二値化した両赤外線画像データの閾値以上となる領域T1、T2の各々の周長Lと面積Sとから領域の形状の複雑度Eを下式(1)に基づいて算出した上で複雑さを比較することにより評価する。また、下式(2)に基づいて円形度Eを算出した上で複雑さを比較しても良い。つまり、複雑度Eの値が大きいほど、円形度Eの値が小さいほど形状は複雑であると評価できる。
【数1】

【数2】

【0018】
更に、予め領域の形状が複雑になる波長帯が分かっている場合には、その波長帯のデータを一次対象画像データ104とすることもできる。このように一次対象画像データ104を設定することにより、上述の複雑さの評価処理を行う必要が無く、対象物の識別をより効率的に行うことができる。
【0019】
また、より長波長のデータである長波長赤外線画像データ101を一次対象画像データ104、より短波長のデータである中波長赤外線画像データ102を二次対象画像データ105として設定してもよい。このように一次対象画像データ104、及び二次対象画像データ105を決定することにより、上述の複雑さの評価処理を行う必要が無く、対象物の識別をより効率的に行うことができる。
【0020】
St3の後、第1類似字度算出部108は、画像データ設定部103から入力された一次対象画像データ104上の各座標において第1類似度評価値が算出される(St4)。
【0021】
類似度評価値の算出法は、図4に示すように図1に示す第1状態記憶部105にて記憶されている第1の状態パターンの信号強度106aと、一次対象画像データ104上の各座標における第1の状態パターンの領域の大きさに相当する領域の信号強度とを比較し、その類似度が算出される。
【0022】
この第1の状態パターンの信号強度106aは、予め取得されている対象物の状態パターンを記憶したものを利用しても良い。或いは、後述する評価識別部111で直前に識別された対象物の状態パターンを記憶しても良い。この場合には、徐々に、信号強度の形状が変化する対象物の場合に特に有効である。
【0023】
第1類似度算出部108は、撮影条件、信号レベル、評価領域の重なりが生じることによる誤識別が生じる可能性がある。そのため、一次対象画像データ104の類似度の評価時において誤識別を低減させるためにベクトル情報に基づいた対象物の識別手法を用いる。ベクトル情報は、画像領域内の画素間の信号強度の差分として与えられ、下式(3)で表すことができる。
【数3】

【0024】
式(3)においてIは画素の信号強度であり、添え字i、jは画素を区別するためのインデックスである。式(3)から得たベクトルRi,jの大きさは画素間の信号強度の勾配の強度を示す。また、ベクトルの方向は画素の連結性を示す。すなわちベクトルRi,jは画素の明るさの勾配に対する直行成分を示す。
【0025】
第1類似度算出部108は、入力された一次対象画像データ104及びベクトルRi,jを用いて信号分布形状の統計量を評価する。この統計量を用いることで、目標領域の抽出の指標を絶対量(強度そのもの)から強度間の関係に置き換えることができる。従って、第1類似度算出部108に信号レベルの強弱変化に対するロバストな性質を持たせることができる。
【0026】
また、前記ベクトル情報を基にした具体的な類似度の算出方法としては、第1状態記憶部105にて記憶されている第1の状態パターンのベクトル情報Raと、一次対象画像データ104上の各座標における第1の状態パターンの領域の大きさに相当する領域のベクトル情報Rbとを比較することになるが、例えば、下式(4)のようにベクトルの内積の総和Eで算出することができる。このEが小さいほど類似度が高いと言える。
【数4】

【0027】
さらに、画像中の対象物の大きさが変化する場合は、大きさの変化に対して不変な量であるベクトル情報の強度と方向に関するヒストグラムを比較することで対処が可能である。例えば、方向に関するヒストグラムは、対象領域中に0°〜5°の方向に向いているベクトルが幾つあるかなど、全360°を区間分割し、各区間に相当するベクトルの存在頻度をカウントし作成する。ヒストグラム間の類似度の算出としては、前記ベクトル情報Raのヒストグラムをp、前記ベクトル情報のヒストグラムをqとすると下式(5)に示すバタチャリヤ距離Eを利用するなどが考えられる。
【数5】

【0028】
ここで、
【数6】

【0029】
である。また、mは区関数、p(u)はu番目の区間の頻度を示す。このとき、さらに
【数7】

【数8】

【0030】
を満たしておく必要がある。
【0031】
第1類似度算出部108において算出された各座標における第1類似度評価値は、候補位置抽出部109に入力され、この類似度評価値に基づいて対象物の候補位置が抽出され決定される(St5)。
【0032】
ここで対象物の候補位置は、高い類似度を示している位置を基に決定される。例えば、類似度が高い順に上位N個の候補位置が抽出される。また、設定により所定の閾値以上の類似度を示す位置は全て抽出するようにしても良い。候補位置抽出部109は、抽出した類似度の上位N個の候補位置を第2類似度算出部110へ入力する。
【0033】
また、第2類似度算出部110は、第1類似度算出部108と同様に、第2状態記憶部107が記憶する第2の状態パターンに基づいて二次対象画像データ105上の類似度の上位N個の候補位置で第2類似度評価値を算出する(St6)。
【0034】
St4、及びSt6において第1類似度算出部108、及び第2類似度算出部110によって算出されたN個の第1の類似度評価値、及びN個の第2の類似度評価値が評価識別部111へ入力されて、これらの評価値を総合して評価識別部111によって対象物の位置が識別される(St7)。
【0035】
ここで、第1類似度算出部108で算出された第1類似度評価値については、類似度の高い位置は画像データ上で固まりやすく、候補位置抽出部109において抽出する候補位置の個数Nをある程度多く設定しなければ十分な識別が行えない場合が有る。
【0036】
このような場合、候補位置をある程度分散させて抽出した方が、画像全体を効率的に評価することができる。この分散の程度の決定方法であるが、例えば候補位置同士の距離を所定の距離以上に保ちながら決定する方法が有る。
【0037】
図5に示すように類似度の高い順に候補位置109aが抽出され、抽出された候補位置109aから所定距離l離れた領域から候補位置が抽出される。つまり、候補位置109aを中心とした半径lの円領域109c内の候補位置は109aのみとなる。この所定距離lは第1の状態パターンの信号強度の大きさよって任意に設定できる。つまり、図6に示すように第1の状態パターンの領域に相当する領域109d内の候補位置は候補位置109aのみとなる。
【0038】
以上のように実施の形態1では、複数の波長帯の画像データ(長波長赤外線画像データ101、中波長赤外線画像データ102)に基づいて信号が得られていない領域や信号強度が飽和してしまっている領域の情報を補間することができるため詳細な温度状態を観察することができる。また、フレア発出途中過程において対象物とフレアの像に重なりが生じる場合あっても、適切に対象物を識別および検出することができる。従って、対象物の識別性能が向上し、信頼性の高い対象物識別装置を提供することが出来る。
【0039】
なお、円領域109cは領域の形状が円形状に限らず、例えば矩形状などでも良い。
【0040】
(実施の形態2)
続いて、本発明の実施の形態2について説明する。図7は、本発明の実施の形態2に係る対象物識別装置の構成を示す図である。実施の形態1と同一構成については同一の符号を付し重複する説明は省略する。実施の形態2は、図1に示す対象物識別装置に評価領域設定部112(評価領域設定手段)を更に有する点が実施の形態1とは異なる。
【0041】
画像データ設定部103において設定された一次対象画像データ104は、評価領域設定部112に入力され、第1類似度算出部108において第1類似度評価値を算出する際の対象領域が設定される。
【0042】
対象領域の設定方法は、例えば図8に示すように所定の信号強度の閾値帯を抽出することにより2値化さされた画像において、その抽出された領域104aに対して最少矩形を設定し、これを一次評価領域112aとする。更に、所定の裕度lを持って拡張された領域を二次評価領域112bとする。この二次評価領域112bを第1類似度算出部108に入力することにより、一次対象画像データ上の第1の類似度評価値を算出する領域を限定することができる。
【0043】
以上のように実施の形態2では、類似度評価値の算出処理の回数を低減することができるため、対象物識別装置の識別効率の向上を図ることができる。
【0044】
(実施の形態3)
続いて、本発明の実施の形態3について説明する。図9は、本発明の実施の形態3に係る対象物識別装置の構成を示す図である。実施の形態1と同一構成については同一の符号を付し重複する説明は省略する。実施の形態3は、図1に示す評価領域識別部111の代わりに相互評価識別部113(識別手段)を有する点が実施の形態1とは異なる。
【0045】
実施の形態1と同様に、N個の候補位置におけるN個の第1類似度評価値、及びN個の第2類似度評価値が算出され、相互評価識別部113に入力される。相互評価識別部113では評価値同士の差異が評価される。一つの対象物に対して複数個の類似物が存在しているときは、相互に評価値の差異を算出し、最も異なる候補位置が対象物と識別される。
【0046】
以上のように実施の形態3では、複数存在する対象物の評価値同士を相互で評価することにより、対象物を識別することができる。また、予め対象物のパターン情報を保持していなくても識別が可能となる。
【0047】
(実施の形態4)
続いて、本発明の実施の形態4について説明する。図10は、本発明の実施の形態4に係る対象物識別装置の構成を示す図である。実施の形態1と同一構成については同一の符号を付し重複する説明は省略する。実施の形態4は、図1に示す対象物識別装置に評価値履歴記憶部114を更に有する点が実施の形態1とは異なる。
【0048】
実施の形態1と同様に、N個の候補位置におけるN個の第1類似度評価値、及びN個の第2類似度評価値が算出され、評価識別部111に入力されて対象物か否かが識別されるが、それと同時にそれらの情報は評価履歴記憶部114へ入力され記憶される。評価領域記憶部114における記憶容量はユーザにより任意に設定することができる。例えば、過去Mフレーム分として設定した場合には、直前のMフレーム分の対象物の候補位置及び類似度評価値について蓄積することができる。そして、評価識別部111では、評価値履歴記憶部114に記憶されたMフレーム分の対象物の候補位置及び類似度評価値の時間変化を総合して対象物か否かが識別される。
【0049】
以上のように実施の形態4では、各目標候補領域の評価値EをMフレームの一定時間に亘り記録することで、時間経過における形状の変化を一つの特徴量として評価することができ、誤識別を低減することができる。対象物の排気部に対してフレアのような類似物は発出された後はその温度は減衰していくため、対象物とフレアの識別の際には有効に働く。
【0050】
なお、本実施の形態では複数の波長帯は長波長帯、及び中波長帯であるものとして説明したが、波長帯は異なっているものであれば良い。
【0051】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。さらに異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0052】
100 撮像系
101 長波長赤外線画像データ
102 中波長赤外線画像データ
103 画像データ設定部
106 第1状態記憶部
107 第2状態記憶部
109 候補位置抽出部
110 第2類似度算出部
111 評価識別部
112 評価領域設定部
113 相互評価識別部
200 レンズ
201 ダイクロイックミラー
202 長波長赤外線センサ
203 中波長赤外線センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長帯での画像データである第1の画像データと、第2の波長帯での画像データである第2の画像データとを同じ視野で取得する画像データ取得手段と、
前記第1の画像データ及び前記第2の画像データのうち一方を一次対象画像データ、もう一方を二次対象画像データと設定する画像データ設定手段と、
前記一次対象画像データ上での対象物の状態を示す第1の状態パターンを記憶する第1の記憶手段と、
前記二次対象画像データ上での対象物の状態を示す第2の状態パターンを記憶する第2の記憶手段と、
前記一次対象画像データ上において前記第1の状態パターンとの類似度を示す第1類似度評価値を算出する第1類似度算出手段と、
前記第1の類似度評価値を基に対象物の候補位置を抽出する候補位置抽出手段と、
前記候補位置において前記第2の状態パターンとの類似度を示す第2類似度評価値を算出する第2類似度算出手段と、
前記第1類似度評価値、及び前記第2類似度評価値に基づいて前記視野内において対象物を識別する識別手段と、
を有することを特徴とする対象物識別装置。
【請求項2】
前記画像データ設定手段は、
前記第1の画像データ、及び前記第2の画像データ上の信号強度が所定の閾値以上となる領域の形状の複雑さの比較に基づいて、一次対象画像データ及び二次対象画像データを設定することを特徴とする請求項1記載の対象物識別装置。
【請求項3】
前記画像データ設定手段は、
前記第1の画像データ及び前記第2の画像データの波長帯の長短に基づいて一次対象画像データ及び二次対象画像データを設定することを特徴とする請求項1記載の対象物識別装置。
【請求項4】
前記第1の状態パターン及び前記第2の状態パターンは、
予め取得された対象物の状態パターンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の対象物識別装置。
【請求項5】
前記第1の状態パターン及び前記第2の状態パターンは、
前記識別手段によって識別された対象物の状態パターンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の対象物識別装置。
【請求項6】
前記一次対象画像データ上の信号強度が所定の閾値以上の領域を一次評価領域、前記一次評価領域に所定の裕度を持たせて拡張した領域を二次評価領域と設定する評価領域設定手段を更に有し、
前記第1類似度算出手段は、
前記一次対象画像データ上の前記二次評価領域において前記第1の状態パターンとの類似度を示す第1類似度評価値を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の対象物識別装置。
【請求項7】
前記候補位置抽出手段は、
対象物の候補位置が複数あった場合、対象物の候補位置間が所定の距離以上となるように対象物の候補位置を抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の対象物識別装置。
【請求項8】
前記識別手段は、
前記第1類似度評価値、及び前記第2類似度評価値を相互に比較し、最も異となる候補位置を対象物とする請求項1乃至請求項7の何れか1項記載の対象物識別装置。
【請求項9】
前記識別手段は、
前記第1類似度評価値、及び前記第2類似度評価値の時間変化に基づいて、前記視野内において対象物を識別することを特徴とする請求項1乃至請求項8記載の対象物識別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−196633(P2011−196633A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65228(P2010−65228)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】