説明

小型機器用ギヤユニット

【課題】モーターと、モータの回転を減速して機器動作部に伝達する第1〜第nギヤ(例えばn=5とする)を有するギヤヘッド部としてのギヤボックスとを有する小型機器用ギヤユニットにおいて、動作音を静音化するとともに、小型化を可能にする。
【解決手段】モータ100の回転軸が挿入される回転軸挿入孔を有する軸受け部から放射状に突出される複数の羽根を有し、モータ100の回転とともに回転する羽根車300と、羽根車300に取り付けられて羽根車300とともに回転してモータ100の回転力を第1〜第5ギヤのうちの第1ギヤ211に伝達するウオームギヤ400とをさらに有する。本発明によれば、動作時における静音化が可能となるともに小型化が可能となる小型機器用ギヤユニットを提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話機などに搭載されるデジタルカメラのズームレンズ駆動用として好適な小型機器用ギヤユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機においてはデジタルカメラ(以下ではカメラという。)が搭載されているものが一般的である。携帯電話機はますます高性能化が進み、機能も多彩なものとなってきており、それに伴い携帯電話機に搭載されているカメラも同様に高性能化及び高機能化が進んでいる。例えば、ズーム機能もその1つである。ズーム機能において、より高倍率のズームを可能とするためには光学的ズーム機構を設けることが好ましいが、光学的なズーム機構を設けるには、ズームレンズ駆動用のギヤユニットが必要となる。
【0003】
ズームレンズ駆動用のギヤユニットは、モーターと、モーターの回転を減速する減速ギヤ列を有するギヤヘッドとしてのギヤボックスとを有している。なお、この明細書においては、モーターとギヤボックスとを一体化したものをギヤユニットと呼ぶことにする。
【0004】
このようなギヤユニットは従来から種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
図10は、特許文献1に記載されているギヤユニット(特許文献1においてはギヤドモーターとしている。)の構成を示す斜視図である。特許文献1に記載されているギヤユニット1は、図10に示すように、減速ギヤ列2を収納するギヤボックス3と、モーター40と、モーター40の回転軸41に取り付けられたウォームギヤ21と、モーター40の回転軸41に固定される羽根車60とを備えている。なお、特許文献1に記載されているギヤユニットにおいては、羽根車60は、モーター40をギヤボックス3に固定したあとに、モーター40の回転軸41に取り付け可能としている。このため、図10においては、羽根車60は、回転軸41に取り付けられる前の状態が示されている。
【0005】
羽根車60は、モーター40の回転数を計測するために用いられるものであり、モーター40とともに回転することによって、フォトインタラプタ(図示せず。)の発光部からの光を間欠的に遮断するものである。このフォトインタラプタの出力によりモーター40の回転数を計測することができる。このため、図10に示すギヤユニットをズームレンズ駆動用のギヤユニットとして用いる場合には、ズームレンズのズーム量を制御することができる。
【0006】
また、ウォームギヤ21は合成樹脂などによって形成され、中心軸方向に沿って中空部が設けられ、この中空部にモーター40の回転軸41が圧入されることによって回転軸41に固定される。
【0007】
また、減速ギヤ列2を構成する第1〜第4ギヤ22〜25のうちの第4ギヤ25は出力ギヤとしての機能を有し、図10に示す従来のギヤユニットを例えばズームレンズ駆動用のギヤユニットとして用いる場合には、ズームレンズのレンズ鏡筒(図示せず)を回転させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−89492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
携帯電話機などの携帯用電子機器は、高性能化とともに小型化の要求も高く、当然のことながら、ズームレンズ駆動用のギヤユニットも高性能化と小型化が要求される。特許文献1に記載されているギヤユニットは、携帯電話機に搭載されるカメラのズームレンズ駆動用のギヤユニットとしても適用可能であるが、携帯電話機に搭載されたカメラのズームレンズ駆動用のギヤユニットとして適用する場合には、いくつかの課題もある。
【0010】
例えば、特許文献1に記載されているギヤユニットにおいて用いられているウォームギヤ21は、中空部を有しており、その中空部にモーター40の回転軸41が圧入されることによって回転軸41に取り付けられるようになっている。
【0011】
このように、中空部に回転軸41を圧入することによってウォームギヤ21を回転軸41に取り付ける場合には、ウォームギヤ21が破損しないようにするために、ウォームギヤ21を肉厚にする必要があるとともに強度を高めるために硬い材質の合成樹脂を用いる必要がある。
【0012】
しかしながら、ウォームギヤ21を肉厚にすると、ウォームギヤ21の直径が必然的に大きくなってしまい、ウォームギヤ21の直径が大きくなることによる課題が生じてくる。すなわち、ウォームギヤ21の直径が大きくなると、ウォームギヤ21が回転したときに周速も大きくなり、それに伴って回転音も大きくなる。これは、ギヤなどは、同じ回転数で回転した場合に、周速が大きいほど騒音が大きくなる傾向にあるからである。
【0013】
回転音を大きくする要因は、ウォームギヤ21の直径が大きいことだけではなく、ウォームギヤ21の材質にもある。すなわち、ギヤなどは、同じ回転数で回転した場合に、堅い材質であるほど騒音が大きくなる傾向にあり、ウォームギヤ21の材質を硬い材質の合成樹脂とすると、回転時の騒音が大きくなる傾向にある。
【0014】
また、特許文献1に記載されているギヤユニットは、図10に示すように、モーター40の回転軸41の先端部をL字状のバネ7で押さえてスラスト方向の「ガタツキ」を防止するようにしているが、スラスト方向に直交する方向の「横ぶれ」は防止することはできない。このため、モーター40が高速で回転すると、ウォームギヤ21は高速回転軸時に「横ブレ」が生じる可能性もあり、この「横ブレ」が騒音を大きくする要因にもなり得る。
【0015】
一方、近年の携帯電話機などは、音声を入力しながら動画の撮影が可能となっているものも多く、音声を入力しながら動画を撮影する際にズーミングをしながら撮影する場合もある。このような場合、ギヤユニットの動作音が入力されるのは好ましいことではない。このため、ギヤユニットの動作音を静音化することも重要な課題である。
【0016】
なお、ウォームギヤ21の直径が大きくなることによる課題は、動作音が大きくなることだけではなく、ギヤボックス3内の限られたスペースにおいては、ウォームホイール22aを含む第1〜第4ギヤ22〜25の配置に大きく制約が生じるといった課題もある。
【0017】
すなわち、特許文献1に記載されているギヤユニットにおいては、図10に示すように、ウォームホイール22aを含む第1〜第4ギヤ22〜25は、ウォームギヤ21の回転中心軸Aの一方の側(図10においては矢印x’方向の側)に集中的に配置されている。このような配置とせざるを得ないのは、ウォームギヤ21の径が大きく、回転中心軸Aの他方の側(図10においては矢印x方向の側)に空きスペースがないことが要因の一つである。
【0018】
特許文献1に記載されたギヤユニットは、図10に示すように、全体的にはほぼL字型の形状をなし、かつ、ギヤの数がウォームホイールを含むウォームホイール22aを含む第1〜第4ギヤ22〜25の4個必要としているので、ギヤボックス3の平面の面積も大きくなる。このため、特許文献1に記載されたギヤユニット1を例えば携帯電話機などに設置する場合、大きな設置面積が必要となる。携帯電話機などにおいては、限られたスペースの中に様々な部品を収納する必要があるため、個々の部品は可能な限り小さくすることが要求される。
【0019】
そこで本発明は、動作時における静音化を可能とするとともに小型化を可能とすることができる小型機器用ギヤユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
[1]本発明の小型機器用ギヤユニットは、モーターと、前記モーターの回転を減速して機器動作部に伝達する第1〜第nギヤ(nは2以上の整数)を有するギヤヘッド部とを有する小型機器用ギヤユニットであって、前記モーターの回転軸が挿入される回転軸挿入孔を有する軸受け部から放射状に突出される複数の羽根を有し、前記モーターの回転とともに回転する羽根車と、前記羽根車に取り付けられて前記羽根車とともに回転して前記モーターの回転力を前記第1〜第nギヤのうちの第1ギヤに伝達するウォームギヤとをさらに有することを特徴とする。
【0021】
本発明の小型機器用ギヤユニットによれば、ウォームギヤは羽根車に取り付けられて羽根車とともに回転するような構成となっている。このため、ウォームギヤの直径を小さくすることができる。すなわち、本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、ウォームギヤは、モーターの回転軸に直接取り付けられるものではないため、回転軸を挿入するための中空部が不要となり、また、回転軸が圧入されるものではないため、硬度の高い合成樹脂とする必要もなく、比較的軟らかい合成樹脂を用いることができる。
【0022】
このように、ウォームギヤの直径を小さくすることができ、かつ、比較的軟らかい合成樹脂を用いることができることによって、回転時における動作音を低減することができ、静音化が可能となる。これは、ギヤなどは、同じ回転数で回転した場合には、周速が小さいほど騒音が小さくなる傾向にあり、また、同じ回転数で回転した場合には、軟らかい材質であるほど騒音が小さくなる傾向にあるからである。また、ウォームギヤの直径を小さくできることによって、ギヤユニット全体を小型化することができる。
【0023】
[2]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記機器動作部は、ズームレンズのレンズ鏡筒であることが好ましい。
【0024】
本発明の小型機器用ギヤユニットは、ズームレンズのレンズ鏡筒を駆動するためのギヤユニットとして好適なものである。特に、光学的ズーム機構を有したカメラ付きの携帯電話機などの小型機器に本発明の小型機器用ギヤユニットを採用することによって、ズーム動作時における静音化が可能となり、また、ギヤユニット全体が小型であるので、限られた狭いスペースにも容易に設置可能となる。
【0025】
[3]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記ウォームギヤは、前記モーターの回転力を前記第1ギヤに伝達するためのスクリューネジ状歯車部と、前記スクリューネジ状歯車部の先端側で、かつ、前記スクリューネジ状歯車部の回転中心軸に一致するように設けられている先端軸とを有し、前記ギヤヘッド部は、前記ウォームギヤの先端軸を回転自在に支持すウォームギヤ支持用軸受け部を有することが好ましい。
【0026】
このように、ウォームギヤの先端軸がギヤヘッド側に設けられたウォームギヤ支持用軸受け部に回転自在に支持されることによって、ウォームギヤは羽根車の回転に伴って回転する際に、先端軸がウォームギヤ支持用軸受け部で支持された状態で回転する。このため、ウォームギヤは、たとえ、その直径を小さくし、かつ、比較的軟らかい合成樹脂を用いたとしても、「横ぶれ」を生じることなく安定した状態で回転可能となる。
【0027】
[4]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記ウォームギヤは、前記スクリューネジ状歯車部の後端側で、かつ、前記回転中心軸の軸周りに設けられている複数の突出片をさらに有し、前記複数の突出片の各突出片が、前記羽根車に取り付けられることが好ましい。
【0028】
このように、ウォームギヤに設けられた突出片を羽根車に取り付けることによってウォームギヤを羽根車に取り付けることができるため、簡単な構成で容易にウォームギヤを羽根車に取り付けることができる。
【0029】
[5]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記突出片は、複数の羽根の各付け根部において羽根と羽根との間に圧入されることによって取り付けられることが好ましい。
このような構成とすることによって、特別な工具やネジなどの部品を使用せずに簡単にウォームギヤを羽根車に取り付けることができる。
【0030】
[6]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記羽根車は、前記モーターの回転数を検出するための機能を有するものであって、前記モーターとともに回転することにより、発光部からの光を前記複数の羽根が間欠的に遮断するように設けられていることが好ましい。
これにより、羽根車が回転することによってモーターの回転数を検出することができる。
【0031】
[7]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記羽根車は、金属部材からなることが好ましい。
【0032】
このように、羽根車を金属製とすることにより、羽根車を合成樹脂製とした場合に比べて、強度を維持したまま、厚みを薄くすることができる。また、羽根車を金属製とすることにより、温度や外力などによる劣化など合成樹脂に比べて生じにくく、ウォームギヤの取り付け状態を長期間、適切な状態に保持することができる。
【0033】
[8]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記第1〜第nギヤは、前記第1〜第nギヤの各ギヤの回転軸を同一平面上における一本の曲線で近似的に結んだとき、当該曲線が前記ウォームギヤを囲むような弧を描いて配置されていることが好ましい。
【0034】
第1〜第nギヤがこのように配置されることにより、第1〜第nギヤは、ギヤヘッド内において縦方向及び横方向に必要以上に広がることなく、ほぼ矩形の範囲内にコンパクトに配置された状態となり、ギヤユニットを小型化することができる。
【0035】
[9]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記第1〜第nギヤは、前記第1〜第nギヤの各ギヤの回転軸を同一平面上における一本の曲線で近似的に結んだとき、当該曲線が前第1ギヤを始点として外方に向かうような弧を描いて配置されていることもまた好ましい。
第1〜第nギヤをこのような配列とすることによっても本発明の小型機器用ギヤユニットを構成することができる。
【0036】
[10]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記第1〜第nギヤのnは、n=3であることが好ましい。
このように、減速ギヤ列を構成するギヤの数が3個で済むことによってコストの低廉化が可能となる。
【0037】
[11]本発明の小型機器用ギヤユニットにおいては、前記モーター及び前記ギヤヘッド部は、金属製の接続板によって前記モーターの回転軸に沿う方向に接合されていることが好ましい。
【0038】
このように、モーターとギヤヘッドとを接合する接続板が金属製であるため、接続板の厚み部分において雌ネジを形成することができ、接続板側にネジ止め用のボスを形成する必要がなくなる。これにより、当該接続板が当該ギヤユニットを機器内のフレームなどに固定する際の固定板としての役目をも有する場合、フレーム側からネジによって接続板に設けられた雌ネジ部にネジ止めすることができる。このとき、接続板側にネジ止め用のボスが不要となるので、ボスが存在しない分だけ、厚み方向の寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000の外観構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000の内部構成を説明するために示す平面図である。
【図3】羽根車300の構成を示す図である。
【図4】ウォームギヤ400の構成を示す図である。
【図5】ウォームギヤ400を羽根車300に取り付ける際の取り付け手順について説明する図である。
【図6】ウォームギヤ400の先端軸420をウォームギヤ支持用軸受け部240で支持させた状態を示す図である。
【図7】小型機器用ギヤユニット1000を携帯電話機のレンズユニット側に設けられたフレーム700に取り付けた状態を示す図である。
【図8】実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000の内部構成を説明するために示す平面図である。
【図9】実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000の内部構成を説明するために示す平面図である。
【図10】特許文献1に記載されているギヤユニットの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態では、本発明の小型機器用ギヤユニットを携帯電話機のズームレンズ駆動用のギヤユニットとして用いる場合について説明する。なお、以下に示す実施形態において、「小型機器用ギヤユニット」を単に「ギヤユニット」と表記する場合もある。
【0041】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000の外観構成を示す図である。図1(a)は一部を切り欠いて示す正面図であり、図1(b)は一部を切り欠いて示す側面図である。
【0042】
実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000は、図1に示すように、モーター100と、減速ギヤ列210(図2参照)を有するギヤヘッドとしてのギヤボックス200と、モーター100の回転軸110に取り付けられた羽根車300と、羽根車300に取り付けられているウォームギヤ400と、モーター100とギヤボックス200とを接合して一体化する金属製の接続板500とを備えている。
ギヤボックス200は、蓋体220と背面板230とを有しており、蓋体220はネジ(図示せず)によって背面板230に取り付けられる。
【0043】
ウォームギヤ400は、モーター100の回転軸110に直接取り付けられるものではなく、羽根車300に取り付けられて羽根車300とともに回転するものである。ウォームギヤ400を羽根車300に取り付ける際の取り付け方などについては後に詳細に説明する。
【0044】
接続板500は、L字型をなしており、図1において水平方向のプレート部500aにはモーター100がネジ510によって取り付けられ、垂直方向のプレート部500bにはギヤボックス200がネジ(図示せず。)により取り付けられる。
【0045】
また、接続板500は、モーター100とギヤボックス200とを接合して一体化する役目の他に、ギヤユニット1000を携帯電話機内に設けられているレンズユニット(図示せず。)のフレームなどに固定する際の固定板としての役目をも有している。このため、垂直方向のプレート部500bには、当該ギヤユニット1000をレンズユニットに取り付ける際にレンズユニット側からネジ止めするための複数の雌ネジ部530が設けられている。
【0046】
図2は、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000の内部構成を説明するために示す平面図である。なお、図2においてはギヤボックス200の蓋体220を取り外した状態が示されている。減速ギヤ列210は、図2に示すように、第1〜第5ギヤ211〜215の5個のギヤによって構成されている。
【0047】
第1〜第5ギヤ211〜215は、それぞれが大径ギヤと小径ギヤとから構成されている。すなわち、第1ギヤ211は、大径ギヤ211aと小径ギヤ211bとにより構成されており、第2ギヤ212は、大径ギヤ212aと小径ギヤ212bとにより構成されており、第3ギヤ213は、大径ギヤ213aと小径ギヤ213bとにより構成されており、第4ギヤ214は、大径ギヤ214aと小径ギヤ214bとにより構成されており、第5ギヤ215は、大径ギヤ215aと小径ギヤ215bとにより構成されている。
【0048】
そして、第1ギヤ211の大径ギヤ211aは、図2に示すように、ウォームギヤ400に歯合し、第1ギヤ211の小径ギヤ211bは、第2ギヤ212の大径ギヤ212aに歯合し、第2ギヤ212の小径ギヤ212bは、第3ギヤ213の大径ギヤ213aに歯合し、第3ギヤ213の小径ギヤ213bは、第4ギヤ214の大径ギヤ214aに歯合し、第4ギヤ214の小径ギヤ214bは、第5ギヤ215の大径ギヤ215aに歯合している。
【0049】
なお、第5ギヤ215は出力ギヤとしての機能を有し、第5ギヤ215の小径ギヤ215bによってズームレンズ鏡筒(図示せず)を回転させ、それによってズームレンズ(図示せず。)を図2における紙面に直交する方向に往復動させるようにしている。
【0050】
また、第1〜第5ギヤ211〜215は、図2に示すように、第1〜第5ギヤ211〜215の各ギヤの回転軸P1〜P5を同一平面上における一本の曲線Lで近似的に結んだとき、当該曲線Lがウォームギヤ400を囲むほぼ逆U字状の弧を描くように配置されている。
【0051】
また、ギヤボックス200の背面板230には、ウォームギヤ400の先端軸420を回転自在に支持するウォームギヤ支持用軸受け部240が設けられている。
また、ギヤボックス200の背面板230には、蓋体220を取り付ける際の複数(4個とする。)のネジ孔251〜254が設けられるとともに、蓋体220を取り付ける際の位置決め用の複数(2個とする。)のノックピン261,262が設けられている。
【0052】
ところで、第1〜第5ギヤ211〜215は、蓋体220及び背面板230のそれぞれ対向する位置に形成された回転軸支持部(図示せず。)で回転自在に支持されるものである。すなわち、ノックピン261,262によって蓋体220と背面板230とが正確に位置合わせされた状態で接合されることにより、第1〜第5ギヤ211〜215の各回転軸P1〜P5がそれぞれ対応する回転軸支持部で回転自在に支持されるようになっている。
【0053】
図3は、羽根車300の構成を示す図である。図3(a)は平面図であり、図3(b)は斜視図である。羽根車300は、薄板状の金属板によって作られており、図3に示すように、モーター100の回転軸110が圧入される回転軸挿入孔311を有する軸受け部310と、軸受け部310から所定間隔で放射状に突出した複数(3枚とする。)の羽根321〜323とを備えている。このように構成された羽根車300は、回転軸挿入孔311にモーター100の回転軸110が圧入されることによりモーター100の回転軸110に固定され、モーター100とともに回転する。
【0054】
なお、羽根車300は、前述したように、モーター100の回転数を測定するために用いられるものである。すなわち、羽根車300は、モーター100とともに回転することにより、フォトインタラプタ(図示せず。)の発光部からの光を間欠的に遮断するものであり、フォトインタラプタの出力によりモーター100の回転数を計測することができる。
【0055】
図4は、ウォームギヤ400の構成を示す図である。ウォームギヤ400は、図4に示すように、スクリューネジ状歯車部410と、スクリューネジ状歯車部410の先端側で、かつ、スクリューネジ状歯車部410の回転中心軸aに一致するように突出形成されている先端軸420と、スクリューネジ状歯車部410の後端側で、かつ、回転中心軸aの軸周りに設けられている複数(3個とする。)の突出片441〜443とを有している。なお、突出片441〜443は、具体的には、スクリューネジ状歯車部410の後端部に形成された台座部430の後端部において回転中心軸aの軸周りに所定間隔(等間隔とする。)ごとに設けられている。
【0056】
図5は、ウォームギヤ400を羽根車300に取り付ける際の取り付け手順について説明する図である。図5(a)はウォームギヤ400を羽根車300に取り付ける前の状態を示す図であり、図5(b)はウォームギヤ400を羽根車300に取り付けた状態を示す図である。
【0057】
ウォームギヤ400は、突出片441〜443を羽根車300の各羽根321〜323の付け根部おける羽根と羽根との間に圧入させることによって羽根車300に固定される。ウォームギヤ400が羽根車300に図5(b)に示すように取り付けられるものであるため、ウォームギヤ400は、その直径D(具体的には、スクリューネジ状歯車部410の直径D)を小さくすることができる。
【0058】
すなわち、ウォームギヤ400は、モーター100の回転軸110が圧入されることによって回転軸110に取り付けられるものではないため、回転軸110を挿入するための中空部が不要となり、かつ、硬度の高い合成樹脂とする必要もなく、比較的軟らかい合成樹脂を用いることができる。
【0059】
このように、ウォームギヤ400は、その直径Dを小さくすることができ、かつ、比較的軟らかい合成樹脂を用いることができることによって、回転時における動作音を低減することができ、静音化が可能となる。すなわち、ウォームギヤ400の直径Dが小さくなれば、同じ回転数で回転した場合、周速も小さくなり、それによって静音化が可能となる。また、ウォームギヤ400の材質が比較的軟らかい合成樹脂であることにより、同じ回転数で回転した場合に、堅い材質に比べて騒音を小さくすることができるため、それによっても静音化が可能となる。
【0060】
なお、羽根車300は金属製であるため、羽根車300を合成樹脂製とした場合に比べて、強度を維持したまま、厚みtを薄くすることができる。また、羽根車300を金属製とすることにより、温度や外力などによる劣化が合成樹脂に比べて生じにくく、ウォームギヤ400の取り付け状態を長期間、適切な状態に保持することができる。
【0061】
図6は、ウォームギヤ400の先端軸420をウォームギヤ支持用軸受け部240で支持させた状態を示す図である。羽根車300に取り付けられたウォームギヤ400(図5(b)参照。)は、図6に示すように、先端軸420がギヤボックス200側に設けられたウォームギヤ支持用軸受け部240の軸受け孔241に回転自在に支持された状態となる。なお、ウォームギヤ支持用軸受け部240は、ギヤボックス200の例えば背面板230に一体成型により形成されるものであるが、図6においては、背面板230などギヤボックス200内に存在する他の構成要素の図示は省略し、ウォームギヤ支持用軸受け部240の一部のみが示されている。
【0062】
ウォームギヤ400の先端軸420が、図6に示すように、ギヤボックス200側に設けられたウォームギヤ支持用軸受け部240に回転自在に支持されることによって、ウォームギヤ400は羽根車300の回転とともに回転する際に、先端軸420がウォームギヤ支持用軸受け部240で支持された状態で回転する。このため、たとえ、ウォームギヤの直径が小さく、かつ、比較的軟らかい合成樹脂を用いても、ウォームギヤ400は、「横ぶれ」を生じることなく安定した状態で回転可能となる。
【0063】
また、ウォームギヤ400の直径Dを小さくできることによる効果は、動作音の低減による静音化だけはなく、第1〜第5ギヤ211〜215の配置の自由度を高めることができることも挙げられる。
【0064】
すなわち、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000においては、図2に示すように、第1ギヤ211は、ウォームギヤ400の図1における右側において歯合され、この第1ギヤ211を始点に第2ギヤ212、第3ギヤ213、第4ギヤ214、第5ギヤ215がウォームギヤ400を囲むようなほぼ逆U字状の弧(曲線L)を描くように配置される。
【0065】
第1〜第5ギヤ211〜215が図2に示すような配置によってギヤボックス200内に収納可能としたのは、ウォームギヤ400の直径Dを小さくすることによって、ギヤボックス200内において、ウォームギヤ400の回転中心軸aの左右両方の側(図2における矢印x’方向の側及びx方向の側)に、より多くの空きスペースが形成されるためである。特に、ウォームギヤ400の右側(図2における矢印x方向の側)においては、従来のギヤユニット(図8参照。)に比べて、より多くの空きスペースが形成され、この空きスペースにもギヤを配置することができたためである。
【0066】
第1〜第5ギヤ211〜215が図2に示すように配置されることにより、第1〜第5ギヤ211〜215は、ギヤボックス200内において縦方向(図2におけるz軸方向)及び横方向(図2におけるx軸方向)に必要以上に広がることなく、ほぼ矩形の範囲内にコンパクトに配置された状態となる。それによって、モーター100とギヤボックス200とからなるギヤユニット1000は、図1及び図2に示すように、その形状が全体的には細長い単純な長方形状となり、従来のギヤユニット(例えば図8参照。)に比べて小型化することができる。
【0067】
また、ウォームギヤ400の直径が小さくなることにより、ウォームギヤ400を一条ネジとすることができ、それによって減速比を大きくとることができるという効果も得られる。すなわち、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000においては、ウォームギヤ400の直径を小さくすることができるので、ピッチ円が小さくなり、進み角度を大きくとることができるため、伝達効率を高くすることができる。このため、ウォームギヤ400は一条ネジとすることができ、一条ネジとすることによって第1ギヤ211のモータ100に対する減速比を高くすることができるといった利点がある。
【0068】
ちなみに、ウォームギヤ400の直径が大きいとピッチ円も大きくなり、進み角度が小さくなる。進み角度が小さいと伝達効率が低くなるため、伝達効率を高めるためにウォームギヤを二条ネジとする場合が多い。ウォームギヤを二条ネジとすると、第1ギヤ211モータ100に対する減速比は、ウォームギヤが一条ネジである場合に比べて低くなるといった課題があり、所定の減速比を得るには第1ギヤ211の歯数を多くする必要が(あり、第1ギヤ211の直径が大きくならざるを得ない。
【0069】
なお、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000においては、出力ギヤ(第5ギヤ215)のモーター400に対する減速比は、第1〜第5ギヤ211〜215の各大径ギヤ及び小径ギヤの歯数を適切に選ぶことにより、レンズ鏡筒(図示せず)を駆動するに適した減速比(例えば、約240:1)を得ることができる。実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000においては、減速ギヤ列210を構成するギヤの数は5個としているが、第1〜第5ギヤ211〜215は比較的、歯数が少なく直径の小さいギヤを用いることができ、また、図2に示すようなギヤの配列とすることにより、ギヤユニット200は全体的には小型化することができる。
【0070】
ところで、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000においては、モーター100とギヤボックス200とを接合して一体化するための接続板500は、ギヤユニット1000を携帯電話機のレンズユニット(図示せず。)に固定する際の固定板としての役目をも有している。
【0071】
図7は、小型機器用ギヤユニット1000を携帯電話機のレンズユニット側に設けられたフレーム700に取り付けた状態を示す図である。図7に示すように、ギヤユニット1000をレンズユニット側のフレーム700に固定する際は、フレーム700の所定位置にギヤユニット1000を置いた状態で、フレーム700側からネジ710によって接続板500に設けられた雌ネジ部530にネジを螺合させることによって、接続板500をフレーム700に固定させる。これによって、ギヤユニット1000は、レンズユニット側のフレーム700の所定位置に固定される。
【0072】
このように、接続板500に雌ネジ部530を形成することができるのは、接続板500が金属製としたからである。ちなみに、接続板500を合成樹脂製とした場合には、ネジ止めの確実性を高めるために、接続板500側にネジ止め用のボスを形成する必要があり、ボスの分だけ、ギヤユニット1000の厚み方向(図7におけるy軸方向)の寸法が大きくなる。これに対して、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000は、ボスが存在しない分だけ、厚み方向(図7におけるy軸方向)の寸法を小さくすることができる。なお、接続板500の板厚は1mm程度で十分であり、1mmの深さの雌ネジであれば、実施形態1に係るギヤユニット1000においては、確実なネジ止めを行うことができる。
【0073】
また、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000をレンズユニットに取り付ける場合だけでなく、ギヤボックス200を接続板500に取り付ける際も、接続板500の板厚を利用して雌ネジ部(図示せず。)を設けておくことにより、接続板500にボスを形成することなく、ギヤボックス200を接続板500に固定することができる。
【0074】
[実施形態2]
図8は、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000の内部構成を説明するために示す平面図である。実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000も実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000と同様、モーター100とギヤボックス200とを有している。なお、図8においてはギヤボックス200の蓋体220を取り外した状態が示されている。また、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000と同一構成要素には同一符号が付されている。
【0075】
なお、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000も実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000と同様、ギヤボックス200に蓋体220を取り付ける際の複数(4個とする。)のネジ孔が設けられるとともに、蓋体220を取り付ける際の位置決め用の複数のノックピンが設けられているがこれらの図示は省略する。
【0076】
実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000が実施形態1に係るギヤユニット1000と異なるのは、減速ギヤ列210を構成する各ギヤの数と配置であり、モーター100、ウォームギヤ400の構造、ウォームギヤ400の羽根車への取り付けの仕方及びウォームギヤ400の先端軸420の支持の仕方などについては、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000と同様である。
【0077】
実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000の減速ギヤ列210は、図8に示すように、第1〜第3ギヤ211〜213の3個のギヤによって構成されている。第1〜第3ギヤ211〜213は、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000と同様、それぞれが、大径ギヤと小径ギヤとから構成されている。すなわち、第1ギヤ211は、大径ギヤ211aと小径ギヤ211bとにより構成されており、第2ギヤ212は、大径ギヤ212aと小径ギヤ212bとにより構成されており、第3ギヤ213は、大径ギヤ213aと小径ギヤ213bとにより構成されている。
【0078】
そして、第1ギヤ211の大径ギヤ211aは、図8に示すように、ウォームギヤ400に歯合し、第1ギヤ211の小径ギヤ211bは、第2ギヤ212の大径ギヤ212aに歯合し、第2ギヤ212の小径ギヤ212bは、第3ギヤ213の大径ギヤ213aに歯合している。
【0079】
なお、この場合、第3ギヤ213は出力ギヤとしての機能を有し、第3ギヤ213の小径ギヤ213bによってズームレンズ鏡筒(図示せず)を回転させ、それによってズームレンズ(図示せず。)を図8における紙面に直交する方向に往復動させるようにしている。
【0080】
ところで、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000においては、減速ギヤ列210を構成するギヤの数を3個(第1〜第3ギヤ211〜213)としているが、減速ギヤ列210を構成するギヤの数を3個としても、第1〜第3ギヤ211〜213の各大径ギヤ及び小径ギヤの歯数を適切に選ぶことにより、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000と同様、出力ギヤ(第3ギヤ213)のモーター400に対する減速比は、レンズ鏡筒(図示せず)を駆動するに適した減速比(例えば、約240:1)を得ることができる。
【0081】
以上説明したように、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000によれば、減速ギヤ列210を構成するギヤ数を3個とすることができ、それによって、コストの低廉化が可能となるといった効果が得られる。
【0082】
なお、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000においては、特許文献1に記載されたギヤユニットと同様、減速ギヤ列210の各ギヤ(第1〜第3ギヤ211〜213)の配列は、ウォームギヤ400に歯合されている第1ギヤ211を始点として外方に向かって弧を描くような配列となっている。このため、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000は全体的にL字型となるが、特許文献1に記載されたギヤユニットに比べてギヤ数が少ない分だけ、ギヤボックス200の平面の面積を小さくすることができる。
【0083】
また、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット200は、ウォームギヤ400の構造、ウォームギヤ400の羽根車への取り付けの仕方及びウォームギヤ400の先端軸420の支持の仕方などは実施形態1に係る小型機器用ギヤユニットと同様であるので、その点については、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニットと同様の効果が得られる。
【0084】
[実施形態3]
図9は、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000の内部構成を説明するために示す平面図である。実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000が実施形態2に係るギヤユニッ2000と異なるのはモーターである。すなわち、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000においては、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000及び実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000において用いられているモーター100に比べて、高いトルクを有するモーター700を用いている。具体的には、モーター700は、モーター100に比べて、ほぼ1.5倍のトルクを有するものとする。
【0085】
このように、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000において用いるモーター700は、モーター100に比べて高いトルクを有するため、ギヤユニット200の減速比を低くすることができる。すなわち、ギヤユニット200の減速比を低くしてもレンズ鏡筒(図示せず)を駆動するに必要な駆動力を得ることができる。
【0086】
具体的には、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000におけるモーター700のトルクは、モーター100のトルクに比べてほぼ1.5倍であるので、出力ギヤ(第3ギヤ213)のモーター700に対する減速比は、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000に比べて「1/(1.5)」程度に抑えることができる。
すなわち、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000においては、モーター700のトルクがモーター100の約1.5倍であるため、出力ギヤ(第3ギヤ213)のモーター700に対する減速比は、モーター100の場合の減速比が「240:1」であったので、その1/(1.5)の「160:1」程度でよく、このような減速比であってもレンズ鏡筒を適切に駆動することができる。
【0087】
このように、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000においては、減速比を低くすることができるため、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000においては、第1〜第3ギヤ213のうちの例えば第1ギヤ211の大ギヤ211aの歯数を実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000の第1ギヤ211の大ギヤ211aの歯数よりも少なくすることができる。これにより、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000の第1ギヤ211の大ギヤ211aは、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000の第1ギヤ211の大ギヤ211aよりも直径を小さくすることができる。
【0088】
また、モーター700のトルクが大きいということは、モーター700としての同じ性能を得るための単位時間当たりの回転数(以下では「単位時間当たり」を省略して「回転数」という)を少なくすることができる。この場合、モーター700の回転数は、モーター100の回転数の約2/3としている。
一般的に、モーターの動作音はモーターの回転数の大きいほど大きくなる傾向にある。このため、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000のモーター700のように、回転数が少ないことは静音化という点において大きな効果が得られる。
【0089】
以上説明したように、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000によれば、減速ギヤ列210を構成するギヤ数を3個とすることができ、それによって、コストの低廉化が可能となるとともに、トルクの高いモーターを使用することによって、回転数を少なくすることができるので、静音化も可能となるといった効果が得られる。
【0090】
なお、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000においては、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000と同様、減速ギヤ列の各ギヤの配列は、ウォームギヤ400に歯合されている第1ギヤ211を始点として外方に向かって弧を描くような配列としているため、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000は全体的にL字型となるが、特許文献1に記載されたギヤユニットに比べてギヤ数が少ない分だけ、ギヤボックス200の平面の面積を小さくすることができる。
【0091】
さらに、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000においては、第1ギヤ211の大ギヤ211aの直径を小さくすることができるので、モーター700はモーター100に比べてやや大型となるが、ギヤボックス200は、実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000よりもさらに小型化が可能となる。このため、小型機器用ギヤユニット3000の全体的な大きさは実施形態2に係る小型機器用ギヤユニット2000に比べて大型化することはない。
【0092】
また、実施形態3に係る小型機器用ギヤユニット3000は、ウォームギヤ400の構造、ウォームギヤ400の羽根車への取り付けの仕方及びウォームギヤ400の先端軸420の支持の仕方などは実施形態1に係る小型機器用ギヤユニットと同様であるので、その点については、実施形態1に係る小型機器用ギヤユニット1000と同様の効果が得られる。
【0093】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記(1)〜(3)に示すような変形実施も可能である。
【0094】
(1)上記実施形態では、本発明の小型機器用ギヤユニットを携帯電話機のズームレンズ駆動用のギヤユニットとして用いた場合について説明したが、本発明の小型機器用ギヤユニットは、携帯電話機以外の機器以外の小型機器におけるズームレンズ用のギヤユニットにおいても適用可能であり、また、ズームレンズ駆動用以外の用途にも適用可能である。
【0095】
(2)実施形態1においては、減速ギヤ列210は、第1〜第5ギヤの5個のギヤによって構成した場合を例示し、また、実施形態2及び実施形態3においては、減速ギヤ列210は、第1〜第3ギヤの3個のギヤによって構成した場合を例示たが、3個に限られるものではなく、用途などによって適宜増減させることができる。
【0096】
(3)上記実施形態では、ウォームギヤ400を羽根車300に取り付ける際の取り付け方としては、羽根と羽根との間にウォームギヤ400の突出片441〜443を圧入することによって取り付ける場合を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、羽根車の軸受け部310にウォームギヤ400の突出片441〜443を挿入可能な突出片挿入孔を設けて、この突出片挿入孔にウォームギヤ400の突出片441〜443を挿入(圧入)するような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
100,700・・・モーター、200・・・ギヤボックス(ギヤヘッド)、210・・・減速ギヤ列、211〜215・・・第1〜第5ギヤ、220・・・蓋体、230・・・背面板、240・・・ウォームギヤ支持用軸受け部、251〜254・・・ネジ孔、261,262・・・ノックピン、300・・・羽根車、310・・・軸受け部、311・・・回転軸挿入孔、321〜323・・・羽根、400・・・ウォームギヤ、410・・・スクリューネジ状歯車部、420・・・先端軸、430・・・台座部、441〜443・・・突出片、500・・・接続板、530・・・雌ネジ部、a・・・ウォームギヤの回転中心軸、P1〜P5・・・第1〜第5ギヤの回転中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターと、前記モーターの回転を減速して機器動作部に伝達する第1〜第nギヤ(nは2以上の整数)を有するギヤヘッド部とを有する小型機器用ギヤユニットであって、
前記モーターの回転軸が挿入される回転軸挿入孔を有する軸受け部から放射状に突出される複数の羽根を有し、前記モーターの回転とともに回転する羽根車と、
前記羽根車に取り付けられて前記羽根車とともに回転して前記モーターの回転力を前記第1〜第nギヤのうちの第1ギヤに伝達するウオームギヤと、
をさらに有することを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記機器動作部は、ズームレンズのレンズ鏡筒であることを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記ウオームギヤは、
前記モーターの回転力を前記第1ギヤに伝達するためのスクリューネジ状歯車部と、
前記スクリューネジ状歯車部の先端側で、かつ、前記スクリューネジ状歯車部の回転中心軸に一致するように設けられている先端軸とを有し、
前記ギヤヘッド部は、
前記ウオームギヤの先端軸を回転自在に支持するウオームギヤ支持用軸受け部を有することを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記ウオームギヤは、
前記スクリューネジ状歯車部の後端側で、かつ、前記回転中心軸の軸周りに設けられている複数の突出片をさらに有し、
前記複数の突出片における各突出片が、前記羽根車に取り付けられていることを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記突出片は、前記複数の羽根の各付け根部において羽根と羽根との間に圧入されることによって取り付けられることを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記羽根車は、前記モーターの回転数を検出するための機能を有するものであって、前記モーターとともに回転することにより、発光部からの光を前記複数の羽根が間欠的に遮断するように設けられていることを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記羽根車は、金属部材からなることを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記第1〜第nギヤは、前記第1〜第nギヤの各ギヤの回転軸を同一平面上における一本の曲線で近似的に結んだとき、当該曲線が前記ウオームギヤを囲むような弧を描いて配置されていることを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記第1〜第nギヤは、前記第1〜第nギヤの各ギヤの回転軸を同一平面上における一本の曲線で近似的に結んだとき、当該曲線が前第1ギヤを始点として外方に向かうような弧を描いて配置されていることを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記第1〜第nギヤのnは、n=3であることを特徴とする小型機器用ギヤユニット。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の小型機器用ギヤユニットにおいて、
前記モーター及び前記ギヤヘッド部は、金属製の接続板によって前記モーターの回転軸に沿う方向に接合されていることを特徴とする小型機器用ギヤユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−234589(P2011−234589A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105107(P2010−105107)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(591099382)
【Fターム(参考)】