説明

帯電付与ロール、電気絶縁性シートのシートロール体および電気絶縁性シートの製造方法

【課題】シートの蛇行や巻きずれ等が発生しないように電気絶縁性シートにあらかじめ帯電を付与して、静電気力により蛇行や巻きずれの発生を抑制する帯電付与ロールとシートロール体の製造方法を提供する。
【解決手段】電気絶縁性シートSに、安定で均一な帯電を付与できるリング状の帯電付与ロール1で、帯電付与ロール1のロール周方向表面に体積抵抗率の異なる帯電処理部2と非帯電処理部3を形成する。また、帯電付与ロール1で帯電処理を施す電気絶縁シートのシートロール体の製造方法。
【効果】フィルム走行速度によらず一定の帯電周期で帯電を付与し、シートロール体の全体に渡り、均一な空気噛みこみ量を達成し、シートロール体のしわや凹みの発生を抑制するともに、シートへのキズや異物付着を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電付与ロール、電気絶縁性シートのシートロール体および電気絶縁性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルムなどの電気絶縁性シートはロールを介して大気圧中を搬送するときや巻き取るときに、シートが蛇行したり、巻きずれを起こすことがよくある。そのような不都合を生ずる原因には、シート側の原因として、シートの厚み斑、シート表面の摩擦係数不足等があり、また、装置側の原因として、搬送ローラの速度や搬送張力、搬送ローラの平行度、機械的振動等がある。従来は、これらを最適化することで上述の不具合を回避しようとしてきたが、近年、シート搬送の高速化や長尺化等が進んできたため、これらの対応では困難となってきた。
【0003】
このような問題に対して、電気絶縁性シートの幅方向一部に、処理を施すことが知られている。この処理としては、エンボス加工、縞状の凸部形成、静電気力を利用する帯電付与方法などがある。これらの処理により、電気絶縁性シートの表面の摩擦係数が増大し、電気絶縁性シートとの密着性が高くなり、電気絶縁性シートの蛇行や、巻き取り時の巻きずれを防止することができる。
【0004】
ここで、静電気力を利用する応用技術とは、電気絶縁性シートの表面をあらかじめシート製造工程内で帯電させておき、静電気力によって搬送ローラや巻取ロールに密着させ、滑りにくくし、蛇行を防止するという方法である。また、連続するシートをロール状に巻き上げて成るシートロール体においては、電気絶縁性シート層間の密着力を高くし、シートロール体の巻きずれや飛び出しを防止するという方法である。このような技術には、例えば、特許文献1や特許文献2が知られている。
【0005】
特許文献1には、図5に示すように、一方の面を接地導電性ロール5の部位に密着させたシートSに、もう一方の面側から放電電極20を接触または近接させて、シートSを帯電させた後、シートSを接地導電性ロール5面より剥離させることにより、シートの両面を逆極性に帯電させることが開示されている。特許文献1には電気絶縁性シートに接触させながら帯電を付与する装置として、リング状のロールを用いる方法が記載されている。リング状の帯電付与ロールは、ステンレスなどの金属製のリング状の芯材13の表面に被覆層14を設け、その被覆層14には導電性ゴム14が一様に被覆されている。リング状の放電電極(帯電付与ロール)20を、シートSが密着した接地導電性ロール5の部位に、シートSを挟んで圧着して、シートの移動によりリング状の帯電付与ロール20を回転させている。
【0006】
シートへの帯電は、リング状の帯電付与ロール20とアースとの間の電位差で発生する放電によって付与される。放電は、放電ギャップとそこにかかる電位差に関係する。リング状の帯電付与ロール20による方法では、接地された導電性ロール5(シートが密着されている)0Vと電圧が印加されたリング状の帯電付与ロールの表面との距離が、ロールの回転によってゼロから帯電付与ロールの半径まで連続的に滑らかに変化させられるので、数10μmの微小な放電ギャップを確保し、安定な放電を連続的に行うことが可能である。
【0007】
しかしながら、特許文献1には次の問題点があった。すなわち、シート層に付与された帯電による静電気力でシート同士が密着し、シート層間に噛み込まれた空気がシートの端部から逃げることを妨げてしまい、その結果、シート層間にエアが溜まり、シートロール体の端部が風船のように膨らんでしまうという問題があった。
【0008】
そこで、特許文献2には、シート層間に噛み込まれた空気が、シートの端部から逃げることを妨げないように、シートの層間に随伴した空気を適度に逃がすことができる帯電付与方法が開示されている。リング状の帯電付与ロールは、パルス発生器から発生した信号を高圧増幅器で増幅した所定の電圧が印加される。パルス信号により、帯電付与ロールがシートに帯電を付与する時間を間欠化している。これにより、シートの長手方向に帯電が付与される部分と付与されない部分が周期的にでき、シートロール体端部からの空気の排除が可能になる。また、特許文献2には、図6に示したように、電圧印加手段には直流高圧電源13を用い、放電電極(帯電付与ロール)として歯車状リング電極8を使用して、一定の周期で帯電部と非帯電部を形成し、帯電部を間欠的に印加する技術が開示されている。歯車状リング電極8は、リング状電極に一定ピッチの周方向の凹凸を形成し、凸の高さが、放電ギャップに比べ十分大きく取るようにしたものである。
【特許文献1】特許第3658828号公報
【特許文献2】特開2002−179822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、シートロール体に噛み込んだ空気を適切に排除しながら、ずれ防止を両立することができるが、高圧電源からのパルス信号の周期が一定で変化する場合には、シートの走行速度が変わると、シートに付与される帯電の周期が変化してしまう。帯電周期とは、シート長手方向に存在する帯電部と非帯電部が繰りかえされる規定の長さである。一旦シートをロールに巻き上げた後シートを巻き出す場合には、シートの巻出しはじめと終わりではシートの走行速度が遅くなる。このため、帯電周期は、シートの走行速度V[m/分]と印加する信号の周波数f[Hz]との関係式、V/60f[m]で変化することになる。帯電周期が短い場合、空気が排除されにくくなり、空気の噛みこみ量が多くなってしまう。つまり、帯電周期が変化してしまうと、シートロール体の各シート層間の空気の噛み込み量が変化することになり、空気の噛みこみ量が多い場所では、しわや不均一な凹みが発生しやくなるという問題がある。帯電周期を一定にするために印加する信号を速度に応じて制御する方法もあるが、設備が高価になってしまう。
【0010】
また、歯車状リング電極8を用いると、歯車状リング電極の凸部がシートの表面に強く接触してしまうため、シートにキズをつけたり、凸部に削られた微小なシート片が異物となってシートに混入する問題があった。特に、光学用途に用いられるシートでは、シート片が異物欠点となって品位が低下する。
【0011】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解消し、シート走行速度によらず、帯電周期を一定とし、シートロール体の空気噛み込み量が安定に維持できる電気絶縁性シートの帯電付与ロールを提供する。これにより、端面ずれや蛇行を効果的に防止し、シートへのキズや異物付着等の問題が生じにくくするとともに、安定した品質の電気絶縁性シートロール体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明の構成は以下の通りである。
【0013】
本発明によれば、電気絶縁性シートに帯電を付与する帯電付与ロールであって、導電性を有する芯材と、該芯材の表面を被覆するゴム被覆層とを有し、該ゴム被覆層の表面部が少なくとも2つの異なる体積抵抗率の複数の領域を含んでおり、前記ゴム被覆層の体積抵抗率が前記帯電付与ロールのロール周方向において変化するように構成されていることを特徴とする帯電付与ロールが提供される。
【0014】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記複数の領域のうち、体積抵抗率が最も高い領域以外の領域が高電圧印加装置と電気的に接続されている帯電付与ロールが提供される。
【0015】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記ゴム被覆層の前記ロール周方向の最も大きい体積抵抗率R1と最も小さい体積抵抗率R2との比が、R1/R2が10以上10以下である帯電付与ロールが提供される。
【0016】
また、本発明の別の形態によれば、電気絶縁性シートの一方の面を接地導電性ロールに密着させ、他方の面を前記帯電付与ロールに密着させた状態において、前記芯材と前記接地導電性ロールとの間に電圧を印加して、前記電気絶縁性シートの他方の面に帯電処理を施す電気絶縁性シートのシートロール体の製造方法が提供される。
【0017】
また、本発明の別の形態によれば、電気絶縁性シートをロール状に巻いたシートロール体であって、シート長手方向の巻き始めから巻き終わりまでに80[mm]以上690[mm]以下の一定の帯電周期で帯電部と非帯電部が周期的に繰り返されることを特徴とする電気絶縁性シートのシートロール体が提供される。
【0018】
本発明が適用される電気絶縁性シートの代表的なものは、プラスチックシート、布帛、紙である。シートの形態には、通常、ロール状に巻かれた状態で取り扱われる長尺シートと、通常、多数枚積層された状態で取り扱われる枚葉シートがある。プラスチックシートとしては、ポリエチレンテレフタレートシート、ポリエチレンナフタレートシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシート、ポリカーボネートシート、ポリイミドシート、ポリフェニレンサルファイドシート、ナイロンシート、アラミドシート、ポリエチレンシート等がある。一般に、プラスチックシートは、他の材料からなるシートに比べ、電気絶縁性が高い。電気絶縁性シートとしては、あらかじめ片面に金属などの導電性薄膜がコーティングされたものや、易接着性材や帯電防止材がコーティングされたものも、他方の面の電気絶縁性が保たれていれば、本発明における電気絶縁性シートたりうる。

本発明において、「ゴム」とは、室温においてゴム弾性を有する固体高分子物質あるいはその材料からなる固体である。ゴム弾性とは、弾性率が金属より10-5桁小さいが破断伸度が200%以上である弾性体である。室温でゴム弾性を示す固体高分子物質は、多数の架橋点の間が柔軟なひも状の分子で結合された網目構造を有し、柔軟で繰り返し伸び縮みする物質である。
【0019】
本発明において、「導電性ゴム」とは、体積抵抗率が109[Ω・cm]以下のゴムからなる部材をいう。 本発明において、「ゴム被覆層の体積抵抗率」は、次の方法により求める。まず、リング状の芯材に導電性ゴムが被覆された帯電付与ロールにアルミニウムシートを接触させ、アルミニウムシートとリング状の芯材との間に100Vの電圧を印加して流れる電流を測定する。次に、アルミニウムシートとリング状の芯材との距離を測定する。次に、印加した電圧(100V)を測定した電流で除した値を抵抗値とし、得られた抵抗値にアルミニウムシートの面積を掛け、さらにアルミニウムシートと芯材との距離で除して、単位体積あたりに換算し体積抵抗率(単位[Ω・cm])を得る。これは、被測定物体を1辺が1cmの立方体に充填し、その相対する両面間に電圧を加えた場合の両面間の電気抵抗に相当する。測定温度は、25℃、相対湿度は50%RHとする。
【0020】
本発明において、「異なる体積抵抗率の複数の領域」とは、隣接するゴム被覆層において、少なくとも、一方の領域が、隣接する領域の体積抵抗率と比較して、体積抵抗率で10以上異なっている領域となっていることをいう。体積抵抗率は、導電性の芯材とゴム被覆層の間の体積抵抗率である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の帯電付与ロールを用いれば、高圧電源として安価な直流電源を用いても、シート走行速度には左右されずに常に一定の周期で間欠的な帯電が付与できる。これにより、製造工程の速度の影響を受けにくくなり、シートロール体全体に渡り空気の噛みこみ量が安定し、しわや局所的な凹みが発生しにくくなるので、安定した操業が可能になる。
【0022】
また、帯電処理部と非帯電処理部は一体で成型しているので、凸状の段差がなく、シートにキズをつけにくい。
【0023】
さらに、本発明の製造方法で巻き取られたシートロール体は適度な密着力と空気噛みこみ量を持ち、たとえば、蒸着機での真空引き時にずれにくいなど、シートロール体としてハンドリング性の優れた製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の電気絶縁性シートの帯電付与ロールの好ましい実施形態例を図面を参照しながら説明する。電気絶縁性シートとしてプラスチックフィルム(以下、単に、フィルムともいう。シートロール体をフィルムロール体とも呼ぶ)を用いる場合を例にとって説明する。本発明は、これらの例に限られるものではない。
【0025】
図3は、本発明のシートロール体の製造方法の一実施形態における帯電付与工程を示す。
【0026】
シートSは、次の2つの方法のいずれかにより、帯電付与工程へと供給される。第1の方法は、溶融した樹脂を図示しない口金から押し出し冷却ロールに吐出し、除冷してシート状に成形した後、延伸により厚みの薄いシートを製膜する製膜工程から、シートを、帯電付与工程へ直接供給する方法である。その後、帯電が付与されたシートは、巻き取り工程へ搬送されロール状に巻き取られる。第2の方法は、シートが上記の製膜工程を経て、一旦ロール状に巻き取られシートロール体が形成された後、シートロール体からシートを巻き出し、巻き出されたシートを、帯電付与工程へと供給する方法である。巻き出された幅の広いシートは、所定の幅にスリットされたのち、巻き取り工程へ搬送され再びロール状に巻き取られる。通常、スリットされたシートロール体が製品ロールとなり、客先に供給される。
【0027】
図3において、シートSは、金属ローラを含む複数の搬送ロール6により図を左方向から右方向へ搬送され、シートロール体9として巻き取られる。この図において、シートは、接地された導電性ロール5の一部に密着して走行する。シートが被覆された接地導電性ロール5上に、シートを挟んで帯電付与ロール1が圧着されている。圧着は、図示しない、エアシリンダーなどで行われる。帯電付与ロール1の詳細な説明は後述する。帯電付与ロール1は、高圧電源10に電気的に接続されている。接地導電性ロール5や搬送ロール6は、通常、接地されている。シートSが図の左から右に走行すると、シートの走行に伴って帯電付与ロール1は図の反時計まわりに高速で回転する。このとき、帯電付与ロール1からシートSに所望の帯電が付与され、引き続き、シートSは巻きとり工程まで搬送され、接圧ロール7で圧着されたコア8に巻き取られ、シートロール体9となる。シートSの移動に伴って接圧ロール7は時計回りに、コア8は反時計回りに回転する。コア8には順次シートが巻き取られていくため、シートロール体9は次第に巻き太り、直径が増大する。除電装置12はシートロール体9に向けて設置されており、シートロール体の電位を低く抑える為に用いられる。除電装置12としては、交流式、直流式、交流高周波式、送風式などの電圧印加式静電気除去装置や、導電性繊維やカーボンブラシを用いた自己放電式除電装置などを挙げることができる。図3の実施形態では針電極が交流式高電圧電源に接続された交流式針除電器を用いている。
【0028】
ここで、本実施形態の帯電付与ロールを図1に示す。図1は、図3の帯電付与ロール1と接地された導電性ロール5による帯電処理部の拡大図で、シートの走行方向から見た概略正面図である。シートSは、紙面を手前から奥に所定の速度で走行する。帯電付与ロール1は、シートの移動に伴って、高速で回転している。帯電付与ロール1の被覆層は、複数の体積抵抗率のゴム材料から構成されており、体積抵抗率が帯電付与ロールのロール周方向において変化するように構成してある。すなわち、帯電付与ロール1の表面には体積抵抗率の低い帯電処理部2と体積抵抗率の高い非帯電処理部3との2つの領域が設けられている。リング状の帯電付与ロール1は、支持部4で回転が阻害されないような状態で装置のフレーム等に固定される(図示せず)。なお、リング状の導電性を有する芯材13(図では見えない)には電圧を印加するため、支持部4とは電気的に絶縁しておく。電気的に絶縁しておくとは、アースとの接地抵抗が1GΩを超える状態である。リング状の芯材13は、高圧ケーブル11で高圧電源10に電気的に接続される。リング状の芯材に体積抵抗率の低いゴム被覆層が形成された帯電処理部2は、電気的に高圧電源10と接続される。
【0029】
図2に、図1の実施形態の帯電付与ロール1の正面図を示す。異なる体積抵抗率のゴムが帯電付与ロールのロール周方向に段差がない状態で被覆されている。ゴム被覆層の内部は、表面と同じ体積抵抗率を有することが好ましい。被覆層の内部も表面も同じ体積抵抗率で構成するほうが容易であるからである。ここでいう内部とは、高圧電源と電気的に接続されたリング状の芯材から、帯電を付与したいシートに接する部位の直下までをいう。帯電付与ロールのロール周方向における小さい体積抵抗率の部位は、電気的に接続された高圧電源10によって高電圧が印加されゴムの最表面まで同電位となっている。そして、接地導電性ロール5との間で放電により電荷がシートS面に付与される、この小さい体積抵抗率の部位を帯電処理部2と呼ぶ。
【0030】
一方、帯電付与ロールのロール周方向における体積抵抗率が大きい部位は絶縁されており、接地導電性ロール5との間で放電が発生しないのでシートSに帯電は付与されない。大きい体積抵抗率の部位を非帯電処理部3と呼ぶ。帯電処理部2の最も小さい体積抵抗率R2と非帯電処理部3の最も大きい体積抵抗率R1との比:R1/R2は、10以上10以下の範囲が好ましく用いられる。比が10未満となると、帯電処理部2と非帯電処理部3との違いが小さくなり、非帯電処理部3からもシートSに帯電が少なからず付与されるため、10以上とするのが好ましい。逆に、比が10を超えると、ゴム材質の特性の違いが大きくなりすぎて、ゴム加工時に引きつりや割れが発生したり、帯電処理部2と非帯電処理部3の磨耗量が違いすぎて、劣化しやすくなってしまうので、体積抵抗率の比は10以上10以下が好ましい。
【0031】
次に、金属などの導体物質と比較して、体積抵抗率がある程度大きい導電性ゴムの効果を説明する。シートにピンホールがあるとき、ピンホールの部分で空気の絶縁破壊が起き、帯電付与ロール1から接地導電性ロール5に通ずる導電路が形成され、異常放電が発生する。また、シートが破れた時、帯電付与ロール1が接地導電性ロール5と直接導通する、いわゆる短絡が発生する。このような場合、帯電付与ロール1および接地導電性ロール5の表面は局部への集中電流によって破損する。
【0032】
導電性ゴムは、接地導電性ロール5に通ずる導電路が形成しても大きな電流が流れない役目をはたす。すなわち、ゴム被覆層の体積抵抗率がある値以上、10 [Ω・cm]以上が好ましい。一方、連続して安定に放電させるためには、帯電付与ロール1での電圧降下が小さい方がよい。帯電付与ロール1の電圧降下は、ゴム被覆層の体積抵抗率に比例するので、体積抵抗率は小さい方がよい。すなわち、帯電処理部2には体積抵抗率は10〜10 [Ω・cm]の導電性ゴムが好ましく用いられる。
【0033】
本発明の帯電付与ロール1の好ましい実施形態例の製造方法の例について説明する。帯電付与ロールは芯材と表面のゴム被覆層で構成されている。芯材は芯がね、または、ロール芯とも呼ばれ、荷重に十分耐えるものが好ましい。芯材の材質は、SUSやステンレスなどの金属やカーボンファイバーを含む複合樹脂材料などを使用することができる。
【0034】
ゴム被覆層の厚みの好ましい範囲は、1mmから15mm程度であるが、リング電極のシート走行に伴う回転を阻害せず、安定に回転するのであれば、この限りではない。ただし、1mm以下になると、ゴム本来の柔軟性が得られにくくなり、シートへの圧着状態が不安定になることもあるため、1mm以上が好ましい。
【0035】
芯材13を被覆するゴムは、素練りを経た原料ゴムに加硫剤、促進剤、老化防止剤、補強剤、充填剤、可塑剤、粘着剤、着色剤などを配合して練り混むことが多い。この時に導電性カーボンブラックを所定量配合すると、均一に分散して好ましい。混合したコンパウンドを数日間熟成した後、カレンダーで厚さ1〜3mmのシート状に押し出しゴムシートを加工する。得られたゴムシートの表面に溶剤を塗布し粘着化させ、接着剤を塗布した芯材に巻き付け、周囲を固めた後、加硫を開始する。このとき、帯電付与ロールの周方向に異なる電気的特性等を有するゴムシートをあらかじめ巻き付けておく。複数のゴム基材は同じゴム材質を含むものであれば、熱による収縮や機械的強度などの特性が基質となるゴム材質でほぼ一致させることができ、好ましい。このようにした帯電付与ロールの軸方向に表面の帯電処理部2と非帯電処理部3を形成するゴムシートを巻き付けた帯電付与ロールを一度で加硫する。加硫は、加硫用の容器にいれて120℃から170℃に加熱し、ゴムと加硫剤を化学的に結合しゴム弾性体を得る。その後、研磨機でゴム表面を研磨する。
【0036】
ゴム硬度としては、30度〜80度(JIS K6253 タイプAに規定する測定法により行なう。この規格で規定されたJISスプリング式硬さ試験器を、軸方向を水平に静置したロールの上に水平に載せ、9.8Nの荷重をかけ測定する)の範囲が好ましいが、あまり低硬度のゴムを使用するとゴムが削れやすく耐久性に問題が生じやすい。
【0037】
ゴムの種類としは、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、シリコンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴムなどが好ましく使用される。これらのゴムは単独で用いても良く、数種のゴム種をブレンドして用いてもかまわない。ゴムの体積抵抗率は、導電性カーボンブラックなどをゴム基材に対して0〜10重量%以下の割合で分散させる。導電性物質の添加量でゴムの体積抵抗率を調整し、導電性物質の添加量が多いほどゴムの体積抵抗率は小さくなる。カーボンブラックの代わりに、導電性フィラーなどの導電性物質をゴム基材に添加するのも好ましく用いられる。導電性と適当な弾性を有する素材ならば特に限定されない。また、ゴムには、必要に応じて難燃剤、熱安定剤、可塑剤、補強剤、充填剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、ワックス、オイルなどを配合しても良く、これら二種以上を適宜配合しても良い。
【0038】
本実施形態の帯電付与ロール1は、シートSを安定に帯電できればよく、リング状の導電性を有する芯材に寸法上の制約はないが、特に大きすぎても放電ギャップ部のクリアランスを取り難くなるおそれがあるため、リング状の芯材の外径は50〜200mm程度で、帯電付与ロール1の外径は70〜220mm程度が好ましい。
【0039】
帯電付与ロールの軸方向の幅は、10mm〜30mm、特に10〜15mm程度とするのが好ましい。直径は、外径が70mmφから220mmφとするのが好ましい。帯電付与ロールの軸方向の幅が10mm以上あれば、高速で回転する帯電付与ロールが左右に振れることなく、走行が安定であるので、放電も均一化でき、シートへの帯電付与が良好であるからである。
【0040】
図2を用いて、帯電付与ロール1でシートに帯電を付与する方法を説明する。図2は、本発明の帯電付与ロールを用いた実施形態の一例を示している。シートSは、左から右に矢印の方向に移動しながら走行している。帯電付与ロールは、ロール周方向において帯電処理部2と非帯電処置部3のパターンが形成されている。
【0041】
シートを帯電させる工程は、帯電付与ロール1によるシート上面の帯電と、シートが接地導電性ロール5から剥離される際に起きるシート下面の帯電の2つからなる。図2に示す実施形態では、正の直流電圧が帯電付与ロール1に印加されており、帯電処理部2は正の高電位となっている。そのため、帯電処理部2と接地導電性ロール5の電界が強くなり、シートSの間で微小放電が起きるので、シートSの上面(帯電付与ロールの側の面)が正に帯電する(図2のQ)。引き続き、シートが接地導電性ロール5から剥離された際に両者の間に剥離放電が起き、シートSの下面(接地導電性ロールの側の面)が負に帯電する(図2のQ)。すなわち、シートの上面と下面は逆極性に帯電する。
【0042】
帯電付与ロール1はシートの走行に伴って回転し、非帯電処理部3がシート面に接触すると、非帯電処理部3は帯電処理部2と比較して絶縁性が高いため、微小放電が起きにくく、シートの上面(帯電付与ロールの側の面)は帯電しない。そのため、シートが接地導電性ロール5から剥離された際にも剥離放電が発生せず、シートの下面(接地導電性ロールの側の面)も帯電しない。図2において、シートSは帯電処理部2と接触した部分で帯電が付与され、非帯電処理部3と接触した部分は帯電が付与されない。この工程が繰り返され、シートには間欠的(帯電が付与されない部分がある)に帯電が付与される。
【0043】
従来技術のように、高圧電源からの信号が時間的に変化する場合には、シートの走行速度が変わるとシートの帯電周期が変化してしまうが、本実施形態のように、帯電付与ロールの被覆層が複数の体積抵抗率のゴム材料から構成されており、あらかじめ、体積抵抗率が帯電付与ロールのロール周方向において変化するように構成されている場合には、帯電付与ロールに帯電処理部2と非帯電処理部3が形成されており、シートの走行に伴って帯電付与ロールが回転するため、シート速度には依存せず、常に一定の帯電周期と帯電強度が実現できる。これにより、静電気力が製造工程の速度の影響を受けにくくなり、安定した操業が可能になる。
【0044】
なお、シートに帯電させることが可能な電圧は、シートの厚さtや比誘電率εrによって決まる放電開始電圧より十分高い電圧である。値としては、放電開始電圧の2〜10倍程度が好ましい。なお、放電開始電圧は理論的に以下の2つの式から求めることができる。リング状の帯電付与ロールにおける帯電処理部2とシート間の空隙(放電ギャップ)にかかる電圧Vgの式
Vg=(Va−Vc)Z/(t/εr+Z) (1)
(ただし、Vaは印加電圧、Vcはシート表面の帯電電位、Zは放電ギャップである。)空隙における放電破壊電圧Vbのパッシェン則による一次近似式
Vb=312+6.2Z (2)
放電開始電圧は、式(1)、(2)においてVg=Vbとしたとき定まるVa−Vcの値として求められる。シートの帯電電位の影響を無視すれば印加電圧は下式で求められる。
【0045】
Va=312+6.2t/εr+88√(t/εr) (3)
具体的には、400V〜2,500Vの範囲の直流電圧が好ましい範囲である。また、実効値400V〜2,500Vの範囲の交流電圧、または400V〜2,500Vの範囲の直流電圧に400V〜2,500Vの範囲の交流電圧を加えた脈動電圧の印加が好ましい範囲である。厚みが小さいシートの場合、シートの絶縁破壊電圧(シートの材質や、環境の温度によって異なるが)である、数100V/μmのオーダを考慮して、印加電圧を調整すればよい。さらに、シートの走行速度や蛇行や巻きずれの状態から、印加電圧を調整すればよい。
【0046】
次に、本発明のシートロール体について説明する。帯電を付与したシートはコア8に巻き取られシートロール体9をなす。図4は本発明の好ましいシートロール体9を示している。図4は、シートの長手方向において、おもにシートロール体の端の一部に、帯電周期Aの間隔で、帯電が付与された帯電付与部Bと帯電が付与されない非帯電付与部:Cが存在する。帯電付与部Bは、図2で帯電処理部2が接触した場所に相当する。この帯電付与部Bの帯電状態はシートの両面が逆極性に帯電している特徴がある。帯電付与部Bの電荷密度は50μC/m〜1000μC/mで、非帯電付与部Cの電荷密度は、5μC/m未満になっており、帯電付与部Bと非帯電付与部Cの電荷密度の差は10倍以上、好ましくは100倍以上になっている。そして、シートが上下に重なったときにシートどうしの間に静電気力が生じる。このため、シートロール体のずれや飛び出しを防止する効果がある。
【0047】
シートに付与された帯電の幅や状態は、プリンタやコピー機に使用されるトナーなどの帯電する部分に密着する粉末や液体をふりかけることにより、可視化して確認することができる。トナーが付着しない部分と付着する部分の境目から、シートに付与された帯電部の長さ方向の周期が測定できる。
【0048】
本発明のシートロール体は、この帯電付与部Bと非帯電付与部Cが、シート長手方向の巻き始めから巻き終わりまで一定の間隔で繰り返されている特徴がある。この繰り返し単位の長さは、空気の排除を妨げないように、80[mm]以上が必要である。これより小さいとシートロール体に噛みこまれた空気が抜けにくくなりやすい。また、帯電周期(繰り返し単位の長さ)は、帯電付与ロールの外形から上限が決まる。帯電付与ロールの適正な外径は、上述のように、50mmから220mmであるので、最大の外径は220mmに円周率をかけたおよそ690[mm]以下が好ましい。
帯電付与部Bの割合が帯電周期Aの10%未満であると、帯電付与部分が重なり合う部分が少なくなりすぎ、ずれを防止する効果が失われてしまう場合がある。逆に帯電付与部Bの割合が80%を超えると、帯電付与部分がほとんど重なってしまい、ずれを防止できても、空気が抜けずフィルムロール体の巻き形状が乱れたり、局所的なしわや凹みが発生することがある。すなわち、帯電部の割合はシート長手方向で10%〜80%が好ましく、より好ましくは40〜60%であり、50%が最も好ましい。
【0049】
本発明において帯電部は、特に限定されず、帯電処理部はフィルムの幅方向で少なくとも一カ所あれば良いが、後工程でフィルム表面に金属などを蒸着や塗布される場合などは、蒸着や塗布されるフィルム表面が帯電処理により強く帯電していると金属がフィルムに一様に結着しないため、後工程で邪魔とならない端部に帯電処理されることが好ましい。また、フィルムロール体の幅が広い場合などは、随伴する空気が大きくなるため、特にフィルムがずれやすく両端など幅方向2箇所以上に帯電処理を施すのが好ましい。
【0050】
本実施形態のシートロール体は、適切な面積で、周期的に帯電を付与してあるので、シートロール体の端部から空気が排除されやすく、空気の噛みこみ量を適正に調整しやすい。さらに、帯電周期と帯電の強さが、シートロール体の巻き始めから巻き終わりまで変化することなく、一定である特徴がある。
【0051】
本実施形態のシートロール体は、製膜工程のシートやスリット工程のシートに好ましく適用されるが、さらに、磁気テープやコンデンサ、包装材料や回路基板などの、塗布あるいは印刷加工、蒸着加工、他種シートとのラミネート加工等の2次加工が施されたシートにも好ましく適用することができる。
【実施例】
【0052】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
図3に例示したシート製造工程で、幅670mm、厚さ6.3μmの磁材用途のポリエチレンテレフタレートシートに帯電付与を行い、シートロール体を製造した。製膜工程で一旦巻き上げられたシートロール体から再びシートを巻出しスリットする工程で帯電付与を行った。シート速度は0m/分から180m/分の間で、30000mの長さまで巻き取った。より詳細には、シートの走行速度は、巻き長0mから速度を徐々に上げ、1000m長時に180m/分に達した。この間の時間は3分間であった。その後、180m/分でフィルムを走行させた。25000m長まで巻いた後、徐々に速度を落とし、29700m長で30m/分まで下げた。その後、30m/分に保ったまま、300m長巻取り、30000mで停止(0m/分)した。
【0053】
帯電付与ロールは、巻き取り部より上流にある接地したHCrロール上にシートを介して圧着した。このとき、シートの両端スリットエッジから2mmの位置に帯電付与ロールをそれぞれ設置した。実施例1の帯電付与ロール1は、直径100mm、ロール軸方向の幅10mmで、芯材の直径は92mm、ゴム厚さ4mmとした。帯電処理部2の体積抵抗率は2×10[Ω・cm]の導電性ネオプレンゴム層、非帯電処理部3の体積抵抗率は1×1011[Ω・cm]のネオプレンゴム層を被覆した。ロール周方向の帯電処理部2の長さは150mmとし、非帯電処理部3と帯電処理部2はほぼ1/2とした。ゴム被覆層の表面から内部まで同じ体積抵抗率の導電性ネオプレンゴムを使用した。
【0054】
この帯電付与ロールに、直流高圧電源KHV−15(春日電機株式会社製)を電気的に接続し、印加電圧+1.2kV、電流値0.11mAとし、帯電処理を行った。
【0055】
巻きあがったシートロール体から、シートを取りだし、コピー機用のトナーを振りかけて帯電状態を可視化した。その結果、幅12mm、長手方向におよそ154mmの帯電付与部と非帯電付与部が、帯電周期およそ315mmで繰り返し存在した。この帯電周期は巻き始めから巻き終わりまで終始一定であった。シートロール体の端面のズレは発生せず、また、シートロール体の表層に発生するしわや局部的な凹みも見られなかった。空気の噛みこみ量に相当するシートロール体の硬度も94度以上(アスカーC型硬度計)と良好であった。また、帯電付与ロールの表面に段差がなく滑らかであるため、シートにキズは発生しなかった。
【0056】
このシートロール体を真空槽内に入れ、磁性層を形成するために真空排気したところ、シートロール体の端面のズレも発生せず、また、巻出時に蛇行も見られず良好に使用できた。
[比較例1]
実施例1に示すシートを使用し帯電付与ロールを変えた以外は同様の条件で実施した。比較例1の条件帯電付与ロールとして、ロール周方向がすべて帯電処理部2であるロールを用いた。直径100mm(芯材の直径92mm)、ロール軸方向の幅10mmで、ゴム厚さ4mmとした。帯電処理部2の体積抵抗率は2×10[Ω・cm]の導電性ネオプレンゴム層を一様に被覆した。ゴム被覆層の表面から内部まで同じ体積抵抗率の導電性ネオプレンゴムを使用した。この帯電付与ロールに、直流高圧電源KHV−15(春日電機株式会社製)を電気的に接続し、印加電圧+1.2kV、電流値0.15mAとし、帯電処理を行った。
【0057】
巻きあがったシートロール体には、幅12mmの連続した帯電付与部が見られた。シートロール体の端面のズレは発生しなかったが、シートロール体に局部的な凹みやしわが見られた。これは、空気の噛みこみ量が多いため、長尺製品を巻きあげていくと巻き締まりが発生し、シートロール体が変形してしまうためと考える。空気の噛みこみ量に相当するシートロール体の硬度は85度程度(アスカーC型硬度計)と小さかった。
【0058】
このシートロール体を真空槽内に入れ、磁性層を形成するために真空排気したところ、排気時間がやや長く、しわや凹みに起因して蛇行が発生した。
[比較例2]
実施例1に示すシートを使用し帯電付与ロールを変えた以外は同様の条件で実施した。
比較例2の条件帯電付与ロールとして、ロール周方向がすべて帯電処理部2であるロールを用いた。帯電付与ロールには、高圧パルス発生装置から電圧を印加した。信号は、周波数20Hz、ピーク値1.2kVの矩形波をデュティー50%で印加して帯電処理を行った。
【0059】
巻きあがったシートロール体には、幅12mm、シート長手方向に帯電付与部と非帯電付与部が間欠的に形成された。幅12mmの帯電周期は、巻き始めと巻き終わり時にはほぼゼロに近く、加速時と減速時には数10mm、180m/分速度時には150mmであった。
【0060】
シートロール体の端面のズレは発生しなかったが、シートロール体に表層部に局部的な凹みやしわが見られた。これは、シート走行速度が低速になると帯電周期が小さくなり空気が抜けにくくなるためと考える。空気の噛みこみ量に相当するシートロール体の硬度は94度以上(アスカーC型硬度計)であった。このシートロール体を真空槽内に入れ、磁性層を形成するために真空排気したところ、表層部の空気が排気され竹の子状に表層ズレが発生し、しわや凹みに起因して蛇行が発生した。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、電気絶縁性シート表面への帯電付与ロールとして使用を限られることなく、シリコンウエハーやガラス基板、プラスティック基材などの製造工程においても、帯電を付与する装置をして応用することができる。また、微小な物体に小面積で帯電を付与する場合にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の1実施形態に係る電気絶縁性シートに帯電を付与する装置の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の1実施形態に係る電気絶縁性シートに帯電を付与する装置の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の1実施形態に係る電気絶縁性シートの製造工程の構成図である。
【図4】本発明のシートロール体の1実施形態を示す正面図である。
【図5】従来技術における、電気絶縁性シートに帯電を付与する装置の構成を示す側面図である。
【図6】従来技術における、歯車状帯電付与ロールの正面図である。
【符号の説明】
【0063】
1:帯電付与ロール
2:帯電処理部
3:非帯電処理部
4:支持部
5:接地導電性ロール
6:搬送ロール
7:接圧ロール
8:コア
9:シートロール体
10:高圧電源
11:高圧ケーブル
12:除電装置
13:導電性を有する芯材
14:導電性ゴム(体積抵抗率は一様)
20:リング状の帯電付与ロール
A:シート長手方向の帯電周期の長さ
B:シート長手方向の帯電付与部
C:シート長手方向の非帯電付与部
S:シート
Q:帯電付与された電荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性シートに帯電を付与する帯電付与ロールであって、導電性を有する芯材と、該芯材の表面を被覆するゴム被覆層とを有し、該ゴム被覆層の表面部が少なくとも2つの異なる体積抵抗率の複数の領域を含んでおり、前記ゴム被覆層の体積抵抗率が前記帯電付与ロールのロール周方向において変化するように構成されていることを特徴とする帯電付与ロール。
【請求項2】
前記複数の領域のうち、体積抵抗率が最も高い領域以外の領域が高電圧印加装置と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の帯電付与ロール。
【請求項3】
前記ゴム被覆層の前記ロール周方向の最も大きい体積抵抗率R1と最も小さい体積抵抗率R2との比が、R1/R2が10以上10以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の帯電付与ロール。
【請求項4】
電気絶縁性シートの一方の面を接地導電性ロールに密着させ、他方の面を請求項1から3のいずれかに記載の帯電付与ロールに密着させた状態において、前記芯材と前記接地導電性ロールとの間に電圧を印加して、前記電気絶縁性シートの他方の面に帯電処理を施す電気絶縁性シートのシートロール体の製造方法。
【請求項5】
電気絶縁性シートをロール状に巻いたシートロール体であって、シート長手方向の巻き始めから巻き終わりまでに80[mm]以上690[mm]以下の一定の帯電周期で帯電部と非帯電部が周期的に繰り返されることを特徴とする電気絶縁性シートのシートロール体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−132507(P2009−132507A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310424(P2007−310424)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】