説明

導体部品、回路基板及び電子回路ユニット

【課題】電子回路基板を筐体に接続するための新たなグランド接続構造を提供することを目的とする。
【解決手段】導体部材1は、回路基板50のグランドパターン52に接続される接続部16および接続部16がグランドパターン52に接続された場合に回路基板50と接する接触面11を有する第1面状部材10と、第1面状部材10の端部9から第1面状部材10に対して直角方向かつ接触面11側に延びる第2面状部材20と、第2面状部材20に設けられたねじ穴21と、第1面状部材10に対して直角方向かつ接触面11側に延びる位置決めツメ部14、15を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板の接地技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路内で発生したノイズが外部装置に与える影響を低減するために、電子回路基板を収容する導体の筐体などの基準電位に対して電子回路基板のグランドパターンを接続し、電磁シールドを形成することが知られている。
【0003】
また、外部から電子回路内へコネクタ等を経由して進入する静電気を除去するために、コネクタ付近に導体のシールドを配置し、シールドにて受け止めた静電気をグランドパターンを経由して筐体に流すことが知られている。
【0004】
なお、電子機器の静電気除去構造として下記特許文献1の構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5―31199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
グランドパターンを筐体に接続する場合には、グランドパターンと筐体との間のインピーダンスはできるだけ小さい方が好ましい。このため、グランドパターンと筐体とを接続する電気的経路はできるだけ多いことが望まれる。
【0007】
本発明は、電子回路基板を筐体に接続するための新たなグランド接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの実施例による導体部品は、回路基板のグランドパターンに接続されるための導体部品であって、回路基板のグランドパターンに接続される接続部および接続部が回路基板のグランドパターンに接続された場合に回路基板と接する接触面を有する第1面状部材と、第1面状部材の端部から第1面状部材に対して直角方向かつ接触面側に延びる第2面状部材と、第2面状部材に設けられたねじ穴と、第1面状部材に対して直角方向かつ接触面側に延びる位置決めツメ部を備える。
【0009】
本発明の他の実施例による回路基板は、この回路基板のグランドパターンに接続される接続部および接続部が回路基板のグランドパターンに接続された場合に回路基板と接する接触面を有する第1面状部材と、第1面状部材の端部から第1面状部材に対して直角方向かつ上記の接触面側に延びる第2面状部材と、第2面状部材に設けられたねじ穴と、第1面状部材に対して直角方向かつ接触面側に延びる位置決めツメ部を有する導体部品を備える。上記の接触面が回路基板に接触しかつ第2面状部材が回路基板の縁の外に位置するように、導体部品が回路基板の縁部に配置される。
【0010】
回路基板は、回路基板に配線を接続するためのコネクタを回路基板の縁部に備え、第1面状部材の少なくとも一部がコネクタと回路基板との間隙に配置されてよい。回路基板の縁部は、電子回路ユニットの筐体の一部であるか筐体に電気的に接続される導体板によって覆われていてよく、導体板はねじにより第2状部材に連結されていてよい。導体板はヒートシンクであってよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施例の導体部品又は回路基板によれば、グランドパターンに接続され且つねじ穴を持つ導体部品を、回路基板の縁に設けることができる。このため、回路基板を支持する筐体や筐体に電気的に接続される導体を導体部品にねじで締結することにより、インピーダンスの低い良好なグランド接続構造を提供することができる。
【0012】
また、本発明の実施例の導体部品又は回路基板によれば、回路基板とこれを支持する筐体とを含む構造体においてねじの締結ポイントが増えるため、このような構造体の剛性を向上することができる。
【0013】
本発明の実施例の導体部品又は回路基板では、回路基板を支持する筐体や筐体に電気的に接続される導体に導体部品をねじで締結することによってグランド接続構造を設ける。このため、ねじの締結の有無を観察することによって、グランド接続構造が設けられているか否かを容易に判断することができる。
【0014】
本発明の実施例の導体部品又は回路基板によれば、位置決めツメ部を用いて回路基板上に設置するという簡易な工程で導体部品の位置決めを行うことができる。このため、組み立て工数の大きく増やさずに、インピーダンスの低い良好なグランド接続構造を新たに追加することができる。また、回路基板側には位置決め用穴を、筐体や筐体に電気的に接続される導体側にはねじ止め用の穴を設けるだけで足りるので、大きな設計変更を伴わずに良好なグランド接続構造を新たに追加することができる。
【0015】
また、ねじ穴が設けられる第2面状部材は、第1面状部材の端部において第1面状部材に対して直角方向に、かつ回路基板と第1面状部材との接触面側に延びるように形成されている。このため、ねじ穴のねじ軸と回路基板表面との距離をできるだけ短くすることができる。ねじ穴のねじ軸と回路基板表面との距離を短くすることにより、ねじ止め時に第2面状部材に加わる力の力点を回路基板に近くすることができ、ねじ止め時の回路基板のたわみの発生を低減できる。
【0016】
また、導体部品をヒートシンクに接続し、導体部品を介して熱をヒートシンクに伝達することにより回路基板及びその搭載部品の冷却効果が改善される。
【0017】
コネクタと回路基板との間の間隙には部品が配置されないことが多い。コネクタと回路基板との間の間隙に導体部品を設けることにより、基板上のスペースの有効活用が図られるとともに、回路基板上の部品の集積度が高く回路基板上の空き領域が乏しい場合においても、導体部品を設けるスペースが確保される。
【0018】
他の回路基板でも同様に、コネクタと回路基板との間の間隙には部品が配置されないことが多い。このため、今後の他の回路基板を設計する際にも、同様の設計手法を用いてグランド接続構造を設けることが期待できる。このため、今後の他の回路基板においてグランド接続構造を設計する工数が節約できる。
【0019】
また、グランドに接続された導体部品をコネクタと回路基板との間に設けることにより、導体部品は、コネクタの下面の一部または全部を覆い、外部から飛来する静電気を受け止めるシールドとしての役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)及び(B)は、実施例による導体部品の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の(A)及び図1の(B)に示す導体部品を備える回路基板の第1例の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A’断面図である。
【図4】図2に示す回路基板を収容する筐体の一例の概略図である。
【図5】図1の(A)及び図1の(B)に示す導体部品を備える回路基板の第2例の概略構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示す回路基板への導体部品の取り付けの説明図(その1)である。
【図7】図5に示す回路基板への導体部品の取り付けの説明図(その2)である。
【図8】図7のB−B’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1の(A)及び図1の(B)は、第1実施例による導体部品の概略構成を示す斜視図である。なお、図1の(A)及び図1の(B)は、同じ導体部品1を異なる角度から見た斜視図である。
【0022】
導体部品1は、回路基板のグランドパターンに接続され、回路基板から筐体へのグランド接続構造を形成するための部品である。導体部品1は、半田付け、ねじ止めその他様々な方法で回路基板に固定されてよい。
【0023】
導体部品1は、第1面状部材10と第2面状部材20とを備える。第1面状部材10は、回路基板のグランドパターンに接続される接続部と、この接続部が回路基板のグランドパターンに接続された場合に回路基板の表面に接する接触面11を有する。
【0024】
接続部は、第1面状部材10とグランドパターンとが半田付けによって接続される接続箇所であってよい。また接続部は、導体部品1が半田付け、ねじ止めその他の方法で回路基板に固定された際に接触面11がグランドパターンに接触するとき、グランドパターンに接触する接触面11の領域であってもよい。
【0025】
第2面状部材20と第1面状部材10とのなす角度は略90度であり、第2面状部材20は、第1面状部材10の端部9から第1面状部材10に対して直角方向かつ接触面11側に延びるように形成されている。また、第2面状部材20には、ねじ穴21が設けられている。
【0026】
なお、第2面状部材20及び第1面状部材10は、平らな板状体を直角に屈曲することによって形成してよい。また2つの板状体を90度の角度をなして接合することによって形成してもよい。
【0027】
導体部品1は、突起部12及び13を備える。突起部12は第1面状部材10の接触面11と反対側の面に設けられる。また、第2面状部材20が接触面11と反対側に延びることにより、突起部13が形成されている。このようにして、突起部12及び13は、接触面11側と反対方向に突出するように形成されている。
【0028】
導体部品1は、位置決めツメ14及び15を備える。位置決めツメ14及び15は第1面状部材10に設けられる。位置決めツメ14及び15は、回路基板50に設けられた位置決め用穴に嵌入されることによって、回路基板50上の所定の位置に導体部品1の位置を定めるために使用される。このため位置決めツメ14及び15は、それぞれ第1面状部材10の端部200及び201から第1面状部材10に対して直角方向かつ接触面11側に延びるように形成されている。
【0029】
次に、回路基板へ導体部品1を設置する設置例について説明する。図2は、図1の(A)及び図1の(B)に示す導体部品1を備える回路基板の第1例の概略構成を示す斜視図である。
【0030】
回路基板50は、例えば車両に搭載される車載電子回路基板であってよい。回路基板50の表面には、電子素子又は電気素子51が搭載されている。また回路基板50の表面には、グランドパターン52が形成されている。回路基板50は、回路基板50を筐体などの支持構造に固定するためのねじ穴53a及び53bを有していてよい。
【0031】
導体部品1は、回路基板50の縁部54に配置される。第2面状部材20が回路基板50に干渉して接触面11と回路基板50との接触を阻害することを防ぐため、回路基板50の縁の外に第2面状部材20が位置するように導体部品1が配置される。
【0032】
図3は、図2のA−A’断面図である。本例では、位置決めツメ14が回路基板50に設けられた位置決め用穴55に嵌入されることにより、導体部品1が回路基板50の縁部54に配置される。位置決めツメ15も、同様に回路基板50に設けられた位置決め用穴に嵌入されている。
【0033】
また、第1面状部材10の接続部16がグランドパターン52に半田付けされており、この半田接合によって、導体部品1とグランドパターン52との電気的接続が実現される。また、導体部品1が回路基板50に固定されている状態で、接触面11はグランドパターン52に接していることにより、導体部品1とグランドパターン52との電気的接続が実現される。
【0034】
次に、回路基板50を筐体内に収容した電子回路ユニットにおいて、回路基板50のグランドパターンを筐体に接地する構造について説明する。図4は、図2に示す回路基板50を収容する筐体の一例を示す概略図である。
【0035】
回路基板50を収容する筐体90は、板状体100、110、120、130及び140を備えていてよい。例えば、板状体100、110及び140は、それぞれ筐体90の上面、底面及び背面を覆う板であってよく、板状体120及び130は、筐体90の対向する2つの側面を覆う板であってよい。また、例えば板状体140は導体のヒートシンクであってよい。
【0036】
板状体140の貫通孔141、142及び143と、板状体100の貫通孔101、102及び103とがねじで締結されることにより、板状体140は板状体100に固定される。また、板状体100が導体であった場合には、ねじ締結により導体の板状体140と板状体100との間に良好な電気的接続が実現される。
【0037】
板状体140の貫通孔144と板状体110の貫通孔111とがねじで締結されることにより、板状体140は板状体110に固定される。また、板状体110が導体であった場合には、ねじ締結により板状体140と板状体110との間に良好な電気的接続が実現される。
【0038】
板状体140の貫通孔145と板状体120の貫通孔121とがねじで締結されることにより、板状体140は板状体120に固定される。また、板状体120が導体であった場合には、ねじ締結により板状体140と板状体120との間に良好な電気的接続が実現される。
【0039】
板状体140の貫通孔146と板状体130の貫通孔131とがねじで締結されることにより、板状体140は板状体130に固定される。また、板状体130が導体であった場合には、ねじ締結により板状体140と板状体130との間に良好な電気的接続が実現される。
【0040】
また、回路基板に設けられた貫通孔53a及び53bと、板状体110の貫通孔112及び113とをそれぞれねじで締結することによって、回路基板50が板状体110に支持される。すなわち筐体内に支持される。
【0041】
一方で、回路基板50に設けられた導体部品1のねじ穴21は、板状体140の貫通孔147及び148にねじで締結される。このねじ締結によって、導体部品1と導体の板状体140との間、すなわち回路基板50のグランドパターン52と板状体140との間の良好な電気的接続が実現される。
【0042】
筐体90は、図示しない導体の支持物によって支持されてよい。例えば回路基板50が車載電子回路基板であるとき、筐体90は導体の車体によって支持されていてよい。このとき、板状体140は、他の板状体100〜130を経由して導体の支持物に接地されてよい。または板状体140は、直接この支持物に接地されていてもよい。この結果、回路基板50のグランドパターン52と導体の支持物との間に、導体部品1及び板状体140を経由したグランド接続構造が実現される。
【0043】
なお、後述する他の実施例に係る回路基板においても、上述と同様に、筐体90に収容され、且つ導体部品1が板状体140に締結されてよい。
【0044】
図3を参照する。参照符号22は、導体部品1と板状体140とを締結するねじの軸を示す。上述のとおり、ねじ穴21が設けられる第2面状部材20は、第1面状部材10の端部において第1面状部材10に対して直角方向に、かつ回路基板50と第1面状部材10との接触面11側に延びるように形成されている。
【0045】
上記のように第2面状部材20を形成していることにより、ねじの軸22と回路基板50表面との距離Dをできる限り短くすることができる。ねじの軸22と回路基板50表面との距離Dを短くすることにより、導体部品1と板状体140とのねじ締結時に第2面状20部分に加わる力の力点を回路基板50に近づけることができる。この結果、ねじ締結時の回路基板50のたわみの発生を低減できる。
【0046】
なお、ねじと回路基板50との干渉を防ぐため、ねじ穴21の位置は、そのねじ軸22の位置が、第1面状部材10の接触面11から、回路基板50の厚さにねじ穴の半径を加えた距離L以上離れるように設けられる。
【0047】
本実施例によれば、回路基板50の縁54に、グランドパターン52に接続され且つねじ穴21を持つ導体部品1を設けることができる。このため、回路基板50を収容する筐体90を構成する導体140や、筐体90に電気的に接続される導体を導体部品1にねじで締結し、インピーダンスの低い良好なグランド接続構造を提供することができる。
【0048】
また、本実施例によれば、筐体90の外側から導体部品1をねじで締結することによってグランド接続構造を設ける。このため、ねじの締結を外部から観察することができるので、グランド接続構造が設けられているか否かを容易に判断することができる。
【0049】
また、本発明によれば、回路基板50に設けられた位置決め用穴に位置決めツメ14及び15を嵌入させるだけという簡易な工程で、回路基板50における導体部品1の位置決めを行うことができる。このため、組み立て工数の大きく増やさずに、インピーダンスの低い良好なグランド接続構造を新たに追加することができる。また、回路基板50側には位置決め用穴を、筐体側にはねじ止め用の穴を設けるだけで足りるので、大きな設計変更を伴わずに良好なグランド接続構造を新たに追加することができる。
【0050】
また本実施例によれば、回路基板50と筐体90とを締結する締結ポイントが増えるので、回路基板50と筐体90とを含む構造体の剛性を向上することができる。また、導体部品1をヒートシンクに接続し、導体部品1を介して熱をヒートシンクに伝達することにより回路基板50及びその搭載部品の冷却効果が改善される。
【0051】
続いて、回路基板50の他の実施例について説明する。図5は、図1の(A)及び図1の(B)に示す導体部品1を備える回路基板50の第2例の概略構成を示す斜視図である。回路基板50は、回路基板50の縁部54から回路の外側に向けて開口する開口部を有するコネクタ61及び62を備える。コネクタ61及び62は、回路基板50に配線を接続するためのコネクタである。
【0052】
コネクタ61は、ねじ71及び72で回路基板50に固定され、コネクタ62は、ねじ73及び74で回路基板50に固定される。導体部品1は、第1面状部材10の少なくとも一部が、コネクタ61及び62と回路基板50との間隙に挿入されるように、回路基板50に配置される。
【0053】
図6及び図7は、図5に示す回路基板50への導体部品1の取り付けの説明図である。本例では、コネクタ61と回路基板50との間に導体部品1が回路基板50に取り付けられる構成を示すが、コネクタ62と回路基板50との間の導体部品1の場合も同様である。
【0054】
位置決めツメ14及び15が回路基板50に設けられた位置決め用穴55及び56に嵌入されることによって、回路基板50上における導体部品1の配置位置が決定される。かかる位置において導体部品1は回路基板50に固定され、第1面状部材10にある接続部とグランドパターン52とが電気的に接続される。コネクタ61は、回路基板50との間に導体部品1の第1面状部材10を挟むようにして、ねじ71及び72により回路基板50に固定される。
【0055】
第1面状部材10にある接続部とグランドパターン52との間の半田付けは、例えば、リフロー方式で行ってよい。このとき、接続部とグランドパターン52との半田付け箇所に半田ペーストを供給した状態で、導体部品1を回路基板50に配置する。その後、ねじ71及び72でコネクタ61を回路基板50に固定することによって、コネクタ61及び回路基板50で導体部品1を挟む。その後、リフロー炉で回路基板50を加熱することにより、第1面状部材10にある接続部とグランドパターン52とが半田付けされる。
【0056】
図8は、図7のB−B’断面図である。説明のため、コネクタ61が回路基板50に取り付けられている状態を示す。参照符号63は、コネクタ61のコネクタ端子を示す。
【0057】
突起部12及び13が設けられていることにより、回路基板50の基板面と垂直方向(すなわち第1面状部材10の面に垂直方向)において、導体部品1の寸法が増加する。このため、コネクタ61と回路基板50の間に挿入された導体部品1とコネクタ61とが当接しやすくなる。突起部12及び13がコネクタ61に当接しているため、コネクタ61をねじ71及び72で固定すると、コネクタ61に当接している導体部品1が回路基板50に圧接される。
【0058】
導体部品1が回路基板50に圧接されることによって、上記のようにリフロー方式で導体部品1を回路基板50に半田付けする際に導体部品1が動いてしまうことが防止される。このため、導体部品1が回路基板50から浮いた状態で半田付けされてしまうことが防止される。
【0059】
本実施例では、導体部品1を、コネクタ61と回路基板50との間のスペースに設けることができる。コネクタ61は、回路基板の縁付近に設けられることが多いためコネクタ61と回路基板50との間のスペースは導体部品1の設置場所に向いている。また、グランドに接続された導体部品1をコネクタ61下方に設けることにより、導体部品1は、コネクタ61の下面の一部または全部を覆い、外部から飛来する静電気を受け止めるシールドとしての役割を果たす。
【0060】
これに加えて、回路基板50上においてコネクタ端子63の接続部と基板の縁54までの間の領域には部品が配置されないことが多い。このため、本実施例によれば基板上のスペースの有効活用が図られるとともに、回路基板上の空き領域が乏しい場合においても、導体部品1を設けることが可能となる。
【0061】
また、他の回路基板でも同様に、コネクタ端子63の接続部と基板の縁54までの間の領域には部品が配置されないことが多い。このため、今後の他の回路基板を設計する際にも、回路基板50において導体部品1をコネクタ61と回路基板50の間に設けた手法と同様の設計手法を用いて、グランド接続構造を設けることが期待できる。このため、今後の他の回路基板においてグランド接続構造を設計する工数が節約できる。
【0062】
本発明は、車両に搭載される車載用電子回路基板など、筐体に対して回路のグランドパターンを接続する電子回路基板や電子回路ユニットに適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 導体部品
10 第1面状部材
11 接触面
12、13 突起部
14、15 位置決めツメ部
20 第2面状部材
21 ねじ穴
50 回路基板
52 グランドパターン
140 導体板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板のグランドパターンに接続されるための導体部品であって、
回路基板のグランドパターンに接続される接続部および前記接続部が回路基板のグランドパターンに接続された場合に回路基板と接する接触面を有する第1面状部材と、
前記第1面状部材の端部から前記第1面状部材に対して直角方向かつ前記接触面側に延びる第2面状部材と、
前記第2面状部材に設けられたねじ穴と、
前記第1面状部材に対して直角方向かつ前記接触面側に延びる位置決めツメ部と、
を備える導体部品。
【請求項2】
前記ねじ穴のねじ軸の位置は、前記第1面状部材の前記接触面から、回路基板の厚さに前記ねじ穴の半径を加えた距離以上離れた位置に設けられる請求項1に記載の導体部品。
【請求項3】
前記第1面状部材の前記接触面と反対側の面に設けられた突起部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の導体部品。
【請求項4】
前記第2面状部材は、その一部が前記接触面と反対側の方向に延びて形成された突起部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の導体部品。
【請求項5】
回路基板であって、
前記回路基板のグランドパターンに接続される接続部および前記接続部が前記回路基板のグランドパターンに接続された場合に前記回路基板と接する接触面を有する第1面状部材と、
前記第1面状部材の端部から前記第1面状部材に対して直角方向かつ前記接触面側に延びる第2面状部材と、
前記第2面状部材に設けられたねじ穴と、
前記第1面状部材に対して直角方向かつ前記接触面側に延びる位置決めツメ部と、を有する導体部品を備え、
前記接触面が前記回路基板に接触しかつ前記第2面状部材が前記回路基板の縁の外に位置するように、前記導体部品が前記回路基板の縁部に配置される回路基板。
【請求項6】
前記回路基板に配線を接続するためのコネクタを前記回路基板の前記縁部に備え、
前記第1面状部材の少なくとも一部が前記コネクタと前記回路基板との間隙に配置される、請求項5に記載の回路基板。
【請求項7】
前記導体部品は、前記第1面状部材の少なくとも一部が前記コネクタと前記回路基板との間隙に配置された状態で前記コネクタに当接する突起部を備える請求項6に記載の回路基板。
【請求項8】
前記ねじ穴に締結されるねじにより、前記回路基板の前記縁部を覆う導体と前記第2状部材とが連結される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか一項に記載の回路基板を備える電子回路ユニットであって、
前記回路基板の前記縁部を覆う導体板を備え、
前記導体板は、前記電子回路ユニットの筐体の一部であるか前記筐体に電気的に接続され、かつ前記ねじ穴に締結されるねじにより前記第2状部材に連結される電子回路ユニット。
【請求項10】
前記導体板は、ヒートシンクであることを特徴とする請求項9に記載の電子回路ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−59818(P2012−59818A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199875(P2010−199875)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】