説明

導電性バンプ付き基板シート製造方法

【課題】長期間、スクリーン版を使用し続けることができ、かつ、スクリーン版と基材との間をわずかに離間させた状態で導電性ペーストを転写させることを容易に実現すること。
【解決手段】導電性バンプ付き基板シート製造方法は、印刷定盤30によって、複数の平板凸部62aを有する平板状部材62と、複数の基板凸部61aを有する基板シート61とを含む基材60を保持する基材保持工程と、基材60上に、複数の貫通穴27aを有するスクリーン版27を位置づける第一位置づけ工程と、スクリーン版27の貫通穴27aから、基板シート61の基板凸部61aの間に、導電性ペースト70を転写させる基材転写工程と、を備えている。第一位置づけ工程において、基板シート61の基板凸部61aの頂点が、スクリーン版27の貫通穴27aの周縁部と同位置または当該周縁部の内側に位置づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント配線板を製造するときに用いられる導電性バンプ付き基板シートを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被印刷体表面(基材の表面)上に、導電性ペースト保持用の孔(貫通穴)を所定位置に備えた可撓性のスクリーンマスク(スクリーン版)を張持し、スクリーンマスクを被印刷体表面に押圧するスキージ部材を被印刷体表面に沿って移動することによりスクリーンマスク上に載置した導電性ペーストを保持用の孔と被印刷体表面とで画定される空間に充填し、スクリーンマスクが被印刷体表面から離間するときの引張力で空間内に充填した導電性ペーストを略円錐形に成形するペーストバンプの形成方法であって、スクリーンマスクと被印刷体との間にスペーサを介在させることによって、孔下面と被印刷体とを僅かに離間させた状態でスキージ部材を移動させる方法が知られている(特許文献1および特許文献2、参照)。
【0003】
このような方法によれば、少ない印刷回数で所望の高さの導電性バンプを形成することができ、導電性バンプ付基板の製造時間を短縮することができる。
【0004】
また、スクリーン印刷工程実行回数をa、1回のスクリーン印刷工程において不良が発生する割合をbとした場合、歩留まり率は(1−b)≒1−a×bとなり、スクリーン印刷工程の実行回数が増えれば増えるほど導電性バンプ付き基板シートの製造における歩留まり率が低下してしまうのであるが、上述した方法によれば、スクリーン印刷工程の実行回数を減らすことができるので、歩留まり率を高くすることができる。
【特許文献1】特開2004−6577号公報
【特許文献2】特開2003−320640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の方法では、孔下面と被印刷体とを僅かに離間させた状態でスキージ部材を移動させるために、スクリーンマスクと被印刷体との間にスペーサを介在させている。このため、スクリーンマスクを洗浄するときにスペーサが剥がれたりしてしまうことがあり、長期間、スクリーンマスクを使用し続けることが難しい。また、そもそも、このようにスペーサ付きのスクリーンマスクを製造することは難しい。
【0006】
また、スクリーンマスクと被印刷体との間にスペーサを介在させた場合、導電性ペーストがスクリーンマスクから吐出された際に、被印刷体の表面への導電性ペーストの吐出量が増し、このため導電性ペーストの滲みが発生し、結果として導電性バンプの底面の径(バンプ径)が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、基板シートの表面に導電性ペーストを塗工する工程の回数を減少させることができ、かつ、長期間、スクリーン版を使用し続けることができるとともに、スクリーン版と基材との間をわずかに離間させた状態で導電性ペーストを転写させることを容易に実現することができ、しかも、スクリーン版から導電性ペーストが基板シートに転写された際に導電性ペーストが滲んでしまい導電性バンプの底面の径が大きくなってしまうことを抑止することができる導電性バンプ付き基板シートを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による導電性バンプ付き基板シート製造方法は、
印刷定盤によって、複数の平板凸部を有する平板状部材と、該平板状部材上に載置され、該平板凸部に対応した基板凸部を有する基板シートとを含む基材を保持する基材保持工程と、
前記基材上に、複数の貫通穴を有するスクリーン版を位置づける第一位置づけ工程と、
前記スクリーン版の前記貫通穴から、前記基板シートの前記基板凸部の間に、導電性ペーストを転写させる基材転写工程と、
を備え、
前記第一位置づけ工程において、前記基板シートの前記基板凸部の頂点が、前記スクリーン版の前記貫通穴の周縁部と同位置または当該周縁部の内側に位置づけられることを特徴とする。
【0009】
本発明による導電性バンプ付き基板シート製造方法において、
前記基板シートにおける導電性ペーストを挟む一対の基板凸部の頂点の間の距離は、前記スクリーン版の前記貫通穴よりも小さいことが好ましい。
【0010】
本発明による導電性バンプ付き基板シート製造方法において、
前記基材を、前記基板凸部の間に導電性ペーストが載置されるように、前記印刷定盤に対して位置づける基材位置決め工程をさらに備えたことが好ましい。
【0011】
本発明による導電性バンプ付き基板シート製造方法において、
前記基材位置決め工程は、画像取得装置によって前記印刷定盤に保持された基材の画像を取得する基材画像取得工程と、画像表示装置によって前記画像取得装置で取得された画像を表示する基材画像表示工程と、該画像表示装置で表示された画像に基づいて前記印刷定盤に対する前記基材の位置を調整する基材位置調整工程と、を有することが好ましい。
【0012】
本発明による導電性バンプ付き基板シート製造方法において、
前記平板状部材の前記平板凸部を形成するときに、前記スクリーン版を用いることが好ましい。
【0013】
このような導電性バンプ付き基板シート製造方法において、
前記印刷定盤によって、平板状部材準備体を保持する準備体保持工程と、
前記平板状部材準備体上に、複数の貫通穴を有するスクリーン版を位置づける第二位置づけ工程と、
前記スクリーン版の前記貫通穴から、平板状部材準備体に、導電性ペーストを転写させる準備体転写工程と、を備え、
平板状部材準備体に転写される導電性ペーストの位置は、前記基材転写工程で転写される導電性ペーストの位置を取り囲む位置に対応することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板シートの基板凸部によって、スクリーン版と基材との間をわずかに離間させた状態を実現し、当該基板凸部の間に導電性ペーストを転写させる。このため、基板シートの表面に導電性ペーストを塗工する工程の回数を減少させることができ、かつ、長期間、スクリーン版を使用し続けることができるとともに、スクリーン版と基材との間をわずかに離間させた状態で導電性ペーストを転写させることを容易に実現することができる。しかも、基材上にスクリーン版を位置づける際に、基板シートの基板凸部の頂点が、スクリーン版の貫通穴の周縁部と同位置または当該周縁部の内側に位置づけられるようにするため、スクリーン版から導電性ペーストが基板シートに転写された際にこの導電性ペーストは基板シートの基板凸部により堰き止められることとなり、基板シートに転写された導電性ペーストが滲んでしまうことを抑止することができる。このことにより、導電性バンプの底面の径が大きくなってしまうことを抑止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態
以下、本発明に係る導電性バンプ付き基板シート製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図8は本発明の実施の形態を示す図である。
【0016】
本実施の形態において、導電性バンプ付き基板シート製造システムは、基板に基板凸部61aを形成する基板凸部生成装置(図1(a)(b)参照)と、基板シート61の基板凸部61aの間に導電性ペースト70を転写させる印刷装置(図2参照)と、を備えている。
【0017】
基板凸部生成装置は、図1(a)(b)に示すように、複数の平板凸部62aを有する平板状部材62を吸引孔1aからの吸引力によって吸着して保持する保持部1と、平板状部材62の平板凸部62a上に載置された基板シート61(例えば、金属箔)に圧力を加えて、この基板シート61に平板状部材62の平板凸部62aに対応する基板凸部61aを形成する加圧ローラ(加圧部)10と、を備えている。なお、平板状部材62には開口(図示せず)が設けられており、この開口を通じて吸着力が働いて基板シート61が保持される。
【0018】
ところで、平板状部材62としては、銅、SUS、アルミなどの金属シートや、PET、PP、PEなどのフィルムおよび樹脂シートなどを用いることができる。また、加圧ローラ10としては、ゴムロール、金属ロール、樹脂ロールなどを用いることができる。
【0019】
また、本実施の形態では、基板シート61に平板状部材62の平板凸部62aに対応する基板凸部61aを形成する加圧部として加圧ローラ10を用いて説明するが(図1(a)(b)参照)、これに限られることなく、例えば、平プレスなどを用いてもよい。
【0020】
また、図2に示すように、印刷装置は、基材60を保持する印刷定盤30と、所定のパターンからなる複数の貫通穴27aが設けられたメタルマスクなどのスクリーン版27と、このスクリーン版27を保持する保持部26と、スクリーン版27上で走査し、スクリーン版27に載置された銀ペーストや半田ペーストなどの導電性ペースト70(図5参照)を貫通穴27aを介して基材60の基板シート61上に転写させるスキージ22と、を備えている。なお、上述したスキージ22と、このスキージ22を案内するガイド部材21とからスキージ機構20が構成されている。なお、ここで基材60は、複数の平板凸部62aを有する平板状部材62と、平板状部材62上に載置され、平板凸部62aに対応した基板凸部61aを有する基板シート61とからなっている。
【0021】
また、図2に示すように、スキージ機構20の上流側には、印刷定盤30に保持された基材60の画像を取得するCCDカメラ(画像取得装置)11が配置されている。また、このCCDカメラ11には、CCDカメラ11によって取得された画像を表示する表示画面(画像表示装置)12が接続されている。
【0022】
また、図2に示すように、印刷定盤30は、この印刷定盤30に対する基材60の位置を調整する位置調整装置35を有している。そして、この位置調整装置35には、操作者によって入力された指示を送る位置指示部16が接続されている。なお、基材60にはアライメントマーク(図示せず)が施されており、このアライメントマークをCCDカメラ11で撮影することによって、基材60の印刷定盤30に対する位置が位置決めされる。
【0023】
なお、本実施の形態においては、上述したCCDカメラ11、表示画面12、位置調整装置35および位置指示部16から位置づける位置決め機構が構成されている。また、印刷定盤30の下方には、この印刷定盤30を案内するガイド部材31が水平方向に延在している。
【0024】
また、図3(a)(b)に示すように、位置調整装置35には、吸引孔35aが設けられており、この吸引孔35aからの吸引力によって基材60が保持されることとなる。なお、本実施の形態では、このように位置調整装置35の吸引孔35aによって基材60が吸着されて保持される態様を用いて説明するが、これに限られることなく、例えば、吸引孔を有する吸引板が位置調整装置35上に設けられ、当該吸引板からの吸引力によって基材60が吸着されて保持されるようにしてもよい。
【0025】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0026】
(基板凸部61aを有する基板シート61の生成)
最初に、基板凸部61aを有する基板シート61を生成する工程について説明する。
【0027】
まず、保持部1の吸引孔1aからの吸引力によって、複数の平板凸部62aを有する平板状部材62が吸着して保持される(図1(a)参照)。次に、平板状部材62の複数の平板凸部62aと基板シート61とが当接される(当接工程)。より具体的には、平板状部材62上に、基板シート61が載置される(図1(a)参照)。
【0028】
次に、当該基板シート61を平板状部材62に押圧した状態で加圧ローラ10が水平方向に移動される(図1(a)参照)。このとき、加圧ローラ10によって、基板シート61に圧力が加えられて、基板シート61に平板状部材62の複数の平板凸部62aに対応する基板凸部61aが形成される(基板凸部形成工程)(図1(b)参照)。
【0029】
(導電性バンプ付き基板シートの生成)
次に、導電性バンプ付き基板シートを生成する工程について説明する。
【0030】
まず、印刷定盤30の位置調整装置35によって、複数の平板凸部62aを有する平板状部材62と、平板凸部62aに対応した基板凸部61aを有する基板シート61とからなる基材60が、吸着して保持される(基材保持工程)(図2参照)。なお、基材60は、平板状部材62が下方に位置し、基板シート61が上方に位置するようにして、印刷定盤30上に載置される。
【0031】
次に、スキージ機構20によって転写される導電性ペースト70が、基板シート61の基板凸部61aの間に載置されるように、基材60が印刷定盤30に対して位置づけられる(基材位置決め工程)(図2参照)。
【0032】
具体的には、まず、CCDカメラ11によって、印刷定盤30に保持された基材60の画像が撮影される(基材画像取得工程)。次に、このようにCCDカメラ11によって撮影された基材60の画像が、表示画面12によって表示される(基材画像表示工程)。
【0033】
次に、操作者が、表示画面12に表示された画像に基づいて、印刷定盤30を所定の位置に移動させるよう、位置指示部16に指示を入力する。そして、この指示に従って、位置調整装置35が駆動され、印刷定盤30に対する基材60の位置が調整される。例えば、基材60に施されたアライメントマークがCCDカメラ11の中心位置で撮影されるよう、操作者が位置指示部16に指示を入力する。そして、この指示に従って、位置調整装置35が駆動され、アライメントマークがCCDカメラ11の中心位置にくるよう、基材60の印刷定盤30に対する位置が調整される(基材位置調整工程)。
【0034】
次に、印刷定盤30が、駆動部(図示せず)から付与される駆動力によって、ガイド部材31に沿って水平方向(図4の右側)に向かって移動される(図4参照)。この結果、基材60上に、複数の貫通穴27aを有するスクリーン版27が位置づけられる(第一位置づけ工程)(図3(a)参照)。また、この際に、図3(a)に示すように、基板シート61の基板凸部61aの頂点が、スクリーン版27の貫通穴27aの周縁部と同位置または当該周縁部のわずかに内側の位置となるよう、基材60上にスクリーン版27が位置づけられるようになっている。図3(a)を用いてより具体的に説明すると、一対の基板凸部61aのうち左側の基板凸部61aの頂点は、スクリーン版27の貫通穴27aの周縁部とほぼ同じ位置となっており、一方、図3(a)に示す2つの基板凸部61aのうち右側の基板凸部61aの頂点は、スクリーン版27の貫通穴27aの周縁部よりもやや内側(図3(a)における左側)の位置となっている。基板シート61の基板凸部61aの頂点が、スクリーン版27の貫通穴27aの周縁部と同位置または当該周縁部のわずかに内側の位置となるようにするために、導電性ペースト70を挟む一対の基板凸部61aの頂点間の距離Bは、貫通穴27aの径Aよりも小さくなっている。
【0035】
次に、スキージ22がガイド部材21に沿ってスクリーン版27上で走査され、スクリーン版27に載置された導電性ペースト70が、貫通穴27aを介して基材60の基板シート61上に転写される(基材転写工程)(図3(b)および図5参照)。
【0036】
ここで本実施の形態よれば、上述のように、基材転写工程の前に、表示画面12に表示された画像に基づいて、印刷定盤30を所定の位置に移動させることができる。このため、この基材転写工程において、スキージ機構20のスキージ22によって、スクリーン版27の貫通穴27aを経て転写される導電性ペースト70を、基板シート61の基板凸部61aの間に、確実に転写させることができる。
【0037】
このため、スキージ機構20のスキージ22によって導電性ペースト70を基板シート61上に一回転写させるだけで、導電性バンプの高さを十分なものにすることができる。この結果、基板シート61の表面に導電性ペースト70を塗工する工程の回数を減少させることができ、ひいては、導電性バンプ付基板の製造時間を短縮することができる。また、導電性バンプ付き基板シートの製造における歩留まり率を高くすることもできる。
【0038】
また、基板シート61の基板凸部61aの頂点が、スクリーン版27の貫通穴27aの周縁部と同位置または当該周縁部のやや内側の位置に設けられているため、図3(b)に示すように、スクリーン版27から導電性ペースト70が基板シート61に転写された際にこの導電性ペースト70は基板シート61の基板凸部61aにより堰き止められることとなり、基板シート61に転写された導電性ペースト70が滲んでしまうことはない。
【0039】
上述のように、導電性ペースト70が基板シート61の基板凸部61aの間に載置されると、印刷定盤30は水平方向(図6の左側)に移動し、初期位置に戻ることとなる(図6参照)。このとき、スキージ機構20も初期位置に戻る(図6参照)。
【0040】
次に、基板シート61は平板状部材62から剥離される。その後、基板シート61の各基板凸部61aの間に設けられた導電性ペースト70が乾燥されて硬化される(基材硬化工程)。この結果、基板シート61上に略円錐状の導電性バンプが形成されて、導電性バンプ付き基板シートが生成される。なお、導電性ペースト70が紫外線硬化性の材料からなる場合には、導電性ペースト70を乾燥させる代わりに、導電性ペースト70に紫外線を照射することによって硬化させてもよい。
【0041】
上述のようにして導電性バンプ付き基板シートが生成されると、この導電性バンプ付き基板シート上に未硬化の絶縁シート(図示せず)が配置されて、押圧される。このことによって、導電性バンプが絶縁シートを貫通して、導電性バンプ付き基板シート上に絶縁シートが位置づけられることとなる。
【0042】
次に、別の(導電性バンプ付き)基板シート(最も上方に位置する基板シート61には導電性バンプは付いていない)が、未硬化の絶縁シート上に載置され、その後押圧される。このことによって、下方に位置する導電性バンプ付き基板シートの導電性バンプが、上方に位置する(導電性バンプ付き)基板シートの裏面内に貫入されることとなる。次に、絶縁シートが硬化され、その後、(導電性バンプ付き)基板シートに回路が形成される。
【0043】
このような工程を繰り返し行うことによって、多層プリント配線板が製造されることとなる。
【0044】
ところで、本実施の形態によれば、図3(a)(b)に示すように、基板凸部61aによって、スクリーン版27と基材60との間をわずかに離間させることができるので(間隙Gが設けられるので)、スクリーン版27から基板シート61への導電性ペースト70の転写量を増やすにあたり、従来技術のようにスペーサを用いる必要がない。このため、スクリーン版27を洗浄するときにスペーサが剥がれたりしてしまうこともなく、長期間、スクリーン版27を使用し続けることができる。
【0045】
また、前述のように、基板シート61の基板凸部61aの頂点が、スクリーン版27の貫通穴27aの周縁部と同位置または当該周縁部の内側の位置に設けられているため、スクリーン版27から導電性ペースト70が基板シート61に転写された際にこの導電性ペースト70は基板シート61の基板凸部61aにより堰き止められることとなり(図3(b)参照)、基板シート61に転写された導電性ペースト70が滲んでしまうことを抑止することができる。このことにより、導電性バンプの底面の径が大きくなってしまうことを抑止することができる。
【0046】
このような基板凸部61aを形成する方法としては、導電性ペースト70を基板シート61の基板凸部61a間に転写させるときに用いられるスクリーン版27を用いることが好ましい。
【0047】
具体的には、まず、印刷定盤30によって、平板状部材準備体62bが保持される(準備体保持工程)(図7参照)。次に、平板状部材準備体62bが印刷定盤30に対して位置づけられる(準備体位置決め工程)(図2参照)。このとき、導電性ペースト70を基板凸部61a間に転写させるときの位置合わせ(基材位置決め工程)と比較して、平板状部材準備体62bが半ピッチずらされる。なお、このときの位置合わせには、上述した基材位置決め工程と同様、CCDカメラ11、表示画面12および位置指示部16が用いられる。
【0048】
次に、印刷定盤30が、駆動部(図示せず)から付与される駆動力によって、ガイド部材31に沿って水平方向(図8の右側)に向かって移動される(図8参照)。この結果、平板状部材準備体62b上に、複数の貫通穴27aを有するスクリーン版27が位置づけられる(第二位置づけ工程)。
【0049】
次に、スキージ22がガイド部材21に沿ってスクリーン版27上で走査され、スクリーン版27に載置された導電性ペースト70が、貫通穴27aを介し平板状部材準備体62b上に転写される(準備体転写工程)(図8参照)。
【0050】
ここで上述のように、印刷定盤30に対して、導電性ペースト70を基板凸部61a間に転写させるときの位置合わせ(基材位置決め工程)と比較して、平板状部材準備体62bが半ピッチずらされて位置づけられているので、上述した基材転写工程で転写される導電性ペースト70を取り囲む位置に対応して、平板状部材準備体62bに導電性ペースト70を転写させることができる。
【0051】
また、平板状部材準備体62bに導電性ペースト70を転写させる際に、一対の導電性ペースト70の頂点の間の距離を、スクリーン版27の貫通穴27aの径よりも小さくすることが好ましい。このことにより、導電性バンプ付き基板シートを生成する工程において、図3(a)に示すように、導電性ペースト70を挟む一対の基板凸部61aの頂点間の距離Bを、貫通穴27aの径Aよりも小さくすることができる。この場合、前述のように、基板シート61の基板凸部61aの頂点を、スクリーン版27の貫通穴27aの周縁部と同位置または当該周縁部の内側の位置となるようにすることができる。
【0052】
後は、このようにして転写された導電性ペースト70を硬化させることによって、平板凸部62aが形成される。そして、上述したように、平板凸部62aを有する平板状部材62上に基板シート61を載置し、当該基板シート61を加圧ローラ10で押圧することによって、基板凸部61aを有する基板シート61を得ることができる(図1参照)。
【0053】
このように、本実施の形態によれば、基材転写工程で用いられるスクリーン版27と同じスクリーン版27を用いて平板凸部62aを有する平板状部材62を製造することができる。このため、スクリーン版27と基材60との間を離間させる基板凸部61aを、容易に製造することができる。この結果、従来のように製造の難しいスペーサ付きのスクリーンマスク(スクリーン版)を用いることなく、容易に、スクリーン版27と基材60との間をわずかに離間させた状態で導電性ペースト70を転写させることを実現することができる。このことにより、スクリーン版27から基板シート61に転写される導電性ペースト70の量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態による基板凸部生成装置の構成を示す概略側方図。
【図2】本発明の実施の形態による印刷装置を側方から見た概略側方図。
【図3】本発明の実施の形態によるスキージ機構における第一位置づけ工程と基材転写工程を示した拡大側方図。
【図4】本発明の実施の形態による印刷装置の一駆動状態を示した概略側方図。
【図5】図4に示した状態から進んだ状態にある印刷装置を示した概略側方図。
【図6】図5に示した状態から進んだ状態にある印刷装置を示した概略側方図。
【図7】本発明の実施の形態による印刷装置を用いて平板凸部を形成する際の印刷装置の一駆動状態を示した概略側方図。
【図8】図7に示した状態から進んだ状態にある印刷装置を示した概略側方図。
【符号の説明】
【0055】
1 保持部
10 加圧ローラ(加圧部)
11 CCDカメラ(画像取得装置)
12 画像表示装置
22 スキージ
27 スクリーン版
27a 貫通穴
30 印刷定盤
35 位置調整装置
60 基材
61 基板シート
61a 基板凸部
62 平板状部材
62a 平板凸部
62b 平板状部材準備体
70 導電性ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷定盤によって、複数の平板凸部を有する平板状部材と、該平板状部材上に載置され、該平板凸部に対応した基板凸部を有する基板シートとを含む基材を保持する基材保持工程と、
前記基材上に、複数の貫通穴を有するスクリーン版を位置づける第一位置づけ工程と、
前記スクリーン版の前記貫通穴から、前記基板シートの前記基板凸部の間に、導電性ペーストを転写させる基材転写工程と、
を備え、
前記第一位置づけ工程において、前記基板シートの前記基板凸部の頂点が、前記スクリーン版の前記貫通穴の周縁部と同位置または当該周縁部の内側に位置づけられることを特徴とする導電性バンプ付き基板シート製造方法。
【請求項2】
前記基板シートにおける導電性ペーストを挟む一対の基板凸部の頂点の間の距離は、前記スクリーン版の前記貫通穴よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の導電性バンプ付き基板シート製造方法。
【請求項3】
前記基材を、前記基板凸部の間に導電性ペーストが載置されるように、前記印刷定盤に対して位置づける基材位置決め工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の導電性バンプ付き基板シート製造方法。
【請求項4】
前記基材位置決め工程は、画像取得装置によって前記印刷定盤に保持された基材の画像を取得する基材画像取得工程と、画像表示装置によって前記画像取得装置で取得された画像を表示する基材画像表示工程と、該画像表示装置で表示された画像に基づいて前記印刷定盤に対する前記基材の位置を調整する基材位置調整工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の導電性バンプ付き基板シート製造方法。
【請求項5】
前記平板状部材の前記平板凸部を形成するときに、前記スクリーン版を用いることを特徴とする請求項1に記載の導電性バンプ付き基板シート製造方法。
【請求項6】
前記印刷定盤によって、平板状部材準備体を保持する準備体保持工程と、
前記平板状部材準備体上に、複数の貫通穴を有するスクリーン版を位置づける第二位置づけ工程と、
前記スクリーン版の前記貫通穴から、平板状部材準備体に、導電性ペーストを転写させる準備体転写工程と、を備え、
平板状部材準備体に転写される導電性ペーストの位置は、前記基材転写工程で転写される導電性ペーストの位置を取り囲む位置に対応することを特徴とする請求項5に記載の導電性バンプ付き基板シート製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−52223(P2010−52223A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218274(P2008−218274)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】