説明

少なくとも2つの圧力回路を備えた圧力システム

本発明は、少なくとも2つの圧力回路(2,3)を備えた圧力システム(1)であって、圧力回路(2,3)が、それぞれ容積式エレメント(10,103)を備えて形成されている形式のものに関する。本発明によれば、両圧力回路(2,3)が、容積式エレメント(10,103)の吐出し側で補償装置(12)を介して作用接続されており、これによって、第1の圧力回路(2)における圧力増加が、第2の圧力回路(3)における圧力増加を生ぜしめるようになっており、第1の圧力回路(2)の圧力増加が、主として、第2の圧力回路(3)の圧力増加だけ減少させられており、圧力増加の減少が、規定された限界値よりも小さく設定されていることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、少なくとも2つの圧力回路を備えた圧力システムであって、圧力回路が、それぞれ容積式エレメントを備えて形成されている形式のものに関する。
【0002】
実際の使用に基づき公知の圧力システムもしくは制動圧調整システム、たとえばABS(アンチロックブレーキシステム)、TCS(トラクションコントロールシステム)またはESP(エレクトロニックスタビリティプログラム)システムは、いわゆる「シングルピストンポンプ」として形成された容積式エレメントを備えて形成されている。この容積式エレメントは偏心体を介して電動モータによって駆動される。シングルピストンポンプは、アクティブな圧力形成の間、その吐出し側で、180゜よりも小さい偏心角にわたって流体を圧送する。偏心体の残りの位相角範囲では、ポンプ側で圧送は行われない。前述したポンプ原理は、圧送の間もしくはアクティブな圧力形成段階の間、望ましくないほど大きな圧力過剰増加と、圧力形成段階の開始時に急傾斜の圧力勾配とによって特徴付けられている。このことは、不利には、望ましくない騒音発生を、特に前述した圧力システムの快適な機能の間に生ぜしめる。この場合、容積式エレメントの圧力形成・圧送段階の間の圧力過剰増加が低周波の騒音を生ぜしめるのに対して、圧力形成段階の開始時の急傾斜の圧力勾配は圧力システム全体の固有周波数を生ぜしめ、これによって、広域の周波数範囲にわたって騒音発生を生ぜしめる。
【0003】
前述した圧力システムは、少なくとも2つの圧力回路を備えて形成されている。この場合、両圧力回路のシングルピストンポンプは同時に流体を圧送せず、180゜だけ互いに移相されて、つまり、位相をずらした状態で流体を圧送する。したがって、圧力システムの騒音発生もしくは圧送騒音が、特にESPユニットの快適機能の間、たとえばドライバアシストシステムの、コントロールされた制動の間またはハイドロリック式に運転される自動的なパーキングロックの間に生ぜしめられる。この快適機能の運転モードでは、ESPシステムの両圧力回路において同じシステム圧が調整される。
【0004】
したがって、本発明の課題は、不利な運転状態でも僅かな騒音発生によって特徴付けられた圧力システムを提供することである。
【0005】
この課題を解決するために本発明の構成では、両圧力回路が、容積式エレメントの吐出し側で補償装置を介して作用接続されており、これによって、第1の圧力回路における圧力増加が、第2の圧力回路における圧力増加を生ぜしめるようになっており、第1の圧力回路の圧力増加が、主として、第2の圧力回路の圧力増加だけ減少させられており、圧力増加の減少が、規定された限界値よりも小さく設定されているようにした。
【0006】
本発明の有利な構成によれば、容積式エレメントが、シングルピストンポンプであり、該シングルピストンポンプが、180゜だけ互いに移相されて、有利には180゜だけ運転可能である。
【0007】
本発明の有利な構成によれば、容積式エレメントが、ダブルピストンポンプであり、該ダブルピストンポンプのピストン・シリンダユニットが、有利には180゜だけ互いに移相されて運転可能である。
【0008】
本発明の有利な構成によれば、容積式エレメントが、それぞれシングルピストンポンプとして形成されており、各シングルピストンポンプに圧送側でそれぞれ1つの補償ピストンが対応配置されており、1つの容積式エレメントのそれぞれ1つのシングルピストンポンプと補償ピストンとが、有利には180゜だけ互いに移相されて運転可能である。
【0009】
本発明の有利な構成によれば、第1の圧力回路の容積式エレメントが、ダブルピストンポンプとして形成されており、第2の圧力回路の容積式エレメントが、シングルピストンポンプとして形成されており、第1の圧力回路の容積式エレメントのピストン・シリンダユニットの圧送容積が、第2の圧力回路の容積式エレメントのピストン・シリンダユニットのストローク容積の半分に相当している。
【0010】
本発明の有利な構成によれば、補償装置が、弾性的なダイヤフラムを有しており、該ダイヤフラムが、2つの限界変形状態の間で変形可能であり、ダイヤフラムによって、両圧力回路が、容積式エレメントの吐出し側で分離されている。
【0011】
本発明の有利な構成によれば、限界変形状態が、それぞれ機械的なストッパによって規定されている。
【0012】
本発明の有利な構成によれば、ダイヤフラムが、少なくとも部分的に金属から形成されている。
【0013】
本発明の有利な構成によれば、ダイヤフラムが、少なくとも部分的にプラスチックから製作されている。
【0014】
本発明の有利な構成によれば、補償装置が、2つの終端位置の間で移動可能なピストンエレメントを有しており、該ピストンエレメントが、それぞれ端面で圧力回路の圧力によって負荷可能である。
【0015】
本発明の有利な構成によれば、ピストンエレメントが、両側でばね負荷されている。
【0016】
本発明の有利な構成によれば、容積式エレメントの圧送によって増加させられる圧力を備えた第1の圧力回路の容積が、補償装置の領域で容積式エレメントの圧送容積の半分だけ増加可能であり、これに対して、第2の圧力回路の容積が、補償装置の領域で、第1の圧力回路を増加させる容積だけ減少させられるようになっている。
【0017】
本発明の有利な構成によれば、補償装置の下流側にそれぞれ1つの絞りエレメントが設けられている。
【0018】
発明の利点
それぞれ容積式エレメントを備えて形成された少なくとも2つの圧力回路を備えた本発明による圧力システムは、不利な運転状態の間でさえ僅かな騒音発生によって特徴付けられている。なぜならば、両圧力回路が、容積式エレメントの吐出し側で補償装置を介して作用接続されており、これによって、第1の圧力回路における圧力増加が、第2の圧力回路における圧力増加を生ぜしめるようになっており、第1の圧力回路の圧力増加が、主として、第2の圧力回路の圧力増加だけ減少させられており、圧力増加の減少が、規定された限界値よりも小さく設定されているからである。
【0019】
これは、たとえばシングルピストンポンプとして形成されていてよい容積式エレメントの圧力脈動が、両圧力回路における同じシステム圧でまたは異なるシステム圧で両圧力回路に、規定された範囲内で分配可能であり、一方の容積式エレメントの圧力形成・圧送段階の開始時の圧力勾配が、従来の圧力システムに比べて簡単に減少させられていることを意味している。
【0020】
さらに、少なくとも2つの圧力回路を備えた圧力システムの本発明による構成は、両圧力回路における同じシステム圧で、脈動高さをその都度二等分し、したがって、容積式エレメントの駆動時により均一に偏心体を介して360゜の全作業角範囲にわたって分配するという可能性を提供する。これによって、圧力回路における圧力分布の基本波形が、実際の使用に基づき公知の圧力システムに比べて有利に平滑化される。さらに、容積式エレメントの吐出し側における圧力形成段階の開始時の圧力勾配が減少させられる。なぜならば、圧力形成段階の開始時の圧力システムのシステム弾性が増加させられているからである。
【0021】
本発明による対象の更なる利点および有利な構成は、明細書、図面の簡単な説明および特許請求の範囲から知ることができる。
【0022】
図面には、本発明により形成された圧力システムの複数の実施例が概略的に簡単に示してある。これらの実施例を以下の記載において詳しく説明する。この場合、種々異なる実施例の記載において、便宜上、構造的にかつ機能的に同じ構成部材には同一の符号が付してある。
【0023】
実施例の説明
図1には、車両の圧力システム1もしくは制動圧調整システム、有利にはTCSシステムまたはESPシステムの回路図が示してある。この圧力システム1は、第1の圧力回路2と、この第1の圧力回路2から分離された第2の圧力回路3とを有している。両圧力回路2,3は同様に形成されている。したがって、以下の記載において圧力回路2,3の構成部材の機能性を説明する場合には、第1の圧力回路2についてのみ詳しく説明することにする。
【0024】
両圧力回路2,3は、図示の構成では、マスタブレーキシリンダ4に接続されていて、このマスタブレーキシリンダ4から出発して、ブレーキペダル5の運転者側の操作に関連して、制動力倍力器6を介して自体公知の形式で変換されたハイドロリック圧で負荷される。マスタブレーキシリンダ4は、図示の構成では、ハイドロリック流体容器もしくはブレーキフルード容器7に接続されている。このブレーキフルード容器7は、実際の使用に基づき公知の車両においてエンジンルーム内に配置されていて、注入管片8を介して充填可能である。この場合、ブレーキフルード容器7内には、主として、周辺圧が形成されている。
【0025】
マスタブレーキシリンダ4の下流側では、切換弁V1と高圧切換弁V2とが、互いに並列の管路系統L1,L2に配置されており、これによって、マスタブレーキシリンダ4から出発したハイドロリック流体体積流が第1の圧力回路2において選択的に切換弁V1または高圧切換弁V2を介してホイールブレーキシリンダRB1,RB2の方向に案内可能となる。
【0026】
さらに、切換弁V1もしくは高圧切換弁V2の下流側には、圧力回路2の2つの管路分岐点ZP1,ZP2が設けられている。両管路分岐点ZP1,ZP2には、切換弁として形成されたそれぞれ1つのホイール流入弁V3;V4が後置されている。このホイール流入弁V3,V4と切換弁V1とは、それぞれ通電なしで開放している弁として形成されており、これによって、弁V1,V3,V4は、圧力システム1の、弁V1,V3,V4がその制御電流で負荷されていない通常の運転中に開放されており、これによって、ブレーキペダル5の運転者側の操作時に遅れなしの制動を実施することができる。
【0027】
ホイールブレーキシリンダRB1,RB2に対する供給管路L3,L4は、2つの別の分岐点ZP3,ZP4の領域で2つのホイール流出弁V5,V6の前方に分岐している。両ホイール流出弁V5,V6は、通電なしで閉鎖されている弁として形成されており、これによって、運転者側で要求された、圧力システム1の通常の制動運転中のホイールブレーキシリンダRB1,RB2内の圧力形成が確実に保証されている。
【0028】
切換弁V1の前方では、逆止弁RV1を備えて形成されたバイパス管路BL1が分岐しており、これによって、切換弁V1の、マスタブレーキシリンダ4とホイールブレーキシリンダRB1,RB2との間のハイドロリック的な接続が切換弁V1によって遮断されている誤機能時にバイパス管路BL1を介して引き続きハイドロリック流体が提供され、切換弁V1の故障時でも、要求された制動が実施される。
【0029】
車両の、ホイールブレーキシリンダRB1またはホイールブレーキシリンダRB2によって制御されるホイールが、望ましくない形式でロックしていることが、相応の装置を介して検出されると、ホイールブレーキシリンダRB1またはホイールブレーキシリンダRB2への圧力供給が、ホイール流入弁V3またはホイール流入弁V4の領域で、該当する弁の電磁式の操作ユニットへの相応の通電によって遮断され、各ホイールブレーキシリンダRB1;RB2に対応するホイール流出弁V5;V6が制御され、これによって、ホイールブレーキシリンダRB1内の圧力またはホイールブレーキシリンダRB2内の圧力が所要量だけ減少させられており、ホイールのロックが無効にされている。
【0030】
ホイール流出弁V5,V6の開放時には、この両弁を介して案内されたハイドロリック流体が低圧アキュムレータ9に供給される。この低圧アキュムレータ9は、圧力システム1の運転中に、有利には2〜7barの内圧を有している。
【0031】
さらに、ホイール流入弁V3,V4をホイール流出弁V5,V6の閉鎖時に遮断し、これによって、ホイールブレーキシリンダRB1,RB2の領域における、望ましくないかまたは許容することができない更なる圧力増加を回避するという可能性も存在する。
【0032】
出口側では、低圧アキュムレータ9が、図示の事例ではシングルピストンポンプとして形成された容積式エレメント10の吸込み側に接続されている。この場合、低圧アキュムレータ9と、コンスタントな押退け容積を備えた定容量型ポンプもしくは圧送装置を成す容積式エレメント10との間の接続管路L5に逆止弁RV2が配置されており、これによって、ハイドロリック流体が低圧アキュムレータ9から容積式エレメント10の方向にしか案内可能とならない。
【0033】
逆止弁RV2と容積式エレメント10との間では、高圧切換弁V2の通電なしの状態でこの高圧切換弁V2によって遮断された管路系統L2が、容積式エレメント10の吸込み側で接続管路L5に開口している。これによって、マスタブレーキシリンダ4から第1の圧力回路2に供給されたハイドロリック流体体積流が、高圧切換弁V2への相応の通電と同時の切換弁V1の閉鎖時に逆止弁RV2と容積式エレメント10との間でこの容積式エレメント10の吸込み側に供給可能となり、ホイールブレーキシリンダRB1,RB2の領域における圧力が、必要な形式で、制動力倍力器から出発した圧力に対する付加的な圧縮作業によってアクティブに可変となる。
【0034】
これは、両ホイールブレーキシリンダRB1,RB2が、切換弁V1の閉鎖および高圧切換弁V2の開放と同時のホイール流入弁V3,V4の開放時に、容積式エレメント10の吐出し側に流体接続されており、マスタブレーキシリンダ4から出発したハイドロリック圧が、容積式エレメント10の領域で電動モータ11の回転駆動に相応して、要求された形式で、圧力システム1の、種々異なる快適な機能を実現するために必要となる圧力値に増加させられることを意味している。付加的には、補償装置12が、容積式エレメント10の圧送圧によって、別の分岐点ZP5から分岐した管路L6を介して負荷される。補償装置12は、図示の構成では、第1の圧力回路2の管路L6に接続された第1の通路12Aを備えて形成されている。この第1の通路12Aは、ダイヤフラム13によって、第2の圧力回路3に接続された第2の通路12Bに対して流体的に分離されている。
【0035】
したがって、ダイヤフラム13は、第1の圧力回路2に面した側で管路L6のハイドロリック的な圧力によって負荷され、第2の圧力回路3に面した側で、この第2の圧力回路3の容積式エレメント103に接続された管路L63の圧力によって負荷される。
【0036】
さらに、ダイヤフラム13は、少なくともほぼ楕円形に形成された圧力室14内に配置されていて、その外径で補償装置12のハウジング15に固くかつ密に結合されている。さらに、ダイヤフラム13は、ハイドロリック流体に対してだけでなく、加えられる圧力に対しても耐性を備えて形成された弾性的なプラスチックから製作されており、これによって、ダイヤフラム13が、両圧力回路2,3の間の圧力落差に関連して、圧力室14内で、図1に示した中間位置から出発して通路12Aまたは通路12Bの方向に、予め規定された範囲内で変形することができる。ダイヤフラム13のこの変形によって、第1の圧力回路2の容積が変化させられる。この容積は、この変化と同時に生ぜしめられる、第2の圧力回路3の容積変化に対応している。この場合、圧力室14と通路12A,12Bとの寸法は、圧力室14の壁がダイヤフラム13のためのストッパとして提供されていて、したがって、ダイヤフラム13の最大の変形範囲が圧力室14の内部で制限されているように互いに調和されている。
【0037】
図示の構成では、ダイヤフラム13の最大の変形可能性によって制限された、それぞれ一方の圧力回路2;3の側で補償装置12内に配置されたハイドロリック流体の移動容積が、それぞれ容積式エレメント10;103の圧送容積の半分に相当するように設定されている。この移動容積が、両圧力回路2,3の間の小さな圧力差、すなわち、数barの場合でも移動可能となるように、ダイヤフラム13は適宜な弾性を備えて形成されていなければならない。他方では、ダイヤフラム13が、最大の移動容積の達成時に圧力室14の壁に当て付けられ、更なるハイドロリック流体が補償装置12の内部で移動させられないように、圧力室14のジオメトリが設定されている。
【0038】
ダイヤフラム13は、図示の構成では、このダイヤフラム13が両圧力回路2,3における圧力同等時に自動的に、図1に示した中間位置をとるような構成部材弾性を備えて形成されていて、このようにハウジング15内に組み付けられている。
【0039】
付加的には、両圧力回路2,3の分離は、補償装置12の領域で制限された移動容積によって相変わらず保証されている。さらに、両回路におけるシステム圧がそれぞれ異なる場合の調整が可能であり、これによって、圧力システム1のABS機能性、TCS機能性およびESP機能性が、補償装置12の機能性によって損なわれていない。
【0040】
当然ながら、補償装置12のダイヤフラム13を、補償装置12の前述した機能性を実現することができる相応に適切な別の金属から製作することも当業者の裁量に任せられる。
【0041】
したがって、たとえば、補償装置12の前述した機能性を確実に保証することができるようにするために、ダイヤフラム13を、それぞれ図示の使用事例に関連して、少なくとも部分的に金属によって強化されて形成されたプラスチックから製作するかまたは完全に金属から製作するという可能性が存在する。
【0042】
図2には、図1に示した補償装置12と構造的に異なる構成を備えた図1による圧力システム1が示してある。この構成によって、以下に図3に対する記載において詳しく説明する同一の機能性が実現可能となる。
【0043】
図2に示した補償装置12は、圧力室14内に2つの終端位置I,IIの間で長手方向移動可能に配置されたピストンエレメント16を備えて形成されている。このピストンエレメント16は、通路12A,12Bに面した側の端部の領域にシールエレメント16A,16Bを備えて形成されており、これによって、両圧力回路2,3が互いに分離されており、この両圧力回路2,3の間の分離を無効にすることなしに、ピストンエレメント16がその両終端位置I,IIの間で移動可能となる。付加的には、ピストンエレメント16が2つのばねエレメント17A,17Bを介してばね負荷されており、これによって、ピストンエレメント16が、両圧力回路2,3における圧力同等時に、図2に示した中間位置に位置決めされている。
【0044】
さらに、圧力室14から、圧力システム1の全ての運転状態において両シールエレメント16A,16Bの間に位置する領域で、低圧領域(図示せず)に接続された漏れ管路19が分岐しており、これによって、たとえばピストンエレメント16の領域でのシーリングが有効でない場合に、両圧力回路2,3の間の短絡が回避されている。
【0045】
図3には、従来の圧力システムの圧力回路と、本発明による圧力システム1の圧力回路2,3とにおける圧力過剰増加の質的な2つの経過のグラフによる対比が、容積式エレメント10の偏心駆動装置の作業角範囲に関して示してある。この場合、破線で示した経過は、実際の使用に基づき公知の圧力システムの圧力過剰増加を質的に表しており、実線で示した経過は、図1もしくは図2に示した本発明による圧力システム1の圧力回路2,3における圧力過剰増加を質的に表している。
【0046】
両容積式エレメント10,103は、図示の構成では、電動モータ11と、モータシャフト11A;11Bに配置された偏心体(図示せず)とによって駆動され、これによって、シングルピストンポンプとして形成された容積式エレメント10,103が、圧力回路2,3におけるアクティブな圧力形成時に、180゜よりも小さい偏心角にわたってハイドロリック流体を圧送する。残りの作業角範囲では、ポンプ側の圧送は行われない。したがって、図3に破線で示した、従来の圧力システムの圧力過剰増加の経過が180゜の角度値で終わっている。
【0047】
両圧力回路2,3の両容積式エレメントは、図示の構成では、180゜だけ互いに移相されてハイドロリック流体を圧送するので、図1もしくは図2に示した補償装置12の使用によって、図3に実線により示した、第1の圧力回路2もしくは第2の圧力回路3における圧力過剰増加の経過が、両圧力回路における同じシステム圧で生ぜしめられ、これによって、ダイヤフラム13の変形もしくはピストンエレメント16の移動による各容積式エレメント10;103の脈動が、図3に示した形式で、その都度両圧力回路2,3に均一に分配される。
【0048】
これによって、圧力回路2,3における脈動高さがその都度二等分され、図示の形式で、360゜の全角度範囲に分配される。これによって、圧力回路2,3における圧力の基本波形が著しく均等化される。さらに、容積式エレメント10,103の圧力形成・圧送段階の開始時の圧力勾配が、従来の圧力システムの場合よりも僅かとなる。なぜならば、容積式エレメント10,103が、それぞれ吐出し側で、圧力形成・圧送段階の開始時に、従来の圧力システムよりも著しく大きなシステム弾性を備えて形成されたシステムに作用接続されているからである。
【0049】
しかし、容積式エレメント10,103を、それぞれ図示の使用事例に関連して、モータシャフト11A,11Bの周面に位置決めし、これによって、補償装置12の本発明による作用形式が損なわれることなしに、移相が、前述した180゜の角度値と数度、有利には5゜〜10゜だけ異なるという可能性も存在する。
【0050】
前述した本発明による圧力システムの構成によって、容積式エレメントの脈動が、簡単な手段によって、圧力システムの特定の運転状態の間しか、二倍の個数の押退けエレメントを備えて形成された容積式エレメントの脈動スペクトルに移行されない。この場合、容積式エレメントの構造的に簡単な原理は、一倍の個数の押退けエレメントによって維持される。したがって、たとえばシングルピストンポンプの脈動が、構造的に簡単な手段によって、ダブルピストンポンプの脈動スペクトルに移行される。
【0051】
さらに、有利には、自動車のブレーキ装置の分野への本発明による圧力システム1の使用によって、ペダルフィーリングがほぼコンスタントなままとなる。なぜならば、ハイドロユニットの総和弾性が僅かしか増加せず、ブレーキシステムの圧力回路の分離が完全に維持されたままとなるからである。
【0052】
図4には、本発明による圧力システム1の別の実施例が示してある。この実施例は、容積式エレメント10,103と、圧力システム1におけるアクティブな圧力形成時に容積式エレメント10,103に接続される、第1の圧力回路2のホイールブレーキシリンダRB1,RB2もしくは第2の圧力回路3のホイールブレーキシリンダRB13,RB23との間の供給領域と、補償装置12と、容積式エレメント10,103との間の領域でしか異なっていない。
【0053】
本発明による圧力システムのこの構成では、ホイールブレーキシリンダRB1,RB2;RB13,RB23に、付加的な圧力形成時に、両圧力回路2,3における両容積式エレメント10,103を介して、圧縮されたハイドロリック流体が、まず、補償装置12を介して案内され、次いで、それぞれ補償装置12の下流側に配置された絞りエレメント18;183を介して案内され、これによって、各圧力回路2,3が、いわゆる「ハイドロリック的な低域通過フィルタ」を備えて形成されている。このハイドロリック的な低域通過フィルタによって、圧力回路2,3におけるより高い周波数の圧力変動が濾過される。
【0054】
図5には、図1および図2に一点鎖線によって詳しく特徴付けた領域Xが示してある。この領域Xは、主として、本発明による圧力システム1の両容積式エレメント10,103と補償装置12とを有している。図5に示した圧力システム1の構成では、両容積式エレメント10,103が、それぞれダブルピストンポンプとして形成されている。このダブルピストンポンプは、図示の構成では、それぞれ180゜だけ互いにずらされて配置された2つのピストン・シリンダユニット10A,10B;103A,103Bを有している。両ピストン・シリンダユニット10A,10B;103A,103Bは、主として、全て同じ構造を有している。当然ながら、ここにも、あとで記載する圧力システム1の実施例にも、補償装置12の本発明による作用形式に著しく影響を与えることなしに、モータシャフト11A,11Bの周面に配置された構成部材の間の移相を数度だけ、それぞれ図示の使用事例に関連して変化させるという可能性が存在する。
【0055】
容積式エレメント10,103のピストン・シリンダユニット10A,10B,103A,103Bは、それぞれ吸込み側で管路L2,L5;L23,L53に接続されていて、圧送側で補償装置12の領域において、前述した形式で互いに作用接続されており、これによって、図6に対する記載において詳しく説明する、図6において明らかな効果が圧力システム1の運転中に生ぜしめられる。
【0056】
ピストン・シリンダユニット10A〜103Bは、それぞれ段付きピストン10A_k,10B_k,103A_k,103B_kを備えて形成されている。この段付きピストン10A_k〜103B_kはシリンダ10A_z,10B_z,103A_z,103B_zと共にピストン室10A_1,10A_2,10B_1,10B_2,103A_1,103A_2,103B_1,103B_2を仕切っている。
【0057】
以下に、電動モータ11のモータシャフト11A,11Bの完全な一回転の間の容積式エレメント10のピストン・シリンダユニット10Aを図5および図6に相俟って詳しく考察する。
【0058】
ピストン・シリンダユニット10Aは、ピストン10A_kが上死点に位置していて、第1のピストン室10A_1がその最小の容積を有していて、ピストン・シリンダユニット10Aの圧送段階の終了に相当する運転状態から出発して考察される。次いで、ピストン10A_kがモータシャフト11A,11Bの偏心率に基づき下死点の方向に走行する。この場合、第1のピストン室10A_1の容積が徐々に増加させられるのに対して、第2のピストン室10A_2の容積は連続的に減少させられる。第1のピストン室10A_1だけでなく、第2のピストン室10A_2も容積式エレメント10の吸込み側の管路L2,L5に接続されており、両ピストン室10A_1,10A_2の間に接続部も設けられているので、第1のピストン室10A_1がその吸込み段階の間に管路L2,L5を介して第2のピストン室10A_2からも充填される。
【0059】
上側のピストン室10A_1はピストン10A_kの下死点にその最大の容積を有していて、ほぼ完全にハイドロリック流体で充填されている。ピストン10A_kが電動モータ11によって上死点の方向に運動させられると、上側のピストン室10A_1内に位置するハイドロリック流体が圧縮され、容積式エレメント10の圧送側に放出される。同時に、第2のピストン室10A_2の容積がピストン10A_kの運動に基づき増加させられ、これによって、管路L2,L5からハイドロリック流体が第2のピストン室10A_2内に吸い込まれる。
【0060】
図6には、3つの圧送量経過Q1,Q2,Q23が示してある。これらの圧送量経過Q1,Q2,Q23はモータシャフト11A,11Bの回転角に関して示してある。この場合、経過Q1;Q2は、図1または図2に示した補償装置12なしに形成された圧力システムの、容積式エレメント10のピストン・シリンダユニット10A;10Bまたは容積式エレメント103のピストン・シリンダユニット103A;103Bによって圧送される容積に相当している。
【0061】
図6に示した経過Q23は、両圧力回路2,3の間への補償装置12の配置に基づき生ぜしめられる。この場合、補償装置12のこの配置は、容積式エレメント10;103の圧送曲線の著しい均等化を生ぜしめる。
【0062】
図7には、図1もしくは図2に示した本発明による圧力システム1の別の構成の、図1および図2に詳しく特徴付けた領域Xが示してある。図7に示した構成は、前述した圧力システム1の構成と、両容積式エレメント10,103が、対応配置されたそれぞれ1つの補償ピストン10_AK;103_AKを備えたシングルピストンポンプとして形成されている点で異なっている。この場合、容積式エレメント10,103は、それぞれピストン・シリンダユニット10A;103Aを備えて形成されている。このピストン・シリンダユニット10A;103Aは、図5に示したピストン・シリンダユニットにほぼ相当している。両補償ピストン10_AK;103_AKは、図5に示した圧力システム1の他方のピストン・シリンダユニット10B;103Bの代わりに設けられていて、それぞれ対応したピストン・シリンダユニット10A;103Aに対して180゜だけずらされてモータシャフト11A,11Bの周面に位置決めされている。
【0063】
補償ピストン10_AK;103_AKは、それぞれピストン・シリンダユニット10A;103Aの圧送側に接続されており、これによって、このピストン・シリンダユニット10A;103Aに対して180゜だけずらされて配置された補償ピストン10_AK;103_AKが、それぞれピストン・シリンダユニット10A;103Aの吸込み段階の間にハイドロリック流体を圧送し、ピストン・シリンダユニット10A;103Aの圧送段階の間に吸込み段階を有している。この配置形式も同じく、容積式エレメント10,103の圧送側における圧力過剰増加の前述した均等化に繋がる。さらに、両圧力回路2,3の間への補償装置12の配置は、容積式エレメント10,103の圧送特性の更なる均等化に繋がり、これによって、図7に示した圧力システム1の騒音特性が、自体公知の圧力システムに比べて著しく改善される。
【0064】
この場合、図7に示した構成の根底には、図5に示した圧力システムの構成と同じ規模で、両圧力回路2,3の間への補償装置12の配置によって、零圧送、すなわち、圧力回路2;3につき圧送を全く行わない領域が完全に排除されるという利点がある。このことは、圧力システムの、望ましくない不快な運転騒音の著しい減少に繋がる。
【0065】
付加的には、図7に示した圧力システム1が分岐点ZP5,ZP523の下流側にそれぞれ別の逆止弁を備えて形成され、これによって、補償ピストン10_AK;103_AKの機能形式が圧力システム1の全ての運転状態で保証されるという可能性が存在する。
【0066】
図8には、圧力システム1の本発明による別の実施例の、図1および図2に詳しく特徴付けた領域Xが示してある。この実施例では、第1の圧力回路2の容積式エレメント10が、2つのピストン・シリンダユニット10A,10Bを備えたダブルピストンポンプとして形成されている。両ピストン・シリンダユニット10A,10Bは、それぞれ第2の圧力回路3の、シングルピストンポンプとして形成された容積式エレメント103のストローク容積の半分を有している。
【0067】
ピストン・シリンダユニット10A,10Bと、第2の圧力回路3の容積式エレメント103のピストン・シリンダユニット103Aとは、図5に示した容積式エレメントのピストン・シリンダユニットと同じ構造を有している。したがって、ここでは、図5に対する記載が参照される。
【0068】
両圧力回路2,3の間への補償装置12の配置は、容積式エレメント10,103の圧送特性の変化に繋がる。この変化は、図9に示した圧力経過P1,P2の比較につき明らかになる。
【0069】
この場合、点線で記載した線は、360゜の運転サイクルの間の圧力システムの第1の圧力回路2の圧送特性を図示している。この圧力システムは、図1または図2に示した構造を有していて、図8に示した容積式エレメントを備えて形成されているものの、補償装置12なしに形成されている。この場合、システム圧p_sysは第1の回転角値β_1までコンスタントであり、次いで、大きな勾配を伴って、モータシャフト11A,11Bの第2の回転角値β_2で達成される最大値に上昇することが明らかである。次いで、システム圧p_sysが回転角値β_3まで減少し、運転サイクルの間の終了まで、第1の回転角値β_1の達成前にコンスタントに低いレベルに保たれる。
【0070】
実線として図示した経過P2は、図8に相俟った図1に示した圧力システム1の圧送特性に相当している。この圧力システム1は、両圧力回路2,3の間に配置された補償装置12を備えて形成されている。経過P2から、補償装置12の配置が、圧力システム1の全運転範囲もしくはモータシャフト11A,11Bの一回転範囲にわたって均等化された圧送経過を生ぜしめることが明らかである。この圧送経過は、圧力システムの運転の間の騒音発生の低減に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による圧力システムの第1の構成の回路図である。
【図2】本発明による圧力システムの第1の実施例の回路図である。
【図3】従来の圧力システムの圧力回路における圧力過剰増加の経過と、本発明による圧力システムの圧力回路における圧力過剰増加の経過との対比をグラフにより示す図である。
【図4】本発明による圧力システムの第3の構成の回路図である。
【図5】本発明による圧力システムの、容積式エレメントが、それぞれダブルピストンポンプとして形成された別の構成の、図1および図2に詳しく特徴付けた領域Xを示す図である。
【図6】補償装置を備えた図5に示した圧力システムの圧力回路の圧送容積の経過と、補償装置なしの図5に示した圧力システムの圧力回路の圧送容積の経過との対比をグラフにより示す図である。
【図7】本発明による圧力システムの、容積式エレメントが、それぞれ1つのシングルピストンポンプと、このシングルピストンポンプに対して180゜だけずらされて制御されるそれぞれ1つの補償ピストンとを有する別の構成の、図1および図2に詳しく特徴付けた領域Xを示す図である。
【図8】本発明による圧力システムの、第1の圧力回路の容積式エレメントがシングルピストンポンプとして形成されていて、第2の圧力回路の容積式エレメントがダブルピストンポンプとして形成されている別の構成の、図1および図2に詳しく特徴付けた領域Xを示す図である。
【図9】補償装置を備えた図8に示した圧力システムの圧力回路の圧力過剰増加の経過と、補償装置なしの図8に示した圧力システムの圧力回路の圧力過剰増加の経過との対比をグラフにより示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 圧力システム、 2 圧力回路、 3 圧力回路、 4 マスタブレーキシリンダ、 5 ブレーキペダル、 6 制動力倍力器、 7 ブレーキフルード容器、 8 注入管片、 9 低圧アキュムレータ、 10 容積式エレメント、 10_AK 補償ピストン、 103_AK 補償ピストン、 10A ピストン・シリンダユニット、 10B ピストン・シリンダユニット、 103A ピストン・シリンダユニット、 103B ピストン・シリンダユニット、 10A_1 ピストン室、 10A_2 ピストン室、 10B_1 ピストン室、 10B_2 ピストン室、 103A_1 ピストン室、 103A_2 ピストン室、 103B_1 ピストン室、 103B_2 ピストン室、 10A_k 段付きピストン、 10B_k 段付きピストン、 103A_k 段付きピストン、 103B_k 段付きピストン、 10A_z シリンダ、 10B_z シリンダ、 103A_z シリンダ、 103B_z シリンダ、 11 電動モータ、 11A モータシャフト、 11B モータシャフト、 12 補償装置、 12A 通路、 12B 通路、 13 ダイヤフラム、 14 圧力室、 15 ハウジング、 16 ピストンエレメント、 16A シールエレメント、 16B シールエレメント、 17A ばねエレメント、 17B ばねエレメント、 18 絞りエレメント、 19 漏れ管路、 103 容積式エレメント、 183 絞りエレメント、 BL1 バイパス管路、 I 終端位置、 II 終端位置、 L1 管路系統、 L2 管路系統、 L3 供給管路、 L4 供給管路、 L5 接続管路、 L6 管路、 L23 管路、 L53 管路、 L63 管路、 P1 圧力経過、 P2 圧力経過、 p_sys システム圧、 Q2 圧送量経過、 Q2 圧送量経過、 Q23 圧送量経過、 RB1 ホイールブレーキシリンダ、 RB2 ホイールブレーキシリンダ、 RB13 ホイールブレーキシリンダ、 RB23 ホイールブレーキシリンダ、 RV1 逆止弁、 RV2 逆止弁、 V1 切換弁、 V2 高圧切換弁、 V3 ホイール流入弁、 V4 ホイール流入弁、 V5 ホイール流出弁、 V6 ホイール流出弁、 X 領域、 ZP1 管路分岐点、 ZP2 管路分岐点、 ZP3 分岐点、 ZP4 分岐点、 ZP5 分岐点、 ZP53 分岐点、 β_1 回転角値、 β_2 回転角値、 β_3 回転角値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの圧力回路(2,3)を備えた圧力システム(1)であって、圧力回路(2,3)が、それぞれ容積式エレメント(10,103)を備えて形成されている形式のものにおいて、両圧力回路(2,3)が、容積式エレメント(10,103)の吐出し側で補償装置(12)を介して作用接続されており、これによって、第1の圧力回路(2)における圧力増加が、第2の圧力回路(3)における圧力増加を生ぜしめるようになっており、第1の圧力回路(2)の圧力増加が、主として、第2の圧力回路(3)の圧力増加だけ減少させられており、圧力増加の減少が、規定された限界値よりも小さく設定されていることを特徴とする、少なくとも2つの圧力回路を備えた圧力システム。
【請求項2】
容積式エレメント(10,103)が、シングルピストンポンプであり、該シングルピストンポンプが、180゜だけ互いに移相されて、有利には180゜だけ運転可能である、請求項1記載の圧力システム。
【請求項3】
容積式エレメントが、ダブルピストンポンプであり、該ダブルピストンポンプのピストン・シリンダユニット(10A,10B,103A,103B)が、有利には180゜だけ互いに移相されて運転可能である、請求項1記載の圧力システム。
【請求項4】
容積式エレメント(10,103)が、それぞれシングルピストンポンプとして形成されており、各シングルピストンポンプに圧送側でそれぞれ1つの補償ピストン(10_AK,103_AK)が対応配置されており、1つの容積式エレメント(10,103)のそれぞれ1つのシングルピストンポンプと補償ピストン(10_AK;103_AK)とが、有利には180゜だけ互いに移相されて運転可能である、請求項1記載の圧力システム。
【請求項5】
第1の圧力回路(2)の容積式エレメント(10)が、ダブルピストンポンプとして形成されており、第2の圧力回路(3)の容積式エレメント(103)が、シングルピストンポンプとして形成されており、第1の圧力回路(2)の容積式エレメント(10)のピストン・シリンダユニット(10A,10B)の圧送容積が、第2の圧力回路(3)の容積式エレメント(103)のピストン・シリンダユニット(103A)のストローク容積の半分に相当している、請求項1記載の圧力システム。
【請求項6】
補償装置(12)が、弾性的なダイヤフラム(13)を有しており、該ダイヤフラム(13)が、2つの限界変形状態の間で変形可能であり、ダイヤフラム(13)によって、両圧力回路(2,3)が、容積式エレメント(10,103)の吐出し側で分離されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の圧力システム。
【請求項7】
限界変形状態が、それぞれ機械的なストッパによって規定されている、請求項6記載の圧力システム。
【請求項8】
ダイヤフラム(13)が、少なくとも部分的に金属から形成されている、請求項6または7記載の圧力システム。
【請求項9】
ダイヤフラム(13)が、少なくとも部分的にプラスチックから製作されている、請求項6から8までのいずれか1項記載の圧力システム。
【請求項10】
補償装置(12)が、2つの終端位置の間で移動可能なピストンエレメント(16)を有しており、該ピストンエレメント(16)が、それぞれ端面で圧力回路(2,3)の圧力によって負荷可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の圧力システム。
【請求項11】
ピストンエレメント(16)が、両側でばね負荷されている、請求項10記載の圧力システム。
【請求項12】
容積式エレメント(10)の圧送によって増加させられる圧力を備えた第1の圧力回路(2)の容積が、補償装置(12)の領域で容積式エレメント(10)の圧送容積の半分だけ増加可能であり、これに対して、第2の圧力回路(3)の容積が、補償装置(12)の領域で、第1の圧力回路(2)を増加させる容積だけ減少させられるようになっている、請求項1から11までのいずれか1項記載の圧力システム。
【請求項13】
補償装置(12)の下流側にそれぞれ1つの絞りエレメント(18,183)が設けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載の圧力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−524068(P2008−524068A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547412(P2007−547412)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055666
【国際公開番号】WO2006/066993
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】