小規模水力発電装置
【課題】小規模な河川、用水路等を流れる流量の少ない水流の水力を活用して発電することができる水力発電装置を提供する。
【解決手段】河川や農業用水路等の水流を受けて回転するチェーン水車1と、この水車1の回転軸に連結された発電機4とから概略構成する。水車1を、複数の水受羽根3を環状の無限軌道をなすチェーン2の外周に所定の間隔をもって配置し、この水車1を台船5に搭載し、所定の河川や農業用水路等の水中Wに浮遊させ、固定杭6を用いて河床や水路床に固定すると共に、アンカーをアンカーピットにロープで係留する。そして、流水を受けた水受羽根4が回転移動し、チェーン3を軸支する水車1の回転軸を回動させて発電機4を駆動して発電する。
【解決手段】河川や農業用水路等の水流を受けて回転するチェーン水車1と、この水車1の回転軸に連結された発電機4とから概略構成する。水車1を、複数の水受羽根3を環状の無限軌道をなすチェーン2の外周に所定の間隔をもって配置し、この水車1を台船5に搭載し、所定の河川や農業用水路等の水中Wに浮遊させ、固定杭6を用いて河床や水路床に固定すると共に、アンカーをアンカーピットにロープで係留する。そして、流水を受けた水受羽根4が回転移動し、チェーン3を軸支する水車1の回転軸を回動させて発電機4を駆動して発電する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川や用水路等で使用する小規模な水力発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境面を考慮した発電方法、発電装置等が検討されてきている。化石燃料を使用する火力発電は、CO2の発生を介して温暖化に結びつく。また、ダムを必要とする大規模水力発電は、ダム建設に伴う環境破壊を引き起こすと共に、経済的な負担が極めて大きい。このため、現在は総発電量に占める水力発電の割合は低下している。
【0003】
また、原子力発電は、原子炉の稼動及び核廃棄物処理における安全対策に要する人的、経済的負担が大きい。また、太陽電池等の光エネルギーを利用するものは、発電効率が低い。
【0004】
このため、近年、自然エネルギーを利用した発電方法、例えば、風力発電等が見直されているが、自然の風は必ずしも常に一定の風向及び風速を維持するとは限らず、得られたエネルギーの貯蔵、利用方法等に工夫を要する。一方、水車は、現在では目にすることが少なくなったが、小規模な発電装置の駆動源として自然環境保護の面で極めて優れたものであり、継続的にエネルギーを取得することができる。具体的には、河川、農業用水路等では、常に所定の流量が維持されているため、水車を設置することにより安定したエネルギーを得ることが可能である。
【0005】
水車を利用した発電装置として、従来、例えば、河川の流れに抗して繋留した複数の浮台を平行させ、該浮台間の間隙に接水させた水車の回転軸を前記各々の浮台で軸支するとともに、該浮台に設置した発電機に前記水車による回転運動を回転軸を介して伝達して発電するもの(特許文献1参照。)。水面に浮べた台船に設けられた長大な水路に、ポンプを用いて揚水し、その水流によって多数の発電水車を駆動して発電するもの(特許文献2参照。)。略水平に枢設された回転軸に対して放射状に延設された複数の羽を有する水車と、この水車の回転軸に連結された発電機を有する河川水発電装置(特許文献3参照。)。河川の水流により回転力を得る水車を備えて発電機を駆動することにより発電する発電装置と、発電装置を搭載して水面に浮べる浮体装置と、浮体装置を川岸より牽引する牽引装置を備えた水力発電システム(特許文献4参照。)。水平な回転軸を中心とし、かつ空洞を成す内筒の周りに軸直角方向に曲面または斜面により凹状を成す複数の回転翼を配し、回転軸を水流の幅方向としてその両端を回転軸軸受で支持し、回転軸軸受に発電機を接続してその回転子を回転軸と連結し、両端の回転軸受に係留手段を設け、河川流または潮流の一方向流を利用して発電する浮体式発電装置(特許文献5参照。)。河川敷等に設置され、川の流れを利用して水車を回転させることによって発電を行う簡易設置型の水力式発電装置であって、内部に中空フロート部を有し、外周面に複数枚の水掻き板が放射状に植設されたドラム型の水車と、この水車の車軸に対して直結される動力増幅及び発電機と、水車を川幅方向に車軸が向くように水面に浮べて回転自在に支持する支持部材とを備えたもの(特許文献6参照。)。発電機及び発電水車或いはスクリューを装備する船を河川に係留し河川流力で発電を行う河川流発電装置(特許文献7参照。)等、種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−208576号公報
【特許文献2】特開平11−243682号公報
【特許文献3】特開2003−201949号公報
【特許文献4】特許2003−286935号公報
【特許文献5】特開2003−307173号公報
【特許文献6】特許2007−40217号公報
【特許文献7】特許2011−69343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の発電用水車では、駆動トルクが弱いため、発電規模が小さく、用水路、小規模な河川等の流量の少ない水流の水力を有効活用しての実用的な電力は得難いという問題を有していた。本発明は、以上のような従来技術の課題に鑑み、小規模な河川、用水路等を流れる流量の少ない水流の水力を活用して発電することができる水力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明の水力発電装置は、水流を受けて回転する水車と水車の回転軸に連結された発電機とからなる水力発電装置において、前記水車を、その外周に所定の間隔をもって複数の水受羽根を配した環状の無限軌道をなすチェーン状に構成したことを第1の特徴とする。また、水受羽根が倒伏可能に取付けられていることを第2の特徴とする。さらに、水流を受けて回転するスクリューとスクリューの回転軸に連結された発電機とからなることを第3の特徴とする。またさらに、一端に水流の流入口、他端に水流の流出口が設けられた集水管路内に水車又はスクリューを配したことを第4の特徴とする。また、集水管路の流入口に、水車又はスクリューへの漂流物の衝突を防止する溜枡を設けたことを第5の特徴とする。加えて、水車又はスクリューの回転軸と発電機との間にフライホイル(はずみ車)を介在させたことを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以下の優れた効果を奏する。
(1)従来、ほとんど利用されていなかった小規模な河川や農業用水路内を流れる水力を有効活用することができる。
(2)河川や用水路の大きさ、水流に応じて水車の長さや水受羽根の大きさを適宜容易に変更できる。
(3)フライホイル(はずみ車)に使用により発電効率を向上することができる。
(4)集水路内に水車又はスクリューを配して水流を集中させることで安定した駆動状態を得ることができる。
(5)台風や大雨等により河川の水量が増加しても水は発電装置を越流し、発電装置自体は漂流しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る水力発電装置(水車式)の一実施例を模式的に示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】水車部分を模式的に示す(a)は側面図、(b)はA−A線断面図である。
【図4】本発明に係る水車式発電装置を河川に配置した状態を示す平面図である。
【図5】水車の回転軸とフライホイルとの連結状態を模式的に示す側面図である。
【図6】本発明に係る水車式発電装置の他の実施例を模式的に示す側面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】本発明に係る水力発電装置(管流式)の他の実施例を模式的に示す側面図である。
【図9】図8のC−C線断面図である。
【図10】(a)は管スクリューの正面図、(b)は管スクリュー固定環の正面図である。
【図11】本発明に係る管流式発電装置を河川に配置した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1乃至図2に示すように、本実施例ではチェーン式水車1を用いた水力電装置について説明する。この装置は、河川や農業用水路等の水流を受けて回転するチェーン水車1(以下、単に水車1という)と、この水車1の回転軸1aに連結された発電機4とから概略構成され、水車1を、複数の水受羽根3を環状の無限軌道をなすチェーン2の外周に所定の間隔をもって配置することで形成している。そして、この水車1を台船5に搭載し、所定の河川や農業用水路等の水中Wに浮遊させ、固定杭6を用いて河床や水路床に固定すると共に、アンカー7をアンカーピット5aにロープ7aで係留する。そして、流水Wを受けた水受羽根4が回転移動し、チェーン3を軸支する水車1の回転軸1aを回動させることで、発電機4を駆動して発電する。尚、図中1bは、チェーン2を張設するための固定軸である。
【0013】
図3に示すように、水車1は、発電機4を駆動する回転軸1aと、水力を受けて回転軸1a及び固定軸1bの少なくとも二点を支軸として回動移動する水受羽根3と、回転軸1aと固定軸1bとの間に水受羽根3を張設するチェーン2とを備える。回転軸1aは、機械的強度、耐久性等の高い、例えばステンレス等の防錆金属を材料とすることが好ましい。水受羽根3は、例えば平板状で、木材、樹脂、軽量合金等の比重の小さい材料で形成するのが好ましい。チェーン2は、回転軸1b及び固定軸1bとの噛合を十分にするために、凹凸等の雌雄嵌合構造を外周面に施すとよい。このチェーン式水車は水流と平行して広い接触面積を得られるので、例えば、単なる円形の水車と比べて高い駆動トルクを得ることができる。
【0014】
また、水受羽根3は、チェーン2に蝶番3a等により一方向のみに起立し、その逆方向に倒伏可能に取付けられている。すなわち、水受羽根3がチェーン2の下面側に位置したときに倒立して水流に抗し、上面に位置したときに水流を受けると倒伏して水流に対して無抵抗になるようにされている。
【0015】
図4に示すように、本実施例に係る水力発電装置1は、河川Rに浮遊した状態で係留して配置されるが、河川R内に水流の流路を狭める壁12aを設けて集水路12を構築し、流速が早まった集水路12内に配置して、水流を水車1に集中させることで安定した水車1の駆動状態を得ることができ発電効率を高めることができる。また、図5に示すように、水車1の回転軸1bと発電機4との間にフライホイル(はずみ車)8を介在させ、駆動トルクを高めることでも発電効率を向上することができる。
【実施例2】
【0016】
図6及び図7に、本発明に係る水力発電装置1の他の実施例を示す。尚、便宜上、実施例1と同様の構成要素には同一の参照符号を付して説明する。
この実施例2において実施例1と大きく異なる点は、台船5に変えて、河川や用水路内に集水管路9を配し、この集水管路9内に水車1を据え付ける点にある。集水管路9は、一端に水流の流入口9a、他端に水流の流出口9bが設けられ、その内部の水流方向に沿って水車1が配されている。集水管路9の流入口9aには、管路9の開口面積よりも大きな開口面積を有する溜枡10を設け、水車1への漂流物の衝突を防止することができるようにされている。尚、集水管路9は、チェーンカバー1cで閉蓋状態とするのがよい。
【実施例3】
【0017】
図8乃至図10には、前記チェーン式水車1に変えて、スクリュー羽根11を用いた管流式の水力発電装置の例を示す。本実施例では、円管状の集水管路9内に螺旋状或いはプロペラ状のスクリュー羽根11を、集水管路9の流水軸線に沿ってスクリュー固定環11aで軸支している。そして、このスクリュー羽根11の回転軸11aの回転を回転伝達装置4aを介して発電機4を駆動させて発電する。図11に示すように、本実施例でも実施例2と同様に集水路12内に集水管路9を配し、集水管路9の流水を集中させるのがよい。ここで、集水管路9とスクリュー羽根11及びスクリュー固定環11aは予め組み合わせて一体的にユニット13として構成しておき、必要な流路長に応じて必要数接合して付設できるようにすると施工が簡便になる。
【符号の説明】
【0018】
1 水車又はスクリュー
1a 水車又はスクリューの回転軸
2 チェーン
3 水受羽根
3a 蝶番
4 発電機
4a 回転伝達装置
5 台船
5a アンカー用ピット
6 台船固定杭
7 アンカー
7a 係留ロープ
8 フライホイル(はずみ車)
9 集水管路
9a 水流の流入口
9b 水流の流出口
9c チェーンカバー
10 溜枡
11 スクリュー羽根
11aスクリュー固定環
12 集水路
12a集水壁
13 スクリュー羽根ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川や用水路等で使用する小規模な水力発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境面を考慮した発電方法、発電装置等が検討されてきている。化石燃料を使用する火力発電は、CO2の発生を介して温暖化に結びつく。また、ダムを必要とする大規模水力発電は、ダム建設に伴う環境破壊を引き起こすと共に、経済的な負担が極めて大きい。このため、現在は総発電量に占める水力発電の割合は低下している。
【0003】
また、原子力発電は、原子炉の稼動及び核廃棄物処理における安全対策に要する人的、経済的負担が大きい。また、太陽電池等の光エネルギーを利用するものは、発電効率が低い。
【0004】
このため、近年、自然エネルギーを利用した発電方法、例えば、風力発電等が見直されているが、自然の風は必ずしも常に一定の風向及び風速を維持するとは限らず、得られたエネルギーの貯蔵、利用方法等に工夫を要する。一方、水車は、現在では目にすることが少なくなったが、小規模な発電装置の駆動源として自然環境保護の面で極めて優れたものであり、継続的にエネルギーを取得することができる。具体的には、河川、農業用水路等では、常に所定の流量が維持されているため、水車を設置することにより安定したエネルギーを得ることが可能である。
【0005】
水車を利用した発電装置として、従来、例えば、河川の流れに抗して繋留した複数の浮台を平行させ、該浮台間の間隙に接水させた水車の回転軸を前記各々の浮台で軸支するとともに、該浮台に設置した発電機に前記水車による回転運動を回転軸を介して伝達して発電するもの(特許文献1参照。)。水面に浮べた台船に設けられた長大な水路に、ポンプを用いて揚水し、その水流によって多数の発電水車を駆動して発電するもの(特許文献2参照。)。略水平に枢設された回転軸に対して放射状に延設された複数の羽を有する水車と、この水車の回転軸に連結された発電機を有する河川水発電装置(特許文献3参照。)。河川の水流により回転力を得る水車を備えて発電機を駆動することにより発電する発電装置と、発電装置を搭載して水面に浮べる浮体装置と、浮体装置を川岸より牽引する牽引装置を備えた水力発電システム(特許文献4参照。)。水平な回転軸を中心とし、かつ空洞を成す内筒の周りに軸直角方向に曲面または斜面により凹状を成す複数の回転翼を配し、回転軸を水流の幅方向としてその両端を回転軸軸受で支持し、回転軸軸受に発電機を接続してその回転子を回転軸と連結し、両端の回転軸受に係留手段を設け、河川流または潮流の一方向流を利用して発電する浮体式発電装置(特許文献5参照。)。河川敷等に設置され、川の流れを利用して水車を回転させることによって発電を行う簡易設置型の水力式発電装置であって、内部に中空フロート部を有し、外周面に複数枚の水掻き板が放射状に植設されたドラム型の水車と、この水車の車軸に対して直結される動力増幅及び発電機と、水車を川幅方向に車軸が向くように水面に浮べて回転自在に支持する支持部材とを備えたもの(特許文献6参照。)。発電機及び発電水車或いはスクリューを装備する船を河川に係留し河川流力で発電を行う河川流発電装置(特許文献7参照。)等、種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−208576号公報
【特許文献2】特開平11−243682号公報
【特許文献3】特開2003−201949号公報
【特許文献4】特許2003−286935号公報
【特許文献5】特開2003−307173号公報
【特許文献6】特許2007−40217号公報
【特許文献7】特許2011−69343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の発電用水車では、駆動トルクが弱いため、発電規模が小さく、用水路、小規模な河川等の流量の少ない水流の水力を有効活用しての実用的な電力は得難いという問題を有していた。本発明は、以上のような従来技術の課題に鑑み、小規模な河川、用水路等を流れる流量の少ない水流の水力を活用して発電することができる水力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明の水力発電装置は、水流を受けて回転する水車と水車の回転軸に連結された発電機とからなる水力発電装置において、前記水車を、その外周に所定の間隔をもって複数の水受羽根を配した環状の無限軌道をなすチェーン状に構成したことを第1の特徴とする。また、水受羽根が倒伏可能に取付けられていることを第2の特徴とする。さらに、水流を受けて回転するスクリューとスクリューの回転軸に連結された発電機とからなることを第3の特徴とする。またさらに、一端に水流の流入口、他端に水流の流出口が設けられた集水管路内に水車又はスクリューを配したことを第4の特徴とする。また、集水管路の流入口に、水車又はスクリューへの漂流物の衝突を防止する溜枡を設けたことを第5の特徴とする。加えて、水車又はスクリューの回転軸と発電機との間にフライホイル(はずみ車)を介在させたことを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以下の優れた効果を奏する。
(1)従来、ほとんど利用されていなかった小規模な河川や農業用水路内を流れる水力を有効活用することができる。
(2)河川や用水路の大きさ、水流に応じて水車の長さや水受羽根の大きさを適宜容易に変更できる。
(3)フライホイル(はずみ車)に使用により発電効率を向上することができる。
(4)集水路内に水車又はスクリューを配して水流を集中させることで安定した駆動状態を得ることができる。
(5)台風や大雨等により河川の水量が増加しても水は発電装置を越流し、発電装置自体は漂流しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る水力発電装置(水車式)の一実施例を模式的に示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】水車部分を模式的に示す(a)は側面図、(b)はA−A線断面図である。
【図4】本発明に係る水車式発電装置を河川に配置した状態を示す平面図である。
【図5】水車の回転軸とフライホイルとの連結状態を模式的に示す側面図である。
【図6】本発明に係る水車式発電装置の他の実施例を模式的に示す側面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】本発明に係る水力発電装置(管流式)の他の実施例を模式的に示す側面図である。
【図9】図8のC−C線断面図である。
【図10】(a)は管スクリューの正面図、(b)は管スクリュー固定環の正面図である。
【図11】本発明に係る管流式発電装置を河川に配置した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1乃至図2に示すように、本実施例ではチェーン式水車1を用いた水力電装置について説明する。この装置は、河川や農業用水路等の水流を受けて回転するチェーン水車1(以下、単に水車1という)と、この水車1の回転軸1aに連結された発電機4とから概略構成され、水車1を、複数の水受羽根3を環状の無限軌道をなすチェーン2の外周に所定の間隔をもって配置することで形成している。そして、この水車1を台船5に搭載し、所定の河川や農業用水路等の水中Wに浮遊させ、固定杭6を用いて河床や水路床に固定すると共に、アンカー7をアンカーピット5aにロープ7aで係留する。そして、流水Wを受けた水受羽根4が回転移動し、チェーン3を軸支する水車1の回転軸1aを回動させることで、発電機4を駆動して発電する。尚、図中1bは、チェーン2を張設するための固定軸である。
【0013】
図3に示すように、水車1は、発電機4を駆動する回転軸1aと、水力を受けて回転軸1a及び固定軸1bの少なくとも二点を支軸として回動移動する水受羽根3と、回転軸1aと固定軸1bとの間に水受羽根3を張設するチェーン2とを備える。回転軸1aは、機械的強度、耐久性等の高い、例えばステンレス等の防錆金属を材料とすることが好ましい。水受羽根3は、例えば平板状で、木材、樹脂、軽量合金等の比重の小さい材料で形成するのが好ましい。チェーン2は、回転軸1b及び固定軸1bとの噛合を十分にするために、凹凸等の雌雄嵌合構造を外周面に施すとよい。このチェーン式水車は水流と平行して広い接触面積を得られるので、例えば、単なる円形の水車と比べて高い駆動トルクを得ることができる。
【0014】
また、水受羽根3は、チェーン2に蝶番3a等により一方向のみに起立し、その逆方向に倒伏可能に取付けられている。すなわち、水受羽根3がチェーン2の下面側に位置したときに倒立して水流に抗し、上面に位置したときに水流を受けると倒伏して水流に対して無抵抗になるようにされている。
【0015】
図4に示すように、本実施例に係る水力発電装置1は、河川Rに浮遊した状態で係留して配置されるが、河川R内に水流の流路を狭める壁12aを設けて集水路12を構築し、流速が早まった集水路12内に配置して、水流を水車1に集中させることで安定した水車1の駆動状態を得ることができ発電効率を高めることができる。また、図5に示すように、水車1の回転軸1bと発電機4との間にフライホイル(はずみ車)8を介在させ、駆動トルクを高めることでも発電効率を向上することができる。
【実施例2】
【0016】
図6及び図7に、本発明に係る水力発電装置1の他の実施例を示す。尚、便宜上、実施例1と同様の構成要素には同一の参照符号を付して説明する。
この実施例2において実施例1と大きく異なる点は、台船5に変えて、河川や用水路内に集水管路9を配し、この集水管路9内に水車1を据え付ける点にある。集水管路9は、一端に水流の流入口9a、他端に水流の流出口9bが設けられ、その内部の水流方向に沿って水車1が配されている。集水管路9の流入口9aには、管路9の開口面積よりも大きな開口面積を有する溜枡10を設け、水車1への漂流物の衝突を防止することができるようにされている。尚、集水管路9は、チェーンカバー1cで閉蓋状態とするのがよい。
【実施例3】
【0017】
図8乃至図10には、前記チェーン式水車1に変えて、スクリュー羽根11を用いた管流式の水力発電装置の例を示す。本実施例では、円管状の集水管路9内に螺旋状或いはプロペラ状のスクリュー羽根11を、集水管路9の流水軸線に沿ってスクリュー固定環11aで軸支している。そして、このスクリュー羽根11の回転軸11aの回転を回転伝達装置4aを介して発電機4を駆動させて発電する。図11に示すように、本実施例でも実施例2と同様に集水路12内に集水管路9を配し、集水管路9の流水を集中させるのがよい。ここで、集水管路9とスクリュー羽根11及びスクリュー固定環11aは予め組み合わせて一体的にユニット13として構成しておき、必要な流路長に応じて必要数接合して付設できるようにすると施工が簡便になる。
【符号の説明】
【0018】
1 水車又はスクリュー
1a 水車又はスクリューの回転軸
2 チェーン
3 水受羽根
3a 蝶番
4 発電機
4a 回転伝達装置
5 台船
5a アンカー用ピット
6 台船固定杭
7 アンカー
7a 係留ロープ
8 フライホイル(はずみ車)
9 集水管路
9a 水流の流入口
9b 水流の流出口
9c チェーンカバー
10 溜枡
11 スクリュー羽根
11aスクリュー固定環
12 集水路
12a集水壁
13 スクリュー羽根ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流を受けて回転する水車と水車の回転軸に連結された発電機とからなる水力電装置において、前記水車を、その外周に所定の間隔をもって複数の水受羽根を配した環状の無限軌道をなすチェーン状に構成したことを特徴とする水力発電装置。
【請求項2】
水受羽根が倒伏可能に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項3】
水流を受けて回転するスクリューとスクリューの回転軸に連結された発電機とからなる水力発電装置。
【請求項4】
一端に水流の流入口、他端に水流の流出口が設けられた集水管路内に水車又はスクリューを配したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水力発電装置。
【請求項5】
集水管路の流入口に、水車又はスクリューへの漂流物の衝突を防止する溜枡を設けたことを特徴とする請求項4記載の水力発電装置。
【請求項6】
水車又はスクリューの回転軸と発電機との間にフライホイル(はずみ車)を介在させたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の水力発電装置。
【請求項1】
水流を受けて回転する水車と水車の回転軸に連結された発電機とからなる水力電装置において、前記水車を、その外周に所定の間隔をもって複数の水受羽根を配した環状の無限軌道をなすチェーン状に構成したことを特徴とする水力発電装置。
【請求項2】
水受羽根が倒伏可能に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の水力発電装置。
【請求項3】
水流を受けて回転するスクリューとスクリューの回転軸に連結された発電機とからなる水力発電装置。
【請求項4】
一端に水流の流入口、他端に水流の流出口が設けられた集水管路内に水車又はスクリューを配したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水力発電装置。
【請求項5】
集水管路の流入口に、水車又はスクリューへの漂流物の衝突を防止する溜枡を設けたことを特徴とする請求項4記載の水力発電装置。
【請求項6】
水車又はスクリューの回転軸と発電機との間にフライホイル(はずみ車)を介在させたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の水力発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−24049(P2013−24049A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156963(P2011−156963)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(595121191)
【出願人】(511173712)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(595121191)
【出願人】(511173712)
【Fターム(参考)】
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