説明

床材、その製造方法及び敷設方法

【課題】基礎上に接着剤で貼り付ける必要性のない床材を提供する。
【解決手段】床材は、弾性の顆粒凝集体であるコア層2と、このコア層2を包囲する膜3を備える。好ましくは、材料1はストリップやタイルのようなモジュールの形態をし、膜3は、モジュールの少なくとも1つの側部において縁5を形成し、この縁5は、隣接する少なくとも1つのモジュールと重なる関係の下で適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床材に関する。本発明は、また、対応する製造方法と敷設方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、広範囲で可能な応用例に準拠して、生み出された。
【0003】
特に、本発明による材料は、屋内と屋外の両方の用途において、スポーツ活動用の床板と共に使用できる弾性基材として使用するのに適している。
【0004】
例えば、ここに述べる材料は、弾力性(伸縮性)基材として、US-B-6 877 535(これはEP-A-1 158 099に対応する)に記載されたタイプの人工芝のカバーリングと一緒に使用するのに適している。これらは、実質的に、層状のシートのような基部を備えた人工芝のカバーリングであって、上記基部は、自然芝の草深い草地を擬態するために基材から延びる複数の糸状構成物と、この糸状構成物を略上向きの状態に保つために、糸状構成物の間に分散された顆粒状の充填材又は充填物とを有する。上記顆粒状の充填材(充填物)は、ポリオレフィン系材料とビニルポリマー系材料とにより構成される一群から選択された実質上均質な質量の顆粒材料によって構成されている。
【0005】
この解決策に関する更なる有利な進展は、EP-A-1 319 753、EP-A-1 375 750、EP-A-1 371 779、及び、EP-A-1 486 613の書類に記載されている。これら全ての書類は本出願人の名において提出されたものである。
【0006】
本発明による材料は、全てのスポーツ活動に適する制御された弾性基材を提供することに加えて、さらに、外傷及び/又は外科手術を受けた患者のリハビリテーションに使用でき、また、子供の遊び場の安全区域にも使用できる。
【0007】
工業部門は、ここに記載された材料の適用可能なもう一つの興味深い部門を構成する。上記材料は、例えば、工事現場やそれに類似した作業環境での仮設の床を作製するために使用できる。上記工事現場や作業環境では、床は、例えばダンプカーやフォークリフト等の車両の通過によって生じる圧力のような相当な圧力に晒される。
【0008】
具体的には、本発明は、弾性粒子(すなわち弾性顆粒状)材料の凝集体(又は集合体。上記2つの言葉は本文では同意義として使用される)で形成されるコア層(核層)を備えた床材に関する。周知のように、「凝集体(又は集合体)の材料」とは、一般に、又は、粒子や粉末が塊状又は密着融合状に集合した形状の材料を意味する。
【0009】
床材は、例えば、弾性ポリマーやEPDM(エチレン-プロピレン-ジエン-モノマー)、その他種々のタイプの人工ゴム及び合成ゴム、及び、種々の特性のエラストマーからなる顆粒の基部を有し、この種の床材は当業者に周知となっている。凝集剤として、通常、複合ポリウレタンが用いられる。また、最近の応用例では、単一成分のポリウレタンが用いられる。上述の範疇に含まれる床材は当該技術分野では既知となっていて、このことは、例えば、ベアレブルガー・シャウムストフヴェルク・ゲーエムベーハー[エーユー](Berleburger Schaumstoffwerk GmbH [E.U.])社製のレグポール(登録商標)(REGUPOLTM)によって、また、もう一つの例として、EP-A-1 555 097によって、実証されている。
【0010】
これらの既知材料は、通常、種々の厚みと大きさのスラブ又はタイルの形状をしている。敷設作業では、通常、当該材料が、略水平となった基礎や下張り床の上に接着剤で貼り付けられ、これによって、顆粒凝集材料の層の上に貼り付けられる別の層の床の敷設基材として機能し得る、ということを想定している。
【0011】
しかし、この解決策は一連の欠点を露呈している。
【0012】
特に、上記材料は、材料(弾性の顆粒凝集体)の本来の性質によって、容易に、顆粒が不本意にも拡散するという状況になる。この欠点は、材料が相当な圧力を受けるような用途(以前に言及した起り得る車両通行の例を参照)においては、特に切実である。
【0013】
上記材料を、基礎の上に、望ましい位置に保つために接着剤で貼り付ける必要性は、上記材料が一時的のみに敷設されるような用途では、認識されていない要素である。特に、基礎の上に貼り付けられた材料が取り除かれるとき、材料本体を基礎から取り外した後には、多量の顆粒や顆粒の塊が、基礎の上の定位置にしっかりと貼り付けられて、残留することが容易に起こる。したがって、除去作業は、基礎から顆粒や顆粒の塊を取り除くための削り動作で完了する。この除去作業は、時間や費用の損失を示唆していることに加えて、例えば、保護層としての顆粒凝集体材料を敷設することによって、既存の床(例えば高品質木材や石材の床)を損傷から保護しようとする場合、基礎が好ましくない損傷に至る可能性がある。
【0014】
その他の欠点は、隣接するスラブ間の接続領域に関連する。上記接続領域は、床材の不連続という特性を伴った現実の隙間を形成しやすい。上記不連続は、機械的な観点すなわちトレッド抵抗(踏み付けたときの抵抗)に関する観点と、湿気に対する床材の挙動の観点との双方から、認識することができる。後者の観点は、(屋外の用途では)雨水に対して良好な排水特性を示す床材を保証する必要性に関して、また、(屋内の用途では)地面から上昇する湿気に対する障壁として機能する床材を作る可能性に関して、床材が全体として示す特性の故に、一般に、相当に重要である。
【特許文献1】US-B-6 877 535
【特許文献2】EP-A-1 158 099
【特許文献3】EP-A-1 319 753
【特許文献4】EP-A-1 375 750
【特許文献5】EP-A-1 371 779
【特許文献6】EP-A-1 486 613
【特許文献7】EP-A-1 555 097
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上に概説した全ての要求事項を協調的に満たすことが可能な床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、上記目的は、請求項に具体的に言及された特性を有する床材によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、付属の図面を参照して、全く限定の無い例示により説明される。
【0018】
付属図面の図では、参照番号1は、例えば、本明細書の冒頭部で言及した用途のいかなるものにも使用可能な床材を遍く示す。
【0019】
材料1は、「モジュール」の形態に製造される。上記「モジュール」は、ここに示された実施形態の例では、ストリップ(細長片)で構成される。上記ストリップは、以下に詳細に述べる基準に従って、基礎または下張り床Sの上に巻き出されて、互いに平行に敷設され、そして互いに接続される。ストリップ形式の実施形態が目下のところ好ましい選択といえるが、いずれにしても、本発明による解決策は、スラブやタイルの形状をしたモジュールを作成するのに適したものとなっている。
【0020】
材料1はコア(核)2を備え、上記コア2は、一般的に、弾性材料を基礎にした顆粒材料によって構成されている。
【0021】
上記弾性材料は、本明細書の冒頭部で既述したように、弾性ポリマーの顆粒や種々の性質をもつゴム(例えばEPDM)によって材料で構成されている。また、上記弾性材料は、好ましい実施形態では、リサイクルタイヤから得られた顆粒材料によって構成されている。
【0022】
コア層2を形成する顆粒材料は、凝集体(または集合体。これらの2つの言葉は、既述したように、ここでは同意義として使用される。)であり、例えば複合ポリウレタンや単一成分ポリウレタンで形成される結合剤の利用を伴う。本明細書の冒頭部で既述したように、このタイプの材料は公知であるので、ここで更に詳細に述べることは不要である。
【0023】
コア材2に凝集/集合の特性を付与するために用いられる結合剤について、ポリウレタンのような結合剤の選択は、現在は優先的なものと考えられたとしても、必須ではないことを思い起こさねばならない。したがって、他のタイプの結合剤の使用も、本発明の範囲の中に含まれる。(現在は好ましい変形例とは考えられていないが)本発明の可能な変形例では、或る弾性材料(例えば或るゴム材料)によって示される凝集の特性を利用することにより、凝集状態が獲得されうる。この場合、結合剤を使用することなく、単に圧縮力を顆粒材料に与えることによって、必要な特性である機械的密着性を上記層2に与えることができると考えられる。
【0024】
我々の考えを単に明らかにするために(これは本発明の範囲に対していかなる限定をも示唆するものではない)、上記層2を構成する顆粒は、屋外用途に設計された床材の場合、0.5-7mmの範囲の粒径を有し、屋内用途の場合、それよりもわずかに小さく、0.5-5mmの範囲の粒径を有し得る。
【0025】
もちろん、先に示された寸法値は(本明細書及び請求項に記載された他の定量的なデータのように)、要求生産量と上記定量値の測定に通常付随する許容差を考慮したものと理解すべきである。
【0026】
コア層2を作るために用いられる結合剤(例えば、複合ポリウレタンや単一成分ポリウレタン)の量は、通常、屋外用途の場合、(粒の重量に対して)2〜10重量%の範囲にあり、屋内用途の場合、(粒の重量について)5〜15重量%の範囲にある。
【0027】
ここに記載の解決策の重要な特徴は、コア層2が「むき出し」ではなく、コア層2を覆う膜、つまり、外皮3で覆われていることに在る。
【0028】
以下において明確になる理由によって、膜3によって行われるコア層2の被覆処置は完結又は実質的に完結する。材料1がロール状に巻かれるよう設計されてストリップの形状に作られる場合、膜3がコア層2を完全に包囲することができるが、そうでない場合は、ストリップの2端の内の一端又は両端を蔑ろにしている。
【0029】
材料1が形成される「モジュール」が、例えば矩形のスラブやタイルの形状をしている場合、膜3は、(以下に更に詳細が述べられる方法によって)モジュールの全側面に対応する領域において再度密閉される。こうして、コア層2の完全な被覆(すなわち「被包」)処理がなされるが、そうでない場合は、1つの側面又は対向する2つの側面が開いた状態のままである。
【0030】
モジュールがストリップの形状(つまり、幅が狭くて長いスラブ)である場合、膜3は、チューブ構造を有することができ、したがって、ストリップの2つの小さな側面を除いて、モジュールの展開の全体にわたって、コア層2を包囲することができる。しかし、膜3は、先に述べたチューブ構造を維持するにしても、ストリップの2つの短い端側を除いて、モジュールの展開の全体にわたって、コア層2を被覆することができる。
【0031】
全く完全な被覆すなわち被包か、或いは、コア層2の境界部のわずかな部分を(例えば、敷設の際に可能な被覆を考慮して)被覆しないでおくかの選択は、用途を考慮した特定条件によって、明らかに左右される。コア層2の縁の小部分が覆われないまま残ることがあり得るが、どのような場合でも、このことによって、膜3によるコア層2の被覆の全体的効果が変化するということは無い。
【0032】
また、上記膜3は、コア層2の包囲の望ましい効果の達成を害することなく、コア層2を構成するモジュールの形態的特性に従って、異なる基準に依って作ることができる。
【0033】
例えば、完全という理由でここに述べられた2つの解決策は、目下のところ好ましいものとは考えられていないが、材料1がストリップという形状に製造される場合には、膜3は、連続的な管状構造の単一シートの形状で製造されて、以下に詳細に述べる様式により、コア層2の周りに取り付け・固定されることが想定される。或いは、上記膜3は、当初オープンな単一のシートが、コア層2の周りにU字形状を形成するように巻かれ、次に、通常はストリップの縦縁の一つに沿って閉じられて、コア層2を包むチューブ構造にする。
【0034】
付属図面の図は、目下の好ましい実施形態に言及する。この場合、膜3は(互いに同一又は異なる)複数のシートで形成され、例えば、2枚のシート3a,3bで形成される。上記シート3a,3bは、コア層2の主対向面に対応する領域に延在するとともに、その側部に沿って(すなわち、床材1がストリップ状に製造される場合は、ストリップの長辺に沿って)、番号4で示す閉塞線すなわち密閉線に対応する領域で、再び閉塞する。
【0035】
図1に示す例では(現在好ましい本発明の実施形態に対応したものであるが)、2本の上記閉塞線4は、コア層2の一方の面と基本的に同一平面上に在る。したがって、シート3aは実質的に平坦であり、一方、シート3bは概ねC字形状すなわち溝形状の構造を有する。
【0036】
しかしながら、上述の選択は決して強制的なものではない。
【0037】
実際、上記線4は、例えば層2の中間の平面(例えば、図1では図面に対して垂直となる中間の平面)に対応する領域に設けることができる。或いは、上記線4の内の一方をコア層2の面の1つに対応する領域に設け、他方を同じコア層2の反対側の面に対応する領域に設けることができる。
【0038】
特に、図1に示す実施形態では、上記シート3a,3bは、材料1の側部の一つに延在して、縁5を形成することが考えられている(尤も、材料1の各モジュールの2つ以上の側部に対応する領域においても、同様の解決策が考えられる)。上記縁5は、通常、少なくとも末端の縁に対応する領域において、番号6で示す少なくとももう一つの閉塞線又は密封線によって補強されている。
【0039】
既に述べたように、縁は、各床モジュール1の2つ又はそれ以上の側部に設けることができる。上記縁は、例えば、図1において5で示された(そして、図5に言及して詳細に後述する基準によって幾つかの床モジュールと接続できる)縁である。
【0040】
例えば、このモジュールが矩形のタイルに構成される場合、縁5のような縁は、矩形の隣り合う2辺に設けることができる。
【0041】
さらに、図1に示された実施形態の例では、縁5は、コア層2を覆う2枚の膜のシート3a,3bが延在することによって形成されるものとして表されている。しかしながら、縁5は、それらのシートのうちの一つのみによって(例えば、3aで示すシートによって)形成することも可能である。
【0042】
膜(すなわち、膜の少なくとも一部)のシート3a,3bの内の少なくとも1つを製造するためには、不織布材料(NW)を選択するのが好ましい。不織布材料は、繊維が連続した不織布ジオテキスタイル材料として一般に知られるタイプの材料であってもよく、ニードルフェルトのタイプの加工処理で得られる。この種の材料は、ポリエステル系が有利である。
【0043】
膜3の材料は、例えば、50〜400g/m2の(UNI EN ISO965基準による)単位面積質量を有することが可能であり、典型的には、150g/m2である。
【0044】
与えられた単位面積質量に関するデータは、以下のことを示している。すなわち、材料1の全体の単位面積質量は、主にコア層2の特性が表れて、通常は膜3よりもはるかに重いものとなる。
【0045】
我々の考えをただ明らかにするためだが、屋外用途に設計される材料1は、典型的には、20〜40mmの厚みを有し、25mmの厚みでは13〜14kg/m2の単位面積質量を有する。したがって、厚みミリメータ当たり0.5〜0.6 kg/m2の平均分布となる。
【0046】
一方、屋内用途には、全体的に薄い材料が好ましい。上記材料は、典型的には、厚みが4-15mmの領域内にあって、厚みミリメータ当たり0.5〜0.6kg/m2の平均分布に相当する単位面積質量を有する。
【0047】
膜3は、前述の材料のヒートシール(熱融着)が可能な限り、前述のタイプの材料を選択することが有利である。したがって、熱を局部的に印加してヒートシールすることにより、閉塞線4(存在する場合は6も)を形成することができる。もちろん、上記シール線や溶接線を形成する代わりに、接着剤や超音波溶接を適用してもよい。
【0048】
上述のタイプの材料のもう一つの重要な特性は、床材1の製造時に(後に詳細が述べられる様式にしたがって)熱と圧力とを合せて付与することにより、コア層2の対向面上に、膜のシート3a,3bを堅固に固定することができるということである。用語「堅固な固定」とは、当然に、膜3がコア層2に固定された状態を示すことを意味する。したがって、使用時に想定以上の高い応力が加わらなければ、コア層2に対して移動したり滑り落ちたりしない。
【0049】
もちろん、それ程好ましい方法ではないが、上記固定は、代替えとして、粘着性材料の層を用いることができる。
【0050】
いずれにせよ、膜のシート3a,3bがコア層2に(少なくともその主面に)固定されることが、床1の寸法的な安定性を確保するために重要である。
【0051】
前述のタイプのジオテキスタイル材料が示すもう一つの利点は、材料1を敷設基礎に堅固に接続するためや、或いは、更なる床層を床材1の上に堅固に接続するために使用する粘着材料の層を、床の上側面や下側面上に、容易に納めることができることである。
【0052】
材料1が基礎に貼り付けられる場合(後に更に明らかになる理由により、必須ではないが)、コア層2が膜3で覆われている限り、層2の残り粒を残すことなく、敷設基礎から全体として材料1を除去することができることが評価される。
【0053】
さらに、膜3を作製するための上記材料は、透水性の材料の形態に製造できるという利点があり、その目的は、材料1に全体として良好な排水性能を付与することである。上記特性は屋外用途では重要である。
【0054】
しかしながら、前述の材料の選択は決して絶対的なものではなく、用途の特定なニーズに応じて変更できる。
【0055】
特に、膜3の異なる部品(例えば、図1に表れるシート3a,3b)は、異なる材料で作製できる。例えば、上のシートは先述のタイプの材料を用いることができる一方、底のシートは、本質的に(或いは施された処理の結果)水と湿気に関して不透過の特性を有する材料を用いることができる。この選択は、例えば、敷設基礎から発する上昇湿気が生じるような室内用途にも適用できる。この場合、敷設基礎に直接敷かれる底シートが不透水性の特性を示すことは、床材1が、上昇する湿気に関して効果的な遮蔽を提供することを意味する。
【0056】
図2は、図1の材料1のような床材の可能な製造基準を示す概略図である。
【0057】
当業者は、図2を参照して述べられる種々の処理作業(及びそれに対応して使用される装置)が、個々にお取り上げてみると、床材の製造用のプラントで通常行われる作業に対応し、且つ、一般に利用される装置に対応していることを認識する。このことによって、溶接線/シール線4,6及び縁5に関するものを除いて全て、ここで更に詳細を述べることは不要なる。
【0058】
この場合、もう一度、方位特性の(非限定的な)寸法表示を付与するために、図2を参照した記載された工程は、ストリップの形状の床材1の製造に言及している。上記床材1は2メートルの範囲の幅を有し、上記床材1には、側面の内の一つの側面に沿って一つの縁5が設けられ、上記縁5は、およそ2cmと6cmの間の幅を有する。
【0059】
図2に表された製造方法は、既知のタイプの供給源(例えばリール)から膜3のシート3aが供給されることから開始される。シート3aは、巻き広げられて、実質的に水平方向に(図2で見ると左から右に向かって)前進するようになっている。次に、上記シート3aの上には、全体として10で示されたステーションにおいて、層2の顆粒状物質20が「播種」される。上記物質20は、自由な状態で(したがって、まだ凝集体/集合体ではない)シート3a上に撒かれるが、その中に温度活性可能な結合剤(例えば、単一成分のポリウレタン)を含んでいる。
【0060】
参照番号12は、実質的に一種のドクターブレードのようなものに似た処理ステーションを示す。上記処理ステーションは、床材1に付与しようとする全体厚に応じて、シート上に撒かれた粒20の床の厚みを所定の厚みに調節するために、シート3aの上方に吊り下げられ、保持されている。
【0061】
参照番号14は、更に別の処理ステーション(基本的にはローラー散布機)を示している。上記処理ステーションでは、もう1つの膜3のシート3bが、供給源(図示しないが、例えばリール)から出てきて、顆粒20の上に貼り付けられる。このようにして、底部から上方に、シート3aと顆粒20の床とシート3bとで構成されるサンドイッチ構造が形成される。
【0062】
こうして形成されたサンドイッチ構造は、実質的に、その長手方向両側部では開放されたウェブ(薄板)状の複合層状材料の形態をしている。この複合材料は、次に、実質的に連続バンドプレスで構成された処理ステーション16に供給される。この連続バンドプレスは、圧力と熱を同時に印加することにより、次のような作用を付与する機能を有している。
(1)顆粒20に混合済のポリウレタン結合剤が熱誘発されて重合した結果としてのコア層2の形成、
(2)コア層2の対向面と膜3のシート3a,3bとの間の堅固な表面接着の形成、
(3)溶接線又は密封線4に対応した領域の膜3の閉塞と、縁5の同時形成(これに付随した溶接線6の形成を含む)。
【0063】
現在好ましい実施形態では、バンドプレス16は図3及び4の断面図から推察される構造を有する。
【0064】
特に、問題の上記プレスは、従来の構造の底バンド18を有し、したがって、上押圧ブランチ(図4の18a)を有する。この上押圧ブランチは、全体として平坦であり、膜3のシート3aに抗して作動する。
【0065】
全体が19で示される補助バンドは、図3及び4の断面図からよりよく理解されるように、(通常は下側位置に配置される)バンド18とは異なって、もっと複雑な3部構成の構造を有する。
【0066】
具体的には、バンド19は、現に、3つのエンドレス環状バンド191,192,193で構成され、その内の中央の位置に配置されるものは、アクティブ・ブランチ19a(図4参照)を有する。上記アクティブ・ブランチ19aは、コア層2の上面に対応する領域でシート3bに接触するように設計されている。
【0067】
192,193で示される上記2つの側部押圧ループは、代わりに、それぞれアクティブ・ブランチ19b,19cを有する(図4参照)。上記アクティブ・ブランチ19b,19cは、底押圧バンドのアクティブ・ブランチ18aと協働して、床材1のストリップの一方の側に、第1の閉塞線4を与えると共に、床材1のストリップの反対側に、もう一つの閉塞線4と縁5とを付与する。上記縁5は、縁5に付随した更なる閉塞線6を含んでいる。
【0068】
ステーション16から出現するストリップ1の形状した床材は、次に、巻き取りステーション22に送られて、ロールの形状となる。
【0069】
図2に示された基本的なシステム構造は、(例えば、材料1の一方又は両方の面を仕上げ、ロールから材料を巻き広げるのを容易にする離型剤を含む補足層の塗布、モールド剥離剤の塗布などの)補足的な機能をなす要素によって、完全なものにすることができるということは、当業者は容易に理解できるであろう。
【0070】
もちろん、材料1がスラブ又はタイルの形態に形成されるように設計されている場合、一般に、個々のタイルを形成するように設計された横断方向切断ステーションが存在する。こうして形成された横断方向側部に沿って、膜が閉塞した領域の形成が可能となる。
【0071】
図5は、ここに記載された材料1を敷設する作業の概略図であって、具体的には材料がストリップの形状に形成される場合に言及したものである。材料がタイルの形状に形成される場合にも拡張できることは明らかであり、したがって、現在の状況では詳細に説明することは不要である。
【0072】
基本的に、材料1の複数のストリップが、巻き広げられて、基礎Sの上に互いに平行に敷かれ、上記ストリップは、各ストリップの側部の一つに存在する縁5が、隣接するストリップ/モジュールに設けられた側部の一つ(この側部には一般に縁が無い)と重なる関係で配置される。
【0073】
こうして重なる関係に在る上記縁5は、次に、隣接するストリップ1上にそれぞれ(例えば、接着やヒート・シールによって)固定される。これにより、まさに縁5に沿った密封の結果として、全体として優れた抵抗特性と機械的安定性を示す連続的な構造体が生じる。この安定性のおかげで、ここに記載の材料1は、基礎Sに接着して接続されることさえも必要としないで、基礎Sの上に敷設されるのに適したものとなる。
【0074】
上記特性は、材料1が一時的に敷設されるように設計されている場合、取り外し作業を容易にしさえすれば、非常に重宝なものである。実際、取り外されるように設計された材料1は、簡単に基礎から持ち上げられて、ロールに巻き戻される。この場合も、接着材による接続が存在しないことによって、基礎Sが損傷しないし、接着剤の残留物も全く存在しない。この特性は、例えば工事現場で工事が行われる間、一時的に床を保護するために基礎が(例えば高品質木材や石材の床のような)既存の床で形成される場合、特に重宝される。
【0075】
同時に、膜3を用いて得られるコア層2のライニングの効果は、縁5によって達成される隣接するストリップ間の強固な機械的接続に加えて、トレッド抵抗のみならず、現場車両のような車両の通行に対して抵抗を有する床材が得られる。
【0076】
適用のニーズに応じて、敷設の上記解決策は、すなわち、ストリップ/モジュールの側部の一つに存在する縁5が、隣接するストリップ/モジュールの側部の一つ(これには一般に縁が無い)に重なる関係で配置されるという解決策は、図5に一例として示された状態に対して反転された状態でも実施できる。
【0077】
図5は、実際、床ストリップが図1に示すような向きで基礎S上に敷かれた敷設状態を示していて、縁5は、シート3aすなわち材料1の上面に対して略一直線上に在る。この場合、各ストリップの側部の一つに存在する縁5は、隣接するストリップ/モジュールの上面に重なっている。つまり、縁5は上記隣接するストリップ/モジュールの上に配置されている。したがって、縁5は、基礎Sから実質的に材料1の厚みと同じ距離をおいて、敷設された床材の上面上に延在していて、視界に留まる。
【0078】
前述した反転敷設状態では、床材の種々のストリップが、図4に示すような方向で基礎Sの上に敷設される。すなわち、縁5はシート3aに対して略一直線上に在る。この場合、シート3aは、材料1の下側面を形成し、基礎Sと向かい合う。この敷設状態を採用することによって、各ストリップの一つの側に存在する縁5が、隣接するストリップ/モジュールの下面、すなわち、上記隣接するストリップ/モジュールの底面と重なる。この場合、縁5は、敷設された床材の下側に延在して、基礎Sと接触し、したがって、床材1によって視界から隠される。
【0079】
もちろん、製造と実施形態の細部は、単に例証として記載され示された内容について、付属の請求項によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の本質を損ねることなく広範に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】ここで述べられるタイプの床材の断面図である。
【図2】図1に示される床材の製造方法の主要工程を示す機能ブロック図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】ここで述べられる材料を敷設する方法の概略図である。
【符号の説明】
【0081】
1 材料
2 コア層
3 膜
3a シート
3b シート
5 縁
20 顆粒材料
S 基礎、下張り床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する顆粒の凝集体からなるコア層(2)を備えた床材料において、
上記コア層(2)を包む膜(3)を備えていることを特徴とする床材料。
【請求項2】
請求項1に記載の材料において、
上記材料は2つの端部を有するストリップの形状をし、
上記膜(3)は上記端部を除いて上記ストリップを覆っていることを特徴とする材料。
【請求項3】
請求項1に記載の材料において、
上記材料はスラブ又はタイルの形状をしていることを特徴とする材料。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の材料において、
上記材料はモジュールの形態をし、
上記膜(3)は上記モジュールの少なくとも1つの側部に縁(5)を形成し、この縁(5)は少なくとも1つの隣接するモジュールと重なって設置されていることを特徴とする材料。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)は上記コア層(2)に固定されていることを特徴とする材料。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)は単一のシートで構成されていることを特徴とする材料。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)は複数(3a,3b)のシートで構成されていることを特徴とする材料。
【請求項8】
請求項7に記載の材料において、
上記複数のシート(3a,3b)は互いに同じ材料で形成されていることを特徴とする材料。
【請求項9】
請求項7に記載の材料において、
上記複数のシート(3a,3b)は互いに異なる材料で形成されていることを特徴とする材料。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)は液透過性を有し、したがって、上記材料(1)は排液特性を有することを特徴とする材料。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)の上記コア層(2)の少なくとも1つの側部が不浸透性であり、したがって、上記材料(1)は湿気に対する障壁として機能できることを特徴とする材料。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)はヒートシールをすることが可能であることを特徴とする材料。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)は不織布を備えていることを特徴とする材料。
【請求項14】
請求項13に記載の材料において、
上記不織布は連続繊維縫製ジオテキスタイル型であることを特徴とする材料。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)は50〜400g/m2の範囲の単位面積質量を有することを特徴とする材料。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)は150g/m2の単位面積質量を有することを特徴とする材料。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1つに記載の材料において、
上記膜(3)はポリエステル系であることを特徴とする材料。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1つに記載の材料において、
4〜15mmの範囲の厚みを有することを特徴とする材料。
【請求項19】
請求項1乃至17のいずれか1つに記載の材料において、
20〜40mmの範囲の厚みを有することを特徴とする材料。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1つに記載の材料において、
ミリメータの厚み当たり0.5〜0.6kg/m2の範囲の単位面積質量を有することを特徴とする材料。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1つに記載の材料において、
上記コア層(2)は、0.5〜7mmの範囲の粒子サイズを有する弾性顆粒材料を備えていることを特徴とする材料。
【請求項22】
請求項1乃至20のいずれか1つに記載の材料において、
上記コア層(2)は0.5〜5mmの範囲の粒子サイズを有する弾性顆粒材料を備えていることを特徴とする材料。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか1つに記載の材料において、
上記弾性顆粒材料は、弾性ポリマーとエラストマーとゴムとリサイクル弾性材料とによって構成される群の中から選択されていることを特徴とする材料。
【請求項24】
請求項1乃至23のいずれか1つに記載の材料において、
上記弾性顆粒材料はリサイクルタイヤから得られた顆粒材料であることを特徴とする材料。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれか1つに記載の材料において、
上記弾性顆粒材料は結合剤を用いて凝集されていることを特徴とする材料。
【請求項26】
請求項25に記載の材料において、
上記結合剤はポリウレタンであることを特徴とする材料。
【請求項27】
請求項26に記載の材料において、
上記ポリウレタンは顆粒の重さに対して2〜10重量%の範囲の割合で存在することを特徴とする材料。
【請求項28】
請求項26に記載の材料において、
上記ポリウレタンは顆粒の重さに対して5〜15重量%の範囲の割合で存在することを特徴とする材料。
【請求項29】
請求項1乃至28のいずれか1つに記載の床材を製造する方法において、
上記膜(2)の第1シート(3a)を備える工程と、
上記シート(3a)上に、上記コア層(2)の弾性顆粒材料(20)の床を形成する工程と、
上記膜(2)の第2シート(3b)を上記弾性顆粒材料の床の上に付ける工程と、
上記コア層(2)を形成するために上記弾性顆粒材料(20)の凝集を行う工程と、
上記膜を形成するために上記第1シート(3a)と上記第2シート(3b)とを接続する工程と
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
上記弾性顆粒材料(20)の床を形成する工程は、
上記第1シート(3a)上に顆粒材料(20)を散布するステップと、
上記第1シート(3a)上に堆積された顆粒材料(20)の厚みを選択的に調節する(12)ステップと
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29又は30に記載の方法において、
上記弾性顆粒材料(20)の凝集を行う工程と、上記膜を形成するために上記第1シート(3a)と第2シート(3b)とを接続する工程とが、実質的に同時に行われることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
上記コア層(2)への上記膜(3)の固定を確定させるために、上記膜第1シート(3a)と上記第2シート(3b)との間に形成された上記弾性顆粒材料(20)に圧力(16)をかける工程を備えていることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項4に記載の材料を敷設する方法において、
基礎又は下張り床(S)の上に、上記材料である少なくとも1つの第1モジュールと1つの第2モジュールとを互いに平行になるように設置する工程と、
上記モジュールの一方に支持された縁(5)を上記モジュールの他方と重なる関係になるように配置する工程と、
上記縁(5)を上記モジュールの他方に固定する工程と
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
上記モジュールの一方によって支持された縁(5)を上記モジュールの他方の上端と重なる関係になるように配置する工程を備えていることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項33に記載の方法において、
上記モジュールの一方によって支持された縁(5)を上記モジュールの他方の底面と重なる関係になるように配置する工程を備えていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−85167(P2007−85167A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−257442(P2006−257442)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(500544923)モンド・ソシエタ・ペル・アチオニ (11)
【氏名又は名称原語表記】MONDO S.p.A.
【Fターム(参考)】