説明

局所適用される組成物における使用のための酸化防止剤を選択する方法

酸化防止剤(Aox)は、活性酸素種(ROS)を中和するように機能する。Aoxは、ROSが形成されている皮膚内に、適切な種類および濃度で存在すると、それらのROSが他の生体分子を攻撃、酸化する前に、ROSを中和できるはずである。本発明は、皮膚への局所適用のために処方された酸化防止剤含有組成物および該組成物の酸化防止活性の確認方法を提供する。皮膚上での紫外線誘導性脂質過酸化および角質層中での紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を抑制する能力に関する組成物の試験方法も提供する。また光線性皮膚障害を治療および予防するための組成物および方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本願は、紫外線に対する保護のために皮膚および毛髪に局所適用される組成物に一般的に関する。本発明はまた、そのような組成物における含有物のための酸化防止剤を選択する方法に関する。
【0002】
本願は、2008年1月25日に出願された米国仮特許出願第61/023,713号、および2008年11月14日に出願された同第61/114,758号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
皮膚を紫外線(UVR)に暴露すると、活性酸素種(ROS)と集合的に呼ばれるフリーラジカル及び酸化剤(一重項酸素、ヒドロキシラジカル、過酸化水素、ペルオキシナイトライト、スーパーオキシドアニオンなど)の形成が誘導される(非特許文献1;非特許文献2)。UV誘導性ROSの形成は、脂質、タンパク質およびDNAに酸化障害を引き起こす(非特許文献3;非特許文献4)。
【0004】
正常な状況下で、低濃度のROSは、皮膚の恒常的な抗酸化防御によって中和される。しかし、研究は、紅斑線量以下のUVRでさえ、多量のROSを発生させるので、皮膚自体の抗酸化防御は圧倒されるようになり、急性(免疫抑制および光線過敏障害)および慢性(光老化および皮膚癌)形態の皮膚障害の一因になる酸化を自由に引き起こすROSの増大をもたらすことを示している(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8)。欧州特許第1591104号(STADA Pharmaceuticals AG)には、赤外線から保護するために医薬製剤中で酸化防止剤を使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Hanson KM、Clegg RM.、Photochemistry and Photobiology、2002年、76巻(1号):57〜63頁
【非特許文献2】Black HS.、Photochem.Photobiol.、1987年、46巻、213〜221頁
【非特許文献3】Vile GFおよびTyrrell RM.、Free Radic.Biol.Med.、1995年、18巻、721〜722頁
【非特許文献4】Chen Q.ら、Proc. Natl.Acad.Sci.USA、1995年、92巻、4337〜4341頁
【非特許文献5】Thiele JJ.ら、J.Invest.Dermatol.、1998年、110巻(5号)、756〜761頁
【非特許文献6】Sander C.S.ら、J.Invest.Dermatol.、2002年、118巻(4号)、618〜625頁
【非特許文献7】Thiele J.J.、Skin Pharmacol.Appl.Skin Physiol.、2001年、14巻(増刊1号)、87〜91頁
【非特許文献8】Sander CS.ら、International Soc.Dermatol.、2004年、43巻、326〜335頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸化防止剤(Aox)は、ROSを中和するように機能する。Aoxは、ROSが形成されている皮膚内に、適切な種類および濃度で存在すると、それらのROSが他の生体分子を攻撃、酸化する前に、ROSを中和できるはずである。したがって、局所適用されるどの酸化防止剤が、皮膚内でUVR誘導性活性酸素種(ROS)を中和することにおいて高度に有効であり得るかを判定する方法を有することは、有用であろう。さらに、フリーラジカルを捕捉するのに溶液中だけで有効である可能性のある化合物を、UVRに暴露された場合に皮膚上で高度に有効な酸化防止剤である可能性のある化合物から区別する方法を有することは有用であろう。さらに、UVR誘導性ROSによって引き起こされる皮膚障害に対する特別の保護を提供するための日焼け止め製品における酸化防止剤の適正な選択および使用濃度を決定する方法を有することは有用であろう。加えて、皮膚表面および表皮深部(例えば、基底層まで)の双方でUVR誘導性ROSからの保護を提供する組成物を有することは有用であろう。これらのおよびその他の目的が、本明細書に記載される本発明によって提供される。
【0007】
したがって、本明細書に記載される本発明は、とりわけ、皮膚外層内でのUVR誘導性ROS形成に対する保護を提供するための局所適用Aoxの能力に関する2つの独特なエキソビボ評価方法を包含する方法を提供する。第1の方法は、顕微鏡観察、例えば、蛍光顕微鏡観察を使用して、表皮の内層中での、例えば基底層までのROS形成を、ヒトの皮膚部分を画像化することによって、画像化および定量する。第2の方法は、Aoxを含有する組成物が、皮膚外層中での脂質の過酸化を抑制する程度を定量する。本明細書では、また、溶液中でフリーラジカルを捕捉する酸化防止剤の効力を測定するために一般に使用される実験室試験が、UVRに暴露された皮膚のようなより複雑な生物学的基質上で効果的に機能するAoxの能力を予測するものではないことを立証する。したがって、本発明は、日焼け止め製品中で使用するためのAoxを選択するために、従来法に優る利点を提供し、それらの製品が保護的利益を提供することを確実にする。
【0008】
本明細書中で引用されるすべての特許および非特許参考文献は、参照により全体として本明細書中に組み込まれる。この項および本明細書のいかなる部分におけるいかなる参考文献に関する特定および論考も、そのような参考文献が、本出願の先行技術として利用可能であることの了承と解釈されないものとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、皮膚への局所適用のために処方された組成物の酸化防止活性を確認する方法であって、皮膚上での紫外線誘導性脂質過酸化および表皮中での紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を抑制する能力について該組成物を試験することを含む方法を提供する。
【0010】
本発明は、また、皮膚に局所的に適用するための組成物中での酸化防止作用について化合物をスクリーニングするための方法であって、皮膚脂質の紫外線誘導性ヒドロペルオキシド形成および表皮中での紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を抑制する化合物の能力を判定することを含む方法も提供する。
【0011】
本発明は、また、対象の皮膚又は毛髪に適用するための組成物であって、該組成物が酸化防止剤化合物または酸化防止剤化合物の組合せを含み、該酸化防止剤化合物または酸化防止剤化合物の組合せが皮膚脂質の紫外線誘導性過酸化および表皮中での紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を実質的に抑制する方法も提供する。
【0012】
本発明は、局所適用のための組成物であって、該組成物が、表皮上層中での紫外線誘導性活性酸素種形成を実質的に抑制する少なくとも1種の酸化防止剤化合物、および表皮下層中での紫外線誘導性活性酸素種形成を実質的に抑制する少なくとも1種の酸化防止剤化合物を含む組成物をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】様々な種類および濃度のAoxの存在下でヒト皮膚から脂質を収集するためのテープ細片をエキソビボで使用して、酸化防止剤(Aox)が、紫外線(UVR)誘導性脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)形成を抑制する程度を示す図である。
【図2】日焼け止め剤への酸化防止剤の添加が、角質層内でのUV誘導性ROS形成を有意に低減することを示す図である。対照と比較して、SPF30型日焼け止め処方物は、ROSを39%程度低減し、一方、酸化防止剤として0.5%のビタミンEおよび0.1%のEmblicaを含むSPF30型処方物は、ROSを73%程度低減した。ROS形成の程度は、カラーコード化され、青色は低いROS濃度、橙色又は赤色は高いROS濃度を示す。
【図3】表皮内でのUV誘導性ROS形成を低減するビタミンEおよびEmblica酸化防止剤の能力を立証するための、皮膚層に関する二光子蛍光顕微鏡観察を示す図である。0.5%ビタミンEおよび0.1%Emblicaを含有する組成物は、表皮の下(基底)層でのフリーラジカル形成に対する保護をほとんど提供しない。
【図4】表皮内でのUV誘導性ROS形成を低減する各種公知酸化防止剤の効果を実証する、皮膚層に関する二光子蛍光顕微鏡観察を示す図である。試験された酸化防止剤抽出物は、UVRに暴露された場合に、フリーラジカルを減少させるよりも実際には増加させた。
【図5】1MED(最小紅斑量)のUVR後に、表皮内でのUV誘導性ROS形成を低減する各種公知酸化防止剤の効果を実証する、皮膚層に関する二光子蛍光顕微鏡観察を示す図である。0.5%のビタミンEおよび0.9%Oxynex STを含有する組成物は、表皮下層内でのROS形成を抑制することが示された。
【図6】4MEDのUVR後に、表皮内でのUV誘導性ROS形成を低減する各種公知酸化防止剤の効果を実証する、皮膚層に関する二光子蛍光顕微鏡観察を示す図である。0.5%のビタミンEおよび0.9%Oxynex STを含有する組成物は、表皮下層内でROS形成を抑制することが示された。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、皮膚への局所適用のために処方された組成物の酸化防止活性を確認する方法であって、皮膚上での紫外線誘導性脂質過酸化および表皮中での紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を抑制する能力について該組成物を試験することを含む方法を提供する。
【0015】
本発明は、また、皮膚へ局所的に適用するための組成物中での酸化防止作用について化合物をスクリーニングするための方法であって、皮膚脂質の紫外線誘導性ヒドロペルオキシド形成および表皮中での紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を抑制する化合物の能力を判定することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明の方法の特定の実施形態において、皮膚中での紫外線誘導性活性酸素種形成の抑制を判定することは、二光子蛍光強度造影を使用して、表皮から基底層に至るまでの皮膚を画像化することを含む。
【0017】
本発明の方法の特定の実施形態において、皮膚脂質のUVR誘導性ヒドロペルオキシド形成の抑制を判定することは、化合物のパーセント脂質ヒドロペルオキシド抑制をプラセボと比較して測定することを含む。
【0018】
特定の実施形態において、本発明の方法は、対象の皮膚の別々の区域に酸化防止剤含有組成物およびプラセボ組成物を適用して、酸化防止剤および皮膚脂質を含有する酸化防止剤皮膚部位ならびにプラセボおよび皮膚脂質を含有するプラセボ皮膚部位を生成するステップ;酸化防止剤皮膚部位およびプラセボ皮膚部位に細片を適用して、酸化防止剤および皮膚脂質を含有する酸化防止剤細片試料ならびにプラセボおよび皮膚脂質を含有するプラセボ細片試料を生成するステップ;前記細片試料を皮膚からはずし、前記細片試料をUVRに暴露して、酸化防止剤細片試料上における酸化防止剤/脂質のUVR誘導性反応生成物およびプラセボ細片試料上におけるプラセボ/脂質のUVR誘導性反応生成物を形成するステップ;酸化防止剤細片試料およびプラセボ細片試料を別々に溶媒と接触させて、UVR誘導性酸化防止剤/脂質反応生成物を含有する第1の抽出物、およびUVR誘導性プラセボ/脂質反応生成物を含有する第2の抽出物を調製するステップ;前記第1および第2の抽出物を各抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量についてアッセイするステップ;ならびに第1の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量を第2の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量と比較するステップを含む。
【0019】
特定の実施形態において、本発明の方法は、さらに、プラセボを対象の皮膚の2つの別々の部位へ適用するステップ;各部位から細片試料を生成するステップ;2つのプラセボ部位の一方だけからの細片試料にUVRを当てて、照射プラセボ細片試料のサブセットおよび未照射プラセボ細片試料のサブセットを生成するステップ;未照射プラセボ細片試料を別々に溶媒と接触させて、プラセボおよび皮膚脂質を含有する第3の抽出物を調製するステップ;ならびに前記第3の抽出物を脂質ヒドロペルオキシド含有量についてアッセイして、バックグラウンド脂質ヒドロペルオキシド形成を測定するステップを含む。
【0020】
特定の実施形態において、本発明の方法は、第1の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量を第2の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量と比較することを含み、次式、
【0021】
【数1】

によってパーセント脂質ヒドロペルオキシド形成を計算することを含み、式中、%LFはパーセント脂質ヒドロペルオキシド形成であり、LOOH1は第1の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量であり、LOOH2は第2の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量であり、LOOH3は第3の抽物の脂質ヒドロペルオキシド含有量である。
【0022】
当技術分野では、酸化防止特性を有するとして多くの化合物が認識されている。本明細書中で使用する場合、用語「酸化防止剤」は、本発明の方法によって、100%未満である%LFを有すると判定された化合物または化合物の組合せを指す。本明細書中で使用する場合、用語「酸化促進剤」は、100%を超える%LFを有する化合物または化合物の組合せを指す。本明細書中で明らかにするように、当技術分野で酸化防止剤と呼ばれるいくつかの化合物は、実際には、本発明の方法により試験した場合に、酸化促進剤作用を有し、それらの化合物は、本明細書に記載のような組合せで存在しない限り、局所適用のための組成物中の、特に日焼け止め剤中の成分としては不適当となる。
【0023】
適切なAoxを含有する本発明の組成物は、化粧用組成物の調製に関わる当業者によって公知の任意の形態を包含できる。このような組成物の例には、限定はされないが、非イオン性小胞分散液、エマルジョン、クリーム、乳液、ゲル、クリームゲル、軟膏、懸濁液、分散液、粉末、固体、スティック、泡状物又はスプレーが含まれる。間違いなく好ましい実施形態において、組成物は、無水または水性の固体又はペースト、エマルジョン、懸濁液、又は分散液を包含することができる。組成物の好ましい形態には、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、アルコール溶液、またはエアロゾル製剤が含まれる。
【0024】
したがって、本発明は、また、本明細書に記載の方法によって決定された適切なAoxおよび適切な量のAoxを含有する、ヒトの皮膚および/または毛髪に局所適用するための化粧用組成物を提供する。このような化粧用組成物の非制限的例としては、保湿剤、洗浄剤、コンディショナー、シャンプー、ボディウォッシュ、整髪ゲル/ローション、アイクリームおよびアイライナー、頬紅、マスカラ、ファンデーション、ネイルポリッシュ、ポリッシュリムーバー、アイシャドー、口紅、艶出し口紅、リップライナー、リップクリーム、メイクアップリムーバー、ネイルトリートメント、フットケア組成物、にきびトリートメント、赤色/赤鼻トリートメント、静脈瘤/クモ状静脈トリートメント、アンチエージング組成物、サンレスタンニング組成物、日焼け手入れ用組成物、隠蔽剤、染毛および漂白組成物、皮膚褪色/明色化剤、ボディ引き締めローション、シェービングクリーム、アフターシェーブ、リラクサー、制汗剤および脱臭剤、剥脱剤、スクラブ剤、液体ハンドソープ、泡風呂、疼痛および創傷トリートメント組成物、昆虫忌避剤、痒み止めおよびかぶれクリーム、整髪ムースおよび泡、香料、潤滑剤、ボディオイル、ボディスプレー、ベビーローション、おむつクリーム、ベビー石鹸、ベビーシャンプー、ベビーオイル、ベビー拭紙、脱毛トリートメント、ヘアースプレー、脱毛剤、毛髪成長阻害剤、除毛ワックス、パーソナルクレンジング、コロン、オイルコントローラー、および手指消毒剤などの製品を挙げることができる。
【0025】
本発明の組成物中で有用な酸化防止剤の例には、限定はされないが、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート、ビタミンE、ジイソプロピルバニリデンマロネート(DIPVMとも呼ばれる)および関連化合物(米国特許第6602515号、6831191号、6936735号、7150876号および7166273号に記載されている)、テトラヒドロクルクミノイド、大豆zymbiozome fermentum、レッドクローバー抽出物、Vitis vinifera(ブドウ)種子抽出物/ブランドA、緑茶抽出物、Pikea robusta抽出物、トコフェロール(および)vitis vinifera(ブドウ)種子抽出物、Vitis vinifera(ブドウ)種子抽出物/ブランドB、Phylanthus emblica果実抽出物、およびこれらの組合せが含まれる。本発明の組成物に添加すべき酸化防止剤の量は、一般に、約0.01重量%〜約10.0重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5.0重量%である。厳密な量は、本明細書に記載の試験方法により当業者が決定できる。
【0026】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、酸化防止剤としてビタミンEの単独を、約0.05重量%を超える量で、約0.1重量%またはそれ以上の量で、約0.25重量%またはそれ以上の量で、約0.5重量%またはそれ以上の量で含有することができる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、酸化防止剤としてのビタミンE、および少なくとも1種の追加の酸化防止剤化合物を含有することができる。
【0027】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、ビタミンEを、本発明の方法で決定された酸化促進剤化合物と組み合わせて含んでもよく、これらの実施形態におけるビタミンEの存在は、これらの酸化促進剤化合物の酸化促進剤効果を打ち消して、酸化防止剤の組合せを形成する。この組成物の特定の実施形態において、ビタミンEは、約0.05重量%を超える量で、約0.1重量%またはそれ以上の量で、約0.25重量%またはそれ以上の量で、約0.5重量%またはそれ以上の量で存在する。ビタミンEを含有する本発明の組成物中で有用であろうこのような酸化促進剤化合物の例には、限定はされないが、rosemary officinalisオレオレジン、Rosa Gallica抽出物、緑色植物由来の生物活性光合成複合体、Thermus Thermophillus発酵物、エルゴチオタイン、およびこれらの組合せが含まれる。本発明の組成物に添加すべき酸化促進剤の量は、一般に、約0.01重量%〜約10.0重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5.0重量%である。厳密な量は、本明細書に記載の試験方法により当業者によって決定できる。
【0028】
本発明の一実施形態において、組成物は、エアロゾルの形態であることができ、該組成物は、少なくとも1種の噴射剤と組み合わせられ、該噴射剤は、スプレー噴射用キャニスター中で圧縮または液化されることができる任意の適切な気体であればよく、かつエアロゾルの形態で該組成物を送達するための外界温度および加圧状態に暴露されると、膨張または蒸発して蒸気またはガスの形態になる。適切な噴射剤には、1〜5個の炭素原子を有する炭化水素、例えば、限定はされないが、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ブテン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ペンテン、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、クロロフルオロカーボン(CFC)、窒素、エーテル(ジメチルエーテルを含む)、およびこれらの任意の混合物が含まれる。当業者は、アルミ缶またはガラス瓶などの閉じた容器中で、ジメチルエーテルなどの噴射剤が、外界温度で凝縮して液体状態になることを認識している。したがって、エアロゾル容器中の組成物は、溶解された噴射剤、溶解されていない液体噴射剤、および気体状噴射剤を含むことのできる液体製剤である。このすべては、噴射剤の蒸気圧のため加圧下にある。本発明を実施するに際して、噴射剤は、エアロゾル組成物の総重量を基準にして約90重量%まで、好ましくは約2重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%、最も好ましくは30重量%の量で存在する。
【0029】
本発明の組成物は、また、エアロゾル式の泡またはいわゆるムース組成物を包含することができる。例えば、米国特許第6627585号には、少なくとも1種の界面活性剤、非水溶性コンディショニング剤の分散粒子、水性担体、およびエアロゾル噴射剤を含有する発泡性濃縮物を含む、ムースを形成するクレンジングシャンプー組成物が記載されている。米国特許6264964号には、非乳化性架橋ポリシロキサンエラストマーおよびカルボキシビニルポリマーを含む、加圧系中のエアロゾル泡の形態である化粧用組成物が記載されている。噴射剤は、標準的なエアロゾルディスペンサー、例えば、スプレー缶配置を使用することによって充填時点にムース組成物中に導入できる。
【0030】
本発明は、日焼け止め剤、日光遮断製品、およびその他任意の局所適用組成物中に日焼け止め活性剤と共にAoxを組み込むことを考えており、ここで、日焼け止め活性剤および/またはAoxの添加は、製品の効力を減ずることも、日焼け止め活性剤の日焼け止め能力に影響を及ぼすこともない。
【0031】
本発明の組成物は、本明細書中で「化粧成分」と呼ばれる広汎な範囲の追加の任意選択的成分を含むことができるが、医薬として活性な薬剤として一般に公知である成分を含むこともできる。参照によりその全体で本明細書に組み込まれるCTFA化粧成分ハンドブックCTFA(The Cosmetic Ingredient Handbook)、第7版、1997年、および第8版、2000年には、スキンケア組成物中で一般的に使用される広汎な種類の化粧および医薬成分が記載されており、それらの成分は、本発明の組成物中で使用するのに適している。この参考文献中で開示されているこれらの機能分類の例には、吸収剤、研磨剤、ケーキング防止剤、消泡剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート化剤、化学添加剤、着色料、化粧用収斂剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用収斂剤、外用鎮痛剤、フィルム形成剤、芳香成分、湿潤剤、乳白化剤、pH調整剤、可塑剤、還元剤、皮膚漂白剤、皮膚コンディショニング剤(皮膚軟化剤、湿潤剤、ミセル剤(miscellaneous)、および閉塞剤)、皮膚保護剤、溶媒、発泡増強剤、屈水性誘発剤、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、日焼け止め剤、紫外光吸収剤、SPF増強剤、防水剤、および粘度増強剤(水性および非水性)が含まれる。
【0032】
本発明の実施において、組成物は、1種または複数の日焼け止め活性剤を含むことができる。本発明の目的の場合、「日焼け止め活性剤」または「日焼け止め活性物」は、UV線を吸収するそれらの能力に基づいて活性な日焼け止め成分としての使用が許容し得ると考えられるそれらの材料のすべてを、単独または組み合わせて包含するものとする。このような化合物は、一般に、UV−A、UV−B、またはUV−A/UV−B活性剤であると記述される。規制当局による承認には、一般に、ヒトでの使用を意図して製剤中に活性成分を含めることが要求される。米国において日焼け止め剤での使用について承認されたまたは現在承認されるそれらの活性薬剤には、有機および無機物質、例えば、限定はされないが、パラアミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パジメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、サリチル酸トロラミン、二酸化チタン、酸化亜鉛、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン、トリオレイン酸ジガロイル(digalloy trioleate)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、アミノ安息香酸グリセリル、ジヒドロキシアセトン含有ローソン、赤色ペトロラタムが含まれる。米国ではまだ承認されていないが、米国以外で販売される製剤中で認められているさらなる日焼け止め活性物の例には、エチルヘキシルトリアゾン、ジオクチルブタミドトリアゾン、ベンジリデンマロネートポリシロキサン、テレフタリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ビスジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾエート、ビスベンズオキサゾイルフェニルエチルヘキシルイミノトリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス−ベンゾトリアゾイルテトラメチルブチルフェノールおよびビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、4−メチルベンジリデンカンファー、および4−メトキシ桂皮酸イソペンチルが含まれる。しかし、承認された日焼け止め剤のリストは現在拡大しているので、当業者は、本発明が、ヒトでの使用について現在承認されている日焼け止め活性剤に限定されず、将来認められるであろう活性剤に容易に適用できることを認識するであろう。
【0033】
本発明の一実施形態において、追加の日焼け止め活性剤は、光線防御に有効な量の少なくとも1種の無機顔料またはナノ顔料の粒子を含み、その非制限的例には、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、またはこれらの組合せが含まれる。
【0034】
本発明の組成物は、また、UV線の散乱および分散などの機構によって最終組成物のSPFをも増大させる材料を含むことができる。このような材料は、本明細書中で「UV線散乱剤」と呼ばれ、UV吸収活性を示す、またはUV吸収活性を示さない材料を包含する。このようなUV線散乱剤の例には、その製造業者によれば乳化重合によって製造される中空スチレン/アクリレートコポリマー球と説明されるSunSpheres(商標)(Rohm and Haas、フィラデルフィア、ペンシルヴェニア州)として公知の製品などのポリマー材料が含まれる。該ポリマー球は、入射UV線を、ヒトの皮膚などの表面に存在する日焼け止め剤のフィルム中に分散および/または散乱させることによってUVAおよびUVB領域にわたってSPF値を上昇させると言われる。球は、放射線を日焼け止め製剤中のUV吸収性日焼け止め活性物に再び向けることによってUV線の皮膚中への浸透を少なくすると思われ、ここで、放射線は日焼け止め活性分子と反応し、エネルギーは熱として消散される。本明細書中で使用する場合、用語「球」または「散乱剤」は、化学的構成または形状によって制限されないが、入射UV線の経路を延長する効果、放射線が日焼け止め活性分子すなわちUV吸収性活性薬剤に接触する統計的確立を増大させる効果を生成する任意の薬剤を包含する。これらの材料としては、また、ZnO(例えば、BASFから市販のZ−Cote(商標)製品を含む)、TiO(例えば、Uniqema(ニューカッスル、デラウェラ州、米国)から市販のSolaveil(商標)製品を含む)などの、散乱特性をも示すUV吸収材料、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(Ciba Speciality Chemicals社、(バーゼル、スイス国)から市販の「Tinasorb(商標)M」)などの化合物を挙げることができる。UV線散乱剤は、典型的には、製剤中に約10重量%までの量、好ましくは約0.5重量%〜約7.0重量%の範囲、特に好ましくは3重量%〜約5重量%の範囲の量で存在する。
【0035】
本明細書中で使用する場合、用語「サンレス−タンニング剤」または「セルフ−タンニング組成物」は、ヒトの皮膚に適用された場合に、皮膚を天然または人工の日光に暴露することによって達成されると同様の外見を皮膚に付与する組成物を指す。サンレスタンニング用活性薬剤は、米国特許第6482397号、6261541号、および6231837号中に記載されている。このようなサンレスタンニング組成物は、典型的には、人工日焼けに有効な量のセルフタンニング剤に加えて、ヒトの皮膚への局所適用のために構成された有効量の組成物用着色剤および化粧上許容し得る担体を含む。セルフタンニング剤としては、また、ヒトの皮膚への適用について当技術分野で一般的に受け入れられ、かつそのように適用された場合に、そこでアミノ酸と反応して着色生成物を形成するものを挙げることができる。このような反応は、皮膚に、日焼けさせるのに十分な期間皮膚を日光に暴露すると得られる色調と同様の褐色外見を付与する。適切なセルフタンニング剤には、限定はされないが、α−ヒドロキシアルデヒドおよびケトン、グリセルアルデヒドおよび関連するアルコールアルデヒド、各種インドール類、イミダゾール類およびその誘導体、ならびに承認された各種色素沈着剤が含まれる。本明細書中でセルフタンニング剤として目下好まれるのは、α−ヒドロキシアルデヒドおよびケトンである。最も好ましくは、セルフタンニング剤は、ジヒドロキシアセトン(「DHA」)である。その他の適切なセルフタンニング剤には、限定はされないが、メチルグリオキサール、グリセロールアルデヒド、エリトルロース、アロキサン、2,3−ジヒドロキシスクシンジアルデヒド、2,3−ジメトキシスクシンジアルデヒド、2−アミノ−3−ヒドロキシ−スクシンジアルデヒド、および2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシスクシンジアルデヒドが含まれる。
【0036】
適切な乳化剤または界面活性剤には、医薬として許容し得る非毒性の非イオン、アニオンおよびカチオン性界面活性剤が含まれる。適切な非イオン性界面活性剤の例には、モノステアリン酸グリセロールなどの脂肪酸グリセロールエステル、モノステアリン酸プロピレングリコールなどの脂肪酸グリコールエステル、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(400)などの脂肪酸多価アルコールエステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(40)などの脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルなどのポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、モノステアリン酸ソルビタンなどのソルビタンエステル、セテアリールグルコシドなどのアルキルグリコシド、ステアリン酸のジエタノールアミドなどの脂肪酸エタノールアミドおよびその誘導体などが含まれる。適切なアニオン性界面活性剤の例には、脂肪族カルボン酸、通常的には脂肪酸のナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩などのアルカリ石鹸を含む、例えば、ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸である。有機アミンの石鹸には、脂肪族カルボン酸、通常的には脂肪酸の有機アミン塩、例えば、ステアリン酸トリエタノールアミンなどが含まれる。金属石鹸には、多価金属と脂肪族カルボン酸、通常的には脂肪酸との塩、例えば、ステアリン酸アルミニウムが含まれる。適切なアニオン性界面活性剤のその他の部類には、ラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸化脂肪酸アルコール、リシノール酸の硫酸エステルの二ナトリウム塩などの硫酸化オイル、セタンスルホン酸ナトリウムを含むアルキルスルホン酸塩などのスルホン化化合物、N−メチル−N−オレイルラウレートナトリウムなどのアミドスルホン酸塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどのスルホン化二塩基酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル置換基を有するアリールナフタレンなどの石油スルホン酸塩が含まれる。適切なカチオン性界面活性剤の例には、オクタデシルアンモニウムクロリドなどのアミン塩、塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム化合物が含まれる。
【0037】
皮膚軟化剤は、皮膚を滑らかにし、かつ軟化することを助ける脂肪性または油性の物質であり、皮膚の荒れ、ひび割れまたは刺激を低減することもできる。典型的で適切な皮膚軟化剤には、ミネラルオイル(50〜500センチポイズ(cps)の範囲の粘度を有する)、ラノリン油、ココヤシ油、カカオバター、オリーブ油、アーモンド油、マカダミアナッツ油、アロエ抽出物(アロエベラリポキノンなど)、合成ホホバ油、天然ソノラホホバ油、ベニバナ油、コーン油、液状ラノリン、綿実油、およびピーナツ油が含まれる。好ましくは、皮膚軟化剤は、Henkel KGaAからMyritol 331の商品名で販売されているカカオ油のモノ、ジおよびトリグリセリドの混合物であるカカオ油グリセリド;Henkel KGaAからCetiol OEの商品名で入手できるジカプリリルエーテル;またはFinetexからFinsolv TNの商品名で販売されている安息香酸(C12〜C15)アルキルである。1種または複数の皮膚軟化剤は、約1重量%〜約10重量%の範囲の、好ましくは約5重量%の量で存在できる。別の適切な皮膚軟化剤が、Dow Corning社から入手できるDC200Fluid350シリコーン液である。
【0038】
その他の適切な皮膚軟化剤には、スクアラン、ヒマシ油、ポリブテン、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、リシン油、ビタミンEアセテート、オリーブ油、シリコーン油(ジメチルポリシロキサンおよびシクロメチコンなど)、リノレンアルコール、オレイルアルコール、穀物胚芽油(小麦麦芽油など)、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、アセチルグリセリド、(C12〜C15)アルコールのオクタン酸エステルおよび安息香酸エステル、アルコールおよびポリアルコールのオクタン酸エステルおよびデカン酸エステル(グリコールおよびグリセロールのエステルなど)、リシノール酸エステル(アジピン酸イソプロピルなど)、ラウリン酸ヘキシル、ドデカン酸オクチル、マレイン酸ジカプリル、水素化植物油、フェニルトリメチコン、ホホバ油、およびアロエベラ抽出物が含まれる。
【0039】
外界温度で固体または半固体である他の適切な皮膚軟化剤を使用できる。このような固体または半固体の化粧用皮膚軟化剤には、ジラウリル酸グリセリル、水素化ラノリン、ヒドロキシル化ラノリン、アセチル化ラノリン、ペトロラタム、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、乳酸ミリスチル、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、およびラノリン脂肪酸イソセチルが含まれる。1種または複数の皮膚軟化剤を、任意選択で製剤中に含めることができる。
【0040】
湿潤剤は、その吸湿性により、水分保留を促進する湿潤剤である。適切な湿潤剤には、グリセリン、ポリマー性グリコール(ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなど)、マンニトール、およびソルビトールが含まれる。好ましくは、湿潤剤は、ソルビトール(70%、米国薬局方)、またはポリエチレングリコール400、NFである。1種または複数の湿潤剤を、任意選択で、製剤中に、約1重量%〜約10重量%、好ましくは約5重量%の量で含めることができる。
【0041】
乾燥感覚調節剤は、エマルジョンに添加した場合、エマルジョンが乾燥すると皮膚に「乾燥感」を付与する薬剤である。乾燥感覚調節剤としては、タルク、カオリン、チョーク、酸化亜鉛、シリコーン液、無機塩(硫酸バリウムなど)、表面処理シリカ、沈降性シリカ、ヒュームドシリカ(米国ニューヨーク州ニューヨークのDegussa社から入手できるAerosilなど)を挙げることができる。もう1つの乾燥感覚調節剤は、米国特許第6488916号に開示されているタイプのエピクロロヒドリン架橋グリセリルデンプンである。
【0042】
例えば、Noveon社から入手できる各種Carbopolなどの追加の増粘剤を組み込むことが有利である可能性もある。特に好ましいのは、最終製品の製剤中の層状構造を崩壊させない薬剤(非イオン性増粘剤など)である。追加の増粘剤の選択は、当業者の技術範囲に包含される。
【0043】
さらなる天然または合成物質を、本発明の組成物に添加して、空気中の酸素の作用によるその劣化(酸化)を防ぐか、または遅延させることもできる。それらの物質は、また、皮膚組織中での酸化反応を低減することができる。これらの物質は、酸敗および非酵素的褐変反応生成物の発生につながる可能性のある酸化劣化を防止する。典型的で適切な物質には、没食子酸のプロピル、オクチルおよびドデシルエステル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA、通常、オルトおよびメタ異性体の混合物として購入される)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、緑茶抽出物、尿酸、システイン、ピルビン酸塩、ノルジヒドログアヤレチック酸、ビタミンA、ビタミンEおよびビタミンC、ならびにこれらの誘導体が含まれる。1種または複数のこれらの物質を、組成物中に約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約0.5重量%の範囲の量で任意に含めることができる。
【0044】
キレート化剤は、例えば、複素環式環構造で金属イオンをキレート化するか、または拘束し、結果として、該イオンを、関与している環のそれぞれからの化学結合によって保持するのに使用される物質である。適切なキレート化剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、EDTA三ナトリウム、アルブミン、トランスフェリン、デスフェロキサミン、デスフェラール、メシル酸デスフェロキサミン、EDTA四ナトリウム、およびEDTA二カリウム、あるいはこれらの任意の混合物が含まれる。
【0045】
芳香剤は、日焼け止め組成物に審美的に心地よい香気を付与できる芳香性物質である。典型的な芳香剤には、植物資源(すなわち、バラの花弁、クチナシの花、ジャスミンの花など)から抽出される芳香性材料が含まれ、これらを単独または任意の組合せで使用して、精油を創出することができる。別法として、芳香剤を配合するためにアルコール抽出物を調製することもできる。しかし、天然物質から芳香剤を得るのは比較的費用がかさむので、特に大量製品においては、合成で調製された芳香剤を使用するのが最近の傾向である。日焼け止め組成物中には、任意選択で、1種または複数の芳香剤を、約0.001〜約5重量%、好ましくは約0.01〜約0.5重量%の範囲の量で含めることができる。所望なら、さらなる保存剤を使用することもでき、それらの保存剤には、中でも、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、安息香酸、ジアゾリジニル尿素、クロルフェネシン、カルバミン酸ヨウ化プロピニルおよびブチルなどの周知の保存剤組成物が含まれる。
【0046】
本発明の組成物は、さらに、皮膚保護剤用活性薬剤を含有することができる。適切な例には(好ましい重量%範囲を示す)、アラントイン(0.5〜2%)、水酸化アルミニウムゲル(0.15〜5%)、カラミン(1〜25%)、カカオバター(50%超)、タラ肝油(5〜14%)、コロイド状オートミール、ジメチコン(1〜30%)、グリセリン(20〜45%)、硬質脂肪(50%超)、カオリン(4〜20%)、ラノリン(12.5〜50%)、ミネラルオイル(50%超)、ペトロラタム(30%超)、重炭酸ナトリウム、局所用デンプン(topical starch)(10〜98%)、白色ペトロラタム(30%超)、酢酸亜鉛(0.1〜2%)、炭酸亜鉛(0.2〜2%)、および酸化亜鉛(1〜25%)が含まれる。
【0047】
本発明の組成物は、さらに、昆虫忌避成分を含むことができる。最も広汎に使用されるパーソナルケア製品用の昆虫忌避用活性薬剤は、少なくとも約95%のDEETを含む濃縮物の形態で入手できる、しばしば「DEET」と呼ばれるN,N−ジエチル−m−トルアミドである。その他の合成化学忌避剤には、ブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル(IR3535としても公知)、フタル酸ジメチル、エチルヘキサンジオール、インダロン、ジ−n−プロピルイソシンコロネート(di−n−propylisocinchoronate)、ビシクロヘプテン、ジカルボキシイミド、およびテトラヒドロフルアルデヒドが含まれる。いくつかの植物由来材料、例えば、シトロネラ油およびシトロネラのその他の供給源(レモングラス油を含む)、リモネン、ローズマリー油、およびユーカリ油も、昆虫忌避活性を有する。日焼け止めエマルジョン中に組み込むための昆虫忌避剤の選択は、忌避剤の臭気によってしばしば影響を受ける。使用される忌避剤の量は、薬剤の選択に依存し、DEETは、高濃度で、例えば約15%までまたはそれ以上で有用であり、一方、植物由来物質のいくつかは、典型的には、はるかにより低い量、例えば0.1%以下で使用される。
【0048】
本明細書に記載の本発明組成物のヒトの毛髪または皮膚への局所適用は、紫外線(UVR)の有害効果に対抗する高められた保護を提供する。したがって、本発明は、さらに、日光、より特定的にはUVRの有害効果に対抗してヒトの皮膚および/または毛髪を保護する方法を提供し、該方法は、それらに、日焼け止め剤および1種または複数の酸化防止剤を含有する本明細書に記載の有効量の組成物を局所的に適用することを含む。皮膚をUVR(すなわち、280〜400nmの波長)に暴露することの審美的に有益な結果は、ヒト表皮の日焼け(tanning)である。日光暴露のもう1つの利益は、皮膚内でのビタミンDの産生に由来する。UVRは、典型的には、UV−A(320〜400nmの光線波長)およびUV−B(280〜320nmの波長)領域に分割される。UV−B照射への過剰暴露は、皮膚の火傷および紅斑につながると一般に理解されている。加えて、UV−A線への過剰暴露は、皮膚弾性の低下および皺の発生を引き起こし、早発性皮膚老化を促進する可能性がある。このような照射は、特定の個体において、紅斑反応の引き金を引くことを促進するか、あるいはこの反応を増幅し、かつ光毒性または光アレルギー反応の源である可能性さえある。UV−Aへの過剰暴露は、また、黒色腫につながる可能性があると考えられるようになりつつある。したがって、本発明組成物の個体の皮膚および/または毛髪への適用は、UVR光線(UV−Aおよび/またはUV−B)からの個体の皮膚および/または毛髪の高められた保護を提供する。
【0049】
本発明は、さらに、UVRに暴露されるまたは暴露された皮膚に本発明の組成物を適用することによって、光線性皮膚障害を治療および/または逆転させる方法を提供する。用語「光線性障害を治療および/または逆転する」は、UVRへの暴露によって状態が悪化する、乾燥、テクスチャー、弾力性/堅さ/反発性、線皺/皺、皮膚の色合い/透明感、色素沈着の均一性、および/または紅斑などの皮膚状態の1つまたは複数の特性の改善を得ることを意味すると解釈される。
【0050】
日焼け止め剤を含有する本発明の組成物は、少なくとも2の日光防御指数(SPF)等級を提供することを意図し、さらなる好ましい実施形態は少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、および少なくとも100の日光防御指数を有する。日焼け止め剤を含有する本発明の組成物は、また、少なくとも1つ星、少なくとも2つ星、少なくとも3つ星、さらには4つ星までの米国FDA UV−B「星等級」を提供することを意図する。
【0051】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明するが、該実施例は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明をいかなる意味でも限定するものではない。
【実施例】
【0052】
(DPPH(α,α−ジフェニル−β−ピクリルヒドラジル)フリーラジカル試験)
DPPHは、溶解して溶液にすると強烈な紫色を形成する安定なフリーラジカルである。酸化防止剤で還元されると、紫色は、DPPHが完全に還元されるにつれて最終的に消失するまで褪色する。色の褪色度は、容易に測定することができ、それを使用して、酸化防止特性を有すると称される種々の材料の相対的有効性を等級付けることができる。
【0053】
酸化防止剤素剤の単純なメタノール溶液について測定値を記録した。試料は、酸化防止剤を種々の濃度でメタノールに溶解して調製した。試料を調製した後、125μlの試料または対照としての純メタノールを、続いて2mlのメタノールを試料用試験管中にピペットで移し、渦撹拌した。次いで、各試験管に2mlのDPPH原液(0.25mM/メタノール)を添加し(各試料について4.125mlの総容積となる)、渦撹拌した。DPPH添加の直後に、試験管を覆い、30℃の水浴中に20分間浸漬した。20分間インキュベートした後、各試料の吸光度を、Perkin Elmer Lamda40分光計を使用し、517nmで記録した。すべての試料は三つ組みで調製し、それらの平均吸光度値を使用して、次式
ARU=(メタノール対照の吸光度−試料の吸光度)×10
を使用して酸化防止剤還元単位(ARU)に置き換え、種々の濃度での酸化防止剤の効力を表現した。ARU値は、効力「なし」に相当する0から高い酸化防止効力を有する素剤に相当する約15までの大きさに及ぶ。
【0054】
酸化防止特性を有すると称される各種の油溶性および水溶性素剤について、酸化防止剤の有効性を表1に記載する。素剤には、ビタミンEなどの周知の酸化防止剤、加えて、中でも緑茶、バラ、ブドウおよびキノコなどの一般的な植物抽出物が含まれる。有効性は、効力なしに相当する0からDPPHラジカルを低減する高い効力を有する酸化防止剤に相当する12までの値に及ぶ酸化防止剤還元単位(ARU)として表現される。油溶性および水溶性酸化防止剤の双方の例は、この範囲に及んでいた。
【0055】
【表1】

ビタミンEに比較して、いくつかの材料は、明白に、より低い(ARU<6.5)、一方、他の材料は、より高い(ARU>6.5)酸化防止剤の有効性を有する。ARU値のみに基づくと、ARU>6.5の酸化防止剤は、皮膚内でのUVR誘発性ROS形成を中和する能力においてビタミンEより優れている。しかし、ROSは、フリーラジカルのみならず過酸化水素、一重項酸素またはペルオキシナイトライトのような他の酸化剤をも含む広汎な範囲の反応性化合物を包含することを認識すれば、DPPHフリーラジカル試験からの結果は、UVRに暴露される皮膚上での酸化防止剤の有効性を適切に予測しない可能性がある。それゆえ、DPPHフリーラジカル試験によって測定されるような溶液中でのAoxの有効性が、皮膚上での同様のレベルの有効性に翻訳されるかどうかを知るために、本発明者らは、ARU値の範囲を包含する表1からいくつかの酸化防止剤を選択し(で示す)、UVRに暴露された無傷のヒト皮膚をより厳密に模倣するモデル系で試験した。
【0056】
(脂質の過酸化を抑制する酸化防止剤の能力を評価するためのエキソビボテープ細片法)
酸化防止剤(Aox)が、皮膚上でUVRの存在下にそれらの有効性を維持するかどうかを判定するために、本発明者らは、UVR誘導性過酸化のための基質としてヒト皮膚の脂質を利用する、新規でより直接的に関連するモデルを考案した。皮膚からテープの広い場所に移送された脂質は、後に続くUVRへの暴露のための基質として役立つ。テープ剥離に先立ってAoxを含むまたは含まない標準的ローションを皮膚に適用することによって、皮膚の脂質を、Aoxの存在下または不在下において、脂質およびAoxが皮膚上で有していたと同様の近接性を本質的に維持するテープ細片上に収集する。UVR暴露に続いて、Aoxの存在が、脂質をROSに由来する過酸化から保護する程度を、酸化防止剤の不在下の脂質と比較して測定することができる。
【0057】
試験のためにヒト志願者を採用し、彼らに、少なくとも試験前2日間に彼らの腕にいかなる製品をも適用しないことを求めた。いずれかの製品での治療に先立って、対象の左右前腕の内側をイソプロパノールで湿らせたKimwipe(商標)で拭きとって、皮膚表面に存在する可能性のある任意の残留物を除去した。腕を、緩やかな圧力を加えて1回だけ拭き取り、次いで、次に進む前に少なくとも10分間乾燥させた。それぞれの前腕内側上にテンプレート(90mm×50mm)を、2つの区域を明瞭に線引きできるように配置した。極細先端Sharpie(商標)ペンを使用して、テンプレートの各隅にマークをつけ、前腕ごとに2つの部位に線引きして各適用部位の概略を描いた。指サックを使用して、前腕上の線引きされた部位にプラセボまたは酸化防止剤ローションのどちらか(100mg)を適用した。製品が全適用区域内に均等に適用されることを確実にするように注意した。適用後、部位を30分間空気乾燥させ、その間、対象に、いかなる衣類も試験区域と接触させてはならないことを指示した。
【0058】
ローションを30分間乾燥した後、Scotch(登録商標)銘柄No.800の処方箋用ラベルテープ(幅1.5インチ)の4.0インチ片を使用して各部位をテープ剥離した。剥がすのを容易にするために、テープの一端を折り込んで、皮膚に接着しない端部を準備した。テープ片を、部位を覆って配置し、次いで十分に接触するように指を使用してテープを皮膚に穏やかに圧迫した。次いで、テープを、対象の腕から速やかにはずした。はずした後、すべてのテープを、それらがUVで照射されるか、あるいはイソプロパノールで抽出(すなわち、未照射対照)されるまで、引き出しなどの冷所に貯蔵した。各対象の皮膚の選択されたテープ細片を、1000Wキセノンアークのソーラーシュミレーター(WG320で濾光)を使用して10ジュール/cmの線量で照射した。Optronics OL−754分光放射計を使用して、ソーラーシュミレーターの出力を一定線量のUVRを送達するように調節した。照射後、テープを3インチの長さに整え、20mlのガラス製シンチレーション用バイアル瓶に入れた。次いで、各バイアル瓶に4mlのイソプロパノールを添加した後、それらに蓋をした。次いで、バイアル瓶を再び激しく振盪し、−20℃のフリーザーに入れ、一夜抽出した。翌日、試料を振盪した後、脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)分析のためにアリコートを取り出した。
【0059】
製造業者の指示に従って、脂質ヒドロペルオキシドアッセイキット(Kamiya Biomedical社、サウザンドオークス、カリフォルニア州)を使用して、各テープ抽出物をLOOH総含有量についてアッセイした。次いで、分光計を使用して675nmでメチレンブルーの形成を測定することによって、脂質ヒドロペルオキシドを定量した。標準曲線は、クメンヒドロペルオキシドを使用して調製され、これらの実験中で検出されるLOOH範囲にわたって直線であった。各抽出は三つ組みでアッセイされ、本明細書に示す結果は、それらの分析の平均を表す。標準偏差は、典型的には10%未満であった。
【0060】
酸化防止剤(Aox)またはプラセボのローションが、UVR誘導性の脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)形成を抑制する程度を、各志願者の4つの適用部位から測定されたLOOH値を次式
【0061】
【数2】

に代入することによって計算した。
【0062】
%LOOH形成の計算は、各対象が自らの内部対照であること、および皮膚を剥離するのに使用されたテープ(3インチ)の面積に関してデータを正規化することを可能にする。この方式で、異なる人の部位の間で、%LOOH形成の値を比較できる。
【0063】
ペアードt検定を使用してデータを解析し、酸化防止剤またはプラセボでの治療が、有意に異なる結果をもたらすかどうかを判定した。すべての統計的検定に0.05のα水準および80%の検定力を使用した。
【0064】
UVR誘導性ROS形成から脂質を保護するために選択された酸化防止剤(表1中の印)についての結果を図1に示すが、該図は、いくつかの顕著な特徴を示している。水溶性および油溶性材料は、双方とも、UVR誘導性の過酸化から脂質を保護できるが、素剤は、保護されるべき脂質二重層中に分配可能でなければならない。ビタミンEは、用量依存的様式で皮膚脂質を保護する(黄色棒)。テトラヒドロクルクミノイド(THC)は、ビタミンEと同程度に効果的である。Emblica、GTまたはTHCと組み合わせたビタミンE(橙色棒)は、ビタミンE単独(黄色棒)とほぼ同程度に十分保護する。驚くべきことに、いくつかの材料(赤色棒)は、酸化防止剤とは対照的に酸化促進剤として作用して脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)濃度を低下させるよりもむしろ増加させる。ビタミンEの添加は、酸化防止剤の酸化促進剤特性を低減する(青色棒)が、ビタミンE単独で観察されると同程度ではない。
【0065】
これらの結果は、DPPHフリーラジカル試験が、それだけで、皮膚上で効果的に機能してUV誘導性ROS形成に由来する過酸化から脂質を保護するAoxの能力を予測するものではないことを立証している。
【0066】
(角質層の二光子蛍光顕微鏡観察による造影)
前に発表された方法(Hanson KM、Clegg RM.、Photochemistry and Photobiology、2002年、76巻(1号):57〜63頁)を使用して、ヒト胸部皮膚片(〜0.5cm×0.5cm)上のエキソビボで二光子蛍光強度造影を実施し、角質層中のUV誘導性活性酸素種(ROS)を検出し、その濃度を定量した。ガラス棒の先端を使用し、試験処方物を、皮膚試料の表面に2mg/cmで適用する。照射に先立って、皮膚試料を、100μMジヒドロローダミン(DHR)/リン酸緩衝化生理食塩水−エタノール中でインキュベートした。DHRは、組織中に分配され、そこで、UV誘導性ROSと反応して高蛍光性ローダミン−123を生成し、続いて、該ローダミン−123をUV誘導性ROS形成の尺度として造影、定量する。各皮膚試料から少なくとも2つの特有の区域を、それぞれの深さで造影する。日焼け止め活性剤または酸化防止剤を含まない基礎処方物を、対照として使用した。
【0067】
図2に示す画像は、各処方物を無傷のヒト皮膚片に適用し、照射した後の、角質層の全厚内に生じたUV誘導性ROS形成の程度を示している。画像は、4MEDの全スペクトルUV線への暴露は、豊富なROS形成をもたらすことを明瞭に示している。照射に先立ってSPF30の広域スペクトル型日焼け止め処方物を適用すると、UVが皮膚と相互作用してROSを発生させることができる前にUVを吸収するその処方物の能力により、ROS形成は、対照処方物に対比して39%にまで低下した。しかし、SPF30の処方物+酸化防止剤(0.5%ビタミンE、0.1%Emblica)を適用すると、ROS形成は、対照処方物対比して全部で73%にまで低下した。このことは、日焼け止め活性物を含有するだけの処方物と比較して34%のさらなるROS低下に相当する。
【0068】
したがって、これらの結果は、適切な種類および濃度の酸化防止剤の付加は、UV誘導性ROS形成の有害効果から皮膚を保護するための付加戦略として日焼け止め剤を補足することができることを、説得力を持って立証している。皮膚をUVRに暴露すると、広域スペクトル型SPF30日焼け止め剤の保護層を通してさえ豊富なROSを生成することができる。ROSを中和する力を用いて、酸化防止剤(Aox)は、ROSの障害形成効果に対する測定可能で意味のあるレベルの保護を提供することができ、かつこの方式で、日焼け止め剤中で使用するためのAoxが適切に選択されるとの条件で、日焼け止め剤の保護力を有意に増大させることができる。
【0069】
(酸化防止剤の組合せを用いる基底層中での保護)
A.脂質過酸化の抑制
ビタミンEは、表皮外層、角質層中でUV誘導性ROSを中和する点で高度に有効である。プラセボおよび実験製剤を調製して、脂質過酸化を抑制する製剤の能力を比較した。使用した製剤を表2に示す。
【0070】
【表2】

製剤は、パートAの水にセテアリール硫酸ナトリウムを添加、混合し、続いてSimulgel NSまたはSepigel 305のどちらかを添加し、完全に混合して調製した。次いで、パートBの成分、続いてパートCのGermaben IIを、混合しながら添加する。すべての成分を添加した後、エマルジョンを完全に混合した。
【0071】
前記のようなエキソビボテープ細片法を使用して、ビタミンEを単独でまたはEmblicaと組み合わせて含有する組成物は、ROSにより媒介されるUV誘導性酸化から皮膚外表面上の皮膚脂質を保護する点で高度に有効であることが見出された(表3)。
【0072】
【表3】

B.二光子蛍光顕微鏡観察
次いで、ビタミンEおよびEmblicaを含有する製剤に関して二光子蛍光顕微鏡観察を実行して、ROS形成を抑制する能力を判定した。使用される方法は、無傷の皮膚片内の異なる深さで細胞を可視化するために共焦点顕微鏡観察を、および次いでROS形成の程度を定量するために蛍光を使用する、前記のような方法と同様とした。しかし、本実験において、ヒト胸部皮膚を使用する代わりに、使用される皮膚は、多層化され高度に分化したヒト表皮モデルを形成するように培養された正常なヒト由来表皮角化細胞からなる、EpiDerm(商標)皮膚モデル(MatTek社、マサチューセッツ州、米国)とした。超微細構造的に、EpiDerm(商標)皮膚モデルは、ヒト皮膚に類似的に対応しており、かくして、基底層までのUVRへの暴露中に形成されるROSを中和する酸化防止剤の能力を研究するための有用なインビトロのモデルを提供する。
【0073】
UVR暴露に先立って、EpiDerm(商標)皮膚片を、組織の水性および脂質領域の中に分配するジヒドロローダミンで処理した。UVRに暴露すると、組織中のジヒドロローダミンは、ROSが形成されるどこの場所でもROSと化学的に反応して、高度に蛍光性の分子を生成する。続いて、蛍光を検出、定量して、皮膚のより深層中で形成されたUV誘導性ROSの濃度の指示値を得る。照射前に酸化防止剤を局所的に適用して、ROS形成を測定し、酸化防止剤を含まないプラセボローションを皮膚に適用した後に形成されるROSと比較することができる。この方式で、皮膚のより深層内でROSを中和する酸化防止剤の効力を測定し、それらの相対的効力を確証することができる。
【0074】
この方法を使用して、ビタミンEおよびEmblicaを含有する製剤を試験して、4MEDへの暴露後に表皮の基底層または底部層内でROSを中和するその製剤の能力を判定した。この実験中に使用される実験製剤およびプラセボローションは、次のように調製した。
【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

パートAの水に、撹拌しながらアクリレート/アクリル酸C10〜30アルキルクロスポリマーを添加し、澄明かつ塊がなくなるまで混合して水相を創出した。混合しながら、パートAの水相混合物にプロピレングリコールおよびEDTA二ナトリウムを添加し、10分間十分撹拌した。次いで、水相混合物に、パートBのトリエタノールアミンを添加し、十分な混合を継続した。別途に、パートCの成分を一緒に混合することによって油相を創出し、十分撹拌しながら145〜145°Fまで加熱した。次いで、水相に油相を添加し、混合を継続してエマルジョンを形成した。エマルジョンを室温まで冷却し、次いで、冷えたエマルジョンにパートDのベンジルアルコールを添加し、徹底的に混合した。追加の水を十分量の重量まで添加した。プラセボと実験製剤との相違は、油相中に酸化防止剤を添加することである。
【0077】
図3に示すように、0.5%ビタミンEと0.1%Emblicaとの組合せは、表皮外層中では高度に有効であるが、表皮基底層中でのROS形成を約5%程度低下させた。
【0078】
次に、本発明者らは、それらの主張される酸化防止能力のため化粧品工業の範囲内で使用される広汎な範囲の成分を評価し、驚くべきことに、それらの多くが、UVRに暴露された皮膚上の基底層で酸化促進剤として機能することを観察した。図4に示すように、これらの成分は、ROS濃度を低下させるよりもむしろ、表皮基底層内でいかなる酸化防止剤も含まないプラセボローションに比較してROS濃度を250%程度まで増加させた。酸化促進剤として機能するこれらの成分の多くは、ウイキョウ種子、バラおよび白ブドウに由来する天然植物抽出物を代表する。全体として、これらの結果は、意図的な日光暴露が行われるサンケア製品中で使用される酸化防止剤は、慎重に選択される必要があることを示した。さらに、試験は、本発明の方法が、「酸化防止剤」と見なされるすべての成分が、UVR暴露を伴う現実世界での使用において真の酸化防止特性を提供するわけではないことを明らかにしていることを示している。
【0079】
次に、本発明者らは、酸化防止剤ビタミンEとジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート(Oxynex(登録商標)ST、Merck KGaA、ドイツ)との組合せを含有する実験製剤を試験して、該組合せが、表皮中でのUV誘導性ROS形成に対する有効な保護であるかどうかを判定した。プラセボおよび実験製剤は、前記方法と同様にして調製した。
【0080】
【表6】

【0081】
【表7】

パートAの水に、撹拌しながらアクリレート/アクリル酸C10〜30アルキルクロスポリマーを添加し、澄明かつ塊不含になるまで混合して水相を創出した。混合しながら、パートAの水相混合物にプロピレングリコールおよびEDTA二ナトリウムを添加し、10分間十分に撹拌した。次いで、水相混合物に、パートBのトリエタノールアミンを添加し、十分な混合を継続した。別途に、パートCの成分を一緒に混合することによって油相を創出し、十分撹拌しながら140〜145°Fまで加熱した。次いで、水相に油相を添加し、混合を継続してエマルジョンを形成した。エマルジョンを室温まで冷却し、次いで、冷えたエマルジョンにパートDのベンジルアルコールを添加し、徹底的に混合した。追加の水を十分量の重量まで添加した。プラセボと実験製剤との相違は、油相中に酸化防止剤を添加したことである。
【0082】
表8、ならびに図5および図6に示すように、インビトロでのROSの結果は、ビタミンEおよびOxynex(登録商標)STの双方を一緒に含有するローションが、ビタミンEおよびEmblicaによって達成できるよりもより、UV誘導性ROS形成からの実質的により高度の保護を提供したことを示している。
【0083】
【表8】

ビタミンEを含有するローションにOxynex(登録商標)STを添加すると、基底層内で4MEDのUVRに暴露した後に33%のROSが、1MEDのUVRに暴露した後に47%のROSが中和された。これらの結果は、ビタミンE単独とEmblicaだけを含有するローションに対する5%のROS中和よりも有意により優れていた。
【0084】
0.5%ビタミンEおよび0.9%Oxynex(登録商標)STの組合せを含有する組成物も、上記の脂質過酸化試験で試験され、UV誘導性脂質過酸化を75%だけ保護することがわかった。このことは、0.5%ビタミンE+0.1%Emblicaについて得られた結果と比較できる。しかし、組成物は、脂質過酸化を抑制する能力において類似していたが、ビタミンEをOxynex(登録商標)STと組み合わせることによって、本発明者らは、表皮の厚さの全域でROS形成からの保護の予想外の増加を観察した。
【0085】
これらの結果は、また、Oxynex(登録商標)STが、UVRに暴露された場合に、酸化促進剤とならないで皮膚内でその酸化防止能力を維持することを確認している。まとめて考えれば、これらの結果は、表皮の厚さ全域内でのUV誘導性ROS形成に対する保護のためにビタミンEをOxynex(登録商標)STと組み合わせることの予想外の利益を立証している。
【0086】
(高SPF型酸化防止剤製剤の化粧臨床効力評価)
2種の局所用酸化防止剤日焼け止め製剤を、日焼け止め剤および酸化防止剤を含めて本発明の方法により作り出した。
【0087】
【表18】

米国FDA承認の試験プロトコールにより実行されたインビボSPF試験において、第1の製剤は少なくともSPF70とランク付けられ、第2の製剤は少なくともSPF30とランク付けられると判定された。便宜上、それらを、本明細書中でSPF70およびSPF30と呼ぶ。SPFのインビトロおよびインビボ測定の方法は、例えば、米国特許出願公開第2007/0160549号および2008/0081024号中に記載されている。
【0088】
皮膚乾燥(水分)、皮膚テクスチャー(荒さ、滑らかさ)、弾力性(すなわち、堅さまたは反発性)、皮膚の色合いおよび透明感、色素沈着の均一性、微細線皺/皺、紅斑、光線性障害、および隠れた障害(潜在性色素沈着)を含む様々な皮膚健康状態の徴候に関する、前記のような高SPF型酸化防止剤製剤の効果を判定するために、臨床効力評価を実行した。治験は、7日間の追加のベースライン平衡期間を伴う、単盲検、並行、ランダム化、対照化された12週間の使用試験である。109名の対象が登録され、105名が治験を継続した。4名の対象は、すべて規則的に予定されたように来診できないので取り下げられた。有害な経験は報告されなかった。後記の結果は、被試験製品の12週間の使用の結果としての、ベースライン状態の皮膚と比較して有意な改善を立証している。
【0089】
資格のある対象を、2つの製品群および非治療対照群に分割した。熟練した臨床評価者が、早発性老化の視覚的および触覚的特性に寄与する個体パラメーターを評価するために、および眼に見える光線性障害の程度の総合的全体的評価を提供するために、各来診時に各対象の顔を等級付けた。対象が、軽度または中位の光線性障害を呈し、それゆえ、参加資格があることを確認するために、ベースライン時点での臨床的等級付け評点を使用した。
【0090】
特定の属性は、生体計測、すなわち、微細線皺および皺をも測定するための画像解析を伴うシラスティック(Silastic)樹脂レプリカ、水分含有量を測定するためのノバ(Nova)メーター、および皮膚の弾力性を測定するためのダーマラボ(Dermalab)吸引デバイスを使用して定量化した。訓練された撮影者が、各対象を、ベースライン、2、4、8、および12週間の時点で、固定角基準および交差偏光Canfield臨床カメラ装置を使用して撮影し、顔側面上の特定部位(カラスの足跡区域を含む)の様相を記録した。撮影者は、全顔面UV反射写真を、ベースライン時点および12週目の来診時に、または製品が洗い流されてもはや蛍光がなくなるまで(いずれにせよ遅い方)撮影する。熟練した臨床評価者は、ベースラインおよび12週目(±洗い流されるまでの日数)の時点で撮影したUV写真を等級付けし、存在する潜在的な「隠れた」障害の程度を評価し、次いでベースラインと比較した変化量を全体的に評価した。
【0091】
試験組成物は、製造業者の正体を隠すように上包装され、適切な試験品目コードおよび使用説明を記載したラベルを貼付された。治験製品のほぼ半分は、治験開始に先立って引き渡され、製品の残りの半分は治験の中間時点に先立って引き渡された。
【0092】
治療期間の開始に先立つ7〜10日間、対象は、ベースライン平衡期間を経験し、その間、対象は、すべての顔用日焼け止め剤、皮膚トリートメント製品、彼らの現用の顔用クレンジングバーまたはクリーム、および任意の保湿用の顔用化粧品の使用を休止し、何らかの洗顔のために毎朝、かつ日中の必要に応じて毎日Camay石鹸を使用し、かつ治験継続期間中の日焼けベッド(tanning bed)の使用を控えた。
【0093】
平衡期間に続いて、乾燥および外因性皮膚老化の十分な徴候を呈することによって、対象を有資格とした。資格付与に続いて、対象を、2つの試験群の一方または非治療対象群に割り当てた。治験期間中、治療および非治療群の双方に割り当てられた対象は、提供されたCamay石鹸のみで洗顔した。治療群の双方の対象は、割り当てられた試験品を彼らの顔面(および所望なら頸部)に、1日1回(それぞれ朝に)適用され、次いで、必要時に再適用される。
【0094】
対象は、日々の適用回数を、各来診時に治験施設から提供される日誌に記録した。非治療群の対象は、治験期間中に彼らが洗顔した回数、および彼らの常用の保湿剤、日焼け止め剤および着色用化粧品を適用した回数を記録した。日誌を回収し、治療群について概略を示したのと同様の方式で再配布した。
【0095】
すべての対象が、2、4、8および12週後に、臨床皮膚評価、ノバメーター、ダーマラボ(Dermalab)、シラスティック樹脂レプリカ、および標準光写真撮影を受けた。対象は、製品の割当てを知らないか、あるいはどの対象が治療群に入っているか、どの対象が非治療群に入っているかを知らない熟練臨床評価者によって、ベースラインおよび12週目(±洗い流しのための日数)の時点でUV写真を撮影した。
【0096】
各来診時に、下記に挙げる光線性障害のいくつかの徴候について評価した。等級付けの尺度については、各カテゴリー中に概略を示す。
【0097】
A.光線性障害の程度の総合的評価
対象を、0が光線性障害のないことに相当し、10が重篤な光線性障害に相当する、0〜10の尺度で等級付けた。結果は次の通りであった。
【0098】
【表9】

B.顔面乾燥
対象に、次のように0〜4の等級を付与した。
0:正常皮膚;乾燥の徴候なし
1:軽度の乾燥:軽微であるが明らかな乾燥、存在する微細鱗片形成は、粉または灰状の様相を有する
2:中度の乾燥;ややより肌理の粗い鱗片形成、隆起した鱗片のような若干のひび割れ形成事象
3:著しい乾燥;著しく肌理の粗い鱗片形成、隆起した鱗片のようなひび割れ形成事象
4:重篤な乾燥;極めて著しく極めて肌理の粗い鱗片形成、亀裂まで進行しているひび割れ形成、紅斑が存在することもある。
【0099】
結果は、次の通りであった。
【0100】
【表10】

C.テクスチャー(荒さ/滑らかさ)
対象を、滑らかで平坦な表面を指す0から、荒く、肌理の粗い、平坦でない表面を指す10までの評点に等級付けた。
【0101】
【表11】

D.弾力性/堅さ/反発性
対象を、堅く、反発性のある、張りのある皮膚を指す0から、締りのない、弛緩した、トルゴールのない皮膚を指す10までの評点に等級付けた。結果は次の通りであった。
【0102】
【表12】

E.線皺および皺
対象を、線皺または皺のないことを指す0から、多数の皺を含む荒れた皮膚を指す10までの評点に等級付けた。結果は、次の通りであった。
【0103】
【表13】

F.皮膚の色調/透明感
対象を、澄んで、輝く、半透明の皮膚を指す0から、血色が悪く、さえない、かつ/または一様でない皮膚色調を有する皮膚を指す10までの評点に等級付けた。結果は、次の通りであった。
【0104】
【表14】

G.色素沈着の均一性
対象を、均一で一様な色素沈着を指す0から、一様でなく、しみだらけの、斑点化した皮膚を指す10までの評点に等級付けた。結果は次の通りであった。
【0105】
【表15】

H.紅斑
対象を、紅斑がないことまたは正常色調であることを指す0から、著しく、極めて赤い皮膚を指す10までの評点に等級づけた。結果は次の通りであった。
【0106】
【表16】

顔面皮膚の状態を、次のようにベースラインおよび2、4、8および12週の時点で、Dermalab、ノバメーター、およびレプリカ画像解析を使用して、すべての対象について測定した。
【0107】
弾力性は、すべての対象で顔面の片側(各来診時に同じ位置)について、Dermalab(Cortex Technology、デンマーク)を使用して測定した。Dermalabは、皮膚表面に陰圧を加え、皮膚を引っ張り上げることのできる高さ、およびそれが平衡に戻る速度を計算して、弾力性の測定値を提供する。Dermalabの測定は、画像解析レプリカと反対側の顔面で行った。
【0108】
顔面の片側(各来診時に同じ場所)で保湿性を測定して、皮膚表面の水和レベルを記録した。相対的な皮膚水和度を、ダーマルフェーズメーター(Dermal Phase Meter)9003(ノバメーター)を使用して評価した。測定は、密接して間隔をあけた電極対を用いて皮膚に交流電圧を加えること、およびインピーダンスを測定することによって行った。水分含有量の変化は、容量性回路のインピーダンスを変化させる。10%以内である最初の2つの連続読取り値を記録した。各来診時に、同一側の顔面を測定した。各回の読取り毎に、試験室の温度および湿度を記録する。
【0109】
輪郭(表面テクスチャー)分析は、皮膚増大を定量するための、線皺および皺を低減することの化粧作用を定量化するための方法を提供する。この方法のために、カラスの足跡区域から作製された皮膚レプリカを、画像解析を使用して輪郭および表面テクスチャーについて分析した。カラスの足跡区域の皮膚レプリカは、シラスティック樹脂の印象材(Cuderm)を使用して調製した。シラスティック樹脂は、直径1cmのレプリカリングを使用して適用される、適用および脱離の後に無傷でとどまる急速硬化性液体である。
【0110】
顔面皮膚の状態を、ベースラインおよび2,4,8および12週の時点で、標準および交差偏光写真撮影を使用して、すべての対象について記録した。皮膚表面下に蓄積された隠れた障害を、ベースラインおよび12週の時点で撮影されたUV写真に基づき、熟練した等級付け者が評価した。
【0111】
可視および交差偏光の双方を使用するデジタル写真を、すべての来診時にすべての対象について撮影する。対象の顔面を、Canfield定位再配置装置中に配置し、Canfield臨床システムカメラおよびフラッシュシステムを使用して撮影した。使用されるカメラは、60mmマクロNikkorレンズおよび改良型SB−23フラッシュヘッドを備えたNikon D80 SLR35mmモデルとした。カメラは、f16で絞り優先自動に設定する。各時間間隔の各対象について、対象および時間間隔を確認して経歴を1:6の倍率で写真撮影した。正面写真を1:6の倍率で撮影し、各顔側面の側面45°角の写真2枚を、標準照明を使用して1:4および1:3の倍率で撮影し、かつ交差偏光を使用して繰り返した。
【0112】
対象は、Canfield定位再配置装置中に頭を置き、Canfield臨床システムカメラ装置を使用して写真を撮影される。使用するカメラは、Nikon 6006 SLR35mmモデルとした。各時間間隔で各対象について、対象および時間間隔を確認して、経歴を1:6の倍率で写真撮影した。正面写真を1:6倍率で撮影し、各顔側面の側面45°角の写真2枚を、1:6の倍率で撮影した。続いて、正面UV光(UV反射)写真2枚を、レンズを覆うKodak 18Aフィルター、Sunpak MS4000モノライト、およびT−Max400白黒印刷フィルムを採用し、1:6の倍率で撮影した。露出は、f8および1/250秒のシャッタースピードを採用した。
【0113】
熟練した評価者が、全顔面写真を個別的に、各時点(ベースラインおよび12週)での色素沈着の均一性について、0(均一/一様)から10(一様でなく、しみだらけに斑点化)までの尺度で等級付けた。熟練した評価者は、また、各個々の対象について12週の写真をベースラインに対して比較評価を行った。等級付けの尺度は次のように−4から+4までである。
−4:過剰色素沈着の極端な増加
−3:過剰色素沈着の中度の増加
−2:過剰色素沈着の軽度の増加
−1:過剰色素沈着のわずかに感知できる増加(悪化)
0:ベースラインと12週の間で差異なし
1:過剰色素沈着のわずかに感知できる減少(改善)
2:過剰色素沈着の軽度の減少
3:過剰色素沈着の中度の減少
4:過剰色素沈着の極端な減少
製剤例
日焼け止め製剤の例を、本明細書に記載の方法により次の成分を含めて調製する。
【0114】
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚への局所適用のために処方された組成物の酸化防止活性を確認するための方法であって、皮膚上での紫外線誘導性脂質過酸化および表皮中での紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を抑制する能力について前記組成物を試験することを含む方法。
【請求項2】
皮膚に局所適用するための組成物中での酸化防止作用について化合物をスクリーニングするための方法であって、皮膚脂質の紫外線誘導性ヒドロペルオキシド形成および表皮中での紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を抑制する前記化合物の能力を判定することを含む方法。
【請求項3】
表皮中での紫外線誘導性活性酸素種形成の抑制を判定することが、二光子蛍光強度造影を使用して皮膚組織を画像化することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
皮膚脂質のUVR誘導性ヒドロペルオキシド形成の抑制を判定することが、プラセボと比較した、前記化合物のパーセント脂質ヒドロペルオキシド抑制を測定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
対象の皮膚の別々の区域に酸化防止剤含有組成物およびプラセボ組成物を適用して、酸化防止剤および皮膚脂質を含有する酸化防止剤皮膚部位ならびにプラセボおよび皮膚脂質を含有するプラセボ皮膚部位を生成するステップ;前記酸化防止剤皮膚部位および前記プラセボ皮膚部位に細片を適用して、酸化防止剤および皮膚脂質を含有する酸化防止剤細片試料ならびにプラセボおよび皮膚脂質を含有するプラセボ細片試料を生成するステップ;前記細片試料を皮膚からはずし、前記細片試料をUVRに暴露して、前記酸化防止剤細片試料上における酸化防止剤/脂質のUVR誘導性反応生成物および前記プラセボ細片試料上におけるプラセボ/脂質のUVR誘導性反応生成物を形成するステップ;前記酸化防止剤細片試料および前記プラセボ細片試料を別々に溶媒と接触させて、UVR誘導性酸化防止剤/脂質反応生成物を含有する第1の抽出物およびUVR誘導性プラセボ/脂質反応生成物を含有する第2の抽出物を調製するステップ;前記第1および第2の抽出物を各抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量についてアッセイするステップ;ならびに前記第1の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量を前記第2の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量と比較するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに、プラセボを前記対象の皮膚上の2つの別々の部位に適用するステップ;各部位から細片試料を生成するステップ;前記2つのプラセボ部位の一方だけからの細片試料にUVRを当てて、照射プラセボ細片試料のサブセットおよび未照射プラセボ細片試料のサブセットを生成するステップ;前記未照射プラセボ細片試料を別々に溶媒と接触させて、プラセボおよび皮膚脂質を含有する第3の抽出物を調製するステップ:ならびに前記第3の抽出物を脂質ヒドロペルオキシド含有量についてアッセイして、バックグラウンド脂質ヒドロペルオキシド形成を測定するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量を前記第2の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量と比較することが、次式
【数3】

によってパーセント脂質ヒドロペルオキシ形成を計算することを含み、
式中、%LFはパーセント脂質ヒドロペルオキシド形成であり、LOOH1は前記第1の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量であり、LOOH2は前記第2の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量であり、LOOH3は前記第3の抽出物の脂質ヒドロペルオキシド含有量である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
局所適用のための組成物であって、前記組成物が酸化防止剤化合物または酸化防止剤化合物の組合せを含み、前記酸化防止剤化合物または酸化防止剤化合物の組合せが皮膚脂質の紫外線誘導性過酸化および表皮中での紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を実質的に抑制する、組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の日焼け止め活性剤をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記日焼け止め活性剤が、パラアミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パジメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、サリチル酸トロラミン、二酸化チタン、酸化亜鉛、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン、トリオレイン酸ジガロイル(digalloy trioleate)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、アミノ安息香酸グリセリル、ジヒドロキシアセトンとローソン、赤色ペトロラタム、エチルヘキシルトリアゾン、ジオクチルブタミドトリアゾン、ベンジリデンマロネートポリシロキサン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ビスジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾエート、ビスベンズオキサゾイルフェニルエチルヘキシルイミノトリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールおよびビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、4−メチルベンジリデンカンファー、および4−メトキシ桂皮酸イソペンチル、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
酸化防止剤としてビタミンEを約0.25重量%の量で含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
酸化防止剤としてビタミンEを約0.5重量%の量で含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
酸化防止剤としてビタミンEおよび少なくとも1種の追加の酸化防止剤化合物を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
ビタミンEが少なくとも約0.25重量%の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ビタミンEが約0.5重量%の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の追加の酸化防止剤化合物が、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート、ジイソプロピルバニリデンマロネート、テトラヒドロクルクミノイド、大豆zymbiozome fermentum、レッドクローバー抽出物、Vitis vinifera(ブドウ)種子抽出物/ブランドB、緑茶抽出物、Pikea robusta抽出物、トコフェロール(および)vitis vinifera(ブドウ)種子抽出物、Vitis vinifera(ブドウ)種子抽出物/ブランドA、Phylanthus emblica果実抽出物、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
局所適用のための組成物であって、前記組成物がビタミンEおよび少なくとも1種の酸化促進剤化合物を含み、ビタミンEと該酸化促進剤化合物との組合せが、表皮中での皮膚脂質の紫外線誘導性過酸化および紫外線誘導性活性酸素種形成の双方を実質的に抑制する、組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種の酸化促進剤化合物が、Rosemary officinalisオレオレジン、Rosa Gallica抽出物、緑色植物由来の生物活性光合成複合体、Thermus Thermophillus発酵物、エルゴチオタイン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
ビタミンEが少なくとも約0.25重量%の量で存在する、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
ビタミンEが約0.5重量%の量で存在する、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネートをさらに含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
約15%(W/W)のホモサレート、約10%(W/W)のオクトクリレン、約3%のアボベンゾン、約6%(W/W)のオキシベンゾン、および約5%(W/W)のオクチサレート、ならびに約0.9%(W/W)のジエチルヘキシルシリンギリデンマロネートおよび約0.5%(W/W)のビタミンEを含む酸化防止剤混合物を含む、局所用の酸化防止剤日焼け止め製剤。
【請求項23】
局所適用のための組成物であって、前記組成物が、表皮上層中での紫外線誘導性活性酸素種形成を実質的に抑制する少なくとも1種の酸化防止剤化合物、および表皮下層中での紫外線誘導性活性酸素種形成を実質的に抑制する少なくとも1種の酸化防止剤化合物を含む、組成物。
【請求項24】
ビタミンEを約0.25重量%の量で含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
ビタミンEを約0.5重量%の量で含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネートを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネートをさらに含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネートをさらに含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
少なくとも1種の日焼け止め活性剤をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
前記日焼け止め活性剤が、パラアミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パジメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、サリチル酸トロラミン、二酸化チタン、酸化亜鉛、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン、トリオレイン酸ジガロイル(digalloy trioleate)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、アミノ安息香酸グリセリル、ジヒドロキシアセトンとローソン、赤色ペトロラタム、エチルヘキシルトリアゾン、ジオクチルブタミドトリアゾン、ベンジリデンマロネートポリシロキサン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ビスジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾエート、ビスベンズオキサゾイルフェニルエチルヘキシルイミノトリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールおよびビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、4−メチルベンジリデンカンファー、および4−メトキシ桂皮酸イソペンチル、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
治療を必要とする対象の光線性皮膚障害を治療するための方法であって、UVRに暴露されるまたは暴露された対象の皮膚に請求項8に記載の組成物を適用することを含む方法。
【請求項32】
予防を必要とする対象の光線性皮膚障害を予防するための方法であって、UVRに暴露されるまたは暴露された対象の皮膚に請求項8に記載の組成物を適用することを含む方法。
【請求項33】
治療を必要とする対象の光線性皮膚障害を治療するための方法であって、UVRに暴露されるまたは暴露された対象の皮膚に請求項17に記載の組成物を適用することを含む方法。
【請求項34】
予防を必要とする対象の光線性皮膚障害を予防するための方法であって、UVRに暴露されるまたは暴露された対象の皮膚に請求項17に記載の組成物を適用することを含む方法。
【請求項35】
治療を必要とする対象の光線性皮膚障害を治療するための方法であって、UVRに暴露されるまたは暴露された対象の皮膚に請求項23に記載の組成物を適用することを含む方法。
【請求項36】
予防を必要とする対象の光線性皮膚障害を予防するための方法であって、UVRに暴露されるまたは暴露された対象の皮膚に請求項23に記載の組成物を適用することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−511770(P2011−511770A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544395(P2010−544395)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/031538
【国際公開番号】WO2009/094374
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(398029706)シェーリング−プラウ ヘルスケア プロダクツ,インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】