説明

左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法

【課題】 従来の摺動式閉塞型のプレス金型で、立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦を成形する場合、抜き勾配及び面戸部の仰角と立ち上がり部の垂直性を確保するには、左・右を個別に成形する一枚取りの金型に依存する。立ち上がり部の基材との取り付け側面同志を貼り付け一体化し成形した場合、分割後の取り付け平坦面の形成は経済的に成り立たない。よって、左・右を連接し一工程で成形する製造方法は普及していない。
【構成】 本発明は、衝止開放式のプレス金型を利用して、左・右の立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦を、立ち上がり部の上端面で連接一体化した断面視山高帽形状の構成とし、面戸部下端の形状を桟瓦の曲面に整合するに便利な裏面の段付き部・割溝等を高精度で確保する。立ち上がり部の取り付け平坦面・安定台・割溝等を金型内で成型する。脱型後の形態が安定する等の効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、上型下型でキャビティを構成する粘土瓦成型用金型構造では、上向き或いは下向きの抜き勾配の設定が必要である。この立ち上がり部を備えた左右の面戸付き熨斗瓦等の成形に際し、立ち上がり部は、基材への釘止めの便を考慮すると、例えば、図14−1に示すように取り付け面a−aは水平面L−Lに対し垂直としたい。また面戸部は、表面b−bをL−Lに対し仰角とし、雨水を軒側遠方に誘導するのが望ましい。
【0003】
因みに、図14−2の如く、抜き勾配をつけ取り付け面a’−a’を仰角にすると、面戸部表面b’−b’は必然的に俯角となり、脱型に際し立ち上がり部上端角C’に上型が引っ掛かる。また面戸部表面b’−b’が俯角になると下型が引っ掛かり脱型を難しくする課題が残る。
【0004】
この対策として考えられるのが、図15で示す成型方法であり、この成形方法は、例えば、特開2003−301564の「面戸瓦、熨斗瓦、及び棟部の瓦組構造」で開示されている面戸付き熨斗瓦の一枚取り成形に応用されている(文献(1)とする)。
【0005】
然るに、この例では、立ち上がり部、熨斗部、面戸部の全ての面が傾斜した構成となり、金型の構造が複雑で維持管理も煩雑になる。また各面の繋ぎ目(角)が堰となり、粘土の流動を妨げ成形密度の不均衡を招くこと、主要な角部、山或いは谷に閉じこめられる空気溜まり対策も難しいこと等が要因となり、重要部分の形状及び/又は精度の確保が困難となり技術的に難渋している。さらに前述の抜き勾配に係る問題から一枚取り成形に限定されること、脱型後の形態が不安定で専用治具を多数必要とすることも障害の一つであって普及を阻んでいること等の解決すべき課題がある。
【0006】
前述の例とは異なる事例で、左右の面戸付き熨斗瓦を、面戸側端部で連接一体化し同時成形する方法として、例えば、図16及び図17の例が考えられる。この場合、実効ある立ち上がり部を形成するには、上型の中央最深部に、立ち上がり部が基材に安定して固定できる有効な高さと幅を有する断面長方形の溝を、きき幅全長に亘り高い精度を以って穿設する必要がある。この措置は、金型の設計製作に相当な困難が伴い、維持管理にも難渋すること、またプレス成型時に発生する空気溜まりが妨げとなり、要求される形状及び/又は精度の確保が困難視されること等の幾多の課題が残ることが知られている。またこの左右一体化した面戸付き熨斗瓦は、施工に先立って、立ち立ち上がり部を中央の割り線で正確に分割し、基材との当接面を平滑に補整する必要があり、相当な技術力と時間を要し実用性は乏しいと考えられる。この例で示した面戸付き熨斗瓦は、特開2004−183234の「棟、隅棟用面戸付き台のし瓦」、又は特願2003−314154の「面戸付き登り水切り熨斗瓦」として開示されている(文献(2)、(3)とする)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−301564
【特許文献2】特開2004−183234
【特許文献3】特願2003−314154
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
文献1の発明では、立ち上がり部を備えた左右の面戸付き台のし瓦、熨斗瓦等(のし瓦とする)を開示している。上、下型から成る摺動式閉塞型による成形方式を採用する場合、立ち上がり部の垂直形状と面戸部の仰角を確保し、抜き勾配を考慮すると、左右別個に一枚宛成形せざるを得ない。そして脱型後の姿勢安定には専用治具が不可欠で、焼成台なくして形状及び/又は精度の確保が難しい。また、隅棟、降り棟等の傾斜棟用では、左右専用の金型が必要となり経済的に成り立ち難い課題も考えられる。
【0009】
また文献2、3の発明では、左右を熨斗部で連接一体化して成型する製造方法が開示されている。この閉塞型により成形する場合、プレス圧は金型側面(横方向)には殆ど作用せず、面戸部裏面の段付き部、割り溝、端側縁部の形成が難しいこと、キャビティ内に閉じこめられた空気が妨げとなり末端細部への粘土流入を阻み、必要な隅、縁の形状及び/又は精度の確保等が確保されないことが課題となる。さらに基材への固着を確実とする立ち上がり部の延設が難しい課題も解決すべき点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、衝止開放式金型を用い、施工時に面戸部の仰角と立ち上がり部の垂直性を確保すること、立ち上がり部及び面戸部に対しプレス圧を効果的に作用させ、形状の正確性と安定性を確保すること、また立ち上がり部の取り付け面(成型時の天井面)の安定台と、面戸部の内面の凹凸形状及び外周形状の成形精度を確保すること、また熨斗部の彎曲面、熨斗部と面戸部との繋ぎラインの直線性を確保すること等を意図する。また本発明は、面戸部外面は左右同一レベルの平坦面に成形され、脱型後、乾燥焼成台に安定した姿勢で載置でき捩れ曲がり等を回避し、形状及び/又は精度が確保され品質の向上等を図りつつ、前述の特徴を発揮できる面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法を提供することを意図する。
【0011】
請求項1は、下型に面戸付き熨斗瓦等の瓦の面戸部を形成する面戸平坦面と、この瓦の熨斗部を形成する熨斗彎曲面と、またこの瓦の立ち上がり部を形成する天井中凹面を形成し、また上型に前記面戸部を形成する面戸凹面と、この瓦の熨斗部を形成する熨斗膨出面と、またこの瓦の立ち上がり部を形成する天井面を形成し、
この面戸平坦面及び面戸凹面と、熨斗彎曲面及び熨斗膨出面と、天井中凹面及び天井面とにより、前記瓦成形用のキャビティを構成する上下型から成る成形型を用いて、
前記上下型の合体時に、この面戸部と立ち上がり部を、平面形状で成形することで、形状の正確性と安定性を確保し、また前記熨斗部を垂直形状で成形することで、前記瓦の葺上げ時の熨斗勾配角度の自由度を確保することを特徴とした左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な金型を提供すること等を意図する。
【0013】
請求項2は、請求項1の面戸部外周の複雑な形状と、面戸部内側面の凹凸形状とを形成する構成としたことを特徴とする左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法である。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な金型を提供すること等を意図する。
【0015】
請求項3は、請求項1の立ち上がり部の基材との取り付け側面に、少なくとも1か所の安定用の突条又は凹面を設ける構成としたことを特徴とする左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、下型に面戸付き熨斗瓦等の瓦の面戸部を形成する面戸平坦面と、瓦の熨斗部を形成する熨斗彎曲面と、また瓦の立ち上がり部を形成する天井中凹面を形成し、また上型に面戸部を形成する面戸凹面と、瓦の熨斗部を形成する熨斗膨出面と、また瓦の立ち上がり部を形成する天井面を形成し、
面戸平坦面及び面戸凹面と、熨斗彎曲面及び熨斗膨出面と、天井中凹面及び天井面とにより、瓦成形用のキャビティを構成摺る上下型から成る成形型を用いて、
上下型の合体時に、面戸部と立ち上がり部を、平面形状で成形することで、形状の正確性と安定性を確保し、また熨斗部を垂直形状で成形することで、瓦の葺上げ時の熨斗勾配角度の自由度を確保することを特徴とした左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法である。
【0017】
従って、請求項1は、衝止開放式金型を用い、施工時に面戸部の仰角と立ち上がり部の垂直性を確保できること、立ち上がり部及び面戸部に対しプレス圧を効果的に作用させ、形状の正確性と安定性を確保できること、また立ち上がり部の取り付け面(成型時の天井面)の安定台と、面戸部の内面の凹凸形状及び外周形状の成形精度を確保できること、また熨斗部の彎曲面、熨斗部と面戸部との繋ぎラインの直線性を確保できること等の利点がある。また本発明は、面戸部外面は左右同一レベルの平坦面に成形され、脱型後、乾燥焼成台に安定した姿勢で載置でき捩れ曲がり等を回避し、形状及び/又は精度が確保され品質の向上等を図りつつ、前述の特徴を発揮できる面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法を提供できること等の実益がある。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の面戸部外周の複雑な形状と、面戸部内側面の凹凸形状とを形成する構成としたことを特徴とする左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法である。
【0019】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な金型を提供できること等の特徴がある。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1の立ち上がり部の基材との取り付け側面に、少なくとも1か所の安定用の突条又は凹面を設ける構成としたことを特徴とする左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法である。
【0021】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な金型を提供できること等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の態様(形態)を説明する。
【0023】
図面の説明をすると、図1〜図13は本発明の金型・熨斗瓦及び/又は成型方法に関するものであり、図1は第一の実施例の金型を示した一部欠截の断面図、図2は図1の下型の衝止面板と上型の当接面との関係を説明する拡大断面図、図3は第一の実施例の隅棟用の面戸付き熨斗瓦を示した斜視図、図4は第二の実施例の金型を示した模式図、図5は第二の実施例の棟用・壁際用の面戸付き熨斗瓦を示した斜視図、図6は第三の実施例の金型を示した模式図、図7は第三の実施例の登り水切り用の面戸付き熨斗瓦の一部を示した斜視図、図8は第四の実施例の金型の要部を示した模式図、図9は第四の実施例の熨斗瓦(多段熨斗瓦)の一部を示した斜視図、図10は第一の実施例の面戸付き熨斗瓦で葺き設した隅棟を示した断面模式図、図11は第三の実施例の登り水切り用の面戸付き熨斗瓦で葺き設した降り棟を示した断面模式図、図12は第三の実施例の登り水切り熨斗瓦で葺き設した壁との取り合いを示した断面模式図、図13は第二の実施例の熨斗瓦で葺き設した壁際の取り合いを示した断面模式図、図14−1は立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦の立ち上がり部の垂直性と面戸部の仰角との関係を示す模式図、図14−2は立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦用の金型において抜き勾配を考慮すると面戸部の仰角が確保できず成形不能の状態を示す模式図、図15は抜き勾配を考慮した立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦の一枚取り成形方法を示した金型模式図、図16は抜き勾配を考慮した立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦の左右一体化成形方法を示した金型模式図、図17は左右一体化した(二分割式)立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦の模式図、図18は第三の実施例の登り水切り用の面戸付き熨斗瓦を半截した瓦の斜視図、図19は第一の実施例の隅棟用の面戸付き熨斗瓦を半截した瓦の斜視図、図20は第四の実施例の多段熨斗瓦を半截した瓦の一部を示した斜視図、図21は第二の実施例の棟用・壁際用の面戸付き熨斗瓦を半截した瓦の斜視図である。
【0024】
図1〜図3に示した第一の実施例を説明すると、この図1に示した金型は、下型Aに立ち上がり部4を備えた面戸付き熨斗瓦1(瓦1とする)の「左」・「右」面戸部2、2(以下、対の各構成の場合には、原則として、一方側の説明と名称等とする)を形成する面戸平坦面A1と、この瓦1の熨斗部3を形成する熨斗彎曲面A2と、瓦1の立ち上がり部4を形成する天井中凹面A3を形成し、また上型Bに面戸部2を形成する面戸凹面B1と、瓦1の熨斗部3を形成する熨斗膨出面B2と、瓦1の立ち上がり部4を形成する天井面B3を形成する。そして、上下型A、Bが合体した状態で、この面戸平坦面A1及び面戸凹面B1と、熨斗彎曲面A2及び熨斗膨出面B2と、天井中凹面A3及び天井面B3とにより、瓦1成型用のキャビティCが構成される。この上下型A、Bが合体することにより、面戸部2が略水平形状に成形され、熨斗部3が内方張り出し彎曲形状に成形され、立ち上がり部4が逆へ形の中折れ平面形状に成形される。
【0025】
図中、A4は下型Aの面戸平坦面A1の延長面で面戸部2の末端2cの外方の上面A6にビス等で固定した衝止面板を示し、面戸部末端2cの欠損防止に有効な削ぎ面の形成に役立ち、摩耗時の交換が容易で金型保全に便利な構成になっている。B4は上型Bの外方底面B6の内方延長面であって、下型Aにビス等で固定された前記衝止面板A4に衝止当接する構成の当接面を示す。また5−1は上型Bの当接面B4と下型Aの上面A6との間に、衝止面板A4の板厚分で形成される逃がし部を示す。そして、6は緊締具7で下型Aの両側端にボルト等で固定され、上型Bの誘導を司り、前記逃がし部5−1に連通する排気孔500を所要位置に複数穿設したサックを示す。またB5は上型Bの両側下方端面にビス等で固着した面板を示し、前記サック6との摺動の円滑化を図る。そして、下型Aは上型Bに対して収斂した形状を呈し抜き勾配を確保し、サック6、6に対して上型Bがスム−スに合体できる構成とする。
【0026】
また、この例は、主として隅棟用の瓦1を、上下型A,Bによる衝止開放式の合わせ金型を利用した、可塑性を有する粘土素材をプレス成形する製造方法である。因みに、この瓦1は、隅棟を挟んで「左」、「右」に葺き設する立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦(図示せず、以下、面戸熨斗瓦とする)を立ち上がり部で連接した一体形状で(施工時に「左」「右」に分割する)成形する。即ち、図3で示した瓦1は、「左」「右」の面戸熨斗瓦(2枚)を立ち上がり部側面(基材との取り付け面)を対峙させるように配置し、一方の面戸熨斗瓦の立ち上がり部上端面に、他方の面戸熨斗瓦の立ち上がり部上端面が対面するように、他方の面戸熨斗瓦を上方に180度回転し、それぞれの面戸部の外側面(一体化後の底面)を同一面に揃えて、双方の立ち上がり部上端面同志を連接し一体化した断面視山高帽形状を呈する構成とする。
【0027】
このプレス成形では、面戸部2及び立ち上がり部4は、略垂直方向に作用するプレス圧を均等に受けることになり、面戸部2の表面2bの平坦面及び裏面2aの段付き部200、割り線201が形成され、同時に、立ち上がり部4の裏面4aの平坦面(基材との取り付け面)及び分割線9、安定台400、釘孔8の成形が全て金型内で完結し、高精度で安定した成形が簡便に実現する。またこのプレス工程では、下型Aの衝止面板A4に上型Bの当接面B4が当接する直前において、瓦1の面戸部2の末端2c(外縁端部)に押し込まれた空気は、衝止面板A4と当接面B4との間に残された狭い隙間5を介して逃がし部5−1に排出(プレス圧で押し出される)された後、例えば、サック6に連通した排気孔500を経て外部へ放出される。これらの過程で、末端2cで逃げ場を探す余剰粘土は、排出空気に誘導され、隙間5を介して逃がし部5−1にはみ出しバリを形成する。このバリは、脱型後剥落する程度の鱗片状の残滓であって、面戸部2の末端2cの形状・精度を確保するのに有用である。
【0028】
図4、図5に示した第二の実施例を説明すると、この図5に示した主として棟用、壁際用の瓦1は、瓦1の一方側1−1にきき幅調整用の重ね合わせオーバーラップ10を、他方側1−2に雨仕舞い用の差し込みアンダーラップ11を設けた構造であり、その他は、前述の第一の実施例に準ずる構造である。
【0029】
図6、図7に示した第三の実施例を説明すると、この図7に示した主として登り水切り用の瓦1は、瓦1の一方側(図示せず)にオーバーラップ(図示せず)を、他方側1−2にアンダーラップ11を設けた構造であり、その他の構造は、前述の第一の実施例に準ずる。
【0030】
図8、図9に示した第四の実施例を説明すると、この図9に示した多段熨斗瓦として利用する瓦1は、第二の実施例で示した主として棟用の瓦1と、冠瓦(図示せず)との間に葺き設する複数の熨斗瓦(図示せず)を一体化した簡略形の瓦1であり、この瓦1の一方側(図示せず)にオーバーラップ(図示せず)を、他方側1−2にアンダーラップ11を設けた構造である。そして図8に示す瓦1を成形する金型は、下型Aの衝止面板A4及び上型Bの当接面B4の内方に、瓦1の見付け部3−1(熨斗部の外側端面)を設けた構成であり、垂直方向のプレス圧を効果的に受ける構成で見付け部3−1の形状、精度が確保される。
【0031】
次に本発明を利用した瓦1を葺き設した例を、図10から図13及び図18から図21にて示す。図10は、第一の実施例の瓦1(隅棟用の面戸付き熨斗瓦)を半截した図19で示す半截した瓦100を隅棟に施工した例を示す。先ず半截した瓦100の面戸部2の下端部を、裏面2aの段付き部200と割り線201を利用し桟瓦20の谷曲面(図示せず)に整合するように形状を調整する。ついで、この半截した瓦100を桟瓦20上に載置し、立ち上がり部4を、安定台400を介し釘孔8に挿入した釘Fにて棟芯に立設された基材Eに固定し、熨斗瓦G、及び冠瓦I等で葺き設される隅棟構造の基盤を構成する。この場合、熨斗瓦Gの代替用として第四の実施例の瓦1(多段熨斗瓦)を半截した図20で示す半截した瓦100−1を利用した隅棟の施工も可能である。図11は、第三の実施例の瓦1(登り水切り用の面戸付き熨斗瓦)を半截した図18で示す半截した瓦100−2、及び第四の実施例の瓦1(多段熨斗瓦)を半截した図20で示す半截した瓦100−1を降り棟に施工した例を示す。尚、この半截した瓦100−2は、面戸部2の下端部形状を桟瓦20の桟山の重なり段部(図示せず)に整合するように調整して使用する構成としている。その他は、前述の図10の例に準ずる。またこの例では、半截した瓦100−1を熨斗瓦Gに置き換え、降り棟を施工(図示せず)することも可能である。図12は、第三の実施例の瓦1(登り水切り用面戸付き熨斗瓦)を半截した図18で示す半截した瓦100−2を利用して施工した壁との取り合いを示す。その他は、前述の図10の例に準ずる。図13は、第二の実施例の瓦1(棟用・壁際用面戸付き熨斗瓦)を半截した図21で示す半截した瓦100−3を利用して施工した壁際の取り合いを示す。その他は、前述の図10の例に準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は第一の実施例の金型を示す一部欠截の断面図
【図2】図2は図1の下型の衝止面板と上型の当接面との関係を説明する拡大断面図
【図3】図3は第一の実施例の隅棟用の面戸付き熨斗瓦を示す斜視図
【図4】図4は第二の実施例の金型を示す模式図
【図5】図5は第二の実施例の棟用・壁際用の面戸付き熨斗瓦を示す斜視図
【図6】図6は第三の実施例の金型を示す模式図
【図7】図7は第三の実施例の登り水切り用の面戸付き熨斗瓦の一部を示す斜視図
【図8】図8は第四の実施例の金型の要部を示す模式図
【図9】図9は第四の実施例の熨斗瓦(多段熨斗瓦)の一部を示す斜視図
【図10】図10は第一の実施例の面戸付き熨斗瓦で葺き設した隅棟を示す断面模式図
【図11】図11は第三の実施例の登り水切り用の面戸付き熨斗瓦で葺き設した降り棟を示す断面模式図
【図12】図12は第三の実施例の登り水切り熨斗瓦で葺き設した壁との取り合いを示す断面模式図
【図13】図13は第二の実施例の熨斗瓦で葺き設した壁際の取り合いを示す断面模式図
【図14−1】図14−1は立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦の立ち上がり部の垂直性と面戸部の仰角との関係を示す模式図
【図14−2】図14−2は立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦用の金型において抜き勾配を考慮すると面戸部の仰角が確保できず成形不能の状態を示す模式図
【図15】図15は抜き勾配を考慮した立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦の一枚取り成形方法を示す金型模式図
【図16】図16は抜き勾配を考慮した立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦の左右一体化成形方法を示す金型模式図
【図17】図17は左右一体化した(二分割式)立ち上がり部を備えた面戸付き熨斗瓦の模式図
【図18】図18は第三の実施例の登り水切り用の面戸付き熨斗瓦を半截した瓦の斜視図
【図19】図19は第一の実施例の隅棟用の面戸付き熨斗瓦を半截した瓦の斜視図
【図20】図20は第四の実施例の多段熨斗瓦を半截した瓦の一部を示す斜視図
【図21】図21は第二の実施例の棟用・壁際用の面戸付き熨斗瓦を半截した瓦の斜視図
【符号の説明】
【0033】
1 瓦
100 半截した瓦(隅棟用の面戸付き熨斗瓦)
100−1 半截した瓦(多段熨斗瓦)
100−2 半截した瓦(登り水切り用の面戸付き熨斗瓦)
100−3 半截した瓦(棟・壁際用の面戸付き熨斗瓦)
1−1 一方側
1−2 他方側
2 面戸部
2a 裏面
2b 表面
2c 末端
200 段付き部
201 割り線
3 熨斗部
3−1 見付け部
4 立ち上がり部
400 安定台
4a 裏面
4b 表面
5 隙間
500 排気孔
5−1 逃がし部
6 サック
7 緊締具
8 釘孔
9 分割線
10 オーバーラップ
11 アンダーラップ
20 桟瓦
A 下型
A1 面戸平坦面
A2 熨斗彎曲面
A3 天井中凹面
A4 衝止面板
A6 上面
B 上型
B1 面戸凹面
B2 熨斗膨出面
B3 天井面
B4 当接面
B5 面板
B6 外方底面
C キャビティ
C’ 上端角
E 基材
F 釘
F1 釘
G 熨斗瓦
I 冠瓦
J 屋根地
K 壁
イ 上型
ロ 下型
ハ 面戸部
ニ 面板
ホ 立ち上がり部
へ 割り線
ト 熨斗部
チ サック
L−L 水平面
T−T 垂線
a−a 立ち上がり部取り付け面
a’−a’ 立ち上がり部取り付け面
b−b 面戸部表面
b’−b’ 面戸部表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下型に面戸付き熨斗瓦等の瓦の面戸部を形成する面戸平坦面と、この瓦の熨斗部を形成する熨斗彎曲面と、またこの瓦の立ち上がり部を形成する天井中凹面を形成し、また上型に前記面戸部を形成する面戸凹面と、この瓦の熨斗部を形成する熨斗膨出面と、またこの瓦の立ち上がり部を形成する天井面を形成し、
この面戸平坦面及び面戸凹面と、熨斗彎曲面及び熨斗膨出面と、天井中凹面及び天井面とにより、前記瓦成形用のキャビティを構成する上下型から成る成形型を用いて、
前記上下型の合体時に、この面戸部と立ち上がり部を、平面形状で成形することで、形状の正確性と安定性を確保し、また前記熨斗部を垂直形状で成形することで、前記瓦の葺上げ時の熨斗勾配角度の自由度を確保することを特徴とした左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法。
【請求項2】
請求項1の面戸部外周の複雑な形状と、面戸部内側面の凹凸形状とを形成する構成としたことを特徴とする左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法。
【請求項3】
請求項1の立ち上がり部の基材との取り付け側面に、少なくとも1か所の安定用の突条又は凹面を設ける構成としたことを特徴とする左右の面戸付き熨斗瓦等の瓦の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−175664(P2006−175664A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369614(P2004−369614)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(599010060)
【Fターム(参考)】