説明

平板状部材の搬送装置

【課題】 搬送時における水分等の有害物質の付着を防止することができ、よって当該平板状部材の製造歩留まりや品質の向上を図ることができる平板状部材の搬送装置を提供する。
【解決手段】 平板状部材1の導入口5と送出口6とを有する筐体2と、この筐体2内に配設され、送出口6に向けて平板状部材1の両側部を支承しつつ搬送する搬送手段8と、平板状部材1の裏面側に配設され、噴出する気体によって平板状部材1を浮上させる浮上ユニット9とを備えた平板状部材の搬送装置において、筐体1に、その内部を分子状汚染物質が10ppb以下に除去された大気圧露点−100℃以下のクリーンドライエアによって充満させる第1のクリーンドライエアの供給管19を設けるとともに、浮上ユニット9に、平板状部材1の浮上用気体として上記クリーンドライエアを供給する第2のクリーンドライエアの供給管12を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の水分の付着を嫌う平板状部材の枚葉搬送に用いて好適な平板状部材の搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体用ウエハやLCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、EL(電界発光ディスプレイ)等の平板ディスプレイ用ガラス基板の製造工程においては、例えばプロセス工程における処理装置間や当該処理装置と洗浄装置との間に、これら平板状部材を枚葉搬送するための搬送装置が設置されている。
【0003】
図5は、従来のこの種の搬送装置を示すもので、図中符号30がこの装置の筐体である。この筐体30は、図中表裏方向に図示されない導入口と送出口とが形成されており、その内部には、上部にファンフィルターユニット31が配設され、その下方にローラコンベア32が配設されている。このローラコンベア32は、そのガイド付き搬送ローラ32aによって、導入口から搬入されたガラス基板等の平板状部材33の両端部を支承しつつ上記送出口へと搬送するものである。
【0004】
そして、これら搬送ローラ32a間に、平板状部材33を裏面側から非接触で支承する2組の浮上ユニット34が配置されている。この浮上ユニット34は、金属製の筐体からなるチャンバー35の上面に、多孔質セラミック板36が取り付けられるとともに、上記チャンバー35の下面に圧縮空気の供給管37が接続されたものである。
【0005】
上記構成からなる従来の平板状部材の搬送装置によれば、ファンフィルターユニット31から供給される清浄な空気によって筐体30内の搬送路を所定のクリーン度を保持することができる。また、平板状部材33の両端を搬送ローラ32aによって支承するとともに、供給管37からチャンバー35内に供給した圧縮空気を多孔質セラミック板36から噴出させて片板状部材33を非接触で支持することにより、平板状部材33の裏面側に搬送痕が付くことを防止しつつ、搬送中の撓みも防ぐことができる。
【0006】
なお、上記搬送装置と同様の構成は、例えば下記特許文献1にも開示されている。
【特許文献1】特開2002−289670公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の平板状部材の搬送装置にあっては、ファンフィルターユニット31によって、筐体30内の搬送路を所望のクリーン度に保持することはできるものの、浮上ユニット34の多孔質セラミック板36から噴出される圧縮空気には、水分や分子レベルの微細な有機物等の汚染物質が含まれており、これらが平板状部材33に付着するという問題点がある。
【0008】
他方、上記半導体用ウエハや各種の平板ディスプレイ用ガラス基板にあっては、上記水分が吸着すると、自然酸化膜成長を促進したり、その内部に金属や有機物が溶け込んで新たな汚染源となり得る。また特に、水分が付着した表面にプロセスチャンバ内において腐食性ガスが接触すると、水分層にガス分子が溶け込み、活性なイオンとなって金属表面を腐食することも知られている。
【0009】
また、上記圧縮空気中に含まれる微細な有機物等の汚染物質が、上記ウエハやガラス基板に付着すると、後工程において金属膜を形成した際に、絶縁抵抗が得られなくなったり、あるいは当該金属膜の剥離を招くおそれがある。
【0010】
このため、近年における上記半導体用ウエハや平板ディスプレイ用ガラス基板の大型化および細密化に伴って、搬送装置におけるこの種の水分や汚染物質の付着を防止し得る、新規な搬送装置の開発が望まれている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、搬送時における平板状部材への水分等の有害物質の付着を防止することができ、よって当該平板状部材の製造歩留まりや品質の向上を図ることができる平板状部材の搬送装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、平板状部材の導入口と送出口とを有する筐体と、この筐体内に配設され、上記導入口から送出口に向けて上記平板状部材の両側部を支承しつつ搬送する搬送手段と、上記平板状部材の裏面側に上記搬送手段と並列的に配設され、噴出する気体によって上記平板状部材を浮上させる浮上ユニットとを備えた平板状部材の搬送装置において、上記筐体に、その内部を分子状汚染物質が10ppb以下に除去された大気圧露点−100℃以下のクリーンドライエア(以下、超低露点空気と称す。)によって充満させる第1の超低露点空気の供給管を設けるとともに、上記浮上ユニットに、上記平板状部材の浮上用気体として上記超低露点空気を供給する第2の超低露点空気の供給管を設けたことを特徴とするものである。
なお、上記平板状部材が、極度に分子状汚染物質を嫌うものである場合には、上記超低露点空気として、5ppb以下の分子状汚染物質が除去されたものを用いることが一層好ましい。
【0012】
ここで、上記超低露点空気は、例えばシリカゲル等の高い吸水性を有する円板状部材を複数段に設け、これら円板状部材を回転させつつ、外気をブロアーから上記複数段の円板状部材の一区画に通過させて、順次その露点を下げるとともに、水分を吸収した上記円板状部材を上記回転方向の他の区画において、ヒータ等により乾燥する周知の超低露点空気の供給装置によって得ることができる。
【0013】
なお、上記超低露点空気の供給装置によれば、複数段に配されたシリカゲル等の円板状部材を通過する際に、空気中に含まれる有機物等の汚染物質も捕集・除去されるが、さらに最終段に所定のULPAフィルタを設置することにより、分子状汚染物質が10ppb以下に除去された清浄な上記超低露点空気を得ることができる。
【0014】
次いで、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記平板状部材の裏面側に、上記搬送方向と直交する方向に1組の上記浮上ユニットを有する場合には、上記搬送手段と当該浮上ユニットとの間に、上記搬送方向と直交する方向に複数組の上記浮上ユニットを有する場合には、上記搬送手段と当該浮上ユニットとの間および当該浮上ユニット間に、それぞれ上記搬送方向に延在して上記気体による浮上効果を向上させる塞ぎ部材が介装されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記筐体の下部に、内部を陽圧に保持しつつ上記超低露点空気を排気する排気口が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記筐体の内部には、上記平板状部材に向けて軟X線を照射することにより当該平板状部材の除電を行う軟X線除電装置が設置されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、上記筐体の内部には、加熱した上記超低露点空気を上記平板状部材に吹き付けることにより当該平板状部材の表面に付着した水分を除去する水分除去装置が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜5のいずれかに記載の平板状部材の搬送装置によれば、第1のクリーンドライエアの供給管から供給される超低露点空気によって筐体の内部を当該超低露点空気の雰囲気下に保持するとともに、第2のクリーンドライエアの供給管から浮上ユニットに供給される超低露点空気によって、平板状部材を非接触で支承しつつ搬送手段により搬送することができる。この際に、上記超低露点空気は、大気圧露点が−100℃以下であって、かつ分子状汚染物質が10ppb以下に除去されているために、搬送中、上記平板状部材に有害となる水分や有機物等の汚染物質が付着するおそれがない。この結果、平板状部材の製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0019】
また、筐体内および浮上ユニットに供給される超低露点空気は、分子状汚染物質が10ppb以下に除去されているために、1基の超低露点空気の供給装置から得られた超低露点空気を上記第1および第2の超低露点空気の供給管に供給することにより、搬送装置毎に従来のもののようなファンフィルターユニットを設ける必要が無く、全体としての装置の簡易化を図ることもできる。
【0020】
この際に、請求項2に記載の発明によれば、搬送手段と浮上ユニットとの間および浮上ユニット間に塞ぎ部材を設けているために、平板状部材の裏面と上記塞ぎ板との間に、チャンバー状の空間が形成される。これにより、浮上ユニットから噴出した超低露点空気が上記空間に滞留するために、上記超低露点空気による浮上効果を向上させることができる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明によれば、上記筐体の下部に、内部を陽圧に保持しつつ上記超低露点空気を排気する排気口を形成しているので、筐体内の部材から発生する分子または分子レベルの汚染物質についても、上記排気口から排気される超低露点空気とともに、外部に排出することができる。よって、常時筐体内を上記超低露点空気の雰囲気下に保持することができるとともに、筐体の内部が常に陽圧に保持されているために、外部の空気が上記排気口から逆流することも防止することができる。
【0022】
ところで、上述したように、筐体の内部を超低露点空気の雰囲気下に保持すると、露点が極めて低いために、被搬送物である平板状部材に静電気が発生し易くなる。この結果、平板状部材が他の部材と接触した際に、局所放電が発生してデバイス破壊を生じるおそれがある。
【0023】
この点、請求項4に記載の発明によれば、上記筐体の内部に、上記平板状部材に向けて微弱なX線を照射することにより当該平板状部材の除電を行う軟X線除電装置を設置しているので、かかる弊害が生じることを未然に防止することが可能になる。
【0024】
ここで、上記平板状部材の除電を行うに際して、一般的な電極間においてイオンを発生させるイオナイザーを使用すると、当該イオン発生時にオゾンが発生したり、あるいは電極の摩耗により汚染物質となるパーティクルが発生するといった不都合があるが、請求項4に記載の発明においては、敢えて微弱なX線を直接平板状部材に照射して、その周囲の雰囲気をイオン化させることにより、当該平板状部材の除電を行う軟X線除電装置を使用しているので、上記弊害が生じることも防ぐことができる。
【0025】
また、請求項1〜4のいずれかに記載の発明によれば、筐体の内部が超低露点空気の雰囲気下に保持され、かつ浮上ユニットに供給される超低露点空気によって、平板状部材を非接触で支承しつつ搬送手段しているために、この搬送装置内において、平板状部材に水分が付着するおそれはないが、前工程の装置等において上記平板状部材の表面および/または裏面に付着した水分を除去することまではできない。
【0026】
そこで、請求項5に記載の発明のように、筐体内部に水分除去装置を設け、加熱した超低露点空気を平板状部材に吹き付けることにより、前工程において平板状部材の表面および/または裏面に付着した分子レベルの水分を、上記超低露点空気の潜熱によって蒸発させて除去することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1〜図4は、本発明に係る平板状部材の搬送装置の一実施形態を示すものである。この搬送装置は、半導体用ウエハ、あるいはLCD、PDP、EL等の平板ディスプレイ用ガラス基板といった表面に水分や分子レベルの有機物等の汚染物質の付着を嫌う各種の平板状部材1の返送に適用可能なものであって、図中符号2が筐体である。
【0028】
この筐体2は、例えば前工程の装置3等と後工程の装置4等との間に設けられたもので、長手方向の一端部にゲートバルブ5aを介して上記装置3から平板状部材1を受け入れる導入口5が形成され、他端部にシャッター6aを介して平板状部材1を上記装置4へと送り出す排出口6が形成されている。そして、この筐体2は、支柱7によって床上に支承されている。
【0029】
この筐体2の内は、多数のパンチング穴が穿設された仕切板2aによって、チャンバー2bと搬送路2cとに仕切られており、搬送路2c内に、導入口5から送出口6に向けてローラコンベア8(搬送手段)が配設されている。このローラコンベア8は、ガイド付き搬送ローラ8aによって、導入口5から搬入された平板状部材1の両端部を支承しつつ送出口6へと搬送するもので、駆動源となる図示されないモータは、筐体2の外部に設置されている。
【0030】
そして、搬送ローラ8a間の所定間隔をおいた2箇所に、平板状部材1を裏面側から非接触で支承する浮上ユニット9が配置されている。ここで、各浮上ユニット9は、平面視長方形の金属製の筐体からなるチャンバー10の上面に、多孔質セラミック板11が取り付けられるとともに、上記チャンバー10の下面に超低露点空気の供給管(第2のクリーンドライエアの供給管)12が接続されたものである。そして、独立した複数の浮上ユニット9が、搬送ローラ8aと並行に2列を形成するように配置されている。
【0031】
他方、搬送ローラ8あと浮上ユニット9との間および浮上ユニット9間には、それぞれ上記搬送方向に帯板状に延在して超低露点空気による浮上効果を向上させるための塞ぎ部材13が介装されている。
なお、ローラコンベア8と浮上ユニット9とは、図示されない同一フレーム上に配置されている。そして、本実施形態においては、導入口5と送出口6との高さが異なっており、このためローラコンベア8と浮上ユニット9とは、筐体2と上記フレームとの間に設けられたパワーシリンダ等の昇降手段により、図中実線で示す位置から点線で示す位置まで昇降自在に設けられている。
【0032】
そして、送出口6の近傍には、ローラコンベア8から平板状部材1を受けて送出口6へと送るローラコンベア(搬送手段)14が設けられ、このローラコンベア14の搬送ローラ14a間にも、同様に浮上ユニット9が2列に配設されている。
そして、このローラコンベア14に沿って、順次軟X線除電装置15と、水分除去装置16とが配設されている。この軟X線除電装置15は、搬送される平板状部材1の表裏面に微弱なX線を照射するように、ローラコンベア14の基端部の上部および下部にそれぞれ配置されている。
【0033】
また、水分除去装置16は、図3に示すように、ローラコンベア14に沿って平板状部材1の表裏面近傍に対向配置された一対の整流板17と、ローラコンベア14の基端側から平板状部材1の表裏面と整流板17との間に向けて約60℃に加熱された超低露点空気を吹き付けるヒータ付エアナイフ18とから構成されたものである。
【0034】
そして、この搬送装置においては、筐体2の天井部に、内部を超低露点空気によって充満させる超低露点空気の供給管(第1のクリーンドライエアの供給管)19が接続されている。他方、筐体2の底部には、筐体2の内部を陽圧に保持しつつ超低露点空気を排気するスリット状の排気口20が形成されている。
なお、筐体2の内壁および内部の各装置の構成部材は、いずれも水枯れ性がよく、かつそれ自体から有機物をほとんど発生しない材料によって形成されている。
【0035】
以上の構成からなる平板状部材1の搬送装置によれば、超低露点空気の供給管19から供給される超低露点空気によって筐体2内のチャンバー2bに超低露点空気を導入する。すると、チャンバー2b内の超低露点空気は、仕切板2aに形成された多数のパンチング穴から搬送路2c内に拡散して流入する。これにより、筐体2内は、超低露点空気の雰囲気下に保持される。
【0036】
この状態で、導入口5のゲートバルブ5aを開いて、前工程の装置3から平板状部材1を筐体2内に搬入する。また、これと並行して、超低露点空気の供給管12から浮上ユニット9に供給される超低露点空気によって、平板状部材1との間に0.1〜0.2mmの空気膜を形成することにより、当該平板状部材1を裏面側から非接触で支承しつつ、ローラコンベア8上に移送する。
【0037】
次いで、ローラコンベア8および浮上ユニット9を一体的に図中点線で示すローラコンベア14と同レベル位置まで上昇させて、さらにローラコンベア14側へと搬送する。この際に、軟X線除電装置15により、平板状部材1の表裏面に直接微弱なX線を照射して、その周囲の雰囲気をイオン化させることにより、平板状部材1の除電を行う。
【0038】
次に、平板状部材1が整流板17間を通過する際に、ヒータ付エアナイフ18から、55℃以上、好ましくは約60℃に加熱された超低露点空気を平板状部材1の表裏面にそれぞれ吹き付ける。これにより、前工程の装置3等において平板状部材1の表裏面に付着した分子レベルの水分を、上記超低露点空気の潜熱によって蒸発させて除去する。
このようにして、除電および水分除去がなされた平板状部材1は、送出口6のシャッター6aを開けることにより、後工程の装置4へと排出されて行く。
【0039】
以上のように、上記平板状部材1の搬送装置によれば、超低露点空気の供給管19から供給される超低露点空気によって筐体2の内部が超低露点空気の雰囲気下に保持されるとともに、超低露点空気の供給管12から浮上ユニット9に供給される超低露点空気によって、平板状部材1を非接触で支承しつつ搬送手段により搬送することができるため、平板状部材1に有害となる水分や有機物等の汚染物質が付着するおそれがない。
【0040】
また、搬送ローラ8a、14aと浮上ユニット9との間および浮上ユニット9間に、塞ぎ部材13を設けているために、平板状部材1の裏面と塞ぎ板13との間に、チャンバー状の空間が形成され、これにより浮上ユニット9から噴出した超低露点空気が上記空間に滞留するために、超低露点空気による平板状部材1の浮上効果を向上させることができる。
【0041】
また、筐体2の下部に、内部を陽圧に保持しつつ超低露点空気を排気する排気口20を形成しているので、筐体2内の部材から発生する分子または分子レベルの汚染物質についても、排気口20から排気される超低露点空気とともに、外部に排出することができる。このため、常時筐体2内を超低露点空気の雰囲気下に保持することができるとともに、筐体2の内部が常に陽圧に保持されているために、外部の空気が排気口20から逆流することも防止することができる。
【0042】
さらに、筐体2の内部を超低露点空気の雰囲気下に保持している結果、平板状部材1に静電気が発生し易くなるが、ローラコンベア14の基端部に、平板状部材1の表裏面に向けて軟X線を照射することにより平板状部材1の除電を行う軟X線除電装置15を設置しているので、平板状部材1への帯電に起因する弊害が生じるおそれもない。
【0043】
なお、上記実施の形態においては、搬送手段としてローラコンベア8、14を用いた場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、平板状部材1の両側部を支承しつつ搬送することができるものであれば、他の搬送手段を適用することも可能である。また、筐体2の内部を超低露点空気によって充満させることができる限りにおいて、その供給管19の位置も、筐体2の天井部に限るものではなく、側壁に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る平板状部材の搬送装置の一実施形態を示す横断面図である。
【図2】上記実施形態を示す縦断面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2の水分除去装置の部分拡大図である。
【図5】従来の平板状部材の搬送装置を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 平板状部材
2 筐体
5 導入口
6 送出口
8、14 ローラコンベア(搬送手段)
9 浮上ユニット
12 超低露点空気の供給管(第1のクリーンドライエアの供給管)
13 塞ぎ板
15 軟X線除電装置
19 超低露点空気の供給管(第2のクリーンドライエアの供給管)
20 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状部材の導入口と送出口とを有する筐体と、この筐体内に配設され、上記導入口から送出口に向けて上記平板状部材の両側部を支承しつつ搬送する搬送手段と、上記平板状部材の裏面側に上記搬送手段と並列的に配設され、噴出する気体によって上記平板状部材を浮上させる浮上ユニットとを備えた平板状部材の搬送装置において、
上記筐体に、その内部を分子状汚染物質が10ppb以下に除去された大気圧露点−100℃以下のクリーンドライエアによって充満させる第1のクリーンドライエアの供給管を設けるとともに、上記浮上ユニットに、上記平板状部材の浮上用気体として上記クリーンドライエアを供給する第2のクリーンドライエアの供給管を設けたことを特徴とする平板状部材の搬送装置。
【請求項2】
上記平板状部材の裏面側には、上記搬送方向と直交する方向に1組の上記浮上ユニットを有する場合は、上記搬送手段と当該浮上ユニットとの間に、上記搬送方向と直交する方向に複数組の上記浮上ユニットを有する場合は、上記搬送手段と当該浮上ユニットとの間および当該浮上ユニット間に、それぞれ上記搬送方向に延在して上記気体による浮上効果を向上させる塞ぎ部材が介装されていることを特徴とする請求項1に記載の平板状部材の搬送装置。
【請求項3】
上記筐体の下部には、内部を陽圧に保持しつつ上記クリーンドライエアを排気する排気口が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の平板状部材の搬送装置。
【請求項4】
上記筐体の内部には、上記平板状部材に向けて軟X線を照射することにより当該平板状部材の除電を行う軟X線除電装置が設置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の平板状部材の搬送装置。
【請求項5】
上記筐体の内部には、加熱した上記クリーンドライエアを上記平板状部材に吹き付けることにより当該平板状部材の表面に付着した水分を除去する水分除去装置が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の平板状部材の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−24841(P2006−24841A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203212(P2004−203212)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】