説明

少なくとも1つの電熱式の加熱層、及び同加熱層を有する構造コンポーネントを備える加熱システム、加熱方法、並びに加熱機構を有する半完成のコンポーネント又は完成品のコンポーネントの製造方法

エネルギー供給機構(5)を含む加熱システム(1)。絶縁層を備える電熱式の基部加熱機構は、これに載置される基部加熱層(10)と、電気接続機構(10a,10b)とを備え、電気接続機構(10a,10b)によりエネルギー供給機構(5)は、基部加熱層(10)に接続される。絶縁層を備える付加的な加熱機構は、これに載置される電熱式の付加的な加熱層(11)と、電気接続機構(11a,11b)とを備え、電気接続機構(11a,11b)によりエネルギー供給機構(5)は、付加的な加熱層(10)に接続される。エネルギー供給機構(5)は、接続機構(10a,10b;11a,11b)によって加熱層(10,11)に接続され、作動位相において、少なくとも部分的な時間、電流が付加的な加熱層(11)に供給され、これにより基部加熱層(10)は、継続的に熱を生じるが、付加的な加熱層(11)は、部分的な時間だけ熱を生じる。構造コンポーネントは、構造コンポーネントの表面を加熱する機構を備え、構造体は、構造コンポーネント及び加熱システムを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電熱式の加熱層、及び同加熱層からなる構造コンポーネントを備える加熱システム、並びに同加熱システムを制御して加熱する方法に関する。
さらに、本発明は、半完成のコンポーネント、すなわち加熱機構からなるコンポーネント及び加熱層からなるコンポーネントを製造する方法に関する。半完成のコンポーネントは、特に、航空機コンポーネントの繊維強化材料(FRM)や繊維強化プラスチック(FRP)からなるコンポーネントの製造にて設けられる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、編成さ編成された炭素フィラメントから形成される電気的表面加熱要素からなるシートヒーターを開示する。表面加熱要素は、可撓性及び抵抗性を備えた材料として使用され、この表面加熱要素の境界領域に沿って表面加熱要素を加熱する主電極が接続される。加熱時間を短縮すべく、シートヒーターは、表面加熱要素の部分的領域を覆って延びる電極を備えた付加的な機構を備える。
【0003】
特許文献2は、空気力学的コンポーネントを開示する。空気力学的コンポーネントは、コンポーネントの外側表面における氷結を防止すべく加熱する表面を備える。
さらに、特許文献3から加熱温度を決定すべく加熱抵抗を分析する回路構造体が公知である。
【0004】
特許文献4は、加熱要素の温度を制御する方法を開示する。測定段階において、加熱は中断され、加熱要素の抵抗が所定の設定値と比較される。加熱要素の抵抗が設定値より小さいか否かに応じて、交流電圧切り換えのための制御システムに、設定値に到達させるべく加熱が必要か否かが通知される。
【0005】
特許文献5は、氷結を防止するシステムを開示し、このシステムにより、使用される加熱機構は所定の温度に保持される。
特許文献6は非金属糸から編成さ編まれる帯からなる導電性を備えた織物加熱要素を開示する。この構造体において、帯は基体コンポーネントに長手方向にて位置される。
【0006】
特許文献7から導電性を備えた織物加熱要素を形成するための帯形態に編成された
材料又は非編成状態にある材料の構造体が公知であり、編成された材料又は非編成状態にある材料の構造体は、予め形成された型枠の基板に結合される。
【0007】
特許文献8は、基板材料における加熱箔を開示し、選択的方向に沿って抵抗ワイヤが一体的に形成される。
さらに、当業界では導電性炭素繊維が基板材料に蒸着される加熱体の製造方法が周知である。
【0008】
特許文献9は、空気力学的コンポーネントの長尺状をなす領域を加熱する空気力学的コンポーネントにおける加熱層を開示する。加熱層は編成された織物からなり、導電性を備えたロービングの束、及びロービングを相互に分離する絶縁繊維が、これらを横断して延びる緯糸と、同緯糸の延伸方向に一体的に編成され編成された織物が支持される。加熱層は、ロービングの束がコンポーネントの前縁に沿って相互に平行に延びるように空気力学的コンポーネントの表面に適用される。この編成された材料は、大きな面積における実施には不適であり、この場合に、製造工程において、編成された織物は、全体にわたってバインダー材料を使用して安定させる必要がある。バインダー材料は、剛性及び強度等の材料特性や、加熱層の疲労特性に悪影響を有する。これらの特性は、長い耐用年数を有する安定した空気力学的コンポーネントを形成するために航空機建造への適用において特に重要である。
【0009】
特許文献10は、少なくとも1つのシート状基体層及びこの基体層に関する補強糸からなる多軸補強構造体を開示する。補強糸は、少なくともいくつかの領域において、型枠成型された部分に生じる張力に対応する圧力の線に沿って延びる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第19831574号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102004042423号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102004031625号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0745919号明細書
【特許文献5】国際公開第2007107732号明細書
【特許文献6】米国特許第5824996号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第20060278631号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第10151298号明細書
【特許文献9】米国特許第6137083号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第4214636号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、加熱システムを提供することにあり、これにより、構造コンポーネントをより効率よく加熱すると同時に迅速に加熱効果を得られる。この加熱システムは、特に各適用の例に最適化され、コンポーネント表面を効果的に加熱可能である。本発明による加熱システムは、特に航空機の要件に対応するように航空機の構造コンポーネントを加熱可能である。本発明の一態様における本構造体において、加熱システムの熱生成材料は、特に重量の点において構造コンポーネントと一体的に形成可能である。さらに、本発明の課題は、構造コンポーネント、及びこの加熱システムからなる構造コンポーネントを提供することにある。
【0012】
本発明のさらなる課題は、少なくとも1つの電熱式の加熱層、及び構造コンポーネントからなる加熱システム、ならびに加熱システムの加熱を制御する方法を提供することにある。これにより、加熱システムの構造コンポーネントは、効率よく加熱されると同時に迅速に加熱効果を得ることができる。加熱システムは、特に、各適用の例に最適化され、要素表面を効果的に加熱可能である。本発明による加熱システムは、特に航空機の要件に対応するように航空機の構造コンポーネントを加熱可能である。さらに、本発明の課題は、構造コンポーネント、及びこの加熱システムからなる構造コンポーネントを提供することにある。
【0013】
さらに、本発明のさらなる課題は、半完成のコンポーネントを製造する方法、及びコンポーネント表面を加熱すべく加熱機構からなるコンポーネントを製造する方法を提供することにあり、これらの方法は、各適用例に最適化され、コンポーネント表面を効率よく加熱することができる。
【0014】
さらに、本発明の課題は、本発明による方法によって形成される加熱層を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの課題は、独立請求項の特徴部分によって解決される。さらなる実施例が、独立請求項の従属項に開示される。
本発明により、導電性材料からなるロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯を含む繊維補強加熱層が使用され、これは電気供給体に接続されると、オーム抵抗として機能し、これにより熱を生じる。
【0016】
上述した材料は、編成された材料と比較すると好適であり、これらの材料により強度及び疲労特性においてよりよい特長からなる構造コンポーネントを製造することができ、同時にこれらの材料によりエネルギーに関して材料が一部をなす構造コンポーネントの効率のよい加熱が可能となる。
【0017】
本発明による解決策により、特別な個別の例の要件による構造コンポーネントの加熱を特に効率よく行うことができる。特に、本発明による解決策において、エネルギー効率の観点から航空機の構造コンポーネントの加熱に好適な加熱システムが設けられる。特に、本発明による加熱システムは、航空機の構造コンポーネントの外側表面の加熱に使用可能であり、これは気流に暴露され、構造コンポーネントの外側表面における氷結を防止及び低減する。特に、本発明により設けられる加熱層の一体的な形成により、重量に関して好適であると同時に特に効率のよい加熱が可能な構造コンポーネントを得られる。本発明において、加熱層を形成すべくロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯が設けられ、これらは特に構造コンポーネントと一体的に形成され、これによりロービングは構造コンポーネントの応力を吸収可能である。応力は外力により構造コンポーネントに作用する。このように、本発明により構造コンポーネントに一体的に形成される加熱層は、構造コンポーネントの負荷伝達部分を形成する。
【0018】
さらに、時間にわたって変化しいくつかの位相において高い最大値を有する加熱電流が、加熱層に生成可能である。この理由として、本発明による加熱層に局部的に生じる温度は制御可能、特に規制可能であることが挙げられる。半完成の基体コンポーネント又は加熱層にロービング構造体を最適化できる能力、及び加熱層に生じる温度を制御又は規制する能力の組み合わせにより、所定の適用例において特に好適な使用が可能となる。できるだけ簡易にして、かつ軽量に形成された構造体及び材料により、一時的に高い熱出力が必要となる。したがって、好適な適用例は、航空機のコンポーネント、特に気流に暴露される航空機本体の表面に関する。本発明による解決策により、加熱層をコンポーネントに、特に航空機の空気力学的本体のシェルコンポーネントに安全かつ継続的に一体的に形成することができる。さらに、本発明により形成される加熱層の加熱による影響は、加熱層が載置されるコンポーネントにて非常に単純に制御可能である。
【0019】
本発明において、少なくとも1つのエネルギー供給機構を備える加熱システムが設けられる。加熱システムは特に、以下の構成を備える。
・絶縁層を備える基部の加熱機構。加熱機構は、これに載置される基部の電熱式の加熱層、及び電気接続機構を備える。基部の加熱層は、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなる。少なくとも1つのエネルギー供給機構は、電気接続機構により基部の加熱層に接続される。
【0020】
・絶縁層を備える付加的な加熱機構。同付加的な加熱機構は、これに載置される付加的な電熱式の加熱層と、電気接続機構とを備える。電気接続機構によりエネルギー供給機構は、付加的な加熱層に接続される。
【0021】
本構造体において、特に各例において各ロービングの両端は、電気接続機構の電極に接続され、これにより各ロービングは、電気接続機構の2つの電極間を延びる。さらに、複数のロービングが設けられる場合に、ロービングは、相互に沿って、接続機構間を連続して延びる。
【0022】
特に、構造コンポーネントの表面を加熱する機構からなる構造コンポーネントが設けられ、構造コンポーネントの表面を加熱する機構は、上述した加熱システムからなり、特に、以下の構成を備える。
【0023】
・絶縁層を備える構造体。構造体は、基板層又は構造コンポーネントの表面に載置される基部の電熱式の加熱層、及びエネルギー供給機構を基部の加熱層に接続する電気接続機構を備える。基部の電熱式の加熱層は、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなる。各例において、各ロービングの両端は電気接続機構の電極に接続される。
【0024】
・加熱機構は、基体層又は構造コンポーネントの表面に載置される絶縁層を備える付加的な加熱機構。これに載置される付加的な電熱式の加熱層(11)は、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなる。加熱機構は、エネルギー供給機構(E10、E11、E12)を付加的な加熱層に接続する電気接続機構(A11−1、A11−2)を備える。
【0025】
各例において、各ロービングの両端は、電気接続機構の電極に接続され、これにより、各ロービングは電気接続機構の2つの電極間を延びる。さらに、複数のロービングが設けられる場合に、ロービングは相互に沿って延びる。
【0026】
この加熱層により、構造コンポーネントの非常にエネルギー効率のよい加熱が可能である。
本構造体において、機能的に凝集加熱効果を生じさせるべく、基部加熱機構及び付加的な加熱機構は、空間的に相互に対して位置され、この構成において、エネルギー供給機構は、作動段階において、電流が少なくとも部分的な時間、付加的な加熱層に供給され、付加的な加熱層の領域の構造コンポーネントを所定の温度まで加熱し、かつ作動段階において、及び作動段階を超えて、電流が継続的に基部加熱層に供給されて基部加熱層が継続的に熱を生じさせるが、付加的な加熱層は、部分的な時間、熱を生じさせるように設計される。作動段階は、所定時間を超えて、付加的な加熱層の領域における構造コンポーネントが所定の温度を有する終了時まで延長される。
【0027】
本構造体において、エネルギー供給機構は、加熱段階における第1の期間において基部加熱層を通過して流れる電流の強度より50%高い強度にて電流が付加的な加熱層を流れ、加熱位相における第1の期間に続く第2の期間において、基部加熱層を通過して流れる電流の強度より50%低い強度にて電流が付加的な加熱層を流れるように特に設計される。
【0028】
これに代えて、あるいは付加的に、加熱システムは、絶縁層を備えるさらなる付加的な加熱機構を備えてもよく、これらにさらなる付加的な電熱式の加熱層が載置される。加熱システムはさらに電気接続機構を備え、これによりエネルギー供給機構がさらなる付加的な加熱層に接続されてもよい。
【0029】
・加熱層の電流を制御するエネルギー供給機構の機構は、各例において付加的な加熱層を流れる電流に対して、各付加的な加熱層において、第1の時間及び第2の時間を交互に、異なる電流強度の加熱電流を生成する。
【0030】
・各第1の加熱段階における電流強度は、各第2の加熱段階における電流強度よりはるかに高い。
本構造体において、第1の付加的な電熱式の加熱層、及び基部加熱層のシート状延長部に対するさらなる電熱式の付加的な加熱層が基部加熱層内に位置される。
【0031】
本発明のさらなる実施例において、少なくとも1つの電熱式の基部加熱層及び少なくとも1つの付加的な加熱層のうち少なくともいずれか一方は、導電性を備えたロービングの少なくとも1つの帯を備え、これは、電気接続機構によってエネルギー供給機構に接続される。このロービングは、特に炭素の導体からなる。ロービングの少なくとも1つの帯は、付加的な加熱層を覆うようにシート状に配置される。すなわち、ロービングは、導電性材料からなる。所定の実施例において、ロービングは炭素の導体からなる。
【0032】
このように、各加熱層は、構造体又は材料に関して所定の方法にて、対応する絶縁層、及び各加熱層が載置されるコンポーネントのうち少なくともいずれか一方にそれぞれ一体的に形成される。例えば、これらの層は一体的な形成工程において形成され、かつ/又はこの工程において、特に一片に形成される。本発明の実施例において、これに代えて、あるいは付加的に、電熱式の基部の加熱層は、炭素の導体からなるロービングの少なくとも1つの帯からなってもよい。ロービングの少なくとも1つの帯は、基部加熱層を覆うようにシート状にて層に配置される。これらの全ての例において、ロービングは、ロービングにて相互に平行に延び、かつ少なくともいくつかの区域においてロービングの長手方向に延びる炭素フィラメントからなる。
【0033】
本発明による加熱システムにおいて、さらに少なくとも1つの電熱式の付加的な加熱層は、電気接続機構によってエネルギー供給機構に接続されるロービングの少なくとも1つの帯からなる。ロービングの帯は、各加熱層内にて曲折して延びる。
【0034】
第1の内側加熱機構及び第2の内側加熱機構のうち少なくともいずれか一方の加熱領域は、各加熱領域の厚み方向から視認すると、ロービングの少なくとも1つの帯からなる。
第1の内側加熱機構及び第2の内側加熱機構のうち少なくともいずれか一方の加熱領域は、各加熱領域の厚み方向において、ロービングの少なくとも1つの帯からなる。
【0035】
これに代えて、あるいは付加的に、電熱式の加熱層は、金属製導電体からなってもよい。
本構造体において、絶縁層は、1つ以上の部分である。
本発明において、さらに、構造コンポーネント及び構造コンポーネントの表面を加熱する加熱システムを備える構造体が設けられ、構造コンポーネントは、本明細書における実施例の1つに基づき設計される。構造コンポーネント及び加熱システムを備える構造体の構造コンポーネントは、特にシェルコンポーネントを備える。本構造体において、加熱層が設けられる表面は、シェルコンポーネントの一部をなす。
【0036】
本発明により、シェルコンポーネントは、細長い薄板の外側シェルであり、その外側シェルの内側及び外側のうち少なくともいずれか一方に設けられる。少なくとも1つの付加的な加熱層は、外側シェルの内側及び外側のうち少なくともいずれか一方に位置される。
【0037】
本発明は、金属及び非金属の設計にて、すなわち金属及び非金属の構造コンポーネント組み合わせにて使用可能である。
好適に、ロービングの個別の層は、絶縁層又は構造体に位置される。これにより要素を効率的に加熱することができる。
【0038】
特に、第1及び第2の電熱位相のそれぞれにおける時間に応じた電流強度の例において、電流強度は中間の電流強度である。
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つの電熱式の加熱層からなる加熱システムが設けられる。加熱システムは、さらに、以下の構成を備える。
【0039】
・加熱層を加熱すべく負荷電圧を印可する負荷電圧供給機構を備えるエネルギー供給機構。負荷電圧供給機構は、電気接続機構により加熱層に接続される。エネルギー供給機構は、加熱層を加熱する電圧より低い測定電圧を供給する測定電圧供給機構を備える。測定電圧供給機構は、電気接続機構により加熱層に接続される。
【0040】
・負荷電圧供給機構と測定電圧供給機構とに連結される制御機構。制御機構は、負荷電圧供給機構と測定電圧供給機構とを制御し、負荷電圧及び測定電圧を生じさせる。制御機構は、制御機能を有し、これにより、負荷電圧は、ゼロに低減され、続いて測定電圧が印可される。これにより、加熱層を加熱する負荷電圧と、加熱層の抵抗値を測定する測定電圧とが交互に印可される。
【0041】
・測定された電流強度に基づき加熱層の電気的抵抗を測定する判定機構。
電熱式の加熱層は、炭素導体からなるロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなり、各例において、電気接続機構によりエネルギー供給機構に接続される。ロービングの少なくとも1つの帯は、加熱層を覆うようにシート状にて配置される。各例において、ロービングのそれぞれの両端は、電気接続機構の電極に接続される。
【0042】
加熱層は、特に本発明による上述した構造コンポーネントの一体的部分を形成し、これにより加熱層は、構造コンポーネントの耐負荷部分を形成する。
加熱システムはさらに、本発明の実施例において実施される。
本発明の実施例において、判定機構は、加熱層の抵抗に基づき加熱層の温度を決定する機能を備える。これに代えて、あるいは付加的に、判定機構は、加熱層の抵抗に基づき加熱層及びコンポーネントのうち少なくともいずれか一方の整合性を決定する機能を備えてもよい。
【0043】
本発明による加熱システムにおいて、特にエネルギー供給機構は、加熱層を加熱する電圧より低い測定電圧を生成する測定電圧供給機構を備える。測定電圧供給機構は、電気接続機構によって加熱層に接続される。本構造体において、加熱システムは、さらに負荷電圧供給機構及び測定電圧供給機構に連結される制御機構をさらに備える。制御機構は、負荷電圧供給機構及び測定電圧供給機構を制御し、負荷電圧及び測定電圧を生じ、制御機能を備える。これにより、負荷電圧は、ごく僅かな値又はゼロに設定され、続いて測定電圧が印可される。測定電圧は例えば5ボルト未満である。
【0044】
本構造体において、測定機構が、測定電圧により生じる電気的抵抗を測定すべく、あるいは加熱層及びコンポーネントのうち少なくともいずれか一方の整合性を決定すべく設けられる。
【0045】
制御機構は、加熱層を加熱する負荷電圧及び加熱層の抵抗を測定する測定電圧が交互に印可されるように特に設計される。この負荷電圧及び測定電圧の交互の印可は、時定数周波数にて行われてもよい。
【0046】
本構造体において、加熱層を加熱する負荷電圧が第1のエネルギー供給コンポーネントによって、加熱層の抵抗を測定する測定電圧が第2のエネルギー供給コンポーネントによって交互に生成されてもよい。
【0047】
本発明のさらなる態様において、本発明による加熱システムは、
・少なくとも1つの電熱式の加熱層に、加熱層と一体的に形成される電気測定線が設けられ、
・エネルギー供給機構が、導電体に測定線接続部により接続され、かつ測定電圧を印可する測定電圧供給機構を備え、
・測定機構が、測定線において電流強度を測定すべく設けられ、電流強度が測定電圧によって生じるように設計される。
【0048】
本構造体において、加熱システムは、特に加熱層を加熱すべく付加電圧を印可する付加電圧供給機構を含むエネルギー供給機構を備える。付加電圧供給機構は、電気接続機構によって加熱層に接続される。
【0049】
本構造体において、電熱式の加熱層は、炭素の導体からなるロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなり、このロービングの束又は複合構造体又は帯は、電気接続機構によってエネルギー供給機構に接続される。各例において、各ロービングの両端は、電気接続機構の電極に接続され、これにより、各ロービングは電気接続機構の2つの電極間を延びる。各例において、ロービングの少なくとも1つの帯は、付加的な加熱層を覆ってシート状に配置されるように位置される。さらに、少なくとも1つの電熱式の加熱層に、加熱層と一体的に形成される電気的接続線が設けられる。さらに、
・エネルギー供給機構が、電気測定線に測定線接続部により接続され、かつ測定電圧を印可する測定電圧供給機構を備え、
・測定機構が、測定線において電流強度を測定すべく設けられ、電流強度が測定電圧によって生じ、
・測定機構は、センサ値処理機構に接続され、センサ値処理機構は、シェルコンポーネントにおける氷結の可能性に対応する少なくとも1つの比較値と温度値とを比較する比較機能を備え、制限値に到達又は制限値を超過した場合にシステム機能に信号値を送信するように設計される。
【0050】
測定線は、ロービングの1つの束又は複合構造体又は帯からなる。
実施例において、加熱層は、上述した構造コンポーネントの一部をなし、このような構造コンポーネントの一部として本発明により形成される。
【0051】
本構造体において、特に測定電圧は、加熱層を加熱する電圧の10分の1である。したがって、測定電圧供給機構及び測定機構に対して、低い張力及び電流強度に好適なコンポーネント、特により小さなコンポーネントを使用することができる。
【0052】
上記実施例において、加熱システムは、測定機構が、センサ値処理機構に接続され、センサ値処理機構が、シェルコンポーネントにおける氷結の可能性に対応する少なくとも1つの比較値と温度値とを比較する比較機能を備え、制限値に到達又は制限値を超過した場合にシステム機能に信号値を送信するように設計される。
【0053】
特に、システム機能は、シェルコンポーネントにおける氷結の可能性に対応する制限値を超過した場合に加熱層の加熱を停止するように設計される。
本発明のさらなる態様において、加熱機構は、様々な加熱出力による様々な加熱レベルを生じさせ、システム機能は、最大レベルの熱出力が生じて少なくとも1つの所定の加熱レベルが操作可能となると同時にシェルコンポーネントにおける氷結の可能性に対応する制限値を超えたときに警告信号を生成する。警告信号は、特に最大の加熱レベルが操作可能となるときに生成される。
【0054】
本発明のさらなる実施例において、シェルコンポーネントの温度を規制する規制機能が設けられ、この規制機能は、センサ値処理機構に機能的に連結され、上述した測定機構から入力変数として所定の温度値を受信すると、温度の設定値に基づいて規制機能は、エネルギー供給機構への指令信号を生成する。
【0055】
本発明において、さらに、シェルコンポーネントを備える特に航空機の構造コンポーネントが設けられ、シェルコンポーネントは気流に暴露される外側表面、及び内側領域を含む。構造コンポーネントは、さらに本発明の実施例における加熱システムの加熱層を備える。さらに、エネルギー供給機構、測定機構、及び判定機構は、構造コンポーネント又は加熱層に関連するか、これらと一体的に形成される。
【0056】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つの電熱式の加熱層が設けられる加熱システムを制御して加熱する方法は、以下の工程を含む。
・加熱段階において、加熱層を加熱すべく加熱層に負荷電圧を印可する工程。
・加熱段階において、又は加熱段階外にて、加熱層に負荷電圧よりも低い測定電圧を印可する工程。
【0057】
・測定電圧を印可することにより炭素繊維加熱要素の電気的抵抗に応じて温度が生じることにより発生する電流強度の変化を測定する工程。
加熱システムは特に本発明の実施例により設計される。この方法において、加熱層の温度の決定は、炭素繊維の加熱層の電気的抵抗に応じた温度による電流強度の変化に基づき行われる。これに代えて、あるいは付加的に、加熱層の抵抗に基づき加熱層及びコンポーネントのうち少なくともいずれか一方の整合性の決定が行われてもよい。
【0058】
本発明のさらなる態様において、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯のうち1つからなる加熱層の整合性を監視する方法において、少なくとも1つの電熱式の加熱層に加熱層と一体的に形成される電気測定線が設けられる方法は、以下の工程を含む。
【0059】
・負荷電圧を印可する工程と、負荷電圧印可工程後において所定時間後に検知される温度値として加熱層の負荷電圧を測定する工程。
・測定線に印可される所定の測定電圧に基づき、測定線の測定電流を実際の温度値として測定する工程。
【0060】
・検知された温度値を、実際の温度値と比較し、最小量だけ温度値間に差異がある場合にエラー状態を加熱層に割り当てる工程。
この方法において、特に測定線として使用されるロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯が設けられる。特にロービング間に位置される個別の測定線は測定線として使用可能である。
【0061】
方法において、第1の最小値及び第2の最小値が予め設定され、温度に関する値の差異が検知される。第1の最小値は、第2の最小値より小さい。第1のエラー状態は、温度に関する値の差異が第1の最小値及び第2の最小値の間にある場合に加熱層に割り当てられ、第2のエラー状態は、温度に関する値が第2の最小値を超える場合に加熱層に割り当てられる。本構造体において、特に第2のエラー条件の割り当てに基づき、加熱層は故障と判断され、負荷電圧を印可する各機能は、この割り当てにより加熱層が作動していないものとして構成される。
【0062】
本発明において、さらに構造コンポーネントからなる加熱システムであって、少なくとも1つの電熱式の加熱層が一体的な要素として構造コンポーネントに形成される加熱システムは、以下の構成を備える。
【0063】
・加熱層を加熱すべく負荷電圧を印可する負荷電圧供給機構を備えるエネルギー供給機構。負荷電圧供給機構は、電気接続機構によって加熱層に接続される。
・少なくとも1つの電熱式の加熱層に、加熱層が一体的に形成される電気測定線が設けられる。
【0064】
・電熱式の加熱層は、炭素の導体からなるロービングの少なくとも1つの帯を備える。帯は、電気接続機構によってエネルギー供給機構に接続される。各例において、各ロービングの両端は、電気接続機構の電極に接続され、これにより、各ロービングは、電気接続機構の2つの電極間を延びる。各例において、ロービングの少なくとも1つの帯は、付加的な加熱層を覆うようにシート状に配置される。
【0065】
・エネルギー供給機構は、測定電圧を生成する負荷電圧供給機構を備え、負荷電圧供給機構は、測定線接続部によって電気測定線に接続される。
・測定機構は、測定線における電流強度を測定するために設けられ、電流強度は、測定電圧によって生じる。
【0066】
・測定機構は、加熱層の整合性を検知すべく負荷電圧を印可する検知機構に機能的に連結される。測定機構は、負荷電圧の印可後にて所定の時間経過後に検知される温度値として加熱層の負荷電流を測定し、所定の測定電圧に基づき測定線に作用される測定線の測定電流を実際の温度値として測定する。続いて検知される温度値を実際の温度値と比較し、温度値に最小量だけ差異がある場合に、エラー状態を加熱層に割り当てる。
【0067】
本発明のさらなる態様において、立体コンポーネントの製造に使用されかつ少なくとも1つの加熱層が載置される半完成のコンポーネントの製造方法は、以下の工程を含む。
・ロービング形成工程において、設けられる各加熱層によって所定の加熱電圧にて実施される領域所定の加熱出力から開始して、最小エネルギー消費を特徴とする加熱層を形成すべくロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯の幾何学的配置及び配向のうち少なくともいずれか一方を決定する工程。
【0068】
・ロービングの少なくとも1つの束又は帯の配置及び配向により、ロービング決定工程の後に、導電性材料からなる半完成の基体コンポーネントに導電性ロービングを順に一枚ずつ塗布し、平坦に固定し、半完成の基体コンポーネントにロービングを固定する工程。
【0069】
・半完成品をロービング又はロービングの少なくとも1つの束又は少なくとも1つの複合構造体又は少なくとも1つの帯に固定する工程。
本構造体において、加熱層を形成すべくロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯の幾何学的配置及び配向のうち少なくともいずれか一方の決定は、加熱層の所定の幾何学的境界の配向から開始して行われる。
【0070】
さらに、加熱層を形成するための、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯の幾何学的配置及び配向のうち少なくともいずれか一方は、所定の幾何学的境界配向におけるロービングの配置及び配向のうち少なくともいずれか一方の所定の群から選択される。本構造体において、加熱層のロービングの曲折した配向及び円形の配向のうち少なくともいずれか一方は、ロービングの所定の群の配向の一部をなす。
【0071】
さらに、本方法において、加熱層を形成すべくロービングの少なくとも1つの束又は1つの複合構造体又は帯の幾何学的配置及び配向のうち少なくともいずれか一方は、予め定められ、そこから開始し、ロービングの数、ロービングの寸法、及び、ロービング間の距離のうち少なくとも1つが、決定される。
【0072】
ロービングの、半完成の基体コンポーネントへの固定は、半完成の基体コンポーネントにて縫合、縫い取り法、又は接着方法により特に行われる。
固定工程は、特に結合工程を含む。本構造体において、特にロービングは、縫合又は縫い取り法によって半完成の基体コンポーネントに固定される。
【0073】
半完成の基体コンポーネントへのロービングの固定は、本構造体において、特に個別又は群にて特に縫合や縫い取り法によって行われる。すなわち、各ロービングは縫い取り法によって個別に半完成の基体コンポーネントに固定され、かつ/又は複数のロービングが縫い取り法によって一体的に半完成の基体コンポーネントに固定される。群のロービングを固定する場合に、特に3つまでのロービングの群が一体的に固定され、1つ以上のロービングが配置され固定される。ロービングを個別に半完成の基体コンポーネントに固定する場合に、付加的にロービングの群が縫い取り法によって半完成の基体コンポーネントに固定される。
【0074】
これに代えて、又は付加的に、ロービングは接着方法によって半完成の基体コンポーネントに固定されてもよい。
半完成の基体コンポーネントに適用されるロービングは、乾燥した材料及びプリプレグ材料のうち少なくともいずれか一方からなる。ロービングを半完成の基体コンポーネントに固定すべく接着方法を実施するために、プリプレグ材料がロービングに使用される場合にプリプレグロービングの樹脂を使用することができる。
【0075】
半完成の基体コンポーネントへの縫い取り法によるロービングの固定に関する本発明による製造方法により、特に各ロービングが形成される半完成の基体コンポーネントすなわち加熱層の厚み方向にて視認すると半完成の基体コンポーネントと同じ位置平面にて延びるように、半完成の基体コンポーネントの領域を覆うようにロービングを配置することができる。すなわち、本構造体において、個別のロービングや同じロービングの区域が上述した厚み方向にて覆われることはない。基体コンポーネントへのロービングの固定は、各個別のロービングにより1つずつ行われる。すなわち、1つのロービングを基体コンポーネントの所定の位置に縫い取りした後に、次のロービングが基体コンポーネントに位置される。
【0076】
この方法は個別の適用例において変更可能であるが、この方法による半完成の基体コンポーネントにおけるロービングの配置により、例えば、予め設定可能な最適化の基準にしたがってロービングの配置、配向、厚み、質及び/又は数を最適化することができるという効果が得られる。さらに、本発明による加熱層に局部的に生じる温度を制御することができ、特に規制することができるため、時間とともに変化し、加熱層におけるいくつかの段階において高い最大値を有する加熱電流が可能となる。半完成の基体コンポーネント、あるいは加熱層上のロービング構造体を最適化する機能と、加熱層に生じる温度を制御又は規制する機能とを組み合わせることによって、できるだけ単純かつ軽量に形成される構造体及び材料、並びに一時的に高い熱出力を要する所定の適用例において特に効率よくこれらの機能を使用することができる。したがって、好適な適用例は、航空機、特に気流に暴露される航空機本体の表面のコンポーネントに関する。本発明による解決策は、航空機の空気力学的本体のコンポーネント、特にシェルコンポーネントに加熱層を安全にして、かつ継続的に一体的に形成することができることにある。さらに、本発明において、加熱層が載置されるコンポーネントに対する加熱層の加熱による影響は、非常に簡易な方法にて制御可能である。
【0077】
本発明の実施例における方法において、さらに、半完成の基体コンポーネントへのロービングの配置及び固定は、複数のロービングが所定の位置にて一枚ずつロービングの層からなる帯を形成するようにして行われる。本構造体において、ロービングは、相互に平行に延び、いくつかの区域が曲折した配向に沿って延びるように位置される。
【0078】
本発明の実施例における方法において、ロービングが基体コンポーネントに固定された後に、ロービングが固定された基体コンポーネントは、立体の支持面外形により要素に載置される。
【0079】
本発明のさらなる実施例における方法は、加熱層決定工程において、コンポーネントに形成される少なくとも1つの加熱層の決定から開始され、各形成される加熱層により所定の電圧にて得られる領域所定の加熱出力が決定される。
【0080】
これに代えて、あるいは付加的に、本発明による方法において、加熱層決定工程の後の、領域所定の加熱出力のためのロービング決定工程において、各加熱層におけるロービングの数は最小限にされる。
【0081】
本発明において、加熱層決定工程の後の、領域所定の加熱出力のためのロービング決定工程において、各加熱層におけるロービングの束又は帯の数は最小限にされる。
本発明による方法において、三次元支持面外形からなる要素への半完成の基体コンポーネントの配置に先立って、ロービング又はロービングの少なくとも1つの束又は帯の端部区域の接触は、金属接触体をロービング又はロービングの少なくとも1つの束又は帯の端部区域に導電性接着剤により連結することにより行われる。接着剤は特に金属からなる接着剤である。
【0082】
本発明の方法において、ロービング又はロービングの複数の束又はロービングの少なくとも1つの帯は、導電性金属及び非金属繊維からなる。
本発明のさらなる実施例における方法において、ガラスから形成されるロービングは、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯の、導電性ロービング間に位置され、導電性ロービングを相互に電気的に絶縁する。
【0083】
本発明のさらなる実施例における方法において、編成されたガラス織物から形成されるロービングは、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯の、導電性ロービング間に位置され、ロービングの2つの層を相互に電気的に絶縁する。
【0084】
本発明によれば、さらに、少なくとも1つの加熱層の構造体を備えたコンポーネントを製造する方法が得られる。実施例において、三次元コンポーネントの製造に使用される半完成のコンポーネントを製造する方法により半完成のコンポーネントの製造が行われる。本構造体において、半完成のコンポーネントは、樹脂注入法や樹脂噴射法によって製造される。これに代えて、あるいは付加的に、プリプレグの半完成が、半完成のコンポーネントの製造に使用されてもよく、これにより半製品のコンポーネントがプリプレグ製造方法にて製造される。本構造体において、プリプレグ材料が、特に半完成の基体コンポーネント及び絶縁層の材料及びロービングのための材料のうち少なくともいずれかに使用されてもよい。
【0085】
本構造体において、硬化したコンポーネントは、加工工程において再加工される。これに代えて、あるいは付加的に、エネルギー供給機構の接続及び加熱層構造体の機能の確認は、サーモグラフィ法によって行われてもよい。
【0086】
本発明において、さらに、少なくとも1つの電熱式の加熱層を含むコンポーネントが設けられ、少なくとも1つの付加的な電熱式の加熱層は、導電体からなる複数のロービングを備え、複数のロービングは、加熱層を覆うようにシート状に配置される。加熱層は、加熱層をエネルギー供給機構に接続する電気接続機構をさらに備える。本構造体において、複数のロービングは、特にロービングの少なくとも1つの帯を形成可能である。ロービングの少なくとも1つの帯は、加熱層を覆うようにシート状に配置される。ロービングの導電体は、炭素の導体になり得るか、炭素の導体を含むことができる。ロービングの少なくとも1つの帯は、帯が加熱層を覆うようにシート状に配置される。特に、少なくとも1つのロービングは、相互に平行なロービングにて延びかつ少なくともいくつかの区域においてロービングの長手方向に延びる炭素フィラメントからなる。
【0087】
ロービングは、少なくとも1つの電熱式の加熱層内にて曲折して延びる。
さらに、厚み方向から視認して、電熱式の加熱層はロービングの少なくとも1つの帯の層からなる。
【0088】
これに代えて、あるいは付加的に、電熱式の加熱層は、金属製導体からなってもよい。
本発明のさらなる態様において、高温計は、構造コンポーネントの領域における温度を測定することに使用される。本構造体において、特に、航空機の構造コンポーネントには、構造コンポーネントの領域の温度を検知する温度測定機構が設けられる。構造コンポーネントは、気流に暴露される外側表面と内側表面と基体コンポーネントとを備えるシェルコンポーネントを備える。温度測定機構は、特に、以下の構成を備える。
【0089】
・構造コンポーネントの基体コンポーネントに位置される高温計を備える。高温計は、シェルコンポーネントの表面にて領域に配向される。表面は、高温計に面する。高温計は、熱放射に基づきセンサ値を生成する放射線センサを備える。
【0090】
・温度測定機構はさらに放射線センサにより検知されるセンサ値から温度値を決定するセンサ値処理機構を備える。
本構造体において、センサ値処理機構は、温度値をシェルコンポーネントの氷結の可能性に対応する少なくとも1つの比較値と比較し、制限値に到達するか超えたときにシステム機能に信号値を送信する比較機能を有する。
【0091】
本発明のさらなる実施例において、シェルコンポーネントに加熱機構が載置され、シェルコンポーネントにおける氷結を防止する。システム機能は、シェルコンポーネントにおける氷結の可能性に対応する制限値が超過した場合に加熱機構のスイッチをオンにするように設計される。本構造体において、加熱機構は、様々な加熱レベルを生成するように設計され、システム機能は、最大熱出力が生成されると同時にシェルコンポーネントにおける氷結の可能性に対応する制限値が超過するもっとも高い加熱レベルが操作可能となるときに警告信号を生成するように設計される。
【0092】
本発明による構造コンポーネント及び温度測定機構からなる組み合わせは、氷結を防止すべくエネルギー供給機構によって加熱可能な少なくとも1つの加熱層がシェルコンポーネントの表面に位置されるように設計される。
【0093】
シェルコンポーネントの領域の温度を規制する規制機能が設けられる。領域は、高温計によって覆われ、センサ値処理機構に機能的に接続され、センサ値処理機構から入力変数として温度値を受信する。温度値は、高温計のセンサ値から決定される。シェルコンポーネントの高温計によって取得される領域の設定温度に基づき、規制機能は、エネルギー供給機構への指令信号を生成する。
【0094】
本発明において、高温計は、高温計の配向及び位置のうち少なくともいずれか一方が調整可能となるように、基体コンポーネントに固定される。
高温計の使用による効果は、特に非常に短時間、通常10マイクロ秒乃至1ミリ秒の時間にて測定が可能である点にある。したがって、判定機構による判定、及び特に解凍機構による温度の規制は、短期間のうちに、さらに反復と同じ速度にて行われる。高温計を備えた測定機構のエラー率は、消耗しないため、低減される。さらに、本発明における高温計の使用により、十分正確な測定が可能である。この理由として、高温計により測定対象の温度の影響を受けないことや、センサと測定が行われるコンポーネントとの間における不適当な熱的接触による誤差が生じないことが挙げられる。特に、電磁界がコンポーネントの表面に生じる場合に、高温計による測定がさらに行われてもよい。
【0095】
コンポーネントの領域、特にシェルコンポーネントの領域における温度の直接的な取得のために、コンポーネント、あるいはシェルコンポーネントに一体的に形成される熱電対を使用することができる。また、飛行機コンポーネントのための解凍構造体における温度を得るために高温計を使用することは、それぞれのコンポーネントのシェルコンポーネントを変形することなく、最適化されたコンポーネント構造体に付加的なコンポーネントとして高温計を設置可能である点において好適である。しかしながら、コンポーネントやシェルコンポーネントに一体的に形成される熱電対を使用することにより、コンポーネント構造体の製造がより高コストとなる。さらに、公知の熱電対の一体的形成により、シェルコンポーネントの部分は厚みを増すが、これは気流に暴露される航空機のコンポーネントにおいて望ましくない。さらに、シェルコンポーネントに熱電対を一体的に形成する連結技術は、航空機のコンポーネントの接続部の安全に使用可能な耐用年数が失われるため、問題である。さらに、加熱構造体への熱接合は、複雑かつ高価であり、温度の取得の結果を備えた所定の技術的な制約でのみ可能である。熱電対は、航空機コンポーネントにおける解凍機構の駆動時に高速に加熱するにはあまりに低速である。
【0096】
高温計を航空機の構造コンポーネントに設置するときに、好適な距離及び光学により、高温計が温度を「一体的に」検知できるように領域が形成される。シェルコンポーネントに一体的に形成される熱電素子により、温度は、加熱要素の非常に狭小な領域にて局所的に得られるのみである。
【0097】
特にシェルコンポーネントに一体的に形成される熱電素子を使用する場合と比較すると、高温計は故障の場合に交換可能であるため高温計を故障時に交換することは問題とはならず、好適である。これと比較すると、加熱構造体に一体的に形成される熱電素子は、シェルコンポーネント全体を新しいものに交換する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明による加熱システムの2つの加熱層を含む案内縁フラップを示す斜視図。
【図2】本発明の実施例において、炭素ロービングからなる加熱層、及び加熱層の監視に使用されるエネルギー供給機構を備える加熱システムを示す概略図。
【図3】本発明の実施例において、炭素ロービングからなる加熱層、及び加熱層の監視に使用されるエネルギー供給機構を備える加熱システムを示す概略図。
【図4】本発明の実施例における炭素ロービングからなる加熱層、及び加熱層の監視に使用されるエネルギー供給機構を備える加熱システムにおいて、加熱層の状態を検知するために使用されかつ加熱層に一体的に形成される抵抗を有する導電体を示す概略図。
【図5】本発明の実施例における炭素ロービングからなる3つの加熱層、及び加熱層の監視のための負荷電圧供給機構及び測定電圧供給機構を有するエネルギー供給機構を備える加熱システムにおいて、加熱層の状態を検知するために使用されかつ加熱層に一体的に形成される抵抗を有する導電体を示す概略図。
【図6】本発明の実施例において、加熱システムのために加熱層を形成するためのロービングの配置を示す図。
【図7】本発明のさらなる実施例において、加熱システムに加熱層を形成するためのロービングの配置を示す図。
【図8】本発明のさらなる実施例において、加熱システムに加熱層を形成するためのロービングの配置を示す図。
【図9】いくつかの工程は任意である、方法の工程を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施例において、シェルコンポーネント、及びシェルコンポーネントの温度を検知すべく高温計が位置される内側領域を含む、航空機の案内縁フラップを示す概略図。
【図11】航空機の、2つの付加的な加熱体が一体的に形成される案内縁フラップの区域を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下に、添付の図面を参照して本出願の実施例が開示される。
本発明の一実施形態による加熱システムは、少なくとも1つの電熱式の加熱層を備える。この加熱層は、炭素繊維からなり、コンポーネント1に配置される。加熱システムはさらに以下を備える。
【0100】
・加熱層を加熱するために負荷電圧を印加する負荷電圧供給機構を備えるエネルギー供給機構。この負荷電圧供給機構は電気接続機構により加熱層に接続される。
・負荷電圧が印加された時に電流強度を測定する測定機構。
・測定された電流強度に基づいて加熱層の電気抵抗を算出する判定機構。
この抵抗において発生する電気抵抗の算出に基づいて温度を求めることができる。
本発明の一実施形態においては、電熱式の加熱層を使用し、加熱層、又は加熱層への送電線における電流強度を測定して、同一期間に置いて加熱層に印加される電圧及びオームの法則から電気抵抗が求められる。本発明の一実施形態による加熱機構1は、構造コンポーネントに配置される少なくとも1つの電熱式の加熱層を有する。加熱層を構造コンポーネントに配置することにより、この構造コンポーネントが加熱され、周囲の空気やコンポーネント自体が加熱される。電流強度を測定するために測定機構が配置され、電気抵抗を算出するために判定機構が配置される。この判定機構は測定機構に機能的に接続される。電気抵抗を算出するために、コンポーネント1の特性を考慮した較正表を判定機構が有していてもよい。コンポーネント1の特性により、例えば、非直線性がもたらされる場合もある。
【0101】
適用様態に応じて、算出された電流強度は様々な目的に使用可能である。算出された電流強度から、加熱層及びコンポーネント1の温度を各適用様態において求めることができる。この目的のため、炭素繊維からなる加熱層の電気抵抗は温度の変化に応じて変化するという現象を利用することができる。本発明の一実施形態においては、判定機構は関数を有し、この関数を用いて、加熱層の温度を決定する加熱層の抵抗に基づいて、加熱層の温度を求めることができる。この目的のために、相関表又は相関関数を判定機構に組み込んでもよい。これらの表又は関数により、各コンポーネントに関連する温度を算出された電流強度から求めることができる。この構成にて使用される加熱層は、隣り合わせに配置されて帯Bを形成する複数のロービングRを有する。ロービングRは、曲折して曲折して配置される。互いに平行して隣り合わせに配置される加熱層10,11,12の区域は絶縁機構20,21,22によって互いから電気的に絶縁される。この絶縁機構20,21,22は非導電性材料からなる。「曲折する」という用語はロービングR、又はロービングRの帯Bの経路を表し、同一の帯B又はロービングRの複数の区域が、電気絶縁層がシート状に延びる座標を基準として互いに反対方向に配置される。ロービングRは電気絶縁層の上に配置される。そのため、屈曲する区域が長手方向区域の間に設けられる。ロービングR又は帯Bの長手方向に続く屈曲する区域は、反対方向に延びる屈曲を有する。つまり、「曲折する」という用語は、同一のロービングの長手方向区域は互いに平行して隣り合わせに配置された状態を表す。長手方向に延びるロービングにおいて、隣り合わせに配置された長手方向区域は、ロービングの経路が曲折するよう、互いに連続して配置される。
【0102】
本発明の一実施形態においては、温度の算出及び加熱層の整合性の判断は、負荷抵抗を表す加熱層の負荷電流を継続的に測定することにより行なわれる。負荷抵抗を流れる電流により加熱層の温度が上昇すると、加熱層の全体の電気抵抗が減少するため負荷電流が増加する。その結果、加熱層の温度が徐々に上がる。加熱層の整合性を確認するため、もしくは、構造状態の監視を目的として構造的欠陥を検知するためには、加熱層の全体の抵抗を測定する。加熱層の構造に欠陥が生じた場合、その加熱層の断面が局所的に小さくなるため、全体の抵抗が高くなる。
【0103】
上記の構成に加えて、もしくは上記の構成の代わりに、測定電圧を印加することにより加熱層の温度及び整合性を測定してもよい。図4及び5に示すように、又は、測定線MLを加熱層に組み込んで測定を行ってもよい。
【0104】
図2に示す実施形態においては、エネルギー供給機構E11は、測定電圧UMessを生成する測定電圧供給機構、及び負荷電圧ULast を生成する負荷電圧供給機構を有する。供給機構E11は、2つの電気接続機構A11−1,A11−2を介して加熱層に接続されている。同様に図3に示す実施形態においても、3つの加熱層を提供するために、3つのエネルギー供給機構E10,E11,E12が配置されている。各エネルギー供給機構は、測定電圧UMessを生成する測定電圧供給機構、及び負荷電圧ULast を生成する負荷電圧供給機構を有し、それぞれ、電気接続機構A10−1,A10−2,A11−1,A11−2,A12−1,A12−2を介して加熱層10,11,12に接続されている。
【0105】
加熱システム1は、制御機構をさらに有していてもよい。この制御機構は、負荷電圧供給機構及び測定電圧供給機構に連結され、負荷電圧供給機構及び測定電圧供給機構を制御して負荷電圧や測定電圧を印加させる。制御機構は制御機能を有し、この制御機能により、負荷電圧の値がゼロ、すなわち本発明の測定方法において無視できる値に以下に設定可能となる。測定電圧の印加は設定後に行われる。この構成においては、測定機構は、測定電圧によって生じる抵抗を測定する。負荷電圧及び測定電圧を印加する時点は、一定の周波数に応じて設定可能である。
【0106】
本発明の一実施形態による加熱システムの加熱層が配置される構造コンポーネントは、飛行機のコンポーネントであってよく、例えばこの場合、本発明の加熱システム又は加熱層は、構造コンポーネントの表面の結氷を防止又は抑制することができる。構造コンポーネントは、飛行機の、気流にさらされる空気力学部品であってよく、例えば、翼、翼フラップ、前縁フラップ、制御表面、垂直安定器であってよい。具体的には、図1に示すように加熱層が配置される空気力学部品又は表面は、気流に面する表面であってよいし、もしくは、気流に面する表面に連通する表面であってもよい。飛行機は固定翼を有する飛行機であってもよいし、回転翼を有する飛行機であってもよい。加熱層は、プロペラ又は回転翼の表面に配置してもよい。
【0107】
図1に、適用例として飛行機の前縁フラップを示す。ここに示す例においては前縁フラップ1のシェルコンポーネントである、コンポーネント1又は本体4の表面3には、2つの加熱層構造H1,H2が組み込まれている。各加熱層構造は、基部加熱層10、及び基部加熱層内に配置される複数の内側加熱機構すなわち付加的な加熱層11,12を有する。基部加熱層10及び少なくとも1つの付加的な加熱層11は、電熱式加熱層として構成され、少なくともある程度の導電性を有し、電流が加えられると発熱するよう構成される。加熱される構造コンポーネントに配置された基部加熱層10及び少なくとも1つの付加的な加熱層11から構造コンポーネントを電気的に絶縁するために、電気絶縁性を有する絶縁機構すなわち分離機構20が基部加熱層10と少なくとも1つの付加的な加熱層11,12との間に配置される。さらに、絶縁機構すなわち分離機構20は基部加熱層10又は付加的な加熱層11,12内におけるロービングRの帯Bの隣接する区域の間にも配置される(図2及び3)。絶縁機構すなわち分離機構20は基部加熱層10及び付加的な加熱層11,12が配置される構造コンポーネントの一部として形成してもよいし、別のコンポーネントとして形成してもよい。絶縁機構すなわち分離機構20は、ガラスを含んでいてもよい。さらに、コンポーネント1の加熱層10,11,12が配置される部分から、加熱層を流れる加熱電流が絶縁されるように、すべての加熱層10,11,12を絶縁層に配置してもよい。
【0108】
図示する実施形態においては、6つのロービングRが基材上に隣り合わせに配置され、この基材に構造的に組み込まれる。長手方向の全長にわたって、ロービングRは隣り合わせに配置される。つまり、加熱層の厚さ方向を基準として、ロービングRのある長手方向区域が、同一の帯Bの別のロービングRの長手方向区域の上方又は下方に配置されることはない。ロービングRは互いに平行し、曲折して加熱層11に配置される。ロービングRの帯Bが図2に示されるように曲折した配置パターンをなす場合、ロービングRの帯Bの長手方向区域11a,11b,11c,11d,11eは互いに平行に延びる。ロービングRの帯Bの末端は、接続片A11−1又はA11−2に接続される。接続片A11−1及びA11−2は、電線L11−1又はL11−2を介して電流又は電圧供給機構Eに接続される。そのため、エネルギー供給機構Eにより加熱層に電流を供給することができ、この電流供給に応じて、加熱層11がコンポーネント及び周囲を加熱する。
【0109】
シェルコンポーネント4は、繊維強化材料(FRM)又は繊維強化プラスチック(FRP)により形成可能である。本発明の一実施形態による加熱層は非導電性層に配置され、加熱層はシェルコンポーネントの他の部分から絶縁される。
【0110】
加熱層10,11,12は、独立した部品としてコンポーネントに装着してもよいし、コンポーネントと一体に形成してもよい。この場合、コンポーネントの少なくとも加熱層を有する領域は、半完成の炭素繊維製品を含む。方法に関連した工程においては、半完成製品は、樹脂射出方法又は樹脂注入法によって同一すなわち一体成型のコンポーネントを形成することにより製造してもよい。
【0111】
加熱される構造コンポーネントに配置される絶縁層は、例えば、ガラス、アラミド、プラスチック、ガラス繊維プラスチック(GFP)を含む。また、絶縁層は互いに接続されていてもよいし、同一の絶縁層を形成していてもよい。さらに、複数の絶縁層又は個々の絶縁層が、加熱される構造コンポーネントに一体化される部品を形成してもよい。この場合、複数の絶縁層の各々又は全部を、加熱される構造コンポーネントとともに形成及び製造してもよいし、単体の絶縁層を、加熱される構造コンポーネントとともに形成及び製造してもよい。加熱される構造コンポーネント、又は構造コンポーネントのシェルコンポーネントは非導電性材料、例えば、ガラス繊維プラスチック(GFP)、繊維強化材料(FRM)、繊維強化プラスチック(FRM)、又は金属材料により形成可能である。この場合、加熱される構造コンポーネント、又は構造コンポーネントのシェルコンポーネント自体を絶縁層として形成してもよいし、加熱される構造コンポーネント、又は構造コンポーネントのシェルコンポーネントが絶縁層を有していてもよい。
【0112】
コンポーネントに配置される少なくとも1つの加熱層が炭素材料を含んでいることが好ましい。加熱層は、電気接続機構により電気的に接続され、電圧が印加されたときに電流が流れてコンポーネントが加熱される。少なくとも1つの加熱層が、所定の構造及び密度を有する導電性ロービングRを含んでいてもよいし、ロービングの束、複合構造、又は帯を含んでいてもよい。
【0113】
「ロービング」という用語は、継ぎ目のない炭素フィラメントの束、もしくは回転してない状態及び/又は延伸していない状態にてロービングの中に収められた導電性ケーブルの束を示す。ケーブルは、繊維に覆われた金属導体等の電気導体であってよい。導電性フィラメントは、炭素フィラメント、炭素繊維、金属合金、ガラス繊維のいずれかもしくは複数から形成可能であり、金属コーティングが施されていてもよい。また、ロービングは、繊維、例えば炭素繊維からのみ形成されていてもよい。ロービングはマトリクス材料を有していてもよいし、有していなくてもよい。この場合、継ぎ目の無いロービング、糸、捻れた糸、ひも、編地、織り布、縄等をロービングに使用することができる。本発明による方法において使用するために、これらの継ぎ目の無いロービングはリール又は筒に巻かれて、本発明の方法に適した長さにてリール又は筒から巻き出される。
【0114】
本発明の一実施形態においては、ロービングは、下位ロービングとなる複数のロービングから形成してもよい。この場合、下位ロービングは織り交ぜられていてもよいし、撚り合わされていてもよい。このように複数の下位ロービングの組み合わせたものは「ロービングの束」と称され、平面位置に延びていなくてもよい。
【0115】
ロービングは様々な方法にて絶縁層に配置できる。ロービングは、ロービングの表面が、シート状に配置された絶縁層を最大限に覆うとともに、ロービングの個々の区域が非導電性材料により互いに絶縁され得るように配置される。この非導電性材料は例えば、ガラス繊維織物やプラスチック箔であり、ロービングの個々の区域の間に配置される。
【0116】
加熱層の形成において、ロービングは、単独のロービングとして形成してもよいし、少なくとも1つの複合構造として形成してもよい。もしくは、ロービングの少なくとも1つの帯として形成してもよい。この場合、「ロービングの帯」という用語は、長手方向に隣り合わせに配置されたロービングの構成を表し、このようなロービングを加熱層の厚さ方向を基準としてみると、別の区域の上に位置する区域が存在しない。「複合構造」という用語は、長手方向に隣り合わせに配置されるか、別の区域の上に配置されたロービングの配置構成を表す。このようなロービングにおいては、加熱層の厚さの方向を基準として、その長手方向区域の少なくとも1区域が別の区域の上に配置される。
【0117】
加熱層内において、ロービングの区域が重なり合っていてもよい。つまり、加熱層の厚み方向を基準として、ロービングの長手方向区域が別の区域の上に配置されていてもよい。しかし、本発明の一実施形態においては、加熱層形成のため、加熱層の厚み方向を基準として、ロービングの長手方向区域が別の区域の上に配置されることがないようロービングが構成される。
【0118】
ロービングの末端片には導電性の接続片が接続される。これらの末端片はロービングの長手方向に位置する。接続片により電線Lが相互接続されて、エネルギー供給機構に接続される。エネルギー供給機構の制御機能により、電流が所定の電流強度にて所定の期間ロービングを流れ、これによりロービングが加熱されることにより、ロービングが配置されているコンポーネントが加熱される。コンポーネントの厚さ方向を基準として、複数のロービングを互いに重なりあうよう配置可能であり、このようなロービングは互いに平行していてもよいし、互いに反対の方向に配向されていてもよい。
【0119】
ロービング、もしくは少なくとも1つのロービングの束又は帯は、互いに平行して振動状態に配置可能である。コンポーネントの厚さ方向を基準として、複数のロービングを互いの上に配置してもよい。このようなロービングは互いに平行に延びてもよいし、互いに反対の方向に配向されていてもよい。ロービング、もしくは少なくとも1つのロービングの束又は帯が配置されて加熱システムの加熱層が形成される様態は、上記の構成以外にも用途に応じて形成することができる。
【0120】
図2、3、4及び5に示すように、加熱システムS,S10,S11,S12は、測定電圧UMessを生成する測定電圧供給機構と、負荷電圧ULastを生成する負荷電圧供給機構とを有するエネルギー供給機構を備える。エネルギー供給機構は、電線Lにより、2つの電気接続機構を介して加熱層に接続される、図2及び4の加熱層S11は、測定電圧UMessを生成する測定電圧供給機構と、負荷電圧ULastを生成する負荷電圧供給機構とを有するエネルギー供給機構E11を備える。エネルギー供給機構E11は、2つの電気接続機構A11−1,A11−2を介して加熱層に接続される。同様に、図3及び5に示す実施形態においては、3つの加熱層を提供するために、3つのエネルギー供給機構E10,E11,E12が配置されている。各エネルギー供給機構は、測定電圧UMessを生成する測定電圧供給機構、及び負荷電圧ULast を生成する負荷電圧供給機構を有し、それぞれ、電気接続機構A10−1,A10−2,A11−1,A11−2,A12−1,A12−2を介して加熱層10,11,12に接続されている。
【0121】
エネルギー供給機構E10,E11,E12は、測定電圧を印加する測定電圧供給機構を有する。測定電圧供給機構は、測定線接続により導電体に接続されている。図2及び3に示す実施形態においては、測定電圧と負荷電圧が各加熱層に対して順次に印加され、加熱層に測定電圧が印加されたときに抵抗の測定が行われる。図4及び5に示す実施形態における加熱層には測定専用測定線MLが組み込まれているため、負荷電圧が加熱層に印加されている時でもその加熱層に測定電圧を印加することができる。測定機構は、測定電圧により生じる、測定線内の電流強度を測定することができる。この構成において使用される測定電圧は、例えば、加熱層10,11,12の加熱に使用される電圧の10分の1より低い。
【0122】
図4及び5の構成は図2及び3に示す構成に対応しているが、抵抗又は抵抗の変化を測定するために、加熱層10,11,12に電線MLが挿入又は組み込みされている。分かりやすくするために、図4及び5においては帯BのロービングRは図示されていない。この実施形態による加熱システムは少なくとも1つの電熱式加熱層を有し、この少なくとも1つの電熱式加熱層には、測定線が組み込まれている。
【0123】
本発明の一実施形態による測定線は、独立した導電体、ロービング、ロービングの束又は帯を含む。
図5に示すように、複数の加熱システムが組み合わされて用いられる場合、加熱層のそれぞれに測定線MLを組み込む必要はない。適用様態に応じて、1つ又は複数の加熱層にのみ測定線MLを組み込んでもよい。
【0124】
図においては、加熱システムは平面加熱層として図示されているが、構造コンポーネントへの適用後は、いかなる立体形状に構成してもよい。図3及び5示す基部加熱層10及び2つの付加的な加熱層11,12の組み合わせ例を図4に示すが、この図において基部加熱層10及び2つの付加的な加熱層11,12は矩形をなしている。しかし、これらの加熱機構は、円形や楕円形等の他の形状をなしてもよい。加熱層10,11,12はエネルギー供給機構E10,E11,E12に接続され、加熱システムS,S10,S11,S12を形成する。
【0125】
基部加熱層10は電気接続機構A10−1,A10−2を介してエネルギー供給機構E10に接続され、電気接続機構A10−1,A10−2は、帯Bの末端においてロービングRを電気的に接続する。電気接続機構A10−1,A10−2は電線によりエネルギー供給機構E10に接続されている。同様に、2つの付加的な加熱層11,12においても、帯Bの末端においてロービングRは電気接続機構A11−1,A11−2又はA12−1,A12−2により接続される。電気接続機構A11−1,A11−2又はA12−1,A12−2は、電線を介して、それぞれエネルギー供給機構E11,E12に接続される。
【0126】
エネルギー供給機構E10,E11,E12により、加熱機構S10,S11,S12のそれぞれに、互いに独立して負荷電圧が印加される。この負荷電圧により、各加熱層10,11,12に、互いに異なる電流強度の加熱電流が独立して流れる。全体としての加熱システムSは、複数の加熱システムS10,S11,S12により形成されるため、コンポーネント1の表面3の異なる領域においては、加熱出力及び期間に関して異なる制御を行うことができる。このような構成においては、比較的短期間にわたって付加的な加熱層11,12に比較的高い負荷電圧を印加して、基部加熱層10には比較的長期間にわたって比較的低い負荷電圧を印加するようエネルギー供給機構E10,E11,E12を構成することもできる。このようにシステムを構成すると、比較的大きい面積を高エネルギー効率及び高加熱効率にて加熱することができる機構が提供可能となる。このような構成は、例えば、空気力学部品の表面の除氷や、氷結防止に使用することができる。
【0127】
基部加熱層10及び/又は少なくとも1つの付加的な加熱層11,12は、加熱する構造コンポーネント1、もしくは加熱する構造コンポーネントのシェルコンポーネント4の内側又は外側に配置することができる。基部加熱層10は構造コンポーネント又はシェルコンポーネントの外側に配置してもよいし、少なくとも1つの付加的な加熱層11,12はシェルコンポーネントの内側に配置してもよい。もしくは、この逆であってもよい。
【0128】
ロービングを使用する場合、ロービング、又は少なくとも1つのロービングの帯又は複合構造を他の配置パターン又は構成にて配置して加熱層10,11,12を形成してもよい。配置パターンに応じて、ロービング、又は少なくとも1つのロービングの束又は帯の長さが異なり、したがって、電気抵抗も異なる。図4及び6に、配置パターンの例を示す。図4の例では、6つのロービング31a,31b,31c,31d,31e,31fが直線状に互いに平行に隣り合わせに配置されている。ロービング同士の間、つまりロービングの長手方向全長にわたって、間隙37が絶縁領域として設けられている。ロービングの末端は、連結片又は接続片35a又は35bに接続される。連結片又は接続片35a又は35bは、ロービングに電気的に接触して、ロービングを接続している。連結又は接続片35a又は35bは、電線36a又は36bを介して電流供給又は電圧供給機構(図示しない)に接続されている。又は、ロービングの複数の束又は帯を加熱層の一部として隣り合わせに配置してもよい。このようなロービングの複数の束又は帯は互いに離間するよう配置してもよい。ロービングの束又は帯は様々な配置構成にて加熱層を形成可能である。図5に、加熱層の一部である、ロービングの束又は帯41の配置40を示す。これらの束又は帯41は、長手方向において正弦波をなして互いに平行に延びる。図6に、曲折して配置された2つの加熱層H−A,H−Bを示す。ロービングの帯61の配置構造60a,60bは、加熱層の一部である。帯61a,61bの末端65b,65cが接続線66により電気的に相互接続されているため、ロービングの帯61は直列に電気接続されている。帯61a,61bもう一方の末端65a,65bは、電気接続線67a,67bにより電流供給又は電圧供給機構(図示しない)に接続されている。
【0129】
電気接続機構A10−1,A10−2,A11−1,A11−2,A12−1,A12−2により、配置された導電材の炭素繊維が、エネルギー供給機構につながる線に接触する。この構成においては、金属の接触体から導電性ロービングRの末端区域への接続を組み込んでもよい。ロービングRは、境界側面又は境界断面にて終端し、末端表面を有する。例えば、接触をもたらすため、ロービングの末端が基体コンポーネントを越えて延びるように、基体コンポーネントにロービングを配置してもよい。電流を伝導する、金属製等の接触体は、導電性ロービングの末端区域に電気的に接続される。接触体は、導電性ロービングに電流が流れたときに、電気的接触抵抗が過大になり、局所的に電圧が大きく低下してしまうのを防ぐために、板状又は箔状に形成してもよい。接触体は、銅箔であってもよい。接触体と導電性ロービングとは、金属を含んだ接着剤により接続されてもよい。この場合、接着剤に含まれる金属は金属粒子であってもよい。接着剤の基材は、導電性ポリマー等を含んでいてもよい。
【0130】
本発明の一実施形態によるロービング、及びロービングの末端区域は、銀や鉄等の金属粒子を含んだ、エポキシ樹脂等のポリマーを含む。金属粒子の粒径は、45ミクロンより小さいことが好ましい。粘性は1.8〜3.5パスカル秒(1,800〜3,500cPs)である。ポリマーは、例えば、熱可塑性ポリマー、デュロプラスチックポリマー、又はエラストマーであってよい。接触構成を形成する際には、液状のポリマーがロービングの末端に塗布もしくは浸透され、供給機構又は測定機構の導線に接続される。次いで、ポリマーが硬化される。これにより、ロービング又はロービングのフィラメントの末端断面だけでなく、ポリマーの施し方に応じて、ロービング又はフィラメントの末端区域において長手方向の所望の長さにわたって接触をもたらすことができる。このような接触により、摂氏23度において、体積抵抗を0.0004オームセンチメートルより小さくすることが可能となる。
【0131】
本発明の他の実施形態においては、加熱層10,11,12の電気抵抗を算出する判定機構が、飛行制御機構に組み込まれる。この場合、測定機構はセンサ値処理機構に機能的に接続される。センサ値処理機構は、少なくとも1つの比較値と温度値とを比較し、限界値に到達した場合や値が限界値より低くなった場合にシステム機能の信号値を送信する比較機能を有する。この限界値は、例えば、この温度、速度及び所定の大気パラメータであるときに、シェルコンポーネントの外面5に氷結が起こり得るもしくは起り易い低温度に対応するよう設定してもよい。
【0132】
上記構成に加えて、もしくは上記構成の代わりに、外面5aの氷結の可能性を判断するために、センサ値処理機構に監視機能を持たせてもよい。この監視機能は、外気温、飛行姿勢、外気圧等に関連するデータ等の大気データを受け取り、センサ値を用いて、氷結の可能性に関する可能性限界値を特定する。この実施形態においては、センサ値処理機構が比較機能を有する。この比較機能は、特定された氷結の可能性値と設定された氷結の可能性値とを比較し、氷結可能性値の最大許容値を特定する。そして、設定された氷結可能性値を超えた場合、信号値を警告信号として飛行制御システムやコックピットディスプレイ等のシステム機能に送信する。コックピットディスプレイは、飛行状態を変更するよう操縦士に通知できるように構成し得る。飛行状態の変更の例としては、シェルコンポーネント5上の氷結を防止するための飛行高度の減少が挙げられる。
【0133】
上記の構成を有する少なくとも1つの加熱システムをコンポーネント1に配置することにより、センサ値処理機構に機能的に連結されたシステム機能が、制御機能として、各加熱層又はシェルコンポーネント5の所定領域の温度を制御できる。この場合、システム機能は、算出された抵抗値から求められた温度値をセンサ値処理機構から受け取り、この温度値が制御変数として、基準値又は基準温度と比較される。この基準値又は基準温度は、シェルコンポーネント5上に氷結が発生する温度より高い温度であるか、もしくは、氷結が防止できる温度である。制御機構はセンサ値処理機構と機能的に接続され、算出された抵抗値から求められた温度値を入力変数としてセンサ値処理機構から受け取る。さらに、制御機能は、少なくとも1つの加熱層が加熱されるようにエネルギー供給機構を制御する。この制御においては、各加熱層又はシェルコンポーネントの領域の温度が可能な限り設定温度を超えないように制御される。したがって、設定温度を基準として、制御機能は各加熱層に対応する指令信号を発する。この指令信号は各エネルギー供給機構に送られ、エネルギー供給機構が対応する方法にて少なくとも1つの加熱層に電流を流す。加熱層が複数ある場合は、各加熱層の温度を制御するために、複数の加熱層を制御することも可能である。
【0134】
上記の実施形態による少なくとも1つの加熱層を使用することにより、加熱機構が作動開始し、シェルコンポーネント5の氷結の可能性値に対応する限界値が超えられた場合、システム機能が警告信号を発するようにシステム機能を構成することができる。加熱機構は、複数の加熱レベル、すなわち複数のレベルの加熱出力を生成可能であるよう構成できる。この場合、最大加熱出力が生成される、加熱機構の最も高い加熱レベルにて加熱機構が動作しているときに、シェルコンポーネント5の氷結の可能性値に対応する限界値が超えられた場合に警告信号を発するように構成できる。この警告信号は飛行案内ディスプレイに送信される。飛行案内ディスプレイは、飛行指示機構等において操縦士に対する指示を発する。この指示により飛行機を、翼上の氷結を防止できる飛行状態になすことができる。上記構成に加えて、もしくは上記構成の代わりに、警告信号を、制御機能を有する制御機構に送信することにより、飛行機を、翼上の氷結を防止できる飛行状態になすこともできる。
【0135】
警告信号が、電熱式加熱体の不具合により発せられる場合もある。このため、本発明の一実施形態においては、電熱式加熱体に不具合が発生している間の大気状況により飛行機が危険な状態あるか否かを判定する監視機能が配される。判定機構においては、飛行高度及び測定された大気温度が使用可能である。氷結の可能性値が限界値を越えて飛行機が危険な状態にあると判定機能により示された場合、警告信号が、飛行制御システム又はコックピットディスプレイに送信される。コックピットディスプレイは操縦士に対して指示を表示し、これにより操縦士が飛行機を安全な状態になすことができる。この場合は、例えば飛行状態の変更が必要である旨が表示され、例えば、翼上の氷結を防ぐために飛行高度を下げる必要ある旨の表示がなされる。上記構成に加えて、もしくは上記構成の代わりに、これらの対策を自動で行う自動制御機能を設けてもよい。
【0136】
図面を参照して、本発明の実施形態を以下に述べる。本発明の一実施形態による構造コンポーネントは、少なくとも1つのエネルギー供給機構E10,E11,E12を有する加熱システムSを備える。加熱システムSは以下を有する。
【0137】
・絶縁層を備える基部加熱機構。基部加熱機構は、これに載置される基部の電熱式の加熱層10及び電気接続機構A10−1、A10−2を備える。基部の電熱式の加熱層10は、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなる。少なくとも1つのエネルギー供給機構E10、E11、E12は、電気接続機構A10−1、A10−2により基部の電熱式の加熱層10に接続される。各例において、各ロービングの両端は電気接続機構の電極に接続される。
【0138】
・絶縁層を備える付加的な加熱機構。付加的な加熱機構は、これに載置される付加的な電熱式の加熱層11及び電気接続機構A11−1、A11−2を備える。付加的な電熱式の加熱層11は、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなる。エネルギー供給機構E10、E11、E12は、電気接続機構A11−1、A11−2により付加的な電熱式の加熱層11に接続される。
【0139】
本構造体において、機能的に凝集加熱効果を生じさせるべく、基部加熱機構及び付加的な加熱機構は、空間的に相互に対して位置され、この配置において、エネルギー供給機構E10、E11、E12は、作動段階において、電流が少なくとも部分的な時間付加的な加熱層11に供給され、付加的な電熱層の領域の構造体要素を所定の温度まで加熱し、かつ作動位相上、及び作動位相を超えて、電流が継続的に基部の加熱層10に供給され、これにより基部の加熱層10が継続的に熱を生じさせるが、付加的な加熱層11は、部分的な時間熱を生じさせるように設計される。
【0140】
上記の加熱層は、負荷伝達部として構造コンポーネントの一部として形成可能であり、本発明による方法にて形成可能である。加熱層、絶縁層を有する基部加熱機構、絶縁層を有する補助加熱機構は、前述の本発明の実施形態により形成可能である。
【0141】
本発明の一実施形態においては、第2の期間における電流強度が基部加熱層10を流れる電流よりも50%を越えて高い(この数値は詳細をより具体的にするために記載するものである)。この構成においては、加熱のための部分的期間における電流が基部加熱層10を流れる電流よりも大きい。加熱電流の流れが顕著により低く、電流強度は、基部加熱層10を流れる電流よりも50%を越えて低い。
【0142】
電流又は「継続的な」電流供給の「ほぼ不変である電流強度」とは、その電流の平均値又は基準値からの強度変動が25%以下である電流を表す。
この構成においては、間欠的すなわち脈動的に電流が付加的な加熱層11に流される。電流を流す期間は規則的であってもよい。
【0143】
加熱システム1は、複数の付加的な加熱層11を備える。付加的な加熱層11はエネルギー供給機構5から電流を供給される。第1の期間においてはより高い電流強度にて電流を供給され、第2の期間においては、基部加熱層10を流れる電流より低い電流強度にて電流を供給される。第1の期間は、すべての基部加熱層10に対して同時に設定してもよいし、いくつかの基部加熱層10に対してのみ同時に設定してもよい。もしくは、第1の期間を、すべての基部加熱層10に対して、又はいくつかの基部加熱層10に対して時間をずらして設定してもよい。
【0144】
加熱層10,11,12をコンポーネント1に配置するために、加熱層を形成する材料を、電気絶縁性材料を含んだ半完成の基体コンポーネントに配置してもよい。半完成の基体コンポーネントはシート状又はマット状をなし、配置するロービングを、加熱層が配置されるコンポーネントから電気的に絶縁する機能を有する。加熱層が配置されるコンポーネントの表面は、シェルコンポーネントの表面であってもよい。
【0145】
ロービングRは、半完成の基体コンポーネント又は形成される加熱層10,11,12の厚さ方向を基準として同一の配置平面上に延びるように、半完成の基体コンポーネントの領域上、及び加熱層が配置されるコンポーネント1の表面3上に配置されていてもよい。つまり、本構成においては、前述の厚さ方向において、ロービング又はロービングの区域が重なりあうことがない。このように配置することにより、ロービングの配置、経路、厚さ、品質、数量等を、所定の最適化条件に応じて最適化できるという効果がもたらされる。さらに、いくつかの段階において、徐々に変化する加熱電流や、加熱層において高いピーク値を有する電流を供給することもできる。これは、加熱層にて局所的に発生する温度が制御可能であるからである。加熱層を形成するために配置されるロービングRは、ロービングの帯、又はロービングの複合構造として配置可能である。
【0146】
この場合、「ロービングの帯」という用語は、長手方向に隣り合わせに配置されたロービングの配置構造を指し、加熱層の厚さ方向を基準としてこのようなロービングをみると、別の区域の上に位置する区域が存在しない。「複合構造」という用語は、長手方向に隣り合わせに配置されるか、別の区域の上に配置されたロービングの配置構造を指す。このようなロービングにおいては、加熱層の厚さ方向を基準として、その長手方向区域の少なくとも1区域が別の区域の上に配置されている。
【0147】
完成したコンポーネント1においては、加熱層を形成するために炭素導体、及びロービング帯又はロービング等が配置される半完成の基体コンポーネントが絶縁層として機能し、ロービングの複合構造又は帯等を含んだ線領域の間に配置される。このコンポーネントは絶縁層の一部を形成していてもよいし、もしくは、絶縁層が追加の要素を有していてもよい。この絶縁層に追加される要素は、非導電性のガラスロービングであってもよい。この場合、2つの線領域の間に少なくとも1つのガラスロービングを挿入してもよい。これらの線領域はそれぞれロービング又はロービングの複合構造を有し、加熱層のシート状延設において、幅が10cm以下、例えば3cm以下となっている。
【0148】
電熱式加熱層が例えば構造コンポーネント又はシェルコンポーネントの上面に配置された場合、加熱層の上面を、ガラス織物、布地、プラスチックフィルム、又はプラスチック箔を含んだ非導電性層で覆ってもよい。
【0149】
電熱式加熱層を構造コンポーネント又はシェルコンポーネントの上面に配置する場合、雷防護層を設けてもよい。雷防護層は、構造コンポーネントの厚さ方向を基準として非導電性層の上方に配置可能であり、例えば、型打ちした銅箔から形成可能である。
【0150】
非導電性の絶縁層、つまり、第1の絶縁層又はさらなる絶縁層は、ガラス織物、布地、プラスチックフィルム、又はプラスチック箔を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態による付加的な加熱層11,12は図2に示し、図2を参照して説明した。
【0151】
本発明により形成されたコンポーネントは、例えば、飛行機のコンポーネント又は飛行機の構造物に好適に適用又は組み込み可能である。このような適用例として、前縁フラップとして形成されたコンポーネント1を図1に示す。エネルギー供給機構E10,E11,E12により、加熱機構S10,S11,S12のそれぞれに、互いに独立して負荷電流が印加される。この負荷電圧により、各加熱層10,11,12に、互いに異なる電流強度の加熱電流が独立して流れる。全体としての加熱システムSは、複数の加熱システムS10,S11,S12により形成されるため、コンポーネント1の表面3の異なる領域においては、加熱出力及び期間に関して異なる制御を行うことができる。このような構成においては、比較的短期間にわたって付加的な加熱層11,12に比較的高い負荷電圧を印加して、基部加熱層10には比較的長期間にわたって比較的低い負荷電圧を印加するようエネルギー供給機構E10,E11,E12を構成することもできる。このようにシステムを構成すると、比較的大きい面積を高エネルギー効率及び高加熱効率にて加熱することができる機構が提供可能となる。このような構成は、例えば、空気力学部品の表面の除氷や、氷結防止に使用することができる。
【0152】
電熱式加熱層10,11,12を形成するために、ロービングRの帯Bは図1及び2に示すように曲折して配置してもよい。「曲折する」という用語はロービングR、又はロービングRの帯Bの経路を表し、同一の帯B又はロービングRの複数の区域が、電気絶縁層がシート状に延びる座標を基準として互いに反対方向に配置される。ロービングRは電気絶縁層の上に配置される。そのため、屈曲する区域が長手方向区域の間に設けられる。ロービングR又は帯Bの長手方向に続く屈曲する区域は、反対方向に延びる屈曲を有する。つまり、「曲折する」という用語は、同一のロービングの長手方向区域は互いに平行して隣り合わせに配置を表す。長手方向に延びるロービングにおいて、隣り合わせに配置された長手方向区域は、ロービングの経路が曲折するよう、互いに続いて配置される。
【0153】
ロービングの経路は構造コンポーネントの形状に応じて設定及び最適化できる。例えば、接続要素を受容する穴や供給穴等の凹み、もしくは構造コンポーネントの表面が途切れる部分の周りに加熱機構の電熱式加熱層を配置したい場合は、これらの凹みや部分の周りに1つ又は複数のロービングの経路を配置してもよい。
【0154】
本発明の一実施形態においては、複数の付加的な加熱層が、構造コンポーネントの表面上において基部加熱層10の近隣及び/又は内側に配置され、エネルギー供給機構に接続される。この場合、加熱層の電流を制御するエネルギー供給機構の機能は、付加的な加熱層を流れる電流に関し、加熱電流の電流強度が異なる2つの期間すなわち第1の期間及び第2の期間が各付加的な加熱層において設けられ、これらの期間が交互に設けられるように構成してもよい。第1の期間の電流強度は、第2の期間の電流強度よりも著しく高い。例えば、3つの付加的な加熱層を有する加熱システムにおいては、第1の加熱期間が、第1の付加的な加熱層、第2の付加的な加熱層、第3の付加的な加熱層に順番に発生し、この間、第2の加熱期間が残りの付加的な加熱層に発生する。
【0155】
しかし、2つの付加的な加熱層における第1及び第2の加熱段階の切り替えにおいて、加熱段階の重複が生じてしまう場合がある。つまり、第1段階における電流強度がある付加的な加熱層に流れている間に、別の付加的な加熱層にも第1段階における電流強度が印加されてしまう場合がある。重複の期間は、設定した期間、又は第1の加熱段階に設定された期間の平均値の10%以下であることが望ましい。この場合においても、第1の期間の電流強度は基部加熱層10を流れる電流よりも50%を越えて高い(上記参照)。さらに、第2の期間の電流強度は、基部加熱層10を流れる電流よりも50%を越えて低い(上記参照)。
【0156】
基部加熱層10の内側に、複数の内側加熱機構を配置してもよい。つまり、2つ以上の付加的な加熱層11,12を外側加熱機構10の内側に配置してもよい。基部加熱層10及び付加的な加熱層11,12は、電気絶縁層を有する基体9の上に配置されるため、加熱層10,11,12は絶縁層の上方に配置されることになる。図1に示す実施形態においては基部加熱層10及び2つの付加的な加熱層11,12が組み合わされ、外側加熱機構及び2つの付加的な加熱層は矩形をなす。しかし、加熱機構の形状はこれに限定されず、例えば円形や楕円形であってもよい。
【0157】
基体9は独立した部品又はコンポーネントとして形成して、加熱されるコンポーネントに配置してもよい。もしくは加熱されるコンポーネントの一部として形成してもよい。この場合、基体9を加熱されるコンポーネントと一体をなすよう形成してもよい。基体はシェルコンポーネントの外側シェルであってもよく、つまり、翼、フラップ又はスラットのシェルコンポーネントの外側シェルであってもよい。本発明の一実施形態においては、加熱されるコンポーネントは飛行機のコンポーネントである。この場合、加熱されるコンポーネントは、水平尾翼、水平安定器、翼、小翼、スラット、前縁フラップ、機体、エンジン、飛行機の補助コンポーネント等の、気流に対して突出する部品の例えば前面であってもよい。
【0158】
図2に示す例においては、基部加熱層10及び2つの付加的な加熱層11,12が、スラット又は前縁フラップ20の前面21すなわち気流に対して突出する区域に配置されている。配向を示すため、図2にはX1−X2−X3座標系が示されており、このX1軸が翼幅方向であり、X2軸が翼の深さ方向であり、X3軸がスラットの翼の厚さ方向である。前面21においては、基部加熱層10、及び基部加熱層10の内側に配置される2つの付加的な加熱層11,12の2つの組み合わせが示されている。2つの組み合わせは、それぞれ、基部加熱層10、及び基部加熱層10の内側に配置される2つの付加的な加熱層11,12、もしくは基部加熱機構、及び基部加熱機構の内側に配置される補助加熱機構を有し、2つの付加的な加熱層11,12が翼の深さ方向X2を基準として隣り合わせに配置されるよう配置される。
【0159】
基部加熱層10、及び基部加熱層10の内側に配置される2つの付加的な加熱層11,12の1つの組み合わせ、又は基部加熱層10、及び基部加熱層10の内側に配置される2つの付加的な加熱層11,12の複数の組み合わせは、スラット等の飛行機コンポーネントに配置してよい。基部加熱層10、及び基部加熱層10の内側に配置される2つの付加的な加熱層11,12の複数の組み合わせが配置される構成においては、基部加熱層10をスラットの翼幅方向X1に隣り合わせに配置してもよいし、さらに/もしくは、翼の深さ方向X2に隣り合わせに配置してもよい。
【0160】
本発明による加熱システムを飛行機コンポーネントに組み込む場合、基体4が電気絶縁層であってよく、その飛行機コンポーネントの一部として形成してもよい。また、飛行機コンポーネントのシェルコンポーネントを形成していてもよい。
【0161】
エネルギー供給機構5は、第1の付加的な加熱層11の第1の電気接続機構10a、第1の電気接続機構11a、及び第2の電気接続機構11b、ならびに、第2の付加的な加熱層12の第1の電気接続機構12a及び第2の電気接続機構12bに接続される。エネルギー供給機構5は、加熱システム1が作動段階にあるときには基部加熱層10に対して継続的に電流が供給され、第1の付加的な加熱層11及び第2の付加的な加熱層12に対しては所定の様態にて交互に電流が供給されるように構成される。これにより、第1の付加的な加熱層11及び第2の付加的な加熱層12は時間的に交互に熱を発生する。第1の補助加熱体11及び第2の補助加熱体12に対して時間的に交互に電流を供給することにより、これらの加熱体が交互に加熱される。このため、基部加熱層10全体の加熱を、エネルギー効率良く行うことができる。加熱のための電流が付加的な加熱層11,12に供給される期間は短いため、電流が供給されたときに高い温度勾配にて温度が上昇する材料を、第1の付加的な加熱層11及び第2の付加的な加熱層12に含めてもよい。
【0162】
本発明による、加熱層を有するコンポーネント、又は加熱体の半完成製品を製造する方法においては、非導電性基体材を有する半完成の基体コンポーネントに、1つ又は複数の炭素ロービングの層が配置される。この炭素ロービングは、ロービング及び/又は金属導体の束又は帯の1つ又は複数の層として形成され、縫い取り法により配置される。
【0163】
加熱層を有するコンポーネントの使用時には、ロービングは電流供給機構に接続され、電圧印加時には、ロービングがオーム導体として使用される。ロービングは、そのロービングの抵抗及び印加電圧に応じて熱出力を生成する。これにより、所定の様態にて、コンポーネント及び/又はコンポーネントの周囲が加熱される。
【0164】
「ロービング」という用語は、継ぎ目のない炭素フィラメントの束、もしくは回転してない状態及び/又は延伸していない状態にてロービングの中に収められた導電性ケーブルの束を表す。ケーブルは、繊維に覆われた金属導体等の電気導体であってよい。導電性フィラメントは、炭素フィラメント、炭素繊維、金属合金、ガラス繊維のいずれかもしくは複数から形成可能であり、金属コーティングが施されていてもよい。また、ロービングは、繊維、例えば炭素繊維からのみ形成されていてもよい。ロービングはマトリクス材料を有していてもよいし、有していなくてもよい。この場合、継ぎ目の無いロービング、糸、捻れた糸、ひも、編地、織り布、縄等をロービングに使用することができる。本発明による方法において使用するために、これらの継ぎ目の無いロービングはリール又は筒に巻かれて、本発明の方法に適した長さにてリール又は筒から巻き出される。
【0165】
本発明の一実施形態においては、ロービングは、下位ロービングとなる複数のロービングから形成してもよい。この場合、下位ロービングは織り交ぜられていてもよいし、撚り合わされていてもよい。このように複数の下位ロービングの組み合わせたものは、「ロービングの束」と称され、平面位置に延びていなくてもよい。
【0166】
半完成の基体コンポーネントに配置されたロービングのいくつかの区域は重なりあっていてもよい。つまり、加熱層の厚さ方向を基準として、ロービングの長手方向区域が別の区域の上に配置されていてもよい。しかし、本発明の一実施形態においては、加熱層形成のため、加熱層の厚さ方向を基準として、ロービングの長手方向区域が別の区域の上に配置されることがないようロービングが構成される。
【0167】
加熱層の形成において、ロービングは、独立したロービングとして形成してもよいし、少なくとも1つの複合構造として形成してもよい。もしくは、ロービングの少なくとも1つの帯として形成してもよい。この場合、「ロービングの帯」という用語は、長手方向に隣り合わせに配置されたロービングの配置構造を指し、このようなロービングを加熱層の厚さ方向を基準としてみると、別の区域の上に位置する区域が存在しない。「複合構造」という用語は、長手方向に隣り合わせに配置されるか、別の区域の上に配置されたロービングの配置構造を指す。このようなロービングにおいては、加熱層の厚さ方向を基準として、その長手方向区域の少なくとも1区域が別の区域の上に配置される。
【0168】
半完成の基体コンポーネントはシート状又はマット状をなし、配置するロービングを、加熱層が配置されるコンポーネントから電気的に絶縁する機能を有する。半完成の基体コンポーネントは、半完成の布製品を有していてよく、例えば、多軸に織られた布、フィルム状や箔状のプラスチック、及びこれらの組み合わせ等の織り布を有していてよい。加熱層が配置されるコンポーネントの表面は、シェルコンポーネントの表面であってもよい。この場合、ロービングは半完成の基体コンポーネントの領域上に配分される。各ロービングは、半完成の基体コンポーネント又は形成される加熱層の厚さ方向を基準として同一の平面状に延びる。
【0169】
つまり、本構成においては、前述の厚さ方向において、ロービング又はロービングの区域が重なりあうことがない。このように配置することにより、ロービングの配置、経路、厚さ、品質、数量等を、所定の最適化条件に応じて最適化できるという効果がもたらされる。さらに、いくつかの段階において、徐々に変化する加熱電流や、及び加熱層において高いピーク値を有する電流も供給可能である。これは、加熱層にて局所的に発生する温度が制御可能であるからである。
【0170】
各加熱層は、ロービングの1つ又は複数の層、もしくは、ロービングの少なくとも1つの束又は帯、及び/又は金属導体の1つ又は複数の層を、所定の配置パターンにて有していてもよい。
【0171】
加熱層を有するコンポーネントは、電気絶縁層を有していてもよいし、電気絶縁層から形成されていてもよい。したがって、コンポーネントの製造において、半完成の基体コンポーネント及び電気絶縁性が用いられる。もしくは、半完成の基体材が電気絶縁性を含む。電気絶縁性材料は、ガラス、アラミド、プラスチック等を含んでいてよい。
【0172】
半完成の基体コンポーネントは、半完成の布製品を有していてよく、例えば、多軸に織られた布、プラスチックフィルムやプラスチック箔等の、シート状に延びるプラスチックを有していてもよい。
【0173】
対応する半完成のコンポーネントに応じて、本発明による方法にて製造されるコンポーネントは、例えば、繊維強化材料及び/又は繊維強化プラスチックコンポーネントであってもよい。コンポーネントは、1つ又は複数の加熱層を有していてよい。複数の加熱層が配置される場合、複数の加熱層がそれぞれ異なるエネルギー供給機構により制御されて電流を供給されてもよい。又は、各加熱層が同一の1つのエネルギー供給機構により制御されてもよい。
【0174】
図9に示す実施形態においては、6個のロービングRが基体材上に隣り合わせに配置され、この基体材に構造的に組み込まれる。長手方向の全長にわたって、ロービングRは隣り合わせに配置される。つまり、加熱層の厚さ方向を基準として、あるロービングRの長手方向区域が、同一の帯Bの別のロービングRの長手方向区域の上方又は下方に配置されることはない。ロービングRは互いに平行し、曲折して加熱層11に配置される。ロービングRの帯Bが図2に示されるように曲折した配置パターンをなす場合、ロービングRの帯Bの長手方向区域11a,11b,11c,11d,11eは互いに平行して延びる。ロービングRの帯Bの末端は、接続片A11−1又はA11−2に接続される。接続片A11−1及びA11−2は、電線L11−1又はL11−2を介して電流又は電圧供給機構Eに接続される。そのため、エネルギー供給機構Eにより加熱層に電流を供給することができ、この電流供給に応じて、加熱層11がコンポーネント及び周囲を加熱する。
【0175】
本発明の一実施形態によるコンポーネントは、図3を参照して前述したように、飛行機コンポーネント又は飛行機構造物に好適に適用及び組み込み可能である。
付加的な加熱層11,12は、例えば、図2に示す実施形態のように構成可能である。
【0176】
本発明においては、半完成コンポーネント又はコンポーネントを製造するため、技術的仕様を定義する工程(工程S1)の後に、加熱層を定義する工程である工程S2において、加熱層の配置を構成するために、製造されるコンポーネントに配置される加熱層の形状及び/又は構成が定義される。本発明の一実施形態による方法においては、開始点は製造するコンポーネントによりもたらされ、このコンポーネントは所定の立体形状を有する。検証、電子計算、シミュレーション、分析的検証、及び製造するコンポーネントのひな形に対する試験のいずれかもしくは複数によりコンポーネントの加熱出力が決定される(工程S3)。この出力は、1つ又は複数の加熱層により、製造されるコンポーネントにおいてもたらされる出力である。算出を行うために、例えば、必要条件に応じた動作状態のシミュレーションを行ってもよい。このような検証により導きだされる条件の例を以下に示す。
【0177】
・製造するコンポーネントに配置する少なくとも1つの加熱層の数及び配置。少なくとも1つの加熱層の配置とは、各加熱層のコンポーネント上の位置を表す。
・各加熱層の寸法。
・所定の電圧が加熱層に印加されたときに各加熱層によりもたらされる面積当りの加熱出力。電圧は一定であってもよいし可変であってもよい。
【0178】
加熱層の定義工程の結果や、例えば面積当りの目標加熱出力に応じて、反復処理において、コンポーネントの1つ又は複数の加熱層の構成が調整される。つまり、製造するコンポーネントに配置される少なくとも1つの加熱層の数及び配置、及び/又は各加熱層の寸法が調整される(工程S4)。
【0179】
これらの検証においては、基体コンポーネントの材料も考慮される。
加熱層の定義工程においては、少なくとも1つの加熱層の配置構造、具体的には配置構造の位置、及び/又は各加熱層の寸法が設定される。このような設定は、製造されるコンポーネントの適用様態に応じて行ってもよい。加熱層の定義工程においては、例えば、所定の電圧が印加されたときに複数の加熱層又は各加熱層によりもたらされる面積当りの加熱出力が前述の設定に基づいて算出されてもよい。算出には、最適化方法を用いてもよい。
【0180】
前述の加熱層の定義に基づいて、ロービングの定義が行われる(工程S5)。この工程においては、少なくとも1つの加熱層における、ロービングもしくはロービングの少なくとも1つの束又は帯の構成が定義される。この工程においては以下の項目が設定される。
【0181】
・各加熱層における、導電性ロービングもしくはロービングの少なくとも1つの束又は帯の配置構造の種類。
・各加熱層におけるロービング又はロービングRの束の種類及び数。ロービングの帯の種類及び数。束又は帯の場合は、ロービングの少なくとも1つの束又は帯におけるロービングの数。ロービングの束又は帯の特性。
【0182】
ロービングの束又は帯の種類又は特性には、例えば、断面寸法、使用するロービングの種類、すなわち、太さ、ロービングに含まれる導体の数、ロービングの繊度(tex番号)が含まれる。導体の配向、すなわちロービングもしくはロービングの束又は帯の配置パターンにおける配向、使用するロービングもしくはロービングの束又は帯の電気抵抗、及び配線等を適宜調整することにより、全体の電気抵抗を変えることができる。製造される加熱構造の各加熱層は、周期的又は継続的に加熱可能である。
【0183】
ロービングの配置の種類の設定には、独立したロービングもしくはロービングの束又は帯として、どのような方法又はどのような経路にて加熱層にロービングを配置するかの決定が含まれる場合もある。ロービングの束又は帯としてロービングを加熱層に配置する場合には、各束又は帯におけるロービングの数及び種類が決定される。ロービングの種類の例としては、ロービングもしくはロービングの束又は帯の、各ロービングの断面における線コンポーネントの太さ及び/又は量、互いに重なる層の数が挙げられる。配置の種類においては、ロービング間、及び/又はロービングの束又は帯間に間隙を設けるか否かの決定が含まれる。絶縁機構20,21,22を形成するために、この間隙、もしくは間隙により生じるスペースには、例えばガラス繊維糸等の絶縁材料が配置され、これによりロービングもしくはロービングの束又は帯を互いに絶縁する。
【0184】
配置の種類の設定には、ロービングRの帯Bが、図2及び4に示すように、曲折して配置されるか否かの決定が含まれる。「曲折する」という用語はロービングR、又はロービングRの帯Bの経路を指し、同一の帯B又はロービングRの複数の区域が、電気絶縁層がシート状に延びる座標を基準として互いに反対方向に配置される。ロービングRは電気絶縁層の上に配置される。そのため、屈曲する区域が長手方向区域の間に設けられる。ロービングR又は帯Bの長手方向に続く屈曲する区域は、反対方向に延びる屈曲を有する。つまり、「曲折する」という用語は、同一のロービングの長手方向区域は互いに平行して隣り合わせに配置される配置構造を指す。長手方向に延びるロービングにおいて、隣り合わせに配置された長手方向区域は、ロービングの経路が曲折するよう、互いに続いて配置される。
【0185】
さらに、ロービングの定義工程においては、ロービングもしくはロービングの束又は帯の配置パターンが設定される。この配置パターンにより各ロービングもしくはロービングの各束又は帯の長さが決まり、これにより電気抵抗も決まる。図6〜8に配置パターンのいくつかの例を示す。これらに関しては図6〜8を参照して前述した。
【0186】
ロービングの定義工程は、コンピュータを利用して行う最適化処理を含んでいてもよい。本発明の一実施形態においては、このような最適化処理には入力値として以下の項目が入力される。加熱層を形成するロービングが独立して配置される場合は、導電性ロービングの配置構造の種類又は配置形状が入力される。各加熱層を形成するためにロービングの束又は帯が配置される場合は、ロービングの少なくとも1つの束又は帯の配置構造又は配置形状が入力される。
【0187】
独立したロービングを配置することにより加熱層が形成されている、上記実施形態の変形例においては、コンピュータによる最適化処理により、各加熱層のロービングの数が、設定された項目を用いて最適化される。ロービングの数の低減以外の最適化の効果の例としては、導電性材料すなわちロービングRの帯Bの配置面積に関する効果が挙げられる。さらに、ロービングの導体の太さ及び/又は断面により定義されるロービングの種類を最適化及び設定するよう、最適化処理を構成してもよい。
【0188】
上記実施形態の別の変形例においては、上記変形例の構成に加えて、もしくは上記変形例の代わりに、前述の設定を用いて、コンピュータによる最適化処理によりロービングの帯Bの数を決定してもよい。ここで決定されるのは、ロービングの少なくとも1つの帯Bのロービングの数であってもよい。さらに、ロービングの帯Bの特性を最適化及び設定するよう最適化処理を構成してもよい。
【0189】
前記実施形態による最適化処理は、加熱層形成における、ロービングもしくはロービングの束又は帯の所定の配置パターン又は所定の配置形状に重複するよう構成してもよい。さらに、ロービングもしくはロービングの束又は帯の配置パターン又は配置形状の設定は構造内及び最適化内で行ってもよい。これは、所定の配置パターンの最適化結果が設定され、これらの最適化結果が一緒に設定されるように行われてもよい。最適化結果を比較することにより、最も適切な配置パターンを特定することができる。
【0190】
この最適化は、加熱層の平面形状に関しても行うことができる。この平面形状は、例えば立体のコンポーネントの表面を平面化することにより立体のコンポーネントから生成される。もしくは、加熱層が配置される領域のコンポーネントの立体形状に対応する加熱層の立体形状に対して最適化を行ってもよい。
【0191】
本発明の一実施形態においては、ロービングを有する半完成の加熱構造物を平面的に形成して(工程S6及びS7)、それから立体の半完成加熱構造物が形成される(工程S8及びS11)。基体コンポーネント、もしくは、製造するコンポーネントの基体コンポーネントを形成する半完成の基体材の表面への導電性ロービング、ロービングRの束、又はロービングRの帯Bの配置は、例えば自動的、又はコンピュータ数値制御により、機械により行われる(工程S6)。平面の半完成加熱構造物を形成するために、少なくとも1つの導電性ロービング、少なくとも1つのロービングの束、少なくとも1つのロービングの帯(工程6a)のいずれか又は複数が、半完成の基体コンポーネントの電気絶縁層に配置され、機械により留められ、半完成の基体コンポーネントに固定される。
【0192】
ロービングの固定は、縫合及び/又は縫い取り方法により行われる。縫合及び/又は縫い取り方法による半完成の基体コンポーネントへのロービングの固定(工程6b)は、単独でおこなってもよいし、組にまとめて行ってもよい。つまり、各ロービング、ロービングの各束、又はロービングの各帯を縫い取り法により半完成の基体コンポーネントに単独に固定してもよいし、複数のロービングを縫い取り法により半完成の基体コンポーネントに一緒に固定してもよい。ロービングを組にまとめて固定する場合、3つ以下のロービングを有する組を一緒に固定してもよいし、続いて、1つのロービング又は複数のロービングを固定してもよい。半完成の基体コンポーネントにロービングを個別に固定する場合でも、縫い取り法により、組にまとめられたロービングを半完成の基体コンポーネントに固定してもよい。
【0193】
また、結合法により、個別のロービングを半完成基体コンポーネントに固定してもよいし、複数のロービングの場合、ロービングの束又は帯を半完成基体コンポーネントに固定してもよい。
【0194】
本発明の一実施形態においては、ロービングの1つ又は複数の束又は帯が、ロービングが基体に配置及び固定される間に、徐々に形成される。つまり、ロービングが互いに隣り合うよう徐々に配置されることにより、基体上にロービングの束又は帯が形成される。基体にロービングを固定する際には、ロービングは個別に基体に固定されてもよいし、複数のロービングを一組にまとめて基体に固定してもよい。また、ロービングの束をまとめて基体に固定してもよい。さらに、ロービングを配置する前に、ロービングを1つ又は複数の束又は帯にまとめて、一緒に固定してもよい。配置前にロービング同士を固定するためには、縫い取り法、縫合法、接着法等の方法も使用することができる。その後、形成されたロービングの束又は帯が基体に配置されて固定される。ロービングもしくはロービングの束又は帯は縫い取り法、縫合法、接着法等の方法により基体に固定できる。導電性ロービングもしくはロービングの束又は帯の層をコンポーネントの基体コンポーネントから絶縁するために、例えばガラス織り布を有する絶縁層を、ロービング層又はロービングの束の間に配置してもよい(工程6c)。
【0195】
適用様態に応じて、ロービングの配置工程において(工程6b及び6c)、基体コンポーネント又は電気絶縁層にロービングを隣り合わせに互いに重なり合わないように配置してもよい。そして、このようなロービングを基体コンポーネント又は電気絶縁層に固定することによりロービングの帯を形成してもよい。もしくは、ロービングのある区域が重複するよう、つまりロービングのある区域が、加熱層の厚さ方向を基準として、他のロービングの上に重なるよう配置してもよい。
【0196】
さらに、工程6b及び6cを交互に行い、ロービングRの層、電気絶縁層、ロービングRもしくはロービングの束又は帯の層と電気絶縁層との組み合わせを、加熱層の厚さ方向に順番に配置してもよい。この場合、ロービングRの層の上に配置された電気絶縁層の上に、さらに別のロービングRの層を縫いつけてもよい。
【0197】
製造されるコンポーネント又は半完成コンポーネントの基体コンポーネントの電気絶縁層は、ガラス、アラミド、又はプラスチック材料を含んでいてもよい。電気絶縁層は、単独の層として半完成のコンポーネント又は基体コンポーネントに配置可能であり、そこに例えば接着可能である。プラスチック製造法により基体コンポーネントを製造する場合、プラスチック製造法により、基体コンポーネントを電気絶縁層と一体に形成してもよい。
【0198】
導電性ロービングRもしくはロービングの束又は帯の層を基体コンポーネントに配置した後、工程S7において、導電性繊維を有するロービングの末端区域の接触が行われる。これは、例えば、金属等を含んだ導電性接着剤により金属製の接触体をロービングの末端区域に接続することにより行われる。
【0199】
本発明の一実施形態においては、導電性ロービングRもしくはロービングの束又は帯が、立体表面を有する基体コンポーネントに工程6において配置される。この場合、基体コンポーネントは、その表面が平面化可能であるように構成される。「平面化可能な配置面」とは、形状が内部で変化することなく、つまり実際の長さが変化することなく、平面に変換可能な立体表面を指す。反対に、「平面化不可能な配置面」とは、平面において湾曲している配置面の形状を指す。このような配置面は少なくともいくつかの区域において、例えば球状、楕円状、鞍状をなす。導電性ロービングを有する層の配置に応じて、工程S7においてロービングの末端区域の接触が行われる。
【0200】
配置された導電性物質の接触が行われる工程S7においては、金属製接触体が導電性ロービングの末端区域に接続される。ロービングは境界側面又は境界断面にて終端し、末端面を有する。接触のため、ロービングは、ロービングの末端が基体コンポーネントを越えて延びるように配置されていることが好ましい。電流を伝え、金属等により形成される接触体は導電性ロービングの末端区域に電気的に接続される。電流が導電性ロービングに印加されたときに、電気的接触抵抗が過大になり、電流が局所的に高くなるのを防ぐために、接触体を板状又は箔状に形成してもよい。また、接触体は、銅箔であってもよい。接触体と導電性ロービングとは、金属を含んだ接着剤により接続されてもよい。この場合、接着剤に含まれる金属は金属粒子であってもよい。接着剤の基材は、導電性ポリマー等を含んでいてもよい。
【0201】
接触位置が設置方法(工程1及び2)において設定又は算出されている場合は、それに応じて接触位置を構成する。
非導電性材料を用いて炭素繊維加熱構造を電気的に絶縁することにより加熱構造を完成又は安定させる方法は多種ある。例えば、接着剤を用いてもよいし、縫合を行ってもよい。導電性ロービングもしくはロービングの束又は帯の層、及び非導電性材料の層の少なくとも一方を固定するために行う結合処理は、樹脂射出処理又は樹脂注入処理の前に行う。
【0202】
絶縁層は、基体コンポーネントに配置され、導電性ロービングもしくはロービングの束又は帯を有する導電性ロービングの層を電気的に絶縁する。
電熱式加熱層を構造コンポーネント又はシェルコンポーネントの上面に配置する場合、雷防護層を設けてもよい。雷防護層は、構造コンポーネントの厚さ方向を基準として非導電性層の上方に配置可能であり、例えば、型打ちした銅箔から形成可能である。
【0203】
少なくとも1層の導電性ロービング、結合物質、絶縁層、及び配置する場合は雷防護材を含む結合構造は、適宜に安定した構造として形成することもできる。この場合、この安定した構造を覆い具から取り除いて、後続の第2の処理において、加熱可能の型及び/又は加熱不能の型にのせて炉に入れ、炉内にて結合を行うことができる。従って、樹脂射出処理又は樹脂注入処理を行う前に、結合処理により導電性ロービングの少なくとも1層を固定することができる。
【0204】
上記構成に加えて、もしくは上記構成の代わりに、導電性ロービングを有する複数の独立した加熱構造を基体コンポーネントに配置してもよい。この加熱構造は、個別に制御可能な電気抵抗として形成される。導電性ロービングの少なくとも一層の配置の1段配置及び2段配置の両方にて配置可能である。この場合は、少なくとも1つの絶縁層が、導電性ロービングを有する2つの層の間に配置される。
【0205】
本発明の一実施形態による、導電性ロービングを有する複数層及び/又は個別の加熱構造を有する半完成の加熱体を製造する方法において、導電性ロービングRを有する層は第1の器具に配置された基体コンポーネントの上に配置される。この層は前述のように接触される。次に、導電性ロービングRを有する層が、第1の器具の表面とは異なる表面を有するとともに立体形状を有する第2の器具の上に配置される。その後、絶縁層が、第2の器具の上に配置されるとともに導電性ロービングを有する層の上に配置される。これらの工程は一回のみ行ってもよいし、複数回繰り返してもよい。複数回繰り返した場合、導電性ロービングRを有する複数の層が、それぞれ絶縁層により隔離されて、第2の器具の上に配置される。その後、この実施形態においては、結合材及び任意で雷防護材が配置される。結合材を使用する場合は、これは、結合処理及び樹脂射出処理又は樹脂注入処理の後に用いられる。
【0206】
本発明の他の実施形態による、導電性ロービングを有する複数層及び/又は個別の加熱構造を有する半完成の加熱体を製造する方法において、導電性ロービングもしくはロービングの束又は帯の第1の層は、第1の器具に配置された基体コンポーネントの上にまず配置され、前述の方法により接触される。その後、この第1の層の上に絶縁層が配置され、第2の器具の上に配置される。この層は、導電性ロービングを有する。これらの工程は一回のみ行ってもよいし、複数回繰り返してもよい。複数回繰り返した場合、導電性ロービングRを有する複数の層が、それぞれ絶縁層により隔離されて、第2の器具の上に配置される。
【0207】
次いで、ロービングもしくはロービングの束又は帯が配置された電気絶縁層を有する半完成の基体コンポーネントを有する半完成が、支持面形状が立体である器具に配置される(工程S8)。この支持面形状が立体である器具は、ロービングもしくはロービングの束又は帯が半完成の基体コンポーネントに配置されたときに半完成の基体コンポーネントが留められる器具と同一であってよい。
【0208】
ロービングR又はロービングRの帯の接触(工程S7)は、工程S8の後に行ってもよい。
本発明による方法においては、ロービングもしくはロービングの束又は帯を基体コンポーネントに配置するときに(工程S6)、基体コンポーネントが平面として定義可能な表面を有し、半完成に配置されたロービングもしくはロービングの束又は帯の末端区域の接触の前又は後に、基体コンポーネントと導電性ロービングとの組み合わせが、立体として定義可能な形状を有する表面を有する成形器具において行われてもよい。
【0209】
その後、結合材及び任意で雷防護材が配置される(工程S8)。結合材は、前のいずれかの工程において、半完成の基体コンポーネント、電気絶縁層、及び電気絶縁層に配置されたロービング又はロービングの少なくとも1つの束又は帯のいずれか又は複数に含ませてもよい。結合材の配置後に、半完成の安定化のための結合処理(工程S9)及び樹脂射出処理又は樹脂注入処理(工程S10)を行ってもよい。
【0210】
前述の方法に関する工程の実施形態において形成される、少なくとも1層の導電性ロービング、結合材、絶縁層、及び任意で雷防護材を含む結合構成は、樹脂を用いて、樹脂射出処理及び/又は樹脂注入処理(工程S10)において結合してもよい。この場合、最初の処理工程において、基体コンポーネント及び電気絶縁層を乾燥した半完成として配置してもよい。また、電気絶縁層はプラスチック製造法により単体に形成してもよい。
【0211】
次に、硬化した半完成の加熱構造が機械加工処理(工程S11)において再加工される。
その後、電線が金属製の接触体に接続される(工程S12)。
さらにその後に、サーモグラフィ画像により機能確認が行われる(工程S13)。この場合、加熱構造の機能が、熱画像により検証される。熱画像により、加熱構造の表面における温度分布に関する全体的情報が得られ、各加熱領域の加熱速度を示すことができる。このサーモグラフィ法により帯電部分を確認することができ、炭素、金属又は炭素繊維、もしくは炭素繊維を含んだ接触位置の不具合を検知することができる。
【0212】
前述の方法により、少なくとも1つの電熱式加熱層を有するコンポーネントを製造することができる。少なくとも1つの電熱式の付加的な加熱層10,11,12は、導体を含むとともに加熱層11,12の上にシート状に配置される複数のロービングRと、加熱層10,11,12をエネルギー供給機構E10,E11,E12に接続する電気接続機構11a,11b,12a,12bとを有する。複数のロービングRは、少なくとも1つのロービングRの帯Bを形成していてもよい。この場合、少なくとも1つのロービングRの帯Bは、加熱層10,11,12の上にシート状に配置される。ロービングRの導体は炭素導体であってもよいし、炭素導体を含んでいてもよい。この場合、少なくとも1つのロービングRの帯Bは、加熱層10,11,12の上にシート状に配置される。各ロービングRは、互いに平行に延び、少なくともいくつかの区域においてはロービングRの長手方向に延びる炭素フィラメントを有する。
【0213】
この構成において、少なくとも1つの電熱式加熱層10,11,12内において、ロービングRが曲折して延びるよう加熱層を構成してもよい。この場合、厚さ方向を基準として、電熱式加熱層10,11,12は、少なくとも1つのロービングRの帯Bの層を含んでいてもよい。
【0214】
電熱式加熱層10,11,12は、炭素導体に加えて金属導体を含んでいてもよい。
本発明による加熱層をそれぞれ複数有する2つの配置構造が配置される、飛行機の前縁フラップを図10に示す。図9に示す本発明の一実施形態は、基体コンポーネント3及び、気流にさらされる外面105aを有するシェルコンポーネント5を有する飛行機の構造コンポーネント1、及び内側領域107を有する。図10に示す構造コンポーネント1は、飛行機の前縁フラップである。飛行機の構造コンポーネント1は、飛行時に飛行機の周りを流れる気流に対向するよう配向される表面を有する。構造コンポーネントは、翼の前縁、水平尾翼の前縁、又は、翼の前縁フラップの前縁であってよい。構造コンポーネントは、気流にさらされる外側に外側シェルすなわちシェルコンポーネント5を有し、外面105aの反対側に内面105bを有する。
【0215】
本発明の一実施形態においては、高温計又は放射温度計100が、温度測定機構として構造コンポーネント1の内側領域107に配置される。高温計100は、サーモグラフィカメラであってもよい。
【0216】
放射受容器が、シェルコンポーネントの内面105bが発する熱放射を受ける。熱放射は、内面105bの温度に左右される。放射受容器は、熱放射に基づいて、シェルコンポーネント105の内面105bの温度を求めるためのセンサ値を生成する。高温計100に対向する、シェルコンポーネント105の内面105bが高温計100の放射受容器よりも冷たい場合、放射の流れは負となり、高温計100の放射受容器が内面105bに対して熱を放射する。そして、逆の場合も同様である。シェルコンポーネント105の内面105bの温度の算出は、内面105bの放射率、つまり内面105bが熱を放射する強度に基づいて行うことができる。
【0217】
高温計100は、シェルコンポーネント105の内面105bから放射される熱放射を測定するためにシェルコンポーネント105の内面105bの方向に配向されるため、シェルコンポーネント105の温度を求めることができる。高温計100は、基体コンポーネント103上に、内面105bから適切な距離を離間して配置される。基体コンポーネント103は、構造コンポーネント1の一部として形成してもよいし、構造コンポーネント1に配置される追加的コンポーネントとして形成してもよい。また、基体コンポーネント103は、高温計100が、内面105b又は内面105bのある領域に対して適宜な位置及び配向にて配置されるよう構成される。さらに、高温計100の配向及び位置が調節可能であるように、高温計100を基体コンポーネントに配置してもよい。「配向」という用語は、内面105bを基準とした高温計100の回転位置を指す。
【0218】
温度測定機構は、高温計100が求めたセンサ値から温度値を算出するセンサ値処理機構を有する。センサ値処理機構は、単一の線により高温計100に対して機能的に接続されており、高温計100から遠隔して配置可能である。例えば、センサ値処理機構は、飛行制御機構に組み込んでもよい。
【0219】
センサ値処理機構は、少なくとも1つの比較値と温度値を比較し、限界値に到達した場合や到達しなかった場合にシステム機能の信号を送る。限界値は、例えば、シェルコンポーネント105の外面105aにおいて氷結が可能又は発生しやすい温度であると定義された低い温度値に設定することができる。
【0220】
上記構成に加えて、もしくは上記構成の代わりに、外面105aの氷結の可能性を判断するために、センサ値処理機構に監視機能を持たせてもよい。この監視機能は、外気温、飛行姿勢、外気圧等に関連するデータ等の大気データを受け取り、センサ値を用いて、氷結の可能性に関する可能性限界値を算出する。この実施形態においては、センサ値処理機構が比較機能を有する。この比較機能は、算出された氷結可能性値と設定された氷結可能性値を比較し、氷結可能性値の最大許容値を特定する。そして、設定された氷結可能性値を超えた場合、信号値を警告信号として飛行制御システムやコックピットディスプレイ等のシステム機能に送信する。コックピットディスプレイは、飛行状態を変更するよう操縦士に通知できるように構成することができる。飛行状態の変更の例としては、シェルコンポーネント105上の氷結を防ぐための飛行高度の減少が挙げられる。
【0221】
シェルコンポーネント105には、シェルコンポーネント105の氷結を防ぐために加熱機構が配置される。システム機能は、シェルコンポーネント105の氷結の所定の可能性値に対応する限界値が超えられたときに加熱機構を動作させるよう構成することができる。
【0222】
図11に本発明の一実施形態による飛行機の構造コンポーネント又はコンポーネントを示す。このコンポーネントは、翼の前縁フラップの前面である。このコンポーネントは、ほとんど形状を変えることなく、主翼、水平安定器、フラップ、垂直安定器、空気力学部品等の前面に適用可能である。コンポーネントの表面には複数の電熱式加熱層が配置される。この加熱層は、エネルギー供給機構(図示しない)からの制御に基づいて熱を発生することにより、コンポーネント表面の氷結を防止する。加熱層の数及び寸法、コンポーネント1における加熱層の配置、ならびに、加熱層及びエネルギー供給機構の電気的構成は、適用様態に応じて適宜調整される。通常の場合、少なくとも1つの加熱層がコンポーネントの表面に配置される。
【0223】
図11に示す実施形態においては、基部加熱層101又は102、及び基部加熱層101又は102の内側に配置される複数の付加的な加熱層111,112又は121,122をそれぞれ有する2つの加熱層構造H1,H2が、コンポーネント1又は基体4の表面103に配置される。この実施形態においては、コンポーネント1は前縁フラップ1のシェルコンポーネント4である。
【0224】
基部加熱層101又は102、及び付加的な加熱層111,112又は121,122は、基部加熱層が第1及び第2の付加的な加熱層を囲むようにシート状に配置される。加熱層は、本発明の実施形態により構成される。基部加熱層は、例えば2つのくぼみを有し、第1のくぼみには第1の付加的な加熱層111又は121が配置され、第2のくぼみには第2の付加的な加熱層112又は122が配置される。各加熱層には、エネルギー供給機構から電流が供給される。加熱層を有する基部加熱層101は、電線により電気接続機構を介してエネルギー供給機構に接続される。さらに、2つの付加的な加熱層111,112もそれぞれ電気接続機構を介してエネルギー供給機構に接続される。基部加熱層110、及び基部加熱層110の内側に配置される2つの付加的な加熱層111,112は様々な機能においてエネルギー供給機構から電流を供給され、この電流の供給に基づいて加熱層110,111,112が、加熱層110,111,112が配置されるコンポーネントに対して熱を発生することができる。
【0225】
エネルギー供給機構は、作動段階において、基部加熱層110,120の加熱機構に対して継続的に電流が供給され、第1の付加的な加熱層111,121及び第2の付加的な加熱層112,122に対しては所定の様態にて交互に電流が供給されるように構成してもよい。これにより、第1の付加的な加熱層111,121及び第2の付加的な加熱層112,122は時間的に交互に熱を発生する。第1の補助加熱体11及び第2の補助加熱体12に対して時間的に交互に電流を供給することにより、これらの加熱体が交互に加熱される。このため、基部加熱層110,120全体の加熱を、エネルギー効率良く行うことができる。
【0226】
加熱機構110,120は1つのみの付加的な加熱層を有していてもよく、この付加的な加熱層は基部加熱層の内側に配置してもよいし、外側に配置してもよい。このような実施形態においては、加熱システム全体の加熱段階を制御する機能は以下のように構成可能である。
【0227】
・加熱システムの加熱段階において、基部加熱層110,120を加熱するために、基部加熱層110,120に対して、継続的に電流を供給する。さらに、例えば、ほぼ一定の強度にて(基準値の10%以内の帯域幅にて)供給する。
【0228】
・同一の加熱段階において、第1の期間においては基部加熱層110を流れる電流よりも強い電流が付加的な加熱層を流れ、第1の期間は第2の期間と交互に発生し、第2の期間においては、付加的な加熱層には電流が流れないか、もしくは付加的な加熱層に流れる電流は基部加熱層に流れる電流よりも低い。
【0229】
加熱システムの付加的な加熱層は、時間的に交互するよう制御してもよいし、交互に熱を発生するように互いに補完するよう制御してもよい。
上記構成により、飛行機コンポーネントの表面をエネルギー効率良く加熱することができる。
【0230】
付加的な加熱層を配置することなく、1つの基部加熱層又は複数の基部加熱層のみをコンポーネントに配置してもよい。
シェルコンポーネント105は、例えば、繊維強化材料(FRM)又は繊維強化プラスチック(FRP)を含んでいてもよい。本発明の一実施形態による加熱層は非導電性層に配置され、加熱層はシェルコンポーネントの他の部分から絶縁される。
【0231】
コンポーネントに配置される少なくとも1つの加熱層が炭素材料を含み、電気接続機構により電気的に接続され、電圧が印加されたときに電流が流れてコンポーネントが加熱される。少なくとも1つの加熱層が、所定の構造及び密度を有する導電性ロービングRを含んでいてもよいし、ロービングの束、合成物、又は帯を含んでいてもよい。
【0232】
「ロービング」という用語は、継ぎ目のない炭素フィラメントの束、もしくは回転してない状態及び/又は延伸していない状態にてロービングの中に収められた導電性ケーブルの束を表す。ケーブルは、繊維に覆われた金属導体等の電気導体であってよい。導電性フィラメントは、炭素フィラメント、炭素繊維、金属合金、ガラス繊維のいずれかもしくは複数から形成可能であり、金属コーティングが施されていてもよい。また、ロービングは、繊維、例えば炭素繊維からのみ形成されていてもよい。ロービングはマトリクス材料を有していてもよいし、有していなくてもよい。この場合、継ぎ目の無いロービング、糸、捻れた糸、ひも、編地、織り布、縄等をロービングに使用することができる。本発明による方法において使用するために、これらの継ぎ目の無いロービングはリール又は筒に巻かれて、本発明の方法に適した長さにてリール又は筒から巻き出される。
【0233】
加熱層の形成において、ロービングは、独立したロービングとして形成してもよいし、少なくとも1つの複合構造として形成してもよい。もしくは、ロービングの少なくとも1つの帯として形成してもよい。この場合、「ロービングの帯」という用語は、長手方向に隣り合わせに配置されたロービングの配置構造を指し、加熱層の厚さ方向を基準としてこのようなロービングをみると、別の区域の上に位置する区域が存在しない。「複合構造」という用語は、長手方向に隣り合わせに配置されるか、別の区域の上に配置されたロービングの配置構造を指す。このようなロービングにおいては、加熱層の厚さ方向を基準として、その長手方向区域の少なくとも1区域が別の区域の上に配置されている。
【0234】
ロービングの長手方向に位置するロービングの末端片に、導電性の接続片を接続してもよい。接続片により電線Lが相互接続されて、エネルギー供給機構に接続される。エネルギー供給機構の制御機能により、電流が所定の電流強度にて所定の期間ロービングを流れ、これによりロービングが加熱されることにより、ロービングが配置されているコンポーネントが加熱される。コンポーネントの厚さ方向を基準として、複数のロービングを互いに重なりあうように配置可能であり、このようなロービングは互いに平行であってもよいし、互いに反対の方向に配向されていてもよい。
【0235】
ロービング、もしくは少なくとも1つのロービングの束又は帯は、互いに平行して振動状態に配置可能である。コンポーネントの厚さ方向を基準として、複数のロービングを互いの上に配置してもよい。このようなロービングは互いに平行していてもよいし、互いに反対の方向に配向されていてもよい。ロービング、もしくは少なくとも1つのロービングの束又は帯が配置されて加熱システムの加熱層が形成される別の様態も、適用様態に応じて形成することができる。
【0236】
上記の構成を有する少なくとも1つの加熱システムをコンポーネント1に配置することにより、センサ値処理機構に機能的に連結されたシステム機能が、制御機能として、シェルコンポーネント105の所定領域の温度を制御できる。この領域は高温計100により求められる。この場合、システム機能は、高温計100のセンサ値から求められた温度値をセンサ値処理機構から受け取り、この温度値が制御変数として、基準値又は基準温度と比較される。この基準値又は基準温度は、シェルコンポーネント105上に氷結が発生する温度より高い温度、もしくは、氷結が防止できる温度である。制御機構はセンサ値処理機構と機能的に接続され、高温計100のセンサ値から求められた温度値を、入力変数としてセンサ値処理機構から受け取る。
【0237】
さらに、制御機能は、少なくとも1つの加熱層が加熱されるようにエネルギー供給機構を制御する。この制御においては、各加熱層又はシェルコンポーネントの領域の温度が可能な限り設定温度を超えないように制御される。この領域は高温計100により求められる。したがって、設定温度を基準として、制御機能はシェルコンポーネント105の領域に関する指令信号を発する。この領域は、高温計100により求められる。この指令信号は各エネルギー供給機構に送られ、エネルギー供給機構が対応する方法にて少なくとも1つの加熱層に電流を流す。加熱層が複数ある場合は、シェルコンポーネント105の領域の温度を制御するために、複数の加熱層を制御することも可能である。この領域は高温計100により求められる。
【0238】
上記の実施形態による少なくとも1つの加熱層を使用することにより、加熱機構が作動開始し、シェルコンポーネント5の氷結可能性値に対応する限界値が超超えられた場合、システム機能が警告信号を発するようにシステム機能を構成することができる。加熱機構は、複数の加熱レベル、すなわち複数のレベルの加熱出力を生成可能であるよう構成できる。この場合、最大加熱出力が生成される、加熱機構の最も高い加熱レベルにて加熱機構が動作しているときに、シェルコンポーネント5の氷結の可能性値に対応する限界値が超えられた場合に警告信号を発するように構成できる。この警告信号は飛行案内ディスプレイに送信される。飛行案内ディスプレイは、飛行指示機構等において操縦士に対する指示を発する。この指示により飛行機を、翼上の氷結を防止できる飛行状態になすことができる。上記構成に加えて、もしくは上記構成の代わりに、警告信号を、制御機能を有する制御機構に送信することにより、飛行機を、翼上の氷結を防止できる飛行状態になしてもよい。
【0239】
警告信号が、電熱式加熱体の不具合により発せられる場合もある。このため、本発明の一実施形態においては、監視機能が、電熱式加熱体に不具合が発生している間の大気状況により飛行機が危険な状態あるか否かを判定する。判定機構においては、飛行高度及び測定された大気温度が使用可能である。氷結可能性値が限界値を越えて飛行機が危険な状態にあると判定機能により示された場合、警告信号が、飛行制御システム又はコックピットディスプレイに送信される。コックピットディスプレイは操縦士に対して指示を表示し、これにより操縦時が飛行機を安全な状態にもたらすことができる。この場合は、例えば飛行状態の変更が必要である旨が表示され、例えば、翼上の氷結を防ぐために飛行高度を下げる必要がある旨の表示がなされる。上記構成に加えて、もしくは上記構成の代わりに、これらの対策を自動で行う自動制御機能を設けてもよい。
【0240】
高温計100は、スペクトルの全範囲にわたって測定面の放射を求める全放射高温計であってもよいし、高温計のレンズ、ウィンドウ、放射センサが限られた波長帯のみに対して作動する、帯域放射高温計であってもよい。
【0241】
高温計100は、指数高温計、比率高温計、又は二色高温計であってもよい。二色高温計は2つの異なる色の純度比率を求めるため、内面105bの温度は、放射の輝度ではなく放射の色に基づいて求められる。所定の放出係数を有するコーティング又は材料を構造コンポーネントの内面に施してもよい。温度測定値は、このコーティング又は材料に強く影響される。もしくは、表面の放出係数を求めてもよい。このような場合、求めた測定値を検証する検証機能において、この放出係数が考慮される。さらに検証機能は、反射により構造コンポーネント内部の測定温度値に影響を与える他の熱放射物を考慮に入れないように構成することもできる。又は、測定機構がそのような熱放射物の影響を取り除く、すなわち補償するよう構成してもよい。
【0242】
シェルコンポーネント105は、内面105bが著しく波長依存ではないように、もしくは少ない程度のみにて波長依存であるように構成してもよい。
内面105bの色を、氷結の可能性に対応する基準色又は比較値として求めてもよい。この場合、高温計に割り当てられた検証機能は比較機能を有していてもよい。この比較機能は、求められた内面105bの色と比較色とを比較し、基準色の数値が超えられた場合に信号を発する。このように構成することにより、内面105bの温度を特定する際に、内面105bの放射度を考慮する必要がないので、放射度の測定が不要であるという効果が得られる。測定する物質の放射度が著しく波長依存でない場合は、測定比率の形成において考慮する必要はない。
【0243】
本発明の一実施形態においては、高温計100が放射線スペクトルの小部分のみを検証する狭帯域高温計として構成される。この小部分とは、フィルタにより特定の帯域に限定された部分である。放射スペクトルは、シェルコンポーネント105上に氷結が発生し得る内面105bの温度の範囲を示すよう構成される。
【0244】
シェルコンポーネントの内面105bの氷結可能性に対応するセンサ値及び範囲は、例えば試験に基づいて定義してもよい。
さらに、高温計100の放射センサ又は検出器として、熱検出器(ボロメータ、焦電センサ、熱電素子を有するサーモパイル等)、光電検出器、又はフォトダイオードを用いてもよい。
【0245】
本発明の一実施形態においては、飛行機の構造コンポーネントが基体コンポーネント103及びシェルコンポーネント105を備える。構造コンポーネントは、気流にさらされる外面、及び内側領域107を有する。構造コンポーネントはさらに、シェルコンポーネントに配置された少なくとも1つの電熱式加熱体を有する。この加熱体は、加熱体に電気的に接続されるエネルギー供給機構により電流を供給される。加熱体が加熱されることによりシェルコンポーネント105が加熱され、シェルコンポーネント105の氷結が防止されるか、もしくはシェルコンポーネント105の除氷が行われる。さらに、構造コンポーネント1の内側領域107において基体コンポーネント103に高温計100が配置され、シェルコンポーネント105の方向に配向される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエネルギー供給機構(E10,E11,E12)を有する加熱システム(S)を備える構造コンポーネントであって、該加熱システム(S)は、
絶縁層を備える基部加熱機構と、同基部加熱機構は、これに載置される電熱式の基部加熱層(10)及び電気接続機構(A10−1,A10−2)を備えることと、該電熱式の基部加熱層(10)は、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなることと、該少なくとも1つのエネルギー供給機構(E10,E11,E12)は、電気接続機構(A10−1,A10−2)により電熱式の基部加熱層(10)に接続されることと、各例において、各ロービングの両端は電気接続機構の電極に接続されることと、
絶縁層を備える付加的な加熱機構と、同加熱機構は、これに載置される付加的な電熱式の加熱層(11)、及び電気接続機構(A11−1,A12−2)を備えることと、付加的な加熱層(11)は、ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなることと、該エネルギー供給機構(E10,E11,E12)は、電気接続機構(A11−1,A12−2)により付加的な加熱層(11)に接続されることと、
機能的に凝集加熱効果を生じさせるべく、基部加熱機構及び付加的な加熱機構は、空間的に相互に対して位置され、この配置において、エネルギー供給機構(E10,E11,E12)は、作動段階において、電流が少なくとも部分的な時間付加的な加熱層(11)に供給され、付加的な加熱層の領域の構造コンポーネントを所定の温度まで加熱し、かつ作動位相上、及び作動位相を超えて、電流が継続的に基部加熱層(10)に供給され、基部加熱層(10)が継続的に熱を生じさせるが、付加的な加熱層(11)は、部分的な時間、熱を生じさせるように設計されることとを特長とする構造コンポーネント。
【請求項2】
前記エネルギー供給機構(E10,E11,E12)は、加熱位相における第1の時間において基部加熱層(10)を通過して流れる電流の強度より50%高い強度にて電流が付加的な加熱層(11)を流れ、加熱位相における各第1の時間に続く第2の時間において基部加熱層(10)を通過して流れる電流の強度より50%低い強度にて電流が付加的な加熱層(11)を流れるように設計されることを特徴とする請求項1に記載の構造コンポーネント(1)。
【請求項3】
前記加熱システム(1)は、絶縁層からなるさらなる付加的な加熱機構と、同加熱機構に位置されるさらなる電熱式の付加的な加熱層(12)と、電気接続機構(A12−1,A12−2)とを備え、同電気接続機構によりエネルギー供給機構(E10,E11,E12)は、さらなる付加的な加熱層(12)に接続されることと、
加熱層の電流を制御するエネルギー供給機構(E10,E11,E12)の機構は、各例において付加的な加熱層を流れる電流に対して、各付加的な加熱層において、第1の時間及び第2の時間を交互に、異なる電流強度の加熱電流を生成することと、
各第1の加熱位相における電流強度は、各第2の加熱位相における電流強度よりはるかに高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の構造コンポーネント(1)。
【請求項4】
前記基部加熱層(10)のシート状拡張部に対する第1の電熱式の付加的な加熱層(11)及びさらなる電熱式の付加的な加熱層(12)は、基部加熱層(10)に設けられることを特徴とする請求項3に記載の構造コンポーネント。
【請求項5】
前記電熱式の付加的な加熱層(11,12)は、電気接続機構(11a,11b;12a,12b)によりエネルギー供給機構(E10,E11,E12)に接続されるロービング(R)の少なくとも1つの帯(B)を備えることと、該ロービング(R)は、炭素の導体からなることと、該ロービング(R)の少なくとも1つの帯は、シート状にて付加的な加熱層(11,12)を覆うように設けられることとを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の構造コンポーネント。
【請求項6】
前記電熱式の基部加熱層(10)は、電気接続機構(10a,10b)によりエネルギー供給機構(E10,E11,E12)に接続されるロービング(R)の少なくとも1つの帯(B)を備えることと、該ロービング(R)は、炭素の導体からなることと、該ロービング(R)の少なくとも1つの帯は、シート状にて基部加熱層(10)を覆うように設けられることとを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の構造コンポーネント。
【請求項7】
前記ロービング(R)は、ロービングにて相互に平行に延びる炭素フィラメントであって、少なくともその複数の区分においてロービングの長手方向に延びる炭素フィラメントからなることを特徴とする請求項5又は6に記載の構造コンポーネント。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電熱式の付加的な加熱層(11,12)は、ロービング(R)の少なくとも1つの帯(B)からなることと、同帯(B)は、電気接続機構によりエネルギー供給機構(E10,E11,E12)に接続され、各加熱層(10,11,12)内にて曲折して延びることとを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の構造コンポーネント。
【請求項9】
前記第1の内側加熱層(11)及び第2の内側加熱層(12)のうち少なくともいずれか一方の加熱領域は、各加熱領域の厚み方向にて、ロービング(R)の少なくとも1つの帯(B)の層からなることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の構造コンポーネント。
【請求項10】
前記電熱式の加熱層は、金属導体からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の構造コンポーネント。
【請求項11】
少なくとも1つの電熱式の加熱層(10,11,12)と、
加熱層(10,11,12)を加熱すべく負荷電圧を印可する負荷電圧供給機構を備えるエネルギー供給機構(E10,E11,E12)と、該負荷電圧供給機構は、電気接続機構(A10−1,A10−2;A11−1,A11−2;A12−1,A12−2)により加熱層(10,11,12)に接続されることと、該エネルギー供給機構(E10,E11,E12)は、加熱層(10,11,12)を加熱する電圧より低い測定電圧を供給する測定電圧供給機構を備えることと、同測定電圧供給機構は、電気接続機構(A10−1,A10−2;A11−1,A11−2;A12−1,A12−2)により加熱層(10,11,12)に接続されることと、
負荷電圧供給機構と測定電圧供給機構とに連結される制御機構と、同制御機構は、負荷電圧供給機構と測定電圧供給機構とを制御し、負荷電圧及び測定電圧を生じさせることと、制御機構は、制御機構を有し、これにより、負荷電圧は、ゼロに低減され、続いて測定電圧が印可されることと、これにより、加熱層(10,11,12)を加熱する負荷電圧と、加熱層(10,11,12)の抵抗値を測定する測定電圧とが交互に印可されることと、
測定された電流強度に基づき加熱層(10,11,12)の電気的抵抗を測定する判定機構とを備える加熱システム(S,S10,S11,S12)であって、
該電熱式の加熱層(11,12)は、炭素導体からなるロービング(R)の少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯からなり、各例において、電気接続機構(11a,11b;12a,12b)によりエネルギー供給機構(E10,E11,E12)に接続されることと、該ロービング(R)の少なくとも1つの帯(B)は、加熱層(11,12)を覆うようにシート状にて配置されることと、各例において、ロービングのそれぞれの両端は、電気接続機構の電極に接続されることとを特長とする加熱システム(S,S10,S11,S12)。
【請求項12】
前記ロービング(R)の少なくとも1つの束の又は複合構造体又は帯は、曲折して延びることを特徴とする請求項1に記載の加熱システム(S,S10,S11,S12)。
【請求項13】
少なくとも1つの電熱式の加熱層(10,11,12)と、
加熱層(10,11,12)を加熱すべく負荷電圧を印可する負荷電圧供給機構からなるエネルギー供給機構(E10,E11,E12)とを備え、該負荷電圧供給機構は電気接続機構(A10−1,A10−2;A11−1,A11−2;A12−1,A12−2)によって加熱層(10,11,12)に接続される加熱システム(S,S10,S11,S12)であって、
該電熱式の加熱層(11,12)は、炭素導体からなるロービング(R)の少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯を備え、同少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯は、電気接続機構(11a,11b;12a,12b)によってエネルギー供給機構(E10,E11,E12)に接続されることと、各例において、各ロービングの両端は、電気接続機構の電極に接続され、これにより各ロービングは、電気接続機構の2つの電極間を延びることと、各例において、ロービング(R)の少なくとも1つの帯(B)は、付加的な加熱層(11,12)を覆うようにシート状にて配置されることと、
該少なくとも1つの電熱式の加熱層(10,11,12)に、加熱層(10,11,12)と一体的に形成される電気測定線が設けられることと、
該エネルギー供給機構(E10,E11,E12)は、測定線接続部により電気測定線に接続され、測定電圧を印可する測定電圧供給機構を備えることと、
該測定機構は、測定線において電流強度を測定すべく設けられることと、該電流強度は測定電圧によって生じることと、
該測定機構は、温度値をシェルコンポーネント(5)の氷結の可能性に対応する少なくとも1つの比較値と比較し、制限値に到達するか超えたときにシステム機構に信号値を送信する比較機構を有するセンサ値処理機構に機能的に接続されることとを特長とする加熱システム(S,S10,S11,S12)。
【請求項14】
前記測定線は、ロービングの少なくとも1つの束の、又は複合構造体からなることを特徴とする請求項13に記載の加熱システム(S,S10,S11,S12)。
【請求項15】
前記システム機構は、シェルコンポ―ネントにおける氷結の可能性に対応する制限値を超えた場合に加熱層(10,11,12)の加熱を停止するように設計されることを特徴とする請求項13又は14に記載の加熱システム(S,S10,S11,S12)。
【請求項16】
ロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯のうちの1つからなる電熱式の加熱層の整合性を監視する方法において、少なくとも1つの加熱層(10,11,12)に加熱層(10,11,12)と一体的に形成される電気測定線が設けられる方法であって、
負荷電圧を印可する工程において、負荷電圧を印可した後に所定の時間経過後に、検知される温度値として加熱層の負荷電流を測定する工程と、
続いて測定線に印可される所定の測定電圧に基づき実際の温度値として測定線の測定電流を測定する工程と、
検知される温度値と、実際の温度値とを比較する工程において、これらの温度値に最小量だけ差異がある場合にエラー状態を加熱層に割り当てる比較工程とを含む加熱層の整合性監視方法。
【請求項17】
前記ロービングの少なくとも1つの束又は1つの複合構造体又は1つの帯は、測定線として使用されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ロービング間に位置される個別の測定線は、測定線として使用されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記温度に関する値の差を決定すべく第1の最小値及び第2の最小値が予め定められることと、第1の最小値は第2の最小値より小さいことと、第1のエラー状態は、該温度に関する値の差が第1の最小値及び第2の最小値の範囲にある場合に加熱層に割り当てられることと、第2のエラー状態は、該温度に関する値の差が第2の最小値を超えた場合に加熱層に割り当てられることとを特徴とする請求項16乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のエラー状態の割り当てに基づき加熱層は、不完全であると考えられ、付加電圧を印可する各機構は、該加熱層が操作されないように構成されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つの電熱式の加熱層(10,11,12)と一体的に形成される構造コンポーネントと、
加熱層(10,11,12)を加熱すべく負荷電圧を印可する負荷電圧供給機構からなるエネルギー供給機構(E10,E11,E12)とを備え、該負荷電圧供給機構は電気接続機構(A10−1,A10−2;A11−1,A11−2;A12−1,A12−2)によって加熱層(10,11,12)に接続される加熱システム(S,S10,S11,S12)であって、
該少なくとも1つの電熱式の加熱層(10,11,12)に、加熱層(10,11,12)と一体的に形成される電気測定線が設けられることと、
該電熱式の加熱層(11,12)は、炭素導体からなるロービング(R)の少なくとも1つの帯(B)を備えることと、該帯(B)は、電気接続機構(11a,11b;12a,12b)によってエネルギー供給機構に接続されることと、各例において、各ロービングの両端は、電気接続機構の電極に接続され、これにより各ロービングは、電気接続機構の2つの電極間を延びることと、各例において、ロービング(R)の少なくとも1つの帯(B)は、付加的な加熱層(11,12)を覆うようにシート状にて配置されることと、
該エネルギー供給機構(E10,E11,E12)は、測定線接続部によって電気測定線に接続され測定電圧を生成する負荷電圧供給機構を含むことと、
測定機構は、測定線において電流強度を測定すべく設けられることと、該電流強度は測定電圧によって生じることと、
該測定機構は、加熱層(10,11,12)の整合性を検知すべく負荷電圧を印可する検知機構に機能的に接続され、負荷電圧の印可に続く所定の時間経過後に温度値として検知される加熱層の負荷電流を測定し、続いて実際の温度値として該測定線に印可される所定の測定電圧に基づき測定線の測定電流を測定し、続いて検知された温度値を実際の温度値と比較することと、これらの温度値に最小量だけ差異がある場合にエラー状態を加熱層に割り当てることとを特長とする加熱システム(S,S10,S11,S12)。
【請求項22】
少なくとも1つの加熱層が上に設けられる立体コンポーネントの製造に使用される半完成のコンポーネントを形成する方法であって、
ロービング形成工程(S2)において、設けられる各加熱層によって所定の加熱電圧にて実施される領域所定の加熱出力(S2,S3,S4)から開始して、最小エネルギー消費を特徴とする加熱層を形成すべくロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯の幾何学的配置及び配向のうち少なくともいずれか一方を決定する工程と、
ロービングの少なくとも1つの束又は帯の配置及び配向により、ロービング決定工程(S5)の後に、導電性材料からなる半完成の基体コンポーネントに導電性ロービングを順に一枚ずつ塗布し、平坦に固定し、半完成の基体コンポーネントにロービング(S6b)を固定する工程(S6)と、
半完成品をロービング又はロービングの少なくとも1つの束又は複合構造体又は帯に固定する工程とを含むことを特長とする半完成のコンポーネントの形成方法。
【請求項23】
加熱層を形成すべくロービングの少なくとも1つの束又は1つの複合構造体又は帯の幾何学的配置及び配向のうち少なくともいずれか一方の決定は、加熱層の所定の幾何学的境界の配向から開始して行われることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
加熱層を形成すべくロービングの少なくとも1つの束又は1つの複合構造体又は帯の幾何学的配置及び配向のうち少なくともいずれか一方の決定は、所定の幾何学的境界の配向にてロービングの構造体及び配向のうち少なくともいずれか一方の所定の群から選択されることを特徴とする請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
加熱層におけるロービングの曲折した配向及び円形の配向のうち少なくともいずれか一方は、所定の群のロービングの配向の一部を形成することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
加熱層を形成すべく前記ロービングの少なくとも1つの束又は1つの複合構造体又は1つの帯の幾何学的配置及び配向のうち少なくともいずれか一方は、予め定められることと、そこから開始し、ロービングの数、ロービングの寸法、及び、ロービング間の距離のうち少なくとも1つが決定されることとを特徴とする請求項22乃至25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ロービング(S6b)の半完成の基体コンポーネント(S6)への固定は、半完成の基体コンポーネント(S6)にて縫合、縫い取り法、又は接着方法により行われることを特徴とする請求項22乃至26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ロービング(S6b)は、乾燥した材料又はプリプレグ材料として適用されることを特徴とする請求項22乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
航空機の構造コンポーネント(1)の領域の温度を決定する温度測定機構と、気流に暴露される外側表面を有するシェルコンポーネント(5)と、内側領域(7)と、基体コンポーネント(3)とを備える航空機の構造コンポーネント(1)であって、
該温度測定機構は、
構造コンポーネント(1)の基体コンポーネント(3)に位置される高温計(10)と、同高温計(10)は、シェルコンポーネント(5)の表面における領域に配向されることと、該表面は、高温計(10)に面することと、該高温計(10)は、熱放射に基づきセンサ値を生成する放射線センサを備えることと、
該放射線センサにより検知されるセンサ値から温度値を決定するセンサ値処理機構とを備えることを特徴とする航空機の構造コンポーネント(1)。
【請求項30】
請求項29に記載の温度測定機構を備える航空機の構造コンポーネント(1)であって、前記センサ値処理機構は、シェルコンポーネント(5)における氷結の可能性に対応する少なくとも1つの比較値と温度値を比較する比較機構を備えることと、制限値に到達又は制限値を超過した場合にシステム機構に信号値を送信することとを特徴とする航空機の構造コンポーネント(1)。
【請求項31】
請求項29又は30に記載の温度測定機構を備える航空機の構造コンポーネント(1)であって、シェルコンポーネント(5)における氷結を防止すべく加熱機構がシェルコンポーネント(5)に位置されることと、システム機構は、シェルコンポーネント(5)における氷結の可能性に対応する制限値が超過した場合に加熱機構をオンに切り換えるように設計されることを特徴とする航空機の構造コンポーネント(1)。
【請求項32】
請求項31に記載の温度測定機構を備える航空機の構造コンポーネント(1)であって、前記加熱機構は、様々な加熱レベルを生じさせることと、システム機構は、最大レベルの熱出力が生じてもっとも高い加熱レベルが操作可能となると同時にシェルコンポーネント(5)における氷結の可能性に対応する制限値を超えたときに警告信号を生成することとを特長とする航空機の構造コンポーネント(1)。
【請求項33】
請求項29乃至32のいずれか一項に記載の温度測定機構を備える航空機の構造コンポーネント(1)であって、氷結を防止すべくエネルギー供給機構によって加熱可能な少なくとも1つの加熱層がシェルコンポーネント(5)の表面に位置されることを特徴とする航空機の構造コンポーネント(1)。
【請求項34】
請求項33に記載の温度測定機構を備える航空機の構造コンポーネント(1)であって、シェルコンポーネント(5)の領域の温度を規制する規制機構が設けられることと、該領域は、高温計(10)によって覆われることと、該規制機構は、センサ値処理機構に機能的に接続され、センサ値処理機構から入力変数として温度値を受信することと、同温度値は、高温計(10)のセンサ値から決定されることと、シェルコンポーネント(5)の高温計(10)によって取得される領域の設定温度に基づき、規制機構は、エネルギー供給機構への指令信号を生成することとを特徴とする航空機の構造コンポーネント(1)。
【請求項35】
請求項29乃至34のいずれか一項に記載の温度測定機構を備える航空機の構造コンポーネント(1)であって、前記高温計(10)は、同高温計(10)の配向及び位置のうち少なくともいずれか一方が調整可能となるように基体コンポーネントに取り付けられることを特徴とする航空機の構造コンポーネント(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−514289(P2012−514289A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531395(P2011−531395)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007381
【国際公開番号】WO2010/049063
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(311014956)エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー (54)
【氏名又は名称原語表記】Airbus Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10,21129 Hamburg,Germany
【出願人】(510028615)
【Fターム(参考)】