床暖房パネルおよびその施工方法
【課題】接着剤を用いて床暖房パネルの上に貼り付けられた床仕上げ材を取り替える場合に、床暖房パネルを損傷することなく床仕上げ材を剥がすことが可能で、効率よく床仕上げ材を貼り替えることが可能な床暖房パネルおよびその施工方法を提供する。
【解決手段】温水マット1と、小根太3と、均熱材4とを備えた床暖房パネル本体5を、小根太を介して固定用部材2により床15に固定した後、均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rであって、かつ、床仕上げ材10を床暖房パネル20に接合させるための接着剤7が塗布される領域に、接着剤7が塗布される側の表面が剥離性を備えた表面材6を配設し、表面材上に接着剤7を塗布した後、接着剤7を介して床仕上げ材10を接合する。
また、小根太3を介して、床暖房パネル本体5を固定用部材2により床15に固定した後に、表面材6を、固定用部材2を覆うように床暖房パネル本体5上に配設する。
【解決手段】温水マット1と、小根太3と、均熱材4とを備えた床暖房パネル本体5を、小根太を介して固定用部材2により床15に固定した後、均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rであって、かつ、床仕上げ材10を床暖房パネル20に接合させるための接着剤7が塗布される領域に、接着剤7が塗布される側の表面が剥離性を備えた表面材6を配設し、表面材上に接着剤7を塗布した後、接着剤7を介して床仕上げ材10を接合する。
また、小根太3を介して、床暖房パネル本体5を固定用部材2により床15に固定した後に、表面材6を、固定用部材2を覆うように床暖房パネル本体5上に配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、床暖房パネルおよびその施工方法に関し、詳しくは、床暖房パネル上に貼り付け施工された床仕上げ材の貼り替えに、効率よく対応することができるように構成された床暖房パネルおよびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、床暖房パネルが広く利用されるに至っている。この床暖房パネルには、例えば、図13に示すように、発泡樹脂製の温水マット本体51の一方面側に熱媒流通管52を通すための配管溝53を形成し、この配管溝53に熱媒流通管52を埋設し、その表面を、熱媒流通管52を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材(例えば、アルミニウム箔などからなる放熱シート)54で被覆した構造のものがある。
【0003】
そして、このような床暖房パネル55を据え付け施工するにあたっては、図14に示すように、床暖房パネル55を据え付けるべき床の所定の領域に床暖房パネル55を敷設した後、その上に、例えば、フローリング材などの床仕上げ材56を接着剤57を用いて貼り付けることによりその施工を行っている。
【0004】
ところで、上述のような方法でフローリング材などの床仕上げ材56の施工を行った後、床仕上げ材56を取り替える必要が生じた場合(例えば、長期間の使用により床仕上げ材56が損傷した場合や家の改装を行う場合など)、床暖房パネル55から、床仕上げ材56を剥がすことが必要になる。
【0005】
しかしながら、その場合、床仕上げ材56が必ずしも、均熱材54との界面で剥がれず、均熱材54が部分的に温水マット本体51から剥離して均熱材54が損傷したり、場合によっては、温水マット本体51の一部が均熱材54ごと床仕上げ材56に同伴して、温水マット本体51まで損傷してしまうというような問題点がある。
【0006】
そこでこのような問題点を解決するために、
(1)図15に示すように、均熱材54の表面に合成樹脂層(ポリエチレンテレフタレート等)61を貼り付け、その上に、両面テープ62を介して床仕上げ材56を貼り付ける方法(特許文献1参照)、
(2)また、図16に示すように、温水マット本体51と小根太50と均熱材54を備えた床暖房パネル55の、均熱材54の表面に合成樹脂層(ポリエチレンテレフタレート等)61を貼り付け、その上に、伝熱用の金属層71と、合成樹脂層(ポリエチレンテレフタレート等)72を配設し、その上から両面テープ62を介して、床仕上げ材56を貼り付ける方法(特許文献2参照)、
(3)さらに、図17に示すように、温水マット本体51上に配設された均熱材54の表面に、均熱材54と床仕上げ材56との間の剥離性を向上させるためのコーティング材81をコーティングし、その上から両面テープ62を介して、床仕上げ材56を貼り付ける方法(特許文献3参照)
などが提案されている。
【0007】
しかし、上記(1)の特許文献1の方法の場合には、床仕上げ材56を取り替える際に、合成樹脂層61と両面テープ62の界面で剥離するため、床仕上げ材56を取り替える際に、温水マット本体51や均熱材54を損傷することなく、床仕上げ材56を交替することが可能になるが、両面テープ62を用いることを必須の要件とするものであり、施工性に優れた接着剤を用いる方法には適用できないという問題点がある。すなわち、床仕上げ材56を接着剤を用いて施工するようにした場合には、床仕上げ材56が、接着剤を介して合成樹脂層61に強固に接着されるため、床仕上げ材56のみを剥がして取り替えることができなくなるという問題点がある。
【0008】
また、上記(2)の特許文献2の方法の場合にも、床仕上げ材56を取り替える際に、金属層71上に配設された合成樹脂層(ポリエチレンテレフタレート等)72と両面テープ62の界面で剥離するため、床仕上げ材56を取り替える際に、温水マット本体51や均熱材54、金属層71などを損傷することなく、床仕上げ材56を取り替えることが可能になるが、床仕上げ材56と、床暖房パネル55との間に、均熱材54、合成樹脂層61、金属層71、合成樹脂層72、両面テープ62などの多くの層を備えた構成であることから、構造が複雑になり、製造コストが増大するという問題点がある。また、床仕上げ材56を接着剤を用いて施工するようにした場合には、床仕上げ材56が、接着剤を介して合成樹脂層72に強固に接着されるため、床仕上げ材56のみを剥がして取り替えることができなくなるという問題点がある。
【0009】
また、上記(3)の特許文献3の方法の場合、温水マット本体51上に配設された均熱材54の表面に、均熱材54と床仕上げ材56との間の剥離性を向上させるためのコーティング材81をコーティングし、その上から両面テープ62を介して、床仕上げ材56を接合するようにしているので、両面テープ62を用いることが必須の要件となり、施工性に優れた接着剤を用いる方法に適用できないのが実情である。床仕上げ材56を接着剤を用いて施工するようにした場合には、床仕上げ材56とコーティング材81とが強固に接着されるため、床仕上げ材56のみを剥がして取り替えることができなくなるという問題点がある。
【特許文献1】特開平11−264557号公報
【特許文献2】特開2000−199332号公報
【特許文献3】特開2002−242414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、床暖房パネルを損傷することなく床仕上げ材を剥がすことが可能で、効率よく床仕上げ材を貼り替えることが可能な床暖房パネルおよびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)の床暖房パネルは、
熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、前記温水マットの上面に配設された、前記熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルであって、
前記温水マットと、前記小根太と、前記均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、前記小根太を介して固定用部材により床に固定した後に、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域に配設され、その表面に床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される、接着剤塗布面が剥離性を有する表面材を備えていること
を特徴としている。
【0012】
また、請求項2の床暖房パネルは、請求項1の発明の構成において、前記表面材が、前記小根太を介して前記床暖房パネル本体を床に固定するための前記固定用部材を覆うように配設されるものであることを特徴としている。
【0013】
また、請求項3の床暖房パネルは、請求項1または2の発明の構成において、 前記表面材が、透明性を有する樹脂フィルムであることを特徴としている。
【0014】
また、請求項4の床暖房パネルは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成において、前記表面材が、前記小根太の長手方向に沿って、前記均熱材の表面に貼り付けられるものであることを特徴としている。
【0015】
また、請求項5の床暖房パネルは、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成において、前記表面材が、前記床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものであって、前記剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分が、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、前記小根太の長手方向に沿って貼り付けられており、前記小根太を介して前記固定用部材により前記床暖房パネル本体を床に固定した後に、前記剥離紙を剥がし、前記接合用接着剤が露出した領域を前記床暖房パネル本体に貼り付けることにより、前記表面材の前記床暖房パネル本体への配設が行われるように構成されていることを特徴としている。
【0016】
また、本願発明(請求項6)の床暖房パネルの施工方法は、
熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、前記温水マットの上面に配設された、前記熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルの施工方法であって、
前記温水マットと、前記小根太と、前記均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、前記小根太を介して固定用部材により床に固定する工程と、
前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域であって、かつ、床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される領域に、接着剤が塗布される側の表面が剥離性を備えた表面材を配設する工程と、
前記表面材上に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤を介して床仕上げ材を接合する工程と
を具備することを特徴としている。
【0017】
また、請求項7の床暖房パネルの施工方法は、請求項6の発明の構成において、前記小根太を介して、前記床暖房パネル本体を前記固定用部材により床に固定した後に、前記表面材を、前記固定用部材を覆うように前記床暖房パネル本体上に配設することを特徴としている。
【0018】
また、請求項8の床暖房パネルの施工方法は、請求項6または7の発明の構成において、前記表面材として、透明性を有する樹脂フィルムを用いることを特徴としている。
【0019】
また、請求項9の床暖房パネルの施工方法は、請求項6〜8のいずれかの発明の構成において、前記表面材を、前記小根太の長手方向に沿って、前記均熱材の表面に貼り付けることを特徴としている。
【0020】
また、請求項10の床暖房パネルの施工方法は、請求項6〜9のいずれかの発明の構成において、前記表面材として、前記床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものを用い、前記剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、前記小根太の長手方向に沿って貼り付けておき、前記小根太を介して前記固定用部材により前記床暖房パネル本体を床に固定した後に、前記剥離紙を剥がし、前記接合用接着剤が露出した領域を前記床暖房パネル本体に貼り付けることにより、前記表面材の前記床暖房パネル本体への配設を行うように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本願発明(請求項1)の床暖房パネルは、熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、温水マットの上面に配設された、熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルにおいて、温水マットと、小根太と、均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、小根太を介して固定用部材により床に固定した後に、均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域に配設され、その表面に床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される、接着剤塗布面が剥離性を有する表面材を備えているので、施工時には、接着剤を用いて、床仕上げ材を効率よく床暖房パネルに貼り付けることが可能であるとともに、床仕上げ材を取り替える際には、床暖房パネルを損傷することなく、床仕上げ材と表面材との界面で床仕上げ材を確実に剥がすことが可能で、床仕上げ材の貼り替えを容易かつ確実に行うことが可能な床暖房パネルを提供することが可能になる。
なお、本願発明において、床暖房パネル本体を床に固定するための「固定用部材」とは、例えば、ビスや釘などを意味するものであり、その具体的な形状や構成に特別の制約はない。
【0022】
また、請求項2の床暖房パネルのように、請求項1の発明の構成において、表面材を、小根太を介して床暖房パネル本体を床に固定するための固定用部材を覆うように配設するようにした場合、仮に表面材を配設した後に固定用部材で床暖房パネル本体を固定するようにした場合に、床仕上げ材を剥離する際に、表面材の、固定用部材が貫通した部分を起点として、表面材が剥離、破損してしまうような事態が発生することを防止することが可能になり、信頼性を向上させることができる。
【0023】
また、請求項3の床暖房パネルのように、請求項1または2の発明の構成において、表面材として、透明性を有する樹脂フィルムを用いた場合、例えば、均熱材の表面に設けられた表示や、固定用部材の施工箇所(固定用部材が釘である場合の釘打ち箇所)などを確実に目視、確認することができるようになり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0024】
また、請求項4の床暖房パネルのように、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成において、表面材を、小根太の長手方向に沿って、均熱材の表面に貼り付けることにより、通常、床仕上げ材を接合する際に接着剤が塗布されることになる部分を、容易かつ確実に、表面材により覆うことが可能になり、本願発明を実効あらしめることができる。
【0025】
また、請求項5の床暖房パネルのように、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成において、表面材として、床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものを用い、この表面材が、剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分が、均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、小根太の長手方向に沿って貼り付けられた状態としておき(すなわち、仮固定しておき)、小根太を介して固定用部材により床暖房パネル本体を床に固定した後に、剥離紙を剥がして接合用接着剤が露出させた領域を床暖房パネル本体に貼り付けることにより、施工現場で表面材の配設位置を確認することが不要になり、表面材の床暖房パネル本体への配設を容易に行うことが可能になり、施工作業の効率化を図ることが可能になる。
なお、この構成の場合も、床仕上げ材は、接着剤を介して効率よく、しかも確実に表面材に接合されることになる。
【0026】
この請求項5の構成において、表面材の、該接合用接着剤が塗布された面の端部の、剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、小根太が配設された領域を含む領域またはその近傍に貼り付ける作業は、床暖房パネルの製造工程で容易に行うことが可能である。
【0027】
また、本願発明(請求項6)の床暖房パネルの施工方法は、温水マットと、小根太と、均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、小根太を介して固定用部材により床に固定する工程と、均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域であって、かつ、床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される領域に、接着剤が塗布される側の表面が剥離性を備えた表面材を配設する工程と、表面材上に接着剤を塗布する工程と、接着剤を介して床仕上げ材を接合する工程とを備えているので、施工時には、接着剤を用いて、床仕上げ材を効率よく床暖房パネルに貼り付けることが可能であるとともに、床仕上げ材を取り替える際には、床暖房パネルを損傷することなく、床仕上げ材と表面材との界面で床仕上げ材を確実に剥がすことが可能になり、床仕上げ材の貼り替えを、容易かつ確実に行うことが可能になる。
【0028】
また、請求項7の床暖房パネルの施工方法のように、請求項6の発明の構成において、小根太を介して、床暖房パネル本体を固定用部材により床に固定した後に、表面材を、固定用部材を覆うように床暖房パネル本体上に配設するようにした場合、仮に表面材を配設した後に固定用部材で床暖房パネル本体を固定するようにした場合に、床仕上げ材を剥離する際に、表面材の、固定用部材が貫通した部分を起点として、表面材が剥離、破損してしまうような事態が発生することを防止することが可能になり、信頼性の高い施工を行うことが可能になる。
【0029】
また、請求項8の床暖房パネルの施工方法のように、請求項6または7の発明の構成において、前記表面材として、前記温水マット上に配設された前記均熱材の表面に付与した表示が目視できるような透明性を有する樹脂フィルムを用いるようにした場合、例えば、均熱材の表面に設けられた表示や、固定用部材の施工箇所(固定用部材が釘である場合の釘打ち箇所)などを確実に目視、確認することができるようになり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0030】
また、請求項9の床暖房パネルの施工方法のように、請求項6〜8のいずれかの発明の構成において、表面材を、小根太の長手方向に沿って、均熱材の表面に貼り付けるようにした場合、通常、床仕上げ材を接合する際に接着剤が塗布されることになる部分を、容易かつ確実に、表面材により覆うことが可能になり、本願発明を実効あらしめることができる。
【0031】
また、請求項10の床暖房パネルの施工方法のように、請求項6〜9のいずれかの発明の構成において、表面材として、床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものを用い、この表面材を、剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、小根太の長手方向に沿って貼り付けておき(すなわち、仮固定しておき)、小根太を介して固定用部材により床暖房パネル本体を床に固定した後に、剥離紙を剥がして接合用接着剤を露出させた領域を床暖房パネル本体に貼り付けることにより、表面材の床暖房パネル本体への配設を行うようにした場合、施工現場で表面材の配設位置を確認したりする作業を不要にして、表面材の床暖房パネル本体への配設を容易に行うことが可能になり、施工作業の効率化を図ることが可能になる。
なお、この構成の場合も、床仕上げ材は、接着剤を介して効率よく、しかも確実に表面材に接合されることになる。
【0032】
この請求項10の構成において、表面材の、該接合用接着剤が塗布された面の端部の、剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、小根太が配設された領域を含む領域またはその近傍に貼り付ける作業は、床暖房パネルの製造工程で容易に行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの要部構成を示す正面断面図であり、図2は本願発明の床暖房パネルの構成を説明する平面図である。
【0035】
この実施例1の床暖房パネルは、図1に示すように、溝11に、熱媒を通す熱媒流通管12が配設された、発泡ポリスチレンからなる温水マット1と、固定用部材(この実施例1ではビス)2により床15に固定される固定部として機能する小根太3と、温水マット1の上面に配設された、熱媒流通管12を通る熱媒からの熱を均一に伝えるためのアルミ箔などの金属材料からなる均熱材4と、均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rに、接着剤7が塗布される接着剤塗布面(上面)6aが剥離性を有する表面材6とを備え、上面側に床仕上げ材10を接合した状態で使用される床暖房パネル20である。
【0036】
そして、この床暖房パネル20は、温水マット1と、小根太3と、均熱材4とを備えた床暖房パネル本体5を、小根太3を介して固定用部材2により床15に固定した後に、均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rに、接着剤塗布面(上面)6aが剥離性を有する表面材6を配設し、その表面に接着剤7を付与した後、床仕上げ材10を、接着剤7を介して床暖房パネル20(床暖房パネル本体5)に接合することにより施工され、使用されるように構成されている。
【0037】
また、この実施例1の床暖房パネル20においては、温水マット1上に配設された均熱材4の表面に、固定用部材(ビス)2を打ち込む位置を示す表示9a(図2)および固定用部材(ビス)2を打ち込んではいけない位置を示す表示9b(図2)が配設されている。
そして、表面材6を貼り付けた後でも、固定用部材(ビス)2を打ち込んだ位置(すなわちビス2を打ち込む位置を示す表示9aおよびそこに打ち込んだビス2)や、固定用部材(ビス)2を打ち込んではいけない位置を示す表示9bの位置などを目視することができるように、表面材6を構成する材料として、透明性を有する樹脂フィルムが用いられている。
【0038】
さらに、この実施例1の床暖房パネル20では、表面材6として、床暖房パネル本体5に接合される面(この実施例1では下面)6bに接合用接着剤8が塗布されたテープ状の表面材6が用いられており、施工現場で、小根太3を介して固定用部材2により床暖房パネル本体5を床15に固定した後に、表面材6を接合用接着剤8を介して床暖房パネル本体5に容易に貼り付けることができるように構成されている。
【0039】
なお、図2は、この実施例1の床暖房パネルの構成を説明する平面図であって、床暖房パネル20の構成、床暖房パネル本体5に固定用部材(ビス)2を打ち付けた状態、床暖房パネル本体5にテープ状の表面材6'(6)を貼り付けている状態、および、表面材6を貼り付けた状態および、さらには、床仕上げ材10を貼り付けた状態を示す図であり、表面材6は、図2に示すように、小根太3の長手方向に沿って、小根太3が配設された領域を含む領域Rに貼り付けられるように構成されている。
【0040】
次に、本願発明の床暖房パネルの施工方法を図1〜7を参照しつつ説明する。
【0041】
(1)まず、温水マット1、小根太3、均熱材4を備えた床暖房パネル本体5と、表面材6,固定用部材(この実施例1ではビス)2などが同梱された床暖房パネル20の梱包ユニットから床暖房パネル本体5を取り出し、図3に示すように、小根太3を介して固定用部材2により床15に固定する。
【0042】
(2)それから、図4に示すように、表面(接着剤塗布面)6aが剥離性を有する表面材6を、固定用部材2を覆うように床暖房パネル本体5の均熱材4上に接合、配設する。
【0043】
(3)次に、図5に示すように、表面材6の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rに、床仕上げ材10を床暖房パネル20に接合させるための接着剤7を塗布する。
【0044】
(4)それから、図6に示すように、接着剤7を介して床仕上げ材10を接合する。
これにより床暖房パネル20の据え付け施工が終了する。
【0045】
また、上述のようにして床暖房パネル20の据え付け施工をした後に、床仕上げ材10を取り替える必要が生じた場合、床仕上げ材10を床暖房パネル20上から剥離した後、別の床仕上げ材を貼り付けることになるが、表面材6として、表面(接着剤塗布面)6aが剥離性を有するものを使用していることから、図7に示すように、接着剤7の下面と、表面材6の剥離性を有する表面6aの界面で、床仕上げ材10が剥離される。
その結果、表面材6、均熱材4、温水マット1などを損傷することなく床仕上げ材10を床暖房パネル20から剥離させることが可能になる。
【0046】
そして、床仕上げ材10が取り除かれた床暖房パネル20の、表面材6上に、図8に示すように、新しく接着剤7aを塗布し、図9に示すように、接着剤7aを介して新しい床仕上げ材10aを床暖房パネル20上に接合することにより、均熱材4や表面材6などの貼り替えなどを行ったりすることなく、効率よくしかも確実に古い床仕上げ材10から新しい床仕上げ材10aへの貼り替えを行うことができる。
【実施例2】
【0047】
図10は本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる床暖房パネルの施工方法の一工程を示す平面図、図11(a),(b)はこの実施例2の床暖房パネルの施工方法を示す図であり、(a)は表面材の剥離紙を剥がす前の状態、(b)は剥離紙を剥がしている状態を示す断面図である。
【0048】
この実施例2では、図10および図11(a),(b)に示すように、表面材6として、床暖房パネル本体5に接合される面(図12における下面)に接合用接着剤8が塗布され、該接合用接着剤8が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙13が貼り付けられたものが用いられている。
【0049】
そして、この表面材6は、剥離紙13が貼り付けられていない、接合用接着剤8の露出した部分が、均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rの近傍に、小根太3の長手方向に沿って貼り付けられている。
【0050】
このように構成された床暖房パネルを施工するにあたっては、図11(a)に示すように、表面材6の端部が接合用接着剤8を介して均熱材4に接合された状態で、剥離紙13が配設された領域をめくり上げ、温水マット1と、小根太3と、均熱材4とを備えた床暖房パネル本体5を、小根太3を介して固定用部材2により床15に固定した後、図11(b)に示すように、剥離紙13を剥がして、接合用接着剤8を露出させた領域を床暖房パネル本体5に貼り付ける(図12参照)ことにより、床暖房パネル本体5を構成する均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rへの、表面材6の配設を行う。
【0051】
その後は、上記実施例1の場合と同様にして、表面材6の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rに、床仕上げ材10を床暖房パネル20に接合させるための接着剤7を塗布する(図5参照)。
【0052】
それから、接着剤7を介して床仕上げ材10を接合する(図6参照)ことにより、床暖房パネル20の据え付け施工が完了する。
【0053】
この実施例2の方法の場合にも、床暖房パネル20の据え付け施工後に、床仕上げ材10を取り替える必要が生じた場合、床仕上げ材10を床暖房パネル20上から剥離させる際に、表面材6として、表面(接着剤塗布面)6aが剥離性を有するものを使用していることから、図7に示すように、接着剤7の下面と、表面材6の剥離性を有する表面(接着剤塗布面)6aの界面で、床仕上げ材10が剥離される。
その結果、表面材6、均熱材4、温水マット1などを損傷することなく床仕上げ材10を剥離させることが可能になる。
【0054】
その後、床仕上げ材10が取り除かれた床暖房パネル20の、表面材6上に、図8に示すように、新しく接着剤7aを塗布し、図9に示すように、接着剤7aを介して新しい床仕上げ材10aを床暖房パネル20上に接合することにより、均熱材4や表面材6などの貼り替えなどを行ったりすることなく、効率よくしかも確実に床仕上げ材の貼り替えを行うことができる。
【0055】
なお、小根太3が配設された領域を含む領域Rまたはその近傍に仮固定された表面材6の仮固定の解除は、通常は、小根太3を介して固定用部材2により床暖房パネル本体5を床15に固定する前の段階で行うことが好ましいが、小根太3を介して固定用部材2により床暖房パネル本体5を床15に固定する際の作業に、仮固定された状態の表面材6が支障とならないのであれば、固定用部材2により床暖房パネル本体5を床15に固定する際の作業の後に仮固定の解除を行うことも可能である。
【0056】
なお、本願発明は、上記実施例1および2に限定されるものではなく、温水マットの具体的な構成、小根太の構造や配設位置、均熱材の形状や構成材料、表面材の構成材料、表面材と床仕上げ材を接合するための接着剤の種類、床仕上げ材の具体的な構成などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本願発明の床暖房パネルおよび床暖房パネルの施工方法によれば、接着剤を用いて床暖房パネルの上に貼り付けられた床仕上げ材を取り替える必要が生じた場合に、床暖房パネルを損傷することなく床仕上げ材を剥がすことが可能で、効率よく床仕上げ材を貼り替えることが可能になる。
したがって、本願発明は、床暖房パネルの製造技術や、床暖房パネルの施工技術の分野に広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの要部構成を示す正面断面図である。
【図2】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの構成を説明する平面図である。
【図3】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、固定用部材により温水マット本体を床に固定した状態を示す図である。
【図4】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、表面材を均熱材の表面に接合した状態を示す図である。
【図5】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、表面材上に接着剤を配設した状態を示す図である。
【図6】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、表面材上の接着剤を介して床仕上げ材を床暖房パネル上に接合した状態を示す図である。
【図7】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる方法により床暖房パネルを施工した後、床仕上げ材を剥がした状態を示す図である。
【図8】床仕上げ材を剥がした後の、表面材上に新しい接着剤を配設した状態を示す図である。
【図9】表面材上に新しい接着剤を介して、新しい床仕上げ材を接合した状態を示す図である。
【図10】本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる床暖房パネルの施工方法の一工程を示す平面図である。
【図11】(a),(b)は本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、(a)は表面材の剥離紙を剥がす前の状態、(b)は剥離紙を剥がしている状態を示す断面図である。
【図12】本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、表面材を均熱材の表面に接合した状態を示す図である。
【図13】従来の床暖房パネルの構成を示す断面図である。
【図14】従来の床暖房パネル上に床仕上げ材を接合した状態を示す断面図である。
【図15】従来の他の床暖房パネルの構成を示す断面図である。
【図16】従来のさらに他の床暖房パネルの構成を示す断面図である。
【図17】従来のさらに他の床暖房パネルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 温水マット
2 固定用部材
3 小根太
4 均熱材
5 床暖房パネル本体
6 表面材
6’ テープ状の表面剤
6a 接着剤塗布面(上面)
6b 床暖房パネル本体に接合される面
7,7a 接着剤
8 接合用接着剤
9a 固定用部材を打ち込む位置を示す表示
9b 固定用部材を打ち込んではいけない位置を示す表示
10 床仕上げ材
10a 新しい床仕上げ材
11 溝
12 熱媒流通管
13 剥離紙
15 床
20 床暖房パネル
R 均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域
【技術分野】
【0001】
本願発明は、床暖房パネルおよびその施工方法に関し、詳しくは、床暖房パネル上に貼り付け施工された床仕上げ材の貼り替えに、効率よく対応することができるように構成された床暖房パネルおよびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、床暖房パネルが広く利用されるに至っている。この床暖房パネルには、例えば、図13に示すように、発泡樹脂製の温水マット本体51の一方面側に熱媒流通管52を通すための配管溝53を形成し、この配管溝53に熱媒流通管52を埋設し、その表面を、熱媒流通管52を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材(例えば、アルミニウム箔などからなる放熱シート)54で被覆した構造のものがある。
【0003】
そして、このような床暖房パネル55を据え付け施工するにあたっては、図14に示すように、床暖房パネル55を据え付けるべき床の所定の領域に床暖房パネル55を敷設した後、その上に、例えば、フローリング材などの床仕上げ材56を接着剤57を用いて貼り付けることによりその施工を行っている。
【0004】
ところで、上述のような方法でフローリング材などの床仕上げ材56の施工を行った後、床仕上げ材56を取り替える必要が生じた場合(例えば、長期間の使用により床仕上げ材56が損傷した場合や家の改装を行う場合など)、床暖房パネル55から、床仕上げ材56を剥がすことが必要になる。
【0005】
しかしながら、その場合、床仕上げ材56が必ずしも、均熱材54との界面で剥がれず、均熱材54が部分的に温水マット本体51から剥離して均熱材54が損傷したり、場合によっては、温水マット本体51の一部が均熱材54ごと床仕上げ材56に同伴して、温水マット本体51まで損傷してしまうというような問題点がある。
【0006】
そこでこのような問題点を解決するために、
(1)図15に示すように、均熱材54の表面に合成樹脂層(ポリエチレンテレフタレート等)61を貼り付け、その上に、両面テープ62を介して床仕上げ材56を貼り付ける方法(特許文献1参照)、
(2)また、図16に示すように、温水マット本体51と小根太50と均熱材54を備えた床暖房パネル55の、均熱材54の表面に合成樹脂層(ポリエチレンテレフタレート等)61を貼り付け、その上に、伝熱用の金属層71と、合成樹脂層(ポリエチレンテレフタレート等)72を配設し、その上から両面テープ62を介して、床仕上げ材56を貼り付ける方法(特許文献2参照)、
(3)さらに、図17に示すように、温水マット本体51上に配設された均熱材54の表面に、均熱材54と床仕上げ材56との間の剥離性を向上させるためのコーティング材81をコーティングし、その上から両面テープ62を介して、床仕上げ材56を貼り付ける方法(特許文献3参照)
などが提案されている。
【0007】
しかし、上記(1)の特許文献1の方法の場合には、床仕上げ材56を取り替える際に、合成樹脂層61と両面テープ62の界面で剥離するため、床仕上げ材56を取り替える際に、温水マット本体51や均熱材54を損傷することなく、床仕上げ材56を交替することが可能になるが、両面テープ62を用いることを必須の要件とするものであり、施工性に優れた接着剤を用いる方法には適用できないという問題点がある。すなわち、床仕上げ材56を接着剤を用いて施工するようにした場合には、床仕上げ材56が、接着剤を介して合成樹脂層61に強固に接着されるため、床仕上げ材56のみを剥がして取り替えることができなくなるという問題点がある。
【0008】
また、上記(2)の特許文献2の方法の場合にも、床仕上げ材56を取り替える際に、金属層71上に配設された合成樹脂層(ポリエチレンテレフタレート等)72と両面テープ62の界面で剥離するため、床仕上げ材56を取り替える際に、温水マット本体51や均熱材54、金属層71などを損傷することなく、床仕上げ材56を取り替えることが可能になるが、床仕上げ材56と、床暖房パネル55との間に、均熱材54、合成樹脂層61、金属層71、合成樹脂層72、両面テープ62などの多くの層を備えた構成であることから、構造が複雑になり、製造コストが増大するという問題点がある。また、床仕上げ材56を接着剤を用いて施工するようにした場合には、床仕上げ材56が、接着剤を介して合成樹脂層72に強固に接着されるため、床仕上げ材56のみを剥がして取り替えることができなくなるという問題点がある。
【0009】
また、上記(3)の特許文献3の方法の場合、温水マット本体51上に配設された均熱材54の表面に、均熱材54と床仕上げ材56との間の剥離性を向上させるためのコーティング材81をコーティングし、その上から両面テープ62を介して、床仕上げ材56を接合するようにしているので、両面テープ62を用いることが必須の要件となり、施工性に優れた接着剤を用いる方法に適用できないのが実情である。床仕上げ材56を接着剤を用いて施工するようにした場合には、床仕上げ材56とコーティング材81とが強固に接着されるため、床仕上げ材56のみを剥がして取り替えることができなくなるという問題点がある。
【特許文献1】特開平11−264557号公報
【特許文献2】特開2000−199332号公報
【特許文献3】特開2002−242414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、床暖房パネルを損傷することなく床仕上げ材を剥がすことが可能で、効率よく床仕上げ材を貼り替えることが可能な床暖房パネルおよびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)の床暖房パネルは、
熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、前記温水マットの上面に配設された、前記熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルであって、
前記温水マットと、前記小根太と、前記均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、前記小根太を介して固定用部材により床に固定した後に、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域に配設され、その表面に床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される、接着剤塗布面が剥離性を有する表面材を備えていること
を特徴としている。
【0012】
また、請求項2の床暖房パネルは、請求項1の発明の構成において、前記表面材が、前記小根太を介して前記床暖房パネル本体を床に固定するための前記固定用部材を覆うように配設されるものであることを特徴としている。
【0013】
また、請求項3の床暖房パネルは、請求項1または2の発明の構成において、 前記表面材が、透明性を有する樹脂フィルムであることを特徴としている。
【0014】
また、請求項4の床暖房パネルは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成において、前記表面材が、前記小根太の長手方向に沿って、前記均熱材の表面に貼り付けられるものであることを特徴としている。
【0015】
また、請求項5の床暖房パネルは、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成において、前記表面材が、前記床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものであって、前記剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分が、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、前記小根太の長手方向に沿って貼り付けられており、前記小根太を介して前記固定用部材により前記床暖房パネル本体を床に固定した後に、前記剥離紙を剥がし、前記接合用接着剤が露出した領域を前記床暖房パネル本体に貼り付けることにより、前記表面材の前記床暖房パネル本体への配設が行われるように構成されていることを特徴としている。
【0016】
また、本願発明(請求項6)の床暖房パネルの施工方法は、
熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、前記温水マットの上面に配設された、前記熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルの施工方法であって、
前記温水マットと、前記小根太と、前記均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、前記小根太を介して固定用部材により床に固定する工程と、
前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域であって、かつ、床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される領域に、接着剤が塗布される側の表面が剥離性を備えた表面材を配設する工程と、
前記表面材上に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤を介して床仕上げ材を接合する工程と
を具備することを特徴としている。
【0017】
また、請求項7の床暖房パネルの施工方法は、請求項6の発明の構成において、前記小根太を介して、前記床暖房パネル本体を前記固定用部材により床に固定した後に、前記表面材を、前記固定用部材を覆うように前記床暖房パネル本体上に配設することを特徴としている。
【0018】
また、請求項8の床暖房パネルの施工方法は、請求項6または7の発明の構成において、前記表面材として、透明性を有する樹脂フィルムを用いることを特徴としている。
【0019】
また、請求項9の床暖房パネルの施工方法は、請求項6〜8のいずれかの発明の構成において、前記表面材を、前記小根太の長手方向に沿って、前記均熱材の表面に貼り付けることを特徴としている。
【0020】
また、請求項10の床暖房パネルの施工方法は、請求項6〜9のいずれかの発明の構成において、前記表面材として、前記床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものを用い、前記剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、前記小根太の長手方向に沿って貼り付けておき、前記小根太を介して前記固定用部材により前記床暖房パネル本体を床に固定した後に、前記剥離紙を剥がし、前記接合用接着剤が露出した領域を前記床暖房パネル本体に貼り付けることにより、前記表面材の前記床暖房パネル本体への配設を行うように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本願発明(請求項1)の床暖房パネルは、熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、温水マットの上面に配設された、熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルにおいて、温水マットと、小根太と、均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、小根太を介して固定用部材により床に固定した後に、均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域に配設され、その表面に床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される、接着剤塗布面が剥離性を有する表面材を備えているので、施工時には、接着剤を用いて、床仕上げ材を効率よく床暖房パネルに貼り付けることが可能であるとともに、床仕上げ材を取り替える際には、床暖房パネルを損傷することなく、床仕上げ材と表面材との界面で床仕上げ材を確実に剥がすことが可能で、床仕上げ材の貼り替えを容易かつ確実に行うことが可能な床暖房パネルを提供することが可能になる。
なお、本願発明において、床暖房パネル本体を床に固定するための「固定用部材」とは、例えば、ビスや釘などを意味するものであり、その具体的な形状や構成に特別の制約はない。
【0022】
また、請求項2の床暖房パネルのように、請求項1の発明の構成において、表面材を、小根太を介して床暖房パネル本体を床に固定するための固定用部材を覆うように配設するようにした場合、仮に表面材を配設した後に固定用部材で床暖房パネル本体を固定するようにした場合に、床仕上げ材を剥離する際に、表面材の、固定用部材が貫通した部分を起点として、表面材が剥離、破損してしまうような事態が発生することを防止することが可能になり、信頼性を向上させることができる。
【0023】
また、請求項3の床暖房パネルのように、請求項1または2の発明の構成において、表面材として、透明性を有する樹脂フィルムを用いた場合、例えば、均熱材の表面に設けられた表示や、固定用部材の施工箇所(固定用部材が釘である場合の釘打ち箇所)などを確実に目視、確認することができるようになり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0024】
また、請求項4の床暖房パネルのように、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成において、表面材を、小根太の長手方向に沿って、均熱材の表面に貼り付けることにより、通常、床仕上げ材を接合する際に接着剤が塗布されることになる部分を、容易かつ確実に、表面材により覆うことが可能になり、本願発明を実効あらしめることができる。
【0025】
また、請求項5の床暖房パネルのように、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成において、表面材として、床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものを用い、この表面材が、剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分が、均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、小根太の長手方向に沿って貼り付けられた状態としておき(すなわち、仮固定しておき)、小根太を介して固定用部材により床暖房パネル本体を床に固定した後に、剥離紙を剥がして接合用接着剤が露出させた領域を床暖房パネル本体に貼り付けることにより、施工現場で表面材の配設位置を確認することが不要になり、表面材の床暖房パネル本体への配設を容易に行うことが可能になり、施工作業の効率化を図ることが可能になる。
なお、この構成の場合も、床仕上げ材は、接着剤を介して効率よく、しかも確実に表面材に接合されることになる。
【0026】
この請求項5の構成において、表面材の、該接合用接着剤が塗布された面の端部の、剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、小根太が配設された領域を含む領域またはその近傍に貼り付ける作業は、床暖房パネルの製造工程で容易に行うことが可能である。
【0027】
また、本願発明(請求項6)の床暖房パネルの施工方法は、温水マットと、小根太と、均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、小根太を介して固定用部材により床に固定する工程と、均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域であって、かつ、床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される領域に、接着剤が塗布される側の表面が剥離性を備えた表面材を配設する工程と、表面材上に接着剤を塗布する工程と、接着剤を介して床仕上げ材を接合する工程とを備えているので、施工時には、接着剤を用いて、床仕上げ材を効率よく床暖房パネルに貼り付けることが可能であるとともに、床仕上げ材を取り替える際には、床暖房パネルを損傷することなく、床仕上げ材と表面材との界面で床仕上げ材を確実に剥がすことが可能になり、床仕上げ材の貼り替えを、容易かつ確実に行うことが可能になる。
【0028】
また、請求項7の床暖房パネルの施工方法のように、請求項6の発明の構成において、小根太を介して、床暖房パネル本体を固定用部材により床に固定した後に、表面材を、固定用部材を覆うように床暖房パネル本体上に配設するようにした場合、仮に表面材を配設した後に固定用部材で床暖房パネル本体を固定するようにした場合に、床仕上げ材を剥離する際に、表面材の、固定用部材が貫通した部分を起点として、表面材が剥離、破損してしまうような事態が発生することを防止することが可能になり、信頼性の高い施工を行うことが可能になる。
【0029】
また、請求項8の床暖房パネルの施工方法のように、請求項6または7の発明の構成において、前記表面材として、前記温水マット上に配設された前記均熱材の表面に付与した表示が目視できるような透明性を有する樹脂フィルムを用いるようにした場合、例えば、均熱材の表面に設けられた表示や、固定用部材の施工箇所(固定用部材が釘である場合の釘打ち箇所)などを確実に目視、確認することができるようになり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0030】
また、請求項9の床暖房パネルの施工方法のように、請求項6〜8のいずれかの発明の構成において、表面材を、小根太の長手方向に沿って、均熱材の表面に貼り付けるようにした場合、通常、床仕上げ材を接合する際に接着剤が塗布されることになる部分を、容易かつ確実に、表面材により覆うことが可能になり、本願発明を実効あらしめることができる。
【0031】
また、請求項10の床暖房パネルの施工方法のように、請求項6〜9のいずれかの発明の構成において、表面材として、床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものを用い、この表面材を、剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、小根太の長手方向に沿って貼り付けておき(すなわち、仮固定しておき)、小根太を介して固定用部材により床暖房パネル本体を床に固定した後に、剥離紙を剥がして接合用接着剤を露出させた領域を床暖房パネル本体に貼り付けることにより、表面材の床暖房パネル本体への配設を行うようにした場合、施工現場で表面材の配設位置を確認したりする作業を不要にして、表面材の床暖房パネル本体への配設を容易に行うことが可能になり、施工作業の効率化を図ることが可能になる。
なお、この構成の場合も、床仕上げ材は、接着剤を介して効率よく、しかも確実に表面材に接合されることになる。
【0032】
この請求項10の構成において、表面材の、該接合用接着剤が塗布された面の端部の、剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、小根太が配設された領域を含む領域またはその近傍に貼り付ける作業は、床暖房パネルの製造工程で容易に行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの要部構成を示す正面断面図であり、図2は本願発明の床暖房パネルの構成を説明する平面図である。
【0035】
この実施例1の床暖房パネルは、図1に示すように、溝11に、熱媒を通す熱媒流通管12が配設された、発泡ポリスチレンからなる温水マット1と、固定用部材(この実施例1ではビス)2により床15に固定される固定部として機能する小根太3と、温水マット1の上面に配設された、熱媒流通管12を通る熱媒からの熱を均一に伝えるためのアルミ箔などの金属材料からなる均熱材4と、均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rに、接着剤7が塗布される接着剤塗布面(上面)6aが剥離性を有する表面材6とを備え、上面側に床仕上げ材10を接合した状態で使用される床暖房パネル20である。
【0036】
そして、この床暖房パネル20は、温水マット1と、小根太3と、均熱材4とを備えた床暖房パネル本体5を、小根太3を介して固定用部材2により床15に固定した後に、均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rに、接着剤塗布面(上面)6aが剥離性を有する表面材6を配設し、その表面に接着剤7を付与した後、床仕上げ材10を、接着剤7を介して床暖房パネル20(床暖房パネル本体5)に接合することにより施工され、使用されるように構成されている。
【0037】
また、この実施例1の床暖房パネル20においては、温水マット1上に配設された均熱材4の表面に、固定用部材(ビス)2を打ち込む位置を示す表示9a(図2)および固定用部材(ビス)2を打ち込んではいけない位置を示す表示9b(図2)が配設されている。
そして、表面材6を貼り付けた後でも、固定用部材(ビス)2を打ち込んだ位置(すなわちビス2を打ち込む位置を示す表示9aおよびそこに打ち込んだビス2)や、固定用部材(ビス)2を打ち込んではいけない位置を示す表示9bの位置などを目視することができるように、表面材6を構成する材料として、透明性を有する樹脂フィルムが用いられている。
【0038】
さらに、この実施例1の床暖房パネル20では、表面材6として、床暖房パネル本体5に接合される面(この実施例1では下面)6bに接合用接着剤8が塗布されたテープ状の表面材6が用いられており、施工現場で、小根太3を介して固定用部材2により床暖房パネル本体5を床15に固定した後に、表面材6を接合用接着剤8を介して床暖房パネル本体5に容易に貼り付けることができるように構成されている。
【0039】
なお、図2は、この実施例1の床暖房パネルの構成を説明する平面図であって、床暖房パネル20の構成、床暖房パネル本体5に固定用部材(ビス)2を打ち付けた状態、床暖房パネル本体5にテープ状の表面材6'(6)を貼り付けている状態、および、表面材6を貼り付けた状態および、さらには、床仕上げ材10を貼り付けた状態を示す図であり、表面材6は、図2に示すように、小根太3の長手方向に沿って、小根太3が配設された領域を含む領域Rに貼り付けられるように構成されている。
【0040】
次に、本願発明の床暖房パネルの施工方法を図1〜7を参照しつつ説明する。
【0041】
(1)まず、温水マット1、小根太3、均熱材4を備えた床暖房パネル本体5と、表面材6,固定用部材(この実施例1ではビス)2などが同梱された床暖房パネル20の梱包ユニットから床暖房パネル本体5を取り出し、図3に示すように、小根太3を介して固定用部材2により床15に固定する。
【0042】
(2)それから、図4に示すように、表面(接着剤塗布面)6aが剥離性を有する表面材6を、固定用部材2を覆うように床暖房パネル本体5の均熱材4上に接合、配設する。
【0043】
(3)次に、図5に示すように、表面材6の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rに、床仕上げ材10を床暖房パネル20に接合させるための接着剤7を塗布する。
【0044】
(4)それから、図6に示すように、接着剤7を介して床仕上げ材10を接合する。
これにより床暖房パネル20の据え付け施工が終了する。
【0045】
また、上述のようにして床暖房パネル20の据え付け施工をした後に、床仕上げ材10を取り替える必要が生じた場合、床仕上げ材10を床暖房パネル20上から剥離した後、別の床仕上げ材を貼り付けることになるが、表面材6として、表面(接着剤塗布面)6aが剥離性を有するものを使用していることから、図7に示すように、接着剤7の下面と、表面材6の剥離性を有する表面6aの界面で、床仕上げ材10が剥離される。
その結果、表面材6、均熱材4、温水マット1などを損傷することなく床仕上げ材10を床暖房パネル20から剥離させることが可能になる。
【0046】
そして、床仕上げ材10が取り除かれた床暖房パネル20の、表面材6上に、図8に示すように、新しく接着剤7aを塗布し、図9に示すように、接着剤7aを介して新しい床仕上げ材10aを床暖房パネル20上に接合することにより、均熱材4や表面材6などの貼り替えなどを行ったりすることなく、効率よくしかも確実に古い床仕上げ材10から新しい床仕上げ材10aへの貼り替えを行うことができる。
【実施例2】
【0047】
図10は本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる床暖房パネルの施工方法の一工程を示す平面図、図11(a),(b)はこの実施例2の床暖房パネルの施工方法を示す図であり、(a)は表面材の剥離紙を剥がす前の状態、(b)は剥離紙を剥がしている状態を示す断面図である。
【0048】
この実施例2では、図10および図11(a),(b)に示すように、表面材6として、床暖房パネル本体5に接合される面(図12における下面)に接合用接着剤8が塗布され、該接合用接着剤8が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙13が貼り付けられたものが用いられている。
【0049】
そして、この表面材6は、剥離紙13が貼り付けられていない、接合用接着剤8の露出した部分が、均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rの近傍に、小根太3の長手方向に沿って貼り付けられている。
【0050】
このように構成された床暖房パネルを施工するにあたっては、図11(a)に示すように、表面材6の端部が接合用接着剤8を介して均熱材4に接合された状態で、剥離紙13が配設された領域をめくり上げ、温水マット1と、小根太3と、均熱材4とを備えた床暖房パネル本体5を、小根太3を介して固定用部材2により床15に固定した後、図11(b)に示すように、剥離紙13を剥がして、接合用接着剤8を露出させた領域を床暖房パネル本体5に貼り付ける(図12参照)ことにより、床暖房パネル本体5を構成する均熱材4の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rへの、表面材6の配設を行う。
【0051】
その後は、上記実施例1の場合と同様にして、表面材6の表面の、小根太3が配設された領域を含む領域Rに、床仕上げ材10を床暖房パネル20に接合させるための接着剤7を塗布する(図5参照)。
【0052】
それから、接着剤7を介して床仕上げ材10を接合する(図6参照)ことにより、床暖房パネル20の据え付け施工が完了する。
【0053】
この実施例2の方法の場合にも、床暖房パネル20の据え付け施工後に、床仕上げ材10を取り替える必要が生じた場合、床仕上げ材10を床暖房パネル20上から剥離させる際に、表面材6として、表面(接着剤塗布面)6aが剥離性を有するものを使用していることから、図7に示すように、接着剤7の下面と、表面材6の剥離性を有する表面(接着剤塗布面)6aの界面で、床仕上げ材10が剥離される。
その結果、表面材6、均熱材4、温水マット1などを損傷することなく床仕上げ材10を剥離させることが可能になる。
【0054】
その後、床仕上げ材10が取り除かれた床暖房パネル20の、表面材6上に、図8に示すように、新しく接着剤7aを塗布し、図9に示すように、接着剤7aを介して新しい床仕上げ材10aを床暖房パネル20上に接合することにより、均熱材4や表面材6などの貼り替えなどを行ったりすることなく、効率よくしかも確実に床仕上げ材の貼り替えを行うことができる。
【0055】
なお、小根太3が配設された領域を含む領域Rまたはその近傍に仮固定された表面材6の仮固定の解除は、通常は、小根太3を介して固定用部材2により床暖房パネル本体5を床15に固定する前の段階で行うことが好ましいが、小根太3を介して固定用部材2により床暖房パネル本体5を床15に固定する際の作業に、仮固定された状態の表面材6が支障とならないのであれば、固定用部材2により床暖房パネル本体5を床15に固定する際の作業の後に仮固定の解除を行うことも可能である。
【0056】
なお、本願発明は、上記実施例1および2に限定されるものではなく、温水マットの具体的な構成、小根太の構造や配設位置、均熱材の形状や構成材料、表面材の構成材料、表面材と床仕上げ材を接合するための接着剤の種類、床仕上げ材の具体的な構成などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本願発明の床暖房パネルおよび床暖房パネルの施工方法によれば、接着剤を用いて床暖房パネルの上に貼り付けられた床仕上げ材を取り替える必要が生じた場合に、床暖房パネルを損傷することなく床仕上げ材を剥がすことが可能で、効率よく床仕上げ材を貼り替えることが可能になる。
したがって、本願発明は、床暖房パネルの製造技術や、床暖房パネルの施工技術の分野に広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの要部構成を示す正面断面図である。
【図2】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの構成を説明する平面図である。
【図3】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、固定用部材により温水マット本体を床に固定した状態を示す図である。
【図4】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、表面材を均熱材の表面に接合した状態を示す図である。
【図5】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、表面材上に接着剤を配設した状態を示す図である。
【図6】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、表面材上の接着剤を介して床仕上げ材を床暖房パネル上に接合した状態を示す図である。
【図7】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる方法により床暖房パネルを施工した後、床仕上げ材を剥がした状態を示す図である。
【図8】床仕上げ材を剥がした後の、表面材上に新しい接着剤を配設した状態を示す図である。
【図9】表面材上に新しい接着剤を介して、新しい床仕上げ材を接合した状態を示す図である。
【図10】本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる床暖房パネルの施工方法の一工程を示す平面図である。
【図11】(a),(b)は本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、(a)は表面材の剥離紙を剥がす前の状態、(b)は剥離紙を剥がしている状態を示す断面図である。
【図12】本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる床暖房パネルの施工方法を示す図であり、表面材を均熱材の表面に接合した状態を示す図である。
【図13】従来の床暖房パネルの構成を示す断面図である。
【図14】従来の床暖房パネル上に床仕上げ材を接合した状態を示す断面図である。
【図15】従来の他の床暖房パネルの構成を示す断面図である。
【図16】従来のさらに他の床暖房パネルの構成を示す断面図である。
【図17】従来のさらに他の床暖房パネルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 温水マット
2 固定用部材
3 小根太
4 均熱材
5 床暖房パネル本体
6 表面材
6’ テープ状の表面剤
6a 接着剤塗布面(上面)
6b 床暖房パネル本体に接合される面
7,7a 接着剤
8 接合用接着剤
9a 固定用部材を打ち込む位置を示す表示
9b 固定用部材を打ち込んではいけない位置を示す表示
10 床仕上げ材
10a 新しい床仕上げ材
11 溝
12 熱媒流通管
13 剥離紙
15 床
20 床暖房パネル
R 均熱材の表面の、小根太が配設された領域を含む領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、前記温水マットの上面に配設された、前記熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルであって、
前記温水マットと、前記小根太と、前記均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、前記小根太を介して固定用部材により床に固定した後に、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域に配設され、その表面に床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される、接着剤塗布面が剥離性を有する表面材を備えていること
を特徴とする床暖房パネル。
【請求項2】
前記表面材が、前記小根太を介して前記床暖房パネル本体を床に固定するための前記固定用部材を覆うように配設されるものであることを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル。
【請求項3】
前記表面材が、透明性を有する樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の床暖房パネル。
【請求項4】
前記表面材が、前記小根太の長手方向に沿って、前記均熱材の表面に貼り付けられるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の床暖房パネル。
【請求項5】
前記表面材が、前記床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものであって、前記剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分が、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、前記小根太の長手方向に沿って貼り付けられており、前記小根太を介して前記固定用部材により前記床暖房パネル本体を床に固定した後に、前記剥離紙を剥がし、前記接合用接着剤が露出した領域を前記床暖房パネル本体に貼り付けることにより、前記表面材の前記床暖房パネル本体への配設が行われるように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の床暖房パネル。
【請求項6】
熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、前記温水マットの上面に配設された、前記熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルの施工方法であって、
前記温水マットと、前記小根太と、前記均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、前記小根太を介して固定用部材により床に固定する工程と、
前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域であって、かつ、床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される領域に、接着剤が塗布される側の表面が剥離性を備えた表面材を配設する工程と、
前記表面材上に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤を介して床仕上げ材を接合する工程と
を具備することを特徴とする床暖房パネルの施工方法。
【請求項7】
前記小根太を介して、前記床暖房パネル本体を前記固定用部材により床に固定した後に、前記表面材を、前記固定用部材を覆うように前記床暖房パネル本体上に配設することを特徴とする請求項6記載の床暖房パネルの施工方法。
【請求項8】
前記表面材として、透明性を有する樹脂フィルムを用いることを特徴とする請求項6または7記載の床暖房パネルの施工方法。
【請求項9】
前記表面材を、前記小根太の長手方向に沿って、前記均熱材の表面に貼り付けることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の床暖房パネルの施工方法。
【請求項10】
前記表面材として、前記床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものを用い、前記剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、前記小根太の長手方向に沿って貼り付けておき、前記小根太を介して前記固定用部材により前記床暖房パネル本体を床に固定した後に、前記剥離紙を剥がし、前記接合用接着剤が露出した領域を前記床暖房パネル本体に貼り付けることにより、前記表面材の前記床暖房パネル本体への配設を行うように構成されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の床暖房パネルの施工方法。
【請求項1】
熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、前記温水マットの上面に配設された、前記熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルであって、
前記温水マットと、前記小根太と、前記均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、前記小根太を介して固定用部材により床に固定した後に、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域に配設され、その表面に床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される、接着剤塗布面が剥離性を有する表面材を備えていること
を特徴とする床暖房パネル。
【請求項2】
前記表面材が、前記小根太を介して前記床暖房パネル本体を床に固定するための前記固定用部材を覆うように配設されるものであることを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル。
【請求項3】
前記表面材が、透明性を有する樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の床暖房パネル。
【請求項4】
前記表面材が、前記小根太の長手方向に沿って、前記均熱材の表面に貼り付けられるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の床暖房パネル。
【請求項5】
前記表面材が、前記床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものであって、前記剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分が、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、前記小根太の長手方向に沿って貼り付けられており、前記小根太を介して前記固定用部材により前記床暖房パネル本体を床に固定した後に、前記剥離紙を剥がし、前記接合用接着剤が露出した領域を前記床暖房パネル本体に貼り付けることにより、前記表面材の前記床暖房パネル本体への配設が行われるように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の床暖房パネル。
【請求項6】
熱媒を通す熱媒流通管が配設された温水マットと、固定用部材により床に固定される固定部として機能する小根太と、前記温水マットの上面に配設された、前記熱媒流通管を通る熱媒からの熱を均一に伝えるための均熱材とを備え、上面側に床仕上げ材を接合した状態で使用される床暖房パネルの施工方法であって、
前記温水マットと、前記小根太と、前記均熱材とを備えた床暖房パネル本体を、前記小根太を介して固定用部材により床に固定する工程と、
前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域であって、かつ、床仕上げ材を床暖房パネルに接合させるための接着剤が塗布される領域に、接着剤が塗布される側の表面が剥離性を備えた表面材を配設する工程と、
前記表面材上に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤を介して床仕上げ材を接合する工程と
を具備することを特徴とする床暖房パネルの施工方法。
【請求項7】
前記小根太を介して、前記床暖房パネル本体を前記固定用部材により床に固定した後に、前記表面材を、前記固定用部材を覆うように前記床暖房パネル本体上に配設することを特徴とする請求項6記載の床暖房パネルの施工方法。
【請求項8】
前記表面材として、透明性を有する樹脂フィルムを用いることを特徴とする請求項6または7記載の床暖房パネルの施工方法。
【請求項9】
前記表面材を、前記小根太の長手方向に沿って、前記均熱材の表面に貼り付けることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の床暖房パネルの施工方法。
【請求項10】
前記表面材として、前記床暖房パネル本体に接合される面に接合用接着剤が塗布され、該接合用接着剤が塗布された面の端部を除いた領域に剥離紙が貼り付けられたものを用い、前記剥離紙が貼り付けられていない、接合用接着剤の露出した部分を、前記均熱材の表面の、前記小根太が配設された領域を含む領域の近傍に、前記小根太の長手方向に沿って貼り付けておき、前記小根太を介して前記固定用部材により前記床暖房パネル本体を床に固定した後に、前記剥離紙を剥がし、前記接合用接着剤が露出した領域を前記床暖房パネル本体に貼り付けることにより、前記表面材の前記床暖房パネル本体への配設を行うように構成されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の床暖房パネルの施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−147200(P2007−147200A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344506(P2005−344506)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
【Fターム(参考)】
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