説明

帯電装置

【課題】帯電ロールクリーニング部材による帯電ロールの良好なクリーニング性能と帯電ロールによる像担持体への良好な帯電性を得る。
【解決手段】クリーニングロール100>帯電ロール14とすることで、帯電ロール14の端部まで確実にクリーニングすることができ、帯電ロール14の良好なクリーニング性能が得られる。また、帯電ロール14の軸方向の端部において、放電による放電生成物の付着や紙粉の付着等による汚染が生じることはなく、帯電ロール14による感光体ドラム12への良好な帯電性と、感光体ドラム12の長寿命化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置に備えられる帯電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置の帯電装置として、スコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用したものが多用されてきたが、コロナ放電現象を利用した帯電装置の場合には、人体や地球環境に悪影響のあるオゾンや窒素酸化物の発生が問題となっている。これに対して、導電性の帯電ロールを像担持体に直接接触させて像担持体の帯電を行う接触帯電方式は、オゾンや窒素酸化物の発生が大幅に少なく、電源効率も良いことから、最近では主流となっている。
【0003】
このような接触帯電方式の帯電装置では、帯電時に像担持体上にある各種の付着物を吸着してしまい汚染されやすいという不都合があった。これに対し、特許文献1では、スポンジで構成された帯電ロールクリーニング部材を帯電ロールに圧接させることで、帯電ロールの表面に付着したトナーや紙粉等の異物を除去できるようにした技術を提案している。
【0004】
しかしながら、帯電ロールクリーニング部材の軸長を感光体ドラムの有効現像幅よりも大きく、また、帯電ロールと感光体ドラムとが接する軸方向の帯電接触幅よりも小さくしているが、現像器端部からのクラウドトナーにより感光体ドラム上には有効現像幅以上のトナーが付着してしまう。
【0005】
このため、帯電ロールの端部(帯電ロールクリーニング部材が接触しない領域)は、クリーニングができず、トナーで汚染されてしまう。また、この他に、帯電ロールの端部は、放電による放電生成物の付着や紙粉の付着等による汚染が発生し、感光体ドラム表面への異常放電により感光体ドラム表面層の摩耗が促進し、感光体ドラムのライフを短縮させる。
【特許文献1】特開2001−42608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、帯電ロールクリーニング部材による帯電ロールの良好なクリーニング性能と、帯電ロールによる像担持体への良好な帯電性を得ることができる帯電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、帯電装置において、画像を担持する像担持体を帯電する帯電ロールと、前記帯電ロールの軸長より長く形成され、前記帯電ロールに当接して、該帯電ロールをクリーニングする帯電ロールクリーニング部材と、を備え、前記帯電ロールクリーニング部材がロール状を成し、前記帯電ロールの軸方向端部と前記帯電ロールクリーニング部材の軸方向端部との少なくとも一方に、前記帯電ロールと前記帯電ロールクリーニング部材とが非接触となるように外径が減少する外径減少部を設けて、前記帯電ロールクリーニング部材と前記帯電ロールの接触する部分の押圧力を帯電ロールの軸方向端部へ行くに従って減少させる。
【0008】
請求項1に記載の発明では、像担持体の軸方向に沿った帯電ロールクリーニング部材の長さを帯電ロールの軸長よりも長くする(帯電ロールクリーニング部材>帯電ロール)ことで、帯電ロールの軸方向の端部まで確実にクリーニングすることができ、クリーニングロールによる帯電ロールの良好なクリーニング性能を得ることができる。また、帯電ロールの軸方向の端部において、放電による放電生成物の付着や紙粉の付着等による汚染が生じることはなく、帯電ロールによる像担持体への良好な帯電性と、像担持体の長寿命化を図ることができる。
【0009】
ここで、帯電ロールクリーニング部材の清掃メカニズムとして、帯電ロールに付着した異物(トナー成分)は、帯電ロールクリーニング部材で捕獲され、ある程度の大きさに凝集された異物が帯電ロールへもどされて、像担持体へ移行する。像担持体へ移行した異物は、感光体クリーニング部材で回収されるが、中間転写体にも移行するため、中間転写体クリーニング部材でも回収される。
【0010】
また、帯電ロールクリーニング部材と帯電ロールの接触する部分の押圧力を、帯電ロールの軸方向端部へ行くに従って減少させるようにすることで、帯電ロールの全域に渡って帯電ロールクリーニング部材を当接させた場合でも、帯電ロールの軸方向の端部の押圧力は、他の領域と比較して小さくなる。このため、帯電ロールの軸方向の端部において、帯電ロールの圧力が上昇することはなく、帯電ロールの回転性能を確保することができる。
【0011】
さらに、帯電ロールクリーニング部材がロール状を成し、帯電ロールの軸方向端部と帯電ロールクリーニング部材の軸方向端部の少なくとも一方に、帯電ロールと帯電ロールクリーニング部材とが非接触となるように外径が減少する外径減少部を設けることで、より安価に帯電ロールの軸方向端部の圧力低減ができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記構成としたので、帯電ロールクリーニング部材による帯電ロールの良好なクリーニング性能と、帯電ロールによる像担持体への良好な帯電性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0014】
図1に示す本実施形態の画像形成装置10は、4サイクル方式のフルカラーレーザプリンタであり、図示のように、装置内には、中央よりもやや右上部に、感光体ドラム12(像担持体)が回転可能に配設されている。この感光体ドラム12としては、例えば、表面にOPC等よりなる感光体層が被覆された直径が約47mmの導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しないモータにより、矢印方向に沿って約150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
【0015】
感光体ドラム12の表面は、感光体ドラム12の略真下に配置された帯電ロール14によって所定の電位に帯電された後、帯電ロール14の下方に配置された露光装置16によって、レーザービームLBによる画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0016】
この感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器18Y、18M、18C、18Kが周方向に沿って配置された回転式現像器18によって現像され、所定の色のトナー像となる。
【0017】
このとき、感光体ドラム12の表面には、形成する画像の色に応じて、帯電・露光・現像の各工程が、所定回数だけ繰り返される。現像工程では回転式現像器18が回転し、対応する色の現像器18Y、18M、18C、18Kが、感光体ドラム12と対向する現像位置に移動する。
【0018】
例えば、フルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム12の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して4回繰り返され、感光体ドラム12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。トナー像が形成されるにあたって、感光体ドラム12が回転する回数は、画像のサイズに応じて異なるが、例えば、A4サイズであれば、感光体ドラム12が3回転することによって、1つの画像が形成される。つまり、感光体ドラム12の表面には、感光体ドラム12が3回転するごとに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0019】
感光体ドラム12上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体ドラム12の外周に中間転写ベルト20が巻き付けられた一次転写位置において、中間転写ベルト20上に互いに重ね合わせた状態で一次転写ロール22によって転写される。
【0020】
この中間転写ベルト20上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像は、所定のタイミングで給紙される記録用紙24上に、二次転写ロール26によって一括して転写される。
【0021】
一方、記録用紙24は、画像形成装置10の下部に配置された給紙カセット28から、ピックアップロール30によって送り出されるとともに、フィードロール32及びリタードロール34によって1枚ずつ捌かれた状態で給紙され、レジストロール36によって中間転写ベルト20上に転写されたトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト20の二次転写位置へと搬送される。
【0022】
中間転写ベルト20は、感光体ドラム12における回動方向の上流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップインロール38と、感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール22と、ラップ位置の下流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップアウトロール40と、二次転写ロール26に中間転写ベルト20を介して当接するバックアップロール42と、中間転写ベルト20のクリーニング装置44に対向する第1のクリーニングバックアップロール46と、第2のクリーニングバックアップロール48と、によって所定の張力で張架されており、所定のプロセススピード(約150mm/sec)で循環移動するように、例えば、感光体ドラム12の回転に伴って従動される。
【0023】
ここで、中間転写ベルト20は、画像形成装置10の小型化を図るため、中間転写ベルト20が張架される断面形状が、偏平な細長い略台形状となるように構成されている。
【0024】
中間転写ベルト20は、感光体ドラム12と、帯電ロール14と、中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20を張架する複数のロール22、38、40、42、46、48と、中間転写ベルト20用のクリーニング装置44と、後述する感光体ドラム12用のクリーニング装置78と、で一体的に像形成ユニット52を構成している。このため、画像形成装置10の上部カバー54を開き、像形成ユニット52の上部に設けられた把手(図示省略)を手で持ち上げることにより、像形成ユニット52全体を画像形成装置10から取り外し可能となっている。
【0025】
一方、中間転写ベルト20のクリーニング装置44は、第1のクリーニングバックアップロール46によって張架された中間転写ベルト20の表面に当接するように配置された中間転写ベルト用クリーニングブレード(中間転写体クリーニング部材)58と、第2のクリーニングバックアップロール48によって張架された中間転写ベルト20の表面に圧接するように配置されたクリーニングブラシ60とを備え、中間転写ベルト用クリーニングブレード58の幅(記録用紙24の搬送方向と直交する方向の長さ)を帯電ロール14の軸長よりも長くしている(中間転写ベルト用クリーニングブレード58>帯電ロール14)。
【0026】
そして、これらの中間転写ベルト用クリーニングブレード58やクリーニングブラシ60によって除去された残留トナーや紙粉などは、クリーニング装置44の内部に回収されるようになっている。
【0027】
なお、クリーニング装置44は、揺動軸62を中心にして、図中反時計回り方向に揺動可能に配置されており、最終色のトナー像の二次転写が終了するまでは、中間転写ベルト20の表面から離間した位置に退避するとともに、最終色のトナー像の二次転写が終了すると、中間転写ベルト20の表面に当接するように構成されている。
【0028】
さらに、中間転写ベルト20からトナー像が転写された記録用紙24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱及び加圧されてトナー像が記録用紙24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出トレイ68上にそのまま排出される。
【0029】
一方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙24を、排出ロール66によって排出トレイ68上にそのまま排出せずに、排出ロール66によって記録用紙24の後端部を狭持した状態で、排出ロール66を逆転させるとともに、記録用紙24の搬送径路を両面用の用紙搬送路70に切り替え、この両面用の用紙搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録用紙24の表裏を反転した状態で、再度、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送して、記録用紙24の第二面(裏面)にトナー像を転写する。そして、記録用紙24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録用紙24を排出トレイ68上に排出する。
【0030】
さらに、画像形成装置10には、オプションによって、画像形成装置10の側面に手差しトレイ74が開閉自在に装着可能となっている。この手差しトレイ74上に載置された任意のサイズ及び種類の記録用紙24は、給紙ロール76によって給紙され、搬送ロール73及びレジストロール36を介して、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送されることにより、任意のサイズ及び種類の記録用紙24にも画像を形成することが可能となっている。
【0031】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム12の表面には、感光体ドラム12の斜め下方に配置されたクリーニング装置78のクリーニングブレード80が当接可能となっている。このクリーニングブレード80の幅(記録用紙24の搬送方向と直交する方向の長さ)は帯電ロール14の軸長よりも長くしており(クリーニングロール100>帯電ロール14)、感光体ドラム12が1回転する毎に、該クリーニングブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0032】
図2に示すように、感光体ドラム12の下方部には、感光体ドラム12と接触するように帯電ロール14が配置されている。この帯電ロール14は、導電性のシャフト14Aの周囲に帯電層14Bが形成されたものであり、シャフト14Aが回転可能に支持されている。帯電ロール14の感光体ドラム12と反対側の下方部には、帯電ロール14の表面に接触するロール状のクリーニングロール100が設けられている。このクリーニングロール100は、シャフト100Aの周囲にスポンジ層100B(多孔質弾性層)が形成されたものであり、シャフト100Aが回転可能に支持されている。
【0033】
クリーニングロール100は帯電ロール14に接触して所定の荷重で押圧され、スポンジ層100Bが帯電ロール14の周面に沿って弾性変形してニップ部101を形成している。感光体ドラム12は、図示しないモータによって図2中の時計回り(矢印2の方向)に回転駆動され、感光体ドラム12の回転により帯電ロール14が矢印4の方向に従動回転する。また、帯電ロール14の回転によりロール状のクリーニングロール100が矢印6の方向に従動回転する。このクリーニングロール100の軸長を帯電ロール14の軸長よりも長くしている(クリーニングロール100>帯電ロール14)。
【0034】
そして、感光体ドラム12の軸方向における長さ関係において、クリーニングブレード80>クリーニングロール100>中間転写ベルト用クリーニングブレード58>帯電ロール14の関係を満たすようにしている(なお、これらの部材はセンター合わせされた状態で配設される)。
【0035】
また、帯電ロール14には帯電用の電源が接続されており、直流に交流を重畳したバイアス、または直流バイアスのみが印可されている。一方、クリーニングロール100へのバイアス印可については特に規定しないが、本発明においては帯電ロール14のシャフト14A及びクリーニングロール100のシャフト100Aは同一の軸受けにて回転可能に軸支されており(後述する)、クリーニングロール100は帯電ロール14と同電位となっている。
【0036】
そして、クリーニングロール100が従動回転することにより、帯電ロール14の表面に付着したトナーや外添剤などの汚れ(異物)がクリーニングロール100によってクリーニングされる。そしてこの異物がクリーニングロール100の発泡体のセル内に取り込まれ、セル内に回収された異物が凝集して適度な大きさになると、クリーニングロール100から帯電ロール14を介して感光体ドラム12に戻され、感光体ドラム12をクリーニングするクリーニング装置78に回収されることで、クリーニング性能の維持継続がなされる。
【0037】
このようなクリーニングロール100について、シャフト100Aの材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用されており、摺動性などの用途に応じ材質および表面処理方法が適時選択される。また導電性を有さない材質についてはメッキ処理など一般的な処理により加工され導電化処理が行われてもよく、もちろんそのまま使用してもよい。また、クリーニングロール100は、スポンジ層100Bを介して帯電ロール14と適度なニップ圧力で接触するため、ニップ時の撓みが少ない強度を持った材質またはシャフト長に対して十分剛性をもったシャフト径が選択される。
【0038】
スポンジ層100Bは、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなる。このスポンジ層100Bは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド又はポリプロピレン等の発泡性の樹脂又はゴムを材質としたものより選択される。スポンジ層100Bは、帯電ロール14との従動摺擦により外添剤などの異物を効率的にクリーニングすると同時に、帯電ロール14の表面にスポンジ層100Bの擦れによるキズをつけないために、また、長期にわたり千切れや破損が生じないようにするために、引き裂き、引っ張り強さなどに強いポリウレタンが特に好ましく用いられる。
【0039】
また、帯電ロール14は、導電性のシャフト14A上に帯電層14Bとして導電性弾性層、表面層が順次形成されたものである。
【0040】
シャフト14Aの材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用され、摺動性などの用途に応じ材質および表面処理方法は適時選択され、導電性を有さない材質についてはメッキ処理など一般的な処理により加工され導電化処理が行われていてもよい。
【0041】
帯電ロール14の帯電層14Bを構成する上記導電性弾性層は、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電材等の導電材、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカおよび炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性のシャフト14Aの周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤のような、電子及び/又はイオンを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いることができる。また、上記弾性材は発泡体であってもかまわない。
【0042】
帯電層14Bを構成する上記表面層は、トナー等の異物による汚染の防止のためなどに形成しているものであり、表面層の材料としては、樹脂、ゴム等の何れを用いてもよく特に限定するものではない。ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロン、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
【0043】
また上記表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整することができる。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが望ましい。
【0044】
また、抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤のような、電子及び/又はイオンを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いることができる。
【0045】
上記抵抗値を調整するための導電性粒子である導電性金属酸化物粒子は、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、ITO等の導電性を有した粒子で、電子を電荷キャリアとする導電剤あれば何れも用いることができ、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いても2種類以上を併用することができる。また、本発明を阻害しない限り、何れの粒径であってもよいが、抵抗値調整および強度の点より、好ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、更に、酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫が好ましい。
【0046】
このような導電性材料によって抵抗制御を行うことにより、表面層の抵抗値は環境条件によって変化せず、安定な特性が得られる。
【0047】
さらに、上記表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂が用いられている。特に、フッ素変性アクリレートポリマーで構成されることが好ましい。また、表面層の中に微粒子を添加してもよい。これにより、表面層が疎水性となって帯電ロール14への異物の付着が防止されるように作用する。また、アルミナやシリカのような絶縁性の粒子を添加して、帯電ロール14の表面に凹凸を付与し、感光体ドラム12との摺擦時の負担を小さくして帯電ロール14と感光体ドラム12相互の耐磨耗性を向上させることも可能である。
【0048】
次に、帯電ロール14及びクリーニングロール100の取付構造について詳細に説明する。
【0049】
図3に示すように、本実施形態では、帯電ロール14とクリーニングロール100が一対の軸受け部材110を介して単一のフレーム120に組み付けられフレーム120内に収容されており、さらに感光体ドラム12もこのフレーム120に組み付けられ、それらがユニット化されている。
【0050】
図4(A)、(B)に示すように、一つの軸受け部材110は、扁平な直方体状(ブロック状)に形成され単一構成とされている。この軸受け部材110は、高剛性、高摺動性で耐摩耗性に優れたポリアセタールやポリカーボネート等の合成樹脂材料で形成されている。また、耐摩耗性を更に高めるために、上記の合成樹脂材料にガラス繊維やカーボン繊維等を含有させるようにしてもよい。
【0051】
軸受け部材110には、長手方向(図4の上下方向)に沿って所定の間隔で配置された2つの軸受け孔112、114が形成されている。一方の軸受け孔112には、帯電ロール14のシャフト14A端部に設けられた支持部14aが回転自在に挿通され、他方の軸受け孔114には、クリーニングロール100のシャフト100A端部に設けられた支持部100aが回転自在に挿通されている。また、図示のように、軸受け孔114の内径はシャフト100A(支持部100a)の軸径よりも大きくされている。
【0052】
この一対の軸受け部材110に、シャフト14Aの両端の支持部14aが軸支された帯電ロール14と、シャフト100Aの両端の支持部100aが軸支されたクリーニングロール100とは、クリーニングロール100が帯電ロール14に所定の荷重で押圧されることにより、クリーニングロール100のシャフト100Aの支持部100aが軸受け孔114における帯電ロール14とは反対側の内周面部114Aに当接支持されて、相対位置がほぼ一定に保たれており、前述したように、スポンジ層100Bが帯電ロール14の周面に沿って弾性変形しニップ部101を形成している(図2参照)。また、このようにクリーニングロール100のシャフト100Aの支持部100aを当接支持した軸受け孔114は、シャフト100Aの支持部100aに対して帯電ロール14への圧接方向(矢印8方向)に自由度を与える形状とされている。
【0053】
図3に示すように、フレーム120は、本体部122における帯電ロール14及びクリーニングロール100の軸方向に沿った両端部(図3の左右の側端部)に、上記の一対の軸受け部材110が取り付けられる一対の取付部124が一体的に設けられている。
【0054】
取付部124には、取付部124の延出方向に沿ったガイド溝126が形成されている。軸受け部材110は、このガイド溝126にはめ入れられてその先端側に配置されており、ガイド溝126にガイドされて取付部124の延出方向(感光体ドラム12に対し接離する方向)に沿って摺動可能とされている。
【0055】
一対の取付部124の外側面側は厚肉とされて先端側が延出されており、その先端部に、感光体ドラム12を軸支する一対の軸受け部132が設けられている。この一対の軸受け部132には、軸受け孔134が同軸的に形成されており、感光体ドラム12は、シャフト12Aの端部に設けられた支持部12aが各軸受け孔134に回転自在に挿通されて、帯電ロール14及びクリーニングロール100とともにフレーム120に組み付けられている。
【0056】
また、ガイド溝126内の基端側には、軸受け部材110を感光体ドラム12側へ付勢する圧縮コイルばね128が設けられている。この圧縮コイルばね128のばね力で、軸受け部材110が感光体ドラム12側へ付勢され(矢印8の方向)、帯電ロール14は感光体ドラム12に圧接している。これにより、感光体ドラム12が回転すると、感光体ドラム12の回転に伴って帯電ロール14が従動回転し感光体ドラム12を帯電させ、さらに帯電ロール14の回転に伴ってクリーニングロール100が従動回転し帯電ロール14をクリーニングする。
【0057】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0058】
図5に示すように、本発明では、感光体ドラム12の軸方向における長さ関係において、クリーニングブレード80>クリーニングロール100>中間転写ベルト用クリーニングブレード58>帯電ロール14の関係を満たすようにしている。
【0059】
クリーニングロール100>帯電ロール14とすることで、帯電ロール14の軸方向の端部まで確実にクリーニングすることができ、クリーニングロール100による帯電ロール14の良好なクリーニング性能を得ることができる。また、帯電ロール14の軸方向の端部において、放電による放電生成物の付着や紙粉の付着等による汚染が生じることはなく、帯電ロール14による感光体ドラム12への良好な帯電性と、感光体ドラム12の長寿命化を図ることができる。
【0060】
クリーニングロール100の清掃メカニズムとして、帯電ロール14に付着した異物(トナー成分)は、クリーニングロール100表面のスポンジ層100Bで捕獲され、ある程度の大きさに凝集された異物が帯電ロール14へもどされて、感光体ドラム12へ移行する。そして、感光体ドラム12へ移行した異物は、感光体ドラム12の清掃部材であるクリーニングブレード80で回収されるが、中間転写ベルト20にも移行するため、中間転写ベルト20の清掃部材である中間転写ベルト用クリーニングブレード58でも回収される。
【0061】
このため、クリーニングブレード80>帯電ロール14、及び中間転写ベルト用クリーニングブレード58>帯電ロール14とすることで、帯電ロール14から回収されたトナー(帯電ロール14による回収領域のトナー)を確実に回収することができることとなる。
【0062】
一方、クリーニングブレード80は、感光体ドラム12上の有効現像幅W以上に幅がないと現像されたトナーを回収できないが、中間転写ベルト20へは転写ロール22の幅以上はトナーがのらず、クリーニングブレード80より中間転写ベルト用クリーニングブレード58を長くすると、トナーがない領域において、潤滑剤が不足してめくれが発生してしまう。
【0063】
したがって、記録用紙24の全域に画像を転写するためには、記録用紙幅W<転写ロール22<有効現像幅Wの関係が必要であり、クリーニングブレード80>中間転写ベルト用クリーニングブレード58の関係が得られることとなる。
【0064】
ところで、クリーニングロール100と帯電ロール14において、帯電ロール14の全域に渡ってクリーニングロール100のスポンジ層100Bを当接させた場合、帯電ロール14の軸方向の端部では、スポンジ層100Bによる食い込みによって、帯電ロール14の端面にまでスポンジ層100Bが回り込んだ状態となり、帯電ロール14の圧力が上昇し、帯電ロール14の回転不良が発生する恐れがある。
【0065】
このため、図6(A)に示すように、クリーニングロール100の軸方向の端部において、クリーニングロール100の軸方向に沿った曲線の曲率半径を小さくする逃げ部140を設け、帯電ロール14のNIP力(いわゆる、クリーニングロール100と帯電ロール14の接触する部分の押圧力)を帯電ロール14の軸方向の端部へ行くに従って減少させるようにしても良い。
【0066】
これにより、帯電ロール14の全域に渡ってスポンジ層100Bを当接させた場合でも、帯電ロール14の軸方向の端部のNIP力は、他の領域と比較して小さくなるため、帯電ロール14の軸方向の端部で、端面にまでスポンジ層100Bが回り込むということはなく、帯電ロール14の軸方向の端部の圧力が上昇することはなく、帯電ロール14の回転性能を確保することができる。
【0067】
また、これ以外にも、図6(B)に示すように、帯電ロール14の軸方向の端部とクリーニングロール100の軸方向の端部に、軸方向の端部へ行くに従って外径が減少するテーパ部(外径減少部)142、144をそれぞれ設けて、帯電ロール14の軸方向の端部がクリーニングロール100のスポンジ層100Bに当接しないようにしても良い。これにより、図6(A)の場合と略同一の効果が得られる上に、より安価に帯電ロール14の軸方向の端部の圧力低減ができる。なお、このテーパ部は、帯電ロール14の軸方向の端部にのみ設けても良い。
【0068】
以上、本発明の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。
【0069】
例えば、本形態では、一例として、クリーニング部材としてクリーニングロール100を用い、シャフト100Aの周囲にスポンジ層100Bが形成されたものについて説明したが、ロール状のスポンジに限らず、板状を成すスポンジ部材を用いても良い。但し、この場合、該スポンジ部材は帯電ロールに対向して設けられたホルダーによって固定され、移動不能な状態で配設されることとなる。
【0070】
また、本形態では、感光体ドラム12の下方部に帯電ロール14を接触させ、その帯電ロール14の下方部にクリーニングロール100を接触させる構成としているが、感光体ドラム12、帯電ロール14、及びクリーニングロール100の位置関係はこれに限定されるものではない。例えば、感光体ドラムの上方部に帯電ロールを接触させ、その帯電ロールの上方部にクリーニングロールを接触させる構成等にも本発明を適用することができる。
【0071】
また、本発明を適用する画像形成装置については、上述の実施形態のように、回転式現像器18を用いて感光体ドラム12へのトナー像の形成を4回繰り返して行う4サイクル方式の構成に限定されるものではない。例えば、中間転写ベルトの移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ユニットを並設する構成であっても、各画像形成ユニットの感光体ドラム、帯電ロール、及びクリーニングロールに本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に搭載された感光体ドラム、帯電ロール、及びクリーニングロールの構成を示す拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の感光体ドラム、帯電ロール及びクリーニングロールの取付構造の構成を示す部分断面側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置を構成する帯電ロール及びクリーニングロールが軸受け部材に軸支された状態を示す(A)が斜視図、(B)が側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置を構成する感光体ドラム用のクリーニングブレード、帯電ロール、クリーニングロール等の長さの関係を示す説明図である。
【図6】(A)は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を構成する帯電ロール及びクリーニングロールの端部の状態を示す正面図であり、(B)は変形例である。
【符号の説明】
【0073】
10 画像形成装置
12 感光体ドラム(像担持体)
14 帯電ロール
100 クリーニングロール(帯電ロールクリーニング部材)
142 テーパ部(外径減少部)
144 テーパ部(外径減少部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を担持する像担持体を帯電する帯電ロールと、
前記帯電ロールの軸長より長く形成され、前記帯電ロールに当接して、該帯電ロールをクリーニングする帯電ロールクリーニング部材と、
を備え、
前記帯電ロールクリーニング部材がロール状を成し、前記帯電ロールの軸方向端部と前記帯電ロールクリーニング部材の軸方向端部との少なくとも一方に、前記帯電ロールと前記帯電ロールクリーニング部材とが非接触となるように外径が減少する外径減少部を設けて、前記帯電ロールクリーニング部材と前記帯電ロールの接触する部分の押圧力を帯電ロールの軸方向端部へ行くに従って減少させる帯電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−138170(P2011−138170A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87130(P2011−87130)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2005−358834(P2005−358834)の分割
【原出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】