説明

導電性粘着テープ

【課題】粘着剤層を薄膜化した場合であっても、粘着性と導電性に優れ、さらに段差に貼付した場合にも被着体からの「浮き」を生じない優れた段差吸収性を有する導電性粘着テープを提供することにある。
【解決手段】本発明の導電性粘着テープは、アスペクト比が1.0〜1.5の球状及び/又はスパイク状の導電性フィラーを、該導電性フィラーを除く粘着剤の全固形分100重量部に対して14〜45重量部含有し、粘着剤中の全フィラー中に占める該導電性フィラーの割合が90重量%以上である粘着剤から構成される厚み10〜30μmの粘着剤層を有する粘着テープであって、フィラーの粒径d50、d85及び粘着剤層厚みが、d85>粘着剤層厚み>d50の関係にあることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電性粘着テープ(導電性粘着シートを含む)は、電気・電子機器やケーブルの電磁波シールド用途、静電気防止用のアース取りなどの用途に用いられている。このような導電性粘着テープとしては、金属箔などの導電性基材上に、ニッケル粉などの導電性フィラーを粘着性物質中に分散させた導電性粘着剤からなる粘着剤層が設けられた粘着テープが知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
ところで、近年、電気・電子機器の小型化、薄膜化に伴い、これらに用いられる導電性粘着テープも薄膜化が求められるようになってきている。しかし、粘着剤層を薄膜化するに伴い、粘着性と導電性の両立が困難となってきており、さらに段差のある部分に貼付する場合、粘着剤層が段差を吸収しきれず、テープの「浮き」を生じるなどの新たな問題が生じてきており、更なる改善が求められているのが現状である。
【0004】
【特許文献1】特開2004−263030号公報
【特許文献2】特開2005−277145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、粘着剤層を薄膜化した場合であっても、粘着性と導電性に優れ、さらに段差に貼付した場合にも被着体からの「浮き」を生じない優れた段差吸収性を有する導電性粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定形状の導電性フィラーを特定量分散させた導電性粘着剤から構成される粘着剤層を有する導電性粘着テープにおいて、粘着剤層厚みと導電性フィラーの粒径(フィラー径)を特定範囲にすることにより、粘着剤層が薄膜の場合であっても粘着性と導電性及び段差吸収性に優れた導電性粘着テープが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、アスペクト比が1.0〜1.5の球状及び/又はスパイク状の導電性フィラーを、フィラーを除く粘着剤の全固形分100重量部に対して14〜45重量部含有し、粘着剤中の全フィラー中に占める該導電性フィラーの割合が90重量%以上である粘着剤から構成される厚み10〜30μmの粘着剤層を有する粘着テープであって、フィラーの粒径d50、d85及び粘着剤層厚みが、d85>粘着剤層厚み>d50の関係にあることを特徴とする導電性粘着テープを提供する。
【0008】
さらに、本発明は、粘着剤がアクリル系粘着剤である前記の導電性粘着テープを提供する。
【0009】
さらに、本発明は、架橋構造化した後の粘着剤の、動的粘弾性試験による0〜40℃の範囲における貯蔵弾性率G’が1×104Pa以上、1×106Pa未満であり、かつ損失正接tanδのピーク温度が0℃以下である前記の導電性粘着テープを提供する。
【0010】
さらに、本発明は、導電性フィラーが金属フィラーまたは金属被覆フィラーである前記の導電性粘着テープを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、金属箔からなる基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層を有する前記の導電性粘着テープを提供する。
【0012】
さらに、本発明は、基材の両面に粘着剤層を有する前記の導電性粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の導電性粘着テープは、前記構成を有しているので、薄膜でありながら、粘着性と導電性を両立し、しかも、段差のある部分に貼付した場合でも被着体から「浮き」を生じることがない。このため、電気・電子機器などの製造に用いた場合、これらの製品の生産性、品質が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の導電性粘着テープは、導電性フィラーを含有する粘着剤層を少なくとも一層有する。上記導電性粘着テープは、片面のみが粘着面である片面粘着テープであってもよいし、両面が粘着面である両面粘着テープであってもよい。また、基材を有しておらず、粘着剤層のみからなる基材レスタイプの粘着テープ(両面粘着テープ)であってもよいし、基材(導電性基材)付きタイプの粘着テープ(片面粘着テープ、両面粘着テープ)であってもよい。上記の中でも、ハンドリング性、加工性等の観点からは、基材付きタイプの導電性粘着テープが好ましく、例えば、金属箔からなる基材(導電性基材)の少なくとも一方の面側に粘着剤層(導電性粘着剤層)の設けられた積層構成を有する導電性粘着テープが好ましい。なお、本発明における「導電性粘着テープ」は、シート状の形態のもの、即ち、「導電性粘着シート」を含むものとする。
【0015】
本発明の導電性粘着テープにおける粘着剤層は、ベースポリマーおよび導電性フィラーを必須成分とし、必要に応じて、粘着付与樹脂、架橋剤、その他の添加剤を含有する粘着剤(導電性粘着剤)より形成される。中でも、耐久性、耐候性、耐熱性の観点から、ベースポリマーがアクリル系ポリマー(アクリル系重合体)であるアクリル系粘着剤が好ましい。
【0016】
本発明の粘着剤層に用いられるベースポリマーとしては、天然ゴムや各種の合成ゴム[例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンや、これらの変性体等]などのゴム系ポリマー;アクリル系ポリマー;シリコーン系ポリマー;ビニルエステル系ポリマーなどの公知の粘着剤に用いられるベースポリマーを用いることが可能であるが、中でも、アクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
【0017】
上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルをモノマー主成分として構成される重合体である。上記モノマー主成分の他に、カルボキシル基含有モノマーを共重合モノマー成分として含むことが好ましい。また、必要に応じてさらに他のモノマー成分が用いられていてもよい。なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。以下も同様である。
【0018】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜12、好ましくは4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられる。中でも、粘弾性特性の観点から、アルキル基の炭素数が4〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、特に、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)が好適である。
【0019】
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどが挙げられる。
【0020】
上記モノマー主成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0021】
アクリル系ポリマーにおいて、モノマー主成分である(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルのモノマー割合は、モノマー成分全量に対して、50重量%以上であり、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。なお、上記モノマー主成分の割合の上限としては、99重量%以下(特に、97重量%以下)であることが好ましい。モノマー主成分の割合が、モノマー成分全量に対して50重量%未満であると、適度な粘弾性を得られない。モノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルがともに含まれる場合には、両者の合計量が上記範囲を満たしていればよい。
【0022】
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。また、これらのカルボキシル基含有モノマーの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー)も、カルボキシル基含有モノマーとして用いることが可能である。これらのモノマー成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0023】
上記カルボキシル基含有モノマーの割合としては、全モノマー成分100重量部に対して、1〜10重量部が好ましく、より好ましくは3〜8重量部である。上記割合が1重量部未満の場合には、被着体に対する良好な接着性が確保できない場合がある。一方、10重量部より多いと粘着剤の粘度上昇による塗工性不良などの問題が生じる場合がある。
【0024】
上記の共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、ヒドロキシル基含有モノマー[(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなど]、エポキシ基含有アクリル系モノマー[(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなど]、グリセリンジメタクリレートや2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の官能性モノマー;トリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルや(メタ)アクリル酸イソボルニル等の非芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル[(メタ)アクリル酸フェノキシエチルなど]や、(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルエステル]等の芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエンなどのオレフィン系モノマー;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。上記共重合可能な他のモノマーの割合は、全モノマー成分100重量部のうち10重量部未満の範囲で、各モノマー成分の種類応じて適宜選択することができる。
【0025】
本発明の粘着剤層のベースポリマーとして用いられるアクリル系ポリマーとしては、上記の中でも、特にアクリル酸2−エチルヘキシル20〜50重量%、アクリル酸n−ブチル40〜79重量%、アクリル酸1〜10重量%からなるアクリル系ポリマーが、粘着剤層の粘弾性特性の観点などからも特に好ましい。
【0026】
上記アクリル系ポリマーは、公知乃至慣用の重合方法により調製することができる。重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や紫外線照射による重合方法などが挙げられ、フィラー分散性、コストなどの点で、溶液重合方法が好適である。
【0027】
アクリル系ポリマーの重合に際して用いられる重合開始剤、連鎖移動剤などは、特に限定されず、公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用することができる。より具体的には、重合開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系重合開始剤などの油溶性重合開始剤が好ましく例示される。重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100重量部に対して0.01〜1重量部程度の範囲から選択することができる。
【0028】
なお、溶液重合では、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、塗工性、段差吸収性の観点から、30万〜100万が好ましく、より好ましくは40万〜80万である。重量平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。なお、上記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
【0030】
本発明の粘着剤層に用いられる導電性フィラー(導電性粒子)としては、公知慣用のものを用いることができ、例えば、ニッケル、鉄、クロム、コバルト、アルミニウム、アンチモン、モリブデン、銅、銀、白金、金などの金属、これらの合金若しくは酸化物、カーボンブラックなどのカーボンなどからなるフィラーまたはこれらをポリマービーズ、樹脂などに被覆したフィラーが例示できる。中でも、金属フィラーおよび/または金属被覆フィラーが好ましく、特に好ましくはニッケル粉である。
【0031】
上記導電性フィラーの形状は、球状および/またはスパイク状であり、好ましくは球状である。球状および/またはスパイク状の導電性フィラーを用いることにより、均一分散しやすくなるため、粘着性と導電性を両立し易くなる。フィラメント状、フレーク状や樹枝状のフィラーを用いる場合には、分散性が低下して粗大凝集体となったり、フィラーが粘着剤層中で粘着面と水平方向に並んでしまい、厚み方向の導電性を発揮しにくくなるため、粘着性と導電性を両立できない。また、外観不良となる場合がある。上記導電性フィラーのアスペクト比は1.0〜1.5であり、好ましくは1.0〜1.1である。なお、上記アスペクト比は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)にて測定することができる。
【0032】
粘着剤に含まれる全フィラー中に占める上記導電性フィラーの割合は、90重量%以上であり、好ましくは95重量%以上であり、粘着剤に含まれる実質的に全て(例えば、99重量%以上)のフィラーが上記導電性フィラーであることが最も好ましい。上記導電性フィラーの割合が90重量%未満の場合には、粘着剤中に、フィラメント状、フレーク状や樹枝状等のフィラーが多く含まれることとなるため、粘着性と導電性を両立する効果を得ることができない。
【0033】
上記導電性フィラーの粒径(フィラー径ともいう)d50、d85は、d85>粘着剤層厚み>d50の関係にあることが必要である。上記フィラー径d85は粒径分布における85%累積値(粒径の小さい側から85%の位置にあるフィラーの粒径)であり、d50は50%累積値(メディアン径)である。d50、d85は、例えば、後述のレーザー回折・散乱法により測定される。なお、粘着剤層中に2種類以上の導電性フィラーが含まれている場合には、全ての導電性フィラーを混合した分布から上記フィラー径を算出する。
【0034】
50、d85が上記関係にあることにより、粘着剤層は高い導電性と優れた粘着性を両立することが可能となる。d85が粘着剤層厚み以下であれば、ほとんどのフィラーが粘着剤層中に包埋されてしまうため、粘着剤層の厚み方向の導電性が低下する。一方、d50が粘着剤層厚み以上の場合には、半数以上のフィラーが粘着剤層厚みよりも大きく粘着剤層表面に突起を形成するため、粘着剤層と被着体の接触面積が低下して粘着性が低下する。また、外観が不良となる。d50、d85の具体的な範囲は、特に限定されないが、d85は20〜35μmが好ましい。また、d50は5〜20μmが好ましい。
【0035】
上記導電性フィラーは、市場で入手することが可能であり、例えば、NOVAMET製「4SP−400」(球状ニッケル粒子)、INCO製「Ni123」(スパイク状ニッケル粒子)などを用いることができる。
【0036】
上記導電性フィラーの粘着剤層中の含有量は、フィラーを除く粘着剤の全固形分100重量部に対して、14〜45重量部である。導電性フィラーの含有量が45重量部を超える場合には、特に本発明の粘着剤層厚みの領域においては、フィラー同士が凝集したり粘着剤層表面が粗くなるため、粘着性低下、外観不良を招く。また、コスト面で不利となる。一方、14重量部未満では、導電性が不足する。なお、上記、「フィラーを除く粘着剤の全固形分」とは、粘着剤層を構成する粘着剤の全固形分から粘着剤に含まれる全フィラーを除外した固形分をいうものとする。
【0037】
本発明の粘着剤層に用いられる粘着剤には、粘着性向上の観点から、粘着付与樹脂が添加されることが好ましい。上記粘着付与樹脂としては、たとえば、例えば、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂などが挙げられる。中でも好ましくは、ロジン系樹脂である。これら粘着付与剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
上記テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
【0039】
上記フェノール系粘着付与樹脂としては、各種フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂など)、前記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックの他、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。
【0040】
上記ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合などにより変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などが挙げられる。なお、前記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物や、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物などのロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン類や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩などが挙げられる。
【0041】
上記石油系粘着付与樹脂としては、、例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂(脂肪族環状石油樹脂)、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加石油樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の公知の石油樹脂を用いることができる。具体的には、芳香族系石油樹脂としては、例えば、炭素数が8〜10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、インデン、メチルインデンなど)が1種のみ又は2種以上用いられた重合体などが挙げられる。芳香族系石油樹脂としては、ビニルトルエンやインデン等の留分(いわゆる「C9石油留分」)から得られる芳香族系石油樹脂(いわゆる「C9系石油樹脂」)を好適に用いることができる。また、脂肪族系石油樹脂としては、例えば、炭素数4〜5のオレフィンやジエン[ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1等のオレフィン;ブタジエン、ピペリレン(1,3−ペンタジエン)、イソプレン等のジエンなど]が1種のみ又は2種以上用いられた重合体などが挙げられる。脂肪族系石油樹脂としては、ブタジエン、ピペリレンやイソプレン等の留分(いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」など)から得られる脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)を好適に用いることができる。脂環族系石油樹脂としては、例えば、脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン、エチリデンビシクロヘプテン、ビニルシクロヘプテン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、リモネンなど)の重合体又はその水素添加物、前記の芳香族系炭化水素樹脂や、下記の脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂などが挙げられる。脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、スチレン−オレフィン系共重合体などが挙げられる。脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、いわゆる「C5/C9共重合系石油樹脂」などを用いることができる。
【0042】
上記粘着付与樹脂は、市販品を用いることが可能であり、例えば、ハリマ化成(株)製、商品名「ハリエスター」、荒川化学(株)製、商品名「エステルガム」、「ペンセル」、(株)理化ファインテク製、商品名「リカタック」などを使用することができる。
【0043】
上記粘着付与樹脂の粘着剤中の含有量は、特に限定されないが、粘着性向上の観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)の全固形分100重量部に対して、10〜50重量部が好ましく、より好ましくは15〜45重量部である。
【0044】
本発明の粘着剤層に用いられる粘着剤には、粘着剤層のゲル分率(溶剤不溶分の割合)をコントロールする観点から、架橋剤を添加することが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。これら架橋剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−トなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられ、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。
【0046】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0047】
上記架橋剤の粘着剤中の含有量は、特に限定されないが、段差吸収性の観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)の全固形分100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましい。
【0048】
本発明の粘着剤層に用いられる粘着剤には、前記成分の他、必要に応じて、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤などの公知の添加剤が、本発明の特性を損なわない範囲で含まれていてもよい。
【0049】
また、上記粘着剤は、各種の一般的な溶剤により適宜粘度を調節して溶液(粘着剤溶液)として用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0050】
本発明の粘着剤層に用いられる粘着剤は、架橋構造化した後(即ち、粘着剤層の状態)の、動的粘弾性試験による0〜40℃の範囲における貯蔵弾性率G’が1×104Pa以上、1×106Pa未満であることが好ましい。G’が1×104Pa未満では、粘着剤層が軟らかくなりすぎ、凝集力に劣る場合がある。一方、1×106Pa以上では、粘着剤層が硬く段差吸収性が低下するため、粘着テープを段差に貼付した場合に「浮き」が生じやすくなる。また、硬化させた後の損失正接tanδのピーク温度が0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下である。tanδのピーク温度が0℃を超えると、低温時に粘着剤層が硬くなり、貼り付け作業性が著しく低下したり、段差吸収性が低下する場合がある。
【0051】
上記粘着剤の硬化後の特性は、粘着剤のベースポリマーのモノマー組成、分子量、粘着付与剤の種類、含有量などによって制御することができる。
【0052】
本発明の導電性粘着テープにおける粘着剤層の形成方法は、特に制限されず、公知の粘着剤層の形成方法の中から適宜選択することができる。具体的には、例えば、上記粘着剤(又は有機溶媒などを用いて溶液とした粘着剤溶液)を、所定の面上(基材面上など)に、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、必要に応じて乾燥乃至硬化させる方法(直写法)、適当な剥離ライナー上に粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、必要に応じて乾燥乃至硬化させて粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を所定の所定の面上(基材面上など)に転写(移着)させる方法(転写法)などが挙げられる。なお、粘着剤(粘着剤溶液)の塗布に際しては、慣用の塗工機(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いることができる。
【0053】
本発明の導電性粘着テープにおける粘着剤層の厚みは、10〜30μmであり、好ましくは15〜25μmである。粘着剤層の厚みが30μmを超える場合には、電気・電子機器の軽量化、薄膜化の観点で不利になったり、コストアップとなるため好ましくない。また、10μm未満では、導電性と粘着性の両立が困難となる。
【0054】
本発明の導電性粘着テープが基材付きタイプの導電性粘着テープである場合、基材(導電性基材)は金属箔で構成されることが好ましい。金属箔の材質としては、導電性を有しておれば特に限定されないが、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、鉄やこれらの合金が挙げられる。中でも、コスト、加工性などの観点から好ましくは、アルミニウム箔、銅箔である。
【0055】
上記金属箔の厚みは、軽量、薄膜化、コスト、段差吸収性などの観点から、10〜100μmが好ましく、より好ましくは30〜70μmである。
【0056】
本発明の導電性粘着テープが基材付きタイプの導電性粘着テープである場合、導電性粘着テープは、上記金属箔からなる導電性基材の少なくとも一方の面側に上記導電性粘着剤層が設けられた積層構成を有することが好ましい。基材の片面のみに粘着剤層が設けられた片面粘着テープであってもよいし、基材の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープであってもよい。なお、本発明の導電性粘着テープは全層が導電性を有していることが好ましい。
【0057】
本発明の導電性粘着テープの厚みは、被着体である電気・電子機器の薄膜・軽量化の観点から、15〜160μmが好ましく、より好ましくは15〜120μmである。
【0058】
本発明の導電性粘着テープの導電性粘着剤層の粘着力(対SUS板、180°ピール)は、3〜15N/20mmが好ましい。
【0059】
本発明の導電性粘着テープの粘着剤層表面(粘着面)は、粘着層表面の保護、ブロッキング防止の観点などから、テープの使用時までは、剥離ライナー(セパレータ)により保護されていることが好ましい。用いられるセパレータとしては、特に限定されず、公知慣用の剥離紙などを使用できる。例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。
【0060】
本発明の導電性粘着テープは、良好な粘着力(接着力)と導電性を有しているため、電気・電子機器やケーブルなどからの電磁波シールド用途や電気部品、光学フィルムなどの静電気防止用のアース取りなどの用途に好適に用いられる。
【0061】
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
以下に、本願で用いられる測定方法および効果の評価方法について例示する。
【0062】
(1)フィラー径 d50、d85
フィラー径d50、d85は、レーザー回折・散乱式マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300(日機装(株)製)を用いて測定した。
溶媒は水(屈折率1.33)を使用して、試料濃度がdv値(測定粒子から得られる散乱光量から得られる無次元量の値。測定部の粒子の体積に比例する数値で測定濃度を決定するマイクロトラックでの目安。)が0.02〜0.5の範囲となるように試料(フィラー)を添加し、超音波装置(出力40W)を用いて超音波を3分間照射し、流速70%(35cc/分)で循環させながら測定(測定条件:粒子透過性・・・反射)を行った。
【0063】
(2)粘着剤層厚み(JIS Z 0237に準拠)
粘着剤層の厚みは、JIS B 7503に規定されたダイヤルゲージを用いた。ダイヤルゲージの接触面は平面とし、径は5mmとした。
幅150mmの試験片を用いて、1/1000mm目盛りのダイヤルゲージで幅方向に等間隔で5点の厚みを測定した。
【0064】
(3)導電性フィラーのアスペクト比
走査型電子顕微鏡(FE−SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製、「S−4800」)を用いて測定を行った。試料(フィラー)を直接試料台に固定し、Pt−Pdスパッタリングを25秒間施したものを、加速電圧1kV、二次電子像にて観察した。球状粒子、スパイク状粒子、フィラメント状粒子、フレーク状粒子の電子顕微鏡写真(二次電子像)の例を図1〜4に示す。
得られた電子像から、任意の10個のフィラー(凝集していないもの)についての短軸と長軸の比を計測、長軸の長さ/短軸の長さをもってアスペクト比とした。値は10個の測定値の平均値を用いた。フレーク状(円筒形)のフィラーについては、直径と厚みの比をアスペクト比とした。
なお、測定は粉体状のフィラー(粘着剤に添加する前のもの)を用いて行うことが望ましいが、粘着剤層からフィラーを取り出して測定することもできる。
【0065】
(4)動的粘弾性測定 G’、tanδのピーク温度
実施例、比較例で作製した粘着剤(粘着剤溶液)を、セパレータ上に形成した粘着剤を架橋構造化(加熱乾燥による)した後、積層させることで厚さ約1.5mmとした。これ(厚さ約1.5mmの架橋構造化した粘着剤)をφ7.9mmに打ち抜き、測定試料とした。
レオメトリック社製動的粘弾性測定装置「ARES」を用いて、下記の条件で動的粘弾性測定を行い、貯蔵弾性率G’および損失正接tanδのピーク温度を測定した。
装置 : Rheometric Scientific社製 ARES(Advanced Rheometric Expansion System)
周波数 : 1Hz
温度 : −70〜200℃
昇温速度 : 5℃/分
【0066】
(5)粘着力
実施例、比較例で得られた導電性粘着テープサンプル(サンプル幅20mm)を、ステンレス板(SUS304鋼板)に、23℃、60%RHの雰囲気下、重さ2.0kg、幅30mmのローラーを1往復させて貼り合わせた(貼り合わせ長さ:100mm)。常温(23℃、60%RH)で30分間放置した後、引張試験機を用いて、JIS Z 0237に準拠して、引張速度300mm/分で、180°剥離試験を行い、引き剥がし粘着力(N/20mm)を測定した。
【0067】
(6)抵抗値
実施例、比較例で得られた導電性粘着テープから15mm幅×20mm長さの測定サンプルを切り出した。
図5の寸法となるように、アルミニウム箔2上に絶縁テープ3を重ね合わせ、アルミニウム箔と測定サンプルを、貼り合わせ部分5(点線内)の面積が1.00cm2となるように、常温環境下、ハンドローラー(幅30mm)、圧力5.0N/cmで圧着した。なお、図5の縦方向が測定サンプルの長さ方向であり、粘着テープの導電性粘着剤層表面がアルミニウム箔表面に接するように貼り合わせた。
貼り合わせた後、常温環境下で15分放置した後、測定サンプルの片端部(貼り合わせていない部分)とアルミニウム箔端部に端子を接続し(「×」印の部分)、mΩメーター(日置電機(株)製、製品名「mΩ HiTester」)にて、端子間の抵抗値(単位:mΩ/cm2)を測定した。
【0068】
(7)段差吸収性
ガラス板(ソーダライムガラス)6の上に、長さ50mm×幅20mm×厚み75μmの粘着テープ7(日東電工(株)製、「No.31B」:PETフィルム基材の片面粘着テープ)を貼り合わせて、75μmの段差を作製した(図6)。
上記段差に、測定サンプルである導電性粘着テープ8(長さ50mm×幅20mm)をハンドローラー(幅30mm)を用いて貼付した。23℃、60%RHの環境下、24時間放置した後、段差部分9での浮き距離(段差端からテープ接着点までの距離)を測定した。
上記浮き距離が2.0mm以下のものを段差吸収性良好(○)、2.0mmを超えるものを段差吸収性不良(×)と判断した。
【実施例】
【0069】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。実施例および比較例に用いた導電性フィラーの詳細、導電性粘着テープの構成や評価結果等を表1、表2に示す。
【0070】
実施例1
アクリル酸2−エチルヘキシル:30重量部、アクリル酸n−ブチル:67重量部およびアクリル酸:3重量部を、トルエンを溶媒として、アゾビスイソブチロニトリル:0.1重量部を開始剤として、常法により溶液重合させて(65℃5時間、80℃2時間)、重量平均分子量が約50万のアクリル系ポリマーの溶液(固形分濃度:40.0重量%)を得た。
このアクリル系ポリマー溶液の固形分100重量部に対して、粘着付与樹脂として重合ロジンペンタエリスリトールエステル(荒川化学(株)製、「ペンセル D−125」)35重量部を配合し、アクリル系樹脂組成物溶液(固形分濃度:46.8重量%)を作製した。
このアクリル系樹脂組成物溶液の固形分100重量部に対して、ニッケル粉末(NOVAMET製「4SP−400」、フィラー径d50:12.0μm、d85:26.2μm、球状)を35重量部、トルエン100重量部、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、商品名「コロネート L」)2重量部を配合して、攪拌機で10分間混合して、導電性粘着剤の溶液(アクリル系粘着剤溶液)を得た。
上記導電性粘着剤の貯蔵弾性率(G’)は0℃で5.3×105Pa、40℃で7.4×104Pa、損失正接(tanδ)のピーク温度は−12℃であった。なお、実施例2〜8、比較例1〜6もG’及びtanδは同じ値であった。
上記で得られた導電性粘着剤溶液を、厚さ163μmの剥離紙(王子製紙(株)製、「110EPS(P)ブルー」)上に、粘着剤層の厚みが20μmになるように塗布し、120℃の乾燥機で3分間乾燥させた後、厚み40μmのアルミニウム箔(アルミ箔)(往軽アルミ箔(株)製、商品名「ベスパ」)と貼り合わせ、50℃で2日間エージングして、導電性粘着テープを得た。
【0071】
実施例2、3
表1に示すように、導電性フィラーの含有量を変更した以外は、実施例1と同様にして、導電性粘着テープを得た。
【0072】
実施例4、5
表1に示すように、粘着剤層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして、導電性粘着テープを得た。
【0073】
実施例6、7
表1に示すように、ニッケル粉末をINCO製「Ni123」(フィラー径d50:11.2μm、d85:26.2μm、スパイク状)に変更し、実施例6ではさらに粘着剤層の厚みを変更して、実施例1と同様に、導電性粘着テープを得た。
【0074】
実施例8
表1に示すように、基材を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、導電性粘着テープを得た。ただし、評価では40μmのアルミニウム箔に貼り合わせて評価を実施した。
【0075】
比較例1
表2に示すように、導電性フィラーの含有量を変更した以外は、実施例1と同様にして、導電性粘着テープを得た。
【0076】
比較例2
表2に示すように、粘着剤層の厚みをフィラー径d50以下となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、導電性粘着テープを得た。
【0077】
比較例3
表2に示すように、粘着剤層の厚みをフィラー径d85以上となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、導電性粘着テープを得た。
【0078】
比較例4、5
表2に示すように、ニッケル粉末をINCO製「Ni287」(フィラー径d50:21.5μm、d85:48.0μm、フィラメント状)およびINCO製「Ni123」に変更し、導電性フィラーの含有量、粘着剤層厚みなどを変更して、実施例1と同様にして、導電性粘着テープを得た。
【0079】
比較例6
表2に示すように、ニッケル粉末を福田金属箔粉工業製「Ni−Flake95」(フィラー径d50:10.7μm、d85:22.9μm、フレーク状)に変更し、実施例1と同様にして、導電性粘着テープを得た。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
評価結果(表1、表2)からわかるとおり、本発明の両面粘着シート(実施例1〜8)は、優れた粘着力と高い導電性(低い抵抗値)を両立しており、テープの外観も良好であった。また、本発明の両面粘着シート(実施例1〜8)は、上記評価方法(7)の評価において段差に貼付した際にも優れた段差吸収性を示した。
一方、球状又はスパイク状導電性フィラーの含有量が少ない場合(比較例1)、粘着剤層厚みがフィラー径d85以上である場合(比較例3〜6)には導電性が低下し、粘着剤層厚みがフィラー径d50以下である場合(比較例2)には粘着テープの表面の凹凸が顕著であり粘着力が低下した。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、球状粒子(4SP-400)の電子顕微鏡写真の一例である。
【図2】図2は、スパイク状粒子(Ni123)の電子顕微鏡写真の一例である。
【図3】図3は、フィラメント状粒子(Ni287)の電子顕微鏡写真の一例である。
【図4】図4は、フレーク状粒子(Ni Flake95)の電子顕微鏡写真の一例である。
【図5】図5は、実施例における抵抗値の評価方法を示す概略図である。
【図6】図6は、実施例における段差吸収性の評価方法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0084】
1 ソーダライムガラス
2 アルミニウム箔
3 絶縁テープ
4 測定サンプル
5 貼り合わせ部分(点線内)
6 ソーダライムガラス
7 粘着テープ
8 測定サンプル(導電性粘着テープ)
9 段差部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスペクト比が1.0〜1.5の球状及び/又はスパイク状の導電性フィラーを、フィラーを除く粘着剤の全固形分100重量部に対して14〜45重量部含有し、粘着剤中の全フィラー中に占める該導電性フィラーの割合が90重量%以上である粘着剤から構成される厚み10〜30μmの粘着剤層を有する粘着テープであって、フィラーの粒径d50、d85及び粘着剤層厚みが、d85>粘着剤層厚み>d50の関係にあることを特徴とする導電性粘着テープ。
【請求項2】
粘着剤がアクリル系粘着剤である請求項1に記載の導電性粘着テープ。
【請求項3】
架橋構造化した後の粘着剤の、動的粘弾性試験による0〜40℃の範囲における貯蔵弾性率G’が1×104Pa以上、1×106Pa未満であり、かつ損失正接tanδのピーク温度が0℃以下である請求項1または2に記載の導電性粘着テープ。
【請求項4】
導電性フィラーが金属フィラーまたは金属被覆フィラーである請求項1〜3のいずれかの項に記載の導電性粘着テープ。
【請求項5】
金属箔からなる基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層を有する請求項1〜4のいずれかの項に記載の導電性粘着テープ。
【請求項6】
基材の両面に粘着剤層を有する請求項5に記載の導電性粘着テープ。

【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−79127(P2009−79127A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249449(P2007−249449)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】