説明

床暖房装置の構造

【課題】床材を作業性よく剥離し、かつ、放熱手段を傷めることなく再使用し、フローリングを簡単にリフォームできる床暖房装置の構造を提供する。
【解決手段】床下地材8と床材9との間に放熱手段6を保持してなる床暖房装置であって、該床下地材8と床材9との間には剥離小根太1と放熱手段保持用根太4とが介装されるとともに、該剥離小根太1は床下地材8に剥離自在に仮固定され、該放熱手段保持用根太4は上記放熱手段6を保持して床下地材8に固定され、さらに上記剥離小根太1の上面には床材9が固着された床暖房装置の構造。好ましくは、上記床下地材8には剥離小根太1を仮固定するための押しネジ2が植設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房装置に関する。さらに詳しくは、リフォーム等の際、フローリングの貼り替えを容易に行うことのできる床暖房装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭において、フローリングされた床面を暖房する床暖房装置が広く用いられている。この床暖房装置は、通常、放熱手段と、この放熱手段の表面側に配設される均熱シートと、この均熱シートの表面側に配設される床材とから構成されている。しかしながら、フローリングが長年の使用により傷んだり、部屋の模様替えのために床材の貼り替え等を行う場合、床材のみをきれいに剥離することは困難で、床材と共に均熱シートや放熱手段を取り除かなければならず、作業性が悪く、また、省資源の面からも問題がある。
【0003】
そこで、下記特許文献1には、放熱チューブが内設され、放熱マットに均熱シートを介して配設された床材を必要最小限の交換でもって、比較的容易に、かつ、短時間で貼り替えを行うことのできる床暖房装置が提案されている。
【特許文献1】特開2005−233503号公報(第1〜4頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の床暖房装置は、その第1図、第2図に示されているように、接着剤を数層にわたって積層しなければならず、施工に手間がかかり、また、必ずしも、床材のみ、簡単に剥離できるものとはいえない。
【0005】
本発明はこのような問題を解決して、床材を作業性よく剥離し、かつ、放熱手段を傷めることなく再使用し、フローリングを簡単にリフォームできる床暖房装置の構造を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、床下地材と床材との間に放熱手段を保持してなる床暖房装置であって、該床下地材と床材との間には剥離小根太と放熱手段保持用根太とが介装されるとともに、該剥離小根太は床下地材に剥離自在に仮固定され、該放熱手段保持用根太は上記放熱手段を保持して床下地材に固定され、さらに上記剥離小根太の上面には床材が固着された床暖房装置の構造が提供される。
【0007】
上記床下地材としては、通常、合板等木質系材料が好ましく使用され、また、床材としては、突板等で化粧された化粧合板が好ましく使用される。放熱手段保持用根太を床下地材に固定する方法は、とくに限定されないが、通常、ビスによって固定することが好ましい。
【0008】
請求項2に記載の床暖房装置の構造は、請求項1に記載の発明に加えて、上記床下地材には剥離小根太を仮固定するための押しネジが植設される。予め、剥離小根太を設ける位置に墨打ち等の方法によりマークをし、床下地材の裏面からマークした箇所にネジ部が突出するように押しネジを捻じ込むことが好ましい。
【0009】
請求項3に記載の床暖房装置の構造は、請求項1に記載の発明に加えて、上記剥離小根太の上面には床材が接着されるとともに、上記剥離小根太の上で床材の短手端部を突き合わせて接合し、上面に接着される。接着剤としては、とくに限定されず、公知の常温硬化型の接着剤が好ましく用いられる。
【0010】
請求項4に記載の床暖房装置の構造は、請求項3に記載の発明に加えて、接着剤によって剥離小根太の上面に接着された床材の短手端部にさらに釘を打ち込んで固定することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明にかかる床暖房装置の構造は上記のとおりであり、床下地材と床材との間には床下地材に仮固定され、剥離自在とされた剥離小根太と、上記放熱手段を保持し、床下地材に固定される放熱手段保持用根太とが介装され、上記剥離小根太の上面には床材が固着されているため、リフォーム時に床材を剥がすとき、剥離自在とされた剥離小根太が床材と一緒に床下地材から剥がれ、作業性よく床材の除去を行うことができる。
【0012】
古い床材と一体化した剥離小根太を剥がした後は、再び新しい剥離小根太を仮固定し、この新しい剥離小根太に新しい床材を固着する。このようにすることによって、放熱手段を傷めることなく再使用でき、床材の貼り替えを行うことが可能となる。したがって、低コストで作業性よく、フローリングのリフォームを行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の床暖房装置の構造は上記のとおりであり、請求項1の床暖房装置の構造の有する効果に加え、床下地材に剥離小根太を仮固定するための押しネジが植設されているため、この押しネジの床下地材上に突出したネジ部に剥離小根太を上からハンマ等で打叩することにより、簡単に仮固定できる。また、剥がすときは、上方に引き上げることにより、簡単に押しネジのネジ部から抜くことが可能であり、このようにして、剥離小根太を剥離自在に、床下地材に仮固定することができる。
【0014】
請求項3に記載の床暖房装置の構造は上記のとおりであり、請求項1の床暖房装置の構造の有する効果に加え、上記剥離小根太の上面に接着剤を塗布することにより、床材がしっかりと接着して固着されるとともに、床材の短手端部どうしを剥離小根太の上で突き合わせて接合し、剥離小根太の上面に接着することができる。
【0015】
請求項4に記載の床暖房装置の構造は上記のとおりであり、請求項3の床暖房装置の構造の有する効果に加え、さらに床材の短手端部に釘を打ち込み、釘着するため、端部が跳ね上がったり、反り返ること等を防いでしっかりと剥離小根太に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明にかかる床暖房装置の構造を示す分解断面図である。図1において、上記床暖房装置は、床下地材8と床材9との間に放熱手段6を設けてなり、剥離小根太1と放熱手段保持用根太4とが介装されている。この放熱手段6は、放熱手段保持用根太4を固定用ビス5でビス留めして床下地材8に保持される。また、放熱手段6は温水が循環する温水パイプ61を断熱材7で断熱した温水マットから構成されている。
【0017】
一方、上記床下地材8には、マークした箇所の裏面から捻じ込まれ、ネジ部21が突出した押しネジ2が植設されている。この押しネジ2のネジ部21に剥離小根太1が剥離自在に仮固定されるとともに、上記剥離小根太1の上面には床材9を固着するための接着剤3が塗布され、施工時には床材9と剥離小根太1とは接着して一体化される。
【0018】
図2は、床下地材8に上記した方法により植設された押しネジ2に剥離小根太1を打叩して仮固定し、放熱手段保持用根太4を固定用ビス5でビス留めした本発明の床暖房装置の構造を施工する第1段階を示す断面図である。図3は、上記本発明の床暖房装置の構造を施工する第1段階を示す平面図である。
【0019】
本発明の床暖房装置の構造においては、上記第1段階についで、剥離小根太1の上面に接着剤3を塗布して床材9を接着する。図4は、押しネジ2に仮固定された剥離小根太1の上面に接着剤3を塗布し、剥離小根太1と床材9とを接着、一体化した状態を示す断面図である。
【0020】
図4に示されているように、放熱手段保持用根太4によって保持された放熱手段6の内部には温水パイプ61が配管され、温水パイプ61に温水が循環して床材9を暖め、床暖房される。一方、床材9は、床下地材8に植設された押しネジ2によって仮固定され、適切な間隔で設けられた剥離小根太1によってしっかりと支持され、使用者は使用感よく床面を歩行し、快適に過ごすことができる。
【0021】
一方、フローリングが傷んだり、部屋のリフォームのために床材の貼り替えを行うときは、床材9に切れ目を入れ、床材9を剥がす。このとき、床材9と剥離小根太1とは接着、一体化されているとともに、剥離小根太1は剥離自在に仮固定されているため、床材9と一緒に小根太1を剥がすことができる。図5は、上記のようにして床材9と剥離小根太1とを一緒に剥がした状態を示す説明図である。
【0022】
図5に示されているように、床材9と一緒に剥離小根太1を剥がした後は、押しネジ2は床下地材8に植設されたままであるため、再び新しい剥離小根太1を打叩して押しネジ2に仮固定し、新しい床材9を接着剤3によって接着できる。このようにすることによって、放熱手段6を傷めることなく、再使用することが可能で、低コストでフローリングのリフォームをすることができる。
【0023】
図6は、本発明の床暖房装置の構造を実施してリフォームされた床面Aを示す平面図である。図6に示されているように、床材9は、上記したように点線で示す剥離小根太1の上面に接着される。このとき、床材9の短手端部は剥離小根太1の上で突き合わせて接合し、剥離小根太1の上面に接着され、さらに、釘Tで釘着する。このように、接着と共に釘着することにより、床材9の端部は剥離小根太1の上にしっかりと固着され、端部が跳ね上がったり、反り返ることを防ぐ。
【0024】
本実施形態においては、剥離小根太1の床下地材8への仮固定は、押しネジ2のネジ部21によってされているが、押しネジ2に限られず、ダボとダボ穴により仮固定してもよい。また、放熱手段保持用根太4は固定用ビス5で固定されているが、固定用ビス5に限られず、釘着、接着等の方法によってもよい。さらに、床材9と放熱手段6との間に均熱シートを配設してもよい。このように、本発明は種々設計変更可能であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、いずれも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる床暖房装置の構造を示す分解断面図である。
【図2】本発明にかかる床暖房装置の構造を施工する第1段階を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる床暖房装置の構造を施工する第1段階を示す平面図である。
【図4】剥離小根太と床材とを接着、一体化した状態を示す断面図である。
【図5】床材と剥離小根太とを一緒に剥がした状態を示す説明図である。
【図6】本発明にかかる床暖房装置の構造を実施してリフォームされた床面を示す平面図である。
【符号の説明】
【0026】
A 本発明にかかる床暖房装置の構造を実施してリフォームされた床面
T 釘
1 剥離小根太
2 押しネジ
21 ネジ部
3 接着剤
4 放熱手段保持用根太
5 固定用ビス
6 放熱手段
61 温水パイプ
7 断熱材
8 床下地材
9 床材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下地材と床材との間に放熱手段を保持してなる床暖房装置であって、該床下地材と床材との間には剥離小根太と放熱手段保持用根太とが介装されるとともに、該剥離小根太は床下地材に剥離自在に仮固定され、該放熱手段保持用根太は上記放熱手段を保持して床下地材に固定され、さらに上記剥離小根太の上面には床材が固着された床暖房装置の構造。
【請求項2】
上記床下地材には剥離小根太を仮固定するための押しネジが植設された請求項1に記載の床暖房装置の構造。
【請求項3】
上記剥離小根太の上面には床材が接着されるとともに、床材の短手端部は上記剥離小根太の上面で接合して接着される請求項1に記載の床暖房装置の構造。
【請求項4】
さらに床材の短手端部が釘着される請求項3に記載の床暖房装置の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−144981(P2008−144981A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329160(P2006−329160)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】