説明

導電性ローラ及びそれを備えた画像形成装置

【課題】製造に長い乾燥ラインを必要とせず、安定した品質の塗膜層を有する上、耐久性が改善された導電性ローラを提供する。
【解決手段】シャフト部材2と、該シャフト部材2の半径方向外側に配設された弾性層3と、該弾性層3の半径方向外側に配設された一層以上の塗膜層4とを備え、少なくとも前記弾性層3に隣接する塗膜層4が、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた、破断伸びが80%以上の紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする導電性ローラ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性層及び塗膜層を有する導電性ローラ並びに該導電性ローラを備えた画像形成装置に関し、特に耐久性が改善された導電性ローラ及び該導電性ローラを備えた、良好な画像を形成することが可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ(LBP)等の電子写真方式の画像形成装置においては、現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、クリーニングローラ、定着用の加圧ローラ等として、ロール形状の導電性弾性部材、即ち、導電性ローラが多用されており、該導電性ローラは、通常、長さ方向両端部を軸支されて取り付けられるシャフト部材と、該シャフト部材の半径方向外側に配設された一層以上の弾性層とを備えている。また、該導電性ローラは、該ローラの硬度の向上、トナーに対する帯電性や付着性の制御、弾性層による感光ドラムの汚染防止等を目的として、上記弾性層の表面に、更に塗膜層を備える場合がある。
【0003】
上記導電性ローラのシャフト部材には、鉄やステンレス等の金属の他、エンジニアリングプラスチック等の種々の樹脂が用いられる。また、上記導電性ローラの弾性層には、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリウレタン等のエラストマーが用いられており、エラストマー原料を所望のキャビティー形状を有するモールドに注入し加熱して、エラストマー原料を加熱硬化させる等して、製造されている。更に、上記塗膜層は、シャフト部材と弾性層とからなるローラ本体を、樹脂を含有する溶剤系若しくは水系の塗工液中にディップ又は該塗工液をローラ本体にスプレーした後に、熱又は熱風で乾燥硬化して形成されている。ここで、塗膜層の形成には、長時間の乾燥が必要なため、量産には長い乾燥ラインが必要であり、また、塗膜層は、その用途から微妙な導電性及び表面状態が要求されるが、乾操ライン内の温度分布及び風量等のバラツキが塗膜層の性能に大きく影響するため、品質上の問題があった。
【0004】
これに対し、長い乾燥ラインを必要とせず、安定した品質の塗膜層を形成する手法として、ローラの弾性層の表面に紫外線硬化性の樹脂原料を塗布し、該樹脂原料を硬化させて、弾性層の表面に紫外線硬化型樹脂からなる塗膜層を形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−310136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、紫外線硬化性の樹脂原料を紫外線硬化させて形成された塗膜層は、通常、硬度が高く、十分な伸び特性を有していない。このため、かかる塗膜層を有する導電性ローラを画像形成装置に使用した場合、使用中に塗膜が削れたり、割れたりして、画像不良を発生し易くなる。特に、導電性ローラの弾性層が発泡体(フォーム)からなる場合、塗膜削れ・割れが顕著に現れ、耐久性に問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、製造に長い乾燥ラインを必要とせず、安定した品質の塗膜層を有する上、耐久性が改善された導電性ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる導電性ローラを用いた、良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、弾性層の表面に塗膜層を配設した導電性ローラにおいて、該塗膜層に、(メタ)アクリレートオリゴマーと、(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤とを含む原料組成物を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂を用いることで、塗膜層の伸び特性が良好で、優れた耐久性を有する導電性ローラが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明の導電性ローラは、シャフト部材と、該シャフト部材の半径方向外側に配設された弾性層と、該弾性層の半径方向外側に配設された一層以上の塗膜層とを備え、
少なくとも前記弾性層に隣接する塗膜層が、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなり、
前記紫外線硬化型樹脂は、破断伸びが80%以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明の導電性ローラにおいて、前記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、重量平均分子量が4500以上であることが好ましい。
【0011】
本発明の導電性ローラにおいて、優れた耐久性を発現するためには、前記紫外線硬化型樹脂は、破断伸びが80%以上であることに加えて、弾性率が280MPa以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の導電性ローラの好適例においては、前記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)がウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーである。
【0013】
本発明の導電性ローラの他の好適例においては、前記(メタ)アクリレートモノマー(B)が、アクリロイルモルホリン、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種である。
【0014】
本発明の導電性ローラにおいては、前記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、前記(メタ)アクリレートモノマー(B)との合計中の(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有率が、10〜60質量%の範囲であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、上記の導電性ローラを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、弾性層の表面に塗膜層を配設した導電性ローラにおいて、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む原料混合物を紫外線照射で硬化させた、破断伸びが80%以上である紫外線硬化型樹脂を塗膜層に用いることで、(製造に長い乾燥ラインが不要で、安定した品質の塗膜層を有する上、)削れ、割れに対しての耐久性が改善された導電性ローラを提供することができる。なお、上記(メタ)アクリレートモノマー(B)は、官能基数が1で且つ嵩高い置換基又は極性基を有する(メタ)アクリレートモノマー(B)が好ましい。さらに、塗膜層に用いる紫外線硬化型樹脂の弾性率を280MPa以上に設計することで、耐久性は一段と向上する。これにより、かかる導電性ローラを備え、良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<導電性ローラ>
以下に、本発明の導電性ローラを、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の導電性ローラの一例の断面図である。図示例の導電性ローラ1は、シャフト部材2と、該シャフト部材2の半径方向外側に配設された弾性層3と、該弾性層3の半径方向外側に配設された塗膜層4とを備える。なお、図1に示す導電性ローラ1は、塗膜層4を一層のみ有するが、本発明の導電性ローラは、塗膜層を二層以上有していてもよい。
【0018】
本発明の導電性ローラは、少なくとも弾性層3に隣接する塗膜層4が、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなり、該紫外線硬化型樹脂は、破断伸びが80%以上であることを特徴とする。ここで、(メタ)アクリレートモノマー(B)が、官能基数が1で且つ嵩高い置換基又は極性基を有する場合、上記塗膜層用原料の粘度を低減する他、紫外線硬化型樹脂に適度な強靭性と伸び特性とを付与することができる。また、本発明の導電性ローラにおいては、紫外線硬化型樹脂の破断伸びが80%以上であるため、塗膜削れ等のローラの耐久性に係わる問題を解決することができる。
【0019】
本発明の導電性ローラにおいて、弾性層3に隣接する塗膜層4の破断伸びが80%以上であることに加えて、弾性率を280MPa以下にすることにより、耐久性をさらに向上させることができる。導電性ローラは、印字の際に感光体等の部材と直接接触し、適度にニップしながら回転する。その結果、最外層である塗膜層4に応力が集中する。この応力は塗膜層4の弾性率が大きいほど強くなる。そのため、弾性率を280MPa以下にすることにより、塗膜層4への応力集中を防止することができる。これにより、塗膜削れ等のローラの耐久性に係わる問題をさらに解決することができる。
【0020】
本発明の導電性ローラのシャフト部材としては、良好な導電性を有する限り特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフト、或いは良導電性のプラスチック製シャフト等を用いることができる。
【0021】
本発明の導電性ローラの弾性層は、エラストマーから形成され、必要に応じて導電剤等の他の成分を含むことができる。該弾性層に用いるエラストマーとしては、ポリウレタン、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ポリノルボルネンゴム、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも、ポリウレタンが好ましい。上記弾性層には、上記エラストマーを非発泡体として用いてもよいし、発泡体として用いてもよい。
【0022】
上記弾性層に用いることができる導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤等が挙げられる。電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。上記電子導電剤の配合量は、上記エラストマー100質量部に対して1〜50質量部の範囲が好ましく、5〜40質量部の範囲が更に好ましい。
【0023】
また、上記イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。上記イオン導電剤の配合量は、上記エラストマー100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましく、0.05〜5質量部の範囲が更に好ましい。上記導電剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、電子導電剤とイオン導電剤とを組み合わせてもよい。
【0024】
上記弾性層は、上記導電剤の配合により、その抵抗値を103〜1010Ωcmとすることが好ましく、104〜108Ωcmとすることが更に好ましい。弾性層の抵抗値が103Ωcm未満では、電荷が感光ドラム等にリークしたり、電圧により導電性ローラ自体が破壊する場合があり、1010Ωcmを超えると、地かぶりが発生しやすくなる。
【0025】
上記弾性層は、必要に応じて上記エラストマーをゴム状物質とするために、有機過酸化物等の架橋剤、硫黄等の加硫剤を含有してもよく、更に加硫助剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等を含有してもよい。また、上記弾性層は、更に、充填剤、しゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等のゴム用配合剤を含有してもよい。
【0026】
本発明の導電性ローラの弾性層は、ウレタン原料を機械撹拌発泡して得られる発泡ウレタン、即ち、メカニカル・フロス法発泡成形ウレタンからなることが好ましい。該発泡ウレタンは、発泡剤を用いることなく、ウレタン原料を機械的に撹拌して気泡を混入させる方法で製造される。ここで、ウレタン原料としては、ポリオール及びポリイソシアネート、又はポリオールとポリイソシアネートから合成したウレタンプレポリマー及び鎖延長剤が挙げられ、該ウレタン原料には、更に触媒、整泡剤並びに上述の導電剤等を添加することができる。また、上記発泡ウレタン中の気泡は主として独立気泡であり、その発泡倍率及び密度はエアーの入れ方で適宜調整することができる。
【0027】
上記発泡ウレタン原料として用いることができるポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール、プロピレンオキサイド(PO)変性ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオール等が挙げられる。なお、上記ポリエステルポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の多塩基カルボン酸とから得られ、また、上記ポリエーテルポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られる。
【0028】
上記発泡ウレタン原料として用いることができるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や、これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等を用いることができる。これらポリイソシアネートの使用量は、該ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)と上記ポリオールの水酸基(OH)との比(NCO/OH)が95/100〜110/100の範囲になるよう適宜選択されることが好ましい。
【0029】
上記ポリイソシアネートは、上記ポリオールとワンショット法で反応させてもよいし、予め上記ポリオールと反応させてウレタンプレポリマーとした後、触媒の存在下、鎖延長剤等と反応させてもよい。なお、合成されたウレタンプレポリマーのNCO基含有率は、3〜30質量%の範囲が好ましく、5〜15質量%の範囲が更に好ましく、ウレタンプレポリマーの合成におけるポリイソシアネート及びポリオールの使用量は、ウレタンプレポリマーのNCO基含有率が上記の範囲になるよう適宜選択されることが好ましい。また、上記鎖延長剤は、上記ウレタンプレポリマー同士を連結する化合物であり、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオール等が挙げられる。これら鎖延長剤の使用量は、上記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基(NCO)と鎖延長剤の水酸基(OH)との比(NCO/OH)が95/100〜110/100の範囲になるよう、適宜選択されることが好ましい。
【0030】
上記発泡ウレタン原料に用いることができる触媒は、ウレタン化反応用の触媒であり、具体的には、ジブチルスズジラウレート,ジブチルスズジアセテート,ジブチルスズチオカルボキシレート,ジブチルスズジマレエート,ジオクチルスズチオカルボキシレート,オクテン酸スズ等の有機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;トリエチルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチルプロパンジアミン,テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類;ペンタメチルジエチレントリアミン,ペンタメチルジプロピレントリアミン,テトラメチルグアニジン等のトリアミン類;トリエチレンジアミン,ジメチルピペラジン,メチルエチルピペラジン,メチルモルホリン,ジメチルアミノエチルモルホリン,ジメチルイミダゾール等の環状アミン類;ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノエトキシエタノール,トリメチルアミノエチルエタノールアミン,メチルヒドロキシエチルピペラジン,ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル,エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類等が挙げられる。これら触媒の中でも、有機スズ化合物が好ましい。これら触媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記触媒の使用量は、上記ポリオール又はウレタンプレポリマー100質量部に対して0.001〜2.0質量部の範囲が好ましい。
【0031】
上記発泡ウレタン原料に用いることができる整泡剤としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン系整泡剤の他、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活剤等を挙げることができる。該整泡剤の使用量は、上記ポリオール又はウレタンプレポリマー100質量部に対して0.5〜5.0質量部の範囲が好ましい。
【0032】
上記エラストマー原料、好ましくは機械的攪拌により発泡させたウレタン原料を、予めシャフト部材2が配置された円筒状のモールドに注入し、反応硬化させることで、シャフト部材2の半径方向外側に弾性層3を有するローラ本体を得ることができる。
【0033】
本発明の導電性ローラは、該ローラの硬度を高めたり、トナーに対する帯電性や付着性を制御したり、感光ドラム及び成層ブレード等との摩擦力を低減したり、弾性層による感光ドラム等の汚染を防止するために、上記弾性層の半径方向外側に一層以上の塗膜層を備える。そして、該塗膜層の内の少なくとも弾性層に隣接する層は、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなる。なお、本発明の導電性ローラにおいて、少なくとも弾性層に隣接する塗膜層がこの紫外線硬化型樹脂から形成されていればよく、導電性ローラが塗膜層を二層以上有している場合、他の塗膜層はこれに限定されるものではない。
【0034】
上記塗膜層用原料に用いる(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)を1つ以上有するオリゴマーである。該(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の官能基数は特に制限されるものではない。該(メタ)アクリレートオリゴマー(A)としては、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー、フッ素系(メタ)アクリレートオリゴマー、シリコーン系(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられ、これらの中でも、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。上記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε-カプロラクトンの付加物等と、(メタ)アクリル酸との反応により、或いはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
【0035】
上記ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。また、上記エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し且つグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物が更に好ましい。更に、上記エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。
【0036】
上記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、特に制限されないが、重量平均分子量が4500以上であることが好ましく、6000以上であることが更に好ましく、そして、かかる重量平均分子量が40000以下であることが好ましい。ここで、該重量平均分子量が4500以上であれば、塗膜層に伸び特性を付与することができ、ローラの耐久性が改善される。一方、重量平均分子量が40000を超えると、塗膜層の粘着性が低下し、作業性が低下してしまう場合がある。
【0037】
上記塗膜層用原料に用いる(メタ)アクリレートモノマー(B)は、官能基数が1であるモノマーであって、紫外線照射により硬化する上、紫外線硬化型樹脂に伸び特性を付与することができる。ここで、官能基とは、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)を指す。(メタ)アクリレートモノマー(B)の官能基数が2以上であれば、塗膜層の伸びが損なわれ、ローラの耐久性を悪化させる。
【0038】
上記(メタ)アクリレートモノマー(B)は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の他、嵩高い置換基又は極性基を有することが好ましい。(メタ)アクリレートモノマー(B)が嵩高い置換基又は極性基を有することで、重合後の高分子鎖は立体的に嵩高くなり、又は高分子鎖内の極性基相互作用が強くなる結果、高分子の結晶性が低下する。一般に、非晶性高分子は、結晶性高分子より伸び特性が良好である傾向があるため、上述の(メタ)アクリレートモノマー(B)は、伸び特性の付与に有効であると考えられる。ここで、嵩高い置換基としては、環状構造又は分枝鎖状構造を有する置換基が挙げられ、環状構造を有する置換基が好ましい。該環状構造としては、単環式又は多環式の何れのものでもよいが、環の運動が制限された強固な環状構造を形成したものが好ましく、環状に共役した構造、三つ以上の環から形成された多環系の架橋環式構造等が更に好ましい。なお、環状構造は、環式炭化水素でもよいし、ヘテロ環でもよい。また、環状に共役した構造としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環等が好ましく、一方、三つ以上の環から形成された多環系の架橋環式構造としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン環、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環等が好ましい。従って、嵩高い置換基として、具体的には、フェノキシエチル基、イソボルニル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、アダマンチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基等が挙げられ、これらの中でも、フェノキシエチル基及びイソボルニル基が好ましい。一方、上記極性基としては、窒素又は酸素を含む極性基が好ましく、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、含窒素複素環基、含酸素複素環基等が更に好ましく、アミノ基、含窒素複素環基及び含酸素複素環基が一層好ましい。なお、窒素又は酸素を含む極性基は、更に他のヘテロ原子を含んでもよい。ここで、アミノ基としては、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基等が好ましい。ジアルキルアミノ基としては、炭素数1〜10のアルキル基を有するジアルキルアミノ基が更に好ましく、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基等が一層好ましい。一方、ジアリールアミノ基としては、芳香属性を示す環の炭素数が6〜10の無置換又は置換アリール基を有するジアリールアミノ基が更に好ましく、ジフェニルアミノ基等が一層好ましい。また、含窒素複素環基として、具体的には、モルホリノ基等が挙げられ、含酸素複素環基として、具体的には、テトラヒドロフリル基等が挙げられる。
【0039】
以上のことから、上記(メタ)アクリレートモノマー(B)として、具体的には、アクリロイルモルホリン、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が好適に挙げられる。なお、(メタ)アクリレートモノマー(B)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
本発明の導電性ローラにおいて、上記塗膜層用原料は、反応性希釈剤として上記(メタ)アクリレートモノマー(B)以外の(メタ)アクリレートモノマー(D)を含有してもよい。該(メタ)アクリレートモノマー(D)は、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)を1つ以上有するモノマーであり、塗膜層用原料における反応性希釈剤として作用し、即ち、紫外線で硬化する上、塗膜層用原料の粘度を低下させることが可能である。該(メタ)アクリレートモノマー(D)は、官能基数が1.0〜10であることが好ましく、1.0〜3.5であることが更に好ましい。また、該アクリレートモノマー(D)は、分子量が100〜2000であることが好ましく、100〜1000であることが更に好ましい。
【0041】
上記(メタ)アクリレートモノマー(D)としては、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、イソミリスチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、グリシジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられ、これらの中でも、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。これら(メタ)アクリレートモノマー(D)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
上記塗膜層用原料において、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)、及び任意に含まれ得る(メタ)アクリレートモノマー(D)の合計に占める(メタ)アクリレートモノマー(B)の割合は、10〜60質量%の範囲が好ましい。上記(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有率が10質量%未満では、紫外線硬化膜にタック感があるため、摩擦による摩耗が発生するおそれがあり、一方、60質量%を超えると、紫外線硬化膜に未反応のモノマーが残り易く、未硬化成分のブリードが問題となる。
【0043】
上記塗膜層用原料に用いる光重合開始剤(C)は、紫外線を照射されることによって、上述した(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び(メタ)アクリレートモノマー(D)の重合を開始させる作用を有する。該光重合開始剤(C)としては、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン及び3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4-ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記塗膜層用原料における光重合開始剤(C)の配合量は、上記オリゴマー及びモノマーの合計100質量部に対して、0.2〜5.0質量部の範囲が好ましい。光重合開始剤(C)の配合量が0.2質量部以下では、塗膜層用原料の紫外線硬化を開始する効果が小さく、一方、5.0質量部を超えると、紫外線硬化を開始させる効果が飽和する一方、コストが高くなる。
【0044】
上記塗膜層用原料においては、光重合開始剤(C)による重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン系光重合促進剤、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系光重合促進剤、チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤等を更に塗料に添加してもよい。これら光重合促進剤の添加量は、上記オリゴマー及びモノマーの合計100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましい。
【0045】
本発明の導電性ローラにおいて、上記塗膜層用原料は、上記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)、光重合開始剤(C)、任意に(メタ)アクリレートモノマー(D)及び光重合促進剤を含む他、導電剤、微粒子、重合禁止剤等を含有することが好ましい。なお、本発明の導電性ローラにおいて、弾性層に隣接する塗膜層以外の塗膜層は、特に限定されず、弾性層に隣接する塗膜層と同様であっても、異なってもよい。
【0046】
本発明の導電性ローラにおいて、上記塗膜層用原料は、導電性を付与するために、導電剤を含有してもよく、該導電剤としては、上述の弾性層に用いることができる導電剤と同様のものが挙げられる。
【0047】
本発明の導電性ローラにおいて、上記塗膜層用原料は、更に、微粒子を含有してもよい。塗膜層用原料に微粒子を含ませることで、導電性ローラの表面に適度な微小凹凸を形成することができる。該微粒子としては、ゴム、ウレタン又は合成樹脂製の微粒子やカーボン製の微粒子およびシリカ系微粒子等の無機微粒子が好ましく、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタンアクリレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ガラス状カーボン製の微粒子およびシリカ微粒子が特に好ましい。これら微粒子は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、該微粒子の含有量は、上記オリゴマー及びモノマーの合計100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲が好ましい。
【0048】
本発明の導電性ローラにおいて、上記塗膜層用原料は、更に、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤を添加することで、紫外線照射前の熱重合を防止することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、p-メトキシフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチルヒドロキシアニソール、3-ヒドロキシチオフェノール、α-ニトロソ-β-ナフトール、p-ベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシ-p-キノン等が挙げられる。また、該重合禁止剤の含有量は、上記オリゴマー及びモノマーの合計100質量部に対して、0.001〜0.2質量部の範囲が好ましい。
【0049】
本発明の導電性ローラにおいて、弾性層に隣接する塗膜層を形成する紫外線硬化型樹脂は、破断伸びが80%以上であることを要し、80〜600%であることが好ましい。紫外線硬化型樹脂の破断伸びが80%未満では、塗膜層の伸びが損なわれ、ローラの耐久性が悪化する結果、印字中に塗膜割れや塗膜削れを生じてしまう。
【0050】
また、本発明の導電性ローラにおいて、弾性層に隣接する塗膜層を形成する紫外線硬化型樹脂は、破断伸びが80%以上であることに加えて、弾性率を280MPa以下、好ましくは5〜200MPaの範囲にすることにより、耐久性をさらに向上させることができる。紫外線硬化型樹脂の弾性率が280MPaを超えると、塗膜層へ応力が集中し、ローラの耐久性が悪化する結果、印字中に塗膜割れや塗膜削れを生ずる。
【0051】
上記塗膜層の厚さの合計は、0.5μm〜150μmの範囲が好ましい。塗膜層の厚さの合計が0.5μm未満では、塗膜層を配設する効果が小さく、150μmを超えると、導電性ローラの表面が硬くなり、柔軟性が損なわれる。
【0052】
本発明の導電性ローラは、特に限定されるものではなく、例えば、塗膜層を構成する各成分を含む塗膜層用原料(塗料)を調製し、上述の方法で得たローラ本体の弾性層上に塗布した後、紫外線照射して塗膜層を形成することで作製できる。また、塗膜層を二層以上有する導電性ローラにおいては、同様の手順を繰り返し行うことで作製できる。この場合、本発明の導電性ローラは、製造に長い乾燥ラインを必要とせず、また、安定した品質の塗膜層を有する。なお、塗膜層用原料(塗料)を弾性層及び塗膜層の外表面に塗布する方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法等が挙げられる。また、紫外線照射に用いる光源としては、水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線照射の条件は、各種原料に含まれる成分及び塗布量等に応じて適宜選択され、照射強度や積算光量等を適宜調整すればよい。
【0053】
上述した本発明の導電性ローラは、画像形成装置の現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、クリーニングローラ、定着用の加圧ローラ等として用いることができる。
【0054】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、上述した導電性ローラを備えることを特徴とする。本発明の画像形成装置は、上記導電性ローラを用いる以外、特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。
【0055】
以下に、図を参照して本発明の画像形成装置を詳細に説明する。図2は、本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。図示例の画像形成装置は、静電潜像を保持した感光ドラム5と、感光ドラム5の近傍(図では上方)に位置し感光ドラム5を帯電させるための帯電ローラ6と、トナー7を供給するためのトナー供給ローラ8と、トナー供給ローラ8と感光ドラム5との間に配置された現像ローラ9と、現像ローラ9の近傍(図では上方)に設けられた成層ブレード10と、感光ドラム5の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ11と、感光ドラム5に隣接して配置されたクリーニングローラ12とを備える。なお、本発明の画像形成装置は、更に画像形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
【0056】
図示例の画像形成装置においては、感光ドラム5に帯電ローラ6を当接させて、感光ドラム5と帯電ローラ6との間に電圧を印加して、感光ドラム5を一定電位に帯電させた後、露光機(図示せず)により静電潜像を感光ドラム5上に形成する。次に、感光ドラム5と、トナー供給ローラ8と、現像ローラ9とが、図中の矢印方向に回転することで、トナー供給ローラ8上のトナー7が現像ローラ9を経て感光ドラム5に送られる。現像ローラ9上のトナー7は、成層ブレード10により、均一な薄層に整えられ、現像ローラ9と感光ドラム5とが接触しながら回転することにより、トナー7が現像ローラ9から感光ドラム5の静電潜像に付着し、該潜像が可視化する。潜像に付着したトナー7は、転写ローラ11で紙等の記録媒体に転写され、また、転写後に感光ドラム5上に残留するトナー7は、クリーニングローラ12によって除去される。ここで、本発明の画像形成装置においては、例えば、帯電ローラ6、トナー供給ローラ8、現像ローラ9、転写ローラ11及びクリーニングローラ12の少なくともいずれかに、例えば上述した弾性層3と塗膜層4とを備え、優れた耐久性を有する導電性ローラ1を用いることで、優れた画像を安定的に形成することが可能となる。
【実施例】
【0057】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0058】
まず、実施例1〜14及び比較例1〜9に共通した仕様の弾性層を有するローラ本体を以下の処方に基づき作製した。
【0059】
(ローラ本体の作製)
ポリエーテルポリオールによりプレポリマー化されたNCO含有率6.7%のポリオール変性トリレンジイソシアネートであるイソシアネート成分100質量部と、導電性カーボンブラック2.0質量部、水酸基価37.0mgKOH/gで平均官能基数3のポリエーテルポリオール21質量部、水酸基価388mgKOH/gで平均官能基数3のポリエーテルポリオール19質量部、水酸基価34mgKOH/gの反応性シリコーン整泡剤(ポリジメチルシロキサン/ポリエチレンオキサイド共重合体)5質量部、過塩素酸ナトリウム0.3質量部及びジブチルスズジラウレート0.2質量部とを混合し、ポリウレタン原料を調製した。このポリウレタン原料をメカニカルフロス法により発泡させた。この発泡ポリウレタン原料を、金属軸がセットされた金型に注型することにより、軸の周囲にウレタン発泡体の弾性層を有するローラ本体を作製した。なお、得られたウレタン発泡体の発泡倍率は1.6倍であった。
【0060】
(実施例1〜14及び比較例1〜6)
次に、上記ローラ本体の表面に、表1〜3に示す配合処方の塗膜層用塗料をロールコーターにて塗布し、UV照射強度1500mW/cm2で5秒間UV照射して、表面にUV塗膜[厚さ:20μm]を有する導電性ローラを得た。得られた導電性ローラにおいて、印字耐久試験を下記の方法で評価した。また、塗膜層用塗料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂の破断伸び及び弾性率についても、下記の方法で測定した。結果を表1〜3に示す。
【0061】
(1)印字耐久試験
導電性ローラを現像ローラとして画像形成装置に組み込み、5000枚印刷した後、導電性ローラにおけるローラ削れの度合いを、目視にて下記基準で判断した。
ローラの表面に線が見えないか、見えても段差が確認できないものを「良好」、ローラの表面に段差は確認できないものの、塗膜層を形成する紫外製硬化型樹脂の弾性率が高過ぎてしまい、スペック割れを起こすものを「やや良好」、ローラの表面に段差がはっきり確認できるものを「悪い」とした。
【0062】
(2)紫外線硬化型樹脂の破断伸び及び弾性率
JIS法プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法(JIS K 7127−1989)で評価した。具体的には、樹脂塗料をガラスモールド中でUV硬化させ、樹脂プレートを作製し、全長20cm、幅1〜2.5cmの短冊状に切り、サンプルとした。このサンプルについて、チャック間距離10cmとし、引っ張り試験機[(株)オリエンテック製STA−1150]にて、破断時の伸び率を記録した。また、弾性率は、上記サンプルの5%伸びにおける応力から計算した。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
*1 ウレタンアクリレートオリゴマー,共栄社化学(株)製,重量平均分子量:4500.
*2 エポキシアクリレートオリゴマー,共栄社化学(株)製,重量平均分子量:600.
*3 極性基含有アクリレートモノマー,アクリロイルモルホリン,新中村化学工業(株)製.
*4 極性基含有メタクリレートモノマー,N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート,共栄社化学(株)製.
*5 嵩高い置換基含有アクリレートモノマー,イソボルニルアクリレート,共栄社化学(株)製.
*6 嵩高い置換基含有アクリレートモノマー,フェノキシエチルアクリレート,共栄社化学(株)製.
*7 2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート,共栄社化学(株)製.
*8 1,6-ヘキサンジオールジアクリレート,共栄社化学(株)製.
*9 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製.
*10 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本合成化学工業(株)製,重量平均分子量:18000.
*11 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本化薬(株)製,重量平均分子量:8100.
*12 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本化薬(株)製,重量平均分子量:11500.
*13 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本合成化学工業(株)製,重量平均分子量:10000.
*14 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本合成化学工業(株)製,重量平均分子量:10000.
*15 ウレタンアクリレートオリゴマー,日本合成化学工業(株)製,重量平均分子量:5000.
【0067】
表1〜3から、実施例の導電性ローラは、官能基数が1で且つ嵩高い置換基又は極性基を含有する(メタ)アクリレートモノマー(B)を含む塗膜層用塗料を紫外線照射で硬化させた、破断伸びが80%以上の紫外線硬化型樹脂からなる塗膜層を用いたことで、比較例の導電性ローラよりも耐久性が良好であることが分かった。また、実施例1,2,7,12,13の結果から、本発明の導電性ローラは、嵩高い置換基を含有する(メタ)アクリレートモノマーと極性基を含有する(メタ)アクリレートモノマーとを組み合わせても、ローラの耐久性に優れることが分かった。更に、実施例5,12の結果から、本発明の導電性ローラは、上記(メタ)アクリレートモノマー(B)以外の(メタ)アクリレートモノマーを含んでもよいことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の導電性ローラの一例の断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 導電性ローラ
2 シャフト部材
3 弾性層
4 塗膜層
5 感光ドラム
6 帯電ローラ
7 トナー
8 トナー供給ローラ
9 現像ローラ
10 成層ブレード
11 転写ローラ
12 クリーニングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト部材と、該シャフト部材の半径方向外側に配設された弾性層と、該弾性層の半径方向外側に配設された一層以上の塗膜層とを備える導電性ローラにおいて、
少なくとも前記弾性層に隣接する塗膜層が、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、(メタ)アクリレートモノマー(B)及び光重合開始剤(C)を含む塗膜層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなり、
前記紫外線硬化型樹脂は、破断伸びが80%以上であることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、重量平均分子量が4500以上であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)がウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレートモノマー(B)が、アクリロイルモルホリン、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項5】
前記(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、前記(メタ)アクリレートモノマー(B)との合計中の(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有率が、10〜60質量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ローラを用いた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−146040(P2008−146040A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296851(P2007−296851)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】