説明

少なくとも1種のレチノイドおよび過酸化ベンゾイルを含むエマルジョン

本発明は、生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも1種のレチノイドおよび分散型過酸化ベンゾイルを含むエマルジョン形態の組成物、その調製方法、ならびにその化粧品としての使用および皮膚科学的使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも1種の分散型レチノイドおよび分散型過酸化ベンゾイルを含むエマルジョン形態の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの部類の有効成分を使用することは、特に皮膚疾患の治療でしばしば頼りにされる治療手段である。
【0003】
特に、アリルアミン誘導体、トリアゾールなどの様々な抗真菌薬、例えば抗生物質、キノリンおよびイミダゾールなどの抗細菌薬または抗微生物薬は、従来、皮膚病の治療で併用される。過酸化物、ビタミンDおよびレチノイドを、皮膚または粘膜に関連する様々な病状、特にざ瘡の局所的治療で使用することも知られている。
【0004】
いくつかの局所的治療薬(抗生物質、レチノイド、過酸化物、亜鉛)の組合せも、有効成分の有効性を強化してそれらの毒性を低下させるために、皮膚科学で使用される(Cunliffe W.J.、J. Dermatol. Treat.、2000年11月(suppl.2)、S13〜S14)。
【0005】
様々な皮膚科用製品を多数適用することは、患者にとって相当に煩わしく手のかかるものとなり得る。
【0006】
したがって、単一の適用を可能にし、患者にとって好ましい使用を可能にする、良好な化粧品としての品質をもたらす安定な組成物中で皮膚障害に関して有効な新規の治療薬を得ようとする試みに対する関心は、理解される。
【0007】
当業者に提供されるこの範囲の治療法の中には、過酸化ベンゾイルとレチノイドを同じ組成物中で組み合わせるように当業者を促すと思われる治療法はない。
【0008】
しかし、そのような組成物の配合は、いくつかの問題を提起する。
【0009】
まず第1に、過酸化ベンゾイルの有効性は、それを皮膚と接触させたときのその分解に関連する。これは、この分解の間に生成する遊離基の酸化特性が所望の効果をもたらすためである。したがって、過酸化ベンゾイルが最適な有効性を維持するために、それが使用前、すなわち貯蔵の間に分解しないようにすることが重要である。
【0010】
実際は、過酸化ベンゾイルは、不安定な化合物であり、それを最終製品中に配合することは困難である。
【0011】
過酸化ベンゾイルの溶解性および安定性は、Chellquistらによって、エタノール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール400(PEG 400)と水との様々な混合物中で調べられてきた(Chellquist E.M.およびGorman W.G.、Pharm Res.、1992年、Vol. 9、1341〜1346頁)。
【0012】
過酸化ベンゾイルは、以下の表で示すとおり、PEG 400およびエタノール中で特に可溶性である。
【0013】
【表1】

【0014】
この文書は、過酸化ベンゾイルの安定性が、配合物の化学組成および貯蔵温度によって強く影響されることをさらに明示している。過酸化ベンゾイルは、その過酸化結合の不安定性のために非常に反応性があり、低温の溶液中で分解する。
【0015】
したがって、著者らは、溶液中の過酸化ベンゾイルが、溶媒の種類およびその濃度に従って調べた全ての溶媒中で、多かれ少なかれ急速に分解することを見出している。
【0016】
PEG 400(0.5mg/g)、エタノールおよびプロピレングリコール中の過酸化ベンゾイルの分解時間は、それぞれ40℃で1.4、29および53日である。
【0017】
そのような分解では、販売用の製品の調製は不可能である。
【0018】
さらに、過酸化ベンゾイルは、懸濁状態(すなわち、分散形態)であるときに、水およびプロピレングリコール中でより安定であることが知られており、それは、過酸化ベンゾイルがこれらの溶媒中での90日間の貯蔵後に分解されないためである。
【0019】
したがって、溶液中の過酸化ベンゾイルの急速な不安定性の問題を限定するために、過酸化ベンゾイルを分散形態で配合することが有利であることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】US4,666,941
【特許文献2】US4,581,380
【特許文献3】EP0210929
【特許文献4】EP0232199
【特許文献5】EP0260162
【特許文献6】EP0292348
【特許文献7】EP0325540
【特許文献8】EP0359621
【特許文献9】EP0409728
【特許文献10】EP0409740
【特許文献11】EP0552282
【特許文献12】EP0584191
【特許文献13】EP0514264
【特許文献14】EP0514269
【特許文献15】EP0661260
【特許文献16】EP0661258
【特許文献17】EP0658553
【特許文献18】EP0679628
【特許文献19】EP0679631
【特許文献20】EP0679630
【特許文献21】EP0708100
【特許文献22】EP0709382
【特許文献23】EP0722928
【特許文献24】EP0728739
【特許文献25】EP0732328
【特許文献26】EP0749937
【特許文献27】EP0776885
【特許文献28】EP0776881
【特許文献29】EP0823903
【特許文献30】EP0832057
【特許文献31】EP0832081
【特許文献32】EP0816352
【特許文献33】EP0826657
【特許文献34】EP0874626
【特許文献35】EP0934295
【特許文献36】EP0915823
【特許文献37】EP0882033
【特許文献38】EP0850909
【特許文献39】EP0879814
【特許文献40】EP0952974
【特許文献41】EP0905118
【特許文献42】EP0947496
【特許文献43】W098/56783
【特許文献44】W099/10322
【特許文献45】W099/50239
【特許文献46】W099/65872
【特許文献47】EP0199636
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Cunliffe W.J.、J. Dermatol. Treat.、2000年11月(suppl.2)、S13〜S14
【非特許文献2】Chellquist E.M.およびGorman W.G.、Pharm Res.、1992年、Vol. 9、1341〜1346頁
【非特許文献3】B. Martinら、Br. J Dermatol.、(1998年) 139、(suppl. 52)、8〜11頁
【非特許文献4】Bollinger、Journal of Pharmaceutical Science、1977年、vol. 5
【非特許文献5】Lucinda Bushe、ACPS、2003年10月22日、Pharmaceutical nomenclature-Issues and challenges
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかし、この種の配合物は、過酸化ベンゾイルが最終製品中で分解されていることが依然として見出される限り、完全には満足のいくものではない。
【0023】
過酸化ベンゾイルとレチノイドの両方を含む組成物の調製で克服すべき別の障害は、レチノイドの大多数が、自然酸化に、可視光および紫外線に特に感受性を示すこと、および過酸化ベンゾイルが強力な酸化剤であるために、同一の配合物中のこれらの化合物の化学的適合性が、物理的および化学的な観点から安定性に関する多数の問題を提起することである。
【0024】
一方がレチノイド(トレチノインまたはアダパレン)を含み、他方が過酸化ベンゾイルに基づく2種の市販製品を組み合わせることによって、2種のレチノイドについて安定性研究が実施された(B. Martinら、Br. J. Dermatol.、(1998年) 139、(suppl. 52)、8〜11頁)。
【0025】
過酸化ベンゾイルに基づく配合物の存在が、酸化感受性レチノイドの非常に急速な分解を引き起こす。トレチノインの50%は2時間で、95%は4時間で分解するものとして測定される。レチノイドがアダパレンである組成物中では、24時間の間にアダパレンの分解は測定されなかった。この研究は、過酸化ベンゾイルが分解され、最終製品中で安息香酸を徐々に放出することによって、経時的に酸化感受性レチノイドを分解することを裏付けている。
【0026】
実際は、過酸化ベンゾイルおよびレチノイドの分解は、それらがその中に存在する組成物の有効性に害を及ぼす限り、望ましくないことは明らかである。
【0027】
過酸化ベンゾイルの存在がこの種の組成物を化学的および物理的に不安定化させることが従来認識されていたことが知られているため、エマルジョン型の安定な組成物を得るために、これら2種の活性剤の併用を促すものはなかった。
【0028】
過酸化ベンゾイルおよびレチノイドの「軽い」エマルジョンとしての配合物は、皮膚の上に過度に脂ぎった感覚を残すことを特に避けるので、皮膚軟化作用に寄与しながら、ざ瘡の局所治療薬などの局所治療薬に有利である。
【0029】
「軽いエマルジョン」という用語は、脂肪相を低い割合で含み、水相を依然として主体とするエマルジョンを意味するものと理解される。
【0030】
「エマルジョン」という用語は、互いに不溶性または実質的に不溶性の2種の流体を含み、その中で流体の一方が他方の中で微細粒子として分散される液体系を意味するものと理解される。使用されるエマルジョンは、少なくとも1種の乳化剤、極性で親水性、好ましくは水性の相、および非極性の脂肪相を含むことが好ましい。それらは、「水中油」(O/W)または「油中水」(W/O)エマルジョンの形態で提供されることが好ましい。
【0031】
クリームは、水および油を含み、乳化剤によって安定化される配合物である。親油性クリームは、「油中水」(W/O)エマルジョンであり、親水性クリームは、「水中油」(O/W)エマルジョンとして知られている。W/Oクリームは、一般に、吸収性基剤(ワセリン、セレシン、ラノリンなど)を有する。O/Wクリームは、乳化剤として使用されるセッケン、アルキル硫酸塩またはアルキルポリシクロールのエーテルと共に、基剤として、脂肪酸のモノ、ジおよびトリグリセリドまたは脂肪アルコールを有する。
【0032】
各クリームは、その密封能によって、破損されたハイドロリピッド膜を再形成するか、または角質層を再水和し得る。それらは、保護的な洗浄剤または治療物質を輸送するための媒体としても作用し得る。
【0033】
実際は、アダパレンおよび過酸化ベンゾイルなどの特に分散有効成分を含むそのような組成物の調製で克服すべき別の障害は、有効成分の沈積である。そのような配合物の最終的な感触がエマルジョンの感覚およびその組成に明らかに関連している場合、軽いエマルジョンは、どちらかといえばO/W指向性となり、ワセリン、ワックスおよび鉱物油などの脂肪物質は、限定され、粘度が重要な役割を果たすことになろう。したがって、軽いエマルジョンは、好ましくは実際に噴霧さえ可能な流体となろう。より粘稠なエマルジョンの場合、水相中のゲル化剤を優先して、固体の脂肪アルコールおよびエステルなどの脂肪相増粘剤は、大幅に減少されよう。実際は、水相用のゲル化剤の大多数は、過酸化ベンゾイルの分解の間に放出される安息香酸によって不安定化される。
【0034】
具体的には、過酸化ベンゾイル入りのゲル配合物に最も一般に使用される増粘剤は、アクリル酸ポリマー(Carbomer)およびセルロースであり、単独で、またはケイ酸と組み合わせて使用される。
【0035】
実際は、水性ゲル型の組成物中でcarbomerを使用することは、過酸化ベンゾイルの化学的安定性の観点およびレオロジー的な観点から良好な結果をもたらさない。Bollinger(Bollinger、Journal of Pharmaceutical Science、1977年、vol. 5)によって記載されているように、40℃で2カ月後、使用したcarbomerの中和剤に応じて過酸化ベンゾイルの5〜20%の損失が観察された。
さらに、安息香酸の放出により、carbomerの脱重合が引き起こされ、相分離を引き起こし得る粘度の低下が生じる。
【0036】
過酸化ベンゾイルゲルのこの不安定性は、その有効性および化粧品としての品質に害を及ぼし、ゲルエマルジョン中で再び発生する可能性が高い。
【0037】
さらに、最終製品は、特に医薬組成物または化粧品組成物に関する場合、その医薬または化粧品としての品質の保証をそれぞれ可能にする、厳密な物理化学的基準を、その有効期間を通して維持しなければならない。この基準の中で、レオロジー的基準が保持される必要がある。それは、適用の間の組成物の挙動および質感を規定するが、有効成分がその中で分散状態で存在する場合、有効成分の放出の特性[SFSTP Commission report 1998]および該製品の均一性も規定する。
【0038】
したがって、過酸化ベンゾイルおよびレチノイドを含む、物理的および化学的に安定なクリームまたはローション型の流体エマルジョンを利用可能にする必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0039】
実際は、本出願会社は、特に単体または封入の形態の分散型過酸化ベンゾイル、少なくとも1種のレチノイド、少なくとも1種の乳化剤、ならびに、ゲル化する場合はpH非依存性ゲル化剤を含み、良好な物理的安定性を有する、すなわち、4℃と40℃の間の温度で経時的な粘度の低下を示さず、2種の有効成分(過酸化ベンゾイルおよびレチノイド)について良好な化学的安定性を維持する、すなわち、4℃と40℃の間の温度で有効成分の経時的な分解が観察されない、エマルジョン形態でこの必要性を満たす組成物を生成した。
【0040】
驚いたことに、本出願会社は、特定の調製方法に従うことによって、有効成分の完全な分散が達成可能であることも発見した。この調製方法は、該製品の物理的安定性を保証しながら、該組成物中の2種の有効成分の最適な粒径および均一な分散を達成することを可能にする。
【0041】
したがって、本発明は、生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも1種のレチノイドおよび過酸化ベンゾイルを含む、エマルジョン形態の組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
「生理学的に許容可能な媒体」という用語は、皮膚、体表成長物および/または粘膜への局所適用と適合性のある媒体を意味するものと理解される。
【0043】
本発明の組成物は、局所適用に通常使用される全ての剤形、特に、脂肪相の水相(O/W)中での分散によって得られる、乳液型の液体コンシステンシー(含浸ワイプ型の提供と特に適合性がある)もしくは半流動体コンシステンシーを有するエマルジョン形態、またはクリーム型の軟らかい半流動体もしくは半固体のコンシステンシーを有するエマルジョン形態で提供され得る。
【0044】
当業者は、本発明による組成物を構成している賦形剤を、望ましい剤形に応じて、本発明による組成物の有利な特性を尊重するように選択することに注意を払われよう。
【0045】
本出願会社は、
特に単体または封入の形態のレチノイドおよび過酸化ベンゾイルと、
少なくとも1種の親水相と、
少なくとも1種の脂肪相と、
少なくとも1種の乳化剤と
を含むエマルジョンを特に生成した。
【0046】
より具体的には、上で規定したような本発明による組成物の親水相は、水相である。
【0047】
本発明による組成物は、より具体的には、物理的および化学的に安定である。
【0048】
本発明による組成物は、少なくとも1種のレチノイド、過酸化ベンゾイルおよび少なくとも1種の乳化剤の他に、以下の成分のうちの1種または複数を特に含み得る。
a)1種または複数のゲル化剤および/または懸濁化剤および/またはpH非依存性ゲル化剤、
b)1種または複数のキレート剤、
c)1種または複数の浸潤剤、
d)脂肪相を含む1種または複数の親油性賦形剤、
e)水相、
f)1種または複数の添加剤。
【0049】
本発明による組成物は、水中油(O/W)エマルジョン形態であることが好ましい。
【0050】
この基本的な安定化を達成するために、2種の相間の表面張力を低下させる乳化剤が導入される。2種の相が、皮膚の生理学的要件に一致し、水溶性物質が油溶性物質のように一様に浸透することを可能にするため、エマルジョンは、皮膚科用製品および化粧品において重要な役割を有する。
【0051】
乳化剤の好ましい濃度は、該組成物の総重量に対して0.001と20重量%の間である。より好ましくは、その濃度は、該組成物の総重量に対して1と15重量%の間、好ましくは3と11重量%の間である。
【0052】
乳化剤は、油に対する親和性を有する疎水性の部分および水に対する親和性を有する親水性の部分を有する両親媒性の化合物であり、したがって、2種の相間に結合部を形成している。したがって、イオン性または非イオン性の乳化剤は、界面に吸着し、液晶のラメラ層を形成することによって、O/Wエマルジョンを安定化させる。
【0053】
非イオン性乳化剤の乳化能は、分子の極性に密接に関連する。この極性は、HLB(親水性/親油性バランス)によって規定される。
【0054】
高HLBは、親水性部分が主体であることを示し、反対に、低HLBは、親油性部分が主体であることを示す。例えば、約10より大きいHLB値は、親水性界面活性剤に相当する。
【0055】
乳化剤は、その構造に従って、「イオン性」(アニオン性、カチオン性、両性)または「非イオン性」という一般的名称で分類され得る。非イオン性乳化剤は、水中でイオンに解離しない乳化剤であり、したがって、pH変動に対して非感受性である。
【0056】
非イオン性乳化剤は、本発明の主題である、水中油型のエマルジョンの調製に特によく適している。したがって、本発明のエマルジョンの成分である乳化系は、親水性の主体的な部分を有する、すなわち、約10より大きい高HLB値を示す、少なくとも1種の非イオン性乳化剤を含む。
【0057】
高HLBを示す非イオン性乳化剤の非限定的例として、Tween 80(登録商標)(HLB=15)という品名で販売されているモノオレイン酸POE(20)ソルビタン、またはTween 60(登録商標)(HLB=14.9)という品名で販売されているモノステアリン酸POE(20)ソルビタンなどのソルビタンエステル、Brij 721(登録商標)という品名でUniqemaによって販売されているPOE(21)ステアリルエーテル(HLB=15.5)、またはCognisによってEumulgin B2(登録商標)(15.5のHLB)という品名で販売されているセテアレス(ceteareth)-20などの脂肪アルコールエーテル、Arlacel 165 FL(登録商標)(HLB=11)という品名でUniqemaによって販売されているステアリン酸グリセリルおよびステアリン酸PEG 100、またはTefose 1500(登録商標) (HLB=10)という品名でGateffosseによって販売されているステアリン酸PEG 6およびステアリン酸PEG 32などのポリオキシエチレングリコールエステル、または、glucamate SSE 20(登録商標)(HLB=15)という品名でAmercholによって販売されているセスキステアリン酸PEG 20メチルグルコース、およびGattefosseによって販売されている、Surfhope C-1216(登録商標)(HLB=16)という名前のラウリン酸スクロースとSurfhope C-1811(登録商標)(HLB=11)という名前のステアリン酸スクロースなどの高HLBの糖エステルが挙げられる。
【0058】
高HLBの前記非イオン性乳化剤は、10と18の間のHLBを示すことが好ましい。
【0059】
低HLBの非イオン性乳化剤(親油性乳化剤)の非限定的例として、Span 60という品名でUniqemaによって販売されているモノステアリン酸ソルビタン(HLB=4.7)などのソルビタンエステル、Cutina GMSVPH (HLB=3.8)という品名でCognisによって販売されているモノステアリン酸グリセロールなどのグリセロールエステル、Olepal isostearique(登録商標)(HLB=8)という品名でGattefosseによって販売されているイソステアリン酸PEG-6などのポリエチレングリコールエステル、またはGlucate SS(登録商標)(HLB=6)という品名でAmercholによって販売されているセスキステアリン酸メチルグルコース、およびGattefosseによって、Surfhope C-1205(登録商標)(HLB=5)という品名で販売されているジラウリン酸スクロースとSurfhope C-1803(登録商標)(HLB=3)という品名で販売されているトリステアリン酸スクロースなどの低HLBの糖エステルが挙げられよう。
【0060】
低HLBを示す前記非イオン性乳化剤は、10未満のHLBを示すことが好ましい。
【0061】
非イオン性乳化剤は、本発明のエマルジョンの成分である乳化系を形成するために、単独で、または2種以上のその混合物として使用され得る。
【0062】
乳化系として、1対または複数対の「高HLBの非イオン性乳化剤」/「低HLBの非イオン性乳化剤」を使用することが好ましいであろう。該系には、特に、約10より大きいHLBを示す少なくとも1種の非イオン性乳化剤および約10未満のHLBを示す少なくとも1種の非イオン性乳化剤を含む非イオン性乳化系がなり得る。
【0063】
前述の対を形成する2種の乳化剤のそれぞれの割合は、一般に、使用される脂肪相に必要なHLBの計算によって決定される。
【0064】
好ましい乳化剤として、以下の種類の親水性乳化剤が挙げられる。Arlacel 165 FL(登録商標)という品名でUniqemaによって販売されているステアリン酸グリセリル&ステアリン酸PEG-100、Tefose 1500(登録商標)という品名でGattefosseによって販売されているステアリン酸PEG 6およびステアリン酸PEG 32、Glucamate SSE 20(登録商標)という品名でAmercholによって販売されているセスキステアリン酸PEG 20メチルグルコース、Brij 721(登録商標)という品名でUniqemaによって販売されているポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテル、およびEumulgin B2PH(登録商標)という品名でCognisによって販売されているセテアレス-20、またはAmercholによって販売されているGlucate SS(登録商標)などのセスキステアリン酸メチルグルコース型の親油性乳化剤が挙げられる。
【0065】
本発明による組成物は、少なくとも1種のレチノイドを含む。「レチノイド」という用語は、RARおよび/またはRXR受容体に結合する任意の化合物を意味するものと理解される。
【0066】
一例として、レチノイドとして、レチノイン酸、トレチノイン、タザロテンおよび以下の特許または特許出願に記載されているものが挙げられる。
US4,666,941、US4,581,380、EP0210929、EP0232199、EP0260162、EP0292348、EP0325540、EP0359621、EP0409728、EP0409740、EP0552282、EP0584191、EP0514264、EP0514269、EP0661260、EP0661258、EP0658553、EP0679628、EP0679631、EP0679630、EP0708100、EP0709382、EP0722928、EP0728739、EP0732328、EP0749937、EP0776885、EP0776881、EP0823903、EP0832057、EP0832081、EP0816352、EP0826657、EP0874626、EP0934295、EP0915823、EP0882033、EP0850909、EP0879814、EP0952974、EP0905118、EP0947496、W098/56783、W099/10322、W099/50239、W099/65872。
【0067】
RARおよび/またはRXR受容体に結合するその能力により、特許出願EP0199636に記載されているようなベンゾナフタレンレチノイドのファミリーから生じる化合物も、本発明に含まれる。
【0068】
ナフトエ酸誘導体、特に
6-(3-メチルフェニル)-2-ナフトエ酸およびそのメチルエステル、
6-(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-ナフトエ酸およびそのメチルエステル、
6-(3-(tert-ブチル)フェニル)-2-ナフトエ酸およびそのメチルエステル、
6-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-ナフトエ酸およびそのメチルエステル、
6-(p-(1-アダマンチルチオ)フェニル)-2-ナフトエ酸およびそのメチルエステル、
6-(3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル)-2-ナフトエ酸(アダパレン)およびそのメチルエステル、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-(tert-ブチル-ジメチルシリルオキシ)フェニル]-2-ナフトエ酸のメチルエステル、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-ヒドロキシ-フェニル]-2-ナフトエ酸のメチルエステル、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ナフトエ酸、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-デシルオキシ-フェニル]-2-ナフトエ酸のメチルエステル、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-デシルオキシフェニル]-2-ナフトエ酸、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-ヘキシルオキシ-フェニル]-2-ナフトエ酸のメチルエステル、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-ヘキシルオキシフェニル]-2-ナフトエ酸、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-4-アセトキシ-1-メチル-2-ナフトエ酸のメチルエステル、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-4-ヒドロキシ-1-メチル-2-ナフトエ酸、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシ-フェニル]-4-ヒドロキシ-1-メチル-2-ナフトエ酸のメチルエステル、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシ-フェニル]-1-メチル-2-ナフトエ酸のメチルエステル、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-1-メチル-2-ナフトエ酸、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフタレン-メタノール、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸のエチルアミド、
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸のモルホリン、
6-[3-(tert-ブチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸のメチルエステル、
6-[3-(tert-ブチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸、
6-[3-(1,1-ジメチルデシル)-4-メトキシ-フェニル]-2-ナフトエ酸のメチルエステル、
6-[3-(1,1-ジメチルデシル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸。
を選択することが好ましいであろう。
【0069】
特に、アダパレンおよびその塩が優先されよう。
【0070】
「アダパレンの塩」という用語は、医薬として許容可能な塩基、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびアンモニアなどの無機塩基、またはリシン、アルギニンもしくはN-メチルグルカミンなどの有機塩基を用いて形成された塩を意味するものと理解される。
【0071】
「アダパレンの塩」という用語は、ジオクチルアミンおよびステアリルアミンなどの脂肪族アミンを用いて形成された塩を意味するものとも理解される。
【0072】
当然のことながら、本発明による組成物中の2種の活性剤、過酸化ベンゾイルおよびレチノイドの量は、選択される組合せ、したがって、特に、考察中のレチノイド、および所望されている治療の質に依存しよう。
【0073】
好ましいレチノイド濃度は、該組成物の総重量に対して0.0001と20重量%の間である。
【0074】
アダパレンの場合、本発明による組成物は、該組成物の総重量に対してアダパレンを好ましくは0.001と5重量%の間、有利には0.01と1重量%の間、優先的にはアダパレンを0.01と0.5重量%の間、好ましくは0.1と0.4重量%の間、さらにより好ましくはアダパレンを0.3重量%含む。
【0075】
過酸化ベンゾイルは、単体形態または封入形態、例えば、任意の多孔性担体上に吸着またはその中に吸収される形態で、全く同様に容易に使用され得る。それは、例えば、Microsponges P009A Benzoyl Peroxide(登録商標)という品名でCardinal Healthによって販売されているマイクロスポンジなどの、例えば、多孔性微粒子からなるポリマー系に封入されている過酸化ベンゾイルでもよい。
【0076】
量の程度を示すと、本発明による組成物は、該組成物の総重量に対して過酸化ベンゾイルを0.0001と20重量%の間、レチノイドを0.0001と20重量%の間含むことが有利であり、好ましくは該組成物の総重量に対して過酸化ベンゾイルを0.025と10重量%の間、レチノイドを0.001と10重量%の間それぞれ含む。
【0077】
例えば、ざ瘡の治療用の組成物中では、過酸化ベンゾイルは、該組成物の総重量に対して2〜10重量%、より具体的には2.5〜5重量%の範囲の濃度で使用されることが好ましい。一方でレチノイドは、この種の組成物中で、該組成物の総重量に対して一般に0.01〜1重量%の範囲の濃度で使用される。
【0078】
レチノイドおよび過酸化ベンゾイルの粒径が、粒子個数の少なくとも80%、好ましくは粒子個数の少なくとも90%が、25μm未満の直径を有し、粒子個数の少なくとも99%が100μm未満の直径を有することが有利である。
【0079】
本発明の組成物は、1種または複数の浸潤剤を含み得る。これらの成分は、該組成物の総重量に対して0.001〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは2〜7重量%の範囲の濃度で存在し得る。それらは、使用される濃度で有効成分を溶解するべきではなく、過酸化ベンゾイルに害を及ぼす発熱反応を引き起こすべきではなく、有効成分がよく分散する一助となるべきであり、消泡特性を有するべきである。
【0080】
浸潤能とは、固体表面上に広がる液体の傾向である。表面張力を低下させることにより、浸潤剤は、液体がより広がることを可能にし、したがって、レチノイドおよび過酸化ベンゾイルの固体粒子が分散する一助となる。
【0081】
好ましくは、浸潤剤は、7〜18のHLB(親水性-親油性バランス)を示し得るものか、あるいは、浸潤剤は、ポリオキシエチレン化および/またはポリオキシプロピレン化コポリマー(非限定的例として、ポロキサマー、より具体的にはUniqemaによって販売されているSynperonic PE/L44および/またはSynperonic PE/L62が挙げられよう)、あるいはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ラウログリコール(lauroglycol)、ジノナン酸プロピレングリコールもしくはエトキシジグリコールなどのグリコールの種類の非イオン性界面活性剤である。浸潤剤は、それを加熱する必要なしに該組成物中に容易に取り込まれるように、液体の形態であることが好ましい。
【0082】
浸潤剤のうち、好ましくは10〜14のHLBを示し得る浸潤剤である、限定的でない以下のリスト、ポロキサマーおよび/またはグリコールのファミリーの化合物、より具体的にはSynperonic PE/L44および/またはSynperonic PE/L62、ならびに/あるいはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ラウログリコールまたはエトキシグリコールなどの化合物が使用されることが好ましい。
【0083】
特に好ましい浸潤剤は、プロピレングリコールおよびSynperonic PE/L44 (ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)である。
【0084】
本発明によると、過酸化ベンゾイルおよびレチノイドを含むエマルジョンは、少なくとも水を含み、有利には、浸透促進剤および/または浸潤剤も含み得る。
【0085】
本発明による組成物は、脂肪相も含む。この脂肪相は、例えば、植物、鉱物、動物または合成の油、シリコーン油およびそれらの混合物を含み得る。
【0086】
鉱物油の例として、例えば、Essoによって販売されているPrimol 352(登録商標)、Marcol 82(登録商標)またはMarcol 152(登録商標)などの様々な粘度の流動パラフィンが挙げられる。
【0087】
植物油として、甘扁桃油、パーム油、大豆油、ゴマ油またはヒマワリ油が挙げられる。
【0088】
動物油として、Cosbiol(登録商標)という品名でLasersonによって販売されているスクアランを誘導体として用いる、ラノリン、スクアレン、魚油またはミンク油が挙げられる。
【0089】
合成油として、イソノナン酸セテアリル、例えばCetiol SN PH(登録商標)という品名でCognis Franceによって販売されている製品、パルミチン酸イソプロピル、例えばCrodamol IPP(登録商標)という品名でCrodaによって販売されている製品、Crodamol DAという品名でCrodaによって販売されているアジピン酸ジイソプロピル、またはHuls/Univarによって販売されているMiglyol 812(登録商標)などのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、などのエステルが挙げられる。
【0090】
揮発性または不揮発性のシリコーン油として、Dow Corningによって販売されている、20cSt〜12500cStの粘度のQ7-9120 Silicone Fluidという名前の製品、またはST-Cyclomethicone-5 NF(登録商標)という名前の製品などのジメチコーンが挙げられる。
【0091】
天然または合成のワックスなどの固体脂肪物質、ステアリン酸などの脂肪酸、Cognisによって販売されているSpeziol C18 Pharmaなどの脂肪アルコール、およびGattefosseによって販売されているCompritol 888などのトリベヘン酸型のテクスチャー付与剤、またはCognisによって販売されているCutina HRなどの水添ヒマシ油も使用され得る。この場合、当業者は、これらの固体の存在または不在に従って調製の加熱温度を調整されよう。
【0092】
本発明による組成物については、合成油およびシリコーン油、より具体的にはMiglyol 812(登録商標)およびST-Cyclomethicone 5 NF(登録商標)が好ましい。
【0093】
本発明によるエマルジョンの親水相は、水性であることが好ましく、したがって、水を含み得る。この水は、特に、ヤグルマソウの水などの花の水、または例えばヴィッテル(Vittel)の水、ビシー盆地(Vichy basin)の水、ユリアージュ(Uriage)の水、ラロッシュポゼ(La Roche-Posay)の水、アヴェンヌ(Avene)の水もしくはエクスレベン(Aix-les-Bains)の水から選択される天然の温泉水もしくは鉱水でよい。
【0094】
前記水相は、該組成物の総重量に対して10と90重量%の間、好ましくは20と80重量%の間の含量で存在し得る。
【0095】
キレート剤中で、非限定的例として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンジ(o-ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミンジ(o-ヒドロキシ-p-メチルフェニル酢酸)(EDDHMA)およびエチレンジアミンジ(5-カルボキシ-2-ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDCHA)が挙げられる。
【0096】
キレート剤の濃度は、該組成物の総重量に対して0重量%〜1.5重量%、好ましくは0.05重量%〜0.5重量%まで変動し得る。
【0097】
好ましいキレート剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられる。
【0098】
本発明による組成物に関与し得るゲル化剤および/または懸濁化剤および/またはpH非依存性ゲル化剤の比限定的例として、Avicel CL-611という品名でFMC Biopolymerによって販売されている微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、Ultrez 20(登録商標)もしくは1382またはCarbopol ETD2020(登録商標)とい名前でNoveonによって販売されている「電解質非感受性」Carbomerが挙げられ、Pemulen TR-1もしくはPemulen TR-2という品名で販売されているアクリレート/C10〜30アクリル酸アルキル架橋ポリマー、非限定的例としてKelcoによって販売されているXantural 180(登録商標)などのキサンタンガム、グアーガム、キトサン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特にMethocel E4 Premiumという品名でDow Chemicalによって販売されている製品、またはヒドロキシエチルセルロース、特にNatrosol HHX 250(登録商標)という品名でAqualonによって販売されている製品などのセルロースおよびその誘導体と共に多糖も挙げられ、あるいは、Avicel CL-611という品名でFMC Biopolymerによって販売されている製品「微結晶性セルロールおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム」、Vanderbiltによって販売されているVeegum Kなどのケイ酸アルミニウムマグネシウムのファミリー、IMCDによって販売されているViscarin(登録商標)製品およびGelcarin(登録商標)製品などの具体的には4種の主ファミリー、κ、β、λおよびωに分割されているカラゲナンのファミリー、Aculyn 44(プロピレングリコール(39%)と水(26%)の混合物中で、35重量%で、成分として、エチレンオキシドを150または180mol含むポリエチレングリコール、デシルアルコールおよびメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)を少なくとも含むポリ縮合物)(SMDI)という品名で販売されているPEG-150/デシル/SMDIコポリマーなどの、疎水性鎖に結合されているアクリルポリマーのファミリー、Structure Solanaceという品名で販売されている加工ジャガイモデンプンなどの加工デンプンのファミリーも挙げられ、それらの混合物、ならびにSimulgel 600 PHAという品名でSeppicによって販売されているアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80混合物または例えばSepigel 305という品名でSeppicによって販売されているものなどのポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス-7混合物などのポリアクリルアミドのファミリーのゲル化剤も挙げられる。
【0099】
好ましいゲル化剤は、Simulgel 600もしくはSepigel 305などのポリアクリルアミド、Carbopol ETD2020 NFなどの「電解質非感受性」carbomer、キサンタンガムなどの多糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、またはケイ酸アルミニウムマグネシウムのファミリーから単独で、もしくは混合物として生じる。
【0100】
上述のようなゲル化剤および/または懸濁化剤および/またはpH非依存性ゲル化剤は、0.001〜15%の範囲、より好ましくは0.1〜5%の範囲の好ましい濃度で使用され得る。
【0101】
該組成物は、抗酸化剤、日焼け止め、保存剤、充填剤、電解質、湿潤剤および/または皮膚軟化剤、着色剤、通常の無機もしくは有機の塩基または酸の種類の中和剤(一例として、トリエタノールアミン、10%水酸化ナトリウム溶液、コハク酸/コハク酸ナトリウム緩衝液またはクエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝液)、香料、精油、化粧品有効成分、保湿剤、ビタミン、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、DHAなどのセルフタンニング化合物、アラントインなどの皮膚用の鎮静剤および保護剤、浸透促進剤、またはこれらの混合物、場合によっては過酸化ベンゾイル用の安定化剤(一例として、ナトリウムドクセートまたはオレフィンスルホン酸ナトリウムC14〜16)などの化粧品または医薬の分野で従来使用されている任意の添加材をさらに含み得る。当然のことながら、当業者は、本発明による組成物の有利な特性が有害な影響を受けない、または実質的に受けないように、これまたはこれらの任意の追加の化合物および/またはそれらの量を注意深く選択されよう。
【0102】
これらの添加剤は、該組成物の総重量に対して0.001〜20重量%の割合で該組成物中に存在し得る。
【0103】
保存剤の例として、塩化ベンザルコニウム、ブロノポール、クロルヘキシジン、クロロクレゾールおよびその誘導体、エチルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシエタノール、ソルビン酸カリウム、ジアゾリジニル尿素、ベンジルアルコール、パラベンまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0104】
湿潤剤および/または皮膚軟化剤の例として、グリセロールおよびソルビトール、糖(一例として、グルコースまたはラクトース)、PEG(一例として、Lutrol E400)、尿素またはアミノ酸(一例として、セリン、シトルリンまたはアラニン)が挙げられる。
【0105】
特に、本発明は、生理学的に許容可能な媒体中に、
0.001%〜5%、好ましくは0.01%〜0.5%のレチノイド、好ましくはナフトエ酸誘導体、
0.025%〜10%、好ましくは2%〜10%の過酸化ベンゾイル、
30%〜95%、好ましくは50%〜85%の水、
0.01%〜15%、好ましくは0.1%〜5%のゲル化剤および/または懸濁化剤および/またはpH非依存性ゲル化剤、
1%〜15%、好ましくは3%〜11%の乳化剤、
2%〜50%、好ましくは5%〜30%の脂肪相、
0%〜1.5%、好ましくは0.05%〜0.5%の1種または複数のキレート剤、
0%〜10%、好ましくは2%〜7%の1種または複数の浸潤剤、
0.1%〜20%、好ましくは2%〜15%の1種または複数の湿潤剤および/または皮膚軟化剤、
0%〜3%、好ましくは0.05%〜1%の保存剤、
0%〜3%、好ましくは0.05%〜2%の安定化剤、
0%〜10%、好ましくは0.1%〜5%の中和剤
から選択される成分(重量パーセントで示される)を含むエマルジョン形態の、皮膚、体表成長物または粘膜への局所適用のための医薬組成物または化粧品組成物にも関する。
【0106】
本発明の別の主題は、薬物としての上述のような組成物である。
【0107】
本発明は、化粧品および皮膚科学における上述のような新規の組成物の使用にも関する。
【0108】
細胞の分化および増殖の分野における、過酸化ベンゾイルの角質溶解、殺菌および抗炎症活性、ならびにレチノイドの顕著な活性のために、本発明の組成物は、以下の治療分野に特によく適している。
1)分化および増殖を伴う角質化の疾患に関連している皮膚障害を治療するため、特に尋常性ざ瘡、面皰性もしくは多型のざ瘡、酒さ性ざ瘡、結節嚢胞性ざ瘡、集簇性ざ瘡、老人性ざ瘡、太陽光線性、薬物性もしくは職業性のざ瘡などの二次ざ瘡、または化膿性汗腺炎の治療のための治療分野、
2)他の種類の角質化の疾患、特に魚鱗癬、魚鱗癬様の障害、ダリエー病、掌蹠角化症、白板症および白板症様の障害、または皮膚もしくは粘膜(口腔)の苔癬の治療のための治療分野、
3)炎症性および/または免疫アレルギー性の成分による角質化の疾患、特に、皮膚の、粘膜のまたは爪の乾癬にせよ全ての形態の乾癬、さらには乾癬性リウマチ、あるいは代替として湿疹などの皮膚アトピーもしくは呼吸アトピーまたは代替として歯肉増殖症に関連している他の皮膚障害の治療のための治療分野(該化合物は、毛包炎などの角質化の疾患を示さない一部の炎症状態でも使用され得る)、
4)尋常性疣贅、扁平疣贅、伝染性軟属腫および疣贅状表皮発育異常症、顕症期または口腔の乳頭腫症などの、それらが良性にせよ悪性にせよ、それらがウィルス性にせよそうではないにせよ全ての真皮または表皮の増殖、ならびに紫外線放射によって誘発され得る増殖、特に日光性角化症の症例を治療するための治療分野、
5)光誘発性にせよ経時的にせよ、皮膚老化を修復またはそれに対処するための治療分野、あるいは色素沈着、または経時的もしくは光線性の老化を伴う任意の病態の減少のための治療分野、
6)瘢痕形成の疾患または皮膚潰瘍を予防的または治癒的に治療するため、伸展線を予防または修復するため、あるいは代替として瘢痕形成を促進するための治療分野、
7)ざ瘡の過漏脂または単なる漏脂などの皮脂腺機能の疾患に対処するための治療分野、
8)足白癬および澱風などの皮膚上の真菌性の任意の障害の治療における治療分野、
9)免疫性成分を有する皮膚障害の治療における治療分野、
10)UV放射への曝露に起因する皮膚疾患の治療における治療分野、ならびに
11)特に微生物のコロニー形成または感染に起因している、毛包の周囲の組織の炎症または感染症、特に膿痂疹、脂漏性皮膚障害、白癬性または鬚の毛瘡に関連している、あるいは任意の他の細菌性または真菌性の病原体を伴う、皮膚障害の治療における治療分野。
【0109】
本発明による組成物は、尋常性ざ瘡の予防的または治癒的な治療に特に適している。
【0110】
本発明の主題は、細胞の分化および/または増殖の疾患および/または角質化の疾患に関連している皮膚障害、好ましくは尋常性ざ瘡の予防および/または治療を目的とした医薬組成物の調製でもある。
【0111】
本発明による組成物は、化粧品分野での用途、特にざ瘡への傾向を示す皮膚の治療のため、毛髪の成長のため、脱毛に対処するため、皮膚または毛髪の脂ぎった外観に対処するための用途、日光の有害な効果からの保護における用途、あるいは光誘発性もしくは経時的な老化を予防するため、および/またはそれに対処するための用途も見出している。
【0112】
本発明による組成物は、身体および毛髪の衛生における用途も見出している。
【0113】
本発明による前記組成物は、局所的に適用されることが好ましい。
【0114】
本発明の別の主題は、上述のような組成物の調製のための方法である。そのような方法は、生理学的に許容可能な媒体を少なくとも1種のナフトエ酸誘導体および過酸化ベンゾイルと混合する段階を含むことを特徴とする。
【0115】
他の任意の賦形剤および添加剤は、該化合物の化学的性質および選択される剤形に従って導入されよう。
【0116】
一般に、本発明による組成物の調製は、一例として、以下の主方法に従って実施される。
a)活性相1を得るために、少なくとも1種のレチノイドを、それが完全に分散されるまで水と混合する、
b)活性相2を得るために、過酸化ベンゾイルを、それが完全に分散するまで水と混合する、
c)水相を得るために、少なくとも1種の親水性化合物を水と混合する、
d)脂肪相を得るために、少なくとも1種の乳化剤を親油性化合物と混合する、
e)エマルジョンを得るために、d)で得られた脂肪相を、c)で得られた水相中に導入する、
f)a)およびb)でそれぞれ得られた活性相1および2を、e)で得られたエマルジョン中に導入する、
g)必要であれば、ゲル化剤用の中和剤を、e)で得られた中和剤中に導入する、
h)必要であれば、熱感受性添加剤を添加する、
i)必要であれば、さらに水を添加する。
【0117】
一般に、本発明による組成物の調製は、一例として、以下の代替方法に従って実施される。
a')段階a')を得るように段階a)およびb)が組み合わされ、それは、単一の活性相を得るために、少なくとも1種のレチノイド、過酸化ベンゾイルおよび少なくとも1種の浸潤剤を、それらが完全に分散するまで水と混合することに相当する。
【0118】
主方法の段階c)、d)、e)、f)、g)、h)およびi)は、不変のままである。
【0119】
本発明による組成物の調製は、一例として、以下の主方法に従って実施されることが好ましい。
a)活性相1を得るために、レチノイド、好ましくはナフトエ酸誘導体を、その有効成分が完全に分散するまで、少なくとも1種の浸潤剤と水中で混合する、
b)活性相2を得るために、過酸化ベンゾイルを、それが完全に分散するまで、少なくとも1種の浸潤剤と水中で混合する、
c)水相を得るために、1種または複数のゲル化剤および/または懸濁化剤および/またはpH非依存性ゲル化剤、ならびに場合によって1種または複数のキレート剤、1種または複数の保存剤および熱非感受性親水性添加剤ならびに1種または複数の湿潤剤および/または皮膚軟化剤を、攪拌しながら、必要であれば高温条件下で水中で溶解し、攪拌を維持し、場合によっては均一性を達成するまで加熱を維持する、
d)脂肪相を得るために、少なくとも1種の乳化剤を、高温条件下で、油および/または固体脂肪物質と、場合によっては保存剤および熱非感受性親油性添加剤と、均一性が達成されるまで混合する、
e)エマルジョンを得るために、d)で得られた前記脂肪相を、c)で得られた水相中に導入する、
f)活性エマルジョンを得るために、a)およびb)でそれぞれ得られた前記活性相1および2を、e)で得られたエマルジョン中に導入する、
g)望ましいpHを得るために、必要であれば、ゲル化剤用の中和剤を、f)で得られたエマルジョン中に導入する、
h)必要であれば、熱感受性添加剤を添加する、
i)場合によって、アクリルアミドおよびアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのコポリマーが、イソヘキサデカンおよびポリソルベート80中の40%分散液として添加される、
j)必要であれば、さらに水を添加する。
【0120】
本発明による組成物の調製は、一例として、以下の代替方法に従って実施されることが好ましい。
a')段階a')を得るように段階a)およびb)が組み合わされ、それは、単一の活性相を得るために、少なくとも1種のレチノイド、過酸化ベンゾイルおよび少なくとも1種の浸潤剤を、それらが完全に分散するまで水と混合することに相当する。
【0121】
主方法の段階c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)およびj)は、不変のままである。
【0122】
より具体的には、本発明による組成物の調製のための主方法は、一例として、以下の段階を含む。
【0123】
段階a:活性相1の調製:
有効成分1、レチノイド(好ましくはアダパレン)、精製水の一部および浸潤剤(Synperonic PE/L62、Synperonic PE/L44、プロピレングリコール型)がビーカー中で混合され、各成分が完全に分散するまで攪拌が実施され得る。
【0124】
段階b:活性相2の調製:
精製水、有効成分(過酸化ベンゾイル)および浸潤剤(Synperonic PE/L62、Synperonic PE/L44およびプロピレングリコール型)が攪拌されながらビーカー中に導入され、各成分が完全に分散するまで攪拌が実施され得る。
【0125】
段階c:水相の調製:
精製水およびゲル化剤(1種または複数)および/またはpH非依存性ゲル化剤(1種または複数)(ポリアクリルアミド以外)、ならびに、場合によってキレート剤(1種または複数)(EDTA型)、湿潤剤(1種または複数)および/または皮膚軟化剤(1種または複数)(グリセロール型)、保存剤(1種または複数)(メチルパラベン型)、乳化剤、懸濁化剤(1種または複数)(Avicel型)および安定化剤(1種または複数)(ナトリウムドクセート型)が、必要であれば高温条件下で、攪拌されながらビーカー中に導入される。
【0126】
段階d:脂肪相の調製:
親油性乳化剤(1種または複数)(Glucate SS、Glucamate SSE 20、Brij 721、Tefose 1500、Eumulgin B2 PH、Olepal isostearique型)、油性化合物(Cetiol SN、Crodamol DA、Speziol C18、Miglyol 812、Cosbiol型)、任意の熱非感受性親油性添加剤、および場合によって保存剤(フェノキシエタノール、プロピルパラベン型)がビーカー中で混合される。
【0127】
段階e:乳化:
乳化をもたらすために、脂肪相が、高温条件下で攪拌されながら水相中に導入される。加熱は、数分間維持され、次いで、該製品は、穏やかに冷却され得る。攪拌は、粘度に応じて調製される。後者が該組成物中の存在する場合、揮発性シリコーンを50℃から導入可能である。
【0128】
段階f:活性相1および2の取込み:
活性相1および2が、40℃未満の温度で攪拌されながら交互に導入される。攪拌は、該混合物が完全に均一になるまで維持される。
【0129】
段階g(任意):中和:
ゲル化剤用の中和剤(トリエタノールアミンまたは10%水酸化ナトリウム溶液型)またはpH緩衝剤が、必要であれば40℃未満の温度で、望ましいpHまで導入される。次いで、該製品は、より濃い粘稠度となる。製造作業の最後に、pHが再び確認される。必要であれば、水を用いた100%への調整が実施される。該製品は、有効成分、アダパレンおよび過酸化ベンゾイルが確実に十分に分散されるようにするために、最後に均一化される(微視的観察により、均一で凝集体のない分散液が明らかになる)。
【0130】
段階h(任意):他の添加剤の添加:
任意の添加剤が、40℃未満の温度で攪拌されながら導入される。攪拌は、該混合物が完全に均一になるまで維持される。
【0131】
段階i(任意):ポリアクリルアミドの添加:
ポリアクリルアミドが、40℃未満の温度で攪拌されながら導入される。攪拌は、該混合物が完全に均一になるまで維持される。
【0132】
段階j:蒸発散量の補正:
該製品の調製の間の蒸発散量が算出され、損失水量が攪拌されながら再添加される。攪拌は、該混合物が完全に均一になるまで維持される。
【0133】
より具体的には、本発明による組成物の調製のための代替方法は、一例として、以下の段階を含む。
a')段階a')を得るように段階a)およびb)が組み合わされ、それは、単一の活性相を得るために、少なくとも1種のレチノイド、過酸化ベンゾイルおよび少なくとも1種の浸潤剤を、それらが完全に分散するまで水と混合することに相当する。
【0134】
主方法の段階c)、d)、e)、f)、g)、h)、i)およびj)は、不変のままである。
【0135】
本発明は、次に、以下の実施例ならびに以下に提示される物理的および化学的な安定性データによって例示されよう。
【0136】
各配合物の物理的安定性は、T1カ月、T2カ月および場合によってT+15日に、外界温度および40℃で、該配合物を巨視的および微視的に観察することによって測定される。
【0137】
ATでは、巨視的観察により、該製品の物理的完全性を保証することが可能になる。
【0138】
微視的観察により、2種の有効成分の分散の品質を評価することが可能になる。アダパレンは、蛍光中で観察され、一方、過酸化ベンゾイルは、偏光中で観察される。
【0139】
最終製品の特性決定は、降伏点および粘度の測定により完了される。
【0140】
降伏点の測定については、SVDIN計測スピンドルを有するVT550型のHaakeで測定したレオロジーが使用される。
【0141】
レオグラムは、25℃で、4s-1、20s-1および100s-1 (γ)の剪断速度で剪断応力を測定して、作成される。「降伏点」(τO、パスカルで表される)という用語は、ファンデルワールス型の凝集力に打ち勝ち、流れを起こすために必要な力(最小剪断応力)を意味するものと理解される。降伏点は、4s-1の剪断速度で見られる値として扱うべきである。
【0142】
粘度測定については、BrookfieldのRVDVII+およびLDVDII+型の粘度計が使用される。
【0143】
2種のBrookfield型を用いて測定し得る粘度の範囲は以下のとおりである。
RVDVII+粘度計:100cP〜40McP
LVDVII+粘度計:15cP〜6McP
【0144】
開始時間T0に、以下のもの、
粘度が30000cPより大きい場合はクリーム、
粘度が30000cP未満の場合はローション、
が存在すると考えられる(Lucinda Bushe、ACPS、2003年10月22日、Pharmaceutical nomenclature-Issues and challenges)。
【0145】
化学的安定性は、有効成分のHPLC定量によって保証される。
【0146】
その結果は、アダパレンおよび過酸化ベンゾイルのg/gで表され、予想含量に対して%で表される。
【0147】
しかし、以下の配合実施例は、本発明による組成物を、その範囲を限定することなく例示することを可能にする。本発明による組成物の調製のための方法の実施例は、暗黙の限定なく言及される。
【実施例1】
【0148】
アダパレン0.1%および過酸化ベンゾイル2.5%を含むクリーム型の配合物
該配合物は、上述の手順に従って調製する。
【0149】
【表2】

【0150】
安定性データ:
物理的安定性:
【0151】
【表3】

【0152】
【表4】

【0153】
化学的安定性:
【0154】
【表5】

【0155】
【表6】

【実施例2】
【0156】
アダパレン0.3%および過酸化ベンゾイル5%を含むクリーム型の配合物
該配合物は、上述の手順に従って調製する。
【0157】
【表7】

【0158】
安定性データ:
物理的安定性:
【0159】
【表8】

【0160】
【表9】

【0161】
化学的安定性:
【0162】
【表10】

【0163】
【表11】

【実施例3】
【0164】
アダパレン0.1%および過酸化ベンゾイル5%を含むクリーム型の配合物
該配合物は、上述の手順に従って調製する。
【0165】
【表12】

【0166】
安定性データ:
物理的安定性:
【0167】
【表13】

【0168】
【表14】

【実施例4】
【0169】
アダパレン0.3%および過酸化ベンゾイル5%を含むクリーム型の配合物
該配合物は、上述の手順に従って調製する。
【0170】
【表15】

【0171】
安定性データ:
物理的安定性:
【0172】
【表16】

【0173】
【表17】

【実施例5】
【0174】
アダパレン0.3%および過酸化過酸化ベンゾイル1%を含むローション型の配合物
該配合物は、上述の手順に従って調製する。
【0175】
【表18】

【0176】
安定性データ:
物理的安定性:
【0177】
【表19】

【0178】
【表20】

【0179】
化学的安定性:
【0180】
【表21】

【0181】
【表22】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも1種の分散型レチノイドおよび分散型過酸化ベンゾイルを含む組成物であって、エマルジョン形態で提供されることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記レチノイドおよび前記過酸化ベンゾイルの他に、
少なくとも1種の親水相、
少なくとも1種の脂肪相、
少なくとも1種の乳化剤
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記親水相が水相であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
物理的および化学的に安定であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記乳化剤が、ステアリン酸グリセリルおよびステアリン酸PEG 100、ステアリン酸PEG-6およびステアリン酸PEG-12、スクロースエステル、セテアレス-20およびポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテルから選択される、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
レチノイドを0.0001と20%の間含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記レチノイドがアダパレンであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
過酸化ベンゾイルを0.0001と20%の間含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記過酸化ベンゾイルが、封入または単体の形態であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の総重量に対して、乳化剤を0.001と20重量%の間含むことを特徴とする、請求項2から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
浸潤剤を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
浸潤剤を0.001と20%の間含むことを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記浸潤剤が、プロピレングリコールまたはSynperonic PE/L44であることを特徴とする、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
レチノイド、好ましくはナフトエ酸誘導体を0.001%〜5%、好ましくは0.01%〜0.5%、
過酸化ベンゾイルを0.025%〜10%、好ましくは2%〜10%、
水を30%〜95%、好ましくは50%〜85%、
ゲル化剤および/または懸濁化剤および/またはpH非依存性ゲル化剤を0.01%〜15%、好ましくは0.1%〜5%、
乳化剤を1%〜15%、好ましくは3%〜11%、
脂肪相を2%〜50%、好ましくは5%〜30%、
1種または複数のキレート剤を0%〜1.5%、好ましくは0.05%〜0.5%、
1種または複数の浸潤剤を0%〜10%、好ましくは2%〜7%、
1種または複数の湿潤剤および/または皮膚軟化剤を0.1%〜20%、好ましくは2%〜15%、
保存剤を0%〜3%、好ましくは0.05%〜1%、
安定化剤を0%〜3%、好ましくは0.05%〜2%、
中和剤を0%〜10%、好ましくは0.1%〜5%
含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
薬物としての、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法であって、以下の段階:
a)活性相1を得るために、少なくとも1種のレチノイドを、それが完全に分散されるまで水と混合する段階と、
b)活性相2を得るために、前記過酸化ベンゾイルを、それが完全に分散するまで水と混合する段階と、
c)前記水相を得るために、少なくとも1種の親水性化合物を水と混合する段階と、
d)前記脂肪相を得るために、少なくとも1種の乳化剤を親油性化合物と混合する段階と、
e)エマルジョンを得るために、d)で得られた前記脂肪相を、c)で得られた前記水相中に導入する段階と、
f)a)およびb)でそれぞれ得られた活性相1および2を、e)で得られた前記エマルジョン中に導入する段階と、
g)必要であれば、前記ゲル化剤用の中和剤を、e)で得られた前記エマルジョン中に導入する段階と、
h)必要であれば、熱感受性添加剤を添加する段階と、
i)必要であれば、さらに水を添加する段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の組成物の調製のための方法であって、以下の段階:
a)活性相1を得るために、前記レチノイド、好ましくは前記ナフトエ酸誘導体を、その有効成分が完全に分散するまで、少なくとも1種の浸潤剤と水中で混合する段階と、
b)活性相2を得るために、前記過酸化ベンゾイルを、それが完全に分散するまで、少なくとも1種の浸潤剤と水中で混合する段階と、
c)前記水相を得るために、1種または複数のゲル化剤および/または懸濁化剤および/またはpH非依存性ゲル化剤、ならびに場合によって1種または複数のキレート剤、1種または複数の保存剤および熱非感受性親水性添加剤ならびに1種または複数の湿潤剤および/または皮膚軟化剤を、攪拌しながら、必要であれば高温条件下で水中で溶解し、攪拌を維持し、場合によっては均一性を達成するまで加熱を維持する段階と、
d)前記脂肪相を得るために、少なくとも1種の乳化剤を、高温条件下で、油および/または固体脂肪物質と、場合によっては保存剤および他の熱非感受性親油性添加剤と、均一性が達成されるまで混合する段階と、
e)エマルジョンを得るために、d)で得られた前記脂肪相を、c)で得られた前記水相中に導入する段階と、
f)活性エマルジョンを得るために、a)およびb)でそれぞれ得られた前記活性相1および2を、e)で得られた前記エマルジョン中に導入する段階と、
g)望ましいpHを得るために、必要であれば、前記ゲル化剤用の中和剤を、f)で得られた前記エマルジョン中に導入する段階と、
h)必要であれば、前記熱感受性添加剤を添加する段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
段階h)の後に、アクリルアミドおよびアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのコポリマーを、イソヘキサデカンおよびポリソルベート80中の40%分散液として添加する段階を含むことを特徴とする、請求項17に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項19】
細胞の分化および/または増殖および/または角質化の疾患に関連している皮膚障害の予防または治療を目的とした医薬品の製造における、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項20】
尋常性ざ瘡の予防または治療を目的とした医薬品の製造における、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項21】
ざ瘡への傾向を示す皮膚の治療のため、毛髪を成長させるため、または脱毛を予防するため、皮膚もしくは毛髪の脂ぎった外観に対処するため、日光の有害な効果からの保護における、あるいは光誘発性もしくは経時的な老化を予防するため、および/またはそれに対処するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物の化粧品としての使用。

【公表番号】特表2010−513427(P2010−513427A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542172(P2009−542172)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/FR2007/052606
【国際公開番号】WO2008/087348
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】