説明

底面電極部品の取り外し方法

【課題】熱ダメージを与えることなく底面電極部品を取り外すこと。
【解決手段】初期状態S10では、BGA31を有する底面電極部品21が基板10に取り付けられている。底面電極部品21と基板10との間に低融点半田などの伝熱材41を充填し(S11)、伝熱材41と底面電極であるBGA31とを加熱する(S12)。この加熱によって伝熱材41とBGA31とを溶融し、底面電極部品21を基板10から取り外す(S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面電極部品の取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、部品の高密度化や高機能化が進み、電子部品の電極形態としてBGA(Ball grid array)などの底面電極が広く用いられている。加えて、電子部品と基板との間に樹脂などを充填し、電子部品を接着固定して動作の信頼性を向上する技術も知られている。
【0003】
また、サーバや基幹装置は高価であり、BGAや電源モジュール等の底面電極部品においてバージョンアップや部品不良、実装不良等が発生した場合にユニットを捨てることなく解析や再利用を行なうことが求められている。
【0004】
このため、サーバや基幹装置では部品を取り外す作業や新たな部品を取り付ける作業が発生する。
【0005】
底面電極部品は半田ゴテなどを用いた接続部の直接加熱による溶融ができない。そこで、熱風式のリワーク装置を用いて部品や基板を全体的に加熱し、半田融点以上の熱を加えて部品底面の接合部を溶融させて部品取り外しや取り付けを行っていた。接合部を溶融させるためには、半田がSnPb系ならば190度以上、SAC系ならば225度以上に加熱することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−163270号公報
【特許文献2】特開2003−246828号公報
【特許文献3】特開平11−168156号公報
【特許文献4】特開2006−019452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子部品には、その動作を保証するため、所定温度以上の加熱を許容する回数が耐熱回数として定められている。例えば、耐熱回数が2回の電子部品の場合、従来の技術では、最初の取り付け時に1回目の熱ダメージが発生し、取り外しの際に2回目の熱ダメージが発生する。取り外した部品を再度基板に取り付けると、熱ダメージが3回目となり、耐熱回数を越える。
【0008】
また、底面電極部品を実装し、熱風式のリワーク装置によって部品の除去や取り付けを行なう場合に対象となる部品と周囲の部品との間隔が狭いと、周囲の部品まで熱による影響を受ける場合があった。周辺の電子部品への熱ダメージの発生を回避するため、部品の間隔を広くすると、高密度実装の妨げとなる。
【0009】
特に近年、接合部の鉛フリーが求められており、BGAは融点が190度程度の共晶から融点225度程度のSACへ置換えられ、半田融点約35℃上昇している。従来は、190度程度の加熱で電子部品の実装や除去を行なうことを前提に、周囲の部品に熱ダメージを与えないよう部品間隔を設計していた。しかし、半田融点の上昇に伴い、実装時や除去時の熱風温度が高く、長時間加熱することとなり、周辺の部品に対する熱の影響が大きくなる。SACへの置換に合せて設計変更を変更すると、設計のやり直しによるコスト増大や実装密度の低下が問題となる。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、電子部品の取り外しを行なう際の熱ダメージを抑える底面電極部品の取り外し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示する底面電極部品の取り外し方法は、底面電極によって基板に半田付けされた底面電極部品と基板との間に伝熱材を充填し、伝熱材と底面電極と一体化して加熱し、取り外す。
【発明の効果】
【0012】
本願の開示する底面電極部品の取り外し方法によれば、電子部品の取り外しを行なう際の熱ダメージを抑える底面電極部品の取り外し方法を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施例に係る底面電極部品の取り外し方法の説明図である。
【図2】図2は、図1に示したニクロム線51による加熱についての説明図である。
【図3】図3は、リフロー装置を用いた底面電極部品の除去と実装の比較例の説明図である。
【図4】図4は、小型の電子部品の除去の比較例についての説明図である。
【図5】図5は、小型の電子部品の再実装の比較例についての説明図である。
【図6】図6は、本実施例に係るリフローによる底面電極部品の除去についての説明図である。
【図7】図7は、伝熱材41の充填についての説明図である。
【図8】図8は、スルーホールを有する基板からの底面電極部品の除去についての説明図である。(その1)
【図9】図9は、スルーホールを有する基板からの底面電極部品の除去についての説明図である。(その2)
【図10】図10は、スルーホールを有する基板からの底面電極部品の除去についての説明図である。(その3)
【図11】図11は、BGAと伝熱材との混合についての説明図である。
【図12】図12は、混合半田の融点についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示する底面電極部品の取り外し方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の具体的な実施例に本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0015】
図1は、本実施例に係る底面電極部品の取り外し方法の説明図である。図1に示したように、初期状態S10では、BGA31を有する底面電極部品21が基板10に取り付けられている。
【0016】
本実施例にかかる底面電極部品の取り外し方法では、まず、底面電極部品21と基板10との間に伝熱材41を充填する(S11)。そして、伝熱材41と底面電極であるBGA31とを加熱する(S12)。この加熱によって伝熱材41とBGA31とを溶融し、底面電極部品21を基板10から取り外す(S13)。
【0017】
伝熱材41は、BGA31に比して融点の低い低融点半田を用いることが好ましい。また、伝熱材41とBGA31とを加熱するステップでは、一例として、伝熱材41とBGA31とが一体となった領域に加熱部材としてニクロム線51を接触させ、熱伝導で加熱する。
【0018】
図2は、ニクロム線51による加熱についての説明図である。図に示した例では、基板上に底面電極部品21〜27を配置している。底面電極部品21は、4辺のうち3辺に底面電極部品22,23,26が隣接しており、残りの1辺には、実装面積に余裕がある。この実装面積に余裕のある1辺にニクロム線51を加熱する発熱装置50を配置し、ニクロム線51で伝熱材41とBGA31とが一体となった領域を囲んで加熱することで、底面電極部品21を加熱することが出来る。
【0019】
このようにニクロム線51からの熱伝導で加熱することで、底面電極部品21と底面電極部品22,23,26との間隔が1〜3mm程度であったとしても、底面電極部品22,23,26に熱ダメージを与えることなく底面電極部品21を取り外すことが出来る。また、電極部分を局所的に加熱するので、底面電極部品21自体に対する熱ダメージも抑えることが出来る。
【0020】
図3は、リフロー装置を用いた底面電極部品の除去と実装の比較例の説明図である。図3に示した例では、大型の底面電極部品も小型の底面電極部品も全てリワーク時の隣接部品熱影響を考慮した間隙での設計とし、各底面電極部品の耐熱回数は2回とする。一般的な電子部品の保証は、耐熱は150度以下レベル、150度以上の耐熱回数(熱カウント)は2回以下である。
【0021】
図3に示したS21では、大型の底面電極部品28にアーム部61を接触させるとともにリフロー装置60を被せ、底面電極部品28に熱風を吹き付けてBGAを溶融させている。BGAの接合部を230度程度まで加熱して溶融させるため、リフロー装置60に加えて基板10の反対側にリフロー装置62を配置するとともに、加熱板63によって基板10全体を温める。この時、リフロー装置60,62から吹き付ける熱風A1,A2は、300度近い温度となる。
【0022】
S21に示した構成では、底面電極部品28と隣接する底面電極部品23,24の間に10mm以上の間隙を設けた設計としている。この間隙に、リフロー装置60からの熱風を避ける防風部材64を配置することで、底面電極部品28の取り外し時に底面電極部品23,24が熱の影響を受けることを防ぐことができる。
【0023】
しかし、このように部品間の間隙を大きくし、防風部材64を配置可能とする設計では実装密度が低下する。また、底面電極部品28に部品耐熱以上の熱風を加えるため、底面電極部品28が壊れ、不良解析等が困難になる可能性がある。
【0024】
S22に示した構成では、底面電極部品28と底面電極部品23,24との間隙を小さくし、実装密度を向上している。このS22に示した構成では、底面電極部品28を除去する際に、底面電極部品23,24に熱ダメージが発生する。底面電極部品23,24自身の取り付け時に熱ダメージが1回発生しているので、底面電極部品28の除去の時点で底面電極部品23,24の熱ダメージは2回となる。従って、底面電極部品28を除去した後に新たに底面電極部品を取り付けた場合に、底面電極部品23,24に加わる熱ダメージは3回目となり、底面電極部品23,24が破壊される可能性がある。
【0025】
底面電極部品28のように大型の電子部品は、単体でリフロー装置による加熱の対象となるが、小型の電子部品では、複数の電子部品が一括してリフロー装置による加熱の対象となる場合がある。
【0026】
図4および図5は、小型の電子部品の除去と実装の比較例についての説明図である。なお、図4および図5では、リフロー装置62や加熱板63の図示および説明を省略する。図4に示したS31では、基板10に小型の底面電極部品21〜23が、底面電極部品22、底面電極部品21、底面電極部品23の順に実装されている。底面電極部品21〜23は、実装時の加熱によって、熱ダメージが1回発生している。
【0027】
底面電極部品21を除去する際、リフロー装置60を底面電極部品21〜23に被せて底面電極部品21にアーム部61を接触させ、熱風A1によって加熱してBGA31を溶融させ、底面電極部品21を除去する(S32)。
【0028】
この結果、S33に示すように、底面電極部品21が除去され、底面電極部品22,23の熱ダメージは2回となる。
【0029】
図5に示したように、S33の状態から、底面電極部品22,23の間に新たに底面電極部品29を載せ、リフロー装置60を底面電極部品22,23,29に被せて熱風A3によって加熱してBGAを溶融させることで、底面電極部品29が実装される(S34)。この結果、S35に示したように、底面電極部品22,23の熱ダメージが3回目となり、破損する可能性がある。
【0030】
このように、比較例として示した底面電極部品の除去方法では、周辺の部品の熱ダメージが1回分加算されていた。一般的な部品のリフローに対する耐熱回数は2回であり、組立時のリフローで1回熱ダメージがカウントされるので、猶予は1回である。比較例のようにリワーク(除去)で周辺の部品に2回目の熱ダメージが加わると次の部品の実装時に熱ダメージのカウントが3回目となる。これを回避するために部品の間隙をあけると10mm以上の間隔を設けることとなり、高密度化が阻害される。
【0031】
また、共晶ボールのBGA部品間隙は最低10mmで設計されていたが、鉛フリー化の推進で共晶をSACに変更した場合、共晶を前提とした設計では周辺部品への熱ダメージの発生を回避できなくなるので、間隙を増大して設計を変更することとなる。
【0032】
そして、除去した部品についても、除去時に熱ダメージを発生させると実装時と除去時で2回の熱ダメージを受けて破壊され、解析や再利用を行うことが出来なかった。
【0033】
一例として、BGAの耐熱保証は240℃〜260℃程度であり、リフロー装置でBGA接合部を溶融温度である230度にして除去するために、BGAの上部から300度以上の熱風を吹き付けるとBGA内部素子の温度は260度以上となり破壊される。
【0034】
この比較例に対して、本実施例が開示する方法では、除去対象の底面電極部品の接合部の隙間に低融点半田、例えば半田粉や半田ペースト、溶融半田を注入し、BGAのボール間を短絡(ショート)させ、接合部の周囲を発熱体で取り囲む。このように接合部を直接加熱することで、隣接部品に熱の影響を与えることなく、底面電極部品を取り外すことができる。
【0035】
また、接合部を直接加熱することで、底面電極部品の内部素子の温度上昇を抑え、破壊を防ぐことが出来る。すなわち、開示の方法では、対象部品についても周辺部品についても除去時の熱ダメージの発生を回避可能である。また、部品間の間隙は1〜3mm程度を実現することができる。このため、実装密度の向上が実現でき、また既存の設計を利用しつつSACを半田として用いて鉛フリー化を実現することが出来る。
【0036】
なお、伝熱材41として、BGA31に比して融点の低い低融点半田を用い、BGA31の接合部分と半田を混合させることで、除去時の加熱温度を下げることが出来る。
【0037】
半田の混合による融点変化について説明する。原子の移動は、温度の上昇とともに起こりやすくなり、拡散現象が発生する。この拡散の速度と量は温度と時間に依存する。異種金属同士が物理的に接触している時には、異種金属原子同士が互いに移動する互拡散現象が発生する。拡散現象は、金属が固体同士の状態でも発生する。いわゆる固相拡散である。
【0038】
そして、温度が一方の金属の融点に達して液体になれば、拡散の速度が固相拡散に比して速い液相拡散が発生する。金属同士の接触部で液相拡散が起これば、相互の原子が混ざり合うとともに、合金組成としての融点で溶けている状態が急速に拡がる。この結果、単体では高い融点の金属も、より低い温度で液体(液相)の中に取り込まれ、全体として低融点での溶融状態で一体化する。
【0039】
したがって、伝熱材41としてBGA31に比して融点の低い低融点半田を用いて加熱することで、BGA31自体の融点よりも低い、BGA31と伝熱材41の合金としての融点で底面電極部品21を除去することが可能となる。
【0040】
従って、上述したようにニクロム線51などによる熱伝導による加熱に限らず、リフローを用いた場合であっても除去時の熱ダメージの発生を抑えることが出来る。図6は、本実施例に係るリフローによる底面電極部品の除去についての説明図である。
【0041】
図6の例では、基板10に底面電極部品21〜23を底面電極部品22、底面電極部品21、底面電極部品23の順に実装した状態で、底面電極部品21を除去する場合について説明する。
【0042】
まず、除去の対象である底面電極部品21と基板10との間に伝熱材41を充填する(S41)。そして、リフロー装置60を底面電極部品21〜23に被せて底面電極部品21にアーム部61を接触させ、熱風A1によって加熱してBGA31を伝熱材41とともに溶融させ、底面電極部品21を除去する(S42)。
【0043】
除去時の加熱温度は、BGA31が伝熱材41と混合して融点が下がることから、底面電極部品21〜23に熱ダメージを発生させない温度とすることが出来る。このため、底面電極部品21を除去した後の状態(S43)において、底面電極部品22,23の熱ダメージは1回のままである。また、除去した底面電極部品21についても熱ダメージは1回のままである。従って、底面電極部品22,23の間に新たに部品を実装しても、底面電極部品22,23の動作を保証することが出来る。同様に、除去した底面電極部品21についても解析や再利用が可能となる。
【0044】
なお、ニクロム線51などの熱伝導による加熱と、リフロー装置60,62の熱風による加熱、加熱板63による加熱は組み合わせて用いることも出来る。例えば、リフロー装置60,62および加熱板63によって、ユニット全体を部品保証内温度、一例として150度以下で温める。これによって、底面電極部品21と基板10との隙間に注入した低融点半田は溶融し、BGA接合部全体が一体化する。
【0045】
そして、低融点半田で一体化した接合部に対し、さらにニクロム線51で直接加熱を行う。この時、ニクロム線51は、例えば200度程度まで加熱する。この加熱によって、低融点半田の温度が上昇し、BGA31の半田ボールが溶けこむ。
【0046】
BGA31の半田ボールが溶けこんで接合部エリア全体が溶融すると、底面電極部品21を取り去ることができる。なお、BGA31の半田ボールと低融点半田の混合時の融点は、低融点半田としてSnInを使用した場合に155度程度、SnBiを使用した場合に170度程度である。
【0047】
底面電極部品21を外した後は、接合部に残留した半田を除去し、クリーニングする。以降は、通常のリワーク方法にて新たに電子部品を実装可能である。
【0048】
図7は、伝熱材41の充填についての説明図である。伝熱材41は、例えば図7に示したように、ペースト状の低融点半田をインジェクタ40によって注入すればよい。また、基板が貫通孔、すなわちスルーホールを有する場合には、スルーホールを介して伝熱材41を注入することも出来る。
【0049】
図8,図9,図10は、スルーホールを有する基板からの底面電極部品の除去についての説明図である。まず、図8のS51に示したように、底面電極部品21を搭載した基板11は、BGA31のランド間にスルーホール12を形成している。
【0050】
この底面電極部品21のBGA31接合部に糸状半田42を巻き、後述する半田粉43が漏れないように基板11とBGA31の隙間を塞ぐ(S51)。糸状半田42の融点はBGA31の融点以下、例えばインジウム半田等の150度程度の低温融点半田が望ましい。
【0051】
次に、2辺、または4辺に金属の爪部71を有し、ヒータ72を内蔵した加熱治具70を底面電極部品21の上部に密着させ、爪部71を底面電極部品21の接合部の隙間にひっかけ、糸状半田42に押し当てて固定する(S52)。なお、加熱治具70としては、例えばセラミックヒータ等をもちいればよい。
【0052】
次に、図9の底面電極部品21が重力に対して下側となるように基板11を配置し、スルーホール12から半田粉43をBGA31の間に注入する(S53)。この半田粉43の注入は、例えば漏斗状の器具を使用して行えばよい。また、半田粉43についても糸状半田42と同様、融点150度以下の低温半田であることが望ましい。
【0053】
つぎに、基板11に対して底面電極部品21の反対側に配置した加熱板65から部品や基板の耐熱保証に支障のない温度、例えば150度程度で加熱しつつ、加熱治具70の爪部71からBGA31の融点以上、一例として225℃以上に加熱する(S54)。
【0054】
この加熱によって、図10に示したように、BGA31の接合部に充填された低融点半田(糸状半田42,半田粉43)が150度程度で溶融し、BGA31のボール部は連結状態となる。連結状態となって一体化することで、BGA31に対する熱の供給を均一かつ効率的なものとすることができる。そして、BGA31が融点に達するとBGA31と低融点半田とが混合半田44となり、加熱治具70の重さで底面電極部品21は自重で落下する(S55)。このため、周囲の部品や基板に熱影響を及ぼすこと無く底面電極部品21を除去することができる。
【0055】
なお、ここでは重力によって底面電極部品21を外す場合を例に説明したが、例えば加熱治具70に弾性体などを設け、底面電極部品21に対して基板11から取り外す方向の力を加えてもよい。
【0056】
図11は、BGAと伝熱材との混合についての説明図である。図11に示した例では、底面電極部品21のBGA31のボール径と高さは0.4mm、BGA31のボールピッチは1mmである。この場合、BGA31の接合部の体積は0.05024mm、伝熱材41の体積は0.34976mmとなる。伝熱材41は、溶融後に体積が60%、0.20986mmとなる。したがって、溶融後の体積の割合は、
BGA31接合部:伝熱材41
=0.05:0.20
=1:4
である。
【0057】
図12は、混合半田の融点についての説明図である。BGA31としてSAC半田、伝熱材41としてSnInを用いる場合、体積比では、SACが20.000%、SnInが80.000%であるから、質量比ではSACが19.838%、SnInが80.162%となる。
【0058】
元素比重[g/cm3]と混合組成比[wt%]は、Sn(錫)が7.28g/cm、60.828wt%であり、Ag(銀)が10.49g/cm、0.595wt%である。そして、Cu(銅)が8.92g/cm、0.099wt%であり、In(インジウム)が7.28g/cm、38.478wt%である。Sn−48Inの共晶融点が117度であることから、Sn−In二元状態図より推定される推定液相線温度は、155度となる。
【0059】
BGA31としてSAC半田、伝熱材41としてSnBiを用いる場合、体積比では、SACが20.000%、SnBiが80.000%であるから、質量比ではSACが22.532%、SnBiが77.468%となる。
【0060】
元素比重[g/cm3]と混合組成比[wt%]は、Sn(錫)が7.28g/cm、54.280wt%であり、Ag(銀)が10.49g/cm、0.676wt%である。そして、Cu(銅)が8.92g/cm、0.113wt%であり、Bi(ビスマス)が9.8g/cm、44.931wt%である。Sn−58Biの共晶融点が139度であることから、Sn−Bi二元状態図より推定される推定液相線温度は、170度となる。
【0061】
上述してきたように、本実施例に係る底面電極部品の取り外し方法では、底面電極によって基板に半田付けされた底面電極部品と基板との間に伝熱材を充填し、伝熱材と底面電極と一体化して加熱し、取り外す。
【0062】
このため、取り外す対象の部品や周囲の部品に対して熱ダメージを与えることなく取り外すことができ、部品の取り替えや再利用、解析が可能である。また、実装密度を向上し、鉛フリー化に伴う設計変更が不要となる。
【0063】
なお、本実施例はあくまで一例であり、底面電極部品の種類や形状、電極の素材や形状、伝熱材の素材、加熱方法などを適宜変更して実施することが出来る。
【符号の説明】
【0064】
10〜11 基板
12 スルーホール
21〜29 底面電極部品
31 BGA
40 インジェクタ
41 伝熱材
42 糸状半田
43 半田粉
44 混合半田
50 発熱装置
51 ニクロム線
60,62 リフロー装置
61 アーム部
63,65 加熱板
64 防風部材
70 加熱治具
71 爪部
72 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面電極によって基板に半田付けされた底面電極部品と前記基板との間に伝熱材を充填するステップと、
前記伝熱材と前記底面電極とを加熱するステップと、
前記底面電極部品を前記基板から取り外すステップと
を含んだことを特徴とする底面電極部品の取り外し方法。
【請求項2】
前記伝熱材は、前記底面電極に比して融点の低い低融点半田であることを特徴とする請求項1に記載の底面電極部品の取り外し方法。
【請求項3】
前記加熱するステップは、前記伝熱材と前記底面電極とが一体となった領域に接触し、熱伝導で加熱する加熱部材を用いて前記加熱を行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の底面電極部品の取り外し方法。
【請求項4】
前記加熱部材は、前記底面電極部品に掛かる爪部を有し、前記爪部から熱伝導で前記領域を加熱するとともに前記底面電極部品に対して前記基板から取り外す方向の力を加えることを特徴とする請求項3に記載の底面電極部品の取り外し方法。
【請求項5】
前記基板は底面電極近傍に貫通孔を有し、前記充填するステップは、前記貫通孔から前記伝熱材を充填することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の底面電極部品の取り外し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−216682(P2011−216682A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83782(P2010−83782)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】