説明

平面アンテナ

【課題】コストアップなく小型化が可能で、小型の携帯機器に使用してもグランドの影響や電磁波漏洩の影響がない平衡と不平衡のアンテナの長所を併せ持つ平面アンテナを提供する。
【解決手段】金属板の放射エレメントとグランド面の二つの逆Fアンテナをグランド面で合わせて対称に形成され、グランド面を除去して二つのアンテナエレメントを有する1枚の平衡型のアンテナを形成し、両エレメントのそれぞれの中間部に対向する凸状部を形成した平面アンテナで、一方の凸状部4の給電点Pと他方の側のグランド側エレメント3の凸状部5とに同軸ケーブル6を接続し、前記同軸ケーブル6を前記他方の側のグランド側エレメント3の上を引回し、前記同軸ケーブル6のシールド外被6bの基端部を前記二つのエレメント2,3の接続部中央Sに接続し、前記同軸ケーブル6の他方の側のグランド側エレメント3上の引回した長さを同調する周波数の波長の略1/4に設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などのマイクロ波帯の通信機器に使用する小型の平面アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などのマイクロ波帯の通信機器には伸縮式の棒状アンテナが主アンテナとして使用され、内部に補助アンテナを備える2アンテナ方式が採用されてきた。主アンテナである棒状アンテナは、利得や指向性などのアンテナの性能は設計する上において確立された技術があり、ラジオや無線機などに広く使用されており、最近は携帯電話などのマイクロ波帯の通信機器に使用されている。この棒状アンテナは地面に対してアンテナを垂直に立て、最大長に伸ばしたときに最大の受信感度が得られるようになっているところが、待ち受け時には棒状アンテナを収納し、かつ、任意の向きに置かれるため、待ち受け時の受信感度は理想状態とはいえず、内部に補助アンテナを備えて、これを補うものである。この棒状アンテナの代表的なものとして、ダイポールアンテナがあり、1/4波長の長さの金属を2本対向させる構成である。このダイポールアンテナは、平衡型アンテナであり、周囲の電子回路に対する独立性が高く、優れたアンテナとして広く採用されてきた。
【0003】
しかしながら、上述した従来のダイポールアンテナは、アンテナの全長が波長の1/2の長さを必要とするため、携帯電話などの小型の携帯機器には使いにくいという問題があった。また、この小型の携帯機器のアンテナに接続する回路は50オームや75オームの不平衡の同軸ケーブルのため、平衡型のダイポールアンテナから不平衡の同軸ケーブルに接続するためには、インピーダンスをマッチングさせるため平衡−不平衡変換器であるバランなどを必要とし、部品点数が増えるというという問題もあった。さらに、グランド部と回路基板に半田付け位置が制約されるため、限られた面積の中で微細な電気的な接続作業を行なうことは簡単な作業でなく熟練した作業者を必要としていた。
【0004】
そこで、この問題を解決するものとして、より小型のモノポールアンテナと補助アンテナが使用されるようになってきた。このような2アンテナ方式を採用した携帯電話を特許文献1に示す。この特許文献1の携帯電話に使用されている棒状アンテナは、一般的に1/4波長モノポールアンテナと称される主アンテナであり、図示しない板バネなどで回路基板に接続されるものである。また、板バネの代わりにスプリングピンを使用する場合もある。この携帯電話に使用されている補助アンテナ(副アンテナ)は逆F型アンテナと称されるアンテナであり、金属板をプレス加工などにより所定の形状に形成したものであり、図示しない給電点とグランド部が突起部により回路基板に接続されるものである。
【特許文献1】特開2003−258967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に示す携帯電話のアンテナは不平衡アンテナであるため、十分大きなグランド面積を必要し(理想的には無限大)、回路基板とも所定の間隔距離が必要になり、機器の小型化の妨げになること。グランド面積が十分でないと、グランドから電磁波が放射され、指向性などのアンテナ性能に影響を受けること。しかも、この漏洩電磁波は人体との関係でさらに電磁特性において複雑な影響を与えるものであった。従って、前述の待ち受け時の問題と共に人体の影響などもあり、設計上の理想的な使用
状態とはほど遠い状態となっていた。そして、この携帯電話のアンテナは小型であるため、グランド部と回路基板に半田付け位置が制約されるため、限られた面積の中で微細な電気的な接続作業を行なうことは簡単な作業でなく熟練した作業者を必要としていた。
【0006】
本発明は、上述した従来の問題に鑑みなされたもので、性能的に優れた平衡アンテナのでありながら必需品であった追加部品の平衡−不平衡変換器を必要としないので、コストアップなく小型化が可能であり、しかも、小型の携帯機器に使用してもグランドの影響や電磁波漏洩の影響がない平衡アンテナである平面アンテナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、金属板より形成した放射エレメントとグランド面からなる二つの逆Fアンテナをグランド面で合わせて対称にし、グランド面を除去して二つのアンテナエレメントを有する1枚の平衡型のアンテナとし、前記二つのアンテナエレメントのそれぞれの中間部に対向する凸状部を有する平面アンテナであって、前記一方の側のアンテナエレメントの凸状部に給電点を設定して同軸ケーブルの芯線の先端部を接続し、前記他方の側のアンテナエレメントの凸状部に前記同軸ケーブルのシールド外被の先端部を接続し、前記同軸ケーブルを前記他方の側のアンテナエレメントの上を引回し、前記同軸ケーブルのシールド外被の基端部を前記二つのアンテナエレメントの接続部中央に接続し、前記同軸ケーブルの他方の側のアンテナエレメント上の引き回した長さを同調する周波数の波長の略1/4に設定したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の平面アンテナは、前記凸状部に前記エレメントと同一方向の枝状部を形成し、前記アンテナエレメントは複数の周波数に共振することを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、放射エレメントとグランド面からなる二つの逆Fアンテナをグランド面で合わせて対称にし、グランド面を除去して二つのアンテナエレメントを有する1枚の平衡型のアンテナとし、前記二つのアンテナエレメントのそれぞれの中間部に対向する凸状部を有する平面アンテナを両面銅張積層板の表面に形成し、前記両面銅張積層板の裏面であって給電側エレメントとグランド側エレメントの裏面に、導体パターンを形成し、前記導体パターンが前記給電側エレメント裏面から給電側エレメントの凸状部裏面を通って、前記導体パターンと前記給電側エレメントとを電磁的に結合し、更に、前記グランド側エレメントの凸状部裏面に抜け、前記グランド側エレメント裏面を引き回して、前記二つのエレメントの接続部中央まで延長し、この点で前記二つのエレメントと前記導体パターン間で給電し、前記グランド側エレメントの凸状部から給電部までの長さを同調周波数の略1/4に設定したことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の平面アンテナは、前記導体パターンと前記給電側エレメントをスルーホールなどによって電気的に結合することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の平面アンテナは、前記アンテナエレメントパターンに枝状部を形成し、前記アンテナエレメントは複数の周波数に共振することを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明の平面アンテナは、前記アンテナエレメントパターンがメアンダライン状に形成してあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の平面アンテナは上述のように構成されたことにより、比較的簡単な構造のグランドレスのアンテナで平衡−不平衡変換器の機能を構成することができるので、別体の平衡−不平衡変換器が必要なく、コストアップすることなく小型化が可能となる。
また、本発明の平面アンテナはグランドレスの構造のため、回路基板のグランド板の影響や人体とグランド板に生じる指向性の変化もない高性能のアンテナを実現できる。
さらに、本発明の平面アンテナは平衡型アンテナであるので、漏洩電磁波の影響が少なく、回路基板の重なり多くして配設することができるのでデッドスペースを減らし、平面アンテナを搭載する携帯電話などの携帯機器を小型化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る平面アンテナの最良の形態について図を参照して説明する。図1は本発明に係る平面アンテナの第1の実施の形態を示す平面図、図2は本発明に係る平面アンテナの第2の実施の形態を示す平面図、図3は本発明に係る平面アンテナの第3の実施の形態を示す平面図、図4は本発明に係る平面アンテナの第4の実施の形態を示す平面図、図5は本発明に係る平面アンテナの第5の実施の形態を示す平面図、図6は本発明に係る平面アンテナの第6の実施の形態を示す平面図、図7は図6の平面アンテナの実装状態を示す斜視図、図8は本発明に係る平面アンテナの第7の実施の形態を示す平面図、図9は図8の平面アンテナの実装状態を示す斜視図である。
【0015】
本発明の第1の実施の形態に係る平面アンテナAは、携帯電話などの補助アンテナとして使用されるもので、図1に示すように、金属板より形成した放射エレメントとグランド面からなる二つの逆Fアンテナをグランド面で合わせて対称にし、グランド面を除去して二つのアンテナエレメントを有する1枚の平衡型のアンテナとしたものである。この平面アンテナAは、略コ字状に形成された金属板の中間部にそれぞれ対向する凸状部4,5を有しており、中心線の一方の側を給電側エレメント2とし、他方をグランド側エレメント3とした平面アンテナとしてなり、この平面アンテナに接続される同軸ケーブル6の芯線6aの先端部を前記給電側エレメント2の凸状部4にP点(給電点)で接続し、前記同軸ケーブル6のシールド外被6bの先端部を前記グランド側エレメント3の凸状部5にQ点で接続している。そして、この同軸ケーブル6をグランド側エレメント3に沿って引き回し、前記平面アンテナの基端部の中心線近傍で前記同軸ケーブル6のシールド外被6bとアンテナエレメントをS点で接続したものである。
【0016】
この平面アンテナAに使用される金属板は、アルミなどの導電性が優れた金属材料より所定の形状にプレス加工などにより形成したものである。そして、この金属板の寸法は、使用する周波数により決定されるもので、その波長λに対してR−S間の長さが略1/4になるように設計されている。また、同軸ケーブル6は外部に接続される回路基盤や機器のインピーダンスに合わせ、50オーム系または75オーム系を使用するものである。
この同軸ケーブル6の芯線6aの先端部は給電側エレメント2の凸状部4にP点において半田付けなどで接続され、同軸ケーブル6のシールド外被6bはS点で給電側エレメント2と半田付けなどで接続されている。この同軸ケーブル6がグランド側エレメント3上に沿って引き回わされ、Q−S間の長さが共振する周波数の波長の略1/4になるように設定されている。
【0017】
このように構成された平面アンテナAは、本来不平衡の逆Fアンテナが給電側エレメント2とグランド側エレメント3を向かい合わせに接続することにより平衡型のアンテナになる。従って、給電側エレメント2とグランド側エレメント3には同じ大きさの逆向きの電流が流れるので、接続点Sより先の同軸ケーブル6のシールド外被6bには電流が流れず、平衡−不平衡の変換が可能になる。
従来であれば、平衡型アンテナから受信回路までの信号伝送に同軸ケーブルを使用すると同軸ケーブルのシールド外被に電流が流れて漏洩電磁波を生じ、アンテナの効率が低下するので、平衡−不平衡変換器を必要としたが、図面に示す平面アンテナAは、変換器を必要とせず、しかも、金属板が略1/4波長の大きさでよいので、小型化が可能となる。
【0018】
さらに、この平面アンテナAの構造は、対称構造であるため、グランドを必要としない。従来、逆F型アンテナに必要とされてきた広いグランド面を必要とせず、略1/4波長に相当する面積の金属板を使用するのみであるので、大幅な小型化が実現できる。
【0019】
次に、本発明の平面アンテナの第2の実施の形態について図2を参照して説明する。この平面アンテナBは、平面アンテナAと同様に携帯電話などの補助アンテナとして使用されるものであり、平面アンテナAは単一の周波数に対応するものであるが、平面アンテナBは複数(2周波数)に対応するものである。尚、平面アンテナAと同一部材については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0020】
この平面アンテナBは、図2に示すように、略コ字状に形成された金属板の中間部に対向する凸状部を備えて、中心線の一方の側を給電側エレメント2とし、他方をグランド側エレメント3とした平面アンテナにおいて、前記給電側エレメント2と前記グランド側エレメント3のそれぞれの凸状部4,5に、前記給電側エレメント2と前記グランド側エレメント3と同一方向の枝状部7,8を形成したものである。
【0021】
また、この平面アンテナBに接続される同軸ケーブル6は、平面アンテナAと同様に、芯線6aの先端部を前記給電側エレメント2の凸状部4に接続し、同軸ケーブル6のシールド外被6bの先端部をグランド側エレメント3の凸状部5に接続しており、同軸ケーブル6をグランド側エレメント3に沿って引き出し、平面アンテナの基端部の中心線近傍で同軸ケーブル6のシールド外被6bとアンテナエレメントが接続されている。
【0022】
このように構成された平面アンテナBは、給電側エレメント2のR−S間の寸法は、使用される第1の周波数に同調するように設計されるもので、その波長λに対してR−S間の長さが略1/4波長になるように設計されている。また、枝状部7のT点よりU点を経てS点に至る寸法は第2の周波数に同調するように長さが略1/4波長に設計されるものである。この平面アンテナBのアンテナエレメントが2つの寸法を備えことにより、2つの周波数に使用できるものである。さらに、詳述しないが、3つ以上の複数の周波数に使用する場合は、枝状部を増やして、それぞれの周波数に合う寸法に設定すれば、複数の周波数に使用できるのは勿論である。
【0023】
また、この平面アンテナBに使用される同軸ケーブル6は、平面アンテナAと同様に、外部に接続される回路基盤や機器のインピーダンスに合わせ、50オーム系または75オーム系が使用されるものである。この同軸ケーブル6の芯線6aの先端部は給電側エレメント2の凸状部4にP点で半田付けなどで接続され、同軸ケーブル6のシールド外被6bはS点で給電側エレメント2と半田付けなどで接続されている。そして、この同軸ケーブル6がグランド側エレメント3上に沿って引き回わされ、Q−S間の長さが共振する周波数の波長の略1/4になるように設定されている。
【0024】
また、この平面アンテナBは、平面アンテナAと同様に、給電側エレメント2とグランド側エレメント3を向かい合わせに接続することにより平衡型のアンテナになるものである。従って、給電側エレメント2とグランド側エレメント3には同じ大きさの逆向きの電流が流れるので、接続点Sより先の同軸ケーブル6のシールド外被6bには電流が流れず、平衡−不平衡の変換が可能になる。従って、特性インピーダンスを整合するための平衡−不平衡変換器を必要とせず、余分な部品の追加がないので、構造が簡単になると共にコストアップを避けることができる。
【0025】
さらに、この平面アンテナBの構造は、対称構造になっているからグランドを必要としない。従来、逆F型アンテナに必要とされてきた広いグランド面を必要とせず、1/4波長に相当する面積の金属板を使用するのみであるので、大幅な小型化が実現できるものである。
【0026】
次に、本発明の平面アンテナの第3の実施の形態について図3を参照して説明する。この平面アンテナCは、平面アンテナAと同様に携帯電話などの補助アンテナとして使用されるものであり、単一の周波数に対応するものである。尚、平面アンテナAと同一部材については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0027】
この平面アンテナCは、図3(a)に示すように、両面銅張積層板10の一方の面に給電側エレメントの一部12とグランド側エレメント13を形成し、図3(b)に示すように、両面銅張積層板10の他方の面に給電側エレメントの一部17として導体パターンであるマイクロストリップライン16を形成するものである。給電側エレメントは給電側エレメントの一部12および17をスルーホールで電気的に接続することによって構成され、このF字状の給電側エレメントとF字状のグランド側エレメント13はこの平衡アンテナの中央で接続されている。
【0028】
この平面アンテナCへの給電は、同軸ケーブル(図示せず)をSMAコネクタ19に接続することによって行なわれる。このコネクタ19の給電ピンは導体パターンであるマイクロストリップライン16に電気的に接続され、コネクタ19のグランドは、グランド側エレメント13に電気的に接続される。これら同軸ケーブル、SMAコネクタ19、マイクロストリップライン16の特性インピーダンスは50オームまたは75オーム系に統一される。ここではマイクロストリップライン16の先端までは給電線路として働き、原理的な給電は給電側エレメントの凸状部17aとグランド側エレメントの凸状部13aの境目で行なわれる。
【0029】
また、マイクロストリップライン16は、表側のグランド側エレメント13の中央位置を通るように設計されている。このマイクロストリップライン16の長さは、略1/4波長になるように設定されている。
【0030】
このように構成された平面アンテナCは、平衡型のアンテナとなるので、給電側エレメントとグランド側エレメント13の接続部には、同じ大きさの逆向きの電流が流れるので、SMAコネクタ19より先の同軸ケーブル(図示せず)のシールド外被には電流が流れず、平衡−不平衡の変換が可能になる。従って、平衡−不平衡変換器を必要とせず、余分な部品の追加がないので、構造が簡単になると共にコストアップを避けることができるものである。
【0031】
さらに、この平面アンテナCの構造は、従来の逆F型アンテナに必要とされた比較的大きな面積の金属のグランド面が不要となり、大幅な小型化が実現できるものである。
【0032】
次に、本発明の平面アンテナの第4の実施の形態について図4を参照して説明する。この平面アンテナDは、平面アンテナCと同様に携帯電話などの補助アンテナとして使用されるものであり、単一の周波数に対応する。
【0033】
この平面アンテナDは、図4(a)に示すように、両面プリント基板である両面銅張積層板20の片面に給電側エレメント22およびグランド側エレメント23を形成し、他方部分は、銅箔を剥離した誘電体面25を形成して上下対称型のF型アンテナとし、給電側エレメント22とグランド側エレメント23は、略コ字状に形成された上下対称に形成し、給電側エレメント22とグランド側エレメント23の中間部に対向する2つの凸状部を給電点としたものである。
【0034】
また、図4(b)に示すように、この両面銅張積層板20の裏面に形成された誘電体面25の導体パターン部分はマイクロストリップライン26であり、このマイクロストリップライン26は、基端部26aより前記グランド側エレメント23の中心部を通るグランド部26bと、前記凸状部22a,23aを通る立上部26cと、前記給電側エレメント22まで形成された引き回し部26dから構成されている。そして、マイクロストリップライン26以外の導体面はエッチングで除去され、絶縁板の誘電体面25となっている。
【0035】
この平面アンテナDへの給電は、平面アンテナCと同様に、SMAコネクタ29を介して行われている。さらにマイクロストリップライン26と給電パターン22の電磁的結合はマイクロストリップライン26と給電側エレメント22の電磁的なカップリングを利用して行われる。そのため、両面銅張積層板20の裏側に形成されマイクロストリップライン26は、表側のグランド側エレメント23と給電側エレメント22の中央位置を通るように設計されている。また、マイクロストリップライン26は、表側のグランド側エ
レメント23の中央位置を通るように設計されている。このマイクロストリップライン26のSMAコネクタ接続部からグランド側エレメントの凸状部先端までの長さは略1/4波長になるように設定されている。
【0036】
このように構成された平面アンテナDは、給電側エレメント22とグランド側エレメント23の接続部、すなわち、SMAコネクタ29のグランドには同じ大きさの逆向きの電流が流れるので、平衡−不平衡の変換が可能になる。従って、特性インピーダンスを整合するための平衡−不平衡変換器を別途必要とせず、余分な部品の追加がないので、構造が簡単になると共にコストアップを避けることができるものである。
【0037】
さらに、この平面アンテナDの構造は、従来の逆F型アンテナに必要とされた大きな面積の金属のグランド面が不要となり、大幅な小型化が実現できるものである。
【0038】
次に、本発明の平面アンテナの第5の実施の形態について図5を参照して説明する。この平面アンテナEは、平面アンテナDと同様に携帯電話などの補助アンテナとして使用されるものであり、単一の周波数に対応するものである。
【0039】
この平面アンテナEは、図5に示すように、コ字状に形成された金属板31の中間部に対向する凸状部34,35を形成し、中心線の一方の側を給電側エレメント32とし、他方をグランド側エレメント33としたもので、給電側エレメント32とグランド側エレメント33をメアンダライン状に形成している。給電側エレメント32はこのメアンダライン状により導体間の距離R−Sは金属板の直線距離yよりも長く形成することができる。このことは即ち、所定の周波数に対して必要とされる金属板の直線の寸法を短くできることであり、平面アンテナをより小型化ができる。
【0040】
また、この平面アンテナEに接続される同軸ケーブル36の芯線36aの先端部は、給電側エレメント32の凸状部34にP点で接続し、同軸ケーブル36のシールド外被36bの先端部をグランド側エレメント33の凸状部35にQ点で接続している。この同軸ケーブル36はグランド側エレメント33に沿って引き出されており、この平面アンテナの基端部の中心線近傍のS点で同軸ケーブル36のシールド外被36bと金属板31が半田付けで接続されている。この同軸ケーブル36の芯線36aの先端部の接続位置P点と基端部の接続位置S点との距離は、略1/4波長になるように設定されるものである。
【0041】
このように構成された平面アンテナEは、給電側エレメント32とグランド側エレメント33の接続部には同じ大きさの逆向きの電流が流れるので、S点よりアンテナと反対側の同軸外被には電流が流れず、平衡−不平衡の変換が可能になる。従って、平衡−不平衡変換器を必要とせず、余分な部品の追加がないので、構造が簡単になると共にコストアップを避けることができるものである。
【0042】
次に、本発明の平面アンテナの第6の実施の形態について図6,7を参照して説明する。この平面アンテナFは、平面アンテナFと同様に携帯電話などの補助アンテナとして使用されるものであり、単一の周波数に対応するものである。
【0043】
この平面アンテナFは、図6(a)に示すように、両面銅張積層板50の一方の面に給電側エレメントの一部52とグランド側エレメント53を形成し、図6(b)に示すように、両面銅張積層板50の他方の面に給電側エレメントの一部55として導体パターンであるマイクロストリップライン56を形成するものである。給電側エレメントは給電側エレメントの一部52および55をスルーホールで電気的に接続することによって構成され、このF字状の給電側エレメントとF字状のグランド側エレメント53はこの平衡アンテナの中央で接続されている
【0044】
また、両面銅張積層板50の給電側エレメントの一部55と同じ面には、図6(b)に示すように、マイクロストリップライン56と外部へ接続するために形成された接続パターン57があり、接続パターン57には導通するための接地ピン57aが形成されている。そして、マイクロストリップライン56と接続パターン57には外部と接続するための接続部材である給電ピン58と接地ピン59が取り付けられている。
【0045】
また、給電ピン58により給電されるマイクロストリップライン56は、特性インピーダンスが所定の値(50オームまたは75オーム)を持つようにマイクロストリップライン56の幅を設定する。そして、マイクロストリップライン56によりグランド側エレメント53に給電できるようになっている。同軸ケーブルの外被がグランドとなる。
【0046】
このように構成された平面アンテナFは、平面アンテナA〜Eと同様に、マイクロストリップライン56の距離を調整することにより、平衡−不平衡変換機能を備え、追加の平衡−不平衡変換部品などを必要とせず、小型化が図れると共にコストアップを回避することができる。そして、平面アンテナFは、平衡型アンテナ機能により、不平衡型の逆Fアンテナのように、外部の回路基板や人体の影響から生じる指向性の変化がないものである。
【0047】
このように構成された平面アンテナFは、図7に示すように、携帯電話のアンテナとして使用される。同図において、平面アンテナFはメインのプリント基板Pに対して所定の距離保持して固定される。その保持方法としては、平面アンテナFを携帯電話器の筐体に取り付けたり、埋め込んだりする方法やスペーサを介して保持する方法などがある。プリント基板Pは、平面アンテナFに対向する面は高周波回路に形成され、裏面のグランド面に形成され、必要な部品実装されている。そして、平面アンテナFに取り付けられた給電ピン58と接続ピン59がプリント基板Pに接続され、給電されるもので
ある。
【0048】
このように配設された平面アンテナFは、図7に示すように、平面アンテナFの下半分がプリント基板Pと重なり合っても、平面アンテナFのVSWRに悪影響を与えないものである。これにより、従来、VSWRの悪化の原因となるアンテナとプリント基板の重なりを避けるために、プリント基板の上部の回路を除去してアンテナを配置する方法を採らなくてもよいので、プリント基板からアンテナのための除去するスペースが部分的に不要になり、その分だけ小型化ができるものである。
【0049】
また、この平面アンテナFは、プリント基板Pと全く重ねない場合はVSWRに影響がないのは勿論であるが、平面アンテナFとプリント基板Pを重ねる量を増やしていっても、平面アンテナFの半分を重ねた位置まではVSWRが変化しない。従って、比較的広い面積のアンテナをブリント基板に実装することが可能となる。
【0050】
次に、本発明の平面アンテナの第6の実施の形態について図8,9を参照して説明する。この平面アンテナGは、平面アンテナFと同様に携帯電話などの補助アンテナとして使用されるものであり、複数(2周波)の周波数に対応するものである。
【0051】
この平面アンテナGは、図8(a)に示すように、両面銅張積層板60の一方の面に給電側エレメントの一部62とグランド側エレメント63を形成し、図6(b)に示すように、両面銅張積層板60の他方の面に給電側エレメントの一部65として導体パターンであるマイクロストリップライン66を形成するものである。給電側エレメントは給電側エレメントの一部62および65をスルーホールで電気的に接続することによって構成され、このF字状の給電側エレメントとF字状のグランド側エレメント63はこの平衡アンテナの中央で接続されている。上半分には第1の周波数に共振する第1周波数エレメント62が形成され、下半分には第2の周波数に共振する第2周波数エレメント63が形成されている。
【0052】
また、裏面は、図8(b)に示すように、前記第2周波数エレメント63側に形成されたマイクロストリップライン66と、このマイクロストリップライン66の先端に接続され前記第1周波数エレメント62側に形成された給電側エレメントの一部65と、外部へ接続するために形成された接続パターン67が形成されている。このマイクロストリップライン66と接続パターン67には外部と接続するための接続部材である給電ピン68と接地ピン69が取り付けられている。67aは短絡ピンである。
【0053】
また、給電ピン68により給電されるマイクロストリップライン66は、特性インピーダンスが所定の値(50オームまたは75オーム)を持つように、マイクロストリップライン66の幅を設定する。
【0054】
このように構成された平面アンテナGは、平面アンテナA〜Fと同様に、マイクロストリップライン66の距離を調整することにより、平衡−不平衡変換機能を備え、追加の平衡−不平衡変換部品などを必要とせず、小型化が図れると共にコストアップを回避することができる。そして、この平面アンテナGは、平衡型のアンテナ機能により、不平衡型の逆Fアンテナのように、外部の回路基板や人体の影響から生じる指向性の変化がないものである。
【0055】
このように構成された平面アンテナGは、図9に示すように、携帯電話のアンテナとして使用される。同図において、平面アンテナGはメインのプリント基板Pに対して所定の距離保持して固定される。その保持方法としては、平面アンテナHを携帯電話器の筐体に取り付けたり、埋め込んだりする方法やスペーサを介して保持する方法などがある。プリント基板Pは、平面アンテナGに対向する面は高周波回路が形成され、裏面にグランド面に形成され、必要な部品実装されている。そして、平面アンテナGに取り付けられた給電ピン68と接地ピン69がプリント基板Pに接続され、給電されるものである。
【0056】
このように配設された平面アンテナGは、図10に示すように、平面アンテナGの下半分がプリント基板Pと重なり合っても、平面アンテナGのVSWRに悪影響を与えないものである。これにより、従来、VSWRの悪化の原因となるアンテナとプリント基板の重なりを避けるために、プリント基板の上部の回路を除去してアンテナを配置する方法を採らなくてもよいので、プリント基板からアンテナのための除去するスペースが一部不要になり、その分だけ小型化ができるものである。
【0057】
また、この平面アンテナGは、プリント基板Pと全く重ねない場合はVSWRに影響がないのは勿論であるが、平面アンテナGとプリント基板Pを重ねる量を増やしていっても、平面アンテナGの半分を重ねた位置まではVSWRが変化しない。従って、比較的広い面積のアンテナをブリント基板に実装することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る平面アンテナの第1の実施の形態を示す平面図である。
【図2】本発明に係る平面アンテナの第2の実施の形態を示す平面図である。
【図3】本発明に係る平面アンテナの第3の実施の形態を示す平面図である。
【図4】本発明に係る平面アンテナの第4の実施の形態を示す平面図である。
【図5】本発明に係る平面アンテナの第5の実施の形態を示す平面図である。
【図6】本発明に係る平面アンテナの第6の実施の形態を示す平面図である。
【図7】図6の平面アンテナの実装状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る平面アンテナの第7の実施の形態を示す平面図である。
【図9】図8の平面アンテナの実装状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
2 給電側エレメント
3 グランド側エレメント
4 凸状部
5 凸状部
6 同軸ケーブル
7 枝状部
8 枝状部
10 両面銅張積層板
12 給電側エレメント
13 グランド側エレメント
14 スルーホール
16 マイクロストリップライン
17 給電パターン
19 SMAコネクタ
20 両面銅張積層板
22 給電側エレメント
23 グランド側エレメント
26 マイクロストリップライン
27 給電パターン
29 SMAコネクタ
31 金属板
32 給電側エレメント
33 グランド側エレメント
34 凸状部
35 凸状部
36 同軸ケーブル
50 両面銅張積層板
52 給電側エレメント
53 グランド側エレメント
54 スルーホール
55 給電側エレメント
56 マイクロストリップライン
57 接続パターン
58 給電ピン
59 接地ピン
60 両面銅張積層板
62 第1周波数エレメント
63 第2周波数エレメント
64 スルーホール
65 給電側エレメント
66 マイクロストリップライン
67 接続パターン
68 給電ピン
69 接地ピン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板より形成した放射エレメントとグランド面からなる二つの逆Fアンテナをグランド面で合わせて対称にし、グランド面を除去して二つのアンテナエレメントを有する1枚の平衡型のアンテナとし、前記二つのアンテナエレメントのそれぞれの中間部に対向する凸状部を有する平面アンテナであって、
前記一方の側のアンテナエレメントの凸状部に給電点を設定して同軸ケーブルの芯線の先端部を接続し、
前記他方の側のアンテナエレメントの凸状部に前記同軸ケーブルのシールド外被の先端部を接続し、前記同軸ケーブルを前記他方の側のアンテナエレメントの上を引回し、前記同軸ケーブルのシールド外被の基端部を前記二つのアンテナエレメントの接続部中央に接続し、
前記同軸ケーブルの他方の側のアンテナエレメント上の引き回した長さを同調する周波数の波長の略1/4に設定したことを特徴とする平面アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の平面アンテナにおいて、前記凸状部に前記エレメントと同一方向の枝状部を形成し、前記アンテナエレメントは複数の周波数に共振することを特徴とする平面アンテナ。
【請求項3】
放射エレメントとグランド面からなる二つの逆Fアンテナをグランド面で合わせて対称にし、グランド面を除去して二つのアンテナエレメントを有する1枚の平衡型のアンテナとし、前記二つのアンテナエレメントのそれぞれの中間部に対向する凸状部を有する平面アンテナを両面銅張積層板の表面に形成し、
前記両面銅張積層板の裏面であって給電側エレメントとグランド側エレメントの裏面に、導体パターンを形成し、前記導体パターンが前記給電側エレメント裏面から給電側エレメントの凸状部裏面を通って、前記導体パターンと前記給電側エレメントとを電磁的に結合し、更に、前記グランド側エレメントの凸状部裏面に抜け、前記グランド側エレメント裏面を引き回して、前記二つのエレメントの接続部中央まで延長し、この点で前記二つのエレメントと前記導体パターン間で給電し、前記グランド側エレメントの凸状部から給電部までの長さを同調周波数の略1/4に設定したことを特徴とする平面アンテナ。
【請求項4】
請求項3に記載の平面アンテナにおいて、前記導体パターンと前記給電側エレメントをスルーホールによって電気的に結合することを特徴とする平面アンテナ。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の平面アンテナにおいて、前記アンテナエレメントパターンに枝状部を形成し、前記アンテナエレメントは複数の周波数に共振することを特徴とする平面アンテナ。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5に記載の平面アンテナにおいて、前記アンテナエレメントパターンがメアンダライン状に形成してあることを特徴とする平面アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−195001(P2007−195001A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12082(P2006−12082)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(500049668)クーリー・コンポーネンツ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】