説明

導電性繊維状中空シリカ微粒子分散質およびその製造方法

【解決手段】平均粒子径が5〜500nmの範囲にあり、繊維状で中空構造を有し、導電性を有する導電性繊維状中空シリカ微粒子、これが分散媒に分散してなる導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液、前記微粒子の製造方法、前記微粒子を含む反射防止被膜形成用組成物、前記組成物により形成された反射防止被膜、樹脂基材上に前記反射防止被膜が形成されてなる反射防止被膜付基材。
【効果】本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子は、低屈折率の材料であり、その構造に起因して造膜性にも優れ、更に導電性を有するため帯電防止効果を有するものである。該微粒子によれば、基材上に平滑な膜を形成することができる。また、該微粒子を含有する反射防止用基材は、屈折率の低い優れた反射防止用基材となる。本発明の製造方法によれば、前記導電性繊維状中空シリカ微粒子を実用的に調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液および導電性繊維状中空シリカ微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
陰極管表示装置(CRT)、液晶ディスプレー(LCD)等の表示装置の表示面は、一定の視認性を確保するために、外部光源から照射された光線の反射を抑制することが望ましい。この反射を抑制する方法として、従来、透明な前記表示装置の表面上に透明な低屈折率層を形成する方法が知られている。
【0003】
低屈折率層を形成する方法として、一般に気相法と塗布法とに大別される。
気相法には真空蒸着法、スパッタリング法等の物理的方法と、CVD法等の化学的方法とがある。塗布法にはロールコート法、グラビアコート法、スライドコート法、スプレー法、浸漬法、スクリーン印刷法等がある。
【0004】
気相法の場合には、高品質な透明薄膜形成が可能である一方で、高真空系での雰囲気制御が必要とされる。また、特殊な加熱装置またはイオン発生加速装置が必要とされるため、必然的にコストが増大するという問題がある。さらに、大面積の透明薄膜を形成したり、複雑な形状を有するフィルム等の表面に透明薄膜を均一に形成することが困難である。
【0005】
一方、塗布法のうちスプレー法の場合には、塗工液の利用効率が悪く、成膜条件の制御が容易ではない等の問題がある。ロールコート法、グラビアコート法、スライドコート法、浸漬法、およびスクリーン印刷法等の場合には、原料の利用効率が良く大量生産や設備コスト面で優れているが、一般的に、これらの塗布法の場合は、気相法の場合よりも、得られる透明薄膜の品質が劣る場合があった。
【0006】
塗布法としては、例えば、分子中にフッ素原子を含むポリマーからなる塗工液を、基材の表面に塗布し乾燥させ、低屈折率層を形成する方法か、あるいは、分子中に電離放射線や熱で硬化する官能基を含むモノマーからなる塗工液を、基材の表面に塗布し、乾燥した後、UV照射や熱などによって該モノマーを硬化させて低屈折率層を形成する方法が知られている。
【0007】
低屈折率層を形成する他の方法として、屈折率が1である空気を、可視光線の波長以下の大きさにして、塗膜内部に含有させることによって、塗膜全体の屈折率を低下させる方法が知られている。
【0008】
特許文献1や特許文献2には、内部に空洞を有する中空シリカ等の中空微粒子を、アルコキシシランの加水分解重縮合物から得られる無機成分を含むバインダー中に分散させた低屈折率層が開示されている。この低屈折率層は、多数のミクロボイドを有する低屈折率層と同等の効果を有し、かつミクロボイドがシリカ等の硬い外殻に保護された形となっているため、ある程度の塗膜硬度を有する。しかしながら、無機成分を含むバインダーにより硬い塗膜が形成される反面、外部からの衝撃に対して脆いために、塗膜の機械強度、特に耐擦傷性が劣るといった問題があった。さらに、中空シリカ粒子の凝集効果により塗膜単独の場合に比べてより硬い塗膜が得られる反面、脆性も増すため、低屈折率でかつ機械強度に優れる塗膜の実現は困難であった。そして、シリカ粒子の添加量をある程度増やすとシリカ粒子の凝集が起こり、塗膜の機械強度が一気に低下してしまうという問題点があった。
【0009】
したがって、低屈折率を有し、かつ機械強度に優れる反射防止膜が求められている。
前記中空シリカ粒子について、粒径が0.1〜300μm程度の中空シリカ粒子は公知である(例えば、特許文献3、4参照)。また、特許文献5には、珪酸アルカリ金属水溶液から活性シリカをシリカ以外の材料からなるコア上に沈殿させ、該材料を、シリカシェルを破壊させることなく除去することによって、稠密なシリカシェルからなる中空粒子を製造する方法が開示されている。
【0010】
さらに、特許文献6には、外周部が殻、中心部が中空で、殻は外側が緻密で内側ほど粗な濃度傾斜構造をもったコア・シェル構造であるミクロンサイズの球状シリカ粒子が開示されている。
【0011】
また、本発明者等は先に、多孔性の無機酸化物微粒子の表面をシリカ等で完全に被覆することにより、低屈折率の複合酸化物微粒子が得られることを提案している(例えば、特許文献7参照)。
【0012】
特許文献8には、球状以外の形状をとる中空シリカ粒子として、無機酸化物粒子が平均連結数で2〜30個鎖状に連結した無機酸化物粒子群であって、該無機酸化物粒子が、多孔質および/または内部に空洞を有する中空粒子であることを特徴とする無機酸化物微粒子群を含有してなるハードコート膜付き基材に関する発明が開示されており、該粒子の組成についてはシリカである場合が記載されている。 上記中空シリカ粒子では、被膜中のシリカ粒子が球状であるために、特定量配合されないと被膜強度が発現出来ない。
【0013】
しかしながら、上記の中空シリカ粒子では、被膜中のシリカ粒子が球状であるために、シリカ粒子が一定量以上配合されないと十分な被膜強度を発現出来ない。
なお、微粒子が連結した構造ではなく、ひとつの粒子からなる導電性繊維状中空シリカ微粒子であって、その長径長さがnmオーダーにあるような導電性繊維状中空シリカ微粒子については、知られていない。
【0014】
また、従来の陰極管表示装置(CRT)、液晶ディスプレー(LCD)等の表示装置の表示面は、帯電し、ほこり等が付着するという問題もあった。
【特許文献1】特開2001−167637号公報
【特許文献2】特開2002−225866号公報
【特許文献3】特開平6−330606号公報
【特許文献4】特開平7−013137号公報
【特許文献5】特表2000−500113号公報
【特許文献6】特開平11−029318号公報
【特許文献7】特開平7−133105号公報
【特許文献8】特開2005−186435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、低屈折率で造膜性に優れ、更に帯電防止効果に優れた新規なシリカ微粒子およびその分散液ならびにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決する本発明は、動的光散乱法により測定された平均粒子径が5〜500nmの範囲にあり、繊維状で中空構造を有し、導電性を有することを特徴とする導電性繊維状中空シリカ微粒子である。
【0017】
前記導電性繊維状中空シリカ微粒子の好適な態様として、前記導電性繊維状中空シリカ微粒子は、下記(a)、(b)および(c)の条件を満たし、更に表面部に金属を含有する導電性成分を含む。
(a)長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜10の範囲にある、
(b)BET法による比表面積が5〜600m2/gの範囲にある、
(c)屈折率が1.20〜1.40の範囲にある。
【0018】
他の好適な態様として、前記金属を含有する導電性成分が、ニッケル、コバルト、銅、銀、金、白金、錫、鉄、亜鉛、パラジウム、インジウムおよびアンチモンからなる群より選ばれる金属の1)単体、2)化合物または3)合金を含むものである。
【0019】
前記課題を解決する他の発明は、前記導電性繊維状中空シリカ微粒子が分散媒に分散してなる導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液である。
前記課題を解決する他の発明は、下記工程(I)〜(VI)を含むことを特徴とする前記導電性繊維状中空シリカ微粒子の製造方法である;
工程(I):長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜10の範囲にある無機酸化物(シリカを除く)微粒子を核粒子として分散媒に分散させて、核粒子分散液を得る工程、
工程(II):工程(I)で得られた核粒子分散液のpHを8〜13に調整する工程、
工程(III):工程(II)のpH調整後、前記核粒子表面を、(1)シリカ、または(2
)シリカおよび前記核粒子と同じ成分を含有する無機酸化物で被覆して、繊維状シリカ被覆核粒子を得る工程、
工程(IV):工程(III)の後、前記繊維状シリカ被覆核粒子の、前記核粒子の部分の一
部または全部を除去し、繊維状中空シリカ核微粒子を得る工程、
工程(V):工程(IV)で得られた繊維状中空シリカ核微粒子の表面を、更にシリカで被
覆して繊維状中空シリカ微粒子を得る工程、
工程(VI):工程(V)で得られた繊維状中空シリカ微粒子表面を、金属を含有する導電
性成分で処理する工程。
【0020】
前記課題を解決する他の発明は、下記工程(i)〜(vii)を含むことを特徴とする前
記導電性繊維状中空シリカ微粒子の製造方法;
工程(i):長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜10であり、酸可溶性の無機酸
化物(シリカを除く)微粒子を核粒子として分散媒に分散させて核粒子分散液を得る工程、
工程(ii):工程(i)で得られた核粒子分散液をpH8〜13に調整する工程、
工程(iii):工程(ii)のpH調整後、温度60〜250℃で、反応性珪素化合物を添
加することにより核粒子を成長させ、繊維状シリカ被覆核粒子を得る工程、
工程(iv):工程(iii)の後、酸性溶液を添加することにより、前記繊維状シリカ被覆
核粒子の、前記核粒子の部分の一部または全部を除去し、繊維状中空シリカ核微粒子を得る工程、
工程(v):工程(iv)で得られた繊維状中空シリカ核微粒子に、更に反応性珪素化合物
を添加して、繊維状中空シリカ微粒子を得る工程、
工程(vi):工程(v)の後、前記繊維状中空シリカ微粒子を含む分散液を温度100℃
〜270℃で熱処理する工程。
工程(vii):工程(vi)で得られた繊維状中空シリカ微粒子表面を、金属を含有する導
電性成分で処理する工程。
【0021】
前記発明の好適な発明として、前記酸可溶性の無機酸化物微粒子が、繊維状アルミナ微粒子、繊維状酸化カルシウム微粒子および繊維状酸化鉄微粒子からなる群より選択される微粒子である。
【0022】
前記課題を解決する他の発明は、前記導電性繊維状中空シリカ微粒子、反射防止被膜形成用成分および分散媒を含有することを特徴とする反射防止被膜形成用組成物であり、
前記反射防止被膜形成用組成物により形成された反射防止被膜である。
【0023】
前記課題を解決する他の発明は、樹脂基材上に反射防止被膜が形成されてなる反射防止被膜付基材であって、該反射防止被膜が、前記導電性繊維状中空シリカ微粒子と反射防止被膜形成用成分を含有する反射防止被膜付基材であり、
樹脂基材上に反射防止被膜が形成されてなる反射防止被膜付基材であって、該反射防止被膜が、前記反射防止被膜形成用組成物により形成された反射防止被膜付基材である。
【0024】
前記反射防止被膜付基材の好適な態様として、樹脂基材上にハードコート層を介して、前記反射防止被膜が設けられている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子は、低屈折率(例えば、屈折率1.20〜1.40の範囲にある)材料であり、その構造に起因して造膜性にも優れ、更に導電性を有するため帯電防止効果を有するものである。
【0026】
また、該微粒子が分散媒に分散してなる分散液は反射防止被膜の形成に好適に用いられる。さらに、該微粒子を含有する反射防止被膜形成用組成物によれば、基材上に平滑な膜を形成することができ、硬化後の膜の美観が優れる。また、該微粒子を含有する反射防止用基材は、屈折率の低い優れた反射防止用基材となる。本発明の製造方法によれば、平均粒子径が5〜500nmの範囲にある微小な導電性繊維状中空シリカ微粒子を分散媒に分散させた分散液を実用的に調製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[導電性繊維状中空シリカ微粒子および導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液]
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子は、平均粒子径が5〜500nmの範囲にあり、繊維状で中空構造を有することを特徴としている。
【0028】
前記導電性繊維状中空シリカ微粒子の平均粒子径は、通常、5〜500nmの範囲にあり、好ましくは10〜400の範囲にあり、さらに好ましくは50〜300nmの範囲にある。平均粒子径が、前記範囲内にあると、導電性繊維状中空シリカ微粒子が、後述するマトリックス形成用成分に分散するので、例えば、膜厚10nm〜10μmの反射防止膜または反射防止膜が適用された基材を形成するうえで好適である。平均粒子径が5nm未満の場合は、本発明の効果を損なうものではないが、本発明に係る製造方法によって調製することは容易ではない。また、平均粒子径が500nmを超える場合は、導電性繊維状中空シリカ微粒子を配合した反射防止用被膜の膜厚によっては、平坦で均一な膜を形成できない場合がある。
【0029】
なお、本出願において、前記平均粒子径については、動的光散乱法により測定された粒子の平均粒子径を意味する。
前記導電性繊維状中空シリカ微粒子は、繊維状(または針状)の形状を有し、球状シリカ粒子とは構造上、区別される。本発明において、繊維状シリカ微粒子とは、画像解析法により測定される長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜10の範囲にあるシリカ微粒子をいう。なお、長径と短径との比(長径/短径)が1.5以上の場合、外見上も明らかに球状ではない。
【0030】
長径と短径との比(長径/短径)は、通常1.5〜10の範囲にあり、好ましくは2.0〜8.0の範囲にあり、さらに好ましくは2.5〜7.0の範囲にある。長径と短径と
の比(長径/短径)が前記範囲内にあると、導電性繊維状中空シリカ微粒子を含有する反射防止膜形成用組成物は、優れた造膜性を示す傾向がある。長径と短径との比(長径/短径)が1.5未満の場合は、前記組成物の造膜性が低下する傾向がある。長径と短径との比(長径/短径)が10を超える場合は、本発明の効果を損なうものではないが、そのような導電性繊維状中空シリカ微粒子については、調製することが容易ではない。なお、長径と短径との比(長径/短径)については、画像解析法により測定された値により定義されるものである。画像解析法については実施例に記した。
【0031】
本発明に係る導電性繊維状中空シリカ微粒子のBET法による比表面積は、通常5〜600m2/gの範囲であり、好ましくは15〜400m2/gの範囲が推奨され、さらに好ましくは30〜 300m2/gの範囲が推奨される。
【0032】
BET法による比表面積が前記範囲内であると、被膜形成能の点で好ましい。BET法による比表面積が5m2/g未満の場合は、中空構造を有さないシリカ微粒子が含まれる
場合がある。また、BET法による比表面積が600m2/gを超える場合は、微粒子内
部に微小な空孔を多く有する構造となる場合があり、この場合1.4以上の屈折率を示す傾向が大きくなる。
【0033】
なお、前記BET法による比表面積は、後述する実施例に記載の方法で測定された場合の値である。
本発明に係る導電性繊維状中空シリカ微粒子は、中空構造を有するため、中空構造を有さないシリカ微粒子に比べて、その屈折率が小さくなる傾向がある。
【0034】
本発明に係る導電性繊維状中空シリカ微粒子の屈折率は、通常1.20〜1.40の範囲にあり、好ましくは1.25〜1.39の範囲が推奨され、さらに好ましくは1.30〜1.38の範囲が推奨される。屈折率が前記範囲内にあると、被膜の反射率の点で好ましい。屈折率が1.20未満の場合は、本発明の効果を損なうものではないが、屈折率を1.20未満とするためには、微粒子内部の空孔構造の占める割合を大きくしなければならず、本発明に係る製造方法によって、調製することは容易ではない。また、微粒子自体の強度にも悪影響を与える場合がある。また、屈折率が1.40を超える場合は、本発明が予定する反射防止膜または反射防止膜付基材の反射防止効果を達し難い場合がある。なお、前記屈折率は、後述する実施例に記載の方法で測定された場合の値である。
【0035】
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子は、その表面部に金属を含有する導電性成分を含むことを特徴とするものであり、優れた導電性を示すものである。なお、本明細書においては、前記導電性繊維状中空シリカ微粒子の導電性については、所定のバインダー(樹脂)および有機溶媒と混合してなる被膜形成用組成物を調製し、基材上に導電性の被膜を形成したうえで、得られた被膜の表面抵抗値を測定し、それにより導電性の評価を行った。
【0036】
前記金属を含有してなる導電性成分としては、金属を含有する無機系の物質が使用される。通常は、1)金属単体、2)金属酸化物、3)金属化合物または4)金属合金に分類されるものであって、ニッケル、コバルト、銅、銀、金、白金、錫、鉄、亜鉛、パラジウム、インジウムまたはアンチモンから選ばれる金属を含むものをが使用される。より具体的には、SnO2、ZnO、 In23、SnO2(ドープ剤:F)、SnO2(ドープ剤
:Sb)、ITO、ZnO(ドープ剤:Al)などを挙げることができる。
【0037】
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子に含まれる前記金属を含有してなる無機系の導電性成分の量については、格別に制限されるものではなく、所望する水準の導電性を得ることができる範囲であれば構わない。
【0038】
前記繊維状中空シリカ核部は、シリカにより形成されるが、他の成分が混在していてもよい。繊維状中空シリカ核部は、その表面に前記導電性被覆層が形成されたときに、本発明に係る発明導電性繊維状中空シリカ微粒子が形成されるような、形状および大きさを有している。
【0039】
本発明に係る導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液は、前記導電性繊維状中空シリカ微粒子が、分散媒に分散してなることを特徴としている。
本発明に係る発明導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液に用いられる分散媒としては、容易に揮発し、得られる反射防止膜に悪影響を及ぼすことがなければ特に制限されない。通常は、水または有機溶媒が用いられる。具体的には、純水、イオン交換水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、MEK、MIBKなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのエーテル類などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0040】
前記分散媒中の前記導電性繊維状中空シリカ微粒子の固形分濃度は、通常1〜50質
量%の範囲であり、好ましくは5〜40質量%の範囲であり、さらに好ましくは10〜30質量%の範囲である。固形分濃度が1質量%未満の場合、実用上は濃度が希薄過ぎるため、濃縮処理が必要となる場合がある。また、固形分濃度が50質量%を超える場合、シリカ微粒子間の凝集が生じやすくなるため実用性が低下する場合がある。
本発明に係る発明導電性繊維状中空シリカ微粒子および導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液は、たとえば以下の方法により製造することができる。
【0041】
[導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液の製造方法]
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液の製造方法は下記工程(I)〜(VI)を
含むことを特徴とする。
【0042】
工程(I):長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜10の範囲にある無機酸化物
(シリカを除く)微粒子を核粒子として分散媒に分散させて核粒子分散液を得る工程、工程(II):工程(I)で得られた核粒子分散液をpH8〜13に調整する工程、工程(III):工程(II)のpH調整後、核粒子表面を、(1)シリカ、または(2)シリカおよび無機酸化物(核粒子と同じ成分を含有)で被覆する工程、工程(IV):工程(III)の後
、核粒子の一部または全部を除去し、繊維状中空シリカ核微粒子を得る工程、工程(V)
:工程(IV)で得られた繊維状中空シリカ核微粒子表面を、更にシリカで被覆する工程、工程(VI):工程(V)で得られた繊維状中空シリカ微粒子表面を、金属を含有する導電
性成分で処理する工程。
【0043】
原料となる無機酸化物微粒子としては、繊維状アルミナ微粒子、繊維状酸化カルシウム微粒子または繊維状酸化鉄微粒子などの繊維状の無機酸化物微粒子を挙げることができる。ただし、シリカ微粒子は、原料となる無機酸化物微粒子から除かれる。
【0044】
前記繊維状アルミナとしては、例えば、特開昭60−166220号、特開平4−42809号などに記載された製造方法で得られる繊維状アルミナを用いてもよく、市販の繊維状アルミナを用いてもよい。
【0045】
原料となる無機酸化物微粒子の長径と短径との比(長径/短径)は、目的とする導電性繊維状中空シリカ微粒子の大きさに応じて選択されるものであるが、通常1.5〜10の範囲にあり、好ましくは2.0〜8.0の範囲にあり、さらに好ましくは2.5〜7.0の範囲にある。
【0046】
また、原料となる無機酸化物微粒子の長径の平均値も、目的とする導電性繊維状中空シリカ微粒子の大きさに応じて選択されるものであるが、通常、5nm以上、500nm未満の範囲であり、好ましくは10〜400nmの範囲が推奨され、さらに好ましくは50〜300nmの範囲が推奨される。
【0047】
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液の製造方法は、まず、前記無機酸化物微粒子を核粒子として分散媒に分散させて核粒子分散液を得る工程を含む。無機酸化物微粒子が、酸可溶性であると、後の工程で、無機酸化物微粒子を酸により溶解除去することができるので、好適である。
【0048】
前記無機酸化物微粒子を核粒子として分散媒に分散させる方法については、ホモジナイザーを使用する方法など、公知の方法が適用される。
前記分散媒としては、通常は純水などが使用される。また、分散性を助長するために、分散助剤として界面活性剤などを適宜添加しても構わない。
【0049】
前記分散媒中の繊維状無機酸化物の固形分濃度は、通常1〜50質量%の範囲であり、好ましくは5〜40質量%の範囲であり、さらに好ましくは10〜30質量%の範囲である。前記固形分濃度が1質量%未満では、工程上の効率が実用的ではない場合がある。前記固形分濃度が50質量%を超える場合は、良好な分散状態とすることが容易ではない。
【0050】
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液の製造方法は、次に前記核粒子分散液をpH8〜13に調整する工程を含む。
pHが8未満の場合は凝集が生じやすく不安定であり、pH13を超える場合はシリカの溶解性が大きいため、好ましくない。pHの範囲については、好適には8.5〜12.0の範囲が推奨される。更に好適には9.0〜11.0の範囲が推奨される。
【0051】
pHの調整は、前記核粒子分散液が酸性である場合、該核粒子分散液を塩基性陰イオン交換体などでイオン交換処理し、必要に応じて、アルカリ成分を添加する方法により行われる。
【0052】
上記方法で使用するアルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムもしくは水酸化リチウムなどのアルカリ金属元素の水酸化物、またはアンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、N−メチル−2−ピロリドンもしくはトリメチルアミンなどの窒素化合物を挙げることができる。また、これらのアルカリ成分は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0053】
前記陰イオン交換体としては、陰イオン交換能を有するものであれば使用可能であり、強塩基性または弱塩基性陰イオン交換樹脂の他、キレート樹脂、イオン交換膜、イオン交換フィルターなどが例示される。これらの陰イオン交換体は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。前記陰イオン交換体の使用量は、pHに応じて適宜調整されるが、通常前記核粒子1kgに対して1〜20リットルの割合である。
【0054】
上記pHの調整方法を酸性アルミナゾルに適用した場合について、以下に例示する。
まず、酸性アルミナゾルの安定化剤である酸が陰イオン交換体により除去され、アルミナの等電点(pH7〜9)を通過する際、アルミナ微粒子は凝集を伴う。アルカリ側では、アルミナとアルカリ成分とが反応してアルミニウム塩を生成する。このアルミニウム塩のアルミン酸イオンが陰イオン交換体により除去されてアルカリ成分が再生される。このアルカリ成分とアルミナとの反応が繰り返され、アルミナ微粒子は解膠されてコロイド粒子(微粒子)になる。
【0055】
この方法では、アルミナに対するアルカリ成分の量が少なくても、アルカリ成分が再生され繰り返しアルミナに作用するため、アルミナ微粒子の解膠を十分に行うことができる。また、得られるアルミナゾル中に含まれるアルミン酸塩が非常に少ないため、即ち、ゾル中の塩の含有量が少ないため、コロイド粒子は電気二重層を十分に形成し、ゾルの安定性が高くなる。
前記核粒子分散液がアルカリ性である場合、通常イオン交換などの処理を必要としな
い。
【0056】
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液の製造方法は、次に核粒子表面を、(1)シリカ、または(2)シリカおよび無機酸化物(核粒子と同じ成分を含有)で被覆して、繊維状シリカ被覆核粒子を得る工程を含む。この工程は、たとえば、pH調整を終えた前記核粒子分散液に、温度60〜100℃で、反応性珪素化合物を添加することにより核粒子を成長させる。
【0057】
反応性珪素化合物を添加する際の温度は、通常60〜250℃の範囲であり、好ましくは70〜240℃の範囲であり、さらに好ましくは75〜230℃の範囲である。前記温度が60℃未満では、核粒子の成長が遅いため実用的ではない場合がある。また、前記温度が250℃を超える場合、反応性珪素化合物同士の反応が進行し易くなる傾向がある。
【0058】
前記反応性珪素化合物としては、アルカリ珪酸塩、または、アルカリ珪酸塩の希薄水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られる珪酸液、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、珪素のアルコキシドまたはその誘導体が挙げられる。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランまたはトリビニルメトキシシランなどのアルコキシシランが挙げられる。
【0059】
これらの珪素化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
これらの珪素化合物のうち、珪酸液(または酸性珪酸液)、アルカリ珪酸塩水溶液(珪酸ナトリウム水溶液または珪酸カリウム水溶液)またはテトラエトキシシランなどが特に好ましい。
【0060】
なお、例えば、酸性アルミナゾルに反応性珪素化合物を添加しても、酸性領域ではシリカの重合が起きないのでアルミナ粒子の表面をシリカで被覆することができない。
前記反応性珪素化合物の使用量は、前記核粒子100質量部に対して、通常1〜60質量部の範囲であり、好ましくは5〜50質量部の範囲であり、さらに好ましくは8〜45質量部の範囲である。1質量部未満では被覆した効果が見られない、60質量部を超える場合は屈折率が過大になるため、反射防止効果が低下する。pH調整を終えた前記核粒子分散液に、反応性珪素化合物を添加する際、核粒子である繊維状無機酸化物微粒子と同じ成分を含有する化合物を併せて添加しても構わない。
【0061】
例えば、核粒子がアルミナの場合、反応性珪素化合物とともにアルミン酸ナトリウムを添加することができる。これは、後の工程で、核粒子を除去する際に、除去効果を助長する目的で添加される。
【0062】
核粒子と同じ成分を含有する化合物の添加量は、添加する反応性珪素化合物のシリカ1モルに対して、酸化物換算で0.1〜0.5モルの範囲であることが好ましい。前記添加量が0.1モル未満では、前記助長効果が見られない傾向がある。前記添加量が0.5モルを超える場合は、後の工程で除去される成分が過剰となり、適当な粒子形状を維持できない場合がある。
【0063】
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液の製造方法は、次に前記繊維状シリカ被覆核粒子のうち、核粒子の部分の一部または全部を除去し、繊維状中空シリカ核微粒子を得る工程を含む。この工程は、たとえば、酸性溶液などを添加して、核粒子の一部または全部を除去することにより行うことができる。
【0064】
シリカ被覆層を有した前記核粒子から、核粒子の一部または全部を除去することにより、多孔質状の繊維状中空シリカ核微粒子を得ることができる。この繊維状中空シリカ核微粒子は、次工程におけるシリカ被覆処理の核となる微粒子である。
【0065】
核粒子の一部または全部を除去する方法としては、該核粒子分散液に鉱酸や有機酸を添加することによって溶解除去する方法、あるいは、該核粒子分散液と陽イオン交換樹脂とを接触させてイオン交換除去する方法を例示することができる。
【0066】
このときの繊維状シリカ被覆核粒子分散液中の繊維状シリカ被覆核粒子の濃度は、処理温度によっても異なるが、酸化物に換算して0.1〜50質量%、特に0.5〜45質量%の範囲にあることが好ましい。また、更に好適には、1〜40質量%の範囲が推奨される。前記濃度が0.1質量%未満では、シリカ被覆層におけるシリカの溶解が起きる可能性があると同時に、低濃度のために処理効率が悪くなる傾向がある。また、前記濃度が50質量%を超えると、核粒子を構成する元素の所望量を少ない回数で除去し難くなる傾向がある。これは、シリカ以外の元素は酸の添加により溶解しただけ除去できるのに対して、シリカの溶解度は低いために、シリカモノマー等が生じても直ちに粒子内に析出し、この結果、シリカが他の元素に随伴して除去される量が低減し、空洞が効率的に生成しない傾向があるからである。
【0067】
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液の製造方法は、次に繊維状中空シリカ核微粒子表面を、更にシリカで被覆して繊維状中空シリカ微粒子を得る工程を含む。この工程は、たとえば、得られた繊維状中空シリカ核微粒子の分散液に、更に反応性珪素化合物を添加し、その後分散液を温度100℃〜270℃で熱処理することにより行うことができる。
【0068】
ここでシリカ被覆として使用する反応性珪素化合物は、前述した反応性珪素化合物と同様な化合物を使用することができる。
反応性珪素化合物の添加量は、繊維状中空シリカ微粒子100質量部に対して、通常0.05〜30質量部の範囲であり、好ましくは0.1〜15質量部の範囲であり、さらに好ましくは0.2〜5質量部の範囲である。反応性珪素化合物の添加時の温度は、10〜90℃の範囲が好ましい。
【0069】
反応性珪素化合物の添加にあたっては、好ましくは30分から30時間かけて反応性珪素化合物を徐々に添加することが望ましい。大量の反応性珪素化合物を数秒〜3分以下で一括して添加した場合、繊維状中空シリカ核微粒子表面へのシリカ被覆が均一に行い難くなる場合がある。
【0070】
反応性珪素化合物の添加終了後、必要に応じてアルカリ水溶液を添加して、好ましくはpH8〜13の範囲に調整し、加熱処理を行う。このときの加熱処理温度は約100〜270℃の範囲、特に120〜250℃の範囲が好ましい。この熱処理によって、シリカで被覆された表面に存在する細孔を減少あるいは消失させ、緻密化させることができる。なお、この様な緻密化された外殻で覆われた繊維状中空シリカ微粒子の内部空洞には、溶媒および/または気体が残留することになる。このためこの様な繊維状中空シリカ微粒子の粒子屈折率は、中空構造を有さないシリカ微粒子の場合に比べて、低い値を示すものとな
る。
【0071】
本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液の製造方法では、次に繊維状中空シリカ微粒子表面を導電性成分で処理する工程を含む。この工程により、導電性繊維状中空シリカ微粒子が形成される。
【0072】
本発明の製造方法で使用される、前記金属を含有する導電性成分としては、無機系で金属を含有してなる1)金属単体、2)金属酸化物、3)金属化合物または4)金属合金が使用される。具体的には、ニッケル、コバルト、銅、銀、金、白金、錫、鉄、亜鉛、パラジウム、インジウムおよびアンチモンからなる群より選ばれる金属の単体、化合物、特に酸化物または合金を含むものを挙げることができる。より具体的には、SnO2、ZnO
、 In23、SnO2(ドープ剤:F)、SnO2(ドープ剤:Sb)、ITO、ZnO(ドープ剤:Al)などを挙げることができる。
【0073】
前記導電性繊維状中空シリカ微粒子に含まれる前記金属を含有してなる無機系の導電性成分の使用量については、格別に制限されるものではなく、所望する水準の導電性を得ることができる範囲であれば構わない。
【0074】
このような導電性成分の処理方法としては、前記繊維状中空シリカ微粒子に導電性を付与することができる限り、特に制限はなく、従来公知の方法が採用できる。例えば、無電解メッキ法(化学的メッキ法)、イオンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等の物理的蒸着方法、導電性成分の微粉末を、基体粒子と機械的に混合してメカノミカルに付着または融着させたり、バインダーに混合して得られるペーストによりコーティングする方法等が挙げられる。
【0075】
前記導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液から分散媒を除去すると導電性繊維状中空シリカ微粒子が得られる。なお、本発明の導電性繊維状中空シリカ微粒子には、不純物としてAl、Na、Cl等が残存していても構わない。
【0076】
[反射防止膜形成用組成物および反射防止被膜]
本発明の反射防止被膜形成用組成物は、前記導電性繊維状中空シリカ微粒子、反射防止被膜形成用成分および分散媒を含有することを特徴としている。
【0077】
反射防止被膜形成用成分としては、公知の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれも採用することが可能である。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂もしくはシリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、またはウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂もしくは熱硬化性アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。さらにこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
【0078】
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂または親水性樹脂であってもよい。さらに熱硬化性樹脂の場合、紫外線硬化型であっても、電子線硬化型であってもよく、硬化触媒が含まれていてもよい。
【0079】
本発明では、熱硬化性樹脂または紫外線硬化タイプを用いると、前記無機酸化物微粒子の配合量が少なくても鉛筆硬度の高い反射防止膜付基材が得られる傾向があるので特に好ましい。
【0080】
また、反射防止被膜形成用成分として加水分解性有機珪素化合物を用いることも可能である。具体例として、アルコキシシランとアルコールの混合液に、水および触媒としての酸またはアルカリを加えることによって得られたアルコキシシランの部分加水分解物などが挙げられる。
【0081】
加水分解性有機珪素化合物としては、一般式RnSi(OR')4-n[R、R':アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、等の炭化水素基、n=0,1,2,または3]で表
されるアルコキシシランを用いることができる。特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシランなどのテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
これらの反射防止被膜形成用成分は、単独で、あるいは2種以上を混合して用いられる。本発明に係る反射防止膜形成用組成物においては、導電性繊維状中空シリカ微粒子100質量部に対して、被膜形成用成分が10〜400質量部が好ましい。
【0082】
前記反射防止膜形成用組成物使用される溶媒としては、いずれも容易に揮発し、得られる反射防止膜に悪影響を及ぼすことがなければ特に制限されない。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、MEK、MIBKなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのエーテル類などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で、あるいは2種以上を混合して用いられる。本発明に係る反射防止膜形成用塗布液は、本発明の目的を損なわない範囲で、たとえば、染料、顔料などの着色剤を加えても良い。溶媒の使用量については、反射防止被膜の形成にとって、好適な範囲であれば格別に限定されるものではないが、通常は、導電性繊維状中空シリカ微粒子および反射防止被膜形成用成分の100質量部に対して、10〜10000質量部の範囲を挙げることができる。
【0083】
反射防止被膜は、前記反射防止膜形成用組成物をたとえば樹脂基材上またはハードコート膜上に塗布することで形成される。
反射防止膜形成用組成物を樹脂基材上またはハードコート膜上に塗布する方法としては、特に制限されるものではなく、ディップ法、スプレー法、スピナー法またはロールコート法などの周知の方法が挙げられる。塗布後、乾燥すれば反射防止被膜を形成できる。
【0084】
反射防止被膜形成用成分が熱硬化性樹脂の場合は、加熱処理、紫外線照射処理または電子線照射処理などにより、前述したハードコート膜の硬化を促進させてもよい。また反射防止膜形成用マトリックスに加水分解性有機ケイ素化合物が含まれている場合は、加熱処理により、加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解・重縮合を促進させてもよい。
【0085】
反射防止被膜中の前記導電性繊維状中空シリカ微粒子の含有量は、通常90質量%以下、好ましくは50質量%以下が推奨される。
低屈折率成分である導電性繊維状中空シリカ微粒子の含有量が、90質量%を越えると反射防止被膜の強度や、ハードコート膜等の基材との密着性が不足して実用性に欠けることがある。
【0086】
反射防止被膜の厚さについては、通常10nm〜10μmとすることができる。より好ましくは30nm〜100nmの範囲が推奨される。
反射防止被膜の厚さが10nm未満の場合は、膜の強度、反射防止性能等が劣ることがある。反射防止膜の厚さが10μmを越えると、膜にクラックが発生する傾向が強まる。
【0087】
[反射防止被膜付基材]
本発明に係る導電性反射防止被膜付基材は、樹脂基材上に反射防止被膜が形成されてな
る反射防止被膜付基材であって、該反射防止被膜が、前記導電性繊維状中空シリカ微粒子と反射防止被膜形成用成分を含有するものであることを特徴とする。また、本発明に係る反射防止被膜付基材は、前記樹脂基材上にハードコート層を介して、前記反射防止被膜が設けられてなる反射防止被膜付基材をも包含する。この反射防止被膜は、前記反射防止膜形成用組成物を用いて形成することができる。
【0088】
本発明に係る反射防止被膜付基材における樹脂基材としては、プラスチックシート、プラスチックフィルムまたはプラスチックパネル等が挙げられる。前記樹脂基材を構成する材料としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PETまたはトリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。
【0089】
本発明におけるハードコート膜は、無機物粒子と被膜形成用成分とを含むものである。
ここで無機物粒子としては、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2等の酸化物の粒子、SiO2・Al23、SiO2・ZrO2等の複合酸化物の粒子、さらに表面を樹脂で被覆し
た酸化物の粒子、複合酸化物の粒子、金、銀、白金などの金属コロイド粒子、カーボンブラック、黒鉛などの炭素材料の粒子、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウムナトリウムなどの無機化合物の粒子などが用いられる。無機物粒子の形状は、特に制限されるものではないが、球状であるものが基材状に緻密に配列することができるため好適である。これらの中でもSiO2、SiO2・Al23、SiO2・ZrO2等のシリカ系粒子は、真球状
の粒子が得られやすく、ハードコート膜と基材との密着性に優れたハードコート膜を形成することができるため好適である。
【0090】
また、無機物粒子の表面をシランカップリング剤で処理してもよい。前記処理をすると、後述の樹脂に対する分散性が向上する傾向がある。このような無機物粒子の平均粒子径は、後述するハードコート膜の厚さとの関係が特定の関係を満たしていれば特に制限されるものではなく、通常、0.2〜20μm、さらには1〜10μmの範囲にあるものが好
適である。
【0091】
無機物粒子の平均粒子径が前記範囲下限未満の場合は、無機物粒子の分散性が低下したり、ハードコート膜の厚さに対して粒子が小さすぎるので、最終的に得られるハードコート膜付反射防止膜の強度が不充分となる傾向がある。また、平均粒子径が前記範囲の上限を越えていると、ハードコート膜形成用マトリックスとの密着性が低下し、クラックが発生し易くなり、また、ハードコート膜の厚さより大きい場合はハードコート膜上に形成される反射防止膜表面に凹凸が残り、表面硬度が不均一になることがある。
【0092】
ハードコート膜には、基材との密着性や塗工性などの点からハードコート膜形成用成分が含まれている。ハードコート膜形成用成分としては、樹脂成分が好適である。このような樹脂成分として、具体的には、塗料用樹脂として公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも採用することが可能であり、具体的には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂もしくはシリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、またはウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂もしくは熱硬化性アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。さらにこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
【0093】
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂または親水性樹脂であってもよい。さらに熱硬化性樹脂の場合、紫外線硬化型であっても、電子線硬化型であってもよく、硬化触媒が含まれていてもよい。
【0094】
本発明では、熱硬化性樹脂または紫外線硬化タイプを用いると、前記無機酸化物微粒子の配合量が少なくても鉛筆硬度の高い反射防止膜付基材が得られる傾向があるので特に好ましい。
【0095】
(ハードコート膜)
ハードコート膜の厚さ(Th)は、特に制限されるものではないが、本発明では前記無
機物粒子の平均粒子径(Dp)と形成されるハードコート膜の厚さ(Th)との比(Dp/
Th)が、通常0.2〜1.0の範囲にあり、好ましくは0.5〜0.98の範囲にある。
【0096】
前記した無機物粒子のうち、シリカ系粒子を使用すると、透明性を有するハードコート膜が得られる。前記シリカ系粒子の屈折率は低く、ハードコート膜形成用マトリックスの屈折率との屈折率差が小さいため、透明性やヘーズに優れた反射防止膜付基材を得ることができる。前記シリカ系粒子として、具体的には、特開昭63−210016号公報、特開平11−228699号公報に開示されたシリカ系粒子、オルガノポリシロキサン系粒子等が好適に用いられる。オルガノポリシロキサン系粒子は粒子中に有機基を含むため、ハードコート膜形成用マトリックスとして用いる樹脂に対する分散性がよい。このため密着性に優れたハードコート膜を形成することができる。
【0097】
透明性を有するハードコート膜を得るためには、前記無機物粒子の屈折率とハードコート膜形成用マトリックスの屈折率との屈折率差が、通常0.2以下、さらに好ましくは0.1以下とする。前記屈折率差が0.2を超えると、可視光の散乱が顕著になる傾向があり
、ハードコート膜や、最終的に得られる反射防止膜の透明性が低下することがある。
【0098】
さらに必要に応じて、ハードコート膜には、無機物粒子とともに、硬度の高いポリスチレン、ポリカーボネートなどからなる粒子が含有されていてもよい。なお、このようなポリスチレン、ポリカーボネートからなる粒子は無機物粒子と併用せずともハードコート膜に配合することができる。このようなハードコート膜は、ハードコート膜形成用マトリックスおよび無機物粒子と、着色粒子などの任意成分とを含む塗布液を塗布することで形成することができる。
【0099】
また、塗布液には、ハードコート膜形成用マトリックスを溶解するとともに、容易に揮発しうる溶剤が含まれていてもよい。ハードコート膜形成用マトリックスが熱硬化性樹脂の場合は、必要に応じて塗布液に硬化剤を配合することができる。
【0100】
このような塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法などの周知の方法で基材に塗布し、乾燥することによって、ハードコート膜を形成することができる。ハードコート膜形成用マトリックスが熱硬化性樹脂の場合は、さらに硬化させることによってハードコート膜を形成することができる。ハードコート膜形成用マトリックスが熱可塑性樹脂の場合は、さらに必要に応じて基材の軟化点未満の温度で加熱処理することによってハードコート膜を形成することができる。
【0101】
本発明の好適な態様1
動的光散乱法により測定された平均粒子径が5〜500nmの範囲にあり、繊維状で中空構造を有し、表面に金属を含有してなる導電性成分を含むことを特徴とする導電性繊維状中空シリカ微粒子。
【0102】
本発明の好適な態様2
動的光散乱法により測定された平均粒子径が5〜500nmの範囲にあり、繊維状で中空構造を有し、表面に金属を含有してなる導電性成分を含むことを特徴とする導電性繊維状中空シリカ微粒子であって、下記(a)、(b)および(c)の条件を満たすことを特
徴とする導電性繊維状中空シリカ系微粒子;
(a)長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜10の範囲にある、
(b)BET法による比表面積が5〜600m2/gの範囲にある、
(c)屈折率が1.20〜1.40の範囲にある。
【0103】
(実施例)
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0104】
[実施例および比較例で用いた測定方法または分析方法]
実施例及び比較例における測定方法または分析方法については、以下の通りである。
[1]長径と短径との比の測定
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して写真投影図を得た。該写真投影図において、50個の粒子を任意に選び、各粒子の最大径(DL)および、これと直交する径(DS)を測定した。DLを長径、DSを短径とし、長径と短径との比(DL/DS)を算出した。それらの平均値を試料の長径と短径との比とした。
【0105】
[2]動的光散乱法による平均粒子径測定
試料を0.58%アンモニア水にて希釈し、pH11、シリカ濃度0.1質量%に調整し、下記の粒度分布測定装置を用いて平均粒子径を測定した。
【0106】
〔粒度分布測定装置〕
型番 NICOMP 380、製造元 PARTICLE SIZING SYSTEMS Co.Ltd,、測定原理:動的光散乱法(ホモダイン/粒度分布)、光源:5mW
He−Ne レーザー(標準)、検出器:フォトカウント用光電子増倍管、コーリレーター:32bitデジタルオートコーリレーター(DSP搭載)、測定セル:四面透過型角セル(ディスポーザブル)、温度制御方式:ペルチエ素子(コンピュータ制御)、設定範囲:5℃〜80℃、測定粒度分布範囲:1nm〜5μm、測定対象:コロイド粒子。
【0107】
[3]粒子の屈折率の測定
(1)試料(ゾル)をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。
(2)120℃で乾燥し、粉末とする。
(3)屈折率が既知の標準屈折率液(CARGILL社製の標準屈折液SeriesA、AA)を2ないし3滴ガラス基板状に滴下し、これに(2)で得た粉末を混合する。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折率液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折率液の屈折率を粒子屈折率とする。
【0108】
[4]BET法による比表面積測定
シリカゾル50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加
え、110℃で16時間乾燥した。この乾燥した固形分を、乳鉢で粉砕し、マッフル炉で500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。この測定用試料を用いて、窒素吸着法(BET法)によりシリカゾルの比表面積を測定した。
【0109】
測定装置は、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いた。
以下、BET法による比表面積測定について具体的に説明する。
【0110】
まず、測定用試料0.5gを測定セルに入れ、窒素30容量%とヘリウム70容量%の混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行った。そして、試料を上記混合ガス
気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させた。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、シリカゾルの比表面積(SA1)を測定した。
【0111】
シリカゾルの平均粒子径(D1)については、下記(1)式から算定した。
D1=6000/(ρ×SA1)・・・(1)
D:平均粒子径(nm)
ρ:試料の密度(g/cm3
SA1:比表面積(m2/g)
【0112】
[5]表面抵抗値の測定
各実施例で調製した微粒子分散液(固形分濃度20質量%、平均粒子径20nm)と紫外線硬化樹脂(大日本インキ社製ユニデック 17−824)を2%含むイソプロパノー
ル/ブタノール混合溶液(イソプロパノール/ブタノール混合比=1/1(wt/wt))を混合し、固形分濃度4質量%(導電性繊維状中空シリカ微粒子100質量部に対して、紫外線硬化樹脂100質量部配合)の反射防止被膜形成用組成物を調製した。
【0113】
この反射防止被膜形成用組成物をNo.5のバーコーターでPETフィルム(厚さ:188μm、屈折率:1.65)に塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80
W/cm)を1分間照射して硬化させ、ハードコート膜付基材を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであった。得られたハードコート膜の表面抵抗を、表面抵抗計(三菱化学(株)製:ハイレスタ)にて測定した。その結果を表1に示す。
【0114】
[6]鉛筆硬度
東洋精機製作所製鉛筆硬度試験機を使用し、鉛筆硬度試験用「三菱ユニ」を用いて、JISK5400に基づき荷重1kg、鉛筆先接触角45度で実施した。
【0115】
[7]反射率測定
反射率の測定は、正反射測定装置を備えた分光光度計(島津製作所(株)製、UV−3100PC)を用いて測定を行った。なお、反射率は波長550nm付近で極小値(最低反射率)となったときの値を示した。
【0116】
以下に記す実施例は、全て本発明の特許請求の範囲に記載された発明に相当するものである。
なお、以下の実施例及び比較例における平均粒子径については、特に説明のない限り前記[2]動的光散乱法により測定された値を意味する。また、実施例および比較例で調製した導電性繊維状中空シリカ微粒子の製造条件を表1〜4に示し、その平均粒子径、長径/短径比、比表面積、粒子屈折率および表面比抵抗値を表5に示す。
【実施例1】
【0117】
〔原料1〕
酸性アルミナ微粒子分散液(製品名カタロイド(登録商標)AS−3、触媒化成工業株式会社製、繊維状、平均粒子径200nm、比表面積200m2/g、長径/短径比=5
.0、酢酸含有量0.3質量%、pH4.0、アルミナ固形分7質量%)
【0118】
〔シリカ被覆〕
前記原料1の酸性アルミナ微粒子分散液570gと純水180gとを室温で撹拌しながら、1質量%水酸化ナトリウム水溶液20gを加えた。その後、強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SA−20A)200ccを徐々に添加し、20時間撹拌を続けた。攪拌後、イオン交換樹脂を取り除き、安定なアルカリ性アルミナ微粒子分
散液(pH10.0)700gを調製した。
【0119】
次に、調製したアルカリ性アルミナ微粒子分散液700gに珪酸ナトリウム水溶液(シリカ濃度:5質量%)
20gを加え、さらに、150℃に加温して1質量%珪酸液400gを5時間かけて添加した。さらに1時間撹拌を続けた後、該溶液を常温まで冷却した。続いて限外濾過膜(旭化成製、SIP−1013)で純水を加えながら洗浄した。洗浄後、濃縮し、固形分として5質量%のシリカ被覆アルミナ微粒子分散液800gを得た。この分散液の分散質であるシリカ被覆アルミナ微粒子の平均粒子径は、201nmであった。
【0120】
〔脱アルミニウム処理〕
前記シリカ被覆アルミナ微粒子分散液800gに、濃塩酸水溶液(濃度35.5質量%)100gを滴下して、pH1.0に調整することにより、脱アルミニウム処理を行った。次いで、濃塩酸水溶液(濃度35.5質量%)10Lと純水5Lを加えながら、pH3になるまで限外濾過を行い、溶解したアルミニウム塩を分離した。
【0121】
〔濃縮、希釈、封止処理および加熱処理〕
アルミナを除去した後のシリカ微粒子分散液800gを固形分5質量%まで濃縮した。その後、該分散液80gに、アンモニア水溶液(濃度15質量%)30gとメタノール50gとを加えて、固形分濃度2.5質量%まで希釈した。次に攪拌機付き装置保温槽で、80℃まで加温し、シリカ換算濃度5質量%のテトラエチルオルソシリケート溶液(メタノール溶媒)6gを16時間かけて添加した。
【0122】
その後、ロータリーエバポレータで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水溶液を加えてpH10とし、オートクレーブで150℃、1時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。このシリカ微粒子は、屈折率が1.34であったことから、このシリカ微粒子分散液は、中空構造を有する繊維状中空シリカ微粒子がエタノールに分散してなる繊維状中空シリカ微粒子分散液であることが分かった。
【0123】
〔導電性成分の処理〕
前記製造方法と同様な製造方法により得られた繊維状中空シリカ微粒子分散液(固形分濃度20質量%)を溶媒置換し、固形分濃度3.1質量%の繊維状中空シリカ微粒子分散液(水溶媒)とした。
【0124】
そして濃度29質量%のアンモニア水溶液23gを純水800gで希釈した液に、硝酸銀14.6gを溶解させてなる硝酸銀水溶液を攪拌しながら、前記繊維状中空シリカ微粒子分散液1000gを添加し、混合液を調製した。
【0125】
この混合液に、ホルマリン16.4ml(ホルムアルデヒド濃度30質量%)を純水9
0gで希釈してなる液を添加して繊維状中空シリカ微粒子の表面に銀の導電性被覆層を形
成した。次いで濾過洗浄した後、90℃で乾燥して、導電性繊維状中空シリカ微粒子を得た。
【0126】
(合成例1)
市販の酸化アルミニウム粉末(比表面積:110m /g、粉末の平均粒子径:0.
6μm、主結晶形:δ形、塩酸含有量(HClとして換算した値):0.4質量%)100gと純水400gとを混合し、室温で撹拌しながら、これに強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SK−1B)400ccを徐々に添加し、20時間撹拌を続けた後、イオン交換樹脂を取り除き、酸性アルミナ微粒子分散液を得た。このアルミナ
微粒子分散液中に分散したアルミナ微粒子の平均粒子径は50nmであった。このアルミナ微粒子分散液を濃縮し、固形分として20質量%の酸性アルミナ微粒子分散液とした。
【実施例2】
【0127】
合成例1で得られた酸性アルミナ微粒子分散液(固形分濃度20質量%)200gと純水180gとを室温で撹拌しながら、これに1質量%水酸化ナトリウム20gを加え、強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SA−20A)200ccを徐々に添加し、20時間撹拌を続けた後、イオン交換樹脂を取り除き、安定なアルカリ性アルミナ微粒子分散液(pH10.1)を得た。
【0128】
このアルミナ微粒子分散液に珪酸ナトリウム水溶液(シリカ濃度:5質量%)20gを加えた後、200℃に加温して1質量%珪酸液400gを5時間かけて添加し、更に撹拌を1時間続行した後、常温まで冷却した。続いて限外濾過膜(旭化成製、SIP−1013)にて純水を加えながら洗浄した後に濃縮し、固形分20質量%のシリカ被覆アルミナ微粒子分散液を得た。このシリカ被覆アルミナ微粒子分散液に分散したシリカ被覆アルミナ微粒子の平均粒子径は52nmであった。
【0129】
〔脱アルミニウム処理〕
前記シリカ被覆アルミナ微粒子分散液800gに、濃塩酸水溶液(濃度35.5質量%)100gを滴下して、pH1.0に調整することにより、脱アルミニウム処理を行った。次いで、濃塩酸水溶液(濃度35.5質量%)10Lと純水5Lを加えながら、pH3になるまで限外濾過を行い、溶解したアルミニウム塩を分離した。
【0130】
〔濃縮、希釈、封止および加熱処理〕
アルミナを除去した後のシリカ微粒子分散液800gを固形分5質量%まで濃縮した。その後、該分散液80gに、アンモニア水溶液(濃度15質量%)30gとメタノール50gとを加えて、固形分濃度2.5質量%まで希釈した。次に攪拌機付き装置保温槽で、80℃まで加温し、シリカ換算濃度5質量%のテトラエチルオルソシリケート溶液(メタノール溶媒)6gを16時間かけて添加した。
【0131】
その後、ロータリーエバポレータで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水溶液を加えてpH10とし、オートクレーブで150℃、1時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。このシリカ微粒子は、屈折率が1.34であったことから、このシリカ微粒子分散液は、中空構造を有する繊維状中空シリカ微粒子がエタノールに分散してなる繊維状中空シリカ微粒子分散液であることが分かった。
【0132】
〔導電性成分の処理〕
前記製造方法と同様な製造方法により得られた繊維状中空シリカ微粒子分散液(固形分濃度20質量%)を溶媒置換し、固形分濃度3.1質量%の繊維状中空シリカ微粒子分散液(水溶媒)とした。
【0133】
そして濃度29質量%のアンモニア水溶液23gを純水800gで希釈した液に、硝酸銀14.6gを溶解させてなる硝酸銀水溶液を攪拌しながら、前記繊維状中空シリカ微粒子分散液1000gを添加し、混合液を調製した。
【0134】
この混合液にホルマリン16.4ml(ホルムアルデヒド濃度30質量%)を純水90gで希釈してなる液を添加して繊維状中空シリカ微粒子の表面に銀の導電性被覆層を形成した。次いで濾過洗浄した後、90℃で乾燥して導電性繊維状中空シリカ微粒子を得た。
【実施例3】
【0135】
〔シリカ被覆〕
合成例1と同様な方法にて調製した酸性アルミナ微粒子分散液(固形分濃度:20質量%、平均粒子径:50nm)1000gと純水2950gと1質量%水酸化カリウム50gを加え、更に50℃で撹拌しながら、これに強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SA−10A)1000ccを徐々に添加し、20時間撹拌を行った。続いて、室温まで冷却した後、イオン交換樹脂を取り除き、アルカリ性アルミナ微粒子分散液(pH10.7)を得た。このアルカリ性アルミナ微粒子分散液に珪酸ナトリウム水溶液(シリカ濃度:5質量%)20gを加えた後、80℃に加温して5質量%珪酸液1200gを10時間かけて添加し、実施例1と同様に処理して、固形分20質量%のシリカ被覆アルミナ微粒子分散液を得た。このシリカ被覆アルミナ微粒子分散液に分散したシリカ被覆アルミナ微粒子の平均粒子径は55nmであった。
【0136】
〔脱アルミニウム処理〕
前記シリカ被覆アルミナ微粒子分散液800gに、濃塩酸水溶液(濃度35.5質量%)100gを滴下して、pH1.0に調整することにより、脱アルミニウム処理を行った。次いで、濃塩酸水溶液(濃度35.5質量%)10Lと純水5Lを加えながら、pH3になるまで限外濾過を行い、溶解したアルミニウム塩を分離した。
【0137】
〔濃縮、希釈、封止および加熱処理〕
アルミナを除去した後のシリカ微粒子分散液800gを固形分5質量%まで濃縮した。その後、該分散液80gに、アンモニア水溶液(濃度15質量%)30gとメタノール50gとを加えて、固形分濃度2.5質量%まで希釈した。次に攪拌機付き装置保温槽で、80℃まで加温し、シリカ換算濃度5質量%のテトラエチルオルソシリケート溶液(メタノール溶媒)6gを16時間かけて添加した。
【0138】
その後、ロータリーエバポレータで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水溶液を加えてpH10とし、オートクレーブで150℃、1時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。このシリカ微粒子は、屈折率が1.34であったことから、このシリカ微粒子分散液は、中空構造を有する繊維状中空シリカ微粒子がエタノールに分散してなる繊維状中空シリカ微粒子分散液であることが分かった。
【0139】
〔導電性成分の処理〕
前記製造方法と同様な製造方法により得られた繊維状中空シリカ微粒子分散液(固形分濃度20質量%)を溶媒置換し、固形分濃度3.1質量%の繊維状中空シリカ微粒子分散液(水溶媒)とした。
【0140】
そして濃度29質量%のアンモニア水溶液23gを純水800gで希釈した液に、硝酸銀14.6gを溶解させてなる硝酸銀水溶液を攪拌しながら、前記繊維状中空シリカ微粒子分散液1000gを添加した。
【0141】
この混合液にホルマリン16.4ml(ホルムアルデヒド濃度30質量%)を純水90gで希釈してなる液を添加して繊維状中空シリカ微粒子の表面に銀の導電性被覆層を形成した。次いで濾過洗浄した後、90℃で乾燥して導電性繊維状中空シリカ微粒子を得た。
【実施例4】
【0142】
〔シリカ被覆〕
市販の酸性アルミナ微粒子分散液(触媒化成工業製、固形分濃度:10質量%、平均粒子径:20nm、結晶形:擬ベーマイト型)2000gと純水5990gとを室温で撹拌
しながら、これに1質量%水酸化ナトリウム10gを加えた後、強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SA−30A)2000ccを徐々に添加し、20時間撹拌を行った後、イオン交換樹脂を取り除き、アルカリ性アルミナ微粒子分散液(pH10.5)を得た。このアルミナ微粒子分散液に珪酸ナトリウム水溶液(シリカ濃度:5質量%)30.3gを加えた後、98℃に加温して5質量%珪酸液1600gを10時間かけて添加した後、実施例1と同様に処理して、酸化物として10質量%のシリカ被覆アルミナ微粒子分散液を得た。このシリカ被覆アルミナ微粒子分散液に分散したシリカ被覆アルミナ微粒子の平均粒子径は22nmであった。
【0143】
〔脱アルミニウム処理〕
前記シリカ被覆アルミナ微粒子分散液800gに、濃塩酸水溶液(濃度35.5質量%)100gを滴下して、pH1.0に調整することにより、脱アルミニウム処理を行った。次いで、濃塩酸水溶液(濃度35.5質量%)10Lと純水5Lを加えながら、pH3になるまで限外濾過を行い、溶解したアルミニウム塩を分離した。
【0144】
〔濃縮、希釈、封止および加熱処理〕
アルミナを除去した後のシリカ微粒子分散液800gを固形分5質量%まで濃縮した。その後、該分散液80gに、アンモニア水溶液(濃度15質量%)30gとメタノール50gとを加えて、固形分濃度2.5質量%まで希釈した。次に攪拌機付き装置保温槽で、80℃まで加温し、シリカ換算濃度5質量%のテトラエチルオルソシリケート溶液(メタノール溶媒)6gを16時間かけて添加した。
【0145】
その後、ロータリーエバポレータで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水溶液を加えてpH10とし、オートクレーブで150℃、1時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。このシリカ微粒子は、屈折率が1.34であったことから、このシリカ微粒子分散液は、中空構造を有する繊維状中空シリカ微粒子がエタノールに分散してなる繊維状中空シリカ微粒子分散液であることが分かった。
【0146】
〔導電性成分の処理〕
前記製造方法と同様な製造方法により得られた繊維状中空シリカ微粒子分散液(固形分濃度20質量%)を溶媒置換し、固形分濃度3.1質量%の繊維状中空シリカ微粒子分散液(水溶媒)とした。
【0147】
そして濃度29質量%のアンモニア水溶液23gを純水800gで希釈した液に、硝酸銀14.6gを溶解させてなる硝酸銀水溶液を攪拌しながら、前記繊維状中空シリカ微粒子分散液1000gを添加した。
【0148】
この混合液にホルマリン16.4ml(ホルムアルデヒド濃度30質量%)を純水90gで希釈してなる液を添加して繊維状中空シリカ微粒子の表面に銀の導電性被覆層を形成した。次いで濾過洗浄した後、90℃で乾燥して導電性繊維状中空シリカ微粒子を得た。
次いで濾過洗浄した後、90℃で乾燥して導電性繊維状中空シリカ微粒子を得た。
【実施例5】
【0149】
実施例4で調製した導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液(固形分濃度20質量%)と紫外線硬化樹脂(大日本インキ社製ユニデック 17−824)を2%含むイソプロパノ
ール/ブタノール混合溶液(イソプロパノール/ブタノール混合比=1/1(wt/wt))を混合し、固形分濃度4質量%(導電性繊維状中空シリカ微粒子100質量部に対して、紫外線硬化樹脂100質量部配合)の反射防止被膜形成用組成物を調製した。
【0150】
この反射防止被膜形成用組成物をNo.5のバーコーターで偏光フィルム(日東電工社製NPF105DU)に塗布し、乾燥後、80W/cmの紫外線(高圧水銀ランプ)を照射して反射防止被膜付基材(反射防止被膜の膜厚は50nm)を得た。得られた反射防止被膜付基材の波長550nmにおける反射率を分光光度計(日本分光社製)で測定したところ、反射率は〔1.5〕%、鉛筆硬度は〔2H〕であった。
【0151】
(比較例1)
実施例1〜4の各製造工程の途中で得られた各繊維状中空シリカ微粒子(導電性成分による処理前のもの)について、それぞれ前記「[6]表面抵抗値の測定」に従って、表面抵抗値を測定した結果を表5に示す。
【0152】
(比較例2)
実施例4の製造工程の途中で得られた繊維状中空シリカ微粒子分散液(導電性成分による処理前のもの、固形分濃度20質量%、平均粒子径20nm)と紫外線硬化樹脂(大日本インキ社製ユニデック 17−824)を2%含むイソプロパノール/ブタノール混合
溶液(イソプロパノール/ブタノール混合比=1/1(wt/wt))を混合し、固形分濃度4質量%(導電性繊維状中空シリカ微粒子100質量部に対して、紫外線硬化樹脂100質量部配合)の反射防止被膜形成用組成物を調製した。
【0153】
この反射防止被膜形成用組成物をNo.5のバーコーターで偏光フィルム(日東電工社製NPF105DU)に塗布し、乾燥後、80W/cmの紫外線(高圧水銀ランプ)を照射して反射防止被膜付基材(反射防止被膜の膜厚は50nm)を得た。得られた反射防止被膜付基材の波長550nmにおける反射率を分光光度計(日本分光社製)で測定したところ、反射率は〔1.4〕%、鉛筆硬度は〔2H〕であった。
【0154】
【表1】

【0155】
【表2】

【0156】
【表3】

【0157】
【表4】

【0158】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明に係る導電性繊維状中空シリカ微粒子は、低屈折率で造膜性が特に優れている。そのため、該シリカ微粒子を分散媒に分散させてなる導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液は、反射防止膜や反射防止膜用基材を好適に形成することができる。また、本発明に係る導電性繊維状中空シリカ微粒子を含有する反射防止膜や反射防止膜基材は、陰極管表示装置(CRT)、液晶ディスプレー(LCD)等の表示面の視認性を確保するために好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的光散乱法により測定された平均粒子径が5〜500nmの範囲にあり、繊維状で中空構造を有し、導電性を有することを特徴とする導電性繊維状中空シリカ微粒子。
【請求項2】
下記(a)、(b)および(c)の条件を満たし、更に表面部に金属を含有する導電性成分を含むことを特徴とする請求項1記載の導電性繊維状中空シリカ微粒子;
(a)長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜10の範囲にある、
(b)BET法による比表面積が5〜600m2/gの範囲にある、
(c)屈折率が1.20〜1.40の範囲にある。
【請求項3】
前記金属を含有する導電性成分が、ニッケル、コバルト、銅、銀、金、白金、錫、鉄、亜鉛、パラジウム、インジウムおよびアンチモンからなる群より選ばれる金属の1)単体、2)化合物または3)合金を含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の導電性繊維状中空シリカ微粒子。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の導電性繊維状中空シリカ微粒子が分散媒に分散してなる導電性繊維状中空シリカ微粒子分散液。
【請求項5】
下記工程(I)〜(VI)を含むことを特徴とする請求項1、2または3に記載の導電性繊維状中空シリカ微粒子の製造方法;
工程(I):長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜10の範囲にある無機酸化物(シリカを除く)微粒子を核粒子として分散媒に分散させて、核粒子分散液を得る工程、
工程(II):工程(I)で得られた核粒子分散液のpHを8〜13に調整する工程、
工程(III):工程(II)のpH調整後、前記核粒子表面を、(1)シリカ、または(2
)シリカおよび前記核粒子と同じ成分を含有する無機酸化物で被覆して、繊維状シリカ被覆核粒子を得る工程、
工程(IV):工程(III)の後、前記繊維状シリカ被覆核粒子の、前記核粒子の部分の一
部または全部を除去し、繊維状中空シリカ核微粒子を得る工程、
工程(V):工程(IV)で得られた繊維状中空シリカ核微粒子の表面を、更にシリカで被
覆して繊維状中空シリカ微粒子を得る工程、
工程(VI):工程(V)で得られた繊維状中空シリカ微粒子表面を、金属を含有する導電
性成分で処理する工程。
【請求項6】
下記工程(i)〜(vii)を含むことを特徴とする請求項1、2または3に記載の導電
性繊維状中空シリカ微粒子の製造方法;
工程(i):長径と短径との比(長径/短径)が1.5〜10であり、酸可溶性の無機酸
化物(シリカを除く)微粒子を核粒子として分散媒に分散させて核粒子分散液を得る工程、
工程(ii):工程(i)で得られた核粒子分散液をpH8〜13に調整する工程、
工程(iii):工程(ii)のpH調整後、温度60〜250℃で、反応性珪素化合物を添
加することにより核粒子を成長させ、繊維状シリカ被覆核粒子を得る工程、
工程(iv):工程(iii)の後、酸性溶液を添加することにより、前記繊維状シリカ被覆
核粒子の、前記核粒子の部分の一部または全部を除去し、繊維状中空シリカ核微粒子を得る工程、
工程(v):工程(iv)で得られた繊維状中空シリカ核微粒子に、更に反応性珪素化合物
を添加して、繊維状中空シリカ微粒子を得る工程、
工程(vi):工程(v)の後、前記繊維状中空シリカ微粒子を含む分散液を温度100℃
〜270℃で熱処理する工程。
工程(vii):工程(vi)で得られた繊維状中空シリカ微粒子表面を、金属を含有する導
電性成分で処理する工程。
【請求項7】
前記酸可溶性の無機酸化物微粒子が、繊維状アルミナ微粒子、繊維状酸化カルシウム微粒子および繊維状酸化鉄微粒子からなる群より選択される微粒子であることを特徴とする請求項6に記載の導電性繊維状中空シリカ微粒子の製造方法。
【請求項8】
請求項1、2または3に記載の導電性繊維状中空シリカ微粒子、反射防止被膜形成用成分および分散媒を含有することを特徴とする反射防止被膜形成用組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の反射防止被膜形成用組成物により形成された反射防止被膜。
【請求項10】
樹脂基材上に反射防止被膜が形成されてなる反射防止被膜付基材であって、該反射防止被膜が、請求項1、2または3に記載の導電性繊維状中空シリカ微粒子と反射防止被膜形成用成分を含有することを特徴とする反射防止被膜付基材。
【請求項11】
樹脂基材上に反射防止被膜が形成されてなる反射防止被膜付基材であって、該反射防止被膜が、請求項8に記載の反射防止被膜形成用組成物により形成されたことを特徴とする反射防止被膜付基材。
【請求項12】
樹脂基材上にハードコート層を介して、前記反射防止被膜が設けられていることを特徴とする請求項10または11に記載の反射防止被膜付基材。

【公開番号】特開2009−143754(P2009−143754A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321194(P2007−321194)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】