説明

工業廃水からのジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒の回収のための電気透析−蒸留ハイブリッドプロセス

本発明は、抗レトロウイルス薬の製造中に発生する製薬工業廃水中に存在するジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒の回収のための、衝撃感受性であり有害なアジ化ナトリウム(NaN3)塩ならびに塩化アンモニウム(NH4Cl)の除去に関するものである。下水はNaN3
存在下では爆発を引き起こし得るので、DMSO回収のために直接蒸留できない。さらにDMSOの廃棄は、廃水処理プラント(ETP)に対する化学的酸素要求量(COD)負荷を上昇させる。開発されたプロセスは、コロイド状不純物および懸濁固体の除去のための廃水の前処理と、これに続く塩濃度をppmレベルまで低減するために交互に重ねられたカチオンおよび
アニオン交換膜を使用する電気透析を含む。脱塩された液体は次に、純DMSO溶媒を回収する2つの真空蒸留ステップを受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜ベース電気透析および蒸留プロセスを使用する、工業廃水からジメチルスルホキシド(DMSO)を回収するための好適な統合プロセスの開発に関するものである。
本発明はさらに、塩(アジ化ナトリウムおよび塩化アンモニウム)および少量の着色物質などの望ましくない構成成分を含有する工業プロセス溶液からのDMSOの分離に関する。
【背景技術】
【0002】
電気透析操作により塩を産生する装置およびプロセスについて記載する、2001年9月25
日に発行されたManiの米国特許5746920が参照され得る。
【0003】
電気透析システムを使用する液体酸化還元タイプの硫化水素(H2S)スクラバー溶液か
らの、硫酸塩(SO42-)、およびチオ硫酸塩(S2O32-)のアルカリ金属塩の選択的除去の
ための方法について記載する、1994年6月28日に発行されたBaltazar、Varujan Jamaluddin Abul K.M、Kennedy、Mark W、Nazarko、Taras Wの米国特許5324403が参照され得る。この発明のプロセスにおいて、H2Sスクラバー溶液は、最小初期塩含有量を有する溶液を回
収しながら、電気透析スタック内の希釈溶液へ誘導される。直流の印加により、スクラバー溶液中に存在する硫酸塩およびチオ硫酸塩のアルカリ金属塩の一部は、イオン選択性膜を通過して回収溶液中へ輸送される。
【0004】
分散有機構成物質(たとえばホエー)を有する液体材料の無機塩含有量を低減するための電気透析装置に関する、1973年8月28日に発行された、Francis、Leo H.、Treleven、Gerald Jの米国特許3755134が参照され得る。
【0005】
水および金属塩を含有する水溶性高活性有機溶媒の混合物を脱塩するためのプロセスに関する、1992年9月8日に発行された、Schneider、Michael、Miess、Georg Eの米国特許5145569が参照され得る。このプロセスは、混合物に市販のイオン交換膜を用いた電気透析
を受けさせることを含む。
【0006】
塩含有量の同時低減と共に、塩を含有する有機化合物の水溶液を濃縮することに関する、1989年2月7日に発行された、Puetter、Hermann、Roske、Eckhardの米国特許4802965が
参照され得る。塩を含有する有機化合物の水溶液は、これらの溶液の塩含有量の同時低減と共に、電気透析によって濃縮される。
【0007】
テトラヒドロフラン(THF)の蒸留精製の連続プロセスに関する、2008年4月1日に発行
された、Windecker、Gunther、Weck、Alexander、Fischer、Rolf-Hartmuth、Rosch、Markus、Bottke、Nils、Hesse、Michael、Schlitter、Stephan、Borchert、Holgerの米国特許7351311が参照され得る。
【0008】
アルカリ金属硫酸塩イオン、硫酸イオンおよびアルカリ土類金属イオンを含有する硫酸を濃縮するための電気透析のプロセスの利用に関する、1986年9月23日に発行された、Kau、Heinz Russow、Jurgenの米国特許4613416が参照され得る。
【0009】
電気透析操作によって塩を産生する装置およびプロセスについて記載する、2003年9月30日に発行された、Mani, K. N.の米国特許6627061が参照され得る。ナノ濾過によって2価金属が除去され、さらに電気透析に送出されて多価カチオンが除去される。
【0010】
2価金属を除去するために流入フィードをナノ濾過することによる電気透析によって塩
を産生するプロセスに関する、2001年9月25日に発行されたMani. K. N.の米国特許6294066が参照され得る。
【0011】
汚染液体、たとえば海水、汽水および化学廃水を精製するための改良真空蒸留システムの応用を開示する、1988年9月13日に発行されたCellini. John V.、Ronghi、Mario F.Geren、James Gの米国特許4770748が参照され得る。
【0012】
蒸発性液体の蒸留装置に、さらに詳細にはあらゆる種類の蒸発性液体の蒸留のための小型構造のエネルギー保存蒸留システムに関する、1983年6月28日に発行されたKoblenzer、Heinzの米国特許4390396が参照され得る。
【0013】
溶媒回収プロセスに関連し、たとえばドライクリーニング操作での使用により汚れている、または使用中に別の溶媒と混合された溶媒の回収において実質的な熱経済が達成され得る方法および装置を提供する、1980年11月11日に発行された、Finlay-Maxwell、David
の米国特許4233120が参照され得る。
【0014】
工業プロセスで使用される汚染液体の揮発性構成成分の回収のための蒸留システムに言及している、1994年5月17日に発行されたBarcomb、Lyle.Bの米国特許5312524が参照され
得る。
【0015】
特許から入手可能な参考文献は、工業プロセス溶液からの有機または無機塩の除去のみについて記載している。製薬廃水中に存在する貴重な溶媒の回収のための適正なプロセスが存在しない。
【0016】
したがって環境規制がますます厳しくなるにつれて、工業廃水は、その安全な廃棄の前に徹底的な処理が必要である。さらに、とりわけ製薬業界からのこれらの廃水の一部は貴重な溶媒を含有することがあり、これを回収する必要がある。
【0017】
ゆえに、貴重な溶媒を含有するこのような種類の廃水から特に、もし存在するならば無機塩、アジドおよび着色有機化合物を除去するための、改良された費用効果的および実用的な方法への要求がなお残存している。
【0018】
(発明の目的)
本発明の主な目的は、バルク薬品の製造に有用である、製薬廃水からのDMSO溶媒の回収プロセスを提供することである。
【0019】
本発明の目的は、DMSOの最大限可能な回収を容易にするための多段プロセスを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、製薬廃水中に存在する塩化アンモニウムおよびアジ化ナトリウム塩を除去することである。
【0021】
本発明のまた別の目的は、液体混合物の構成成分を効果的に分離することができる真空蒸留装置および方法を提供することである。
【0022】
本発明のまた別の目的は、可能な限り簡単に高い収率で、電気透析から得られた脱塩液体から純DMSOを単離することができるプロセスを提供することである。
【0023】
本発明のまた別の目的は、最小限の損失でDMSOの最大限の回収を達成するために必要と
されるプロセスを確定することである。
【0024】
本発明のまた別の目的は、約99.8%のDMSOを達成することである。
【0025】
本発明のまた別の目的は、可能な限り多くの純DMSOを産生するだけでなく、同時にこれに呼応して埋立または焼却を必要とする残留物の産生も少量にすることである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】工業廃水からDMSOを回収するためのプロセスフロー概略図を示す。
【図2】電気透析(ED)スタック配列を示す。
【図3】イオンの各電極への移動を示す。
【図4】プロセス全体の説明を示す概略図。
【図5】電流と時間の変化を示すグラフ。
【図6】濃度と時間の変化を示すグラフ。
【図7】3つの溶液すべての濃度と時間の変化を示すグラフ。
【図8】4つのED実験の物質の全残量および続いての純DMSOを回収するための蒸留。
【発明の概要】
【0027】
したがって本発明は、工業廃水から純ジメチルスルホキシド(DMSO)を回収するための電気透析−蒸留ハイブリッドプロセスを提供し、前記プロセスは:
i.懸濁固体を濾過するためのミクロン・フィルタ・カートリッジに、続いて、色を薄く
して15mScm-1から25mScm-1の間の範囲に及ぶ伝導度の希釈液を得るための活性炭カラムに通過させることによって、廃水を前置濾過するステップ;
ii.希釈溶液の伝導度が0.06mScm-1に低下して脱塩された希釈液が得られるまで、20mScm-1から35mScm-1の間の範囲に及ぶ伝導度のすすぎ溶液を電気透析スタックシステムの電極にわたって、続いてステップ(i)で得られたような希釈液および1mScm-1から2mScm-1
間の範囲に及ぶ濃縮溶液を電気透析スタックシステムに循環させるステップ;
iii.第1段階で留出物としての水およびボトムとしての不純DMSOを得て、続いての第2の
蒸留で留出物としての無色純DMSOおよびボトムとしての重不純物を得るために、ステップ(ii)で得られた脱塩希釈液を2個の蒸留カラムに投入するステップ;
を含む。
【0028】
本発明の実施形態において、工業廃水はNaN3、NH4Cl塩、水、不揮発性重有機化合物お
よび少量の着色物質を含有する。
【0029】
本発明の別の実施形態において、廃水中のDMSOの濃度は、12重量%から20重量%の間の範囲に及ぶ。
【0030】
本発明のまた別の実施形態において、製薬廃水中のNaN3およびNH4Clの濃度は0.5重量%
と2重量%の間の範囲に及ぶ。
【0031】
本発明のまた別の実施形態において、希釈液はDMSO、NaN3、NH4Clおよび水を含有する

【0032】
本発明のまた別の実施形態において、濃縮溶液は0.03%と0.19%との間の総溶解固形分(TDS)を含有する水道水を含有する。
【0033】
本発明のまた別の実施形態において、すすぎ溶液は2.0重量%から3.0重量%の重硫酸ナトリウム水溶液を含有する。
【0034】
本発明のまた別の実施形態において、濃縮液中で使用される電解質は、電気伝導を可能にする塩化ナトリウムなどの塩の水溶液である。
【0035】
本発明のまた別の実施形態において、膜スタックを超える希釈液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速は、0.9リットル/秒と0.1リットル/秒の間の範囲に及ぶ。
【0036】
前記プロセスが連続モードで行われ、溶液が再生されて戻される、請求項1に記載のプ
ロセス。
【0037】
本発明のまた別の実施形態において、DMSOの回収パーセンテージは88%から90%の間の範囲に及び、純度パーセンテージは99.5%から99.8%の間の範囲に及ぶ。
【0038】
本発明のまた別の実施形態において、第1蒸留カラムのリボイラ温度は30℃と75℃の間
で変動して、還流比は1:5から1:15で変動し、オーバーヘッド温度は、5℃で利用できる冷却水を使用して30℃と32℃の間で維持された。
【0039】
本発明のまた別の実施形態において、第2蒸留カラムのリボイラ温度は45℃と120℃の間で変動し、還流比は1:5と1:15の間で変動して、オーバーヘッド温度は30℃と95℃の間で
変動した。
【0040】
本発明のまた別の実施形態において、第1および第2蒸留カラムを出た低圧ボイラーの組成は、70℃にて5分間維持され、10℃/分の速度で230℃に達するようにプログラムされた
炉温度で、Tenaxカラム、熱伝導度検出器および水素担体ガスを使用するガスクロマトグ
ラフによって決定する。
【0041】
本発明のまた別の実施形態において、蒸留設備の段階は、25mmセラミック製ラシヒリングが充填された3インチのガラスカラムが上に取り付けられた20L電熱釜から成り、充填高さは約5フィートであり、ここでDMSOを水から高純度で効率的に分離することができる。
【0042】
(発明の詳細な説明)
本発明のプロセスは特に、エネルギー回収なしで焼却されるまたは保護廃棄場に配置される廃棄副生成物と概して見なされる溶媒の回収に関する。
【0043】
上述の問題を解決に導いた概念は、純粋なDMSOを回収するために、溶解塩を電気透析によって最初に除去して、得られた脱塩DMSO水溶液を蒸留によってさらに処理するという概念であった。
【0044】
本発明は、本発明を達成するための、電気透析および簡単な蒸留プロセスを含むハイブリッドプロセスを提供する。
【0045】
本発明は概して、水性DMSO廃水中に存在する塩を減少させるプロセスおよびこのようなプロセスによって得られた生成物の使用に関する。さらに詳細には、本発明は、2%塩(アジ化ナトリウムおよび塩化アンモニウム)を含有する廃水に、塩含有量が減少したDMSO水溶液を産生するための電気透析処理を受けさせることに関する。
【0046】
本発明はしたがって、電気透析プロセスの脱塩希釈液から純DMSOを回収するための蒸留の2段階プロセスを提供する。
【0047】
本発明のプロセスは、真空下で操作される従来の蒸留カラムで行われる水性DMSO蒸留の例を参照することによってさらに例証される。しかし本発明のプロセスは、各種の条件下
で、様々な圧力運転のために設計された蒸留カラムを使用することおよび当業者に周知の方法で実験パラメータを調整することによって行うことができる。
【0048】
本発明は、アンモニウム塩、アジ化ナトリウムおよび少量の無機着色物質などの望ましくない構成成分を含有する工業プロセス溶液からのDMSOの回収プロセスに関する。これらの塩は、脱塩液体を得るための膜ベース電気透析技法によって除去することができ、前記プロセスは、懸濁固体を除去するために、フィードがEDシステムに供給される前にフィードの前置濾過のステップを含む。フィード溶液としての前置濾過溶液は、イオンの分離を促進するための直流の各電極に向けての同時印加により、交互になったカチオン、アニオン膜スタックを含有する電気透析システム(EDシステム)を通過し、ここで溶液は脱塩液体を得るために塩および望ましくない構成成分をほぼ含まない。
【0049】
図1は、工業廃水からDMSOを回収するためのプロセスフロー概略図を示す。簡潔には、
貯蔵タンクからの廃水は、懸濁固体を除去するために前置濾過プロセスに投入される。前置濾過には、水溶液からの塩、たとえば塩化アンモニウムおよびアジ化ナトリウムの分離のための電気透析システムが続く。
【0050】
電気透析スタックシステムは、陰極板と陽極板との間の平行配列に少なくとも10枚の交互のアニオンおよびカチオン交換膜を含有する。電気透析スタックシステムは、希釈コンパートメント、濃縮コンパートメントおよびすすぎコンパートメントからも成り、3つのEDコンパートメント溶液はすべて再循環モードで運転される。希釈コンパートメントおよ
び濃縮コンパートメントは、カチオンおよびアニオン交換膜それぞれの面積に0.525m2
有効面積を提供するために交互方式で配列されている。50Vと70Vとの間の直流電位がスタックに印加されて3から4Aの平均電流が発生する。電気透析操作は、希釈液および濃縮液
としての分離フィードを生じる。図1に示すプロセスは2段階蒸留操作も表し、この操作では水および(DMSO+不純物)が第1段階で得られ、続いて第2蒸留で留出物としての無色DMSOおよびボトムとしての重不純物の回収が行われる。しかし、本発明の実施で有用な工業
プロセスにおいて、プロセス全体が連続モードで行われ得て、溶液は再生されて各タンクに戻される。したがって結果として、フィード組成は、希釈液タンクおよび濃縮液タンクと同様に、時間と共に変動するであろう。
【0051】
図2は、廃水を脱塩するための電気透析スタック配列を示す。脱塩電気透析セルスタッ
ク(1)は、2つの陽極(A)と陰極(C)との間に希釈液コンパートメントおよび濃縮液コンパートメントを作る少なくとも10対のアニオン(2)およびカチオン(3)交換膜で構成される。直流電源(4)は、セル対の配列による分離のための駆動力を提供し、図に4個のセル対が(5)として示される。各セル対は、1個のカチオン交換膜および1個のアニオン
交換膜で構成される。スタックは規則正しい方式でチャンバの形で配列され、各チャンバはそれぞれの数および配列のガスケット、交互膜を備えたディストリビュータから成っている。カチオン交換膜は、弱酸性(カルボン酸交換基)、中酸性(たとえばホスホン酸型)、または強酸性(たとえばスルホン酸カチオン交換基)であり得る。カチオンおよびアニオン交換膜は、電気透析セルに適用される物理的および化学的条件下で安定でなければならない;膜は、透析される溶液中での低い抵抗、高い流量を有し、コロイド状および懸
濁材料による汚染が少ないものであるべきである。これらはDupont Nafion(登録商標)
などの全フッ素置換膜またはNeosepta、CMXなどの任意の非全フッ素置換カチオン交換膜
を含み得る。アニオン交換膜は、強、中または弱塩基性であり、4級または3級アンモニウム基で構成される。この種の膜は、濃縮液コンパートメントからフィードコンパートメントへのプロトンの逆移動を防止することによって、プロセスの電流効率を改善するであろう。
【0052】
図3はイオンの各電極への移動を示す。本図は、DMSOならびにアジ化ナトリウムおよび
塩化アンモニウムなどの溶解塩を含有する製薬廃水から溶解した無機塩を分離するために使用される、ED膜セルスタックにおける脱塩EDプロセスおよび膜構造を図解している。電気透析セルスタック(10)の構成成分は、電解質によってすすがれる陽極(A)および陰
極(C)を含み、陽極と陰極の間には4個の希釈液コンパートメント(D1、D2、D3、D4)および3個の濃縮液コンパートメント(C1、C2、C3)が配置され、フィードおよび濃縮物コ
ンパートメントは、交互になったカチオンおよびアニオン交換膜(13)および(14)によってそれぞれ分離されている。EDスタック配列を図2に示し、スタックの4個の膜セル対を通じた陽イオンおよび陰イオンの動きを、図2に示された部分(5)で発生する分離プロセスの拡大図である図3に記載する。
【0053】
図4は、電気透析システムおよび直接に連結された2個の蒸留カラムを利用するプロセスを示す。通例、製薬業界から得られるフィード溶液は、DMSO、水および無機塩を備える。フィード溶液の前処理ステップは、以下の:(i)微粒子を除去するための濾過;(ii)着
色物および他の有機不純物を吸収するための炭素処理を含む。本発明によるプロセスは、最初に活性炭およびミクロンフィルタに通過させて、次に相互に離れて挿入されたスペーサフレームによって形成されたコンパートメントを密閉する、3%のモリブデンを含有するステンレス鋼SS316L製の2枚の陽極板および陰極板の間に、交互のアニオン交換膜および
カチオン交換膜を並列配列で含有する電気透析スタックに送ることによって、懸濁固体を含有する製薬廃水を前置濾過すること、初期伝導度が15mScm-1から25mScm-1との間である塩を有する濾過廃水(希釈液)を、アニオン交換膜を介して陽極の方向に制限されているフィードコンパートメントに通過させること、および初期伝導度が1mScm-1から2mScm-1の間である水道水(濃縮液)を、塩を収容するためのカチオン交換膜によって陽極の方向に制限されているコンパートメントに通過させることによって、好都合に行われる。濃縮液で使用される電解質は概して、電気伝導を可能にする塩化ナトリウムなどの塩の水溶液である。電気透析プロセスの間に、電解質含有溶液は、電極コンパートメントから生じるガスを除去するために、好ましくは電極を通過して誘導される。使用される電極すすぎ液は好都合には、約2.5重量%の重硫酸ナトリウムを含有する水溶液である。電気透析から好ましくは得られた脱塩希釈液を、水含有DMSOの精製のために図4に示すような直列に連結さ
れた2個のカラムで行われる蒸留プロセスに投入する。
【0054】
フィードの第1カラムへの導入は、側部にて入口(4)を通じて行う。入口(4)は、カ
ラムのリボイラ中に便利に配置されている。次にリボイラは、存在するより軽量の構成成分の沸点に従ってある温度まで加熱される。水であるより軽量の構成成分は、充填材料を通じて気化して、凝縮され、第1蒸留カラムの留出物として収集される。DMSOである残さ
れたより重い構成成分は、第1の蒸留カラムのボトムとして残存する。第1蒸留カラムのボトムは、第2蒸留カラム(3)にライン(l8)を介してフィードとして送出される。第2蒸
留カラムのフィードはそのリボイラ内でその沸点を超える温度まで加熱され、充填カラムを通じて気化して、凝縮装置で凝縮され、無色DMSOとして収集されて、残りのボトムはより重い化合物としてライン(l10)を介して収集される。
【0055】
図4は、製薬工業廃水からのDMSOの回収のための本発明のプロセスに含まれる機器での
溶液の流れを示す。図は、純DMSOを得るステップごとの手順を示す。該プロセスにおいて、廃水中に溶解された塩は、電気透析プロセスによって脱塩される。次にこれはDMSOを回収するために蒸留カラムに送出される。
【0056】
2%のアジ化ナトリウムおよび塩化アンモニウム塩ならびに15% DMSOを含有する、15mScm-1から25mScm-1の間の範囲に及ぶ伝導度を有する製薬工業廃水を貯蔵タンク(4)に貯蔵
して、ライン(l1)を通じてミクロンフィルタ(5)までポンプで送って廃水中に存在す
る懸濁固体を濾過し、次に活性炭カラム(6)に送出して、廃水中に存在する汚染物質を
吸収させ、被希釈液タンク(7)に送出する。濃縮液タンク(9)は、約1mScm-1から2mScm
-1の伝導度を有する水道水10リットルで満たされている。蒸留水で調製した2.5%重硫酸ナトリウム溶液10リットルを、20mScm-1から35mScm-1の範囲の伝導度を有するすすぎ液タンク(8)に投入する。最初にすすぎ溶液を電気透析スタック(1)の電極にライン(l3)を介してポンプにより既知の流速で循環させ、次に希釈溶液および濃縮液溶液を、ライン(l2)および(l4)それぞれを通じて、圧力降下がほぼ等しくなるように同じ流速にて電気透析スタック(1)にポンプで送る。流れが安定した後、DC(14)を通じてスタックに電
位を印加して、所望の期間にわたって特定の電流密度を達成する。希釈溶液の伝導度が0.06mScm-1に降下するまですべての溶液をEDスタックに循環させて、塩を含まない希釈溶液が第1蒸留カラム(2)に送出されるようにする。
【0057】
タンク(7)の水およびDMSOを含有する脱塩希釈溶液を、ライン(l5)を通じて第1蒸留カラム(2)のリボイラに投入して、低沸点構成成分の水の温度まで加熱し、カラムを通
じて蒸発させて、ライン(l7)を介して(10)に留出物として収集する。着色DMSOと共に残された第1蒸留カラム(2)のボトムをライン(l6)を通じて貯蔵タンク(11)に送出し、これをライン(l8)を通じて第2蒸留カラム(3)のボトムに送出して、印加された真空に対応する高温まで加熱し、カラム(3)によって蒸留して、無色DMSOをライン(l9)を
介してタンク(l12)中に純度99.8%の留出生成物として収集する。第2蒸留カラム(3)の残されたボトムはより重い構成成分である。
【0058】
第1蒸留カラムのリボイラ温度は30℃と75℃の間で変動して、還流比は1:15で固定され
、オーバーヘッド温度は5℃で利用できる冷却水を使用して30℃と32℃の間で維持された
。第2蒸留カラムのリボイラ温度は45℃と120℃の間で変動し、還流比は1:15で固定され、オーバーヘッド温度は30℃と95℃の間で変動する。
【0059】
本発明において、フィード溶液を30V、40V、50V、60Vおよび70Vなどの異なる電圧を印
加して試験し、EDプロセスでの塩の分離に最適な電圧および電流密度を見出す。溶液の伝導度に従ってフィードからの塩の損失の程度が概算されるため、溶液の伝導度は一定期間、たとえば20分または30分の後にデジタル伝導度メータを使用して決定する。
【0060】
我々は、伝導度が0.08mScm-1または0.09mScm-1に達するときに、試験溶液からすべての塩が除去されたと見なす。
【0061】
記載したプロセスにおいて、電気透析ユニットからの脱塩液体各16kgの5個のバッチを
、高さ100cmおよび直径7.5cmでガラス製ラシヒリングを充填した第1蒸留カラムに給送し
、30mmHgと40mmHgの間の真空下で水を留出物として除去して、20L容量のリボイラ内にDMSOリッチ残留物16kgを得る。第1蒸留カラムからの濃縮残留液16Lを、請求項14に示したの
と同様の設計であるが、20mmHgと30mmHgの間の真空下で動作する第2蒸留カラムに給送し
て、第1画分としての水を最初に除去し、続いて純度が99.5%を超える無色DMSO11.28kgを
第2画分として回収して、リボイラ内に不揮発性着色有機化合物に富んだ最終残留物0.72kgが得られ、焼却のために送出される。
【0062】
本発明のプロセスは、膜の汚染を防止し、システムを良好な効率および長い耐用年数で維持するために、膜のクリーニングおよびメンテナンスを包含する。
クリーニング手順:
・蒸留水中に1%TSP、0.5%EDTAおよび0.5重量/体積%ラウリル硫酸塩ナトリウム(SLS
)を備える溶液によって、スタックを15分間洗浄することが推奨される。
・前の洗浄に続いて、水道水で15分間洗浄する。
・続けて、水道水により2%v/v HCl溶液を作製することによって達成される酸による洗
浄を30分間行い、このことは金属塩および無機物のスケール除去、続システムの良好な電気伝導度を促進する。
・最後に水による洗浄を15分間行う。
電気透析の各実験の後に上記の最後の3ステップを定期的に反復すると、バッチ時間短
縮に関してシステムの性能がより良好となる。
【0063】
たとえば電流w.r.t可変時間に追跡される傾向に注目するために例を用いた。グラフか
ら、時間が経過して電流が低下するにつれ、イオンが希釈液タンクから移動することを表すことができる。
【0064】
同様に、時間の変化とのpHおよび伝導度の変動も3個すべてのタンクについて認められ
た。時間が経過すると、希釈液タンクの伝導度およびpHが、タンクからの塩の損失のために低下することと、濃縮液タンクの伝導度およびpHがしばらくの間、線形に上昇して、次に一定を維持することが観察されている。すすぎ液タンクの場合、伝導度およびpHはどちらも実験の間にほぼ一定を維持する。デジタル伝導度メータを使用して希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液中の全無機塩の濃度を分析し、デジタルpHメータを使用して0時間と4時間の間の一定間隔の時間に3つの溶液のpHを評価する。
【0065】
実験用ultrexイオン交換膜を使用して、バッチまたは連続運転の範囲のデータを収集した。すべての実験は、30Vと70Vの間の電位差にて行った。
【0066】
以下の実施例は、本発明の仕組みを実際に実施して例証するために与えられており、したがって本発明の範囲を決して制限するとして解釈されるべきではない。
【0067】
実施例1
基本的に概説したような電気透析デバイスを製薬廃水流の電気透析処理に使用した。樹脂溶液は2重量%の塩含有率、15mScm-1から25mScm-1の伝導度を有し、処理は30℃の温度にて開始した。
【0068】
15%ジメチルスルホキシド(DMSO)水溶液中に2%塩(アジ化ナトリウム+塩化アンモニウム)を含有する濾過フィード溶液(廃水)10リットルを希釈液タンクに入れた。水道水10リットルを濃縮液タンクに入れ、伝導度およびイオン移動を促進する。2.5%重硫酸ナトリウム(重量/体積)7リットルをすすぎタンクに入れて、両方の電極をすすいだ。
【0069】
タンクにそれぞれの溶液を満たした後、圧力降下をほぼ等しくするように希釈液タンクおよび濃縮液タンクで等しい流速を維持するため、制御値を調整した。すべての溶液を電気透析スタックに、制御された流速にて連続してポンプ送出する。流れが安定した後、スタックに電位を印加して、所望の期間にわたって特定の電流密度を達成する。最初に30V
の電圧を直流で印加すると、希釈溶液の高い伝導度(24.9mScm-1)のために、0から4アンペアの範囲の電流が達成された。3つの溶液の出口流の試料約30mlを1時間おきに収集して、デジタル伝導度メータによって塩の伝導度を決定し、実験の間に一定体積を維持するために試料を元の各タンクに移動させた。本プロセスは、希釈液が0.07mScm-1の伝導度に達するまで続けた。希釈液タンクで消耗された塩の量を溶液の電気伝導度によって測定した。希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速はそれぞれ、252.72L時-1、258.48L時-1および568.8L時-1である。
印加電圧:30V。
【0070】
最初の試験はおよそ18時間続いた。結果を表1に報告する。
【表1】

表1に希釈液タンクから濃縮液タンクへの塩の輸送をまとめる。試験中に、希釈液の伝
導度レベルが低下したのに対して、濃縮液のこれらのレベルは上昇し、このことは希釈液タンクから濃縮液タンクへの塩の輸送のためである。
【0071】
フィードの初期伝導度は非常に大きく、印加電圧はわずか30Vであったため、本実験は0.07mScm-1の最終伝導度に達するまで長時間(18時間超)かかった。
【0072】
本実施例において、希釈液伝導度の低下は、溶液が0.1mScm-1の伝導度に達するまで迅
速であったが、これを超えるとイオン輸送のプロセスが0.07mScm-1の伝導度に達するまで長時間かかっていることが観察された。
【0073】
これはイオン濃度の消耗の結果としての電流の低下のためである。さらに希釈液中に残存する有機溶媒DMSOは、膜を通じて輸送されることがほぼ防止される。
【0074】
実施例2
実施例2は、同じ濾過廃水および同じEDスタックおよび同じ膜を用いて、第1の試験で述べたように反復された。23mScm-1の伝導度を有する濾過廃水10リットルを、希釈溶液中に存在する塩の移動のために、40Vの印加電圧にてEDスタックを通じて処理した。希釈溶液
、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速はそれぞれ、293.724L時-1、309.456L時-1および498.96L時-1である。
印加電圧:40V
【表2】

本試験は750分間続いた。この場合も希釈溶液の初期伝導度は非常に大きく、印加電圧
はわずか40Vであったため、本実験は0.06mScm-1の最終伝導度に達するまで長時間(12時
間超)かかった。
【0075】
実施例3
本試験も実施例2に記載したものと同じ手順に従う。本実施例において、希釈溶液の初
期伝導度は18.8mScm-1であり、印加電圧は60Vであった。希釈液伝導度が0.07mScm-1に達

るまで電気透析プロセスを続けた。
【0076】
希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速はそれぞれ、252.72L時-1、256.608L時-1
、および571.32L時-1である。印加電圧:60V
【表3】

この場合、希釈溶液の初期伝導度は18.8mS/cmであり、印加電圧は60Vであったが、本実験は0.07mScm-1の最終伝導度に達するまで11時間かかった。本実験を実施例1と比較する
と、すべてのタンクの流速がほぼ同じであり、印加電圧は60Vと2倍になっており、0.07mScm-1の伝導度に達するまでの時間が大幅に短縮していることが観察された。このため、より高い電圧でイオンの移動が高速であることが結論付けられる。
【0077】
実施例4
本試験も実施例2に記載したものと同じ手順に従う。本実施例において、希釈溶液の初
期伝導度は16.9mScm-1であり、印加電圧は40Vであった。希釈液伝導度が0.054mScm-1に達するまで電気透析プロセスを続けた。
【0078】
希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速はそれぞれ、252.72L時-1、256.608L時-1
および571.32時-1である。
印加電圧:40V
【表4】

本実施例において、流速は実施例3で言及したものと同じであり、伝導度はわずかに低
く16.9mScm-1であり、印加電圧は40Vであったが、0.058mScm-1の伝導度に達するまで13時間超かかった。このため低い電圧では、イオンの移動速度は低い。
【0079】
実施例5
本試験も実施例2に記載したものと同じ手順に従う。本実施例において、希釈溶液の初
期伝導度は23mScm-1であり、印加電圧は40Vであった。希釈液伝導度が0.054mScm-1に達するまで電気透析プロセスを続けた。
【0080】
希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速はそれぞれ、252.72L時-1、256.608L時-1
および571.32L時であった。
印加電圧:40V
【表5】

本実施例において、流速および40Vの印加電圧は実施例4で述べたものと同様であるが、希釈溶液の初期伝導度は23mScm-1であるため、本実験は0.05mScm-1の伝導度に達するまで19時間を超える非常に長い時間がかかる。
【0081】
この長時間の1つの理由は23mScm-1という高い初期伝導度のためであり得るが、0.54mScm-1の伝導度に達した後に電流は0.4Aまで下降し、0.19mScm-1から0.05mScm-1の伝導度に
達するまでほぼ3時間かかった。
【0082】
本実施例のこのような観察は、フィード流中の塩の存在およびその輸送から生じる電流スループットの漸進的な低下を証明している。
【0083】
本実施例は、加熱、溶融などによるセルハードウェアに対する機械的損傷の可能性を伴う、予定外のダウンタイムおよびプロセススループットの低下を含んでいた。結果として重度の表面沈着、ブリスター形成などの結果として、膜への潜在的な長期的損傷もある。
【0084】
電気透析スタックに上の実験を行った後に、セルを開いて検査した。陽極および陰極に隣接する端部カチオンおよびアニオン交換膜を除いて、残存する膜は良好な状態であり、汚染の物理的な形跡は一切なかった。端部カチオンおよびアニオン膜は、実験中に電極にて形成されたガスに悪影響を受けたために、曇り/不透明であり、汚染されているように
見えた。セルの内部部品は、高度のイオン保持のために清浄であった。沈着の問題は、フィード流中に存在するより高レベルの塩濃度、またはより高いプロセス変換によって確実に発生するであろう。
【0085】
すべての膜は、蒸留水中に1%TSP(リン酸三ナトリウム)、0.5%EDTAおよび0.5%SLS
(ラウリル硫酸ナトリウム)を含有する溶液によって長時間、十分に洗浄した。膜をきちんと拭き取り、いずれの膜も交換せずに再度積み重ねた。
【0086】
実施例6
本実施例も上の実施例に記載したものと同じ手順を用いて行った。本実施例において、
希釈溶液の初期伝導度は23mScm-1であり、印加電圧は50Vであった。希釈液伝導度が0.054mScm-1に達するまで電気透析プロセスを続けた。希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速はそれぞれ、324L時-1、328L時-1および324L時-1である。
印加電圧:50V
【0087】
結果を次のように表6に報告する。
【表6】

本実施例において、希釈溶液の初期伝導度は19.7mScm-1であり、印加電圧は50Vであっ
たため、本実験は3つの溶液を同じ流速で操作することにより、0.07mScm-1の最終伝導度
に達するまで5時間40分かかった。本実験を前の実施例と比較すると、0.07mScm-1の伝導
度に達するまでの時間が大幅に短縮していることが観察され、また前の実施例では観察されなかったが、初期電流は50V volitersにて非常に高かった。このため実験は、膜に行われた酸洗浄によって達成(fetch)されることが結論付けられる。
【0088】
本実験の終了後に、EDスタックに水道水による洗浄、続いて1% HClによる洗浄をそれぞれ30分間行った。これは、廃水を用いた各実験の後の約30分間の1% HClによる洗浄が実験時間を達成(fetch)して、膜の寿命が高度に維持されるためである。
【0089】
実施例7
本実施例も上の実施例6に記載したものと同じ手順を用いて行った。本実施例において
、希釈溶液の初期伝導度は16.55mScm-1であり、印加電圧は50Vであった。希釈液伝導度が0.08mScm-1に達するまで電気透析プロセスを続けた。希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速はそれぞれ324L時-1、328L時-1および324L時-1である。
印加電圧:50V
【0090】
結果を次のように表7に報告する。
【表7】

実施例6の前の実験と比較したときに、本実験が0.08mScm-1の最終伝導度に達するまで
により短い時間、4時間15分しかかからなかったのは、この場合には希釈溶液の初期伝導
度がより低い(すなわち)16.55mScm-1であったためである。
【0091】
本実験の終了後にEDスタックに次の実験の準備を行うために、EDスタックに酸による洗浄、続いて1% HClによる洗浄をそれぞれ30分間行った。
【0092】
実施例8
本実施例も上の実施例に記載したものと同じ手順を用いて行った。本実施例において、希釈溶液の初期伝導度は16.68mScm-1であり、印加電圧は50Vであった。希釈液伝導度が0.07mScm-1に達するまで電気透析プロセスを続けた。希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速はそれぞれ、324L時-1、328L時-1および324L時-1である。
印加電圧:50V
【0093】
結果を次のように表8に報告する。
【表8】

本実験結果が前の実施例7で行った実験の結果とほぼ同じであるのは、希釈液の初期伝
導度、流速および印加電圧がほぼ同じであり、所望の伝導度に達するのにかかる時間も4
時間25分であるためである。このため我々は、結果が本実施例で再現され、これが再現可能であったのはEDスタック中の膜が維持されたためであったと言うことができる。
【0094】
実施例9
本実施例も上の実施例に記載したものと同じ手順を用いて行った。本実施例において、希釈溶液の初期伝導度は18.68mScm-1であり、印加電圧は50Vであった。希釈液伝導度が0.09mScm-1に達するまで電気透析プロセスを続けた。
【0095】
希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速は、349L時-1、398L時-1および596L時-1である。
印加電圧:50V
【0096】
結果を次のように表9に報告する。
【表9】

本実験において、希釈液の初期伝導度は18.68mScm-1であり、流速は変動して、印加電
圧は同じ50Vである。0.09mScm-1の所望の伝導度に達するのにかかる時間は4時間である。本実験では初期伝導度は少し高かったが、0.09mScm-1の最終伝導度に達するのにかかる時間はわずか4時間である。このため流速が変動すると、時間も変動する。
【0097】
実施例10
本実施例も上の実施例に記載したものと同じ手順を用いて行った。本実施例において、希釈溶液の初期伝導度は18.35mScm-1であり、印加電圧は50Vであった。希釈液伝導度が0.07mScm-1に達するまで電気透析プロセスを続けた。希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速は、349L時-1、398L時-1および596L時-1である。
印加電圧:50V
【0098】
結果を次のように表10に報告する。
【表10】

本実験結果が前の実施例7で行った実験の結果とほぼ同じであるのは、希釈液の初期伝
導度、流速および印加電圧が同じであり、所望の伝導度に達するのにかかる時間も3時間35分であるためである。このため我々は、前の実施例9の結果が本実施例で再現されると言うことができる。
【0099】
実施例11
本実施例も上の実施例に記載したものと同じ手順を用いて行った。本実施例において、希釈溶液の初期伝導度は17.14mScm-1であり、印加電圧は70Vであった。希釈液伝導度が0.08mScm-1に達するまで電気透析プロセスを続けた。希釈溶液、濃縮溶液およびすすぎ溶液の流速は、324L-時-1、328L-1時および324L時-1である。
印加電圧:70V
【0100】
結果を次のように表11に報告する。
【表11】

本実験は、17.14mScm-1の初期伝導度を有し、0.08mScm-1の最終伝導度に達するまで3時間5分続いた。このためより高い印加電圧では、実験で所望の伝導度に達するのにかかる
時間はより短い。
【0101】
しかし電気透析セル内では、濃度分極の可能性が常にある。上の記述に記載されている実験室での機会に行われたように、膜を定期的に清浄すべきことおよびセル性能を改善すべきことを指摘すべきである。
【0102】
蒸留カラムは、所望の分離物を得るために多くのプロセスで用いられる。分離物は、単一の構成成分から原油蒸留塔によって行われるものなどのより複雑な多数の分離物にまで及び得る。通例、少なくとも第1および第2の構成成分を含有するフィード流は、分画蒸留カラムに供給される。フィード流に含有される第1の構成成分の実質的な部分はオーバー
ヘッド生成物として蒸留カラムから除去され、フィード流中の第2の構成成分の実質的な
部分はボトム生成物として蒸留プロセスから除去される。しかし熱は概して、所望の分離を行うために分画蒸留カラムに供給されるか、またはフィードは加熱され得る。
【0103】
本発明は以下の実施例によってさらに例証されるが、以下の実施例は本発明の範囲を制限するものではない。実施例で使用される溶液は水溶液である。
【0104】
バッチ蒸留設備は、25mmセラミック製ラシヒリングが充填された3インチのガラスカラ
ムが上に取り付けられた20L電熱釜より成る。充填高さは約5インチである。管側冷却による縦型ガラス凝縮装置が上部に取り付けられる。必要とされる真空を維持するために、真空ポンプがカラムに取付けられる。ユニットは、必要とされる還流比およびリボイラ凝縮装置温度を維持および制御するために十分な機器を備えている。
【0105】
EDユニットおよび蒸留カラムの容量の違いのために、実証実験は以下の方法で行う。ED出口の各バッチは、微量のいくつかの不揮発性重有機物と共に約12%-15%のDMSOおよび残
りの水から成る希釈剤約10kgを産生する。釜の容量は20リットルであるため、2バッチのED希釈剤をカラムの釜に一度に投入する。約90パーセントの水を留出物として除去して、
釜から放出される、濃縮されたDMSOである残留物を収集する。続いて、別のバッチの希釈剤20リットルを釜に投入して同じ方法で処理し、残留物を収集する。それゆえ上の2ステ
ップから収集された残留物を釜に投入し、さらに蒸留して、純DMSOを得る。本ステップでは、最初に水が第1カットとして除去され、許容される水分含有率の純DMSOを続いてのカ
ットとして収集する。リボイラ中に残った残留物は廃棄する。要するに、2回のED実験に
より蒸留の第1ステップに必要とされるフィードが産生され、蒸留の第1ステップの2回の
実験から収集された残留物により、蒸留の第2ステップに必要とされるフィードが産生さ
れる。
【0106】
以下の実施例は、図4に記載したようなDMSO-水混合物からのDMSOの分離/精製における蒸留操作の分離特徴の有効性を示すために、例として与える。
【0107】
実施例12
重量が20.04kgの体積20リットルの希釈溶液のバッチを充填蒸留カラム(2)に給送する。蒸留操作を30mmHgの真空下で約7時間55分行う。真空ポンプを使用して、凝縮装置を通
じてカラムに供給される真空を生成する。カラムを確実に真空気密にするために、真空シールも使用した。真空シールと共に氷を使用した。これはいくらかの蒸気がフラスコに侵入する場合に、蒸気が凝縮されて、また材料の収支を確保するためである。蒸留カラムに投入されたフィードは、15.1重量%DMSOおよび残りの水を含有していた。実験の経過中に
は、リボイラおよびオーバーヘッド温度を10分の期間ごとに記録する。1:15の還流比を維持する。14.75重量%DMSOを含有するフィード9.1kgをさらにカラムに添加して、この後、
加熱を再開すする。真空シール中への水2kgの損失が生じた後に、留出物17.5kgおよびボ
トム9.64kgを得る。得られた留出物は純水であるのに対して、収集されたボトムは80.15
重量%DMSOおよび19.85重量%水を含有する。ボトムの伝導度およびpHはそれぞれ0.04mScm-1および6.6である。
【表12】

【0108】
実施例13
重量が19.3kgの体積20リットルの希釈溶液のバッチを充填蒸留カラム(2)に給送する
。蒸留操作は、25mmHgの真空下で5時間36分の期間にわたって行う。真空ポンプおよび真
空シールを使用して、カラムに真空を印加する。投入されたチャージの組成は、13.32重
量%DMSOおよび86.68重量%水である。1:15の還流比を用いて、リボイラおよびオーバーヘ
ッド温度ならびにカラム内の圧力を10分の期間ごとに記録することによって蒸留を行う。純水の留出物14.3kgが得られ、この伝導度およびpHはそれぞれ0.01mS/cmおよび5.49であ
る。伝導度およびpHがそれぞれ0.06mS/cmおよび5.51であり、重量が4.8kgであり、77.52
重量%DMSOおよび22.48重量%水から成るボトムが得られる。この実験で生じた損失は水0.2kgである。
【表13】

【0109】
実施例14
本実施例において、給送時に14.38重量%DSMOを含有し、残りは水である重さ19.54kgの
希釈溶液のバッチに、蒸留を5時間38分の期間にわたって行う。真空ポンプを用いて、約35mmHgの真空を印加する。蒸留操作を行い、カラムの上部および下部の温度およびカラム
中の温度を記録することによって、100%水の留出物14.54kgを得る。90.6重量%DMSOおよ
び9.4重量%水を有する残りのボトム4.5kgが得られる。留出物およびボトムの伝導度はそ
れぞれ0.09mScm-1および0.39mScm-1である。留出物およびボトムのpHはそれぞれ6.05および8.79である。この実験で生じた損失は水0.5kgである。
【表14】

【0110】
実施例15
本実施例において、上の実施例と同様に、82.89重量%DMSOおよび17.11重量%水から成
るフィード18.94kgを容量20リットルの蒸留カラムに投入して、30mmHgの真空を約150分印加する。上の実施例と同様に、リボイラおよびオーバーヘッド温度ならびにカラム内の圧力を10分の期間ごとに記録する。100分間の運転後、還流比を1:15から1:5に変化させた。本実験により、留出物3.84kgおよびボトム14.94kgを得た。留出物は0.14mScm-1の伝導度
を記録し、ボトムは8.7mScm-1を記録したのに対して、留出物およびボトムのpHはそれぞ
れ6.6および0.17である。水0.16kgの損失があった。留出物は97.13重量%DMSOおよび2.087重量%水から成る。
【表15】

リボイラ内の組成に応じて留出物および残留物の両方で高い純度を達成するために、還流比を1:15から1:5に変動させる。
【0111】
実施例16
本実施例において、1段階蒸留操作の上の実施例から得られた複合ボトム14.94kgを、溶液10リットルを収容する容量を有するロタベーパに投入する。フィードの伝導度およびpHはそれぞれ0.01mScm-1および8.0であった。97%DMSOから成るフィードをリボイラに給送
して、蒸留を2時間48分行い、この間にデジタルメータを使用してカラム中の圧力および
温度を記録する。78.69%DMSOおよび21.309%水から成る、重さ1.14kgの中間カットを得た
。得られた留出物およびボトムはそれぞれ、重さが9.9kgの純水および3.3kgの純DMSOであった。真空シール中への水0.6kgの損失があった。
【0112】
留出物(水)伝導度は0.003mScm-1、pHは7.12であり、ボトムの伝導度およびpHはそれ
ぞれ0.58mScm-1および9.63であった。
【表16】

還流比はリボイラ内の組成に応じて変動する。
【0113】
実施例17
重さ18.04kgで体積20リットルのフィード溶液を充填蒸留カラムに給送して、30mmHgの
真空を約5時間55分印加する。投入されたフィードは11.52重量%DMSOおよび88.48重量%水
から成り、0.08mS/cmの伝導度および5.38のpHを有していた。1:15の還流比を用いて、カ
ラムの上部および下部の温度を記録する。本蒸留実験によって、1.06重量%DMSOおよび98.94重量%水を有する留出物13.24kgならびに81.15重量%DMSOから成り、残りは水であるボトム4.4kgが生じた。留出物およびボトムの伝導度およびpHはそれぞれ0.06mScm-1および6.38mScm-1である。留出物およびボトムのpHはそれぞれ8.14および0.04である。本実験は水0.4kgの損失を有した。
【表17】

【0114】
実施例18
重量が21.04kgの体積約20リットルの希釈溶液のバッチを充填蒸留カラムに給送する。
蒸留操作は、25mmHgの真空下で5時間28分の期間にわたって行う。真空ポンプおよび真空
シールを使用して、カラムに真空を印加する。投入されたチャージの組成は、16.32重量%
DMSOおよび83.68重量%水である。1:15の還流比を用いて、リボイラおよびオーバーヘッ
ド温度ならびにカラム内の圧力を10分の期間ごとに記録することによって蒸留を行う。純水の留出物15.14kgが得られ、この伝導度およびpHはそれぞれ0.01mScm-1および5.52であ
る。伝導度およびpHがそれぞれ0.03mScm-1および6.92であり、重量が5.7kgであり、70.14重量%DMSOおよび29.86重量%水から成るボトムが得られる。この実験で生じた損失は水0.2kgの損失である。
【表18】

【0115】
実施例19
本実施例において、上の実施例と同様に、13.13重量%DMSOおよび86.86重量%水から成
るフィード18.74kgを容量20リットルの蒸留カラムに投入して、25mmHgの真空を約7時間印加する。上の実施例と同様に、リボイラおよびオーバーヘッド温度ならびにカラム内の圧力を10分の期間ごとに記録する。本実験により、留出物14.14kgおよびボトム4.14kgを得
た。留出物は0.11mScm-1の伝導度を記録し、ボトムは0.6mScm-1を記録したのに対して、
留出物およびボトムのpHはそれぞれ6.94および8.75である。水0.46kgの損失があった。留出物は0.92重量%DMSOおよび99.08重量%水から成る。
【表19】

【0116】
実施例20
重さ19.34kgで体積が約20リットルのフィード溶液を充填蒸留カラムに給送して、25mmHgの真空を約6時間45分印加する。投入されたフィードは13.05重量%DMSOおよび86.25%水から成る。1:15の還流比を用いて、カラムの上部および下部の温度を記録する。本蒸留実験によって、純水を有する留出物14.14kgならびに75.15%DMSOから成り、残りは水であるボ
トム4.84kgが生じた。留出物およびボトムの伝導度およびpHはそれぞれ0.16mScm-1および0.54mScm-1である。留出物およびボトムのpHはそれぞれ6.43および7.96である。本実験は水0.36kgの損失を有した。
【表20】

【0117】
実施例21
本実施例は、脱塩溶液9.84kgをロタベーパに給送することから成り、25mmHgの真空を印加する。フィードは78.46重量%DMSOおよび21.54重量%水から成る。操作全体は完了する
まで75分かかり、この間にカラムでの温度およびカラム中の圧力を記録する。維持した還流比は1:5であった。本実験により純水2.24kgを留出物として得る。96.94重量%DMSOおよ
び3.06重量%水から成る得られたボトムの重量は、7.44kgである。材料の損失重量は0.16kgである。留出物およびボトムの伝導度およびpHはそれぞれ0.01mScm-1および8.45mScm-1
である。留出物およびボトムのpHはそれぞれ6.14および0.07である。
【表21】

還流比は1:5にて一定に維持する。
【0118】
実施例22
本実施例において、上の実施例と同様に、84.13重量%DMSOおよび15.87重量%水から成
るフィード8.84kgを容量10リットルの蒸留カラムに投入して、25mmHgの真空を約150分印
加する。上の実施例と同様に、リボイラおよびオーバーヘッド温度ならびにカラム内の圧力を10分の期間ごとに記録する。本実験により、純水の留出物1.14kgおよびボトム7.6kg
を得た。留出物は0.12mS/cmの伝導度を記録し、ボトムは0.67mS/cmを記録したのに対して、留出物およびボトムのpHはそれぞれ5.76および9.56である。水0.1kgの損失があった。
ボトムは98.66重量%DMSOおよび1.34重量%水から成る。
【表22】

リボイラ組成に応じて還流比を1:15から1:5に変動させる。
【0119】
実施例23
本実施例において、重量7.44kgのフィードを容量10リットルのロタベーパに投入して、25mmHgの真空を約3時間印加する。フィードは約96.94%DMSOを含有し、残りは水である。
上の実施例と同様に、リボイラおよびオーバーヘッド温度ならびにカラム内の圧力を10分の期間ごとに記録する。還流比は5:1にて一定に維持した。蒸留の間、微量の水を留出物
の第1カットとして除去する。無色である、許容される水分含有率を有するDMSOの大半を
蒸留の第2カットとして回収する。リボイラ中に残った残留物は廃棄する。第1および第2
カット中のDMSOの組成はそれぞれ90.67%および99.43%である。留出物4.63kgおよびボトム2.34kgはそれぞれ、99.17%および98.41%のDMSOレベルを報告した。留出物は0.007mScm-1
の伝導度を記録し、ボトムは0.98mScm-1を記録したのに対して、留出物およびボトムのpHはそれぞれ9.46および9.56である。水0.47kgの損失があった。
【0120】
フィードはDMSOが豊富であるため、純構成成分が得られる前に蒸留操作の異なる段階にて各種のカットを抜き取る必要が生じた。
【表23】

最終DMSO生成物である留出物の所望の純度のために、還流比は5:1にて一定に維持する

【0121】
実施例24
重さが7.6kgで組成が98.66重量%DMSOおよび1.34重量%水である、体積約10リットルの
フィード溶液を回転型蒸留カラムに給送して、30mmHgの真空を約85分印加する。1:5の還
流比を用いて、カラムの上部および下部の温度を記録する。本蒸留実験により、64.78重
量%DMSOから成る第1カットを抜き取った後に、留出物として純水4.25kgが生じた。純DMSO約3.33kgをボトム生成物として得る。本実験は水0.02kgの損失を有した。
【表24】

【0122】
実施例25
重さが8.97kgで組成が99.25重量%DMSOおよび0.75%水であるフィード溶液を回転型蒸留
カラムに給送して、30mmHgの真空を約95分印加する。1:15の還流比を用いて、カラムの上
部および下部の温度を記録する。本蒸留実験により、95.72重量%DMSOから成る第1カット
を抜き取った後に、留出物として純水6kgが生じた。純DMSO約2.84kgをボトム生成物とし
て得る。本実験は水0.13kgの損失を有した。留出物およびボトムの伝導度およびpHはそれぞれ0.031mScm-1、7.15および9.61mScm-1、1.58である。
【表25】

行った4つのED実験および続いての蒸留の物質収支全体を図8に示す。
【0123】
DMSOの回収
蒸留の間に回収した水は微量の揮発性物質を示し、この有用性は顧客が調査する必要がある。第2の蒸留からの中間カット(DMSOが豊富)を回収して、第2の蒸留の次のバッチに添加することができる。DMSOの回収全体を調査するために、試験からの残存する残留物すべてを混合して、さらなるDMSO回収に利用した。実証の間に、全希釈液180kgから純DMSO
およそ25kgを回収し、このことはDMSO回収0.14kg(89.33%)が概算されたことを示す。未知の着色有機物でほとんど構成されている最終残留物は、DMSO回収後に廃棄すべきである。
【0124】
選んだカチオン交換膜(CMI-7000)およびアニオン交換膜(AMI-7001)は、DMSOに優れた化学抵抗性を有する。
【0125】
CMI-7000カチオン交換膜の技術仕様を表26に示す。
【表26】

【0126】
AMI-7001アニオン交換膜の技術仕様を表27に示す。
【表27】

【0127】
(発明の利点)
開発したプロセスは、アジ化ナトリウムなどの有害化合物の分離によって製薬廃水からのDMSO溶媒の回収を促進する。該プロセスは、そうでなければアジ化ナトリウムの中和および化学的酸素要求量(COD)の低減のために広範な手順を施さねばならない廃水処理プ
ラント(ETP)に対する負荷も低減する。開発したプロセスによって、高い純度を有するDMSOの高い回収が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業廃水から純ジメチルスルホキシド(DMSO)を回収するための電気透析−蒸留ハイブリッドプロセスであって:
i.懸濁固体を濾過するためのミクロン・フィルタ・カートリッジに、続いて、色を薄く
して15mScm-1から25mScm-1の間の範囲に及ぶ伝導度の希釈液を得るための活性炭カラムに通過させることによって、廃水を前置濾過するステップ;
ii.希釈溶液の伝導度が0.06mScm-1に低下して脱塩された希釈液が得られるまで、20 mScm-1から35mScm-1の間の範囲に及ぶ伝導度のすすぎ溶液を電気透析スタックシステムの電
極にわたって、続いてステップ(i)で得られたような希釈液および1mScm-1から2mScm-1
の間の範囲に及ぶ濃縮溶液を電気透析スタックシステムに循環させるステップ;
iii.第1段階で留出物としての水およびボトムとしての不純DMSOを得て、続いての第2の
蒸留で留出物としての無色純DMSOおよびボトムとしての重不純物を得るために、ステップ(ii)で得られた脱塩希釈液を2個の蒸留カラムに投入するステップ;
を含むプロセス。
【請求項2】
工業廃水がNaN3、NH4Cl塩、水、不揮発性重有機化合物および着色物質を含有する、請
求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
DMSO工業廃水の濃度が12重量%から20重量%の間の範囲に及ぶ、請求項1に記載のプロセ
ス。
【請求項4】
工業廃水中のNaN3およびNH4Clの濃度が0.5重量%から2重量%の間の範囲に及ぶ、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
希釈液がDMSO、NaN3、NH4Clおよび水を含有する、請求項1のステップ(i)に記載のプ
ロセス。
【請求項6】
濃縮溶液が0.03%と0.19%との間の総溶解固形分(TDS)を含有する水道水を含有する、
請求項1のステップ(ii)に記載のプロセス。
【請求項7】
すすぎ溶液が2.0重量%から3.0重量%の重硫酸ナトリウム水溶液を含有する、請求項1に
記載のプロセス。
【請求項8】
濃縮液中で使用される電解質が電気伝導を可能にする塩化ナトリウムなどの塩の水溶液である、請求項1のステップ(ii)に記載のプロセス。
【請求項9】
膜スタックを超える希釈液、濃縮液およびすすぎ溶液の流速が0.9リットル/秒と0.1リ
ットル/秒の間の範囲に及ぶ、請求項1のステップ(ii)に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスが連続モードで行われ、溶液が再生されて戻される、請求項1に記載のプ
ロセス。
【請求項11】
DMSO回収パーセンテージが88%から90%の範囲に及び、純度パーセンテージが99.5%から99.8%の間の範囲に及ぶ、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
第1蒸留カラムの温度が30℃と75℃の間で変動して、還流比が1:5から1:15で変動し、真空が20mmHgから30mmHgの間で維持され、オーバーヘッド温度が5℃で利用できる
冷却水を使用して30℃と32℃の間で維持された、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
第2蒸留カラムのリボイラ温度が45℃と120℃の間で変動し、還流比が1:5と1:15の間で
変動して、真空が25mmHgから35mmHgの間で維持され、オーバーヘッド温度が30℃と95℃の間で変動した、請求項1に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−510082(P2013−510082A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536018(P2012−536018)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000708
【国際公開番号】WO2011/055381
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(596020691)カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (42)
【氏名又は名称原語表記】COUNCIL OF SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH
【Fターム(参考)】