説明

層構造の製造方法

本発明は、層構造の製造方法に関するものである。導電層および犠牲層をパターニングし、形成する。これらの層の上に、電気絶縁層を形成し、犠牲層の表面領域が露出するようにパターニングする。該露出した領域を除去し、そうすることによって露出したパターン形成された導電層の表面領域を、導電性材料からなる構造によって覆う。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、層構造の製造方法に関するものである。
【0002】
集積回路では、いわゆるビアを用いて、異なる金属層レベルの配線間に垂直の電気接触部が形成されている。ビア(つまり、基板の表面に対して垂直に方向付けられたトレンチ)は、リソグラフィ法およびプラズマエッチング法によって形成される場合が多く、その後、該ビアに導電性材料が充填される。接触される金属層レベルの配線の材料と、ビアの材料との間には、接着層、障壁層、または、種層(下地層)を備えることができる。該層により、連結される2つの材料間に接触部が形成される。あるいは、配線の材料へのビア充填部の材料の(またはその逆)望ましくない拡散を防止することができる。
【0003】
しかし、ビア用のエッチングマスクを調整する際の、プロセスに起因したばらつきのゆえに、該ビアは最適にパターニングされず、ある程度、例えば横にずれて、パターニングされてしまう。このようなずれは、集積回路を設計するための設計基準寸法に規定された範囲内のずれではある。しかし、該ずれを、個々のビアに対して正確に規定することはできない。配線と導電性材料が充填されたビアとを後で確実に接触させるために、集積回路を設計するための設計基準寸法では、基準寸法を、例えばビアに必要な接触領域よりもわずかに大きく規定することによって、このようなばらつきを考慮している。
【0004】
ビア自体の領域は別としても、このような配置は、上にビアが配置された、上記の調整誤差を含んだより大きな金属領域を考慮したものである。このことは、プロセスの欠点ではなく、処理に起因するものである。製造される超小型電子素子を適切に納品できるように、全製造工程において、物理的な大きさの許容範囲を規定する必要がある。
【0005】
このより大きな領域は、ビアの「ランディングパッド」と呼ばれている。該領域を、集積回路を形成するための設計基準寸法において考慮する必要がある。例えば、ビアの底部の直径を、200nmとする。このようなビアを、例えば240nm×240nm(辺の長さ)の領域に位置決めする必要がある。この場合、1辺につき最大20nmのずれは許容される。
【0006】
このより大きな領域により、ビアの周囲では、金属配線が横に広がる。これにより、設計におけるルーティングが中断される。このことは、チップ面にかかる費用が増加するという点において、不都合である。なぜなら、これによって集積回路の所要面積が増加するからである。金属配線自体を、互いに間隔をあまり空けずに処理できるが、ビアに関しては、金属配線を拡大して、ランディングパッドを形成する必要がある。この配置による付加的な費用およびそれに伴うチップ面の損失は、ICの集積度を上げる要求を考えると、不都合である。
【0007】
ICおよび該ICの素子(例えば配線)の寸法を所望のように低減すると、特に、図1A〜図1Cに示したようになる。
【0008】
図1Aは、ビア101を介して接触される配線100を備えた配置平面図110を示している。ビア101の直径は、配線100の幅よりも大きい。したがって、配線100の中心とビア101の中心との間にプロセスに起因する横のずれがある場合、ビア101を介した配線100の接触をなおも補償する必要がある。
【0009】
図1Bに示した第2の配置平面図120では、ビア101と配線100との直径は、同じである。しかし、ビアの縁部がずれて露出しているので、ビア101は、配線100に部分的に隣接して配置されており、これにより、電気的接触が悪化してしまう。
【0010】
図1Cに示した第3の配置平面図130にも、配線100およびビア101が示されている。ここで、ビア101は、ランディングパッド102の形式で配線が部分的に拡張しているにもかかわらず、ビア101を形成している間の、フォト技術の調整誤差のゆえに、配線100に隣接して位置するようになる。
【0011】
さらに、図2A〜図2Hを参照しながら、図1Aの第1の配置平面図110に係る集積回路を形成することができる、従来技術における層構造の製造方法について記載する。
【0012】
図2Aに示した層配列200を得るために、基板(図示せず)にアルミニウム層201を形成し、望ましいパターンの細かさに応じて他のARC層(反射防止膜)を形成する。続いて、該アルミニウム層201の上に、フォトレジスト材料を形成する。該フォトレジスト材料は、リソグラフィ法およびエッチング法によってパターニングされることにより、フォトレジストマスク202になる。
【0013】
図2Bに示した層配列210を得るために、図2Aに示した層配列200から、フォトレジストマスク202を用いて、アルミニウム層201をパターニングする。これにより、アルミニウム配線211が形成される。所望のパターンが細かい場合は、アルミニウム配線211のパターニングにハードマスクを用いてもよい。次に、ハードマスクを通してパターンを転写した後、該フォトレジスト202はすでに除去された状態になっている。この場合、該ハードマスクは、フォトレジストマスク202に取って代わる。各アルミニウム配線211の上に、エッチング後に残っているフォトレジストの残留物212が示されている。続いて、該残留物をストリッピング法によって除去する。
【0014】
図2Cに示した層配列220を得るために、図2Bに示した層配列210にから、フォトレジストの残留物212を除去した後、酸化珪素層221を堆積する。該酸化珪素層は、アルミニウム配線211を覆っている。
【0015】
図2Dに示した層配列230を得るために、層配列220上にフォトレジスト材料を堆積し、リソグラフィ法およびエッチング法によってパターニングすることにより、フォトレジストマスク231を形成する。
【0016】
図2Eに示した層配列240を得るために、層配列230に、エッチングマスクとしてのフォトレジストマスク231を用いて、エッチング法を行う。これにより、酸化珪素層221の材料が除去され、トレンチ242が形成される。層配列240の表面には、フォトレジストの残余領域241が残る。
【0017】
図2Fに示した層配列250は、層配列240から、酸化珪素層221のエッチング法を継続すると得られる。このエッチング法が行われている間のあるプロセス時間において、トレンチ242の深さは、アルミニウム配線211の表面領域が露出する位の深さになる。このプロセス状態の層配列250を、図2Fに示す。この図では、ビアのエッチングは、すでに、パターニングされた金属配線211の上に達している。
【0018】
図2Gに示した層配列260を得るために、図2Eおよび図2Fに関して記載したエッチング法を続ける。基板としてのウェハー上のパターニングされた(層間絶縁膜(ILD)としての)酸化珪素層の厚さが、プロセスに起因して、実際には異なっている場合が多いので、オーバーエッチングを行う必要がある。つまり、配線221の表面領域よりも深くエッチングする必要がある。このオーバーエッチングを行うことにより、後にウェハー上の配線211にビアを確実に接続することができる。オーバーエッチングの所要時間は、通常、全てのビアエッチング時間の10%〜30%である。オーバーエッチングプロセスの結果を、層配列260に示す。ここでは、配線211の表面領域は確実に露出している。これにより、続くプロセス工程においてビアの材料との接触が可能になる。しかし、図2Gに示したように、オーバーエッチングを行ったために、酸化珪素層221の材料と、配線211の露出部分との間の境界領域に、狭い隙間261が生じる。
【0019】
オーバーエッチングの結果、エッチングはこのように金属配線211の両側に進み、狭い隙間261を形成する。隙間261の深さ、およびそれゆえに該隙間のアスペクト比は、誘電体層211の部分の厚さに依存しており、ウェハーごとに変わる。これらの狭い隙間261は、多くの不具合の原因となる。これらの不具合から、深刻な信頼性の問題が生じる。そして、隙間261に位置する高分子材料の洗浄または除去は、不完全にしか行われないか、あるいは、全く行われない。これにより、続く下地層の堆積および/またはビアを形成するための金属の充填に、問題が生じる。さらに、狭い隙間261が生じると、接着層、種層、または、(下地層と呼ばれる)障壁層は、完全には堆積されない。このような堆積を、通常、物理過程も用いて行うので、狭い隙間261の部分的に存在しているアスペクト比は、重要である。アスペクト比が高ければ、縁部は各層によってあまり被覆されない。したがって、金属を充填している間、狭い隙間261の領域に空洞が生じるか、または、個々のビアが全く充填されないか、不完全に充填される。これにより、金属配線211とビアとの接触が不確実になる。
【0020】
図2Hに示したような従来技術の層構造270を得るために、図2Gのトレンチ242に、タングステン材料を充填して、タングステンビア271を形成する。上記したように、部分的に著しく高いアスペクト比を有する、オーバーエッチングによって形成された狭い隙間261は、確実には充填されない。これにより、層構造270を集積回路として用いる場合、該層構造の質に問題が生じる。
【0021】
さらに、図2A〜図2Hの層構造の製造プロセスを行う場合に、どのプロセスによって不要な狭い隙間261が形成されるのかということを、図2I〜図2Kを参照しながら再度記載する。
【0022】
図2Iに示した層配列280は、酸化珪素層221をエッチングしている状態を示している。この層配列では、エッチングの前方部分が第1のレベル282に達している。
【0023】
図2Jに示したように、層配列280から、第1の酸化珪素層221をエッチングするためのエッチングプロセスを続けると、層配列285が得られる。ここで、このエッチングの前方部分は、第2のレベル283まで達している。
【0024】
全てのアルミニウム配線211の全表面が確実に露出するように、技術的にいくぶんオーバーエッチングを行う必要があるので、従来技術では図2Kに示したようになる。該図2Kでは、層配列290において、エッチングの前方部分が第3のレベル284に達している。これにより、露出したアルミニウム配線211の横領域に、不要な狭い隙間261が生じる。
【0025】
図1Bおよび図1Cに示した場合についても、図1Aに関するものと同様の図になる。常に金属配線に隣接してディープエッチングが行われる。これにより、上記した問題が生じる。
【0026】
[1]では、金属層のパターン上に接触領域を形成する方法が記載されている。ここでは、ハードマスク層の残留物を備えた配線上に、誘電体層を形成する。該誘電体層を貫いてコンタクトホールをエッチングし、ハードマスク層に達すると、このエッチングは終了する。続いて、該ハードマスク層を、誘電体層に対して選択的にエッチングすることにより、互いに隣接している配線間の中間領域にコンタクトホールが達しないようになる。これにより、短絡回路の危険が低減される。
【0027】
[2]では、複数の配線を備えたパターニングされた金属層レベルにエッチング停止層を均一に形成する方法が記載されている。ここでは、コンタクトホールのエッチングの間、該コンタクトホールの下にエッチング停止層の全領域が露出するまで、したがって、配線に隣接して位置するエッチング停止層の表面領域も露出するまで、該コンタクトホールをエッチングする。
【0028】
本発明の目的は、特に、異なる導電性のパターン間の接触を改善する層構造の製造方法を提供することである。
【0029】
この目的を、独立特許請求項の特徴部分を有する層構造の製造方法によって達成する。
【0030】
本発明の層構造の製造方法では、基板に導電層を形成およびパターニングし、続いて、該導電層の少なくとも一部の上に犠牲層を形成する。該導電層および該犠牲層の上に、電気絶縁層を形成する。この電気絶縁層を、該犠牲層の表面領域が露出するようにパターニングする。犠牲層の露出領域を除去することにより、導電層の表面領域が露出する。最後に、パターニングされた導電層の露出した表面領域を、導電性材料のパターンによって覆う。
【0031】
本発明の基本理念は、パターニングされた状態で例えば集積回路の配線となりうる導電層と、その上に堆積された、層間絶縁膜としての電気絶縁層との間に、機能性に関して自由に選択可能な特性を有する犠牲層が備えられている、という点にある。これにより、パターニングされた導電層の表面領域と導電性材料(例えば、ビア)のパターンとが接触する該表面領域を露出するためのオーバーエッチングを短くするか、または、完全に回避することができる。
【0032】
具体的には、犠牲層は、パターニングされた導電層の個々の領域を露出するためのエッチングプロセスを時間/空間的に一致させる機能を有している。従来技術の電気絶縁層のエッチングにおいて、該電気絶縁層の厚さは、比較的厚い場合が多く、パターニングされた導電層の個々の領域ごとに異なっているという問題が生じる。これ対して、全ての個々の領域を確実に露出するために、エッチング時間を長くする必要がある。これにより、個々の領域の一部に不要な狭い隙間が形成されてしまう(参照:図2E〜図2H)。本発明では、この問題を、犠牲層を備えることによって回避する。なぜなら、該犠牲層をエッチング停止層および/または十分に短時間でエッチングできる層として用いる場合、一方では電気絶縁層と、他方では犠牲層との材料が異なっており、それに伴ってこれらの層のエッチング速度が異なっているので、エッチングの前方部分は、全ての個々の領域上で初めに犠牲層まで達するからである。エッチングの前方部分がパターニングされた導電層の個々の領域上の犠牲層に達すると、該犠牲層は、パターニングされた導電層の全ての個々の領域上で、他のエッチングプロセスによって除去される。ここでは、該犠牲層の材料の選択および/または厚さおよび/またはエッチング特性の設定を、該犠牲層のエッチングにおいてエッチングの前方部分が、パターニングされた導電層の全ての個々の領域にほぼ同時に達するように行うことが、利点である。これによって、オーバーエッチングおよびそれによる不要な狭い隙間の形成が回避される。このことは、特に、用いるエッチングプロセスのエッチングパラメータをあらかじめ決定できることに関して、犠牲層を除去するエッチング速度が電気絶縁層に対するエッチング速度よりも速く設定された場合、および/または、犠牲層の厚さが十分に薄くおよび/または均一になっている場合に、得られる。次に、犠牲層のエッチング時間は、短く保たれている。このエッチングは、犠牲層の全ての個々の領域においてほぼ同時に始まる。つまり、該犠牲層は、停止層として用いられる。
【0033】
犠牲層を用いたこの非常に簡単な方法によりパターニングされた導電層の複数の構成要素(例えば、複数の配線)において補償されるのは、電気絶縁層の層厚が部分的に異なっていても、初めに、パターニングされた導電層の全ての構成要素に関して、該導電層の上に形成された電気絶縁材は犠牲層の表面まで除去されるということである。したがって、該犠牲層を備えることにより、エッチングの前方部分が該犠牲層の全ての表面領域に達している完全に特定の中間の処理状態を規定できる。該犠牲層を、例えば薄く、または、特にエッチング速度の速い材料によって形成できる。これにより、パターニングされた導電層の全ての構成要素に沿った犠牲層に達した後、該停止層を短時間で除去できる。該停止層が薄く、そのエッチング速度が速いために短時間で除去されるので、従来技術において品質を保証するために必要なオーバーエッチングを、著しく短縮できるか、あるいは、完全に回避できる。
【0034】
つまり、(導電性材料のパターンの材料を後に充填するために、例えばビアとして形成される)トレンチを形成するための電気絶縁層および犠牲層のエッチングは、横方向に自己整合的に行われる。これにより、従来技術において生じる長いオーバーエッチング時間に起因した狭い隙間に関する問題は、回避される。
【0035】
本発明の基本理念は、エッチングに関して犠牲層を停止層として用いるように、それから、強いオーバーエッチングを用いずに特に短時間で該犠牲層を除去するように選択された、最適化して供給できる該犠牲層の材料に基づいている。したがって、異なるエッチングプロセスおよび異なる材料を使用し、組み合わせる場合、本発明の重要な観点を見ることができる。ここで、このプロセスは、適切なエッチングパラメータを選択することによって最適化される。
【0036】
したがって、接触されるパターニングされた導電層の材料の上には、適切な補助層または犠牲層が位置している。該補助層または犠牲層は、導電層をパターニングするための金属エッチングによって共にパターニングされる。パターニングされた導電層の表面領域を露出するためのエッチング(例えば、ビアエッチング)のパラメータの調整を、該犠牲層または補助層を取り囲む電気絶縁層(層間絶縁膜)の材料よりも該犠牲層または補助層を著しく速くエッチングするように行うことができる。ビアエッチングの前方部分が補助層にちょうど達した状態から、続くエッチング過程では、該補助層のエッチング速度が上がる。これにより、電気絶縁層のエッチングの前方部分は遅れている。エッチングの前方部分が、接触されるパターニングされた導電層の材料に達すると、短時間のオーバーエッチングプロセスを任意で行ってもよい。これにより、該誘電体層において行われるエッチングステップが減る。該オーバーエッチングの後、エッチングの前方部分は、次に、金属の表面で終了するか、または、該表面よりもわずかに上に位置していることが有効である。該オーバーエッチングプロセスによって金属レベルの下までエッチングを行うという不都合な場合にさえ、従来技術と比べて、いずれにしても不要な狭い隙間の形成は著しく低減される。これにより、部分的に高いアスペクト比を有する狭い隙間の存在に起因した、下地層材料の堆積またはビアの充填に関する問題は、著しく低減される。
【0037】
本発明の犠牲層を用いた場合、特に、2つの異なる例が挙げられる。つまり、犠牲層を、エッチング停止層および/または短時間でエッチングできる層として用いることができる。
【0038】
犠牲層をエッチング停止層として用いた場合、初めに、パターニングされた導電層の上および犠牲層の上、に配置された電気絶縁層の材料を除去する。該エッチングプロセスの材料の除去は、犠牲層に達したときに終了する。エッチングマスクの(望ましくないが、常に完全に回避できない)横方向のずれに関して、つまり、エッチングの前方部分が犠牲層の個々のパターンに対してわずかに横方向にずれている場合、犠牲層の表面下において横方向に配置され、かつ、該犠牲層に対して隣接するように配置された、電気絶縁層の該材料を除去してもよい。この例では、犠牲層の厚さを、少なくとも、電気絶縁層の厚さの幅(つまり、厚さの変動範囲)と同じ位の厚さに選択した場合に有効である。なぜなら、このように横方向にずれていても、不要な狭い隙間が生じないからである。つまり、電気絶縁層の最も厚い位置で犠牲層に達したときに、電気絶縁層の最も薄い位置で犠牲層を完全には通過しないからである(参照:図6A、図6B)。
【0039】
犠牲層を短時間でエッチングできる層として用いた場合、該犠牲層を、電気絶縁層と比べて著しく速いエッチング速度を有する層として備えることができる。この例でも、特にエッチングマスクの、(望ましくないが、常に完全に回避できない)横方向のずれに関して、つまり、エッチングの前方部分が犠牲層の個々のパターンに対してわずかに横方向にずれている場合、犠牲層の厚さを、少なくとも、電気絶縁層の厚さの幅(つまり、厚さの変動範囲)と同じ位の厚さに選択することが有効である。なぜなら、このように横方向にずれていても、不要な狭い隙間が生じないからである(参照:図7A〜図7C)。
【0040】
本発明の好ましい形態を、従属請求項に記載する。
【0041】
層構造の製造方法の第1の好ましい形態では、初めに、該導電層を形成し、該導電層の上に犠牲層を形成する。これに続いて、該導電層および該犠牲層を共にパターニングする。具体的には、本形態では、初めに、導電層と、その露出した表面上に位置する犠牲層とを水平に形成する。その後、上下に配置された2つの層に、共にリソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスを行う。これにより、パターニングされた導電性の領域は、少しのプロセス工程において犠牲層の材料によって被覆される。
【0042】
本方法の第2の好ましい形態では、初めに、該導電層を形成し、パターニングする。これに続いて、該導電層の上に犠牲層を形成する。この場合、犠牲層の材料を、パターニングされた導電層同士が隣接している領域にも形成してもよい。このことは、処理をさらに進める上で問題にはならない。上記の処理では、パターニングされた導電層領域の側壁には、犠牲層の材料は付着していない。
【0043】
本発明の方法では、該犠牲層は停止層として用いられる。上記の形態では、電気絶縁層のエッチングにおいて、エッチングの前方部分が犠牲層の表面に達したときに、犠牲層を除去しない。なぜなら、エッチングパラメータ(例えば、エッチング液組成)が電気絶縁層をエッチングするためのものであるので、該犠牲層はエッチングされないからである。結果として、電気絶縁層をエッチングするためのエッチングパラメータによってエッチングを続ける場合、エッチングの前方部分は、初めにパターニングされた犠牲層を除去せずに該犠牲層の全ての表面領域に確実に達する。つまり、該犠牲層の表面は、このエッチングプロセスを停止する。エッチングパラメータを変更する(例えば、エッチング液の組成物を変える)と同時に、次に、パターニングされた犠牲層の全ての所望の領域が除去され始める。
【0044】
該犠牲層を、電気絶縁層を除去するよりも速い速度で除去できる。上記の形態によって、該犠牲層を電気絶縁層よりも速いエッチング速度で(つまり、単位時間当たりの材料の除去をより速く)行うことができる。例えば、電気絶縁層が酸化珪素材料を有し、犠牲層が窒化珪素または酸窒化珪素材料を有している場合、エッチング液として水素材料、酸素材料、または、一酸化炭素材料を添加したエッチングを行うか、あるいは、エッチング液の濃度を上げてエッチングを行うことにより、窒化珪素を有する犠牲層は、電気的に絶縁性の酸化珪素層よりも著しく速くエッチングされる。例えば、エッチング時の酸化珪素のエッチング速度は、例えば酸素濃度を上げると、徐々に下がる。このとき、窒化珪素層ではエッチングは生じないか、または、わずかに生じるのみである。結果として、異なる層のエッチング速度を正確に調整でき、電気絶縁層と犠牲層との材料の組み合わせ、および、エッチングパラメータをそれぞれ選択することによって、狭い隙間を著しく縮小して形成することができる。したがって、本発明では、部分的に高いアスペクト比を有する狭い隙間の不完全な充填に起因して配線とビアとの間に欠陥のある電気的接触が生じることを、防止することができる。本発明の層構造では、層構造の中の不要な空洞、質の問題、および、電気的接触不良が防止される。
【0045】
犠牲層および電気絶縁層は、該電気絶縁層よりも速いエッチング速度で該犠牲層を除去するように設定されたエッチングプロセスによって、除去されることが好ましい。
【0046】
このエッチングプロセスでのエッチング液として、テトラフルオロメタン(CF4)、トリフルオロメタン(CHF3)、窒素(N2)および/またはアルゴン(Ar)を用いることができる。
【0047】
エッチング速度は、エッチング液中の酸素(O2)、水素(H2)および/または一酸化炭素(CO)の濃度を調整することによって、または、ウェハーの温度を下げる(低温の場合、窒化物のエッチング速度が上がり、高温の場合、酸化物のエッチング速度がわずかに下がる)ことによって、調整される。
【0048】
エッチング速度が異なっている材料を有する犠牲層および電気絶縁層を備える代わりに、あるいは、そのことに加えて、該犠牲層の厚さは、電気絶縁層の厚さよりも薄く、好ましくは著しく薄く、好ましくは半分よりも薄く、より好ましくは5分の1よりも薄く、さらに好ましくは、10分の1よりも薄い。備えた犠牲層が薄いほど、犠牲層をより速く除去でき、これにより、アンダーエッチングを抑えることができる。
【0049】
該導電層と導電性材料からなる該パターンとの間に、下地層を形成できる。このような下地層、種層、接着層、または、障壁層は、(例えばアルミニウムからなる)パターニングされた導電層と、(例えばタングステンからなる)導電性材料のパターンとの間の機械的・電気的な接触を効果的に形成するために用いられる。したがって、下地層を用いて、導電性材料のパターンの材料に、パターニングされた導電層の材料が(またはその逆)拡散しないようにすることができる。
【0050】
パターニングされた導電層の表面領域が露出した後、該下地層を形成できる。例えば、上記の形態では、パターニングされた導電層の表面領域が露出した後に形成される層構造のトレンチの表面を通常45nmという薄い下地層材料によって覆うことができる。別の方法として、導電層を形成する工程と、犠牲層を形成する工程との間で、該下地層を生成できる。これにより、犠牲層を除去した後、導電層は、下地層によってすでに覆われている。
【0051】
導電層と犠牲層とを共にパターニングすること、および/または、電気絶縁層のパターニングを、リソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスを用いて行うことができる。
【0052】
導電層および/または犠牲層を、均一な堆積プロセスによって(例えば、CVD(化学気相成長)プロセスまたはALD(原子層堆積)プロセスによって)形成できる。原子層堆積プロセスによって、厚さを非常に正確にあらかじめ決定できる層を形成することができる。該層は、1つの原子層の精度まで(つまり、数オングストロームの精度まで)非常に均一な厚さで表面に堆積される。正確にあらかじめ決定できる、均一な厚さを有する犠牲層を形成することは、空間的に一定の時間内に該犠牲層を除去できるという利点を有している。
【0053】
該層構造を集積回路として形成できる。また、該層構造を、半導体材料(例えば、シリコンウェハーまたはシリコンチップ)の上および/または中に形成できる。特に、該層構造を集積回路の金属層レベル中に形成できる(配線の末端)。
【0054】
本発明の方法では、さらに、該導電層をパターニングすることによって配線を形成でき、導電性材料からなるパターンを形成することによって、ビアを形成できる。
【0055】
該導電層および/または導電性材料からなるパターンを、アルミニウムおよび/またはタングステンから形成できる。特に、アルミニウム材料は、配線としての導電層に適した材料である。タングステン材料は、ビアとして用いる場合の導電性材料のパターンに適している。
【0056】
該犠牲層を、窒化珪素および/または酸窒化珪素から形成できる。
【0057】
該電気絶縁層を、酸化珪素から形成できる。
【0058】
窒素を含んだ犠牲層と、酸化珪素を有する電気絶縁層との材料の組み合わせは、適切なエッチング液によって、犠牲層のエッチングを速く、電気絶縁層のエッチングをよりゆっくりと行うことができる材料の特に有効な組み合わせである。
【0059】
該下地層を、窒化チタン(TiN)から形成できる。
【0060】
本発明の模範的な形態を図に示し、以下に詳述する。
【0061】
図1A〜1Cは、従来技術を示す配置平面図である。
【0062】
図2A〜図2Kは、従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【0063】
図3A〜3Hは、本発明の第1実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【0064】
図4A〜4Lは、本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【0065】
図5A〜5Cは、本発明の層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【0066】
図6A、6Bは、本発明の犠牲層のエッチング停止層としての使用を説明するための層配列を示す図である。
【0067】
図7A〜7Cは、本発明の犠牲層の短時間でエッチングできる層としての使用を説明するための層配列を示す図である。
【0068】
異なる図における同じまたは類似の構成要素には、同じ参照符号を付している。
【0069】
図面の描写は、図表であり、縮尺どおりではない。
【0070】
以下では、本発明の第1の実施形態における層構造の製造方法に関して、図3A〜図3Hを参照しながら記載する。
【0071】
図3Aに示した層配列300を得るために、均一な堆積プロセスによって、シリコン基板(図示せず)にアルミニウム層301を形成する。該アルミニウム層301の上に、窒化珪素からなる犠牲層302をCVDプロセスによって均一に堆積する。別の方法として、このような犠牲層を、酸窒化珪素材料から形成してもよい。窒化珪素からなる犠牲層302の上に、フォトレジスト材料を形成し、リソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスによってパターニングすることにより、フォトレジストマスク303を形成する。
【0072】
図3Bに示した層配列310を得るために、アルミニウム層301と窒化珪素からなる犠牲層302とを、図3Aに示した層配列300から、エッチングプロセスによって共に(つまり、1つの方法工程において)パターニングする。結果として、アルミニウム配線311が形成される。ここで、各アルミニウム配線311の上には複数の犠牲層領域312のうちの1つが配置されており、該犠牲層領域は、該エッチングプロセスの後、層配列310の表面に残ったフォトレジストの残留物313によって覆われている。これに続いて、フォトレジストの残留物313を、ストリッピング法によって除去する。
【0073】
図3Cに示した層配列320を得るために、フォトレジストの残留物313を除去した後、層配列310の上に、CVD(化学気相成長)プロセスによって、酸化珪素層321を形成する。
【0074】
図3Dに示した層配列330を得るために、層配列320の上にフォトレジスト層を形成し、リソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスによってパターニングすることにより、フォトレジストマスク331を形成する。
【0075】
図3Eに示した層配列340を得るために、層配列330に対してエッチングプロセスを行う。該エッチングプロセスは、エッチングマスク331を用いて、エッチングの前方部分が犠牲層領域312の表面に達するまで酸化珪素層321の材料を除去する方法である。ここで、犠牲層領域312は、該エッチングプロセスの停止層として用いられる。このエッチングプロセスのゆえに、酸化珪素層321の中にトレンチ342が形成され、犠牲層領域312の表面領域が露出する。犠牲層領域312が停止層として機能することにより、異なるトレンチ342の領域において酸化珪素層321の厚さが部分的に異なっていても、薄い犠牲層領域312の表面までのみエッチングをそれぞれ確実に行うことができる。本発明の犠牲層をエッチング停止層として用いることが、複数の変形例のうちの1つでしかないことに、留意する必要がある。別の方法として、あるいは、上記変形例に加えて、他の1つの変形例では、犠牲層の材料のエッチング速度を著しく高くすることができる(参照:例えば図7A〜7C)。
【0076】
図3Fに示した層配列350を得るために、全てのトレンチ342において、犠牲層領域312の材料をエッチングするために設定された他のエッチングプロセスによって、犠牲層領域312を除去する。その結果、アルミニウム配線311の表面領域が露出する。犠牲層領域312の材料(窒化珪素)は、このエッチングプロセスによって非常に速いエッチング速度で(つまり、非常に短時間で)除去されるような材料特性を有している。窒化珪素と酸化珪素とのエッチング速度の比率を、例えばエッチング液に酸素成分を加えることにより、上げることができる。さらに、犠牲層領域312のエッチング速度を上げるとともに、該領域を特に速く除去できるように該領域を薄く選択する。これにより、エッチングの前方部分は、異なる配線311の表面領域に、短い処理時間の後、ほぼ同時に達する。これにより、従来技術において必要な、時間のかかるアンダーエッチングが回避される。
【0077】
図3Gに示した層配列360を得るために、図3Fを参照しながら記載したエッチングプロセスは、短時間の間さらに続く(つまり、実際に配線311の全ての表面領域からその上に配置された材料が完全になくなるように、わずかなアンダーエッチングが生じる場合がある)。図3Gに示したように、この任意のオーバーエッチングプロセスが短時間であるので、隙間が生じないか、または、(図2Hの参照符号261に示したように)極度に狭い隙間が生じる。さらに、図3Gに示した層配列360を得るために、各トレンチ342の中に、厚さがほぼ45nmの窒化チタン材料からなる下地層361を、堆積プロセスによって形成する。結果として、特に、アルミニウム配線311の露出した表面領域は、下地層材料によって覆われる。該下地層材料は、該アルミニウム配線311を、続いて形成されるビアのタングステン材料と結合するための障壁層である。
【0078】
本発明の好ましい実施形態にかかる図3Hに示した層構造370を得るために、トレンチ342にタングステン材料を充填し、これによってタングステンビア371が形成される。該タングステンビア371は、下地層361を介して、アルミニウム配線311に電気的および機械的に連結されている。アルミニウム配線311の側面部分と、該配線に隣接している酸化珪素層321の材料との間の境界領域に狭い隙間を形成しないことにより、タングステンビア371とアルミニウム配線311との間の電気的結合の問題は確実に回避される。これにより、質の高い、電気的結合のよい層構造370が実現される。
【0079】
以下では、本発明の第2の実施形態における層構造の製造方法に関して、図4A〜図4Lを参照しながら記載する。
【0080】
図4Aに示した層配列400を得るために、シリコン基板401にアルミニウム層301を形成する。
【0081】
図4Bに示した層配列410を得るために、層配列400の表面に、フォトレジストマスク303を供給する。
【0082】
図4Cに示した層配列420を得るために、フォトレジストマスク303を用いて、アルミニウム層301をパターニングする。その結果、アルミニウム配線311が形成される。アルミニウム配線311の表面には、フォトレジストの残留物313がみられる。
【0083】
所望のパターンが細かい場合は、該アルミニウム層301のパターニングにハードマスクを用いてもよい。ハードマスクを通してパターンを転写した後にはすでに、該フォトレジスト303は除去されている。この場合、該ハードマスクはフォトレジストマスク303に取って代わる。
【0084】
図4Dに示した層配列430を得るために、該フォトレジストの残留物313を(例えば、ストリッピングプロセスまたはエッチングプロセスによって)除去する。
【0085】
図4Eに示した層配列440を得るために、層配列430に犠牲層領域441を形成する。その結果、図4Eでは、層配列430の水平表面領域が犠牲層領域441によって覆われる。該犠牲層領域441は、調整下地層とも呼ばれる。
【0086】
図4Fに示した層配列450を得るために、層間絶縁膜(ILD)として酸化珪素層321を堆積する。
【0087】
図4Gに示した層配列460を得るために、層配列450の表面に、フォトレジストマスク331を形成する。
【0088】
図4Hに示した層配列465を得るために、フォトレジストマスク331を用いたエッチングによって、酸化珪素層321にトレンチ342を形成する。図4Hに示したエッチングプロセスの状態では、エッチングの前方部分は、犠牲層領域441の表面にまだ達していない。
【0089】
図4Iに示した層配列470を得るために、酸化珪素層321のエッチングを続ける。ここで図4Iでは、エッチングの前方部分は、アルミニウム配線311の上端部分に位置する犠牲層領域441の表面に達したところである。
【0090】
図4Jに示した層配列475を得るために、露出した犠牲層領域441に、エッチングプロセスを行う。ここで、露出した犠牲層領域441が酸化珪素層321の露出した材料よりも著しく速くエッチングされるように、エッチングパラメータを調整する。これにより、図4Jに示した層配列475となる。この図では、犠牲層領域441をエッチングするためのエッチング速度と、酸化珪素層321をエッチングするためのエッチング速度とが異なっているので、材料321とエッチバックされる犠牲層領域441との間の接合領域において、段状の部分が得られる。露出した犠牲層441をエッチングした結果、犠牲層の残留物476が生じる。
【0091】
図4Kに示した層配列480を得るために、露出した犠牲層領域441をエッチングし、犠牲層の残留物476をエッチングするための、エッチングプロセスが続く。犠牲層の材料のエッチング速度と、酸化珪素層321の材料のエッチング速度とが異なっていることにより、配線311と酸化珪素層321との間の縁部に、わずかに段状の部分が得られる。しかし、従来技術の場合のような不要な狭い隙間ではない。
【0092】
図4Lに示した層配列485を得るために、トレンチ342にタングステン材料を充填することにより、タングステンビア371を形成する。
【0093】
以下では、本発明の狭い隙間が形成されないことについてもう一度説明するために、図4I〜図4Kの層配列の詳細図について、図5A〜図5Cを参照しながら再び記載する。図5A〜図5Cの層配列500〜520には、犠牲層領域441をエッチングするためのエッチングの前方部分の、第1のレベル505、第2のレベル502、および、第3のレベル503が示されている。
【0094】
図5Aに示した層配列500は、基本的に、図4Iに示した層配列470と同じである。図5Aに示した状態では、エッチングプロセスは、配線311上の犠牲層領域441の表面領域が丁度露出したところまで進んでいる。
【0095】
該エッチングプロセスを継続すると、図5Bに示す層配列510が得られる。この層配列は、図4Jに示した層配列475とほぼ同じである。層配列510では、エッチングの前方部分は、犠牲層領域441に対して第2のレベル502まで進んでいる。したがって、犠牲層の残留物476のみが存在している。犠牲層領域441の材料を酸化珪素層321の材料よりもずっと速くエッチングするようにエッチングパラメータを選択したので、犠牲層の残留物476の縁部の部分には、段状の酸化珪素パターンが生じる。しかし、該パターンは不要な狭い隙間ではない。
【0096】
該エッチングプロセスをさらに継続すると、図5Cに示した、エッチングの前方部分が第3のレベル503に達している層配列520が得られる。この状態は、図4Kに示した層配列480とほぼ同じである。この状態では、配線311の表面は露出しており、犠牲層441の材料は、配線311の表面から完全に除去されている。層配列520には、隣接している配線間に位置する犠牲層441の材料があるが、層配列520の処理または機能にいかなる負の影響も与えない。
【0097】
図5Cに示したように、エッチングパラメータを選択した結果、配線311の表面領域は確実に露出している。配線311と電気的に絶縁している酸化珪素層321との間の境界領域に位置する狭い隙間は形成されていない。
【0098】
以下では、本発明の犠牲層のエッチング停止層としての使用を示すための層配列について、図6A、図6Bを参照しながら記載する。
【0099】
図6Aは、第1のアルミニウム配線601と第2のアルミニウム配線602とを備えた層配列600を示している。ここで、第1のアルミニウム配線601の上には、第1の犠牲層領域603が形成され、第2のアルミニウム配線602の上には、第2の犠牲層領域604が形成されている。構成要素601〜604は、酸化珪素層605によって覆われている。該酸化珪素層の厚さは、完全に均一ではなく、厚さの幅606を有している。
【0100】
図6Bは、エッチングプロセスを用いて、第1の犠牲層領域603を露出するための第1のトレンチ611が形成され、第2の犠牲層領域604を露出するための第2のトレンチ612が形成された、層配列610を示している。厚さの幅606、および、エッチングマスクの不要な横のずれにより、第1の犠牲層領域603の側面側に位置するエッチングの前方部分は、酸化珪素層605の材料を除去しており、酸化珪素層605は、この領域では薄くなっている。これに対して、第2の犠牲層領域604の側面側に位置するエッチングの前方部分は、酸化珪素層605の材料を除去しておらず、酸化珪素層605は、この領域では厚くなっている。ここで上記エッチングの前方部分は、第2の犠牲層領域604の表面に丁度達したところである。
【0101】
したがって、犠牲層領域603、604をエッチング停止層として用いた場合、初めに、アルミニウム配線601、602および犠牲層領域603、604の上に位置する酸化珪素層605の材料が除去される。該エッチングプロセスの材料の除去は、犠牲層領域603、604に達すると終了する。(不要であるが、常に完全には回避できない)エッチングマスクの横方向のずれについて、つまり、エッチングの前方部分が犠牲層領域603、604に対して横方向にわずかにずれているので、犠牲層領域603、604に対して隣接して位置する酸化珪素層605の(図6Bでは、犠牲層領域603の表面よりも下において、横方向に位置する)材料が除去される。この場合、犠牲層領域603、604の厚さが、酸化珪素層605の厚さの幅606(つまり、厚さの変動幅)と少なくとも同じかそれより厚くなるように選択することが有利である。なぜなら、こうすることにより、このような横方向のずれから不要な狭い隙間が生じなくなるからである。これは、エッチングの前方部分が酸化珪素層605の最も厚い部分(つまり、第2の犠牲層領域604の上)において犠牲層に達した場合、該エッチングの前方部分は、第1の犠牲層領域603において、酸化珪素層605の最も薄い部分をまだ完全には過ぎていないからである。
【0102】
以下では、本発明の犠牲層の短時間でエッチングできる層としての使用を示す層配列について、図7A〜図7Cを参照しながら記載する。
【0103】
図7Aは、第1のアルミニウム配線701と、第2のアルミニウム配線702とを備えた層配列700を示している。ここで、第1のアルミニウム配線701の上に、第1の犠牲層領域703が形成されており、第2のアルミニウム配線702の上に、第2の犠牲層領域704が形成されている。構成要素701〜704は、酸化珪素層705によって覆われている。該酸化珪素層の厚さは、完全に均一ではなく、厚さの幅706を有している。
【0104】
層配列700では、エッチングプロセスによって、第1のトレンチ707がエッチングされており、第2のトレンチ708がエッチングされている。該第1のトレンチは、第1の犠牲層領域703を露出するためのものである。該第2のトレンチは、厚さの幅706のゆえに、および、この領域において酸化珪素層705の厚さがより厚いので、第2の犠牲層領域704が露出する程には十分深くない。つまり、層配列700では、エッチングの前方部分は、酸化珪素層705の最も薄い位置にて(つまり、第1の犠牲層領域703において)犠牲層に達したところである。
【0105】
図7Bは、処理のより進んだ時点における層配列710を示している。図7Bでは、エッチングの前方部分は、第2の犠牲層領域704に達している。犠牲層の材料のエッチング速度が速いので、第1の犠牲層領域703の露出した部分はすでに完全に除去されている。該犠牲層領域の側面側には、酸化珪素層705のエッチング速度が著しく遅いために、不要な狭い隙間は生じない。
【0106】
図7Cは、処理のさらに進んだ時点における層配列720を示している。図7Cでは、エッチングの前方部分は、第2の犠牲層領域704の露出した部分も除去している。該第2の犠牲層領域の近傍で、酸化珪素層705は最も厚くなっている。犠牲層の材料のエッチング速度が速く、酸化珪素層705のエッチング速度がより遅いことにより、不要な狭い隙間は生じない。このことは、特に犠牲層領域703、704の縦方向の厚さが厚さの幅706と少なくとも同じかそれより厚い場合に当てはまる。
【0107】
本明細書には、以下の出版物を引用している。
[1] DE 101 40 468 A1
[2] US 5 451 543 A
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1A】従来技術を示す配置平面図である。
【図1B】従来技術を示す配置平面図である。
【図1C】従来技術を示す配置平面図である。
【図2A】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2B】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2C】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2D】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2E】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2F】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2G】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2H】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2I】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2J】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図2K】従来技術における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図3A】本発明の第1実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図3B】本発明の第1実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図3C】本発明の第1実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図3D】本発明の第1実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図3E】本発明の第1実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図3F】本発明の第1実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図3G】本発明の第1実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図3H】本発明の第1実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4A】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4B】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4C】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4D】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4E】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4F】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4G】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4H】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4I】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4J】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4K】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図4L】本発明の第2実施形態における層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図5A】本発明の層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図5B】本発明の層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図5C】本発明の層構造の製造方法に関する、様々な時間での層配列を示す図である。
【図6A】本発明の犠牲層のエッチング停止層としての使用を説明するための層配列を示す図である。
【図6B】本発明の犠牲層のエッチング停止層としての使用を説明するための層配列を示す図である。
【図7A】本発明の犠牲層の短時間でエッチングできる層としての使用を説明するための層配列を示す図である。
【図7B】本発明の犠牲層の短時間でエッチングできる層としての使用を説明するための層配列を示す図である。
【図7C】本発明の犠牲層の短時間でエッチングできる層としての使用を説明するための層配列を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
100 配線
101 ビア
102 ランディングパッド
110 第1の配置平面図
120 第2の配置平面図
130 第3の配置平面図
200 層配列
201 アルミニウム層
202 フォトレジストマスク
210 層配列
211 アルミニウム配線
212 フォトレジストの残留物
220 層配列
221 酸化珪素層
230 層配列
231 フォトレジストマスク
240 層配列
241 フォトレジストの残留物
242 トレンチ
250 層配列
260 層配列
261 狭い隙間
270 層構造
271 タングステンビア
280 層配列
281 基板
282 第1のレベル
283 第2のレベル
284 第3のレベル
285 層配列
290 層配列
300 層配列
301 アルミニウム層
302 窒化珪素からなる犠牲層
303 フォトレジストマスク
310 層配列
311 アルミニウム配線
312 犠牲層領域
313 フォトレジストの残留物
320 層配列
321 酸化珪素層
330 層配列
331 フォトレジストマスク
340 層配列
341 フォトレジストの残留物
342 トレンチ
350 層配列
360 層配列
361 下地膜
370 層構造
371 タングステンビア
400 層配列
401 シリコン基板
410 層配列
420 層配列
430 層配列
431 フォトレジストマスク
440 層配列
441 犠牲層領域
450 層配列
460 層配列
465 層配列
470 層配列
475 層配列
476 犠牲層の残留物
480 層配列
500 層配列
501 第1のレベル
502 第2のレベル
503 第3のレベル
510 層配列
520 層配列
600 層配列
601 第1のアルミニウム配線
602 第2のアルミニウム配線
603 第1の犠牲層領域
604 第2の犠牲層領域
605 酸化珪素層
606 厚さの幅
610 層配列
611 第1のトレンチ
612 第2のトレンチ
700 層配列
701 第1のアルミニウム配線
702 第2のアルミニウム配線
703 第1の犠牲層領域
704 第2の犠牲層領域
705 酸化珪素層
706 厚さの幅
707 第1のトレンチ
708 第2のトレンチ
710 層配列
720 層配列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初めに、基板に導電層を形成し、当該導電層をパターニングし、
続いて、上記パターニングされた導電層の少なくとも一部の上に犠牲層を形成し、
上記導電層および上記犠牲層の上に、電気絶縁層を形成し、
上記電気絶縁層を、上記犠牲層の表面領域が露出するようにパターニングし、上記電気絶縁層の除去は、上記導電層の上端部における、上記犠牲層の領域の表面にちょうど達したときに停止し、
上記犠牲層の露出領域を除去することにより、上記導電層の表面領域が露出し、
上記パターニングされた導電層の露出した表面領域を、導電性材料からなるパターンによって覆う、層構造の製造方法。
【請求項2】
上記犠牲層を停止層として用いる、請求項1に記載の、層構造の製造方法。
【請求項3】
上記犠牲層を上記電気絶縁層よりも速い速度で除去する、請求項1または2に記載の、層構造の製造方法。
【請求項4】
上記犠牲層および上記電気絶縁層を、当該電気絶縁層よりも速いエッチング速度で当該犠牲層を除去するように設定されたエッチングプロセスによって除去する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項5】
上記エッチングプロセスでのエッチング液として、
テトラフルオロメタン、
トリフルオロメタン、
窒素、および/または、
アルゴンを用いる、請求項4に記載の、層構造の製造方法。
【請求項6】
上記エッチング速度は、上記エッチング液中の
酸素、
水素、および/または、
一酸化炭素
の濃度を調整することによって調整される、請求項4または5に記載の、層構造の製造方法。
【請求項7】
上記犠牲層の厚さは上記電気絶縁層の厚さよりも十分に薄い、請求項1〜6のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項8】
上記導電層と、導電性材料からなる上記パターンとの間に下地層を形成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項9】
上記パターニングされた導電層の表面領域を露出させた後、上記下地層を形成する、請求項8に記載の、層構造の製造方法。
【請求項10】
上記導電層のパターニングおよび/または上記電気絶縁層のパターニングを、リソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスを用いて行う、請求項1〜9のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項11】
上記導電層および/または上記犠牲層を均一な堆積プロセスによって形成する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項12】
上記層構造を集積回路として形成する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項13】
上記導電層をパターニングすることによって配線を形成し、
導電性材料からなる上記パターンを形成することによって、ビアを形成する、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項14】
上記導電層および/または導電性材料からなる上記パターンを、
アルミニウム、および/または、
タングステン
から形成する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項15】
上記犠牲層を、
窒化珪素、および/または、
酸窒化珪素
から形成する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項16】
上記電気絶縁層を酸化珪素から形成する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。
【請求項17】
上記下地層を窒化チタンから形成する、請求項8〜16のいずれか1項に記載の、層構造の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2008−503073(P2008−503073A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515772(P2007−515772)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001067
【国際公開番号】WO2005/124854
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】