説明

工事灯

【課題】従来、道路工事現場などで用いられている工事灯は、それぞれの工事灯の点滅パターンがバラバラであった。また、特定の場所に固定された標示装置では、点滅パターンを標準時刻電波を用いて同期するものは存在したが、主電源をOFFにすることが多い工事灯では、標準時刻電波を用いて同期することが困難であった。
【解決手段】本件発明では、本体天面に配置した太陽電池パネル部と、本体側面に向けて配置したLEDランプ部と、本体下部分に配置した太陽電池からの電力を蓄える蓄電池部と、太陽電池パネルに沿って本体上部に配置されたソレノイドコイル状の電波時計のアンテナを有する電波時計部と、各部を制御するとともに、時刻に応じて定められたタイミングでLEDランプ部の点滅を制御可能な制御部と、からなる工事灯を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、道路工事や建築現場等で用いられ、コーンや単管などに取り付けられる取り外し可能な工事灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すような道路工事や建築現場で用いられている工事灯は、太陽電池などを搭載し、所定の暗さになると、所定の点滅パターンでLEDランプなどの光源の点滅を行っていた。このような工事灯は、個々の工事灯が独立しているため、個々の工事灯の主電源を入れた時点からLEDランプの点滅が開始される。従って、個々の工事灯のLEDランプの点滅パターンは共通であっても、全体としてバラバラに見えてしまい、全ての点滅タイミングを揃えることは不可能であった。
【0003】
そこで、特許文献2や特許文献3に示した標示装置では、標準時刻電波を利用して点滅パターンの調整を行っている。
【特許文献1】特開2000−319833
【特許文献2】特開2005−030103
【特許文献3】特開2002−358596
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2や特許文献3に示された標示装置は、所定の位置に固定された標示装置に関する技術である。つまり、常に同一の場所で主電源がONの状態で設置された標示装置であり、所定の時間や間隔で標準時刻電波を受信し、タイミングを調整することが可能である。一方、本件発明の工事灯は、設置場所が固定されず、工事が完了した場合、つまり工事灯が未使用の状態では、主電源をOFFにされるため、所定の時間に標準時刻電波を受信することが出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本件発明では上記課題に鑑み次に示す工事灯を提供する。すなわち第一の発明としては、本体天面に配置した太陽電池パネル部と、本体側面に向けて配置したLEDランプ部と、本体下部分に配置した太陽電池からの電力を蓄える蓄電池部と、太陽電池パネルに沿って本体上部に配置されたソレノイドコイル状の電波時計のアンテナを有する電波時計部と、各部を制御するとともに、時刻に応じて定められたタイミングでLEDランプ部の点滅を制御可能な制御部と、からなる工事灯を提供する。
【0006】
第二の発明としては、前記LEDランプ部が、花弁状に配置されたLEDランプと、LEDランプの光を前面に反射するためのおわん状の反射鏡と、からなる第一の発明に記載の工事灯を提供する。
【0007】
第三の発明としては、前記LEDランプ部は、天地方向に対し花弁に相当するLEDランプが45度の傾きをもって配置されるとともに、各LEDランプは砲弾型LEDランプであって、LEDランプの砲弾方向光跡上の位置には、各LEDランプごとに独立したレンズを有するLEDランプカバーを備えた第二の発明に記載の工事灯を提供する。
【0008】
第四の発明としては、前記LEDランプ部のLEDランプは、相互に90度の角度をなすように配置されている第三の発明に記載の工事灯を提供する。
【0009】
第五の発明としては、制御部が、太陽電池パネルでの起電力を測定する測定回路と、測定回路での測定値が所定の値を下回った場合に、LEDランプ部のLEDランプに蓄電池部に蓄えられた電力を通電する通電スイッチと、を含む第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載の工事灯を提供する。
【0010】
第六の発明としては、LEDランプ部が、本体の縦方向に複数配置されている第一の発明から第五の発明いずれか一に記載の工事灯を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本件発明により、取り外し可能な工事灯であっても、点滅パターンを同期することが可能な工事灯を提供することが可能となる。さらに、太陽電池パネルの起電力の大きさにより、工事灯の設置された環境の明るさを判断することで、照度センサーなどを搭載する必要が無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0013】
実施形態1は、主に請求項1および請求項4などに関する。実施形態2は、主に請求項2などに関する。実施形態3は主に請求項2および請求項3などに関する。実施形態4は主に請求項4などに関する。実施形態5は主に請求項5などに関する。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
【0014】
本実施形態の工事灯の斜視概念図を図1に示した。図1の(a)は外観図であり、(b)は内部透視図である。また図2は図1に示した工事灯の機能ブロック図である。本実施形態の工事灯は、本体天面(0101)に配置した太陽電池パネル部(0102、0201)と、本体側面に向けて配置したLEDランプ部(0103、0202)と、本体下部分に配置した太陽電池からの電力を蓄える蓄電池部(0104、0203)と、太陽電池パネルに沿って本体上部に配置されたソレノイドコイル状の電波時計のアンテナ(0105、0204)を有する電波時計部(0106、0205)と、各部を制御するとともに、時刻に応じて定められたタイミングでLEDランプ部の点滅を制御可能な制御部(0107、0206)とからなる。
【0015】
「太陽電池パネル部」は、本体天面に配置され、昼間など太陽光などの明かりによって、後述するLEDランプ部のLEDランプが発光するための電力を発電する。太陽電池パネル部は、本実施形態の工事灯においてもっとも効率よく太陽光などの光が当たる天面に配置されている。太陽電池パネルの大きさは、工事灯が夜間点灯および点滅するために必要な電力を十分に発電可能な大きさである。太陽電池パネルにて発電された電力は、後述する蓄電池部に充電することで蓄電される。なお、太陽電池パネルは、シリコンを主原料として構成されているので電磁シールド効果がなく、直下にソレノイドコイルが配置されてもソレノイドコイルに対して受信妨害となることはない。
【0016】
「LEDランプ部」は、本体側面に向けて配置され、蓄電池部に蓄電された電力によって点灯や点滅する。LEDランプ部は、発光体としてLED有し、LEDランプから発せられた光は、工事灯本体の側面方向に向けて照射されるように構成されている。また、本実施形態の工事灯に配置されるLEDランプ部は、図3のように、1つであってもよいし、図1に示したように縦方向に複数配置してもよい。また複数のLEDランプ部を有する工事灯の場合、そのLEDランプ部の配置は、縦方向に配置してもよいし、横方向や、縦横に2つずつ配置してもよい。
【0017】
さらに、LEDランプ部のLEDランプは、複数であってもよいし、単数であっても良い。また、LEDランプの発光色は、赤やオレンジなどの警戒色の他、青や緑、白色などであってもよい。また、複数種類の色を組み合わせてもよい。さらに複数のLEDランプ部を有する工事灯の場合は、個々のLEDランプ部によって色を変化させても良い。
【0018】
「蓄電池部」は、太陽電池パネルから発電された電力を蓄える。蓄電池部はニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池である。蓄電池部は、LEDランプ部のLEDランプが、所定の時間発光するために必要な電力量を十分に蓄えることが可能な容量であることが必要である。また蓄電池部は、工事灯の下部であって、単管やコーンの上部に設置するための円筒形部分に配置されている。この工事灯の下部に他の部材に比べて重量の重い電池部を配置することで、工事灯の重心が低くなり、設置したときの安定性が増加する。また蓄電池部を単管やコーンの上部の円筒形部分にはまり込むように設置すると蓄電池に対して機械などが接触することを防止でき、液漏れなどの問題を少なくできる。さらに円筒形部分の直径が比較的大きく蓄電池の部分との間に余裕があるような場合でも、蓄電池部分がおもりとなって全体が比較的直立しやすいので天面に配置した太陽電池が天空を向くようになり、わざわざ向きの調節をするような必要もない。
【0019】
「電波時計部」は、前述したLEDランプ部のLEDランプの点滅タイミングを、他の工事灯と同期させる。電波時計部は、太陽電池パネルの発電を妨げない位置に、太陽電池パネルに沿って標準時刻電波を受信するためのソレノイドコイル状のアンテナを有している。電波時計部は、ソレノイドコイル状のアンテナが受信した標準時刻に基づき、LEDランプ部のLEDランプの点滅タイミングを調整する。電波時計部が標準時刻電波に基づきLEDランプの点滅タイミングを調整することで、複数の工事灯の点滅タイミングを同期させることが可能となる。
【0020】
電波時計部は、工事灯本体下部に設けられた主電源スイッチを入れると、標準時刻電波(JJY)の受信を開始する。標準時刻電波を受信すると、工事灯は、自身が持つ内部タイマーの調整を行う。このタイマーに基づき、LEDランプは点滅を行う。標準時刻電波の受信は、主電源が入った状態で、尚かつLEDランプが点滅していない状態で定期的に常に行う。内部のタイマーの具体的な調整方法としては、例えば標準時刻電波に含まれるポジションマーカーとマーカーを受信することでタイマーのリセットすることで調整を行う。リセットを行うことで、個々の工事灯の有するタイマーの値(カウントなど)を0にすることで、全ての工事灯の有するタイマーの値を揃えることが可能となる。
【0021】
図4に標準時刻電波の一例を示した。標準時刻電波は1分間に分、時、日、年、曜日、うるう秒の順(その他のデータが含まれる場合もある)に送信される。この分や時などの間などに情報を識別するためのマーカー(M)(0401)やポジションマーカー(P0からP5)(0402、0403、0404、0405、0406、0407)が送信される。このマーカーおよびポジションマーカーを受信し、内部タイマーのリセットを行っている。図中P0の信号の立ち上がりを起点として、M、P1の3つの信号を受信した時点で、内部のタイマーをリセットする。つまりP0を受信してから11秒後にタイマーのリセットを行う。これにより、個々の工事等が持つ内部タイマーは全て同時にリセットが行われることとなり、全て同じカウントを有することになる。
【0022】
本実施形態の工事灯において、電波時計部が標準時刻電波を受信するタイミングは、LEDランプが点滅を開始するタイミングではなく、主電源が入った段階で行う点に特徴がある。従来例で示した電波時計を有する工事灯や道路鋲は、固定式であって、特定の場所に設置されることを想定している。このため、常に標準時刻電波を受信可能である。しかし、本実施形態の工事灯は、特定の場所に固定されず、定期的に取り外して電源を切ることを想定している。このため、使用していない状態では、主電源はOFF状態であり、標準時刻電波を受信することが出来ない。また、仮にLEDランプが点滅を開始するタイミングのみで標準時刻電波を受信し、タイマーの調整を行った場合、標準時刻電波の受信には前述のように11秒程度の時間が必要であるため、ランプが点灯するまでにタイムラグが生じる。さらに、点滅を開始するタイミングで標準時刻電波を受信できなかった場合、個々の工事灯で点滅タイミングがずれてしまう可能性もある。このため、電波時計部は、LEDランプの点滅タイミングにかかわらず、工事灯の主電源を入れた時点で標準時刻電波の受信を開始する。また、LEDランプが点滅している状態で、標準時刻電波の受信を行うと、LEDランプの点滅によって発生するノイズによって標準時刻電波が正しく受信することができない問題が生じ、場合によっては点滅のタイミングがずれてしまう恐れがある。そこで、本実施形態の工事灯では、LEDランプが点滅してない状態で標準時刻電波の受信を行い、内部タイマーの調整を行っている。
【0023】
ここで、本実施形態の工事灯の電波時計部の処理の流れの一例を説明する。まず主電源が入ると、内部のタイマーのカウントが開始される。次に、現在工事灯のLEDランプを点滅すべきか否かを判断する。この判断については、後述する。LEDを点滅する必要が無い場合には、標準時刻電波の受信を行い、正常に受信された場合には、内部のタイマーのリセットを行う。なお、ソレノイドコイルはコアを有するものでも、コアを有さないものでも良いが、コアを有するもののほうが受信感度が向上する。そして、コアは熱に対して弱く、温度が上昇すると受信感度の低下を招くが、直上に配置されている太陽電池パネルが熱遮蔽板の役目を果たすので他の部分にソレノイドコイルを配置するよりもよい感度で電波の受信が可能となる。
【0024】
「制御部」は、各部を制御するとともに、時刻に応じて定められたタイミングでLEDランプ部の点滅を制御する。制御部は、夜間などLEDランプ部の点滅を開始する時刻や、所定の明るさを下回ると、LEDランプ部への通電を開始する。例えば、工事灯に照度センサーを設け、所定の明るさを下回った場合には、LEDランプの通電を開始したり、電波時計で受信した標準時刻電波に基づいて、LEDランプの通電を開始したりしてもよい。この際、自動車のヘッドライトや道路工事の照明の影響で、LEDランプ部の点滅が開始されない等のトラブルを回避するために、明るさによる制御と、時刻による制御の2つの方法を併用して行うことが望ましい。
【0025】
また、制御部は、LEDランプの点滅パターンを制御する。例えば、図5に示したように、全ての工事灯を同じタイミングで同じように点滅を繰り替えしたり、図6のように、一つおきに上下の点滅を入れ換えたり、図7のように、LEDランプの点滅を一つずつずらして行い、あたかも流れるようにLEDランプを点滅させたりしても良い。
【0026】
図8に本実施形態の工事灯の各構成要件をハードウエアとして実現した際の構成の一例を表す概略図を示した。この図にあるように、本実施形態の誘導灯は、各種演算処理を行うCPU(0801)や主メモリ(0802)を備えている、またLEDランプの点滅パターンを保持するためのフラッシュメモリやハードディスク、ROMなどの記憶装置(0803)や、標準時刻電波を受信するためのアンテナや、LEDランプ、LEDランプの点滅を同期させるためのタイマーなどが接続されるインターフェイス(0804)が備えられている。そしてこれらがシステムバスなどのデータ通信経路(0805)によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。また、主メモリは、各種処理を行うプログラムをCPUに実行させるために読み込ますと同時にそのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。またこの主メモリや記憶装置には、それぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い処理を行うことが可能となっている。
【0027】
ここで、本実施形態の工事灯のハードウエアの動きについて説明する。まず主電源が投入されると、タイマーを動作させるプログラムが記憶装置から読み出され主メモリ上に展開される。CPUは、主メモリ上に展開されたプログラムに従い、タイマーを動作させる。次に、CPUは、工事灯が現在置かれている環境を判断し、LEDを点滅させるか否かを判断する。仮にLEDランプを点滅する必要がある場合には、CPUランプは所定の点滅パターンでLEDランプを点滅させる。LEDランプを点滅させる必要が無い場合には、CPUはアンテナを介して、標準時刻電波を受信し、受信結果に基づきタイマーのリセットを行う。CPUはLEDランプを点滅する必要があるか否かの判断と、標準時刻電波の受信、タイマーのリセットを逐次行う。
<実施形態1 効果>
【0028】
本実施形態の工事灯のように、電波時計部を有することで、複数の工事灯であっても、工事等のLEDランプの点滅パターンを揃えることが可能となる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0029】
本実施形態は、実施形態1に示した工事灯のLEDランプ部のLEDランプが、複数の花弁状に配置され、さらにLEDランプをおわん状の反射鏡を有していることを特徴とする工事灯である。
<実施形態2 構成>
【0030】
本実施形態の工事灯は、前記LEDランプ部が、花弁状に配置されたLEDランプと、LEDランプ下領域を開口とするおわん状の反射鏡と、からなる。また本実施形態の工事灯の花弁状に配置されたLEDランプは、LEDランプが設置されている背景面に対して45度の角度をもつように傾斜して配置されている。
【0031】
図9に本実施形態のLEDランプ部の概念図を示した。(a)は斜視概念図で、(b)はLEDランプを光が照射される方向から見たときの平面概念図、(c)は(b)で示したA−A`の断面図である。図9では、LEDランプ(0901、0902、0903、0904、0905)の数を5つとして、中心に配置されたLEDランプ(0901)以外のLEDランプ(0902、0903、0904、0905)は、基板上に設置された台座(0906、0907、0908、0909)などにより、45度の角度で傾斜して設置されている。LEDランプは一般的に、光の照射角度が狭いため、より広範囲に光を照射するために、周囲のLEDランプは、45度の角度で傾斜させて配置している。またLEDランプの周囲を取り囲むようにおわん状の反射鏡(0910)を配置することで、LEDランプから発せられる光をより効率よく照射することが可能となる。また、LEDランプから照射される光は、工事灯本体のLEDランプが配置された面にのみ照射される。図10の(a)のように、仮に反射鏡を有さない工事灯において、工事灯を樹脂などの光を透過しやすい材料で構成した場合、工事灯の側面方向にLEDランプ(1001、1002)の光が漏れてしまう。この光の漏れは、誘導対象である歩行者や自転車、自動車が誤認するおそれがある。しかし、図10の(b)のように、本実施形態の工事灯では、反射鏡(1003、1004)を有することで、LEDランプ(1005、1006)から発せられる光は、側面方向に漏れるおそれはなく、歩行者や自転車、自動車が誤認するおそれが無くなる。LEDランプの下領域はLED素子の配線など主要機能部分が集中している部分なので反射鏡を介して太陽光の熱を受けると素子の劣化がはやまる恐れがある。そこで直下の部分、すなわちLEDランプの弱い部分を熱から守るためにその部分には反射鏡を配置しないようにしている。
<実施形態2 効果>
【0032】
本実施形態の工事灯のように、LEDランプを花弁状に配置し、さらにおわん状の反射鏡を設けることで、LEDランプから発せられる光を大きく見せることが可能となり、視認性が向上する。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
【0033】
本実施形態は、LEDランプが花弁状に配置されおわん状の反射鏡を有する工事灯であって、LEDランプが工事灯の天地方向に対して45度の傾きをもって配置されていることを特徴とする工事灯である。さらに、LEDランプから発せられる光跡上のLEDランプカバーには、LEDランプそれぞれにつき、一つの対応するレンズが設けられ、光が拡散するように構成されている。
<実施形態3 構成>
【0034】
本実施形態の工事灯は、LEDランプ部が、自身を据え付ける際の天地方向に対し花弁に相当するLEDランプが45度の傾きをもって配置されるとともに、各LEDランプは砲弾型LEDランプであって、LEDランプの砲弾方向光跡上の位置には、各LEDランプごとに独立したレンズを有するLEDランプカバーを備えている。
【0035】
図11に本実施形態の工事灯の概念図を示した。図11に示した工事灯は、LEDランプ部(1101、1102、1103、1104)が上下2つ配置された工事灯である。本実施形態の工事灯では、LEDランプ部の花弁状に配置されたLEDランプが、工事灯の天地方向に対して略45度の傾きを持って配置されている。図11の(a)は、工事灯の天地方向に対して傾きを持っていない場合であって、(b)は本実施形態の工事灯であって、LEDランプが天地方向に略45度の傾き(1105、1106)をもって配置されている例である。
【0036】
ここで、本実施形態の本実施形態のLEDランプは、砲弾型のLEDランプ部ランプである。砲弾型のLEDランプは、砲弾形状の先端からもっとも強い光を発する。従って、「砲弾方向光跡上」とは、砲弾型LEDランプから発せられる光がもっとも強い、砲弾形状の先端から発せられる光の光跡である。本実施形態の工事灯において、LEDランプから発せられた光の砲弾型方向光跡は、図12のようになる。図12は工事灯のLEDランプ部を側面から見たときの断面概念図である。花弁状に配置されたLEDランプの内、中心のLEDランプ(1201)から発せられた光は、直接LEDランプカバー(1202)方向へ照射される。これに対してその他のLEDランプ(1203、1204)から発せられた光の砲弾型方向光跡は、おわん状の反射鏡(1205)にて反射してLEDランプカバー方向へ照射される。このとき、実施形態のLEDランプでは、LEDランプカバーの、個々のLEDランプから照射された砲弾型方向光跡が通過する箇所にレンズ(1206、1207、1208)を設けている。このLEDランプカバー上に設けられたレンズは、LEDランプから照射された光を拡散するためのレンズである。
【0037】
図13は、二つのLEDランプ部が上下に配置された工事灯を正面から見たときの図であって、LEDランプから発せられた光の広がりを説明するための概念図である。(a)は、LEDランプが工事灯の天地方向に対して傾きを持っていない場合であって、(b)は本実施形態の工事灯であって、LEDランプが天地方向に略45度の傾きをもって配置されている例である。(a)の工事灯では、上部のLEDランプ部(1301)に配置された下部のLEDランプ(1302)と、下部のLEDランプランプ部(1303)に配置された上部のLEDランプ(1304)の距離(1305)が近くなる。このため、この付近から発する光の強度が強くなる。一方、距離が近いLEDランプの左右のLEDランプは距離が遠く(1306、1307)なるため、光の強度が弱くなる。このため、LEDランプが工事灯の天地方向に対して傾きを持っていない場合、工事灯から発せられる光が不均一となってしまう。一方、(b)の工事灯では、上下のLEDランプ部(1308、1309)のLEDランプの間隔は、等しく(1310、1311)なるため、工事灯から発せられる光が均一となる。
【0038】
また、LEDランプを工事灯の天地に対して略45度の傾きをもって配置するか否かによって、工事灯を側面方向から見たときの視認性が異なる。図14に工事灯を側面から見たときの概念図を示した。(a)は、LEDランプが工事灯の天地方向に対して傾きを持っていない場合であって、(b)は本実施形態の工事灯であって、LEDランプが天地方向に略45度の傾きをもって配置されている例である。(a)の場合、側面から見えるLEDランプカバーのレンズは、上下一つずつ、合計2つ(1401、1402)だけなのに対して、(b)のように、LEDランプを天地方向に略45度の傾きをもって配置した場合、上下2つずつ、合計4つ(1403、1404、1405、1406)のレンズを視認することが可能である。つまり、LEDランプを工事灯の天地方向に対して略45度傾けることで、側面方向からの視認性を向上させることが可能となる。
<実施形態3 効果>
【0039】
本実施形態の工事灯のように、LEDランプを工事灯の天地方向に対して45度の傾きをもって配置することで、側面方向からの工事灯の視認性を向上させ、さらに工事灯全体から照射される光が均一化することが可能である。さらに、LEDランプから照射される光が放出されるLEDランプカバーにレンズを設けることで、より広範囲に光を拡散することが可能である。また、レンズを個々のLEDランプごとに設置することで、LEDランプカバー全体にレンズを設ける場合に比べ、生産コストを抑えたり、LEDランプを工事灯外部から容易に視認することが可能になりメンテナンス性が向上する。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
【0040】
本実施形態は、LEDランプ部のLEDランプが、相互に90度の角度をなすように配置されていることを特徴とした工事灯である。LEDランプを相互に90度の角度をなすように配置することで、複数のLEDランプの間隔が広がり、LEDランプから発せられる熱を、効率よく放熱することが可能となる。
<実施形態4 構成>
【0041】
図15に本実施形態の工事灯のLEDランプ部の概念図を示した。(a)は、LEDランプ部の斜視図であって、(b)は正面から見たときの平面図、(c)はA−A'の断面図である。本実施形態の工事灯は、LEDランプ部のLEDランプが、相互に90度の角度をなすように配置されている。
【0042】
図15では、LEDランプの数を5として、中心に配置されたLEDランプ(1501)以外のLEDランプ(1502、1503、1504、1505)は、基板上に配置された台座(1511)により、工事灯の上下方向または左右方向に、砲弾型方向光跡が向くように配置されている。これにより、5つのLEDランプはすべて互いに90度の角度をなすように配置される。このようにLEDランプを配置することで、図9に示したLEDランプ部に比べて、互いのLEDランプの間隔が広がり、放熱効率が向上する。
【0043】
図15に示したLEDランプ部では、中心に配置されたLEDランプから発せられる光は、直接LEDランプカバーを介して工事灯外部へ照射される。このとき、実施形態3に示したような、レンズを介してもよい。工事灯の上下方向または左右方向に砲弾型方向光跡が向くように配置されたLEDランプから発せられた光は、おわん型の反射鏡(1506)に反射し、LEDランプカバー(1507)を介して工事灯外部へ照射される。この際、中心に配置されたLEDランプと同様に、LEDランプカバーのレンズ(1508、1509、1510)を介してもよい。この工事灯の上下方向または左右方向に砲弾型方向光跡が向くように配置されたLEDランプから発せられる光は、図15の(c)に示したように、砲弾型方向に対して90度の角度で工事灯から照射されてもよいし、工事灯からより広範囲に放出するように、おわん型反射鏡の角度を調整してもよい。
【0044】
図15に示した例では、LEDランプの数を5つとした例を示したが、このLEDランプの数は、使用目的などに応じて変化させてもよい。例えば、中心のLEDランプを省き、LEDランプを4つとした工事灯であってもよい。
<実施形態4 効果>
【0045】
本実施形態の工事灯のように、LEDランプ部のLEDランプが、相互に90度の角度をなすように配置することで、LEDランプ部を構成するLEDランプの間隔が広がり、LEDランプかは発せられる熱を効率よく放熱することが可能になり、LEDランプの熱による劣化を防ぐことが可能となる。
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
【0046】
本実施形態は、実施形態1および実施形態2、実施形態3、実施形態4の工事灯の制御部が、太陽電池パネルが発電する電力の大きさに応じて、LEDランプ部のLEDランプの点灯や点滅のタイミングを制御することを特徴とする工事灯である。太陽電池パネルの発電量に応じて、点灯や点滅のタイミングを制御することで、明るさを測定する照度センサーなどのセンサーを搭載する必要が無くなるメリットがある。
<実施形態5 構成>
【0047】
図16に本実施形態の工事灯のブロック図を示した。本実施形態の工事灯は、制御部(1601)に、太陽電池パネル(1602)での起電力を測定する測定回路(1603)と、測定回路での測定値が所定の値を下回った場合にLEDランプ部のLEDランプ(1604)に蓄電池部(1605)に蓄えられた電力を通電する通電スイッチ(1606)と、を含んでいる。
【0048】
本実施形態の制御部では、太陽電池パネルでの起電力を測定する測定回路を有している。測定回路では、太陽電池パネルの起電力を測定し、起電力が所定の値以上である場合には、制御部は、太陽電池パネルが発電した電力を蓄電池部に蓄電する。逆に測定回路が測定する起電力が所定の値を下回った場合には、制御部は、太陽電池パネルが発電を行うために必要な光が少なくなった、つまり工事灯が設置された環境が暗くなったと判断する。これに基づき、制御部は通電スイッチに対して、蓄電池部に蓄えられた電力をLEDランプに通電するように制御し、LEDランプへの通電が開始され、LEDランプが点灯や点滅をする。
【0049】
ここで、太陽電池パネルの起電力は、太陽電池パネルに照射される光の量に影響されるため、この太陽電池パネルの起電力を測定回路が測定することで、工事灯がおかれた環境の明るさを測定することが可能となる。このように、太陽電池パネルの起電力を用いて、明るさを測定することで、照度計などのセンサーを搭載することなく、明るさに応じて自動的にLEDランプの点灯や点滅を制御することが可能となる。尚、本実施形態のハードウエア構成は、実施形態1とほぼ同様であるため、詳細な説明は省略する。
<実施形態5 効果>
【0050】
本実施形態の工事灯のように、太陽電池パネルの起電力の大きさによって、LEDランプへの通電を制御することで、照度計などのセンサーを搭載することなく、明るさに応じて自動的にLEDランプの点灯や点滅を制御することが可能となる。
<具体例>
【0051】
図17に本件発明の具体例を示した。図17に示した工事灯は、LEDランプ部を縦方向に二つ配置した例である。工事灯の高さは略252mmであって、蓄電池部が配置され、単管などに挿入して固定する部分の高さは、略75mmである。工事灯の幅は略78mm、奥行きは、LEDランプ部のレンズ部分を含めると72mm、レンズ部分を除いた奥行きは、略56mmである。
【0052】
LEDランプの点滅パターンは、50mS間に5mS間隔で5回発光し、450mS消灯し、その後上段下段交互に点滅を繰り返す。搭載される太陽電池パネルはシリコン単結晶型であり、出力は3.5V、72mAであって、満充電状態で不日照6日間×15時間で90時間以上の使用が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態1の工事灯を説明するための概念図
【図2】実施形態1の工事灯を説明するための機能ブロック図
【図3】実施形態1の工事灯を説明するための概念図
【図4】実施形態1の工事灯を説明するための概念図
【図5】実施形態1の工事灯を説明するための概念図
【図6】実施形態1の工事灯を説明するための概念図
【図7】実施形態1の工事灯を説明するための概念図
【図8】実施形態1の工事灯を説明するためのハードウエア構成図
【図9】実施形態2の工事灯を説明するための概念図
【図10】実施形態2の工事灯を説明するための概念図
【図11】実施形態3の工事灯を説明するための概念図
【図12】実施形態3の工事灯を説明するための概念図
【図13】実施形態3の工事灯を説明するための概念図
【図14】実施形態3の工事灯を説明するための概念図
【図15】実施形態4の工事灯を説明するための概念図
【図16】実施形態5の工事灯を説明するための機能ブロック図
【図17】本件発明の具体例
【符号の説明】
【0054】
0101 本体天面
0102 太陽電池パネル部
0103 LEDランプ部
0104 蓄電池部
0105 アンテナ
0106 電波時計部
0107 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体天面に配置した太陽電池パネル部と、
本体側面に向けて配置したLEDランプ部と、
本体下部分に配置した太陽電池からの電力を蓄える蓄電池部と、
太陽電池パネルに沿って本体上部に配置されたソレノイドコイル状の電波時計のアンテナを有する電波時計部と、
各部を制御するとともに、時刻に応じて定められたタイミングでLEDランプ部の点滅を制御可能な制御部と、
からなる工事灯。
【請求項2】
前記LEDランプ部は、
花弁状に配置されたLEDランプと、LEDランプの光を前面に反射するためのおわん状の反射鏡と、からなる請求項1に記載の工事灯。
【請求項3】
前記LEDランプ部は、天地方向に対し花弁に相当するLEDランプが45度の傾きをもって配置されるとともに、
各LEDランプは砲弾型LEDランプであって、LEDランプの砲弾方向光跡上の位置には、各LEDランプごとに独立したレンズを有するLEDランプカバーを備えた請求項2に記載の工事灯。
【請求項4】
前記LEDランプ部のLEDランプは、相互に90度の角度をなすように配置されている請求項3に記載の工事灯。
【請求項5】
制御部は、
太陽電池パネルでの起電力を測定する測定回路と、
測定回路での測定値が所定の値を下回った場合に、LEDランプ部のLEDランプに蓄電池部に蓄えられた電力を通電する通電スイッチと、
を含む請求項1から4のいずれか一に記載の工事灯。
【請求項6】
LEDランプ部は、本体の縦方向に複数配置されている請求項1から5のいずれか一に記載の工事灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−138681(P2010−138681A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334164(P2008−334164)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(593065590)株式会社エスエスシー (51)
【Fターム(参考)】