説明

寿命検出装置および寿命検出方法

【課題】システム全体の動作から不安定動作に陥るポイントを検出することが可能な寿命検出装置および寿命検出方法を提供する。
【解決手段】温度補正部21,49は、温度センサ18,45からの温度情報を受けて温度補正値を算出する。リップルモニター部22,48は、電解コンデンサ19,44,46のリップル電圧をモニターして検出する。電流補正部23,47は、抵抗20,41を流れる電流を受けて電流補正値を算出する。結合部25,51は、上記のリップル電圧に温度補正値および電流補正値を結合し、寿命判定用の判定信号Wdを出力する。寿命判定部26,52は、判定信号Wdを受けて、Vccライン側および電力供給ライン側のシステムの寿命をそれぞれ判定する。アラーム信号生成/出力部60は、寿命判定部26,52での判定結果を受けて、寿命検出システム1A全体の寿命を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、寿命検出装置および寿命検出方法に関し、特に、コンデンサを含むシステム製品の寿命を検出するための寿命検出装置および寿命検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、システム製品において寿命劣化が発生する部分は電源装置であることが多い。電源装置の特性劣化は、電解コンデンサの特性劣化によるリップル電圧の増大が、システムのリップル電圧許容度や低電圧動作の下限値を超えること等により生じる。電源装置の特性劣化は、システムに不具合が発生する原因の1つとなる。
【0003】
従来の寿命検出は、累積時間型の寿命検出を基本とし、温度補正や負荷状態モニターによる検出が数多く提案されている。これらの寿命検出は、基本的には、電解コンデンサの特性を外れた部分を製品の寿命として検出している場合が多い。具体的には、以下の従来技術がある。
【0004】
従来の電源装置は、複数のコンデンサに近接し、各コンデンサの温度を測定する温度測定部と、各コンデンサの静電容量を測定する容量測定部と、温度測定部により測定された温度と容量測定部により測定された静電容量とに基づいて、複数のコンデンサの寿命を演算することにより、電源装置の寿命を検出する演算部とを備えている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
上記の電源装置は、静電容量の測定を基本として温度補正を行なっているが、電流補正については行なっていない。
【0006】
従来の寿命予知回路は、整流後の電圧を平滑する平滑コンデンサを有した電源装置に装備されている。この寿命予知回路は、一定条件を備えた充電用パルスで寿命検知コンデンサを充電する一方、寿命検知コンデンサの放電状態から電源装置の寿命を予知することを特徴としている(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
上記の寿命予知回路は、電解コンデンサの内部インピーダンスからリップル電圧により寿命検出を行なっているが、温度補正や電流補正は行なっていない。
【0008】
従来の電源装置は、平滑コンデンサの端子間の直流電圧を検出する電圧検出手段と、この電圧検出手段において所定の期間内に検出した直流電圧の最大値と最小値との差に基づくリップル電圧値を求めるリップル電圧検出手段と、リップル電圧値と劣化判定用の所定のしきい値との差電圧を積分してリップル電圧積分値を得る積分演算手段と、リップル電圧積分値と劣化判定用の所定の異常判定値とを比較し、リップル電圧積分値が劣化判定用の所定の異常判定値を超えたときに平滑コンデンサが劣化したと判定して異常信号を出力する比較判定手段とを備える(たとえば、特許文献3参照)。
【0009】
上記の電源装置は、寿命検出のしきい値について電解コンデンサのカタログ値を基本としてその値を外れることで寿命と考えている。
【0010】
特許文献1〜3のいずれの装置についても、電源装置以降に接続されるシステムの許容度を無視したものであるため、寿命検出の信頼性は低くなると考えられる。また、いずれの装置も、寿命検出のためのモニター用電解コンデンサは、電源ラインのものを用いている。制御系に使用される径が小さくメーカー寿命保証時間の短い電解コンデンサについてモニターを行なう旨の記載は、従来技術からは見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−306850号公報
【特許文献2】特開2001−231258号公報
【特許文献3】特開平11−215808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の寿命検出は、使用蓄積時間からの寿命検出や、コンデンサの特性を外れるところをしきい値として寿命判断しているものが多い。これは、本来の製品寿命(特性劣化)とは違う部分での寿命検出となっている。本来、システム製品ごとにリップル電圧許容度や低電圧動作の動作レベルは異なる。
【0013】
従来は、「システム装置の寿命=電源装置の寿命」と一般に考えられてきた。しかし、寿命検出型電源装置の登場により、「システム装置の寿命=電源特性劣化+システムの動作許容度」となり、特にシステムの動作許容度のウェイトが高くなっている。この場合、システム全体の寿命は、回路の余裕度の有り無しであり、電解コンデンサの寿命云々ではなくなる。よって、電解コンデンサの特性のみからしきい値を算出するのでは、真の寿命検出は行なうことができない。また、しきい値についても、システム全体の動作から不安定動作に陥るポイントをしきい値とする必要がある。
【0014】
電解コンデンサの特性を外れたところを寿命として検出した場合、リップル電圧許容度が低いシステムでは、寿命検出前にシステムの不具合が発生する。また、システムの動作許容度が低いシステムでは、まだ寿命が先であるにもかかわらず、回路の余裕度のみから寿命検出が行なわれて電解コンデンサの交換となる。いずれの場合も、本来の寿命検出の意味合いからは外れる。
【0015】
それゆえに、この発明の目的は、システム全体の動作から不安定動作に陥るポイントを検出することが可能な寿命検出装置および寿命検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明のある局面によれば、システムの寿命を検出するための寿命検出装置であって、電源電圧ラインに接続された第1のコンデンサを含む第1の回路システムと、電力供給ラインに接続された第2のコンデンサを含む第2の回路システムと、第1のコンデンサにかかる電圧を第1のコンデンサの周囲温度および電源電圧ラインを流れる電流によって補正し、第2のコンデンサにかかる電圧を第2のコンデンサの周囲温度および電力供給ラインを流れる電流によって補正し、第1および第2のコンデンサにかかる電圧の補正値に基づいてシステム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力する寿命検出部とを備える。
【0017】
好ましくは、第1の回路システムは、第1のコンデンサにかかるリップル電圧をモニターするリップルモニター部と、第1のコンデンサの周囲温度を計測してリップル電圧の温度補正値を算出する温度補正部と、電源電圧ラインを流れる電流を検出してリップル電圧の電流補正値を算出する電流補正部とを含む。
【0018】
好ましくは、第2の回路システムは、第2のコンデンサにかかるリップル電圧をモニターするリップルモニター部と、第2のコンデンサの周囲温度を計測してリップル電圧の温度補正値を算出する温度補正部と、電力供給ラインを流れる電流を検出してリップル電圧の電流補正値を算出する電流補正部とを含む。
【0019】
好ましくは、寿命検出部は、第1のコンデンサにかかる電圧の補正値に基づいて第1の回路システムの寿命を判定する第1の寿命検出回路と、第2のコンデンサにかかる電圧の補正値に基づいて第2の回路システムの寿命を判定する第2の寿命検出回路と、第1および第2の寿命検出回路の判定結果を基準電圧と比較することにより、システム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力するアラーム信号生成/出力部とを含む。
【0020】
好ましくは、基準電圧は、可変抵抗によって調整可能である。
好ましくは、寿命検出部は、第1のコンデンサにかかる電圧、第1のコンデンサの周囲温度および電源電圧ラインを流れる電流をアナログ信号からデジタル信号に変換する第1のA/Dコンバータ群と、第2のコンデンサにかかる電圧、第2のコンデンサの周囲温度および電力供給ラインを流れる電流をアナログ信号からデジタル信号に変換する第2のA/Dコンバータ群と、第1のA/Dコンバータ群から出力されるデジタル信号を受けて第1のコンデンサにかかる電圧を第1のコンデンサの周囲温度および電源電圧ラインを流れる電流によってデジタル的に補正し、第2のA/Dコンバータ群から出力されるデジタル信号を受けて第2のコンデンサにかかる電圧を第2のコンデンサの周囲温度および電力供給ラインを流れる電流によってデジタル的に補正し、第1および第2のコンデンサにかかる電圧のデジタル補正値に基づいてシステム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力する演算処理部とを含む。
【0021】
好ましくは、寿命検出部は、演算処理部における寿命判定のしきい値を変更するためのしきい値変更入力をさらに含む。
【0022】
この発明の他の局面によれば、システムの寿命を検出するための寿命検出装置であって、電圧ラインに接続された寿命の最も短いコンデンサを含む回路システムと、コンデンサにかかる電圧をコンデンサの周囲温度および電圧ラインを流れる電流によって補正し、コンデンサにかかる電圧の補正値に基づいてシステム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力する寿命検出部とを備える。
【0023】
この発明の他の局面によれば、システムの寿命を検出するための寿命検出方法であって、電源電圧ラインに接続された第1のコンデンサにかかる電圧を第1のコンデンサの周囲温度および電源電圧ラインを流れる電流によって補正するステップと、電力供給ラインに接続された第2のコンデンサにかかる電圧を第2のコンデンサの周囲温度および電力供給ラインを流れる電流によって補正するステップと、第1および第2のコンデンサにかかる電圧の補正値に基づいてシステム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力するステップとを備える。
【0024】
この発明の他の局面によれば、システムの寿命を検出するための寿命検出方法であって、電圧ラインに接続された寿命の最も短いコンデンサにかかる電圧をコンデンサの周囲温度および電圧ラインを流れる電流によって補正するステップと、コンデンサにかかる電圧の補正値に基づいてシステム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力するステップとを備える。
【発明の効果】
【0025】
この発明の実施の形態によれば、システム全体の動作から不安定動作に陥るポイントを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施の形態1による寿命検出システム1Aの概略的な構成を示した図である。
【図2】寿命検出システム1Aのうち寿命検出回路24およびその周辺の回路構成の一例を示した図である。
【図3】寿命検出システム1Aの寿命検出に関する電流波形または電圧波形を示したタイミング図である。
【図4】寿命検出システム1Aによる寿命検出の処理を示したフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態2による寿命検出システム1Dの概略的な構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0028】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による寿命検出システム1Aの概略的な構成を示した図である。
【0029】
図1を参照して、実施の形態1の寿命検出システム1Aは、交流電源11と、入力フィルター部12と、ブリッジダイオード13と、電解コンデンサ14,19,44,46と、半導体スイッチング素子15と、制御IC(Integrated Circuit)16と、ダイオード17,42と、温度センサ18,45と、抵抗20,41と、温度補正部21,49と、リップルモニター部22,48と、電流補正部23,47と、寿命検出回路24,50と、1次−2次信号伝達部27と、鉄芯31と、1次巻線32,33と、2次巻線34と、平滑用インダクタ43と、アラーム信号生成/出力部60と、出力端子61,62と、アラーム出力端子81とを備える。
【0030】
寿命検出回路24は、結合部25と、寿命判定部26とを含む。寿命検出回路50は、結合部51と、寿命判定部52とを含む。1次巻線32,33側は、制御IC16に電源電圧Vccを供給するため、Vccラインと称する。2次巻線34側は、他のシステムに電力を供給するため、電力供給ラインと称する。電力供給ラインの出力端子61,62には、デジタル回路、アナログ回路等のシステム製品(負荷)が接続される。なお、実施の形態1では電源回路の寿命検出システム1Aを例にしているが、コンデンサを含むシステムであれば電源回路以外の寿命を検出することも可能である。
【0031】
交流電源11は、入力フィルター部12を介してブリッジダイオード13に接続されている。交流電源11は、商用電源であってもよい。ブリッジダイオード13は、交流電圧を直流電圧に変換する。交流電源11が直流電源であれば、交流電源11、入力フィルター部12、およびブリッジダイオード13はなくてもよい。電解コンデンサ14は、ブリッジダイオード13の出力を平滑化する。ブリッジダイオード13と電解コンデンサ14との間に、力率を改善するための昇圧チョッパ回路が挿入されてもよい。
【0032】
半導体スイッチング素子15は、直流電圧をスイッチングする。半導体スイッチング素子は、トランジスタやFET(Field Effect Transistor)により構成される。制御IC16は、半導体スイッチング素子15のスイッチング動作を制御することで、電力供給ラインに安定した電圧(電力)を供給する。制御IC16は、出力電圧情報や負荷電流情報からスイッチングのデューティ比を決定する。スイッチング動作は、たとえばPWM(Pulse Width Modulation)制御により行なわれる。
【0033】
ダイオード17は、電源電圧Vccのラインに制御IC16の方向に接続されている。抵抗20は、ダイオード17に直列に接続されている。また、電源電圧Vccのラインに並列に、電解コンデンサ19が接続されている。電源電圧Vccのラインにかかる電圧をVrとする。電源電圧Vccのラインを流れる電流をILとする。温度センサ18は、電解コンデンサ19の周囲温度を検出する。
【0034】
温度補正部21は、温度センサ18からの温度情報を受けて温度補正値を算出する。リップルモニター部22は、電解コンデンサ19のリップル電圧をモニターして検出する。電流補正部23は、抵抗20を流れる電流を受けて電流補正値を算出する。電流補正部23の出力電圧をIMとする。
【0035】
結合部25は、上記のリップル電圧に温度補正値および電流補正値を結合し、寿命判定用の判定信号Wdを出力する。寿命判定部26は、判定信号Wdを受けて、Vccライン側のシステムの寿命を判定する。判定の基準値は、たとえば可変抵抗により調整可能である。1次−2次信号伝達部27は、寿命判定部26での判定結果を、1次巻線32,33側とは絶縁された2次巻線34側に伝達する。
【0036】
2次巻線34には、抵抗41が接続されている。ダイオード42は、電力供給ラインに抵抗41とは逆の方向に接続されている。平滑用インダクタ43は、ダイオード42に直列に接続されている。また、電力供給ラインに並列に、電解コンデンサ44,46が接続されている。Vccライン側と同様に、電力供給ラインにかかる電圧をVrとする。また、電力供給ラインを流れる電流をILとする。温度センサ45は、電解コンデンサ44,46の少なくとも一方の周囲温度を検出する。
【0037】
電流補正部47は、抵抗41を流れる電流を受けて電流補正値を算出する。電流補正部47の出力電圧をIMとする。リップルモニター部48は、電解コンデンサ44,46の少なくとも一方のリップル電圧をモニターして検出する。温度補正部49は、温度センサ45からの温度情報を受けて温度補正値を算出する。
【0038】
結合部51は、上記のリップル電圧に温度補正値および電流補正値を結合し、寿命判定用の判定信号Wdを出力する。寿命判定部52は、判定信号Wdを受けて、電力供給ライン側のシステムの寿命を判定する。判定の基準値は、たとえば可変抵抗により調整することが可能である。
【0039】
アラーム信号生成/出力部60は、寿命判定部26,52での判定結果を受けて、寿命検出システム1A全体の寿命を判定する。アラーム信号生成/出力部60は、寿命判定部26,52での判定結果のうち少なくとも一方が寿命が近づいていることを示していれば、アラーム信号を生成してアラーム出力端子81に出力する。
【0040】
実施の形態1の寿命検出システムでは、システム製品のリップル電圧許容度および低電圧動作の下限値を測定データから導く必要がある。そのため、電源装置内では、システム製品のリップル電圧許容度および低電圧動作の下限値を調整可能とすることにより、システム製品の変更があっても対応可能な構成となっている。寿命検出を担う電解コンデンサは、システム内の電解コンデンサを使用している。そのため、モニター用に別途の電解コンデンサを用意する必要がなく、本当の意味での寿命検出が可能となる。
【0041】
寿命検出を行なう電解コンデンサは、電源装置の出力ライン上にある電解コンデンサをモニターする方法が多い。しかし、制御用ICを用いたスイッチング電源装置においては、その制御用ICの電源電圧Vccの平滑用に使用される電解コンデンサについてもモニターする必要がある。
【0042】
なぜなら、電源電圧Vccの平滑用に使用される電解コンデンサは、径が小さくメーカーでの寿命保証時間も一般的に短いからである。その電解コンデンサの寿命が先に来た場合、電源動作が不安定化するか出力ダウンが発生し、システム製品の寿命検出に失敗することが考えられる。
【0043】
このようなことから、出力ライン上の電解コンデンサだけではなく、電源電圧Vccの平滑用に使用される電解コンデンサについてもモニターを行なう必要がある。また、実験や検証により、使用する電解コンデンサのうちある電解コンデンサの寿命が他の電解コンデンサより早く来ることが判明している場合、その電解コンデンサのみについて寿命検出を行なえばよい。この場合、上述のように、Vccライン側および電力供給ラインのような複数回路構成ではなく、一回路構成であっても本願の目的は達成できる。
【0044】
寿命検出システムは、電解コンデンサの他にも各種コンデンサを含み得る。コンデンサの劣化検出については、コンデンサ内のインピーダンス変化をモニターすることによりリップル電圧の増大を確認できる。また、春夏秋冬や昼夜など、コンデンサの使用環境の変化による周囲温度の変化を考慮する必要がある。
【0045】
たとえば、電解コンデンサは、温度が下がると内部インピーダンスが増大するという特性を有する。この特性に着目すれば、春や秋のように昼夜の気温差が大きい時期には、夜間のみにアラーム信号が発生することが考えられる。この場合、アラーム信号の出力方法しだいではアラーム信号に気づかない可能性もあり、最終的に夜間にシステムの不具合を引き起こすことが考えられる。また、冬の夜にシステムの不具合が集中することが考えられる。このような事態を生じさせないように、図1に示すような温度補正回路を組み込んで寿命の検出精度を向上させる必要がある。
【0046】
また、使用しているシステムに負荷のピークが存在する場合がある。この場合には、図1に示すような電流補正回路を設け、負荷状態をモニターして負荷電流等に補正をかけることにより、温度補正の場合と同様に、寿命の検出精度を上げることができる。すなわち、電流補正回路を設けるのは、負荷がピークのときにのみ生じるシステムの不安定性や不具合を回避することも目的の一つである。
【0047】
従来からの寿命検出関連の技術は、温度補正のみか電流補正のみの構成となっていることが多い。しかし、本来の寿命検出の意味合いからは、双方を兼ね備えることにより初めてシステムの不具合を回避できると考えられる。電力供給ライン上のコンデンサのみをモニターするのではなく、Vccライン上のコンデンサにおいてもモニターを行なうことで、寿命検出の精度や信頼性が格段に向上する。
【0048】
温度補正に関しては、温度により特性が変化するサーミスタなどの温度センサーを使用して温度を検出する。また、電流検出については、スイッチング電源の場合、整流平滑前の方形波部分でカレントトランス等により電流値を電圧値に変換して補正を行なう方法がある。また、簡易的な検出方法として、トランスの巻線間に発生する電圧から電流値を予測する方法でもよい。トランスを利用した電流検出では、電流が増えることによりデューティ比が変化し、巻線に発生する電圧値が変化することで、間接的に電流の変化をモニターすることができる。
【0049】
また、電流検出については、出力ラインに抵抗等を直列に挿入し、その電位差で電流を検出する方法でもよい。この電流検出が適用されるのは、電源容量が小さく出力電流値が小さい装置であって、出力変動値の許容範囲が大きい装置に限られる。また、カレントトランス方式では、従来の電源特性を維持させながら電流を容易に検出することができるという特長がある。
【0050】
図2は、寿命検出システム1Aのうち寿命検出回路24およびその周辺の回路構成の一例を示した図である。
【0051】
図2を参照して、寿命検出回路24は、反転増幅器121と、比較器122と、可変電圧源123と、抵抗124とを含む。図2の回路構成は、寿命検出回路50およびその周辺の回路構成にも適用可能である。なお、図2では、1次−2次信号伝達部27およびアラーム信号生成/出力部60は図示されていない。また、反転増幅器121は、電流補正部23の一部を構成する。
【0052】
反転増幅器121は、抵抗20に流れる電流が変換された電圧を増幅する。この電圧変換は、たとえばカレントトランスにより行なわれる。反転増幅器121は、抵抗20に流れる電流が少ないときに補正値を大きくし、抵抗20を流れる電流が大きいときに補正値が小さくなるように電流を補正する。このようにして、どのような条件下においても判断の元となる信号の波形が一定となるように補正がなされる。これは、電流補正のみならず温度補正についても同様である。
【0053】
抵抗20と反転増幅器121の出力端子との間には、リップルモニター部22の一部を構成するコンデンサ22aが接続されている。コンデンサ22aは、リップル電圧を抽出するために、電解コンデンサ19にかかる電圧のDC成分をカットする。反転増幅器121は、抵抗20を含むフィードバックループにより、当該DCカットされた電圧を任意の大きさに増幅する。
【0054】
温度センサ18には、リニア温度特性抵抗、サーミスタ、熱電対など温度により抵抗値等の特性が変化する温度敏感素子が用いられる。反転増幅器121の出力端子は、比較器122の一方の入力とともに、温度センサ18および抵抗124と接続されている。その結果、比較器122の一方の入力には、リップル電圧に電流補正値および温度補正値が結合された信号が与えられることになる。
【0055】
温度センサ18および抵抗124は、電源電圧Vccと接地ノードとの間に接続されている。このように、図2の温度センサ18は、電源電圧Vccと接地ノードとの間の分圧回路の構成となってる。しかし、この場合、温度計測が単純な比例値となることから、温度補正の精度を上げるためには、リニア温度特性抵抗を使用した複数段の回路構成とすることが望ましい。
【0056】
比較器122の他方の入力には、基準電圧として可変電圧源123が接続されている。この基準電圧は、たとえば可変抵抗によって調整可能である。比較器122の出力端子は、アラーム出力端子81に接続されている。上記基準電圧の調整は、可変電圧源123で行なわれているが、可変電圧源123の電圧値を固定し、抵抗124を可変抵抗とすることもできる。この場合、電流補正値および温度補正値が変動するため、これらの相対的な補正値を調整する必要がある。
【0057】
図3は、寿命検出システム1Aの寿命検出に関する電流波形または電圧波形を示したタイミング図である。
【0058】
図3を参照して、負荷電流ILは、時刻t1で電流値がいったん下降した後、時刻t2において電流値が上昇している。このように、負荷電流ILは、出力端子61,62に接続されるシステム製品等の負荷状態の変化に応じて電流値が変動する。リップル電圧Vrは、時刻t1で電圧幅がいったん小さくなった後、時刻t2において電圧幅が大きくなっている。このように、リップル電圧Vrは、負荷電流ILの変化に応じて電圧幅が変動する特性を有している。
【0059】
電流補正値IMは、時刻t1で補正値がいったん上昇した後、時刻t2において補正値が下降している。このように、電流補正値IMは、負荷電流ILの変動を補完するように設定される。この電流補正値IMの補完は、リップル電圧Vrの変動にも対応している。また、温度補正部21,49における温度補正についても、基本的に電流補正の場合と同様である。具体的には、温度補正値は、電解コンデンサの周囲温度の変動を補完するように設定される。
【0060】
判定信号Wdは、上記の温度補正値、リップル電圧Vrおよび電流補正値IMに基づいて生成される。このように、複数の補正値等に基づいて判定信号Wdを生成することにより、1つの基準値で寿命検出システム1Aの寿命を総合的に判定することが可能となる。その結果、寿命検出システム1Aの寿命検出精度を向上させることができる。
【0061】
図4は、寿命検出システム1Aによる寿命検出の処理を示したフロー図である。
図4を参照して、ステップS1において、複数箇所の電解コンデンサーのリップル電圧Vrをモニターする。その後、ステップS4において、当該電解コンデンサーのリップル電圧Vrが検出される。ステップS1,S4は、リップルモニター部22,48において行なわれる。
【0062】
ステップS1での動作と並行してステップS2,S3が行なわれる。ステップS2では、電解コンデンサの周囲温度を検出する。その後、ステップS5において、当該周囲温度に基づいて、温度補正値が算出される。ステップS2,S5は、温度補正部21,49において行なわれる。ステップS7において、算出された温度補正値の情報がリップル電圧Vrに結合される。
【0063】
ステップS3では、電解コンデンサの負荷電流ILを検出する。その後、ステップS6において、当該負荷電流に基づいて、電流補正値IMが算出される。ステップS3,S6は、電流補正部23,47において行なわれる。ステップS8において、算出された電流補正値IMの情報がリップル電圧Vrおよび温度補正値に結合される。ステップS9において、上記のリップル電圧に温度補正値および電流補正値を取り込むことにより、リアルタイムで寿命を判定するための判定信号Wdを生成する。
【0064】
ステップS10において、上記の判定信号Wdに基づいて、寿命検出システム1Aの寿命を判定する。ステップS10は、寿命判定部26において行なわれる。判定の基準値は、たとえば可変電圧源123の基準電圧が用いられる。寿命判定の結果、まだ寿命が近づいていなければ、ステップS1,S2,S3に戻って、電解コンデンサに関する情報を再び収集する。寿命が近づいていれば、ステップS11において、寿命のアラーム信号を発生させる。ステップS11は、アラーム信号生成/出力部において行なわれる。
【0065】
図4では、電解コンデンサの使用条件を測定してそれを補正することにより寿命を判定している。しかしながら、この方式は一例であり、寿命を判断する基本値に対して電解コンデンサの周囲温度や負荷電流の補正値を付加することで寿命を判定する場合もある。寿命を判断する基本値は、たとえば寿命判定部26,52内に組み込まれる。
【0066】
以上のように、実施の形態1による寿命検出システムは、システム評価上でシステム製品の寿命の検出レベルを決め、それに合わせて調整された検出値に基づいてアラーム信号を出力する。これにより、システム製品の本来の寿命を検出することができる。また、メンテナンスが難しい環境下に取付け運用されているシステム製品においても、アラーム出力まではメンテナンスフリーでの運用が可能となる。
【0067】
また、システム製品の設置環境および使用環境は、個々の製品ごとに変化する。よって、負荷状態や電解コンデンサの周囲温度を逐次モニターして補正することにより、寿命検出の精度を向上させることができる。
【0068】
たとえば、電解コンデンサは、温度が下がると内部インピーダンスが増大するという特性を有する。この特性に着目すれば、実際には寿命が来ている場合でも、環境温度が高い夏場には問題がなく、気温が下がる冬場や深夜に寿命検出のアラームが多発することが考えられる。このような場合にも、負荷状態や電解コンデンサの周囲温度を逐次モニターして補正することにより、寿命の事前予知が可能となりシステム製品の計画的なメンテナンスが可能となる。
【0069】
実施の形態1の寿命検出システムは、電源装置を内蔵するシステム機器、および電源装置を内蔵するメンテナンスが難しい環境下のシステムに適応する。実施の形態1では、負荷状態や電解コンデンサの周囲温度を逐次モニターして補正することにより、寿命を判断するしきい値をシステムごとに調整している。これにより、従来の寿命検出であった誤検出等の無駄が取り払われ、かつ寿命の検出精度を上げることができる。また、メンテナンスの簡素化およびメンテナンスフリー化を行いながら、システム製品の信頼性および安定性を維持することができる。
【0070】
屋外のシステム製品については、寿命検出後にアラーム信号によるセンターへの通報を行なうことで、電解コンデンサ等の部品の調整または交換作業の計画を迅速に立てることができる。これにより、最悪のケースであるシステムのダウンや不具合を防止することが可能となる。
【0071】
人がいる屋内システム機器においては、寿命検出後の危機の対応は、光や音により寿命が近づいていることを知らせる方法でもよい。光はたとえばLED(Light Emitting Diode)で生成でき、音はたとえばアラーム音で生成できる。これにより、寿命検出システムの回路部分を一部簡略化することができる。
【0072】
[実施の形態2]
図5は、この発明の実施の形態2による寿命検出システム1Dの概略的な構成を示した図である。
【0073】
図5を参照して、実施の形態1の寿命検出システム1Dは、交流電源11と、入力フィルター部12と、ブリッジダイオード13と、電解コンデンサ14,19,44,46と、半導体スイッチング素子15と、制御IC16と、ダイオード17,42と、温度センサ18,45と、抵抗20,41と、1次−2次信号伝達部27A〜27Cと、鉄芯31と、1次巻線32,33と、2次巻線34と、平滑用インダクタ43と、出力端子61,62と、デジタル処理部70と、アラーム出力端子81とを備える。デジタル処理部70は、A/D(Analog/Digita1)コンバータ71〜76と、しきい値変更入力77と、演算処理部78とを含む。
【0074】
1次巻線32,33側は、制御IC16に電源電圧Vccを供給するため、Vccラインと称する。2次巻線34側は、他のシステムに電力を供給するため、電力供給ラインと称する。電力供給ラインの出力端子61,62には、デジタル回路、アナログ回路等のシステム製品(負荷)が接続される。なお、実施の形態2では電源回路の寿命検出システム1Dを例にしているが、コンデンサを含むシステムであれば電源回路以外の寿命を検出することも可能である。
【0075】
リップル電圧検出、温度検出、および負荷状態検出を行ない、それぞれの値から導き出した最終値で寿命判定を行なう回路構成としては、実施の形態1のようにアナログ的なハードウェア構成とする方法と、実施の形態2のようにデジタル的なハードウェア構成とする方法とがある。実施の形態2の演算処理部78は、上記それぞれの値をA/Dコンバータによりデジタル値として取り込み、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)を用いてソフト的な処理により寿命を算出する。
【0076】
アナログ的なハードウェア構成とするかデジタル的なハードウェア構成とするかは、システムの規模、構成、信頼性、または寿命検出精度によって使い分けることができる。また、両ハードウェア構成を融合させてもよい。
【0077】
図5に戻って、交流電源11は、入力フィルター部12を介してブリッジダイオード13に接続されている。交流電源11は、商用電源であってもよい。ブリッジダイオード13は、交流電圧を直流電圧に変換する。実施の形態1の場合と同様に、交流電源11が直流電源であれば、交流電源11、入力フィルター部12、およびブリッジダイオード13はなくてもよい。電解コンデンサ14は、ブリッジダイオード13の出力を平滑化する。ブリッジダイオード13と電解コンデンサ14との間に、力率を改善するための昇圧チョッパ回路が挿入されてもよい。
【0078】
半導体スイッチング素子15は、直流電圧をスイッチングする。半導体スイッチング素子は、トランジスタやFETにより構成される。実施の形態1の場合と同様に、制御IC16は、半導体スイッチング素子15のスイッチング動作を制御することで、電力供給ラインに安定した電圧(電力)を供給する。制御IC16は、出力電圧情報や負荷電流情報からスイッチングのデューティ比を決定する。スイッチング動作は、たとえばPWM制御により行なわれる。
【0079】
ダイオード17は、電源電圧Vccのラインに制御IC16の方向に接続されている。抵抗20は、ダイオード17に直列に接続されている。また、電源電圧Vccのラインに並列に、電解コンデンサ19が接続されている。電源電圧Vccのラインにかかる電圧をVrとする。電源電圧Vccのラインを流れる電流をILとする。温度センサ18は、電解コンデンサ19の周囲温度を検出する。
【0080】
1次−2次信号伝達部27Aは、抵抗20を流れる電流を、1次巻線32,33側とは絶縁された2次巻線34側に伝達する。1次−2次信号伝達部27Bは、電解コンデンサ19のリップル電圧を、1次巻線32,33側とは絶縁された2次巻線34側に伝達する。1次−2次信号伝達部27Cは、温度センサ18からの温度情報を、1次巻線32,33側とは絶縁された2次巻線34側に伝達する。
【0081】
A/Dコンバータ71は、抵抗20を流れる電流をアナログ信号からデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ72は、電解コンデンサ19のリップル電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ73は、温度センサ18からの温度情報をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0082】
2次巻線34には、抵抗41が接続されている。ダイオード42は、電力供給ラインに抵抗41とは逆の方向に接続されている。平滑用インダクタ43は、ダイオード42に直列に接続されている。また、電力供給ラインに並列に、電解コンデンサ44,46が接続されている。Vccライン側と同様に、電力供給ラインにかかる電圧をVrとする。また、電力供給ラインを流れる電流をILとする。温度センサ45は、電解コンデンサ44,46の少なくとも一方の周囲温度を検出する。
【0083】
A/Dコンバータ74は、抵抗41を流れる電流をアナログ信号からデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ75は、電解コンデンサ44,46の少なくとも一方のリップル電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ76は、温度センサ45からの温度情報をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0084】
しきい値変更入力77は、演算処理部78における各種しきい値を外部から変更するための入力部である。演算処理部78は、CPUやDSPにより構成されている。演算処理部78は、A/Dコンバータ71〜76によって変換された各種のデジタル信号を同時処理できるようにソフト処理にて整合を行なう。具体的には、演算処理部78は、抵抗20,41を流れる電流を受けて電流補正値を算出し、電解コンデンサ19,44,46のリップル電圧をモニターして検出し、温度センサ18,45からの温度情報を受けて温度補正値を算出する。
【0085】
演算処理部78は、当該整合をとった後、上記のリップル電圧に温度補正値および電流補正値をデジタル的に結合し、寿命判定用の判定信号を出力する。その後、演算処理部78は、この判定信号を受けて、予め記憶されている寿命判定値との比較により寿命検出システム1D全体の寿命を判定する。寿命判定値は、たとえば可変抵抗により調整することも可能である。
【0086】
演算処理部78は、上記の判定結果が寿命が近づいていることを示していれば、アラーム信号を生成してアラーム出力端子81に出力する。演算処理部78は、A/Dコンバータ71〜76からのデジタル信号に基づいて処理している。そのため、判定信号を図3で示したようなアナログ信号に再変換すると、階段状の波形となる。この階段状の波形の1段当たりの値は、A/Dコンバータの性能に左右される。
【0087】
アラーム出力端子81からは、基本的に2値信号のアラーム信号が出力される。アラーム出力端子81にトランジスタ等を付加することで、アラーム信号をアナログ回路へ対応させることも可能である。
【0088】
以上のように、実施の形態2による寿命検出システムは、演算処理部において補正テーブルまたは各補正係数を組み込んでいる。これにより、演算処理部は、A/Dコンバータからのデジタル信号に基づいて補正値を算出する。その後、演算処理部は、リップル電圧に補正値が加えられた寿命判定用の判定信号に基づいてアラーム信号を出力する。
【0089】
実施の形態2の寿命検出システムは、演算処理部においてソフトウェア処理によりアラーム信号を生成する。そのため、寿命判定値等のしきい値は任意に書換および変更が可能であるという利点がある。
【0090】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
1A,1D 寿命検出システム、11 交流電源、12 入力フィルター部、13 ブリッジダイオード、14,19,44,46 電解コンデンサ、15 半導体スイッチング素子、16 制御IC、17,42 ダイオード、18,45 温度センサ、20,41,124 抵抗、21,49 温度補正部、22,48 リップルモニター部、22a コンデンサ、23,47 電流補正部、24,50 寿命検出回路、25,51 結合部、26,52 寿命判定部、27,27A〜27C 1次−2次信号伝達部、31 鉄芯、32,33 1次巻線、34 2次巻線、43 平滑用インダクタ、60 アラーム信号生成/出力部、61,62 出力端子、70 デジタル処理部、71〜76 A/Dコンバータ、77 しきい値変更入力、78 演算処理部、81 アラーム出力端子、121 反転増幅器、122 比較器、123 可変電圧源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの寿命を検出するための寿命検出装置であって、
電源電圧ラインに接続された第1のコンデンサを含む第1の回路システムと、
電力供給ラインに接続された第2のコンデンサを含む第2の回路システムと、
前記第1のコンデンサにかかる電圧を前記第1のコンデンサの周囲温度および前記電源電圧ラインを流れる電流によって補正し、前記第2のコンデンサにかかる電圧を前記第2のコンデンサの周囲温度および前記電力供給ラインを流れる電流によって補正し、前記第1および第2のコンデンサにかかる電圧の補正値に基づいて前記システム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力する寿命検出部とを備える、寿命検出装置。
【請求項2】
前記第1の回路システムは、
前記第1のコンデンサにかかるリップル電圧をモニターするリップルモニター部と、
前記第1のコンデンサの周囲温度を計測して前記リップル電圧の温度補正値を算出する温度補正部と、
前記電源電圧ラインを流れる電流を検出して前記リップル電圧の電流補正値を算出する電流補正部とを含む、請求項1に記載の寿命検出装置。
【請求項3】
前記第2の回路システムは、
前記第2のコンデンサにかかるリップル電圧をモニターするリップルモニター部と、
前記第2のコンデンサの周囲温度を計測して前記リップル電圧の温度補正値を算出する温度補正部と、
前記電力供給ラインを流れる電流を検出して前記リップル電圧の電流補正値を算出する電流補正部とを含む、請求項1に記載の寿命検出装置。
【請求項4】
前記寿命検出部は、
前記第1のコンデンサにかかる電圧の補正値に基づいて前記第1の回路システムの寿命を判定する第1の寿命検出回路と、
前記第2のコンデンサにかかる電圧の補正値に基づいて前記第2の回路システムの寿命を判定する第2の寿命検出回路と、
前記第1および第2の寿命検出回路の判定結果を基準電圧と比較することにより、前記システム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力するアラーム信号生成/出力部とを含む、請求項1に記載の寿命検出装置。
【請求項5】
前記基準電圧は、可変抵抗によって調整可能である、請求項4に記載の寿命検出装置。
【請求項6】
前記寿命検出部は、
前記第1のコンデンサにかかる電圧、前記第1のコンデンサの周囲温度および前記電源電圧ラインを流れる電流をアナログ信号からデジタル信号に変換する第1のA/Dコンバータ群と、
前記第2のコンデンサにかかる電圧、前記第2のコンデンサの周囲温度および前記電力供給ラインを流れる電流をアナログ信号からデジタル信号に変換する第2のA/Dコンバータ群と、
前記第1のA/Dコンバータ群から出力されるデジタル信号を受けて前記第1のコンデンサにかかる電圧を前記第1のコンデンサの周囲温度および前記電源電圧ラインを流れる電流によってデジタル的に補正し、前記第2のA/Dコンバータ群から出力されるデジタル信号を受けて前記第2のコンデンサにかかる電圧を前記第2のコンデンサの周囲温度および前記電力供給ラインを流れる電流によってデジタル的に補正し、前記第1および第2のコンデンサにかかる電圧のデジタル補正値に基づいて前記システム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力する演算処理部とを含む、請求項1に記載の寿命検出装置。
【請求項7】
前記寿命検出部は、前記演算処理部における寿命判定のしきい値を変更するためのしきい値変更入力をさらに含む、請求項6に記載の寿命検出装置。
【請求項8】
システムの寿命を検出するための寿命検出装置であって、
電圧ラインに接続された寿命の最も短いコンデンサを含む回路システムと、
前記コンデンサにかかる電圧を前記コンデンサの周囲温度および前記電圧ラインを流れる電流によって補正し、前記コンデンサにかかる電圧の補正値に基づいて前記システム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力する寿命検出部とを備える、寿命検出装置。
【請求項9】
システムの寿命を検出するための寿命検出方法であって、
電源電圧ラインに接続された第1のコンデンサにかかる電圧を前記第1のコンデンサの周囲温度および前記電源電圧ラインを流れる電流によって補正するステップと、
電力供給ラインに接続された第2のコンデンサにかかる電圧を前記第2のコンデンサの周囲温度および前記電力供給ラインを流れる電流によって補正するステップと、
前記第1および第2のコンデンサにかかる電圧の補正値に基づいて前記システム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力するステップとを備える、寿命検出方法。
【請求項10】
システムの寿命を検出するための寿命検出方法であって、
電圧ラインに接続された寿命の最も短いコンデンサにかかる電圧を前記コンデンサの周囲温度および前記電圧ラインを流れる電流によって補正するステップと、
前記コンデンサにかかる電圧の補正値に基づいて前記システム全体の寿命を判定してアラーム信号を出力するステップとを備える、寿命検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−193627(P2010−193627A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35699(P2009−35699)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】