層状熱拡散器およびその製造方法
熱拡散器は、少なくとも2つの隣接層を有する。各層は、z方向に沿って熱分解グラファイトからカットされた少なくとも2つの熱分解ストリップを有する。グラファイトのシートのxy面における熱伝導度はz方向の熱伝導度より大きい。そのz方向のカットによって、元のシートの厚さ方向がカットされたストリップの幅または長さとなるように、それぞれ90度方位合わせされたストリップが形成される。第1のストリップの側面が、各層において第2のストリップの側面と隣接する。各ストリップのxy面における熱伝導度がz方向の熱伝導度より大きいので、熱は、各層における方位されたストリップの隣接の側面を横切って伝導するよりも各ストリップの長さおよび厚さ方向に速く伝導する。第1の層のストリップは、第2の層のストリップの方位から約90度方位合わせされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、或る装置からの熱を伝導させるための熱拡散器、およびその熱拡散器を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品(コンポーネント、構成要素)はより小さくなり、一方、熱放散(dissipation:放出)の必要性がより大きくなっている。これらの電子部品によって発生した熱を放散させるために、その電子部品とヒート・シンク(吸熱部)の間に熱拡散器が使用される。熱拡散器は固体(ソリッド)熱伝導性金属で作ることができる。固体熱伝導性金属には、熱を拡散させる能力に限界(限度)があり、また熱伝導特性にも限界がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明によれば、熱拡散器(ヒート・スプレッダ、熱発散器、熱放出器、熱拡散装置)およびその熱拡散器の製造方法が実現され、また熱源(ヒート・ソース)からの熱を放散させる方法が開示される。
【0004】
幾つかの実施形態では、ストリップ(細片、細条片)または平面状要素または部材(planar element:平板状要素、平坦な要素)からなる少なくとも第1の層および第2の層を有する熱拡散器が実現される。その第1の層と第2の層の少なくとも一方は、熱分解グラファイト(熱分解黒鉛:pyrolytic graphite)材料からなる少なくとも2つの隣接した(adjoining:隣接し結合された)平面状要素またはストリップを有し、その第1の層と第2の層の他方は、少なくとも1つのストリップを有する。その第1の層の各ストリップの方位(orientation:配向)の方向は、以下で説明するように、第2の層の各ストリップの方位(配向)の方向と異なる。
【0005】
それらのストリップは、熱分解グラファイト製のシートがz軸方向に通るカット面(切断面)を有するように熱分解グラファイト製シートからそれらのストリップをカットする(切り出す)ことによって作られる。熱分解グラファイト製シートのxy面における熱伝導度または熱伝導率は、z方向における熱伝導度よりも大きい。z方向のカットによってストリップが形成され、次いでそのストリップは元の熱分解グラファイト製シートの厚さ方向がそのカットされたストリップの幅または長さとなるように、各ストリップが個々に約90度回転して(約90だけ)方位合わせされる。グラファイト製のシートをカットしそのシートを約90度の方位合わせ(回転)をすることによって形成された第1のストリップの横方向側面の一部が、第2のストリップの側面(横方向側面)に隣接(し結合)する(adjoin:隣接する、結合する)。そのストリップのxy面における熱伝導度がそのストリップのz方向の熱伝導度に比べてより大きいことに起因して、熱は、ストリップの長さ方向に沿って、および方位合わせされたストリップの厚さ方向においては(より速く伝導し)、熱拡散器の1つの層における隣接ストリップに隣接(し結合または接合)する1つのストリップの側面を横切る方向におけるよりも、速く伝導(移動)する。
【0006】
上の段落で述べたようにして設けられた第1のストリップは、その第1のストリップの第1の横寸法(lateral dimension:横方向次元)の方向およびその第1のストリップの厚さ方向において相対的に(比較的)高い熱伝導度を有し、その第1のストリップの第2の横寸法(次元)の方向において相対的に(比較的)低い熱伝導度を有する。上の段落で述べたようにして設けられた第2のストリップは、その第2のストリップの第2(第1)の横寸法(次元)の方向およびその第2のストリップの厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、その第2のストリップの第2の横寸法(次元)の方向において相対的に低い熱伝導度を有する。その第1の平面状要素の第1の面(平面)外の方向(out of:(平面)内にない方向、と異なる方向)に伸びるその第1の平面状要素の第1の側面の少なくとも一部は、その第2の平面状要素の第2の面(平面)外の方向(out of:(平面)内にない方向、と異なる方向)に伸びるその第2の平面状要素の第2の側面の少なくとも一部に隣接して(結合して)いる。それによって、その第1のストリップおよび第2のストリップはその熱拡散器の第1の層を形成している。
【0007】
その熱拡散器の第2の層には少なくとも1つの別のストリップ、例えば第3のストリップが設けられており、その第3のストリップは、元のシートの厚さ寸法(次元)がその第3のストリップの幅または長さとなるように、熱分解グラファイト製のシートから切り出される。この第2の層の第3のストリップはその第1の層に隣接して(結合して)おり、その第1のストリップおよび第2のストリップの厚さ方向はその第3のストリップの厚さ方向とほぼ同じ方向に方位合わせされる。その第1の層の第1のストリップおよび第2のストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、その第3のストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位に対して(とは)異なっている。また、その第1のストリップおよび第2のストリップにおいて、厚さ方向にない相対的に高い熱伝導の方向の成分(構成要素、部品、コンポーネント)も、その第3のストリップの厚さ方向にない相対的に高い熱伝導度の成分(構成要素、部品、コンポーネント)に対して(とは)異なる方位にある。
【0008】
その第1のストリップおよび第2のストリップの厚さ方向においてその第1のストリップと第2のストリップの熱伝導度が相対的に高いことに起因して、熱は、その熱拡散器の第2の層の隣接ストリップに向かってその第1の層の各ストリップの厚さ方向に伝導(移動)する。その第1の層から第2の層に伝導(移動)した熱は、従って、その第3のストリップの厚さ方向の熱伝導度が相対的に高いことに起因して、その第2の層の第3のストリップの厚さ方向に伝導する。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態では、熱拡散器のその第1の層の第1のストリップの第1の側面は、その第1の側面と同一の(同じ)拡がりを持つ(coextensive:同一の外延を持つ)その第1の層の第2のストリップの第2の側面に隣接し(結合し)ている。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態では、第1の層と第2の層の少なくとも一方は、実質的に等しい長さを有し並置された3つ以上のストリップを有する。その第2の層は、その第1の層の各ストリップに隣接し(結合され)た少なくとも1つのストリップを有する。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態では、少なくとも1つのストリップの第3の層、例えば第4のストリップを含む第3層は、熱拡散器の第2の層に隣接して(結合して)いる。第2の層の第3のストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、その第4のストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位に対して(とは)異なる。
【0012】
幾つかの実施形態では、その第1のストリップおよび第2のストリップは、第1のストリップの第1の側面の一部分のみがその第2のストリップの第2の側面の一部分のみに隣接し(結合し)、その第1のストリップの第1の側面がその第2のストリップの第2の側面を越えて伸びるような形態で、隣接して(結合して)いる。
【0013】
本発明の別の実施形態は、第1の層中に熱分解グラファイト製のシートからの(から取り出した)少なくとも2つの熱分解グラファイト製のストリップまたは平面状要素と、第2の層中に少なくとも1つの他のストリップとを設けることによって、熱拡散器を製造する方法に関する。その第1の層における各ストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、その第2の層における各ストリップの相対的に低い熱伝導度の方向と異なる。その各ストリップを準備(形成)するために、カット(切断)はz方向として知られているシートの厚さ方向に行われる。z方向または一般的にc方向と称される方向のシートの熱伝導度は、xy面における熱伝導度または一般的にa方向またはa軸(複数)と称される面における熱伝導度に比べて、相対的に(比較的)低い。次いで、第1のストリップの側面は、この側面が第2のストリップの側面に隣接(結合)するように配置される。この構成では、熱は、そのストリップの長さ方向に沿っておよびその方位合わせされた各ストリップの厚さ方向では、隣接のストリップに隣接し結合されたそのストリップの側面を横切る方向よりも、より速く伝導(移動)する。
【0014】
本発明の別の実施形態は、本発明による熱拡散器の第1の層中に各隣接熱分解グラファイト製ストリップを設けることによって、熱源に対して熱伝導関係で(を保って)その熱拡散器を配置する方法に関する。第1のストリップの側面は、この側面が第2のストリップの側面に隣接(結合)するように、配置される。熱は、そのストリップの長さ方向に沿っておよびその方位合わせされた各ストリップの厚さ方向では、或る隣接ストリップに隣接(結合)したストリップの側面を横切る方向よりも、より速く伝導する。熱は、熱源から、第1の層の第1のストリップおよび第2のストリップへと伝導する。熱は、第1の層の各ストリップのもの(厚さ方向)とは異なる方向に方位合わせされた第2の層の少なくとも1つのストリップの厚さ方向に伝導する。熱は、その熱拡散器を通して、xy面が伸びる(広がる)方向である各熱分解グラファイト製ストリップの各a方向または各a軸方向に伝導する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、熱分解グラファイト製のシートの各層の各a軸およびc軸方向を示す本発明で使用されるその熱分解グラファイト製のシートの平行斜視図である。
【図2】図2は、そのシートからダイス・カットされてそのシートから分離された第1の平面状要素を示す、図1の熱分解グラファイト製のシートの平行斜視図である。
【図3A】図3Aは、約90°の方位合わせ(回転)後の、図2の第1の平面状要素を示している。
【図3B】図3Bは、隣接し結合する前の第1の平面状要素および第2の平面状要素を示す図である。
【図4】図4は、図5に示す本発明による熱拡散器の一実施形態の一部を示し、且つ第1の平面状要素および第2の平面状要素における熱分解グラファイトの各a軸およびc軸の方向を示している。
【図5】図5は、本発明による熱拡散器の一実施形態の一部を示しており、第1の平面状要素および第2の平面状要素における熱分解グラファイトの各a軸およびc軸方向を示している。
【図6】図6は、第1の層中に3つの平面状要素を有する本発明による熱拡散器の別の実施形態の一部分を示しており、第1の平面状要素、第2の平面状要素および第3の平面状要素における熱分解グラファイトのa軸およびc軸方向を示している。
【図6A】図6Aは、図6の熱拡散器の第3の平面状要素を示している。
【図7】図7は、電子装置およびヒートシンク(吸熱器)と組み合わされた本発明による熱拡散器の別の実施形態を示している。
【図8】図8は、電子装置と組み合わされた本発明による熱拡散器の他の実施形態を示している。
【図9】図9は、電子装置と組み合わされた本発明による熱拡散器の別の実施形態を示し、その熱拡散器は第1層、第2層および第3層を有するものである。
【図10】図10は、本発明による熱拡散器の別の実施形態を示しており、第1層および第2層が隣接し結合する領域は同一の拡がりを持ち、その第1層と第2層の各々は2つの平面状要素を有するものである。
【図11】図11は、第1層と第2層の各々に3つの平面状要素を有し、熱拡散器の第3層中に2つの電子装置が結合された1つの平面状要素を有する、本発明による熱拡散器の別の実施形態を示している。
【図12】図12は、第1の平面状要素の第1の側面が第2の平面状要素の第2の側面を越えて伸びる、本発明による熱拡散器の別の実施形態を示している。
【発明の詳細な説明】
【0016】
次に、以下の明細書の説明および非限定的な例を参照して本発明を詳細に説明する。
【0017】
この分野の専門家であれば、前述の説明を利用すれば、さらに詳細な説明を加えなくても、本発明を最大限利用することができるものと確信する。従って、以下の実施形態(実施例)は、単なる例示として解釈され、如何なる点においても開示の残りの部分を限定または制限するものではない。
【0018】
グラファイト(黒鉛)は、炭素原子の六角形配列(hexagonal:六方晶系配列)または網状構造の複数の層状平面構造で形成されている。これらの六角形配列された炭素原子の各層状平面は、実質的に平坦(フラット)で、互いに実質的に平行で且つ等距離(equidistant)となるように配向している(oriented:方位が定められている、方位合わせされている)。炭素原子の実質的に平坦で平行な層は底面(basal plane)と称され、クリスタライト(crystallite:結晶子、微結晶)の形に配列された群(グループ)中で互いに連結または結合されている。通常のグラファイトまたは電解グラファイトは、そのクリスタライトに対してランダムな秩序(order:順序)を有する(ランダムな秩序で配置された微結晶を有する)。非常に(高度に)規則的に配列され秩序付けられた(ordered)グラファイトは、高い度合いの好ましい結晶配向(方位)を有する。従って、グラファイトは、2本の主要な軸、即ち一般的に各炭素層に垂直な軸または方向として識別される“c”軸または“c”方向と、各炭素層に平行でそのc軸と交差(を横断、と直交)する方向の “a”軸または“a”方向(複数)とを有する炭素の積層構造体として、特徴付けられてもよい。
【0019】
次に図を詳細に参照する。ここで、幾つかの図面において、同じ参照番号は同じ構成要素を示している。図1には、炭素原子の六角形配列の方向にある複数の軸aを有する本発明による熱拡散器を製造するためのシート10が示されている。図示のように、c軸は、各炭素層に対して直交している。
【0020】
高度の配向(方位)を呈するまたは有するグラファイトの材料(物質)には、天然グラファイト(天然黒鉛)および合成または熱分解グラファイト(熱分解黒鉛:pyrolytic graphite)が含まれる。天然グラファイトは、フレーク(薄片)(プレートレット、小さな板状体(platelets))の形態でまたは粉末の形態で市販されている。熱分解グラファイトは、高温で適切な基板上で炭素質(carbonaceous)ガスを熱分解することによって生成される。簡単に言えば、熱分解析出(deposition:蒸着、沈着、被着、堆積)処理は、加熱された炉中で適切な圧力で行えばよく、その際、例えばメタン、天然ガス、アセチレン等の炭化水素ガスが、その加熱された炉中に導入され、任意の所望の形状を有するグラファイトのような適切な組成物の基板の表面において熱的に分解される。次いで、熱分解グラファイトから基板が取除かれ、または分離されればよい。次いで、熱分解グラファイトは、さらに高温で熱的にアニール(焼きなまし)処理されて、一般的にHOPG(Highly Oriented Pyrolytic Graphite)と称される高い配向性の熱分解グラファイトが形成される。
【0021】
図2には、図示のように各a軸およびc軸の方向を有する熱分解グラファイト製のシート10が示されている。第1の平面状要素(エレメント)12またはストリップが熱分解グラファイト製のシート10からカット(切り出)されまたはダイス・カット(diced:さいの目状に切り出され)、その第1の平面状要素12がシートからカットされた後は、この第1の平面状要素12内の各a軸およびc軸の方向は、その第1の平面状要素12がシート10の一部を形成していたときと同じ方向を維持する。
【0022】
シート10からカットされた後の平面状要素12は、約90度または約270度だけ方位合わせ(回転)されて、第1の平面状要素のc軸方向が図2に示す方向から図3に示す方向に変化する。従って、第1の平面状要素12の方位合わせの後は、その第1の平面状要素12の第1の側面14の相対位置は、図2に示すその位置から図3Aに示す位置に変化している。図3Bに示す第2の平面状要素16は、シート10からカットされ、第1の平面状要素12に関して上述した形態と同様の形態で、90度または270度だけ方位合わせ(回転)される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、第1の平面状要素12の平面外の(out of the plane:平面内にない)方向にあるその第1の平面状要素12の第1の側面14は、その第1の側面14の少なくとも一部が図5に示すように第2の平面状要素16の第2の側面18の少なくとも一部に隣接し結合するようにその第2の平面状要素16の平面外の(平面内にない)方向にあるその第2の平面状要素16の第2の側面18に隣接し結合している。第2の層の第1の平面状要素32は、第1の平面状要素12に隣接し結合しており、第1の平面状要素12と第2の平面状要素16の厚さ方向がその第2の層の第1の平面状要素12(32)の厚さ方向とほぼ同じ方向に方位合わせされ(配向し)ている。第1の層の第1の平面状要素12と第2の平面状要素16の相対的に低い熱伝導度(または熱伝導率)の方向の方位は、第2の層の第1の平面状要素32の相対的に低い熱伝導度の方向の方位に対して(とは)異なっている。その第1の平面状要素12および第2の平面状要素16において、厚さ方向にない相対的に高い熱伝導度の方向の成分(構成要素、部品、コンポーネント)も、またその第2の層の第1の平面状要素32の厚さ方向にない相対的に高い熱伝導度の成分(構成要素、部品、コンポーネント)に対して(とは)異なる方位にある。
【0024】
第1の平面状要素12および第2の平面状要素16の厚さ方向におけるその第1の平面状要素12および第2の平面状要素16の熱伝導度が相対的に高いことにより、熱はその第1の層の第1の平面状要素12および第2の平面状要素16の厚さ方向に第2の層の隣接の接合ストリップに向かって、ここでは図5に示す熱拡散器22の第2の層の第1の平面状要素32に向かって伝導する。第1の層から第2の層に伝導した熱は、その第2の層の第1の平面状要素の厚さ方向の熱伝導度が相対的に高いことにより、次にその第2の層の第1の平面状要素32の厚さ方向に伝導する。
【0025】
図10に示す本発明の別の実施形態では、第1の平面状要素12の第1の側面14は第2の平面状要素16の第2の側面18と実質的に同一の拡がりをもって伸びている。また、第1の層の複数のストリップに隣接し結合した第2の層の複数のストリップすなわち複数の平面状要素の部分(複数)は、その第1の層と第2の層の複数のストリップの隣接の結合面(複数)の範囲全体に拡がっていてもよい。
【0026】
同様に、本発明による熱拡散器を、第1の層および第2の層の各々に第4、第5または第6等の平面状要素を設けて作ることもできる。特定の層における追加された各平面状要素は、その特定の層においてその熱拡散器の平面状要素の隣り合う側面に隣接し結合した側面を有する。
【0027】
図4および図5から明らかなように、第2の平面状要素16の一部分(部分)に隣接し結合した第1の平面状要素12の第1の側面14の一部分(部分)は、その第1の平面状要素12の第1の面(平面)に対して実質的に垂直に伸びている。第1の平面状要素12の第1の面(平面)は、主要寸法または主要次元(major dimension)hと、副次的寸法または副次元(minor dimension)gが図4に示すように伸びる方向と、によって定義(画定)される。その主要寸法hと副次的寸法gは同じ大きさをもっていてもよいが、その主要寸法hと副次的寸法gは、平面状要素の厚さ方向の寸法または次元ではない。
【0028】
主要寸法または主次元hと副次的寸法または副次元gは、それぞれ、第1の平面状要素12の第1の横寸法または次元と、第2の横寸法または次元とすることができる。
【0029】
第1の平面状要素12の第1の横寸法(次元)すなわち主要寸法(次元)hの方向とその第1の平面状要素12の厚さ方向iは、その第1の平面状要素12が形成された熱分解グラファイト製のシート10の各a軸の方向とすることができる。第2の横寸法(次元)の方向は、図1に示すように第1の平面状要素12が形成される熱分解グラファイト製のシート10のc軸の方向とすることができる。従って、図4に示すように、第1の平面状要素12は、その第1の平面状要素12の第1の横寸法(次元)、ここではその平面状要素の主要寸法(次元)hおよびその第1の平面状要素12の厚さ方向iにおいて相対的に高い熱伝導度を有するが、第2の横寸法(次元)すなわち副次的寸法(次元)gでは相対的に低い熱伝導度を有する。従って、熱は、第1の平面状要素12の副次的寸法(次元)gにおける第1の側面14を横切って第2の平面状要素16の第2の側面18に向かうよりも、主要寸法(次元)hおよび厚さ方向に沿ってより速く伝導する。
【0030】
図5の熱拡散器は、各平面状要素が3組の平行な側面を持つように形成することができる。この平面状要素の各側面はその平面状要素の他の2つの側面に対して垂直である。1組の側面の各々の2つの側面は各側面に沿って実質的に等距離離して配置することができる。
【0031】
例えば、ワイヤ・カッティング(ワイヤ切断)機械、ダイシング機械またはスライス機械のようなシートをカットするための任意の手段を用いて、熱分解グラファイト製のシートから、図1のf寸法(次元)の厚さが0.2mm(ミリメートル)乃至最大5cm(センチメートル)の寸法(サイズ)の平面状要素がカットまたはスライスされる。典型的な厚さは1.3cmである。長さすなわちd寸法(次元)の寸法が約3m(メートル)、幅方向の寸法(次元)eが40cmの大きさの市販の熱分解グラファイト製シートが利用可能である。本発明で使用するのに適した熱分解グラファイト製シートは、米国ニューヨーク州ニューヨークにあるパイロジェニックス グループ オブ ミンテック インターナショナル インコーポレーテッド(Pyrogenics Group of Minteq International Inc.)から市販されている。一例としてPYROID(商標)HT熱分解グラファイトがある。
【0032】
一実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は少なくとも約1.5mmである。
【0033】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、約1.5mm乃至約1.3cmである。
【0034】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、約1.3cm乃至約2.5cmである。
【0035】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、少なくとも約1.3cmである。
【0036】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、少なくとも約4.0cmである。
【0037】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間、の間隔の)距離は、約1.3cm乃至約5.0cmである。
【0038】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第3の側面と第4の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、少なくとも約1.0cmである。
【0039】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第3の側面と第4の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、約1.0cm乃至約40cmである。
【0040】
第2の層の第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離を上述のように設定することができる。第2の層の第1の平面状要素の第3の側面と第4の側面を互いに隔てる(の間、の間隔の)距離は、図5に示すように、熱拡散器の第1の層の平面状要素すなわちストリップの第1の側面と第2の側面をそれぞれ横切って伸びるのに充分な長さとすることができる。第2の層の各ストリップは、図10に示すように、熱拡散器の第1の層の各平面状要素すなわち各ストリップの第1の側面と第2の側面をそれぞれ横切って伸びるのに充分な長さとすることができる。
【0041】
上述のシートの各a軸におけるそのシートの熱伝導度は約450乃至2000W/m°K(ワット/メートル°K)とすることができるが、特定の適用例(使用例、アプリケーション)に対して特定の熱伝導度を調整し設定することができる。z軸方向またはc軸に沿う方向の熱伝導度は、約2.0W/m°Kと低く、またはPYROID(登録商標)HT熱分解グラファイトの場合は7W/m°Kと低い。比較すると、銅の熱伝導度は400W/m°Kである。2.25g/ccの大きさの熱分解グラファイトの密度の値と比較して、銅は8.9g/ccの密度を有するので、本発明による熱拡散器を使用することによってより大きな効率と重量軽減が達成できる。
【0042】
第1の平面状要素12と第2の平面状要素16の間の界面に熱グリース(熱伝導グリース)を使用することもできる。図6の熱拡散器22は、例えばヒートシンク(吸熱器、放熱板)のような基板に隣接して結合することができ、第1の平面状要素12および第2の平面状要素16を基板に隣接して結合するための任意の適切な手段によって、ここでは図7に示す銅板20に隣接して結合することができる。熱拡散器22がヒートシンクに隣接し結合される場合は、その熱拡散器22をその基板に隣接し結合する手段はその熱拡散器22からその基板に熱を伝導(移動)させることができる。例えばクランプ手段のような機械的手段は、その熱拡散器を、その熱拡散器からヒートシンクに熱を伝導させる基板に隣接し結合するための手段とすることができる。また、その熱拡散器をヒートシンクに直接隣接し結合することもできる。さらに、その熱拡散器を基板またはヒートシンクに隣接し結合する別の手段は、接着(結合、ボンディング)手段とすることもできる。その接着手段は、金属の層、または、例えば金属含有層の少なくとも一部分を基板またはヒートシンクにろう付け(solder:はんだ付け)することによってその基板に接着された熱拡散器の平面状要素上の金属を含む層とすることができる。基板に隣接し結合すべき平面状要素の少なくとも一部分上の平坦な要素に、その金属含有層が形成される(付けられる、貼り付けられる、設けられる)。平面状要素の少なくとも一部分上に金属含有層を設けた後、例えばろう付けのような半導体産業で使用されている技術によって、または機械的締め具(固定具)のような機械的手段によって、その平面状要素を基板またはヒートシンクに隣接し結合することができる。
【0043】
基板に隣接し結合する平面状要素の一部分上への金属含有層の形成は、基板に結合される平面状要素の一部分上にメタライゼーション(金属被覆法)技術、スパッタリングによって、またはその平面状要素の一部分にろう(はんだ)の層を形成する(付ける、貼り付ける、設ける)ことによって、実現できる。半導体に使用するのに適した技術を用いて金属含有層を形成する前に、平面状要素に対して表面処理を施すことができる。
【0044】
第1の平面状要素12および第2の平面状要素16を結合するために任意の手段を用いることができる。例えば、第1の平面状要素12と第2の平面状要素16を互いに結合するために例えば機械的固定具のような機械的クランプ手段を使用することができ、または炭素を基材とする複数の面(carbon-based surfaces)を互いに結合することができる技術を用いてその第1の平面状要素12と第2の平面状要素16をろう付け(はんだ付け)することもできる。第1の平面状要素12と第2の平面状要素16を隣接して結合すると、熱は、その第1の平面状要素12および第2の平面状要素16から、その第1の平面状要素12と第2の平面状要素16が隣接し結合された部分に沿って伝導(移動)することができる。熱拡散器の第2の層の隣接し結合した平面状要素のストリップまたは平面状要素は互いに(共に)ろう付けされ、または炭素を基材とする各面を互いに結合することができる技術を用いて結合される。第2の層に結合された第1の層の隣接し結合したストリップまたは平面状要素は、上述の任意の技術を用いて隣接して結合できる。また、互いに隣接し結合される第1の層の平面状要素の一部分と第2の層の平面状要素の一部分に、金属含有層を形成(適用)することができる。その金属含有層の形成は、メタライゼーション(金属被覆法)技術、スパッタリングによって、または他の平面状要素に結合される平面状要素の一部分にろう(はんだ)の層を形成(適用)することによって、実現することができる。半導体に用いるのに適した技術を用いてその金属含有層を形成(適用)する前に、その平面状要素に対して表面処理を施すことができる。
【0045】
例えば、図11の第2の層の第1の平面状要素34のような特定の平面状要素は、熱が熱拡散器における隣接の結合された全ての平面状要素に向かって伝導することができるように、1面、2面、3面または4面より多い(2面、3面、4面、5面以上の)数の面に形成(適用)された金属含有層を有することができる。
【0046】
本発明の別の実施形態では、図6および図6Aに示すように、熱拡散器は、第1の平面状要素12、第2の平面状要素16および第3の平面状要素24を有する第1の層を有する。第3の平面状要素24は、第1の平面状要素12および第2の平面状要素16がカットされるのと同様の形態で、熱分解グラファイト製のシート10からカットまたはダイス・カットされて方位合わせ(配向)されている。第2の平面状要素16の第3の側面26は、その第3の側面が第3の平面状要素24の第4の側面28に隣接し結合するように配列されている。図11に示すように、第2の層は、その第2の層の第1の平面状要素32、第2の層の第2の平面状要素34、および第2の層の第3の平面状要素36を有する。その熱拡散器は、第3の平面状要素38を有する第3の層を持つことができ、その第3の平面状要素38は、その相対的に低い熱伝導度の方向が、その熱拡散器の第3の層に隣接し結合されたその熱拡散器の第2の層の各ストリップまたは各平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して(とは)実質的に異なる方向になるように、配向されている。
【0047】
同様に、本発明による熱拡散器は、平面状要素の第4の層、第5の層、第6の層等を有するように作ることもできる。各追加された層のそれぞれの平面状要素は、熱拡散器の平面状要素の隣り合う層の少なくとも1つの平面状要素の隣接の側面に隣接し結合した側面を有する。
【0048】
本発明のこの実施形態の構成における3つのストリップ全ての熱分解グラファイトの各a軸およびc軸が図6に示されている方向に配列されているので、熱はl(Lの小文字)寸法(次元)に比してj寸法(次元)およびk寸法(次元)においてより速く伝導(移動)する。
【0049】
図7には、本発明による熱拡散器が電子装置30および銅板製のヒートシンク20と組み合わされた状態で示されている。電子装置30から出た熱は熱拡散器22に伝導する。熱は、熱拡散器22から、その熱拡散器22を形成する熱分解グラファイトの各a軸方向に方位合わせ(配向)された厚さ方向の寸法(次元)iおよび横方向の寸法(次元)hの方向に最も速く伝導(移動)する。熱は、第1の平面状要素12と第2の平面状要素16の間の界面を横切る方向に、より低速で伝導(移動)する。
【0050】
電子装置としては、例えばマイクロプロセッサ、集積回路、高電力装置とすることができ、例えば、レーザ・ダイオード、LED、広帯域間隙(wide band gap)、RF(無線)およびマイクロ波装置、電力増幅器、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuits)、液晶表示装置(LCD)、およびその他のタイプ(種類)のビデオ表示装置とすることができる。
【0051】
図11に示すように、熱拡散器は1つより多い(2つ以上の)電子装置からの熱を放散させまたは放出することもでき、ここでは2つの電子装置30が第3の層の平面状要素38に隣接し結合され、これ(電子装置)からの熱を放散させまたは放出することができる。
【0052】
本発明の別の実施形態では、図12に示すように、第1の層の第1の平面状要素12がその第1の層の第2の平面状要素16から偏位(オフセット)して配置されている。第1の層の第1の平面状要素12の第1の側面14の一部分のみがその第1の層の第2の平面状要素16の第2の側面18に隣接し結合されている。同様に、第1の層の第2の平面状要素16の第2の側面18の一部分のみがその第1の層の第1の平面状要素12の第2の側面14に隣接し結合されている。第2の層の第1の平面状要素32は、第1の層の第1の平面状要素12および第2の層の第2の平面状要素16の側面に隣接し結合されている。
【0053】
本発明は、また、第1の層中に上述のように配列された第1の平面状要素および第2の平面状要素と第2の層の第1の平面状要素とを含む熱拡散器を設けることを含む、熱源から熱を放散させる方法を開示する別の実施例を含んでいる。その熱拡散器が熱源との熱伝導関係を保って配置され、これによってその熱拡散器は熱源からの熱を第1のストリップおよび第2のストリップに向けて伝導させる。熱は、第1の層の平面状要素と第2の層の少なくとも1つの第1の平面状要素との間を相対的に高い熱伝導度の方向にその熱拡散器を通して伝導される。
【0054】
従って、本発明の上述の説明は、この分野の専門家によって大幅な変形、変更および適応化が可能であり、このような変形、変更および適応化についても本発明の範囲に含まれることを意図している、と理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、或る装置からの熱を伝導させるための熱拡散器、およびその熱拡散器を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品(コンポーネント、構成要素)はより小さくなり、一方、熱放散(dissipation:放出)の必要性がより大きくなっている。これらの電子部品によって発生した熱を放散させるために、その電子部品とヒート・シンク(吸熱部)の間に熱拡散器が使用される。熱拡散器は固体(ソリッド)熱伝導性金属で作ることができる。固体熱伝導性金属には、熱を拡散させる能力に限界(限度)があり、また熱伝導特性にも限界がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明によれば、熱拡散器(ヒート・スプレッダ、熱発散器、熱放出器、熱拡散装置)およびその熱拡散器の製造方法が実現され、また熱源(ヒート・ソース)からの熱を放散させる方法が開示される。
【0004】
幾つかの実施形態では、ストリップ(細片、細条片)または平面状要素または部材(planar element:平板状要素、平坦な要素)からなる少なくとも第1の層および第2の層を有する熱拡散器が実現される。その第1の層と第2の層の少なくとも一方は、熱分解グラファイト(熱分解黒鉛:pyrolytic graphite)材料からなる少なくとも2つの隣接した(adjoining:隣接し結合された)平面状要素またはストリップを有し、その第1の層と第2の層の他方は、少なくとも1つのストリップを有する。その第1の層の各ストリップの方位(orientation:配向)の方向は、以下で説明するように、第2の層の各ストリップの方位(配向)の方向と異なる。
【0005】
それらのストリップは、熱分解グラファイト製のシートがz軸方向に通るカット面(切断面)を有するように熱分解グラファイト製シートからそれらのストリップをカットする(切り出す)ことによって作られる。熱分解グラファイト製シートのxy面における熱伝導度または熱伝導率は、z方向における熱伝導度よりも大きい。z方向のカットによってストリップが形成され、次いでそのストリップは元の熱分解グラファイト製シートの厚さ方向がそのカットされたストリップの幅または長さとなるように、各ストリップが個々に約90度回転して(約90だけ)方位合わせされる。グラファイト製のシートをカットしそのシートを約90度の方位合わせ(回転)をすることによって形成された第1のストリップの横方向側面の一部が、第2のストリップの側面(横方向側面)に隣接(し結合)する(adjoin:隣接する、結合する)。そのストリップのxy面における熱伝導度がそのストリップのz方向の熱伝導度に比べてより大きいことに起因して、熱は、ストリップの長さ方向に沿って、および方位合わせされたストリップの厚さ方向においては(より速く伝導し)、熱拡散器の1つの層における隣接ストリップに隣接(し結合または接合)する1つのストリップの側面を横切る方向におけるよりも、速く伝導(移動)する。
【0006】
上の段落で述べたようにして設けられた第1のストリップは、その第1のストリップの第1の横寸法(lateral dimension:横方向次元)の方向およびその第1のストリップの厚さ方向において相対的に(比較的)高い熱伝導度を有し、その第1のストリップの第2の横寸法(次元)の方向において相対的に(比較的)低い熱伝導度を有する。上の段落で述べたようにして設けられた第2のストリップは、その第2のストリップの第2(第1)の横寸法(次元)の方向およびその第2のストリップの厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、その第2のストリップの第2の横寸法(次元)の方向において相対的に低い熱伝導度を有する。その第1の平面状要素の第1の面(平面)外の方向(out of:(平面)内にない方向、と異なる方向)に伸びるその第1の平面状要素の第1の側面の少なくとも一部は、その第2の平面状要素の第2の面(平面)外の方向(out of:(平面)内にない方向、と異なる方向)に伸びるその第2の平面状要素の第2の側面の少なくとも一部に隣接して(結合して)いる。それによって、その第1のストリップおよび第2のストリップはその熱拡散器の第1の層を形成している。
【0007】
その熱拡散器の第2の層には少なくとも1つの別のストリップ、例えば第3のストリップが設けられており、その第3のストリップは、元のシートの厚さ寸法(次元)がその第3のストリップの幅または長さとなるように、熱分解グラファイト製のシートから切り出される。この第2の層の第3のストリップはその第1の層に隣接して(結合して)おり、その第1のストリップおよび第2のストリップの厚さ方向はその第3のストリップの厚さ方向とほぼ同じ方向に方位合わせされる。その第1の層の第1のストリップおよび第2のストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、その第3のストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位に対して(とは)異なっている。また、その第1のストリップおよび第2のストリップにおいて、厚さ方向にない相対的に高い熱伝導の方向の成分(構成要素、部品、コンポーネント)も、その第3のストリップの厚さ方向にない相対的に高い熱伝導度の成分(構成要素、部品、コンポーネント)に対して(とは)異なる方位にある。
【0008】
その第1のストリップおよび第2のストリップの厚さ方向においてその第1のストリップと第2のストリップの熱伝導度が相対的に高いことに起因して、熱は、その熱拡散器の第2の層の隣接ストリップに向かってその第1の層の各ストリップの厚さ方向に伝導(移動)する。その第1の層から第2の層に伝導(移動)した熱は、従って、その第3のストリップの厚さ方向の熱伝導度が相対的に高いことに起因して、その第2の層の第3のストリップの厚さ方向に伝導する。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態では、熱拡散器のその第1の層の第1のストリップの第1の側面は、その第1の側面と同一の(同じ)拡がりを持つ(coextensive:同一の外延を持つ)その第1の層の第2のストリップの第2の側面に隣接し(結合し)ている。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態では、第1の層と第2の層の少なくとも一方は、実質的に等しい長さを有し並置された3つ以上のストリップを有する。その第2の層は、その第1の層の各ストリップに隣接し(結合され)た少なくとも1つのストリップを有する。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態では、少なくとも1つのストリップの第3の層、例えば第4のストリップを含む第3層は、熱拡散器の第2の層に隣接して(結合して)いる。第2の層の第3のストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、その第4のストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位に対して(とは)異なる。
【0012】
幾つかの実施形態では、その第1のストリップおよび第2のストリップは、第1のストリップの第1の側面の一部分のみがその第2のストリップの第2の側面の一部分のみに隣接し(結合し)、その第1のストリップの第1の側面がその第2のストリップの第2の側面を越えて伸びるような形態で、隣接して(結合して)いる。
【0013】
本発明の別の実施形態は、第1の層中に熱分解グラファイト製のシートからの(から取り出した)少なくとも2つの熱分解グラファイト製のストリップまたは平面状要素と、第2の層中に少なくとも1つの他のストリップとを設けることによって、熱拡散器を製造する方法に関する。その第1の層における各ストリップの相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、その第2の層における各ストリップの相対的に低い熱伝導度の方向と異なる。その各ストリップを準備(形成)するために、カット(切断)はz方向として知られているシートの厚さ方向に行われる。z方向または一般的にc方向と称される方向のシートの熱伝導度は、xy面における熱伝導度または一般的にa方向またはa軸(複数)と称される面における熱伝導度に比べて、相対的に(比較的)低い。次いで、第1のストリップの側面は、この側面が第2のストリップの側面に隣接(結合)するように配置される。この構成では、熱は、そのストリップの長さ方向に沿っておよびその方位合わせされた各ストリップの厚さ方向では、隣接のストリップに隣接し結合されたそのストリップの側面を横切る方向よりも、より速く伝導(移動)する。
【0014】
本発明の別の実施形態は、本発明による熱拡散器の第1の層中に各隣接熱分解グラファイト製ストリップを設けることによって、熱源に対して熱伝導関係で(を保って)その熱拡散器を配置する方法に関する。第1のストリップの側面は、この側面が第2のストリップの側面に隣接(結合)するように、配置される。熱は、そのストリップの長さ方向に沿っておよびその方位合わせされた各ストリップの厚さ方向では、或る隣接ストリップに隣接(結合)したストリップの側面を横切る方向よりも、より速く伝導する。熱は、熱源から、第1の層の第1のストリップおよび第2のストリップへと伝導する。熱は、第1の層の各ストリップのもの(厚さ方向)とは異なる方向に方位合わせされた第2の層の少なくとも1つのストリップの厚さ方向に伝導する。熱は、その熱拡散器を通して、xy面が伸びる(広がる)方向である各熱分解グラファイト製ストリップの各a方向または各a軸方向に伝導する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、熱分解グラファイト製のシートの各層の各a軸およびc軸方向を示す本発明で使用されるその熱分解グラファイト製のシートの平行斜視図である。
【図2】図2は、そのシートからダイス・カットされてそのシートから分離された第1の平面状要素を示す、図1の熱分解グラファイト製のシートの平行斜視図である。
【図3A】図3Aは、約90°の方位合わせ(回転)後の、図2の第1の平面状要素を示している。
【図3B】図3Bは、隣接し結合する前の第1の平面状要素および第2の平面状要素を示す図である。
【図4】図4は、図5に示す本発明による熱拡散器の一実施形態の一部を示し、且つ第1の平面状要素および第2の平面状要素における熱分解グラファイトの各a軸およびc軸の方向を示している。
【図5】図5は、本発明による熱拡散器の一実施形態の一部を示しており、第1の平面状要素および第2の平面状要素における熱分解グラファイトの各a軸およびc軸方向を示している。
【図6】図6は、第1の層中に3つの平面状要素を有する本発明による熱拡散器の別の実施形態の一部分を示しており、第1の平面状要素、第2の平面状要素および第3の平面状要素における熱分解グラファイトのa軸およびc軸方向を示している。
【図6A】図6Aは、図6の熱拡散器の第3の平面状要素を示している。
【図7】図7は、電子装置およびヒートシンク(吸熱器)と組み合わされた本発明による熱拡散器の別の実施形態を示している。
【図8】図8は、電子装置と組み合わされた本発明による熱拡散器の他の実施形態を示している。
【図9】図9は、電子装置と組み合わされた本発明による熱拡散器の別の実施形態を示し、その熱拡散器は第1層、第2層および第3層を有するものである。
【図10】図10は、本発明による熱拡散器の別の実施形態を示しており、第1層および第2層が隣接し結合する領域は同一の拡がりを持ち、その第1層と第2層の各々は2つの平面状要素を有するものである。
【図11】図11は、第1層と第2層の各々に3つの平面状要素を有し、熱拡散器の第3層中に2つの電子装置が結合された1つの平面状要素を有する、本発明による熱拡散器の別の実施形態を示している。
【図12】図12は、第1の平面状要素の第1の側面が第2の平面状要素の第2の側面を越えて伸びる、本発明による熱拡散器の別の実施形態を示している。
【発明の詳細な説明】
【0016】
次に、以下の明細書の説明および非限定的な例を参照して本発明を詳細に説明する。
【0017】
この分野の専門家であれば、前述の説明を利用すれば、さらに詳細な説明を加えなくても、本発明を最大限利用することができるものと確信する。従って、以下の実施形態(実施例)は、単なる例示として解釈され、如何なる点においても開示の残りの部分を限定または制限するものではない。
【0018】
グラファイト(黒鉛)は、炭素原子の六角形配列(hexagonal:六方晶系配列)または網状構造の複数の層状平面構造で形成されている。これらの六角形配列された炭素原子の各層状平面は、実質的に平坦(フラット)で、互いに実質的に平行で且つ等距離(equidistant)となるように配向している(oriented:方位が定められている、方位合わせされている)。炭素原子の実質的に平坦で平行な層は底面(basal plane)と称され、クリスタライト(crystallite:結晶子、微結晶)の形に配列された群(グループ)中で互いに連結または結合されている。通常のグラファイトまたは電解グラファイトは、そのクリスタライトに対してランダムな秩序(order:順序)を有する(ランダムな秩序で配置された微結晶を有する)。非常に(高度に)規則的に配列され秩序付けられた(ordered)グラファイトは、高い度合いの好ましい結晶配向(方位)を有する。従って、グラファイトは、2本の主要な軸、即ち一般的に各炭素層に垂直な軸または方向として識別される“c”軸または“c”方向と、各炭素層に平行でそのc軸と交差(を横断、と直交)する方向の “a”軸または“a”方向(複数)とを有する炭素の積層構造体として、特徴付けられてもよい。
【0019】
次に図を詳細に参照する。ここで、幾つかの図面において、同じ参照番号は同じ構成要素を示している。図1には、炭素原子の六角形配列の方向にある複数の軸aを有する本発明による熱拡散器を製造するためのシート10が示されている。図示のように、c軸は、各炭素層に対して直交している。
【0020】
高度の配向(方位)を呈するまたは有するグラファイトの材料(物質)には、天然グラファイト(天然黒鉛)および合成または熱分解グラファイト(熱分解黒鉛:pyrolytic graphite)が含まれる。天然グラファイトは、フレーク(薄片)(プレートレット、小さな板状体(platelets))の形態でまたは粉末の形態で市販されている。熱分解グラファイトは、高温で適切な基板上で炭素質(carbonaceous)ガスを熱分解することによって生成される。簡単に言えば、熱分解析出(deposition:蒸着、沈着、被着、堆積)処理は、加熱された炉中で適切な圧力で行えばよく、その際、例えばメタン、天然ガス、アセチレン等の炭化水素ガスが、その加熱された炉中に導入され、任意の所望の形状を有するグラファイトのような適切な組成物の基板の表面において熱的に分解される。次いで、熱分解グラファイトから基板が取除かれ、または分離されればよい。次いで、熱分解グラファイトは、さらに高温で熱的にアニール(焼きなまし)処理されて、一般的にHOPG(Highly Oriented Pyrolytic Graphite)と称される高い配向性の熱分解グラファイトが形成される。
【0021】
図2には、図示のように各a軸およびc軸の方向を有する熱分解グラファイト製のシート10が示されている。第1の平面状要素(エレメント)12またはストリップが熱分解グラファイト製のシート10からカット(切り出)されまたはダイス・カット(diced:さいの目状に切り出され)、その第1の平面状要素12がシートからカットされた後は、この第1の平面状要素12内の各a軸およびc軸の方向は、その第1の平面状要素12がシート10の一部を形成していたときと同じ方向を維持する。
【0022】
シート10からカットされた後の平面状要素12は、約90度または約270度だけ方位合わせ(回転)されて、第1の平面状要素のc軸方向が図2に示す方向から図3に示す方向に変化する。従って、第1の平面状要素12の方位合わせの後は、その第1の平面状要素12の第1の側面14の相対位置は、図2に示すその位置から図3Aに示す位置に変化している。図3Bに示す第2の平面状要素16は、シート10からカットされ、第1の平面状要素12に関して上述した形態と同様の形態で、90度または270度だけ方位合わせ(回転)される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、第1の平面状要素12の平面外の(out of the plane:平面内にない)方向にあるその第1の平面状要素12の第1の側面14は、その第1の側面14の少なくとも一部が図5に示すように第2の平面状要素16の第2の側面18の少なくとも一部に隣接し結合するようにその第2の平面状要素16の平面外の(平面内にない)方向にあるその第2の平面状要素16の第2の側面18に隣接し結合している。第2の層の第1の平面状要素32は、第1の平面状要素12に隣接し結合しており、第1の平面状要素12と第2の平面状要素16の厚さ方向がその第2の層の第1の平面状要素12(32)の厚さ方向とほぼ同じ方向に方位合わせされ(配向し)ている。第1の層の第1の平面状要素12と第2の平面状要素16の相対的に低い熱伝導度(または熱伝導率)の方向の方位は、第2の層の第1の平面状要素32の相対的に低い熱伝導度の方向の方位に対して(とは)異なっている。その第1の平面状要素12および第2の平面状要素16において、厚さ方向にない相対的に高い熱伝導度の方向の成分(構成要素、部品、コンポーネント)も、またその第2の層の第1の平面状要素32の厚さ方向にない相対的に高い熱伝導度の成分(構成要素、部品、コンポーネント)に対して(とは)異なる方位にある。
【0024】
第1の平面状要素12および第2の平面状要素16の厚さ方向におけるその第1の平面状要素12および第2の平面状要素16の熱伝導度が相対的に高いことにより、熱はその第1の層の第1の平面状要素12および第2の平面状要素16の厚さ方向に第2の層の隣接の接合ストリップに向かって、ここでは図5に示す熱拡散器22の第2の層の第1の平面状要素32に向かって伝導する。第1の層から第2の層に伝導した熱は、その第2の層の第1の平面状要素の厚さ方向の熱伝導度が相対的に高いことにより、次にその第2の層の第1の平面状要素32の厚さ方向に伝導する。
【0025】
図10に示す本発明の別の実施形態では、第1の平面状要素12の第1の側面14は第2の平面状要素16の第2の側面18と実質的に同一の拡がりをもって伸びている。また、第1の層の複数のストリップに隣接し結合した第2の層の複数のストリップすなわち複数の平面状要素の部分(複数)は、その第1の層と第2の層の複数のストリップの隣接の結合面(複数)の範囲全体に拡がっていてもよい。
【0026】
同様に、本発明による熱拡散器を、第1の層および第2の層の各々に第4、第5または第6等の平面状要素を設けて作ることもできる。特定の層における追加された各平面状要素は、その特定の層においてその熱拡散器の平面状要素の隣り合う側面に隣接し結合した側面を有する。
【0027】
図4および図5から明らかなように、第2の平面状要素16の一部分(部分)に隣接し結合した第1の平面状要素12の第1の側面14の一部分(部分)は、その第1の平面状要素12の第1の面(平面)に対して実質的に垂直に伸びている。第1の平面状要素12の第1の面(平面)は、主要寸法または主要次元(major dimension)hと、副次的寸法または副次元(minor dimension)gが図4に示すように伸びる方向と、によって定義(画定)される。その主要寸法hと副次的寸法gは同じ大きさをもっていてもよいが、その主要寸法hと副次的寸法gは、平面状要素の厚さ方向の寸法または次元ではない。
【0028】
主要寸法または主次元hと副次的寸法または副次元gは、それぞれ、第1の平面状要素12の第1の横寸法または次元と、第2の横寸法または次元とすることができる。
【0029】
第1の平面状要素12の第1の横寸法(次元)すなわち主要寸法(次元)hの方向とその第1の平面状要素12の厚さ方向iは、その第1の平面状要素12が形成された熱分解グラファイト製のシート10の各a軸の方向とすることができる。第2の横寸法(次元)の方向は、図1に示すように第1の平面状要素12が形成される熱分解グラファイト製のシート10のc軸の方向とすることができる。従って、図4に示すように、第1の平面状要素12は、その第1の平面状要素12の第1の横寸法(次元)、ここではその平面状要素の主要寸法(次元)hおよびその第1の平面状要素12の厚さ方向iにおいて相対的に高い熱伝導度を有するが、第2の横寸法(次元)すなわち副次的寸法(次元)gでは相対的に低い熱伝導度を有する。従って、熱は、第1の平面状要素12の副次的寸法(次元)gにおける第1の側面14を横切って第2の平面状要素16の第2の側面18に向かうよりも、主要寸法(次元)hおよび厚さ方向に沿ってより速く伝導する。
【0030】
図5の熱拡散器は、各平面状要素が3組の平行な側面を持つように形成することができる。この平面状要素の各側面はその平面状要素の他の2つの側面に対して垂直である。1組の側面の各々の2つの側面は各側面に沿って実質的に等距離離して配置することができる。
【0031】
例えば、ワイヤ・カッティング(ワイヤ切断)機械、ダイシング機械またはスライス機械のようなシートをカットするための任意の手段を用いて、熱分解グラファイト製のシートから、図1のf寸法(次元)の厚さが0.2mm(ミリメートル)乃至最大5cm(センチメートル)の寸法(サイズ)の平面状要素がカットまたはスライスされる。典型的な厚さは1.3cmである。長さすなわちd寸法(次元)の寸法が約3m(メートル)、幅方向の寸法(次元)eが40cmの大きさの市販の熱分解グラファイト製シートが利用可能である。本発明で使用するのに適した熱分解グラファイト製シートは、米国ニューヨーク州ニューヨークにあるパイロジェニックス グループ オブ ミンテック インターナショナル インコーポレーテッド(Pyrogenics Group of Minteq International Inc.)から市販されている。一例としてPYROID(商標)HT熱分解グラファイトがある。
【0032】
一実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は少なくとも約1.5mmである。
【0033】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、約1.5mm乃至約1.3cmである。
【0034】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、約1.3cm乃至約2.5cmである。
【0035】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、少なくとも約1.3cmである。
【0036】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、少なくとも約4.0cmである。
【0037】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間、の間隔の)距離は、約1.3cm乃至約5.0cmである。
【0038】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第3の側面と第4の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、少なくとも約1.0cmである。
【0039】
別の実施形態では、第1の平面状要素の第3の側面と第4の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離は、約1.0cm乃至約40cmである。
【0040】
第2の層の第1の平面状要素の第1の側面と第2の側面を互いに隔てる(の間の、の間隔の)距離を上述のように設定することができる。第2の層の第1の平面状要素の第3の側面と第4の側面を互いに隔てる(の間、の間隔の)距離は、図5に示すように、熱拡散器の第1の層の平面状要素すなわちストリップの第1の側面と第2の側面をそれぞれ横切って伸びるのに充分な長さとすることができる。第2の層の各ストリップは、図10に示すように、熱拡散器の第1の層の各平面状要素すなわち各ストリップの第1の側面と第2の側面をそれぞれ横切って伸びるのに充分な長さとすることができる。
【0041】
上述のシートの各a軸におけるそのシートの熱伝導度は約450乃至2000W/m°K(ワット/メートル°K)とすることができるが、特定の適用例(使用例、アプリケーション)に対して特定の熱伝導度を調整し設定することができる。z軸方向またはc軸に沿う方向の熱伝導度は、約2.0W/m°Kと低く、またはPYROID(登録商標)HT熱分解グラファイトの場合は7W/m°Kと低い。比較すると、銅の熱伝導度は400W/m°Kである。2.25g/ccの大きさの熱分解グラファイトの密度の値と比較して、銅は8.9g/ccの密度を有するので、本発明による熱拡散器を使用することによってより大きな効率と重量軽減が達成できる。
【0042】
第1の平面状要素12と第2の平面状要素16の間の界面に熱グリース(熱伝導グリース)を使用することもできる。図6の熱拡散器22は、例えばヒートシンク(吸熱器、放熱板)のような基板に隣接して結合することができ、第1の平面状要素12および第2の平面状要素16を基板に隣接して結合するための任意の適切な手段によって、ここでは図7に示す銅板20に隣接して結合することができる。熱拡散器22がヒートシンクに隣接し結合される場合は、その熱拡散器22をその基板に隣接し結合する手段はその熱拡散器22からその基板に熱を伝導(移動)させることができる。例えばクランプ手段のような機械的手段は、その熱拡散器を、その熱拡散器からヒートシンクに熱を伝導させる基板に隣接し結合するための手段とすることができる。また、その熱拡散器をヒートシンクに直接隣接し結合することもできる。さらに、その熱拡散器を基板またはヒートシンクに隣接し結合する別の手段は、接着(結合、ボンディング)手段とすることもできる。その接着手段は、金属の層、または、例えば金属含有層の少なくとも一部分を基板またはヒートシンクにろう付け(solder:はんだ付け)することによってその基板に接着された熱拡散器の平面状要素上の金属を含む層とすることができる。基板に隣接し結合すべき平面状要素の少なくとも一部分上の平坦な要素に、その金属含有層が形成される(付けられる、貼り付けられる、設けられる)。平面状要素の少なくとも一部分上に金属含有層を設けた後、例えばろう付けのような半導体産業で使用されている技術によって、または機械的締め具(固定具)のような機械的手段によって、その平面状要素を基板またはヒートシンクに隣接し結合することができる。
【0043】
基板に隣接し結合する平面状要素の一部分上への金属含有層の形成は、基板に結合される平面状要素の一部分上にメタライゼーション(金属被覆法)技術、スパッタリングによって、またはその平面状要素の一部分にろう(はんだ)の層を形成する(付ける、貼り付ける、設ける)ことによって、実現できる。半導体に使用するのに適した技術を用いて金属含有層を形成する前に、平面状要素に対して表面処理を施すことができる。
【0044】
第1の平面状要素12および第2の平面状要素16を結合するために任意の手段を用いることができる。例えば、第1の平面状要素12と第2の平面状要素16を互いに結合するために例えば機械的固定具のような機械的クランプ手段を使用することができ、または炭素を基材とする複数の面(carbon-based surfaces)を互いに結合することができる技術を用いてその第1の平面状要素12と第2の平面状要素16をろう付け(はんだ付け)することもできる。第1の平面状要素12と第2の平面状要素16を隣接して結合すると、熱は、その第1の平面状要素12および第2の平面状要素16から、その第1の平面状要素12と第2の平面状要素16が隣接し結合された部分に沿って伝導(移動)することができる。熱拡散器の第2の層の隣接し結合した平面状要素のストリップまたは平面状要素は互いに(共に)ろう付けされ、または炭素を基材とする各面を互いに結合することができる技術を用いて結合される。第2の層に結合された第1の層の隣接し結合したストリップまたは平面状要素は、上述の任意の技術を用いて隣接して結合できる。また、互いに隣接し結合される第1の層の平面状要素の一部分と第2の層の平面状要素の一部分に、金属含有層を形成(適用)することができる。その金属含有層の形成は、メタライゼーション(金属被覆法)技術、スパッタリングによって、または他の平面状要素に結合される平面状要素の一部分にろう(はんだ)の層を形成(適用)することによって、実現することができる。半導体に用いるのに適した技術を用いてその金属含有層を形成(適用)する前に、その平面状要素に対して表面処理を施すことができる。
【0045】
例えば、図11の第2の層の第1の平面状要素34のような特定の平面状要素は、熱が熱拡散器における隣接の結合された全ての平面状要素に向かって伝導することができるように、1面、2面、3面または4面より多い(2面、3面、4面、5面以上の)数の面に形成(適用)された金属含有層を有することができる。
【0046】
本発明の別の実施形態では、図6および図6Aに示すように、熱拡散器は、第1の平面状要素12、第2の平面状要素16および第3の平面状要素24を有する第1の層を有する。第3の平面状要素24は、第1の平面状要素12および第2の平面状要素16がカットされるのと同様の形態で、熱分解グラファイト製のシート10からカットまたはダイス・カットされて方位合わせ(配向)されている。第2の平面状要素16の第3の側面26は、その第3の側面が第3の平面状要素24の第4の側面28に隣接し結合するように配列されている。図11に示すように、第2の層は、その第2の層の第1の平面状要素32、第2の層の第2の平面状要素34、および第2の層の第3の平面状要素36を有する。その熱拡散器は、第3の平面状要素38を有する第3の層を持つことができ、その第3の平面状要素38は、その相対的に低い熱伝導度の方向が、その熱拡散器の第3の層に隣接し結合されたその熱拡散器の第2の層の各ストリップまたは各平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して(とは)実質的に異なる方向になるように、配向されている。
【0047】
同様に、本発明による熱拡散器は、平面状要素の第4の層、第5の層、第6の層等を有するように作ることもできる。各追加された層のそれぞれの平面状要素は、熱拡散器の平面状要素の隣り合う層の少なくとも1つの平面状要素の隣接の側面に隣接し結合した側面を有する。
【0048】
本発明のこの実施形態の構成における3つのストリップ全ての熱分解グラファイトの各a軸およびc軸が図6に示されている方向に配列されているので、熱はl(Lの小文字)寸法(次元)に比してj寸法(次元)およびk寸法(次元)においてより速く伝導(移動)する。
【0049】
図7には、本発明による熱拡散器が電子装置30および銅板製のヒートシンク20と組み合わされた状態で示されている。電子装置30から出た熱は熱拡散器22に伝導する。熱は、熱拡散器22から、その熱拡散器22を形成する熱分解グラファイトの各a軸方向に方位合わせ(配向)された厚さ方向の寸法(次元)iおよび横方向の寸法(次元)hの方向に最も速く伝導(移動)する。熱は、第1の平面状要素12と第2の平面状要素16の間の界面を横切る方向に、より低速で伝導(移動)する。
【0050】
電子装置としては、例えばマイクロプロセッサ、集積回路、高電力装置とすることができ、例えば、レーザ・ダイオード、LED、広帯域間隙(wide band gap)、RF(無線)およびマイクロ波装置、電力増幅器、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuits)、液晶表示装置(LCD)、およびその他のタイプ(種類)のビデオ表示装置とすることができる。
【0051】
図11に示すように、熱拡散器は1つより多い(2つ以上の)電子装置からの熱を放散させまたは放出することもでき、ここでは2つの電子装置30が第3の層の平面状要素38に隣接し結合され、これ(電子装置)からの熱を放散させまたは放出することができる。
【0052】
本発明の別の実施形態では、図12に示すように、第1の層の第1の平面状要素12がその第1の層の第2の平面状要素16から偏位(オフセット)して配置されている。第1の層の第1の平面状要素12の第1の側面14の一部分のみがその第1の層の第2の平面状要素16の第2の側面18に隣接し結合されている。同様に、第1の層の第2の平面状要素16の第2の側面18の一部分のみがその第1の層の第1の平面状要素12の第2の側面14に隣接し結合されている。第2の層の第1の平面状要素32は、第1の層の第1の平面状要素12および第2の層の第2の平面状要素16の側面に隣接し結合されている。
【0053】
本発明は、また、第1の層中に上述のように配列された第1の平面状要素および第2の平面状要素と第2の層の第1の平面状要素とを含む熱拡散器を設けることを含む、熱源から熱を放散させる方法を開示する別の実施例を含んでいる。その熱拡散器が熱源との熱伝導関係を保って配置され、これによってその熱拡散器は熱源からの熱を第1のストリップおよび第2のストリップに向けて伝導させる。熱は、第1の層の平面状要素と第2の層の少なくとも1つの第1の平面状要素との間を相対的に高い熱伝導度の方向にその熱拡散器を通して伝導される。
【0054】
従って、本発明の上述の説明は、この分野の専門家によって大幅な変形、変更および適応化が可能であり、このような変形、変更および適応化についても本発明の範囲に含まれることを意図している、と理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱分解グラファイト製の第1の平面状要素を含み、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の第1の面の第1の横寸法の方向および当該第1の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第1の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の前記第1の面外の(前記第1の面内にない)方向に伸びる第1の側面と、当該第1の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第2の側面とを有し、
(b)さらに、熱分解グラファイト製の第2の平面状要素を含み、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の第2の面の第1の横寸法の方向および当該第2の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第2の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第2の面外の(前記第2の面内にない)方向に伸びる第3の側面と、当該第2の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第4の側面とを有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる前記第1の平面状要素の前記第1の側面の少なくとも一部は、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第2(第3)の側面の少なくとも一部に隣接し、
(c)さらに、熱分解グラファイト製の第3の平面状要素を含み、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の第3の面の第1の横寸法の方向および当該第3の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第3の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第5の側面を有し、
前記第3の平面状要素の前記第5の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面に隣接しており、
前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第3の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位に対して、異なる角度にあるものである、
熱拡散器。
【請求項2】
(a)熱分解グラファイト製の第1の平面状要素を含み、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の第1の面の第1の横寸法の方向および当該第1の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第1の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の面の前記第1の横寸法の方向および前記第1の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第1の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第1の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に前記第1の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の前記第1の面外の(前記第1の面内にない)方向に伸びる第1の側面と、当該第1の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第2の側面とを有し、
(b)さらに、熱分解グラファイト製の第2の平面状要素を含み、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の第2の面の第1の横寸法の方向および当該第2の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第2の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第2の平面状要素の前記第2の面の前記第1の横寸法の方向および前記第2の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第2の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第2の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に前記第2の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第2の面外の(前記第2の面内にない)方向に伸びる第3の側面と、当該第2の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第4の側面とを有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる前記第1の平面状要素の前記第1の側面の少なくとも一部は、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第3の側面の少なくとも一部に隣接しており、
(c)さらに、熱分解グラファイト製の第3の平面状要素を含み、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の第3の面の第1の横寸法の方向および当該第3の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第3の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第3の平面状要素の前記第3の面の前記第1の横寸法の方向および前記第3の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第3の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第3の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に当該第3の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第5の側面を有し、
前記第3の平面状要素の前記第5の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面に隣接しており、
前記第1の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第3の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して、異なる角度にあるものである、
熱拡散器。
【請求項3】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面および前記第2の平面状要素の前記第3の側面の各々は、それぞれ前記第2の横寸法の方向に第1の距離だけ前記第1の側面および前記第3の側面の各々から離れた反対側の(opposing:反対向きの、対置する)実質的に平行な側面を有し、
前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面の各々は、それぞれ前記第1の横寸法の方向に第2の距離だけ前記第1の側面および前記第3の側面の各々から離れて反対側の(反対向きの、対置する)実質的に平行な側面を有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面に対して直交しており、
前記第2の平面状要素の前記第3の側面は、前記第2の平面状要素の前記第4の側面に対して直交しているものである、
請求項2に記載の熱拡散器。
【請求項4】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面は、実質的に同一の拡がりで前記第2の平面状要素の前記第3の側面に隣接しているものである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項5】
前記第3の平面状要素の前記第5の側面は、前記第1の平面状要素の前記第1の側面から前記第1の平面状要素の前記第1の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面に向かって伸びており、また前記第2の平面状要素の前記第3の側面から前記第2の平面状要素の前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面に向かって伸びているものである、
請求項4に記載の熱拡散器。
【請求項6】
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の前記第5の側面に対して実質的に垂直な第6の側面を有し、
前記熱拡散器は、さらに、熱分解グラファイト製の第4の平面状要素を含み、
前記第4の平面状要素は、当該第4の平面状要素の第4の面の第1の横寸法の方向および前記第4の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第4の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第4の平面状要素の前記第4の面の前記第1の横寸法の方向および前記第4の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第4の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第4の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に前記第3の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第4の平面状要素は、当該第4の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第7の側面を有し、
前記第4の平面状要素の前記第7の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面に隣接しており、
前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第4の平面状要素の相対的低い熱伝導度の方向に対して、異なる角度にあり、
前記第4の平面状要素は、前記第3の平面状要素の前記第6の側面に同一の拡がりで隣接し前記第7の側面に対して実質的に垂直な第8の側面を有するものである、
請求項5に記載の熱拡散器。
【請求項7】
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面を有し、
前記熱拡散器は、さらに、熱分解グラファイト製の第4の平面状要素を含み、
前記第4の平面状要素は、当該第4の平面状要素の第4の面の第1の横寸法の方向および当該第4の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第4の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第4の平面状要素の前記第4の面の前記第1の横寸法の方向および前記第4の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第4の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第4の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に前記第4の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第4の平面状要素は、当該第4の平面状要素の前記第4の面外の(前記第4の面内にない)方向に伸びる第7の側面と、当該第4の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第8の側面とを有し、
前記第4の平面状要素の前記第4の面外の方向に伸びる前記第4の平面状要素の前記第7の側面の少なくとも一部は、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面の少なくとも一部に隣接しているものである、
請求項4に記載の熱拡散器。
【請求項8】
前記熱拡散器は、さらに、前記第3の平面状要素および前記第4の平面状要素を横切って伸びる熱分解グラファイト製の第5の平面状要素を含み、
前記第5の平面状要素は、当該第5の平面状要素の第5の平面の第1の横寸法の方向および当該第5の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第5の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第5の平面状要素は、当該第5の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第9の側面を有し、
前記第5の平面状要素の前記第9の側面は、前記第3の平面状要素の前記第5の側面とは反対側にある(反対向きの、と対置する)前記第3の平面状要素の側面に隣接し、且つ前記第4の平面状要素の前記第7の側面とは反対側にある(反対向きの、と対置する)前記第4の平面状要素の側面に隣接しており、
前記第3の平面状要素および前記第4の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第5の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して、異なる角度にあるものである、
請求項6に記載の熱拡散器。
【請求項9】
前記熱拡散器の前記第3の平面状要素上に電子装置が設けられており、前記熱拡散器は前記電子装置からの熱を伝導させるものであることを特徴とする、
前記電子装置と組合わされた、請求項1に記載の熱拡散器。
【請求項10】
前記熱拡散器の前記第3の平面状要素上に電子装置が設けられており、前記熱拡散器は前記電子装置からの熱をヒートシンクに伝導させるものであることを特徴とする、
前記電子装置および前記ヒートシンクと組合わされた、請求項1に記載の熱拡散器。
【請求項11】
前記熱拡散器が前記ヒートシンク上に設けられていることを特徴とする、
前記ヒートシンクと組合わされた、請求項1に記載の熱拡散器。
【請求項12】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面と前記第1の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間、および前記第2の平面状要素の前記第3の側面と前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第1の距離が、少なくとも約1.5mmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項13】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面と前記第1の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間、および前記第2の平面状要素の前記第3の側面と前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第1の距離が、約1.5mm乃至約1.3cmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項14】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面と前記第1の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間、および前記第2の平面状要素の前記第3の側面と前記第3の側面と反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第1の距離が、約1.3cm乃至約2.5cmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項15】
前記第1の平面状要素の前記第2の側面と、前記第2の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第2の距離が、少なくとも約1.0cmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項16】
前記第1の平面状要素の前記第2の側面と、前記第2の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第2の距離が、約1.0cm乃至約40cmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項17】
請求項1に記載の熱拡散器を製造する方法であって、
(a)熱分解グラファイト製の第1の平面状要素を供給する工程を含み、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の第1の面の第1の横寸法の方向および当該第1の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第1の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる第1の側面と、当該第1の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第2の側面とを有し、
(b)さらに、熱分解グラファイト製の第2の平面状要素を供給する工程を含み、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の第2の面の第1の横寸法の方向および当該第2の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第2の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる第3の側面と、当該第2の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第4の側面とを有し、
(c)さらに、前記第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる前記第1の平面状要素の前記第1の側面の少なくとも一部を、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第2(第3)の側面の少なくとも一部に隣接させる工程と、
(d)熱分解グラファイト製の第3の平面状要素を供給する工程と、
を含み、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の第3の面の第1の横寸法の方向および当該第3の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第3の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第5の側面を有し、
(e)さらに、前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位が前記第3の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して異なる角度になるように、前記第3の平面状要素の前記第5の側面を前記第1の平面状要素の前記第1(第2)の側面および前記第2の平面状要素の前記第3(第4)の側面に隣接させる工程を含む、
方法。
【請求項18】
熱源からの熱を放散させる方法であって、
(a)熱拡散器を準備し、
前記熱拡散器は、
(i)熱分解グラファイト製の第1の平面状要素を含み、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の第1の面の第1の横寸法の方向および当該第1の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第1の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる第1の側面と、当該第1の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第2の側面とを有し、
(ii)さらに、熱分解グラファイト製の第2の平面状要素を含み、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の第2の面の第1の横寸法の方向および当該第2の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第2の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる第3の側面と、当該第2の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第4の側面とを有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる前記第1の平面状要素の前記第1の側面の少なくとも一部は、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第3の側面の少なくとも一部に隣接しており、
(iii)さらに、熱分解グラファイト製の第3の平面状要素を含み、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の第3の面の第1の横寸法の方向および当該第3の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第3の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第5の側面を有し、
前記第3の平面状要素の前記第5の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面に隣接しており、
前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第3の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して、異なる角度にあるものであり、
(b)さらに、前記熱拡散器を熱源に対して熱伝導関係で配置し、
(c)前記熱源からの熱を、前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素へ伝導させ、さらに前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素から前記第3の平面状要素に伝導させ、
(d)熱を前記熱拡散器を通して相対的に高い熱伝導度の方向に伝導させること、
を含む、方法。
【請求項1】
(a)熱分解グラファイト製の第1の平面状要素を含み、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の第1の面の第1の横寸法の方向および当該第1の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第1の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の前記第1の面外の(前記第1の面内にない)方向に伸びる第1の側面と、当該第1の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第2の側面とを有し、
(b)さらに、熱分解グラファイト製の第2の平面状要素を含み、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の第2の面の第1の横寸法の方向および当該第2の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第2の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第2の面外の(前記第2の面内にない)方向に伸びる第3の側面と、当該第2の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第4の側面とを有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる前記第1の平面状要素の前記第1の側面の少なくとも一部は、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第2(第3)の側面の少なくとも一部に隣接し、
(c)さらに、熱分解グラファイト製の第3の平面状要素を含み、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の第3の面の第1の横寸法の方向および当該第3の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第3の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第5の側面を有し、
前記第3の平面状要素の前記第5の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面に隣接しており、
前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第3の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位に対して、異なる角度にあるものである、
熱拡散器。
【請求項2】
(a)熱分解グラファイト製の第1の平面状要素を含み、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の第1の面の第1の横寸法の方向および当該第1の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第1の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の面の前記第1の横寸法の方向および前記第1の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第1の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第1の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に前記第1の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の前記第1の面外の(前記第1の面内にない)方向に伸びる第1の側面と、当該第1の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第2の側面とを有し、
(b)さらに、熱分解グラファイト製の第2の平面状要素を含み、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の第2の面の第1の横寸法の方向および当該第2の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第2の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第2の平面状要素の前記第2の面の前記第1の横寸法の方向および前記第2の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第2の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第2の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に前記第2の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第2の面外の(前記第2の面内にない)方向に伸びる第3の側面と、当該第2の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第4の側面とを有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる前記第1の平面状要素の前記第1の側面の少なくとも一部は、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第3の側面の少なくとも一部に隣接しており、
(c)さらに、熱分解グラファイト製の第3の平面状要素を含み、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の第3の面の第1の横寸法の方向および当該第3の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第3の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第3の平面状要素の前記第3の面の前記第1の横寸法の方向および前記第3の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第3の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第3の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に当該第3の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第5の側面を有し、
前記第3の平面状要素の前記第5の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面に隣接しており、
前記第1の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第3の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して、異なる角度にあるものである、
熱拡散器。
【請求項3】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面および前記第2の平面状要素の前記第3の側面の各々は、それぞれ前記第2の横寸法の方向に第1の距離だけ前記第1の側面および前記第3の側面の各々から離れた反対側の(opposing:反対向きの、対置する)実質的に平行な側面を有し、
前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面の各々は、それぞれ前記第1の横寸法の方向に第2の距離だけ前記第1の側面および前記第3の側面の各々から離れて反対側の(反対向きの、対置する)実質的に平行な側面を有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面に対して直交しており、
前記第2の平面状要素の前記第3の側面は、前記第2の平面状要素の前記第4の側面に対して直交しているものである、
請求項2に記載の熱拡散器。
【請求項4】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面は、実質的に同一の拡がりで前記第2の平面状要素の前記第3の側面に隣接しているものである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項5】
前記第3の平面状要素の前記第5の側面は、前記第1の平面状要素の前記第1の側面から前記第1の平面状要素の前記第1の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面に向かって伸びており、また前記第2の平面状要素の前記第3の側面から前記第2の平面状要素の前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面に向かって伸びているものである、
請求項4に記載の熱拡散器。
【請求項6】
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の前記第5の側面に対して実質的に垂直な第6の側面を有し、
前記熱拡散器は、さらに、熱分解グラファイト製の第4の平面状要素を含み、
前記第4の平面状要素は、当該第4の平面状要素の第4の面の第1の横寸法の方向および前記第4の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第4の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第4の平面状要素の前記第4の面の前記第1の横寸法の方向および前記第4の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第4の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第4の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に前記第3の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第4の平面状要素は、当該第4の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第7の側面を有し、
前記第4の平面状要素の前記第7の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面に隣接しており、
前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第4の平面状要素の相対的低い熱伝導度の方向に対して、異なる角度にあり、
前記第4の平面状要素は、前記第3の平面状要素の前記第6の側面に同一の拡がりで隣接し前記第7の側面に対して実質的に垂直な第8の側面を有するものである、
請求項5に記載の熱拡散器。
【請求項7】
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面を有し、
前記熱拡散器は、さらに、熱分解グラファイト製の第4の平面状要素を含み、
前記第4の平面状要素は、当該第4の平面状要素の第4の面の第1の横寸法の方向および当該第4の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第4の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第4の平面状要素の前記第4の面の前記第1の横寸法の方向および前記第4の平面状要素の前記厚さ方向は、実質的に前記第4の平面状要素の熱分解グラファイトの各a軸の方位の各方向に伸びており、
前記第4の平面状要素の前記第2の横寸法の方向は、実質的に前記第4の平面状要素の熱分解グラファイトのc軸方向に伸びており、
前記第4の平面状要素は、当該第4の平面状要素の前記第4の面外の(前記第4の面内にない)方向に伸びる第7の側面と、当該第4の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第8の側面とを有し、
前記第4の平面状要素の前記第4の面外の方向に伸びる前記第4の平面状要素の前記第7の側面の少なくとも一部は、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面の少なくとも一部に隣接しているものである、
請求項4に記載の熱拡散器。
【請求項8】
前記熱拡散器は、さらに、前記第3の平面状要素および前記第4の平面状要素を横切って伸びる熱分解グラファイト製の第5の平面状要素を含み、
前記第5の平面状要素は、当該第5の平面状要素の第5の平面の第1の横寸法の方向および当該第5の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第5の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第5の平面状要素は、当該第5の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第9の側面を有し、
前記第5の平面状要素の前記第9の側面は、前記第3の平面状要素の前記第5の側面とは反対側にある(反対向きの、と対置する)前記第3の平面状要素の側面に隣接し、且つ前記第4の平面状要素の前記第7の側面とは反対側にある(反対向きの、と対置する)前記第4の平面状要素の側面に隣接しており、
前記第3の平面状要素および前記第4の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第5の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して、異なる角度にあるものである、
請求項6に記載の熱拡散器。
【請求項9】
前記熱拡散器の前記第3の平面状要素上に電子装置が設けられており、前記熱拡散器は前記電子装置からの熱を伝導させるものであることを特徴とする、
前記電子装置と組合わされた、請求項1に記載の熱拡散器。
【請求項10】
前記熱拡散器の前記第3の平面状要素上に電子装置が設けられており、前記熱拡散器は前記電子装置からの熱をヒートシンクに伝導させるものであることを特徴とする、
前記電子装置および前記ヒートシンクと組合わされた、請求項1に記載の熱拡散器。
【請求項11】
前記熱拡散器が前記ヒートシンク上に設けられていることを特徴とする、
前記ヒートシンクと組合わされた、請求項1に記載の熱拡散器。
【請求項12】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面と前記第1の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間、および前記第2の平面状要素の前記第3の側面と前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第1の距離が、少なくとも約1.5mmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項13】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面と前記第1の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間、および前記第2の平面状要素の前記第3の側面と前記第3の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第1の距離が、約1.5mm乃至約1.3cmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項14】
前記第1の平面状要素の前記第1の側面と前記第1の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間、および前記第2の平面状要素の前記第3の側面と前記第3の側面と反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第1の距離が、約1.3cm乃至約2.5cmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項15】
前記第1の平面状要素の前記第2の側面と、前記第2の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第2の距離が、少なくとも約1.0cmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項16】
前記第1の平面状要素の前記第2の側面と、前記第2の側面とは反対側の(反対向きの、と対置する)側面との間の第2の距離が、約1.0cm乃至約40cmである、請求項3に記載の熱拡散器。
【請求項17】
請求項1に記載の熱拡散器を製造する方法であって、
(a)熱分解グラファイト製の第1の平面状要素を供給する工程を含み、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の第1の面の第1の横寸法の方向および当該第1の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第1の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる第1の側面と、当該第1の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第2の側面とを有し、
(b)さらに、熱分解グラファイト製の第2の平面状要素を供給する工程を含み、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の第2の面の第1の横寸法の方向および当該第2の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第2の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる第3の側面と、当該第2の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第4の側面とを有し、
(c)さらに、前記第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる前記第1の平面状要素の前記第1の側面の少なくとも一部を、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第2(第3)の側面の少なくとも一部に隣接させる工程と、
(d)熱分解グラファイト製の第3の平面状要素を供給する工程と、
を含み、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の第3の面の第1の横寸法の方向および当該第3の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第3の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第5の側面を有し、
(e)さらに、前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位が前記第3の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して異なる角度になるように、前記第3の平面状要素の前記第5の側面を前記第1の平面状要素の前記第1(第2)の側面および前記第2の平面状要素の前記第3(第4)の側面に隣接させる工程を含む、
方法。
【請求項18】
熱源からの熱を放散させる方法であって、
(a)熱拡散器を準備し、
前記熱拡散器は、
(i)熱分解グラファイト製の第1の平面状要素を含み、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の第1の面の第1の横寸法の方向および当該第1の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第1の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第1の平面状要素は、当該第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる第1の側面と、当該第1の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第2の側面とを有し、
(ii)さらに、熱分解グラファイト製の第2の平面状要素を含み、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の第2の面の第1の横寸法の方向および当該第2の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第2の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第2の平面状要素は、当該第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる第3の側面と、当該第2の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第4の側面とを有し、
前記第1の平面状要素の前記第1の面外の方向に伸びる前記第1の平面状要素の前記第1の側面の少なくとも一部は、前記第2の平面状要素の前記第2の面外の方向に伸びる前記第2の平面状要素の前記第3の側面の少なくとも一部に隣接しており、
(iii)さらに、熱分解グラファイト製の第3の平面状要素を含み、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の第3の面の第1の横寸法の方向および当該第3の平面状要素の厚さ方向において相対的に高い熱伝導度を有し、当該第3の平面状要素の第2の横寸法の方向において相対的に低い熱伝導度を有し、
前記第3の平面状要素は、当該第3の平面状要素の相対的に高い熱伝導度の方向に伸びる第5の側面を有し、
前記第3の平面状要素の前記第5の側面は、前記第1の平面状要素の前記第2の側面および前記第2の平面状要素の前記第4の側面に隣接しており、
前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向の方位は、前記第3の平面状要素の相対的に低い熱伝導度の方向に対して、異なる角度にあるものであり、
(b)さらに、前記熱拡散器を熱源に対して熱伝導関係で配置し、
(c)前記熱源からの熱を、前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素へ伝導させ、さらに前記第1の平面状要素および前記第2の平面状要素から前記第3の平面状要素に伝導させ、
(d)熱を前記熱拡散器を通して相対的に高い熱伝導度の方向に伝導させること、
を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−538493(P2010−538493A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524039(P2010−524039)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/010428
【国際公開番号】WO2009/032310
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(502159859)スペシャルティ ミネラルズ (ミシガン) インコーポレーテツド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/010428
【国際公開番号】WO2009/032310
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(502159859)スペシャルティ ミネラルズ (ミシガン) インコーポレーテツド (6)
【Fターム(参考)】
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