説明

広告情報の配信システムおよび配信方法ならびに有価物の付与システム

【課題】 利用者に公的な個人情報を提示してもらうことなく、広告メールの受信数に応じた報酬などの有価物を付与することの出来るシステムを提供する。
【解決手段】 携帯電話機に電子メールを送信可能な携帯メールシステムが利用可能な携帯電話機を保有する者に広告情報を配信する広告情報の配信システムであって、登録されている利用者の携帯電話機に電子メールで広告情報を送信する広告情報送信手段と、広告情報の受信に対する報酬として、電話機から通信網を介してサービスセンタに接続するとともに該サービスセンタに登録コードを送信することで電話料金から所定額が差し引かれるように構成された料金支払システムに有効な上記登録コードを通信ネットワークを介して利用者に通知する登録コード通知手段とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、利用者の携帯電話機に広告情報の配信を行う広告情報の配信システムおよび配信方法、ならびにアンケートの回答者や懸賞の応募者などに賞金や報酬として有価物を付与する有価物の付与システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話機(PHS:Personal Handy Phoneを含む)の電子メール機能を利用して、登録会員の携帯電話機に広告情報の配信を行うビジネスが盛んである。
【0003】このような配信ビジネスでは、広告情報の受信者を増やすため、例えば、広告メールの受信数に応じて所定の報酬を利用者に与えると云ったサービスを行うことが行われている。報酬としては、現金や商品券などが用いられるが、例えば、現金であれば銀行振込みにより利用者に支払われ、商品券であれば郵送などにより利用者に届けられる。
【0004】また、現在、プリペイド式のカードを用いて携帯電話機の電話料金の中から一部を差し引くと云うサービス(例えばモバイラーズチェックサービス(登録商標))の提供が行われている。このサービスは、前もってプリペイド式のカードを購入し、このカードの裏に記載されているカード番号を電話会社のサービスセンタに送信することで、カードに登録されている金額が電話料金から差し引かれると云ったものである。カード番号の送信は、携帯電話機からサービスセンタに電話をかけ、ガイダンスに従ってカード番号をキー入力して行われる。サービスセンタでは、電話をかけて来た携帯電話機の電話番号を自動的に認識するとともに、入力されたカード番号からカードに登録されている金額を割り出すことが出来る。そして、電話料金の集計を行っている電話会社のデータベースへアクセスして、この電話番号の料金データにカードの金額を登録することで、例えば翌月の電話料金から登録された金額が差し引かれるようになっている。
【0005】このようなプリペイド式のカードは、現在、広告メールの配信ビジネスにおいても利用されており、広告メールの受信数に応じた報酬として、上記プリペイド式カードを郵送により利用者に送付するようにされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の広告メールの配信ビジネスにおいては、報酬を銀行振込や郵送で付与しているため、利用者の本名や住所、或いは銀行口座などの公的な個人情報が必要である。そのため、利用者はサービス会員になる際に、サービスを提供者に自分の公的な個人情報を提示しなければならない。このような公的な個人情報の提示は、情報流出などの問題もあって、利用者にとって非常に抵抗感があるものであり、利用者の数が伸びない原因になっている。
【0007】また、報酬を利用者に付与するのに郵送や銀行振込みを利用すると、送料や振込み手数料が発生してしまうため、小額の報酬を付与しようとすると割りが合わないと云う問題も生じる。
【0008】そのため、従来では、これらの手数料が無視できる程度になるまで報酬を溜めておき、報酬額が一定以上溜まってから報酬を利用者に付与すると云った方法が採られていた。しかしながら、この方法では、報酬が利用者に渡されるまでに非常に長い期間を要し、利用者の満足が得られないという問題が生じている。
【0009】また、上述した一連の問題は、広告メールの配信ビジネスのみに当てはまるものでなく、例えば、何らかのサービスに加入者を募り、これらの加入者に金銭的な支払いや返金を行なう場合や、懸賞やアンケートなどの応募者に賞金や謝礼を付与する場合にも、同様に生じるものである。
【0010】この発明の目的は、利用者に公的な個人情報を提示してもらわなくても、広告メールの受信数に応じた報酬などの有価物を付与することの出来るシステムおよび方法を提供することにある。
【0011】この発明の他の目的は、手数料コストが低く、広告メールの受信に対する報酬など、小額の報酬でも割り良く利用者に付与することのできるシステムおよび方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するため、携帯電話機に電子メールを送信可能な携帯メールシステムが利用可能な携帯電話機を保有する者に広告情報を配信する広告情報の配信システムであって、登録されている利用者の携帯電話機に電子メールで広告情報を送信する広告情報送信手段と、広告情報の受信に対する報酬として、電話機から通信網を介してサービスセンタに接続するとともに該サービスセンタに登録コードを送信することで電話料金から所定額が差し引かれるように構成された料金支払システムに有効な上記登録コードを通信ネットワークを介して利用者に通知する登録コード通知手段とを備えているものである。また、そのような手段を用いて広告情報の送信と登録コードの通知とを行なう広告情報の配信方法である。
【0013】このような手段および方法によれば、報酬を利用者に付与するのに登録コードを通信ネットワークを介して利用者に通知するだけなので、利用者の公的な個人情報(氏名、住所、銀行口座など)を知らなくても報酬の付与ができる。従って、利用者の会員登録の際などに、利用者の公的な個人情報の提示を求める必要がなくなり、利用者に安心してサービスに登録してもらうことが出来る。
【0014】また、通信ネットワークを介した登録コードの通知には、郵送料や振込み手数料のような手数料を削減できるので、比較的小額の報酬でも割り良く利用者に付与することが出来る。
【0015】ここで、上記料金支払システムとしては、例えば、現在、電話会社等により提供されているプリペイド式カードによる料金支払サービスなどが適用できる。また、現在は行われてないが、例えばカードを購入せずに上記プリペイド式カードのカード番号のような登録コードのみをまとめてリスト形式で購入し、プリペイド式カードの場合と同様にこの登録コードを電話会社のサービスセンタに提示することで電話料金から一定額が差し引かれるようなシステムが実現すれば、このようなシステムを上記料金支払システムとして適用することが出来る。
【0016】また、本発明は、上記目的を達成するため、携帯電話機に電子メールを送信可能な携帯メールシステムが利用可能な携帯電話機を保有する者に広告情報を配信する広告情報の配信システムであって、登録されている利用者の携帯電話機に電子メールで広告情報を送信する広告情報送信手段と、広告情報の受信に対する報酬として、所定の登録コードを提示することで前払いした金銭の利用が可能となる料金支払システムに有効な上記登録コードを通信ネットワークを介して利用者に通知する登録コード通知手段とを備えるものである。
【0017】このような手段によっても、同様に利用者の公的な個人情報(氏名、住所、銀行口座など)の提示がなくても報酬の付与が可能となるので、利用者に安心してサービスに登録してもらうことが出来る。また、登録コードの通知は手数料をあまりかけずに行えるので、比較的小額の報酬でも割り良く利用者に付与することが出来る。
【0018】ここで、上記の料金支払システムは、電話料金に係るものに制限されず、例えば、提携店舗での料金の支払いや高速道路の利用料金の支払いなど、様々な場所で利用可能なものである。このような料金支払システムは、例えば、利用店舗に登録コードを入力するコード入力装置を設置しておくとともに、ユーザの利用料金の集計を行なうサーバコンピュータと利用店舗のコード入力装置とを通信回線で結んでおくことで構成することが出来る。そして、利用者は携帯電話機等に登録コードを記憶させておき、提携店舗で料金を支払う際に、手動または携帯電話機のデータ通信機能により店舗のコード入力装置に登録コードを入力することで、前払いされた金銭分が料金から差し引かれるようにすれば良い。
【0019】具体的には、上記登録コード通知手段は、上記登録コードをインターネットを介して通知するように構成することが出来る。このような手段によれば、登録コードを簡単に且つ低コストに通知することが出来る。また、現在、インターネットを介して高いセキュリティで情報をやり取りする技術も発達しているので、このような技術を利用することでセキュリティの向上も図れる。
【0020】インターネットを介して通知する方式としては、例えば、ホームページを用いて通知する方式などが可能である。具体的には、インターネット上に各利用者専用のホームページを設けておき、これらのページで各利用者に付与された登録コードを閲覧可能に設定しておくとともに、例えば会員登録の際などに各利用者にIDとパスワードを設定しておき、このIDとパスワードを用いて利用者が自分専用のホームページにアクセス可能なように構成することで実現できる。また、携帯電話機に、登録コードが記載されているホームページアドレスを電子メールにより送信し、このポームページ上に登録コードを表示して通知するなど、種々の構成が可能である。
【0021】また望ましくは、上記登録コード通知手段は、上記登録コードを広告情報の送信先である携帯電話機に電子メールにより送信するように構成すると良い。
【0022】このような手段によれば、最も手っ取り早く、低コストで簡単に、且つ、利用者にも分りやすく登録コードの通知が可能である。
【0023】また、本発明の有価物の付与システムは、金銭を前払いしたことに基づいて登録コードが配布され、この登録コードを提示することで前払いした金銭の利用が可能となる料金支払システムを利用可能な第三者に有価物を付与する有価物の付与システムにおいて、上記第三者に上記料金支払システムの登録コードを通信ネットワークを介して通知する登録コード通知手段を備えた構成とした。
【0024】このような手段によれば、例えば、第三者を募集して何かをしてもらう代わりに、これらの人に報酬や賞金などの有価物を付与するような状況において、第三者の公的な個人情報(氏名、住所、銀行口座など)の提示がなくても有価物の付与が可能となるので、これらの人に安心して募集に応じてもらうことが出来る。また、有価物の付与を低コストに行なえるので、小額の有価物でも割り良く付与することが出来るという効果がある。
【0025】このような有価物の付与システムは、例えば、企業、組織、団体、或いはグループ等が、会員、契約者、或いは加入者に対して、支払い、返金、キャッシュバック、料金割引、換金、或いは金銭的な還元を行なう場合に利用して有用なものである。また、例えば、懸賞、アンケート、モニター、或いは投稿等の応募者に対して、賞金、謝礼、或いは手数料を支払う場合に利用して有用なものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず、この広告情報の配信サービスの一連の流れについて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る広告情報の配信サービスの一連の流れを表した概念図である。
【0027】この実施の形態に係る広告情報の配信サービスは、本発明の広告情報の配信システムや配信方法ならびに有価物の付与システムを利用したサービスであり、図1の運営者により提供されるものである。
【0028】図1の「■会員化」に示すように、この広告情報の配信サービスにおいては、先ず、運営者は広告を受け取る利用者を募って会員にする。利用者は、電子メールの送受信機能と、プリペイド式のカードにより電話料金の支払いか可能な料金支払システム(例えばモバイラーズチェック(登録商標))とが共に利用可能な携帯電話機をもっている必要がある。
【0029】利用者は、会員になる際に、個人を識別する情報や、利用者が暮らしているおおよその地域、並びに、おおよその年齢、性別や趣味など、私的な個人情報を運営者側に提示する。これらの私的な個人情報は広告情報の配信先リストを作成する上で利用されるものである。本発明では、個人の識別情報は氏名でもよいが、ニックネームやペンネームであってもよいものとする。従って、本名や住所などの公的な個人情報は不要であるので、利用者にとって比較的抵抗の少ないものになる。
【0030】会員登録は、例えば、利用者が携帯電話機やコンピュータなどを用いて運営者のホームページの加入者用フォームのページへアクセスし、上記私的な個人情報や、広告メールを受信する携帯電話機のメールアドレス等の必要事項を入力して運営者側に送信したり、携帯電話機のメール機能を用いて上記の私的な個人情報などの必要事項を記入した電子メールを、運営者の加入者用メールアドレスに送信することで行なわれる。
【0031】また、この広告情報の配信サービスでは、運営者は広告主となるクライアントから広告配信の依頼を受けるとともに(図1の「■広告出稿」)、広告配信に対する料金を受けとって収入を得る(図1の「■広告料金」)。広告依頼には、広告メールの内容とともに、広告メールの配信対象者となる条件、例えば年齢、住んでいる地区、および性別などについても提示される。
【0032】そして、この広告依頼に基づき、配信サービスのホストコンピュータでは、配信対象者へ宛てて広告メールが作成され、それらがインターネットを介して送信される(図1の「■広告配信」)。
【0033】このようにして、広告メールが会員の携帯電話機に送信されるが、図1の「■メール受信料金」に示すように、一般に携帯電話機ではメール受信に対しても電話料金が発生する。従って、サービスへの加入者を確保するためには、広告メールの受信に対して一定の報酬を会員に付与することが有効であり、この実施の形態に係る配信サービスにおいても、一定の報酬をキャッシュバックとして会員に付与するようになっている。報酬の付与は上記プリペイド式のカードを用いた料金支払システムを利用して行なわれる。
【0034】ここで、プリペイド式カードを用いた料金支払サービスについて簡単に説明する。この料金支払サービスは、電話会社又はキャリヤと呼ばれる提携機関により運用されるサービスで、カード番号が記載されているプリペイド式カードを用いて携帯電話料金の一部の支払いを行なうものである。プリペイド式カードの購入者とその使用者は別の者であってもよく、また、使用者はこのサービスを利用するために特別な会員登録などをする必要がない。そして、このプリペイド式カードがあれば簡単に自分の携帯電話料金から一定額を差し引くことが出来るようになっている。
【0035】具体的には、カードの裏面にはカード番号が記載されその上が剥離可能な重ね印刷で覆われた状態にされている。また、カードの購入金額とこのカードにより差し引かれる電話料金とは同額に設定されている。カード使用者はカード裏面の重ね印刷をコイン等を用いて剥し、カード番号を露出させてカード番号を知る。そして、この料金支払サービスのサービスセンタに携帯電話で電話をかけ、ガイダンスに従って上記のカード番号をキー入力するだけで、翌月の電話料金からプリペイド式カード分の金額が差し引かれるという仕組みである。
【0036】配信サービスの運営者は、予め上記プリペイド式のカードを一定数購入し、それらのカード番号を全て露出させてプリペイド式カードのカード番号リストを作成しておく。さらに、配信サービスの運営者は、ホストコンピュータを用いて各会員のメール受信数に応じたポイントを管理する。そして、このポイントが一定数を上回った場合に、キャッシュバックとして、上記プリペイド式カードのカード番号を記載した報酬メールをその会員宛てに送信する(図1の「■キャッシュバック」)。
【0037】図2には、携帯電話機に送信されるカード番号が記載された報酬メールの画像図の一例を示す。報酬メールは、例えば、各会員を表すニックネーム、挨拶文、広告メールの受信により現在まで溜められているポイント数や、プリペイド式カードの料金支払システムを利用してキャッシュバックされることを知らせる文、キャッシュバック分の電話料金を差し引くためのカード番号、並びに、このカード番号を使用して電話料金からキャッシュバック分を差し引くための手順の説明等が記載されたものである。
【0038】会員は、この報酬メールを受け取ったら、メールに記載された手順に従って料金支払サービスのサービスセンタに携帯電話で電話をかけ、メールに記載されたカード番号をキー入力することで、翌月の電話料金から所定額を差し引くサービスを受けることが出来る。
【0039】次に、上記広告情報の配信サービスの提供に用いられる配信システムの構成について詳細に説明する。上記広告情報配信サービスのシステムは、加入者の募集や登録を行なうためホームページをインターネット上に公開するサーバコンピュータや、会員情報やプリペイド式カードのカード番号等のデータ管理、会員への広告メールや報酬メールの配信を行なうホストコンピュータ等から構成される。
【0040】上記サーバコンピュータやホストコンピュータは、図示しないが、装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)や、CPUにプログラムやデータを展開するメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)、並びに、CPUにより実行されるプログラムやデータが格納されるハードディスクなどの記憶装置、マウスやキーボードなどの入力装置、インターネットやLANなどの通信ネットワークに接続してデータ通信を行なう通信装置等を備えた一般的なコンピュータである。これらのホストコンピュータとサーバコンピュータとはLANを介して結ばれている。
【0041】サーバコンピュータは、インターネット上にホームページを公開する機能を有し、携帯電話機を用いて該サーバコンピュータのホームページが見られるようになっている。また、サーバコンピュータには、電子メールの送受信を行なうメールサーバとしての機能も備わっている。
【0042】ホストコンピュータの記憶装置には、会員情報やカード番号等を管理するためのデータベースが構築される。そして、ホストコンピュータには、これらのデータベースを管理運用する機能が備わっている。また、ホストコンピュータには、このデータベースを利用して広告メールの配信や、キャッシュバック処理として報酬メールの配信を上記サーバコンピュータのメールサーバを介して行なう機能が備わっている。
【0043】図3には、上記ホストコンピュータにより構築されるデータベースの概略構成図を示す。ホストコンピュータにより構築されるデータベース10には、各会員の個人データが登録される会員データベース11、広告メールの配信先リストの管理が行なわれる配信先データベース12、広告メールの受信数に応じたポイントの管理が行なわれるポイントデータベース13、報酬メールの送信先リストの管理が行なわれる還元先データベース14、プリペイド式カードのカード番号の管理が行なわれるカードナンバデータベース15などがある。
【0044】会員データベース11は、各会員を識別するための会員コードや、会員登録時に利用者に提示してもらったニックネーム、住んでいるおおよその地域、おおよその年齢、職種、性別などの個人情報、並びに、携帯電話の電子メールアドレスを、各会員毎に登録したものである。これらの個人情報は会員登録時に上記サーバコンピュータからホストコンピュータに転送される。
【0045】配信先データベース12は、広告依頼の案件毎に、当該案件の広告配信を行なう会員のリストすなわち配信先リストをそれぞれ登録したものである。広告メールの配信は、広告依頼時にクライアントから指定された条件に合致した会員に対して行われるので、依頼された後に、先ず、上記会員データベース11を利用してこの条件を満たす会員が検索され、該当する会員のデータがまとめてこの依頼案件の配信先リストとして登録される。配信先リストには、例えば、該当する会員の会員コードや電子メールアドレスが登録される。
【0046】ポイントデータベース13は、広告メールの受信に応じた各会員のポイントが登録されるものである。ポイントは、例えば500ポイント溜まると500円分のキャッシュバックがなされると云ったように、報酬の額を決定するもので、例えば、広告メールの1回の受信に対して1ポイントが加算されると云ったように予めルールが決められている。ポイントデータベース13は、広告メールの配信が行なわれるたびに更新されて、この配信先リストに登録されている会員のポイントが所定数ずつ加算されていく。また、キャッシュバックの処理がなされたら、該当会員のポイントからキャッシュバック分が差し引かれる。
【0047】カードナンバデータベース15は、会員へのキャッシュバック処理に使用されるプリペイド式カードのカード番号が登録されるものである。すなわち、このサービスの運営者が一定数のプリペイド式カードを購入した後、裏面に記載されたカード番号をこのデータベースに登録しておく。データベースには、カード番号とともにそのカード番号が既に使用されたものか否かの情報も登録される。カード番号は、それ自体、貨幣と同様の価値を有するものなので厳重に管理される。
【0048】還元先データベース14は、キャッシュバック処理の際に、報酬メールが送信される会員のリストすなわち還元先リストが登録されるものである。すなわち、定期的にポイントデータベース13を用いて一定数のポイントを上回っている会員の検索が行なわれ、該当する会員のリストが作成されて還元先データベース14に登録される。また、この還元先データベース14には、過去のキャッシュバック処理で報酬メールを送信した会員の履歴が分るように、過去作成された還元先リストも保存されるようになっている。
【0049】次いで、上記ホストコンピュータにより実行される広告メールの配信処理と、キャッシュバック処理について図4と図5のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0050】図4は、上記ホストコンピュータにより実行される広告メール配信処理のフローチャートである。この広告メールの配信処理は、クライアントからの依頼に基づき定期的に実行される。この配信処理が開始されると、先ず、ステップS1で、配信先リストが作成済みか否かオペレータに確認する処理が行なわれ、作成済みであればステップS4に移行し、作成済みでなければステップS2に移行する。
【0051】その結果、配信先リストが作成されてなくステップS2に移行すると、該ステップで配信対象者の条件の入力処理が行なわれ、続くステップS3でこの条件に基づく配信先リストの生成処理が行なわれる。この配信先リストの生成処理は、会員データベース11を用いて上記条件に適合する会員を検索し、適合した会員のデータをリスト化することで行なわれ、生成された配信先リストは配信先データベース12に登録される。そして、配信先リストが生成されたら、ステップ5に移行する。
【0052】一方、配信先リストが作成済みでステップS4に移行すると、該ステップにおいて配信先データベース12の中から今回の配信処理で用いる配信先リストをオペレータに選択させる処理を行ない、選択されたらステップS5に移行する。
【0053】ステップS5では、配信する広告文が入力されているデータファイルの入力処理を行ない、続くステップS6で電子メールの作成が行なわれる。すなわち、ステップS5で入力された広告文のデータファイルから広告文が電子メールの件名や本文に移され、また、ステップS4で指定された配信先リスト又はステップS3で作成された配信先リストが宛先とされた電子メールが作成される。
【0054】そして、ステップS7でこの電子メールを送信する。上記のステップS3〜S7の処理により広告情報送信手段が構成される。
【0055】次いで、ステップS8では、ポイントデータベース13を更新して、上記配信先リストに登録され電子メールが送信された各会員のポイントに所定ポイントずつ加算する処理を行ない、この広告メールの配信処理を終了する。
【0056】図5には、上記ホストコンピュータにより実行されるキャッシュバック処理のフローチャートを示す。このキャッシュバック処理は、例えば毎月の某日など定期的に実行される処理である。このキャッシュバック処理が開始されると、先ず、ステップS11において、ポイントデータベース13の中で例えば500ポイントなど所定ポイント溜まっている会員を検索し、続くステップS12でこれらの会員をリストアップして還元先リストの作成および還元先データベース14への登録処理を行なって、ステップS13に移行する。
【0057】ステップS13では、ステップS12で作成した還元先リストとカードナンバデータベース15のカード番号リストとを用いて報酬メールの作成を行なう。すなわち、還元先リストに載っている各会員宛てに1通ずつ、これら会員の電子メールアドレスを宛先とし、図2に示したような定型文のフォーマットに、会員のニックネームとカード番号リストのカード番号とを挿入して電子メールを作成する。
【0058】そして、ステップS14でこれらの電子メールを送信する。すなわち、上記ステップS12〜S14の処理により登録コード通知手段が構成される。
【0059】次いで、ステップS15では、ポイントデータベース13を更新して、上記還元先リストに登録され電子メールが送信された各会員のポイントからキャッシュバックした分のポイントを減算する処理を行ってステップS16に移行する。
【0060】ステップS16では、カードナンバデータベース15を更新して、ステップS13の電子メール作成処理で使用したカード番号について、カード番号リストに使用済みのチェックを入れる処理を行う。すなわち、一度、会員に送ったカード番号は、使用済みの番号としてチェックされ、以後のカード番号の送信に使用されないように設定される。そして、このキャッシュバック処理を終了する。
【0061】以上のように、この実施の形態の広告情報の配信システムおよび配信方法によれぱ、広告メールの受信に対する報酬を会員に付与するのに、カード番号を電子メールで会員に送信するだけで済むので、会員の本名や住所や銀行口座などの公的な個人情報の提示がなくても報酬の付与が可能となる。従って、利用者を会員登録する際に、従来、利用者にとって抵抗の強かった公的な個人情報の提示を求めることが不要となり、利用者に安心してサービスに登録してもらうことが出来る。
【0062】また、カード番号を電子メールで送るのには、郵送料や振込み手数料のような手数料がかからないので、500円や1000円など比較的小額な報酬でも割り良く利用者に付与することが出来る。従って、ポイントが溜まってキャッシュバックされるまでの期間を短くして、利用者を満足させることが出来る。
【0063】なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、会員に与える報酬として予め購入したプリペイド式カードのカード番号を用いていたが、プリペイド式カードを一々購入せずに同様の価値を有するカード番号のみをリスト形式で購入することが実現すれば、このカード番号を用いて同様に報酬の付与を行うようにしても良い。
【0064】また、携帯電話料金の支払いに使われるプリペイド方式の料金支払システムを利用するものに限られず、登録コードが記録されたものをプリペイド方式で購入し、その登録コードを提示することで、提携店舗や高速道路の料金所などで料金支払いに使用することの出来るものであれば、携帯電話料金のものと同様に会員に付与する報酬として用いることが出来る。このような料金支払システムは、課題を解決するための手段の項目で示した構成により実現可能なものである。
【0065】また、カード番号などの登録コードを通信ネットワークを介して会員に通知する方法も、携帯電話機に電子メールで送信する方法に限られず、例えば、パスワード入力で閲覧可能となる会員毎のホームページを作成しておきこのホームページ上に掲載したり、或いは、カード番号が掲載されたホームページのアドレスを電子メールで携帯電話機に送信して通知したり、種々の方法が可能である。
【0066】また、実施の形態では、利用者が会員になる際に利用者の私的な個人情報を提供すると云った例を示したが、このような私的な個人情報の提供も必要とせずに利用者を会員にするようなシステムであっても良い。
【0067】また、広告情報の配信サービスを提供するシステムとして、サーバコンピュータとホストコンピュータとで構成される例を示したが、両方の機能を1台のコンピュータで実現することも出来るし、もっと多数のコンピュータが連携して広告情報の配信サービス全体の処理を行なうように構成しても良い。
【0068】また、上記実施の形態では、広告情報を登録会員の携帯電話機に配信する広告メールの配信サービスの場合について説明したが、本発明の有価物の付与システムは、他の様々なサービスにおいて第三者に有価物を付与する場合に適用して有用なものである。例えば、何らかのサービス加入者に対してサービス提供者が返金や料金割引を行う場合や、懸賞やアンケートの応募者に対して賞金や謝礼を支払う場合にも同様に適用して有用なものである。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に従うと、利用者の公的な個人情報(氏名、住所、銀行口座など)の提示がなくても利用者に報酬を付与することが可能となるので、利用者を会員登録する際に、従来、利用者にとって抵抗が強かった公的な個人情報の提示を求めることが不要となり、利用者に安心してサービスに登録してもらうことが出来るという効果がある。
【0070】また、通信ネットワークを介した登録コードの通知には、郵送料や振込み手数料のような手数料を削減できるので、比較的小額の報酬でも割り良く利用者に付与することが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る広告情報の配信サービスの一連の流れを表した概念図である。
【図2】携帯電話機に送信される報酬メールの一例を示す画像図である。
【図3】配信サービスのホストコンピュータにより構築されるデータベースを示す概略図である。
【図4】配信サービスのホストコンピュータにより実行される広告メール配信処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】配信サービスのホストコンピュータにより実行されるキャッシュバック処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 データベース
11 会員データベース
12 配信先データベース
13 ポイントデータベース
14 還元先データベース
15 カードナンバデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】 携帯電話機に電子メールを送信可能な携帯メールシステムが利用可能な携帯電話機を保有する者に広告情報を配信する広告情報の配信システムであって、登録されている利用者の携帯電話機に電子メールで広告情報を送信する広告情報送信手段と、広告情報の受信に対する報酬として、電話機から通信網を介してサービスセンタに接続するとともに該サービスセンタに登録コードを送信することで電話料金から所定額が差し引かれるように構成された料金支払システムに有効な上記登録コードを通信ネットワークを介して利用者に通知する登録コード通知手段と、を備えていることを特徴とする広告情報の配信システム。
【請求項2】 携帯電話機に電子メールを送信可能な携帯メールシステムが利用可能な携帯電話機を保有する者に広告情報を配信する広告情報の配信システムであって、登録されている利用者の携帯電話機に電子メールで広告情報を送信する広告情報送信手段と、広告情報の受信に対する報酬として、所定の登録コードを提示することで前払いした金銭の利用が可能となる料金支払システムに有効な上記登録コードを通信ネットワークを介して利用者に通知する登録コード通知手段と、を備えていることを特徴とする広告情報の配信システム。
【請求項3】 上記登録コード通知手段は、上記登録コードを広告情報の送信先である携帯電話機に電子メールにより送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の広告情報の配信システム。
【請求項4】 携帯電話機に電子メールを送信可能な携帯メールシステムが利用可能な携帯電話機を保有する者に広告情報を配信する広告情報の配信方法であって、登録されている利用者の携帯電話機に電子メールで広告情報を送信する広告情報送信手順と、広告情報の受信に対する報酬として、電話機から通信網を介してサービスセンタに接続するとともに該サービスセンタに登録コードを送信することで電話料金から所定額が差し引かれるように構成された料金支払システムに有効な上記登録コードを通信ネットワークを介して利用者に通知する登録コード通知手順と、を備えていることを特徴とする広告情報の配信方法。
【請求項5】 金銭を前払いしたことに基づいて登録コードが配布され、この登録コードを提示することで前払いした金銭の利用が可能となる料金支払システムを利用可能な第三者に有価物を付与する有価物の付与システムにおいて、上記第三者に上記料金支払システムの登録コードを通信ネットワークを介して通知する登録コード通知手段を備えていることを特徴とする有価物の付与システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−91677(P2003−91677A)
【公開日】平成15年3月28日(2003.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−284874(P2001−284874)
【出願日】平成13年9月19日(2001.9.19)
【出願人】(501368584)
【Fターム(参考)】