説明

導波路デバイス

【課題】光による導波路層に含まれる有機電気光学材料の劣化を抑制すると共に、高い駆動特性を有し、信頼性の高い導波路デバイスを提供すること。
【解決手段】基板201上に、第1電極(下部電極202)、第1クラッド層(下部クラッド層203)、導波路204、第2クラッド層(上部クラッド層205)、及び第2電極(上部電極206)が順次積層され、少なくとも第2クラッド層205が、共役構造を有する有機化合物を含有して構成されていることを特徴とする導波路デバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波路デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報化社会の進展は著しく、特に最近では動画をはじめとする大容量の情報が企業間だけでなく個人の間でも頻繁にやり取りされるようになり、更なる大容量の高速通信手段が求められている。そのため、大容量高速情報通信が可能な光通信の重要性はますます高まっている。
【0003】
大容量高速通信を支える技術の一つに、光通信技術がある。光通信に用いられるデバイスとしては、光ファイバをはじめとして、光スイッチ素子、光変調器やルーターなどの様々な導波路デバイスがあり、これらのデバイスを組み合わせることにより、様々な機能を有する光回路が作製される。特に、光スイッチ素子や光変調器などの光素子には、電場によって屈折率が変化する「電気光学効果(EO効果)」を有する有機電気光学材料(非線形光学材料)がしばしば使用されている。特に、有機電気光学材料は、材料の誘電率が低いためにマイクロ波・ミリ波領域と光波領域との速度不整合がなく、応答速度を大幅に改善できる可能性があり、注目を集めている。さらに、有機電気光学材料は高分子材料に分散、あるいは結合させることで、スピンコート法などによって容易に大面積の薄膜を形成でき、加工性も向上するため、極めて安価に素子化できるという大きな利点を有している。
【0004】
光導波路デバイスの構造・製法は種々研究がなされており、例えば、非特許文献1には、紫外線照射により色素(有機電気光学材料)を分解して屈折率を下げ、光導波路のパターンを形成することが提案されている。また、特許文献1には、ポリイミドを用いた光導波路デバイスの提案がなされている。
【特許文献1】特開2004−149711公報
【非特許文献1】「AppliedOpticsJ Vol.37,No6,P.1068(1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、光による導波路層に含まれる有機電気光学材料の劣化を抑制すると共に、高い駆動特性を有し、信頼性の高い光導波路デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
基板上に、第1電極、第1クラッド層、有機電気光学材料を含む導波路、第2クラッド層、及び第2電極が順次積層され、
前記導波路に対する、前記第1クラッド層及び第2クラッド層の誘電率の比が1.1以上であり、且少なくとも前記第2クラッド層が共役構造を有する有機化合物を含んで構成されることを特徴とする導波路デバイスである。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記基板が、少なくとも紫外光を遮蔽する基板であることを特徴とする請求項1に記載の導波路デバイスである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、光による導波路層に含まれる有機電気光学材料の劣化を抑制すると共に、高い駆動特性を有し、信頼性の高い光導波路デバイスを提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、基板側からの紫外光による有機電気光学材料の劣化が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能・作用を持つ部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する場合がある。
【0010】
図1は、実施形態に係る導波路デバイスを示す概略断面図である。
実施形態に係る導波路デバイス100は、図1に示すように、基板201上に、下部電極202(第1電極)、下部クラッド層203(第1クラッド層)、導波路204、上部クラッド層205(第2クラッド層)、及び上部電極206(第2電極)とを順次積層した積層体で構成されている。
【0011】
以下、導波路デバイス100を、その作製プロセスと共に詳細に説明する。以下に示す作製プロセスは一例であり、デバイスの構造や使用する材料などに合わせて変更しても構わない。
【0012】
ここで、図2には、基板201上に、下部電極202、下部クラッド層203、導波路204、上部クラッド層205、及び上部電極206を形成して導波路デバイスを作製する工程を順次示している。
【0013】
[基板]
まず、基板201を準備する。基板201としては特に限定されないが、平坦性に優れたものが好ましい。例えば、金属基板、シリコン基板、透明基板等が挙げられ、導波路型光変調素子の形態によって選択可能である。金属基板の好ましい例としては、金、銀、銅、アルミニウム、シリコン等の基板が挙げられ、透明基板の好ましい例としては、石英、ガラス、プラスチック等の基板が挙げられる。
【0014】
特に、基板201は、少なくとも紫外光を遮蔽する基板であることが好適である。この紫外線遮蔽基板としては、例えばシリコン基板が挙げられ、また、紫外線吸収剤を配合したプラスチック基板等も挙げられる。これにより、導波路デバイス100の基板側からの入り込む紫外線を遮断し、より導波路204に含まれる有機電気光学材料の紫外線による劣化が抑制される。ここで、紫外線とは、波長が可視光より短く、X線より長いものであり、波長が1〜400nm程度のものをいう。
【0015】
[下部電極]
次に、図2(A)に示すように、基板201上に下部電極202(電気配線)を形成する。下部電極202としては、例えば、金属蒸着層、透明電極層等が適用される。蒸着する金属の好ましい例としては、金、銀、銅、アルミニウム等が挙げられる。また、透明電極層の好ましい例としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、アンチモンドープスズ酸化物等が挙げられる。
【0016】
[下部クラッド層]
次に、図2(B)に示すように、下部電極202上に下部クラッド層203を形成する。下部クラッド層203の材料としては、ポリイミド、フッ素化ポリイミドの他、光硬化性のアクリル樹脂やエポキシ樹脂が好ましい例として挙げられる。なお、後述する共役構造を有する化合物を用いてもよい。
【0017】
一方、下部クラッド層203は、導波路204に対する誘電率の比(上部クラッド/導波路)は、1.1以上であり、望ましくは1.2以上であり、さらに望ましくは1.5以上である。なお、この誘電率の比の上限は、下部クラッド層205に適用できる材料を鑑みると、1.3以下程度である。
【0018】
下部クラッド層203を形成するための材料の塗布法としては周知の手法、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を採用することができ、特にスピンコーティング法が簡便である。
【0019】
[導波路]
次に、図2(C)に示すように、下部クラッド層203上に導波路層204Aを形成する。導波路層204Aの形成は、構成材料を有機溶剤に溶解、あるいは熱で溶融させた状態において下部クラッド層203上に塗布する。塗布法としては周知の手法、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を採用することができ、特にスピンコーティング法が簡便である。
【0020】
次に、図2(D)に示すように、導波路層204Aを形成した後、反応性イオンエッチング(RIE)、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の半導体プロセス技術を用いた公知の方法により導波路層204Aをパターニングし、リッジ型の導波路204を形成する。また、導波路層204Aの一部にUV光、電子線等をパターニングして照射することにより、照射部分の屈折率を変化させてリッジ型の導波路204を形成してもよい。なお、本実施形態では、リッジ型の導波路204を形成した形態を示しているが、これに限られず、例えば、チャネル型の導波路、逆リッジ型の導波路、正逆リッジ型の導波路(厚み方向の双方に凸部を持つ導波路)であってもよい。
【0021】
導波路204としては光波工学(コロナ社、1988年発行)、第107章、204頁に記載されている周知の導波路、例えば分岐導波路型、マッハツェンダー型、方向性結合器型、交差導波路型等が採用される。その一例として、Multi-Mode Interferometer型の導波路デバイスを挙げられる。
【0022】
また、導波路204(導波路層204A)は、少なくとも有機電気光学材料を含んで構成されている。
【0023】
有機電気光学材料としては、下部クラッド層203や上部クラッド層205よりも屈折率が高い材料が選択される。有機電気光学材料としては、ポリマー中に電気光学効果を有する低分子化合物を分散させた系、ポリマーの側鎖や主鎖に電気光学効果を有する低分子化合物が挙げられる。ポリマーとしては、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホンなどが挙げられ、中でも光の伝搬損失が少ないフッ素化ポリイミドが好適に挙げられる。なお、Chemical Reviews,Vol.94 No.1 31頁(1994)によれば、非線形光学材料をポリマー中に分散させて導波路として用いる場合には、デバイスの長期信頼性の観点からポリマーのガラス転移点が200℃以上のものを選ぶことが望ましい。
【0024】
また、EO効果を示す低分子化合物として好適に使用可能な具体例としては、電子供与性基と電子求引性基を有するアゾ色素や、メロシアニン系の色素などが挙げられ、中でも好適な例としては、Disperse Red 1(DR1)や、2−メチル−6−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−4H−ピラン−4−イリデンプロパンジニトリル、4−{[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ}−2,5−シクロヘキサジエン−1−オンなどが挙げられる。
【0025】
[上部クラッド層]
次に、図2(E)に示すように、導波路204上に、上部クラッド層205を形成する。導波路204の上に作製される上部クラッド層205としては、導波路204よりも屈折率の低い材料が用いられる。上部クラッド層205は、共役構造を有する化合物を含んで構成される。この共役構造は、二重結合と単結合が交互に並ぶ構造であり、例えば、ビニレン基、ブタジエン基、ヘキサトリエン基、オクタテトラエン基、芳香環基(例えば、p−フェニレン基)、ヘテロ芳香環基(例えば、2,5−チエニレン基)、アゾ基をはじめとする構造、およびそれらの構造を複数の同種若しくは異種の組み合わせて構成された構造を挙げることができる。また、これらの共役鎖にアルコキシ基やアミノ基、チオエーテル基などの孤立電子対を有する置換基や、シアノ基やカルボニル基、エステル基、イミノ基などの二重結合を有する置換基が結合していてもよい。
【0026】
このような共役構造を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ピロメリット酸、テレフタル酸、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、スチルベン、アゾベンゼン、及びこれらの誘導体やこれらの共役構造を有するポリマーが好適に挙げられる。なお、これら共役構造を有する化合物の吸収極大波長は、250nm以上400nm以下の範囲にあることが望ましい。
【0027】
また、共役構造を有する化合物と共に、他の材料を併用してもよい。他の材料としては、ポリイミド、フッ素化ポリイミドの他、光硬化性のアクリル樹脂やエポキシ樹脂が挙げられる。
【0028】
一方、上部クラッド層205は、導波路204に対する誘電率の比(上部クラッド/導波路)は、1.1以上であり、望ましくは1.2以上であり、さらに望ましくは1.5以上である。なお、この誘電率の比の上限は、上部クラッド層205に適用できる材料を鑑みると、1.3以下程度である。
【0029】
上部クラッド層205を形成するための材料の塗布法としては周知の手法、例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等を採用することができ、特にスピンコーティング法が簡便である。
【0030】
[上部電極]
次に、図2(F)に示すように、上部クラッド層205上の全面、あるいは一部には、必要に応じて上部電極206(電気配線)を配する。上部電極を形成する材料は下部電極と同様、特に限定されない。例えば、金属であれば、金、銀、銅、アルミニウム等を用いることができる。上部電極はこれらの材料を蒸着した電極であることが好ましい。
【0031】
なお、上述のプロセスでは述べなかったが、前記導波路デバイス100に非線形光学効果を発現させるために、分極配向処理を施すことがよい。分極配向処理は、試料の軟化状態もしくは流動状態において、試料に電極を装着し直流電場を印加するか、コロナ放電による帯電電荷を利用することができる。試料の固化は、冷却による場合や高分子の熱硬化による場合があるが、いずれも、電場印加状態又は帯電状態で行うことが望ましい。この工程は、導波路形成後であればいつ実行してもよいが、後の工程で加熱の必要がある場合には、非線形光学効果の低下が起こってしまうため、分極配向処理を最終工程として行うことが好ましい。
【0032】
このようにして作製された導波路デバイス100は、ダイシングやへき開によりウエハーからチップを切出すことで、デバイスとして完成する。
【0033】
ここで、本実施形態に係る導波路デバイスの型については、特に制限はなく、例えば図3(A)乃至(D)に示す型のデバイスが挙げられる。図3(A)〜(D)は、それぞれの導波路デバイスを真上から見た平面図であり、図1と同じ構成要素には同じ符合を付し、内部の導波路部分を視認できるように描いている。図3(A)はマッハ−ツェンダ型の導波路デバイス、(B)はモード変換型の導波路デバイス、(C)は分岐スイッチ型の導波路デバイスであり、(D)はMulti−Mode Interferometer型の導波路デバイスである。
【0034】
以上説明した実施形態に係る導波路デバイス100では、上部クラッド層205が、共役構造を有する化合物を含んで構成させている。この共役構造は、有機電気光学材料の劣化の原因の主となる紫外領域の光、例えば特に200nm以上400nm以下の波長領域に吸収波長を持つ構造であることから、上部クラッド層205により当該光が遮蔽される。なお、実施形態では、上部クラッド層205にのみ共役構造を有する化合物を用いた形態を説明したが、下部クラッド層205にも共役構造を有する化合物を用いてもよい。これにより、下部クラッド層203でも当該光が遮蔽される。この形態の場合、基板201は、少なくとも紫外光を遮蔽する基板でなくとも、基板側から照射される光による有機電気光学材料の劣化が抑制される。
【0035】
また、実施形態に係る導波路デバイス100では、導波路204に対する、下部クラッド層203及び上部クラッド層204の誘電率の比が所定以上の構成としている。平板電極間における電束密度は一定であるから、この誘電率の比が所定以上であると、導波路204に対し、より高い電場が印加できる。
【0036】
ここで、導波路層に対するクラッド層の誘電率の比を大きくするには、クラッド材料への共役構造の導入や共役構造を有する化合物の添加するとともに、さらにアミノ基、アルコキシ基、アミド基、イミド基、エステル基、チオエーテル基、カルバモイル基をはじめとする極性基の導入やこれらの極性基を有する化合物の添加などの手法を組み合わせて行うと良い。
【0037】
誘電率の測定は、実験化学講座(第五版)〈7〉(日本化学会編、丸善)などに記載されている手法を採用できる。
【0038】
以上から実施形態に係る導波路デバイス100では、光による導波路層に含まれる有機電気光学材料の劣化を抑制すると共に、高い駆動特性を有し、信頼性の高い光導波路デバイスとなる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
[実施例1]
有機電気光学材料(非線形光学材料)の溶液として、シクロヘキサノン、ポリスルホン、及び[3−シアノ−2−ジシアノメチリデン−4−{trans,trans−[3−(2−(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)ビニル)シクロヘク−2−エチリデン]−1−プロペニル}−5−メチル−5−(4−シクロヘキシルフェニル)−2,5−ジヒドロフランを、前記すべての材料の総質量を100質量部としてそれぞれ、85質量部、13質量部、及び6質量部からなる溶液(以下、PS溶液)を調製した。
【0041】
ここで、PS溶液を石英基板上に塗布し、120℃で加熱したサンプルを作製し、屈折率をプリズムカップリング法により測定したところ、屈折率は1.64であった。また、上記に従って誘電率を測定したところ、比誘電率は3.2であった。
【0042】
次に、下部電極として金をスパッタしたシリコン基板上に、下部クラッド層として屈折率1.50のエポキシ系紫外線硬化樹脂(ビスフェノールA骨格を含む)を塗布し、紫外線を照射して膜厚3.5μmの樹脂硬化膜を得た。なお、この下部クラッド層の比誘電率は3.6であった。
【0043】
次に、下部クラッド層上に前記PS溶液を塗布した後、加熱・硬化させて、膜厚3.3の導波路層を形成した。そして、導波路層に対し、フォトリソグラフィに続くエッチングを施し、マッハ−ツェンダ型の導波路(リッジ型)をパターニングした。導波路の膜厚は3.3μmであり、リッジ高さは0.7μm、リッジ幅は5μmであった。
【0044】
次に、導波路上に、下部クラッド層と同様にして紫外線硬化樹脂を塗布し、膜厚3.5μm厚の上部クラッド層を作製した。なお、この上部クラッド層の比誘電率も3.6である。
【0045】
次に、上部クラッド層上に、上部電極をフォトリソグラフィに続くリフトオフによってマッハ−ツェンダ型の導波路の2つアームと重なるようにそれぞれ形成した後、ポーリング処理(分極配向処理)を施し、ダイシングによりウエハーからチップを切出すことで、電気光学効果を有するマッハ−ツェンダ型の導波路デバイスを作製した。なお、この導波路層に対する上部クラッド層及び下部クラッド層の誘電率の比は、それぞれ1.1であった。
【0046】
また、得られたマッハ−ツェンダ型の導波路デバイスを140℃で700Vの電圧を印加して、ポーリングして駆動特性を調べたところ、半波長電圧Vπは3.5Vであった。これにより、本発明における導波路素子が高い駆動特性を有することがわかった。
【0047】
得られたマッハ−ツェンダ型の導波路デバイスに対して、装置SPOT CURE SP5−250DA(ウシオ光機製)を用いて紫外線(出力15mW/cm2)を照射して、導波路デバイスを4時間紫外線に暴露した。この保管試験後、デバイスの導波路層を観察したところ、有機電気光学材料による導波路層の着色は脱色されておらず、有機電気光学材料が劣化されていないことがわかった。
【0048】
[比較例1]
下部クラッド層及び上部クラッド層の材料として、屈折率1.48のポリメチルメタクリレート用いた以外は、実施例1と同様にして導波路デバイスを作製した。この下部クラッド層及び上部クラッド層の比誘電率は、それぞれ3.0であり、導波路層に対する上部クラッド層及び下部クラッド層の誘電率の比は、それぞれ0.9であった。
【0049】
実施例1と同様にして、駆動特性を調べたところ、半波長電圧は5.0Vであり、実施例1に比べ、高い電場を印加することができないことがわかった。また、実施例1と同様に保管試験を行ったところ、有機電気光学材料による導波路層の着色は脱色されており、有機電気光学材料が劣化していることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態に係る導波路デバイスを示す断面図である。
【図2】実施形態に係る導波路デバイスの作製プロセスを示す工程図である。
【図3】実施形態に係る導波路デバイスの型の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0051】
100 導波路デバイス
201 基板
202 下部電極
203 下部クラッド層
204 導波路層
205 上部クラッド層
206 上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1電極、第1クラッド層、有機電気光学材料を含む導波路、第2クラッド層、及び第2電極が順次積層され、
前記導波路に対する、前記第1クラッド層及び第2クラッド層の誘電率の比が1.1以上であり、且少なくとも前記第2クラッド層が、共役構造を有する有機化合物を含んで構成されることを特徴とする導波路デバイス。
【請求項2】
前記基板が、少なくとも紫外光を遮蔽する基板であることを特徴とする請求項1に記載の導波路デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−145475(P2009−145475A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320869(P2007−320869)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】