説明

屋内配線用ユニットケーブル

【課題】 大がかりな結線工具を必要とせず、また、容易に結線作業を行え、さらには、生産性及び取り扱い性を向上させ、結線の修復を行うことも可能な屋内配線用ユニットケーブルを提供する。
【解決手段】 絶縁線心17を露出したVVFケーブル16を並べてなるケーブル群12に、ケーブル群12を束ねて保持するケーブルホルダー14を設ける。ケーブル群12の端末には、ブロック型差込コネクタ22を連結させてなるモジュール本体20と、モジュール本体20に取り付けられて所望の絶縁線心17同士を結線する結線部材21と、を備えた結線機能を有するブロック型差込コネクタモジュール13を設ける。ブロック型差込コネクタモジュール13を収容するジョイントボックス15には、モジュール収容部52とケーブルホルダー14を係止する係止部53とを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内配線に用いられるユニットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、玄関や居間や寝室などの各部屋別にユニット化した部屋ユニットを住宅メーカーの工場で製造し、それらを施工現場で施主の希望や敷地形状に応じて組み付けることにより、一つの家屋が出来上がるようなプレハブ住宅工法が知られている。プレハブ住宅工法においては、各部屋ユニット別の配線も予め工場内で行われるようになっており、その配線によって屋内配線作業の簡素化を達成することができるようになっている。屋内配線作業の簡素化を達成するためには、ジョイントボックスを備えた屋内配線用ユニットケーブルが用いられている。
【0003】
従来の屋内配線用ユニットケーブルとしては、その内部に絶縁性の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)を充填・モールドして、分岐接続した結線部を固定及び保護するような構造のものになっている(例えば特許文献1及び図13参照)。尚、上記屋内配線用ユニットケーブルは、用途に応じて二芯ケーブル、三芯ケーブル等のものが使用されている。結線部は、圧着スリーブを用いて結線がなされている。
【特許文献1】登録実用新案第3005912号公報 (第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術にあっては、圧着スリーブによる結線構造が採用されていることから、図13に示されるように、一緒に接続する絶縁線心1を各VVFケーブル2から引っ張り集める必要性がある。すなわち、複数の絶縁線心1を圧着スリーブ3で接続する箇所まで引っ張り集める必要性がある。
【0005】
複数の絶縁線心1を引っ張り集める際には、絶縁線心1同士が重なり合い易いことから、結線作業がし難いという問題点を有している。また、作業時間が掛かってしまうという問題点も有している。
【0006】
その他、熱硬化性樹脂の硬化時間が必然的に発生して生産性を向上させることができないという問題点も有している。また、完成後に結線の誤配線が発覚しても、樹脂モールド4によって結線の修復が不能であり、新たに製造し直すしかないという問題点も有している。さらに、樹脂モールド4によって全体重量が重くなり、取り扱い性が悪いという問題点も有している。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、大がかりな結線工具を必要とせず、また、容易に結線作業を行え、さらには、生産性及び取り扱い性を向上させ、結線の修復を行うことも可能な屋内配線用ユニットケーブルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の屋内配線用ユニットケーブルは、絶縁線心を露出したVVFケーブルを並べてなるケーブル群に、該ケーブル群を束ねて保持するケーブルホルダーを設け、前記ケーブル群の端末には、ブロック型差込コネクタを連結させてなるモジュール本体と、該モジュール本体に取り付けられて所望の前記絶縁線心同士を結線する結線部材と、を備えた結線機能を有するブロック型差込コネクタモジュールを設け、該ブロック型差込コネクタモジュールを収容するジョイントボックスには、モジュール収容部と前記ケーブルホルダーを係止する係止部とを形成することを特徴としている。
【0009】
このような特徴を有する本発明によれば、ケーブル群の端末に設けたブロック型差込コネクタモジュールをジョイントボックスのモジュール収容部に収容するとともに、ケーブル群を束ねて保持したケーブルホルダーをジョイントボックスの係止部に係止させることにより屋内配線用ユニットケーブルの製造が完了する。
【0010】
結線に関しては、ケーブル群の各VVFケーブルの端末から露出する絶縁線心をモジュール本体の対応するブロック型差込コネクタに差し込んでコネクタ内部回路との接続を図るとともに、結線部材をモジュール本体に取り付けることによってなされる。所望の絶縁線心同士は、ブロック型差込コネクタのコネクタ内部回路と結線部材の回路とにより結線される。
【0011】
ジョイントボックスとの固定に関しては、ケーブル群を束ねて保持するケーブルホルダーが係止部に係止されることから、結線部分の脱落が防止される。また、結線部分のジョイントボックスによる保護状態が維持される。樹脂モールドを施した場合と同様の固定状態が実現される。ケーブルホルダーを係止部に係止させる他には、これと合わせてブロック型差込コネクタモジュールもモジュール収容部に係止させることが挙げられる。この場合、より一層効果的な固定状態の実現が図られる。
【0012】
結線の変更に関しては、ケーブルホルダーの係止状態を解除してジョイントボックスからブロック型差込コネクタモジュールを取り出すとともに、ブロック型差込コネクタモジュールから結線部材を取り外して結線部材の回路変更を行うことによりなされる。また、回路変更を行った後のブロック型差込コネクタモジュールは、再度、モジュール収容部に収容され、そして、ケーブルホルダーを係止部に係止させれば屋内配線用ユニットケーブルの使用が可能になる。
【0013】
請求項2記載の本発明の屋内配線用ユニットケーブルは、請求項1に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、前記結線部材は、前記モジュール本体の前記ブロック型差込コネクタに差し込まれて該ブロック型差込コネクタの内部回路に接触する結線用渡り線及び/又は結線用バーを備えることを特徴としている。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、結線部材の結線用渡り線や結線用バーをブロック型差込コネクタの内部回路に接触させることにより、所望の絶縁線心同士の結線がなされる。
【0015】
請求項3記載の本発明の屋内配線用ユニットケーブルは、請求項2に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、前記結線部材は、前記結線用渡り線と前記結線用バーとを隔てる絶縁カバーを更に有することを特徴としている。
【0016】
このような特徴を有する本発明によれば、絶縁カバーによって結線用渡り線と結線用バーとの短絡が防止される。
【0017】
請求項4記載の本発明の屋内配線用ユニットケーブルは、請求項2又は請求項3に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、前記結線用バーは、全長を可変可能に形成するとともに、前記モジュール本体の前記ブロック型差込コネクタに対する差込部分を除去可能に形成することを特徴としている。
【0018】
このような特徴を有する本発明によれば、汎用性のある部品で結線部材が構成される。
【0019】
請求項5記載の本発明の屋内配線用ユニットケーブルは、請求項1に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、前記結線部材は、前記ブロック型差込コネクタの連結方向にのびるバスバーを有するとともに、該バスバー及び/又は前記ブロック型差込コネクタの内部回路に接触する端子接続部を有する結線用バスバーと、該結線用バスバーを取り付けて前記ブロック型差込コネクタに嵌合するコネクタカバーとを備えることを特徴としている。
【0020】
このような特徴を有する本発明によれば、結線用バスバーをブロック型差込コネクタの内部回路に接触させることにより、所望の絶縁線心同士の結線がなされる。結線は、予め結線用バスバーを取り付けたコネクタカバーをブロック型差込コネクタに嵌合させるだけでなされる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載された本発明によれば、結線作業において大がかりな結線工具を必要としないという効果を奏する。また、容易に結線作業を行うことができるという効果を奏する。さらに、生産性及び取り扱い性を向上させることができるという効果を奏する。さらにまた、結線の修復も行うことができるという効果を奏する。
【0022】
請求項2に記載された本発明によれば、所望の絶縁線心同士の結線を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0023】
請求項3に記載された本発明によれば、結線状態を正確なままで維持することができるという効果を奏する。
【0024】
請求項4に記載された本発明によれば、結線部材に汎用性を持たせることができるという効果を奏する。
【0025】
請求項5に記載された本発明によれば、所望の絶縁線心同士の結線を容易に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の屋内配線用ユニットケーブルの一実施の形態を示す斜視図である。また、図2はジョイントボックス蓋体を開いた状態の屋内配線用ユニットケーブルの斜視図、図3は屋内配線用ユニットケーブルの分解斜視図、図4はブロック型差込コネクタの連結に係る説明図、図5は結線部材に係る説明図である。
【0027】
図1ないし図3において、引用符号11は本発明の屋内配線用ユニットケーブルを示している。その本発明の屋内配線用ユニットケーブル11は、ケーブル群12とブロック型差込コネクタモジュール13とケーブルホルダー14とジョイントボックス15とを備えて構成されている。以下、図1ないし図5を参照しながら各構成部材について説明する。
【0028】
上記ケーブル群12は、複数のVVFケーブル16を横一列に並べて構成されている。VVFケーブル16は、本形態において、絶縁線心17を三つ有して構成されるものと、絶縁線心17を二つ有して構成されるものの二種類が用いられている(一例であるものとする。本形態では、VVF3心×4本、VVF2心×5本が用いられている。これらは電源線、スイッチ、消灯、コンセントに用いられている)。各VVFケーブル16の端末は、所定の長さでシース18が皮剥されており、絶縁線心17が露出するように形成されている。各VVFケーブル16の三つ又は二つの絶縁線心17は、その導体19が所定の長さで露出するように皮剥されている。
【0029】
上記ブロック型差込コネクタモジュール13は、モジュール本体20と結線部材21とを備えて構成されている。モジュール本体20は、ブロック型差込コネクタ22を横一列に連結させて構成されている。結線部材21は、複数の結線用渡り線23と、複数の結線用バー24と、複数の絶縁カバー25とを備えて構成されている。
【0030】
ブロック型差込コネクタ22は、絶縁性を有する合成樹脂材料からなるコネクタハウジング26と、コネクタ内部回路を構成する複数のコネクタ用バスバー27とを備えて構成されている。コネクタハウジング26の上壁28には、ブロック型差込コネクタ22を連結させてモジュール本体20を構成した際に、隣り合うコネクタハウジング26との間で導体差込口29が生じる半円弧状の凹部30が複数形成されている。コネクタハウジング26の下壁31には、ブロック型差込コネクタ22を連結させてモジュール本体20を構成した際に、隣り合うコネクタハウジング26との間で絶縁線心差込口32(図2参照)が生じる半円弧状の凹部が複数形成されている。
【0031】
コネクタハウジング26の両側壁33には、レール34とレール案内溝35とが形成されている。レール34及びレール案内溝35は、上下方向(上壁28と下壁31とを結ぶ方向)に真っ直ぐ伸びるように形成されている。レール案内溝35は、上壁28側がレール34の差込口36となっている。下壁31側のレール案内溝35には、レール34の端部が当接するストッパ37が形成されている。ブロック型差込コネクタ22同士は、スライド構造(スライド方向は図4の矢線P参照)によって連結するようになっている。
【0032】
コネクタ用バスバー27は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。コネクタ用バスバー27は、導体差込口29及び絶縁線心差込口32の位置に合わせて取り付けられている。本形態のコネクタ用バスバー27は、コネクタハウジング26の所定位置に圧入されるような状態で固定されている。コネクタ用バスバー27は、導体差込口29を介して結線用渡り線23の後述する差込部分38や結線用バー24の後述する差込部分40が接触するようにその形状が形成されている。また、コネクタ用バスバー27は、絶縁線心差込口32を介して絶縁線心17の導体19が接触するようにその形状が形成されている。
【0033】
結線用渡り線23は、導電性を有する金属材料(銅など)を用いて門型(コ字状)に形成されている。結線用渡り線23は、導体差込口29を介してコネクタ用バスバー27に接触する一対の差込部分38が導体むき出しの状態となっており、その他は絶縁体で覆われている。
【0034】
結線用バー24は、導電性を有する金属材料(銅など)を加工することにより形成された銅バー39を所望の長さでカットすることによりなっている。銅バー39は、例えばブロック型差込コネクタ22の幅に合わせてカットすることができるように形成されている。銅バー39には、導体差込口29を介してコネクタ用バスバー27に接触する複数の差込部分40が形成されている。差込部分40は、所望の導体差込口29に差込することができるようになっている。すなわち、差込部分40は、接続不要な部分を除去することができるように形成されている。本形態の結線用バー24は、その全長が可変可能であるとともに、差込部分40が除去可能に形成されている(汎用性のある部材になる)。結線用バー24は、差込部分40が導体むき出しの状態となっており、その他は絶縁体で覆われている。
【0035】
絶縁カバー25は、絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成されている。絶縁カバー25は、断面コ字状に形成されている。絶縁カバー25は、結線用渡り線23を覆い、その結線用渡り線23と結線用バー24とを隔てるために設けられている。結線用渡り線23と結線用バー24とが短絡しないようであれば、絶縁カバー25は特に設けなくてもよいものとする。絶縁カバー25は、ブロック型差込コネクタ22の連結状態に合わせて横一列に並んで取り付けられるように形成されている。絶縁カバー25同士が並ぶとこれらの間には、結線用バー24の差込部分40に対する差込口41が複数形成されるようになっている。絶縁カバー25には、ブロック型差込コネクタ22の上壁28の縁部によって案内される案内溝42が形成されている。絶縁カバー25は、スライド構造によって取り付けがなされるようになっている。
【0036】
上記ケーブルホルダー14は、合成樹脂材料によって形成されている。また、ケーブルホルダー14は、櫛歯状となる複数の突起部43と、その複数の突起部43の両側に位置する係止用突起部44と、これらを支える帯板状のベース部45とを有している。複数の突起部43は、ケーブル群12の横一列に並んだ各VVFケーブル16の間に差し込まれるように配置形成されている。係止用突起部44は、ジョイントボックス15の後述する係止部53に係止されるように形成されている。具体的に係止用突起部44は、ケーブル群12の横方向に突出するような厚肉の突起として形成されている。係止用突起部44は、ジョイントボックス15の後述する係止部53に引っ掛かって係止されると、ケーブル群12自体がジョイントボックス15に固定されるような機能を有している。
【0037】
上記ジョイントボックス15は、ケーブル群12の端末のブロック型差込コネクタモジュール13を保護するための合成樹脂製の部材であって、ジョイントボックス本体46と、ジョイントボックス蓋体47とを備えて構成されている。ジョイントボックス15は、ブロック型差込コネクタモジュール13を内部に収納することができる大きさに形成されている。
【0038】
ジョイントボックス本体46は、ケーブル群12の端末のブロック型差込コネクタモジュール13が差し込まれる方向の面と、ケーブル群12が引き出される方向の面とが開放された略箱状の部材であって、基板48と取り付け部49と側壁50とを有している。基板48は、平坦な表裏面を有する平面視矩形の板状の部分であって、その基板48の上縁には、取り付け部49が連成されている。取り付け部49には、壁や柱等に取り付けを行うための貫通孔51が形成されている。
【0039】
側壁50は、基板48の両側縁から突出するようにその基板48に形成されている。また、側壁50は、適宜高さを有して基板48に一体に形成されている。側壁50の上方には、ブロック型差込コネクタモジュール13を収容するためのモジュール収容部52が形成されている。側壁50の下方には、ケーブルホルダー14の係止用突起部44を係止するための係止部53が形成されている。モジュール収容部52は、本形態において、ブロック型差込コネクタモジュール13を引っ掛けて係止することができるように形成されている。係止部53は、本形態において凹状に形成されている(ケーブルホルダー14が移動しないように係止できればよいものとする)。側壁50には、ジョイントボックス蓋体47を係合させるためのロック手段54が複数形成されている。
【0040】
ジョイントボックス蓋体47は、略板状の部材として形成されている。このようなジョイントボックス蓋体47には、ジョイントボックス本体46のロック手段54に係合するロック部55が形成されている。また、ジョイントボックス蓋体47には、弾性を有する略ブリッジ状のケーブル押さえ56が形成されている。ジョイントボックス蓋体47は、ジョイントボックス本体46に対して着脱自在に係合するように形成されている(本形態ではヒンジ57を介して一体化したが、別体化であってもよいものとする。尚、封印(うめごろし)構造を採用してもよいものとする)。
【0041】
上記構成において、ケーブル群12の各VVFケーブル16の端末から露出する絶縁線心17を、モジュール本体20の対応する絶縁線心差込口32に差し込んでコネクタ用バスバー27との接続を図るとともに、結線用渡り線23と結線用バー24とを、これらの間に絶縁カバー25を介在させた状態で、モジュール本体20の対応する導体差込口29に差し込んでコネクタ用バスバー27との接続を図ると、所望の絶縁線心17同士が結線される。本形態において、結線用渡り線23によりスイッチ回路が構成される。また、結線用バー24により電力分岐とアースの各回路等が構成される。ケーブル群12の端末には、ブロック型差込コネクタモジュール13が設けられた状態になる。
【0042】
尚、所望の絶縁線心17同士の結線は、従来例のような絶縁線心1(図13参照)を引っ張り集める方法で行う必要性は全くない。本発明では、絶縁線心17を単に絶縁線心差込口32に差し込むだけであり、あとは結線用渡り線23及び結線用バー24の取り付けによって結線が完了する。
【0043】
結線が完了した後には、ケーブル群12にケーブルホルダー14を取り付ける。ケーブル群12は、ケーブルホルダー14により束ねられた状態に保持される。ケーブルホルダー14の取り付けは、上記のタイミングに限らず、ブロック型差込コネクタモジュール13をケーブル群12の端末に設ける前に行ってもよいものとする。
【0044】
最後に、ケーブル群12の端末に設けたブロック型差込コネクタモジュール13をジョイントボックス15のモジュール収容部52に収容するとともに、ケーブル群12を束ねて保持したケーブルホルダー14をジョイントボックス15の係止部53に係止させ、さらにジョイントボックス蓋体47を閉じると、本発明の屋内配線用ユニットケーブル11の製造が完了する。
【0045】
以上、図1ないし図5を参照しながら説明してきたように、本発明の屋内配線用ユニットケーブル11は、大がかりな結線工具を用いなくとも結線作業を行うことができる。また、結線作業は、従来よりも容易に行うことができる。さらに、従来例のような樹脂モールド4(図13参照)を必要としないことから、生産性及び取り扱い性を向上させることができるとともに、結線の修復も容易に行うことができる。
【0046】
次に、図6ないし図12を参照しながら本発明の屋内配線用ユニットケーブルの他の一実施の形態を説明する。尚、上述の形態と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0047】
図6は他の一実施の形態を示す斜視図、図7はジョイントボックス蓋体を開いた状態の屋内配線用ユニットケーブルの斜視図、図8は屋内配線用ユニットケーブルの分解斜視図、図9はブロック型差込コネクタの連結に係る説明図、図10は結線部材の結線用バスバーに係る説明図、図11はブロック型差込コネクタと結線部材の嵌合に係る説明図、図12はブロック型差込コネクタと結線部材の嵌合及び結線に係る説明図である。
【0048】
図6ないし図8において、引用符号61は本発明の屋内配線用ユニットケーブルを示している。その本発明の屋内配線用ユニットケーブル61は、ケーブル群12とブロック型差込コネクタモジュール62とケーブルホルダー14とジョイントボックス15とを備えて構成されている。以下、図6ないし図12を参照しながら説明する。
【0049】
上記ブロック型差込コネクタモジュール62は、モジュール本体63と結線部材64とを備えて構成されている。モジュール本体63は、ブロック型差込コネクタ65を横一列に連結させて構成されている。結線部材64は、複数の結線用バスバー66と、コネクタカバー67とを備えて構成されている。
【0050】
ブロック型差込コネクタ65は、絶縁性を有する合成樹脂材料からなるコネクタハウジング68と、コネクタ内部回路を構成する複数のコネクタ用バスバー69とを備えて構成されている。コネクタハウジング68の上部70からは、コネクタ用バスバー69の後述するタブ78が突出するように形成されている。コネクタハウジング68の下壁71には、絶縁線心差込口72が複数形成されている。
【0051】
コネクタハウジング68の側壁73には、レール74と、レール案内溝75と、カバー嵌合部76と、バスバー差込口77とがそれぞれ複数形成されている。レール74及びレール案内溝75は、上下方向(上部70と下壁71とを結ぶ方向)に沿って形成されている。レール案内溝75は、上側がレール74の差込口78となっている。また、レール案内溝75の下側は、レール74の端部が当接するストッパになっている。ブロック型差込コネクタ65同士は、スライド構造(スライド方向は図9及び図10の矢線P参照)によって連結するようになっている。
【0052】
コネクタ用バスバー69は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。コネクタ用バスバー69は、絶縁線心差込口72及び結線部材64の内部回路の位置に合わせて取り付けられている。本形態のコネクタ用バスバー69は、結線部材64に対する接続用のタブ79を有しており、そのタブ79がコネクタハウジング68の上部70から突出するようになっている。コネクタ用バスバー69は、絶縁線心差込口72を介して絶縁線心17の導体19が接触するようにその形状が形成されている。
【0053】
結線用バスバー66は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。結線用バスバー66は、ブロック型差込コネクタ65の連結方向にのびるバスバー80と、ブロック型差込コネクタ65のタブ79及び/又は隣り合うブロック型差込コネクタ65のバスバー80が差し込まれて接触する端子接続部81とを有している。バスバー80は、コネクタカバー67に取り付けられると、そのコネクタカバー67から突出する長さに形成されている。
【0054】
コネクタカバー67は、絶縁性を有する合成樹脂材料によって形成されている。コネクタカバー67には、結線用バスバー66のバスバー80が突出する開口部82と、ブロック型差込コネクタ65のタブ79が差し込まれるスリット83と、隣り合うブロック型差込コネクタ65のバスバー80が差し込まれるスリット84と、コネクタハウジング68のカバー嵌合部76に嵌合する係止突起85とがそれぞれ複数形成されている。結線用バスバー66を取り付けたコネクタカバー67は、対応するブロック型差込コネクタ65の上部70に嵌合するようになっている。ブロック型差込コネクタ65同士が連結し合うとコネクタカバー67同士は、結線用バスバー66のバスバー80及び端子接続部81を介して電気的に接続されるようになっている。
【0055】
上記構成において、結線用バスバー66を取り付けたコネクタカバー67とブロック型差込コネクタ65と嵌合させ、且つブロック型差込コネクタ65を必要数だけ連結してなるブロック型差込コネクタモジュール62の絶縁線心差込口72に、ケーブル群12の各VVFケーブル16の端末から露出する絶縁線心17を差し込んでコネクタ用バスバー69との接続を図ると、所望の絶縁線心17同士が結線される。ケーブル群12の端末には、ブロック型差込コネクタモジュール62が設けられた状態になる。
【0056】
結線が完了した後には、ケーブル群12にケーブルホルダー14を取り付ける。ケーブル群12は、ケーブルホルダー14により束ねられた状態に保持される。ケーブルホルダー14の取り付けは、上記のタイミングに限らず、ブロック型差込コネクタモジュール62をケーブル群12の端末に設ける前に行ってもよいものとする。
【0057】
最後に、ケーブル群12の端末に設けたブロック型差込コネクタモジュール62をジョイントボックス15のモジュール収容部52に収容するとともに、ケーブル群12を束ねて保持したケーブルホルダー14をジョイントボックス15の係止部53に係止させ、さらにジョイントボックス蓋体47を閉じると、本発明の屋内配線用ユニットケーブル61の製造が完了する。
【0058】
以上、図6ないし図12を参照しながら説明してきたように、本発明の屋内配線用ユニットケーブル61は、大がかりな結線工具を用いなくとも結線作業を行うことができる。また、結線作業は、従来よりも容易に行うことができる。さらに、従来例のような樹脂モールド4(図13参照)を必要としないことから、生産性及び取り扱い性を向上させることができるとともに、結線の修復も容易に行うことができる。
【0059】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の屋内配線用ユニットケーブルの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】ジョイントボックス蓋体を開いた状態の屋内配線用ユニットケーブルの斜視図である。
【図3】屋内配線用ユニットケーブルの分解斜視図である。
【図4】ブロック型差込コネクタの連結に係る説明図である。
【図5】結線部材に係る説明図である。
【図6】本発明の屋内配線用ユニットケーブルの他の一実施の形態を示す斜視図である。
【図7】ジョイントボックス蓋体を開いた状態の屋内配線用ユニットケーブルの斜視図である。
【図8】屋内配線用ユニットケーブルの分解斜視図である。
【図9】ブロック型差込コネクタの連結に係る説明図である。
【図10】結線部材の結線用バスバーに係る説明図である。
【図11】ブロック型差込コネクタと結線部材の嵌合に係る説明図である。
【図12】ブロック型差込コネクタと結線部材の嵌合及び結線に係る説明図である。
【図13】従来例の屋内配線用ユニットケーブルの断面図である。
【符号の説明】
【0061】
11 屋内配線用ユニットケーブル
12 ケーブル群
13 ブロック型差込コネクタモジュール
14 ケーブルホルダー
15 ジョイントボックス
16 VVFケーブル
17 絶縁線心
20 モジュール本体
21 結線部材
22 ブロック型差込コネクタ
23 結線用渡り線
24 結線用バー
25 絶縁カバー
26 コネクタハウジング
27 コネクタ用バスバー
29 導体差込口
32 絶縁線心差込口
34 レール
35 レール案内溝
39 銅バー
40 差込部分
46 ジョイントボックス本体
47 ジョイントボックス蓋体
52 モジュール収容部
53 係止部
56 ケーブル押さえ
61 屋内配線用ユニットケーブル
62 ブロック型差込コネクタモジュール
63 モジュール本体
64 結線部材
65 ブロック型差込コネクタ
66 結線用バスバー
67 コネクタカバー
68 コネクタハウジング
69 コネクタ用バスバー
72 絶縁線心差込口
74 レール
75 レール案内溝
76 カバー嵌合部
77 バスバー差込口
79 タブ
80 バスバー
81 端子接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁線心を露出したVVFケーブルを並べてなるケーブル群に、該ケーブル群を束ねて保持するケーブルホルダーを設け、前記ケーブル群の端末には、ブロック型差込コネクタを連結させてなるモジュール本体と、該モジュール本体に取り付けられて所望の前記絶縁線心同士を結線する結線部材と、を備えた結線機能を有するブロック型差込コネクタモジュールを設け、該ブロック型差込コネクタモジュールを収容するジョイントボックスには、モジュール収容部と前記ケーブルホルダーを係止する係止部とを形成する
ことを特徴とする屋内配線用ユニットケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、
前記結線部材は、前記モジュール本体の前記ブロック型差込コネクタに差し込まれて該ブロック型差込コネクタの内部回路に接触する結線用渡り線及び/又は結線用バーを備える
ことを特徴とする屋内配線用ユニットケーブル。
【請求項3】
請求項2に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、
前記結線部材は、前記結線用渡り線と前記結線用バーとを隔てる絶縁カバーを更に有する
ことを特徴とする屋内配線用ユニットケーブル。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、
前記結線用バーは、全長を可変可能に形成するとともに、前記モジュール本体の前記ブロック型差込コネクタに対する差込部分を除去可能に形成する
ことを特徴とする屋内配線用ユニットケーブル。
【請求項5】
請求項1に記載の屋内配線用ユニットケーブルにおいて、
前記結線部材は、前記ブロック型差込コネクタの連結方向にのびるバスバーを有するとともに、該バスバー及び/又は前記ブロック型差込コネクタの内部回路に接触する端子接続部を有する結線用バスバーと、該結線用バスバーを取り付けて前記ブロック型差込コネクタに嵌合するコネクタカバーとを備える
ことを特徴とする屋内配線用ユニットケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−12478(P2006−12478A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184693(P2004−184693)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】