説明

平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置

【課題】本発明の目的は、平版印刷版材料に対して像様露光後に平版印刷版を得るのに、現像処理が必要な平版印刷版材料と、不要な平版印刷版材料とを、同一の露光、現像装置で容易に同時に並行して取り扱い処理して平版印刷版を得ることができる平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置を提供することにある。
【解決手段】平版印刷版材料に対して、露光する露光手段と、露光後の該平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段と、該判別手段の判別結果に対応してそれぞれ該平版印刷版材料の搬送先を現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段または現像が不要な平版印刷版材料用のストッカに搬送振り分ける搬送振り分け手段、および該現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段を有することを特徴とする平版印刷版の製版装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な平版印刷版材料からの平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、印刷の分野においては、印刷画像データのデジタル化に伴い、CTP方式による印刷が行われるようになってきているが、この印刷においては、安価で取り扱いが容易で従来の所謂PS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用印刷版材料が求められている。
【0003】
特に近年、特別な薬剤(例えばアルカリ、酸、溶媒など)を含む処理液による現像処理を行うタイプのほかに、現像処理を必要とせず、従来の印刷機に適用可能である平版印刷版材料が求められており、例えば、全く現像処理を必要としない相変化タイプの平版印刷版材料、水もしくは水を主体とした実質的に中性の処理液で処理をする平版印刷版材料、印刷機上で印刷の初期段階で現像処理を行い特に現像工程を必要としない平版印刷版材料などの、ケミカルフリータイプ印刷版材料やプロセスレスタイプ印刷版材料と呼ばれる平版印刷版材料が知られている。
【0004】
しかしながら、これら平版印刷版材料を印刷作業に併用する場合、設備上の問題から、露光工程は同一装置を用いて行われる場合が少なくない。この場合、前者は露光後に現像工程へ送らなければならず、後者は現像工程へ送られる前に装置から取り出されなければならないので、常時、作業者が装置を監視する必要があった。現像を不要とする版は、印刷機やインキ、印刷物を汚染させないため現像を要する版よりも、感光性表面に含まれる着色成分の含有量が大幅に低いために表面の反射濃度が低いので、作業者の目視による濃度色調観察監視による判別が容易であるとはいえ、作業者の判断のミスや見落としにより、現像不要な平版印刷版材料が現像工程に誤って搬送された場合、現像液の汚染を生じ、液交換などの余分な作業が発生する場合があり問題であった。
【0005】
露光済みの平版印刷版材料を条件により搬送振り分ける従来の技術としては、「露光済みの感光性平版印刷原版が挿入される第一挿入口を有し、前記印刷原版に加熱処理を施す加熱部と、前記加熱部の下流側に配置され、前記加熱部から搬送された前記印刷原版に現像処理を施す現像部とを備えた感光性平版印刷原版の処理装置において、感光性平版印刷原版を、前記加熱部に挿入せずに前記現像部に直接搬送することができる第二挿入口を設けたことを特徴とする感光性平版印刷原版の処理装置。」との技術が開示されているが(特許文献1参照)、しかしながら、この技術は、現像処理前提での構成であり、搬送振り分けの手段が具体的に開示されていない。
【特許文献1】特開2000−250228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、平版印刷版材料に対して像様露光後に平版印刷版を得るのに、現像処理が必要な平版印刷版材料と、不要な平版印刷版材料とを、同一の露光、現像装置で容易に同時に並行して取り扱い処理して平版印刷版を得ることができる平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0008】
1.平版印刷版材料に対して、露光する露光手段と、露光後の該平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段と、該判別手段の判別結果に対応してそれぞれ該平版印刷版材料の搬送先を現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段または現像が不要な平版印刷版材料用のストッカに搬送振り分ける搬送振り分け手段、および該現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段を有することを特徴とする平版印刷版の製版装置。
【0009】
2.前記判別手段が、露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果によって平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段であることを特徴とする1に記載の平版印刷版の製版装置。
【0010】
3.平版印刷版材料に対して、露光工程で露光を行った後、判別工程によって露光後の該平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別し、判別工程の判別した結果に対応してそれぞれ該平版印刷版材料を現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理工程へ搬送するか、現像処理工程を経ずに現像が不要な平版印刷版材料用のストッカに搬送排出するかを搬送振り分け工程によって判断して搬送振り分けし、現像処理工程へ搬送された平版印刷版材料は現像処理工程によって現像処理する、ことを特徴とする平版印刷版の製版方法。
【0011】
4.前記判別工程が、露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果によって平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別工程であることを特徴とする3に記載の平版印刷版の製版方法。
【0012】
5.平版印刷版材料に対して、平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段と、該判別手段の判別結果に対応してそれぞれ搬送先を現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段または現像が不要な平版印刷版材料用ストッカに搬送振り分ける搬送振り分け手段とを有することを特徴とする平版印刷版材料の搬送振り分け装置。
【0013】
6.前記判別手段が露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果対応してそれぞれ平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段であることを特徴とする5に記載の平版印刷版材料の搬送振り分け装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、平版印刷版材料に対して像様露光後に平版印刷版を得るのに、現像処理が必要な平版印刷版材料と、不要な平版印刷版材料とを、同一の露光、現像装置で容易に同時に並行して取り扱い処理して平版印刷版を得ることができる平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0016】
本発明は、平版印刷版材料に対して、露光する露光手段と、露光後の該平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段と、該判別手段の判別結果に対応してそれぞれ該平版印刷版材料の搬送先を、現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段または現像が不要な平版印刷版材料用のストッカに搬送振り分ける搬送振り分け手段、および該現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段、または、前記各手段に対応する各工程、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明においては、特に、平版印刷版材料に対して、露光手段で露光を行った後、平版印刷版材料の種類を判別する判別手段の判別した結果に対応してそれぞれ現像処理工程へ搬送するか、現像処理工程を経ずに排出するかを判断し自動的に搬送振り分ける搬送振り分け手段を考慮したことにより、平版印刷版材料に対して像様露光後に平版印刷版を得るのに、現像処理が必要な平版印刷版材料と、現像処理が不要な平版印刷版材料とを、同一の露光、現像装置で容易に同時に並行して取り扱い処理して平版印刷版を得ることができる。
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
以下、便宜上、各手段を主体として説明するが、該各手段に対応する各工程についても説明したものとする。
【0020】
〔露光手段〕
本発明においては、露光手段としてレーザ光を用いて平版印刷版材料に画像を露光するが、中でも特にサーマルレーザによる露光を行うことが好ましい。
【0021】
例えば赤外及び/または近赤外領域で発光する、即ち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザを使用した走査露光が好ましい。
【0022】
レーザとしてはガスレーザを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザを使用することが好ましい。
【0023】
走査露光に好適な装置としては、上記半導体レーザを用いてコンピュータからの画像信号に応じて平版印刷版材料表面に画像を露光可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
【0024】
一般的には、(1)平板状保持機構に保持された平版印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザビームを用いて2次元的な走査を行って平版印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された平版印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザビームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて平版印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された平版印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザビームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて平版印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。又特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
【0025】
〔判別手段〕
本発明において、露光後の平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段としては、異なる種類の平版印刷版材料の表面物性を検出する方法であればよく、具体的には、反射濃度、色調、光沢度、分光反射スペクトル、表面粗さ、静摩擦係数、動摩擦係数等が挙げられる。中でも、判別手段が、露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果によって平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段であることが好ましい。
【0026】
露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段としては、反射濃度、CIE表色系におけるLやLChを測定し、あらかじめ登録しておいた測定値と比較することで、平版印刷版材料の種類を判別する方法であればよく、具体的な測定手段としては、X−Rite社の900シリーズ(ポータブル分光濃度計)や、SPシリーズ(携帯用積分球分光測色計)、VeriColor System、X−Rite300シリーズ、500シリーズ、900シリーズ、iCPlate 2、PlateScope、TeleFlash(非接触式分光測色計)等が挙げられる。中でも、搬送中の平版印刷版材料の搬送性や、表面への傷発生を避けるためにも、非接触式の測定手段が好ましい。
【0027】
〔搬送振り分け手段〕
本発明に係る搬送振り分け手段または搬送振り分け工程は、本発明に係る判別手段の判別結果に対応してそれぞれ平版印刷版材料の搬送先を、現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段または現像が不要な平版印刷版材料用のストッカに搬送振り分けることを特徴とする。
【0028】
判別手段が非接触式分光測色計等の場合には、判別手段の判別結果に対応してそれぞれ搬送先を変更可能な搬送振り分け手段の対応が挙げられる。
【0029】
中でも、判別手段が、露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果によって平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段である場合が好ましい。その際には、判別手段が、露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段として、濃度色調測定器(非接触式分光測色計)等を用い、CIE LのL値を測定した測定結果によって、平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは現像が不要な種類に判別する閾値Lを適切な値に設定し、平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは現像が不要な種類に判別する。
【0030】
一般的に、現像が必要な平版印刷版材料は、露光、現像処理前の表面の着色濃度が相対的に高く、逆に現像が不要な平版印刷版材料は露光、現像処理前の表面の着色濃度が相対的に低い。従って、搬送振り分け手段は、判別手段からの測定値が閾値Lを下回る場合は、現像処理手段へ搬送させ、閾値Lを上回る場合は、現像不要な平版印刷版材料用ストッカへと搬送させることにより平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは現像が不要な種類に判別し振り分け、搬送することが自動的にできる。
【0031】
平版印刷版材料の種類を現像が必要または現像が不要な種類に判別する閾値Lは、取り扱う平版印刷版材料の現像が必要なまたは不要な種類それぞれの着色の程度にもよるが、10〜90であることが好ましく、30〜80であることがより好ましい。
【0032】
あらかじめ使用する平版印刷版材料を測定した値に基づき、例えば現像が必要な平版印刷版材料のLがa、逆に現像が不要な平版印刷版材料のLがbのときは、閾値の設定は、aとbの間の値に設定され、好ましくは平均値であるL=(a+b)/2に近い値で設定することで、測定誤差による判別ミスを低減することができる。
【0033】
〔現像処理手段〕
現像が必要な平版印刷版材料は、搬送振り分け手段により現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段に配送され、現像処理され、平版印刷版が得られる。
【0034】
現像処理手段としては、市販の自動現像機、たとえばGlunz & Jensen社のプレートプロセッサー等を用いることができる。中でも、InterPlater HDXや、Raptor等が好ましい。
【0035】
〔現像が不要な平版印刷版材料用のストッカ〕
現像が不要な平版印刷版材料用のストッカとしては、搬送振り分け後の平版印刷版材料を受容できるものであれば特に制限はなく用いることができる。例えば、スロープ部材と受け部材からなる構造、等を用いることができる。中でも、複数枚を堆積させる場合には、後続の平版印刷版材料の先端部で、搬送振り分け済みの平版印刷版材料の表面を傷つけないように落下させるような態様等が好ましい。
【0036】
〔平版印刷版材料〕
平版印刷版材料は、感光性が紫外線領域から赤外線領域に感光性を有するものが好ましいが、判別手段の発光する波長領域に対する感光性が低いものが好ましい。たとえば、判別手段が紫外から可視光領域の波長光を発生する場合には、平版印刷版材料の主とする感光性は、赤外領域にあるものが好ましい。このような例として、現像処理が必要な平版印刷版材料としては、例えば、富士フイルム株式会社製 HPシリーズ、KODAK社製SWORD EXCEL Thermal Plate、アグファ社製 Azura等が挙げられる。また、現像処理が不要な平版印刷版材料としては、例えば、KODAK社製 THERMAL DIRECT Non Process Plate、富士フイルム株式会社製 ECO & FREE SYSTEM ET−S、アグファ社製 Thermolite Plus、等が挙げられる。
【0037】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0038】
《第1実施形態》
図1〜図3に本発明の第1実施形態を示す。
【0039】
〔赤外線レーザ露光による画像露光〕
本発明の平版印刷版の製版装置の一例を図1に示す。
【0040】
図1において、露光手段1として露光機1a(大日本スクリーン製造(株)製PlateRite 43001)を用いて、平版印刷版材料5としてサイズ670mm×560mm、厚み0.3mmの平版印刷版材料5a(Kodak ExThermo TP−W プレート、コダック株式会社製)、および、平版印刷版材料5b(Kodak Thermal Direct ノンプロセス プレート、コダック株式会社製)を、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線の50%網点出力の露光処理を行い、搬送振り分け装置2へ露光済みの平版印刷版材料5aおよび平版印刷版材料5bの排出を行った。
【0041】
[判別手段による平版印刷版材料の種類の判別]
(表面反射濃度または色調の測定、判別)
図2において、搬送振り分け装置2の判別手段4における、反射濃度または色調を測定する測定手段4aとして、濃度色調測定器4b(濃度色調測定器X−Rite社製 非接触式分光測色計 TeleFlashコンパクト)を用い、CIE LのL値を測定し、平版印刷版材料の種類を現像必要または現像不要に判別する閾値Lを60に設定し、測定手段の測定結果によって、平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは現像が不要な種類に判別した。
【0042】
[搬送振り分け手段による搬送振り分け]
測定手段4aとしての濃度色調測定器4bの測定結果に対応して、搬送振り分け装置2の搬送振り分け手段2aは、平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは現像が不要な種類に判別する閾値Lを60に設定し、判別手段からの測定値が下回る場合は、そのままで、図2の記載のように現像処理手段3へ搬送し、上回る場合は、図3の記載のように搬送振り分け装置2の搬送振り分け手段2aは傾斜して、下部の現像不要な平版印刷版材料用ストッカ7へと落下させた。平版印刷版材料5aの測定値はL=45、平版印刷版材料5bの測定値はL=75であった。
【0043】
尚、本発明の搬送振り分け装置2は、判別手段4と搬送振り分け手段2aとを有し、平版印刷版材料の種類を判別する判別手段(好ましくは、露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果によって平版印刷版材料の種類を判別する判別手段)の判別結果によって搬送先を、現像処理手段または現像不要な平版印刷版材料用ストッカに搬送振り分けることができる平版印刷版材料の搬送振り分け装置2として、製版装置と合体でも、または別体としても用いることができる。本発明の搬送振り分け装置は、製版装置と合体でも、または別体としても好ましく用いることができる。
【0044】
[平版印刷版材料5aの現像処理]
図2の記載のように現像処理手段3へ搬送された平版印刷版材料5aは、現像処理手段3の現像処理機3a(Glunz & Jensen製Raptor 85T)に搬送され、コダック現像液/補充液PD1により現像処理が行われた後、コダック フィニッシングガム PF2により整面処理が行われ、得られた平版印刷版は現像済み平版印刷版用ストッカ6にストックされる。
【0045】
上述の記載から明らかなように、本発明の平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置によって、人為的なミス無く単一の露光装置を用いて複数種の製版工程の異なる平版印刷版材料を平版印刷版に製版することができることがわかる。
【0046】
本発明の構成により、平版印刷版材料に対して像様露光後に平版印刷版を得るのに、現像処理が必要な平版印刷版材料と、不要な平版印刷版材料とを、同一の露光、現像装置で容易に同時に並行して取り扱い処理して平版印刷版を得ることができる平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置を提供できることがわかる。
【0047】
《第2実施形態》
図4〜図5に本発明の第2実施形態を示す。
【0048】
〔赤外線レーザ露光による画像露光〕
本発明の平版印刷版の製版装置の別の一例を図4に示す。
【0049】
図4において、露光手段1として露光機1a(大日本スクリーン製造(株)製PlateRite 43001)を用いて、平版印刷版材料5としてサイズ670mm×560mm、厚み0.3mmの平版印刷版材料5a(Kodak ExThermo TP−W プレート、コダック株式会社製)、および、平版印刷版材料5b(Kodak Thermal Direct ノンプロセス プレート、コダック株式会社製)を、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線の50%網点出力の露光処理を行い、搬送振り分け装置12へ露光済みの平版印刷版材料5aおよび平版印刷版材料5bの排出を行った。
【0050】
[判別手段による平版印刷版材料の種類の判別]
(表面反射濃度または色調の測定、判別)
図4において、搬送振り分け装置12の判別手段4における、反射濃度または色調を測定する測定手段4aとして、濃度色調測定器4b(濃度色調測定器X−Rite社製 非接触式分光測色計 TeleFlashコンパクト)を用い、CIE LのL値を測定し、平版印刷版材料の種類を現像必要または現像不要に判別する閾値Lを60に設定し、測定手段の測定結果によって、平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは現像が不要な種類に判別した。
【0051】
[搬送振り分け手段による搬送振り分け]
測定手段4aとしての濃度色調測定器4bの測定結果に対応して、搬送振り分け装置12の搬送振り分け手段12aは、平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは現像が不要な種類に判別する閾値Lを60に設定し、判別手段からの測定値が下回る場合は、そのままで、図4の記載のように現像処理手段3へ搬送し、上回る場合は、図5の記載のように搬送振り分け装置12の搬送振り分け手段12aは傾斜して、下部の現像不要な平版印刷版材料用ストッカ7へと落下させた。平版印刷版材料5aの測定値はL=45、平版印刷版材料5bの測定値はL=75であった。
【0052】
尚、本発明の搬送振り分け装置12は、判別手段4と搬送振り分け手段12aとを有し、平版印刷版材料の種類を判別する判別手段(好ましくは、露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果によって平版印刷版材料の種類を判別する判別手段)の判別結果によって搬送先を、現像処理手段または現像不要な平版印刷版材料用ストッカに搬送振り分けることができる平版印刷版材料の搬送振り分け装置12として、製版装置と合体でも、または別体としても用いることができる。本発明の搬送振り分け装置は、製版装置と合体でも、または別体としても好ましく用いることができる。
【0053】
[平版印刷版材料5aの現像処理]
図4の記載のように現像処理手段3へ搬送された平版印刷版材料5aは、現像処理手段3の現像処理機3a(Glunz & Jensen製Raptor 85T)に搬送され、コダック現像液/補充液PD1により現像処理が行われた後、コダック フィニッシングガム PF2により整面処理が行われ、得られた平版印刷版は現像済み平版印刷版用ストッカ6にストックされる。
【0054】
上述の記載から明らかなように、本発明の平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置によって、人為的なミス無く単一の露光装置を用いて複数種の製版工程の異なる平版印刷版材料を平版印刷版に製版することができることがわかる。
【0055】
本発明の構成により、平版印刷版材料に対して像様露光後に平版印刷版を得るのに、現像処理が必要な平版印刷版材料と、不要な平版印刷版材料とを、同一の露光、現像装置で容易に同時に並行して取り扱い処理して平版印刷版を得ることができる平版印刷版の製版装置、平版印刷版の製版方法、および平版印刷版材料の搬送振り分け装置を提供できることがわかる。
【0056】
《第3実施形態》
図6に本発明の第3実施形態を示す。
【0057】
[本発明の搬送振り分け装置]
本発明の搬送振り分け装置のより具体的な一例として、下記図6に示すような搬送振り分け装置を挙げることができる。以下、図6にしたがって説明するが、本発明の搬送振り分け装置はこれによって限定されるものではない。
【0058】
本発明の搬送振り分け装置22は、判別手段4と搬送振り分け手段22aとを有する。
【0059】
搬送振り分け手段22aのコンベア部は、送り側コンベア20と、図示しないエアシリンダ、搬送振り分けコンベア用モータおよびコントロールボックス、によって可動の、搬送振り分けコンベア21等から構成されている。
【0060】
露光機により露光処理済みの平版印刷版材料5は、送り側コンベア20により判別装置(判別手段4、好ましくは濃度色調測定器4b)を備えた搬送振り分けコンベア21まで搬送される。
【0061】
次に、搬送振り分けコンベア21上に設けられた判別手段4、好ましくは濃度色調測定器4bによって、現像が必要な平版印刷版材料と判断された場合には、搬送振り分けコンベア21により水平に、自動現像機に振り分けて搬送される。
【0062】
また、現像が不要な平版印刷版材料と判断された場合には、エアシリンダーに信号が送られ、図6に点線にて示すように、搬送振り分けコンベア21が下部に向けられることによって、平版印刷版材料が下部に振り分けて搬送される。下部に振り分けて搬送された平版印刷版材料は、図6に示すスロープ部材23と現像不要な平版印刷版材料用ストッカ7を備えた現像が不要な平版印刷版材料用のストッカにストックされる。
【0063】
本発明の搬送振り分け装置は、製版装置と合体でも、または別体としても好ましく用いることができる。
【0064】
上記本発明の振搬送り分け装置を用いた本発明の平版印刷版の製版装置の一例を図7に示す。
【0065】
上述の記載から明らかなように、本発明の搬送振り分け装置、平版印刷版の製版装置および平版印刷版の製版方法によって、人為的なミス無く単一の露光装置を用いて複数種の製版工程の異なる平版印刷版材料を平版印刷版に製版することができることがわかる。
【0066】
本発明の構成により、平版印刷版材料に対して像様露光後に平版印刷版を得るのに、現像処理が必要な平版印刷版材料と、不要な平版印刷版材料とを、同一の露光、現像装置で容易に同時に並行して取り扱い処理して平版印刷版を得ることができる平版印刷版材料の搬送振り分け装置、平版印刷版の製版装置および平版印刷版の製版方法を提供できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の平版印刷版の製版装置の一例を示す概略図である。
【図2】上記本発明の平版印刷版の製版装置において、現像処理を要する平版印刷版材料の際に、搬送先を現像処理手段(現像処理機)に搬送振り分けた場合の一例を示す概略図である。
【図3】上記本発明の平版印刷の版製版装置において、現像処理が不要な平版印刷版材料の際に、搬送先を現像不要な平版印刷版材料用ストッカに搬送振り分けた場合の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の平版印刷版の製版装置の別の一例を示す概略図である。該本発明の平版印刷版の製版装置において、現像処理を要する平版印刷版材料の際に、搬送先を現像処理手段(現像処理機)に搬送振り分けた場合の一例を示す概略図である。
【図5】上記本発明の平版印刷の版製版装置において、現像処理が不要な平版印刷版材料の際に、搬送先を現像不要な平版印刷版材料用ストッカに搬送振り分けた場合の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の搬送振り分け装置のより具体的な一例を示す図である。
【図7】本発明の搬送振り分け装置を用いた本発明の平版印刷版の製版装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 露光手段
1a 露光機(大日本スクリーン製造(株)製PlateRite 4300)
2,12 搬送振り分け装置
2a,12a 搬送振り分け手段
3 現像処理手段
3a 現像処理機
4 判別手段
4a 反射濃度または色調を測定する測定手段
4b 濃度色調測定器
5 平版印刷版材料
5a 平版印刷版材料(Kodak ExThermo TP−W プレート、コダック株式会社製)
5b 平版印刷版材料(Kodak Thermal Direct ノンプロセス プレート、コダック株式会社製)
6 現像済み平版印刷版用ストッカ
7 現像不要な平版印刷版材料用ストッカ
20 送り側コンベア
21 搬送振り分けコンベア
22 搬送振り分け装置
22a 搬送振り分け手段
23 スロープ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平版印刷版材料に対して、露光する露光手段と、露光後の該平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段と、該判別手段の判別結果に対応してそれぞれ該平版印刷版材料の搬送先を現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段または現像が不要な平版印刷版材料用のストッカに搬送振り分ける搬送振り分け手段、および該現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段を有することを特徴とする平版印刷版の製版装置。
【請求項2】
前記判別手段が、露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果によって平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の製版装置。
【請求項3】
平版印刷版材料に対して、露光工程で露光を行った後、判別工程によって露光後の該平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別し、判別工程の判別した結果に対応してそれぞれ該平版印刷版材料を現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理工程へ搬送するか、現像処理工程を経ずに現像が不要な平版印刷版材料用のストッカに搬送排出するかを搬送振り分け工程によって判断して搬送振り分けし、現像処理工程へ搬送された平版印刷版材料は現像処理工程によって現像処理する、ことを特徴とする平版印刷版の製版方法。
【請求項4】
前記判別工程が、露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果によって平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別工程であることを特徴とする請求項3に記載の平版印刷版の製版方法。
【請求項5】
平版印刷版材料に対して、平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段と、該判別手段の判別結果に対応してそれぞれ搬送先を現像が必要な平版印刷版材料用の現像処理手段または現像が不要な平版印刷版材料用ストッカに搬送振り分ける搬送振り分け手段とを有することを特徴とする平版印刷版材料の搬送振り分け装置。
【請求項6】
前記判別手段が露光後の平版印刷版材料の表面の反射濃度または色調を測定する測定手段の測定結果対応してそれぞれ平版印刷版材料の種類を現像が必要なまたは不要な種類に判別する判別手段であることを特徴とする請求項5に記載の平版印刷版材料の搬送振り分け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−49156(P2010−49156A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215161(P2008−215161)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】