説明

廃棄物の処理装置

【課題】裁断等した廃棄物の洗浄効率を向上させることができ、よって装置全体の小型化や処理時間の短縮を図って、かつ処理能力を向上させることができる廃棄物の処理装置を提供する。
【解決手段】装置本体1の上部に設けられた廃棄物の投入部2と、この投入部の下方に設けられて廃棄物Wを破砕する破砕手段3と、この破砕手段から排出された廃棄物と洗浄液とを混合するタンク4と、このタンクから廃棄物および洗浄液を排出するポンプ26を備えた排出ライン5と、この排出ラインに介装されてタンクから排出された廃棄物を切断する切断手段6と、排出ラインから送られる切断後の廃棄物を圧縮して排出するとともに洗浄液を分離する圧縮機7とを備え、かつ排出ラインのポンプの下流側には、切断後の廃棄物および洗浄液をタンクに循環可能な戻りライン8が枝配管されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの紙おむつ等の汚物を含んだ繊維や高分子吸収剤からなる医療廃棄物の処理に用いて好適な廃棄物の処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
老人ホーム等の介護施設や病院等の医療施設においては、使用済みの紙おむつやガーゼ等の医療廃棄物が多量に排出されている。このような医療廃棄物は、排泄物等の汚物を含んだ繊維や高分子吸収剤を主成分とするものであるために、環境衛生の観点から、そのまま埋め立て処分や投棄処分をすることができない。
【0003】
このため、一定量の上記医療廃棄物が溜まった時点で、別途産業廃棄物業者が焼却施設に搬送して焼却処分等を行っていたが、上記医療廃棄物にあっては、医療施設等における保管中に異臭が発生するとともに、バクテリア等の雑菌の発生が懸念されることから、早期の処分が望まれていた。
【0004】
このような状況から、上記医療廃棄物が排出される施設に、発生した上記医療廃棄物をリアルタイムで洗浄、裁断等して処理する設備の開発が強く要請されている。ところが、これら医療廃棄物は、主としてパルプ等の繊維や吸水用の高分子吸収剤(ポリマー)等からなるために、裁断や破砕によって洗浄液中に大量の水中浮遊物(SS)が混在することになり、よって排水の排出基準を満足することが難しいという問題点があった。
【0005】
そこで、上記問題点を解決すべく、本発明者等は、下記特許文献1において、効率的に紙おむつ等の繊維や高分子吸収剤等を主成分とする廃棄物を洗浄して処分することができるとともに、水中浮遊物についても排水中から除去して排水基準を満足させることができる廃棄物の処理装置を提案した。
【0006】
この廃棄物の処理装置は、装置本体と、この装置本体の上部に設けられた廃棄物の投入部と、この投入部の下方に設けられ上記廃棄物を破砕するシュレッダと、このシュレッダの下方に設けられるとともに給水ラインが接続されて破砕された上記廃棄物と洗浄液とを混合しつつ撹拌する撹拌タンクと、この撹拌タンクから排出された上記廃棄物および洗浄液から上記廃棄物を圧縮して排出するとともに上記洗浄液を分離する圧縮機と、この圧縮機の排水ラインから排出された洗浄液中に含まれる異物を捕捉する異物捕集器とによって概略構成されたものである。
【0007】
上記構成からなる処理装置によれば、シュレッダによって廃棄物を裁断または破砕し、次いで撹拌タンクにおいて破砕された廃棄物を洗浄液と混合することにより洗浄した後に、圧縮機で上記廃棄物を絞って脱水し、さらに上記圧縮機で分離された洗浄液を異物捕集器に送って、当該洗浄液中の異物である水中浮遊物(SS)を捕捉して排出しているために、汚物が除去された上記廃棄物を圧縮された塊として取り出すことができる。
【0008】
この結果、上記廃棄物の塊を、容易に処理することができるとともに、異物捕集器において、洗浄液中に含まれる水中浮遊物等の異物も除去することができ、よって効率的に紙おむつ等の繊維状の廃棄物を洗浄して処分することができるとともに、水中浮遊物についても排水中から除去して排水基準を満足させることもできるという効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−212790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
他方で、上記処理装置にあっては、シュレッダによって廃棄物を裁断等する際に、当該廃棄物が圧縮されてしまうために、撹拌タンク内において十分に洗浄することが難しくなる傾向にあり、これを解決するために、洗浄時間を長く設定したり、あるいは撹拌効果を上げるために、撹拌装置として容量の大きなモータを用いたりする必要があった。
このため、装置全体の小型化や、処理時間の短縮等を図ることが難しく、その改良が望まれていた。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、裁断等した廃棄物の洗浄効率を向上させることができ、よって装置全体の小型化や処理時間の短縮を図って、かつ処理能力を向上させることができる廃棄物の処理装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明に係る廃棄物の処理装置は、装置本体と、この装置本体の上部に設けられた廃棄物の投入部と、この投入部の下方に設けられ上記廃棄物を破砕する破砕手段と、この破砕手段から排出された上記廃棄物および洗浄液を混合するタンクと、このタンクで混合された上記廃棄物および洗浄液を排出するポンプを備えた排出ラインと、この排出ラインに介装されて上記タンクから排出された上記廃棄物を切断する切断手段と、上記排出ラインから送られる切断後の上記廃棄物を圧縮して排出するとともに上記洗浄液を分離する圧縮機とを備えてなり、かつ上記排出ラインの上記ポンプの下流側には、上記切断後の上記廃棄物および洗浄液を上記タンクに循環可能な戻りラインが枝配管されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記排出ラインにおける上記戻りラインの接続部と上記圧縮機との間に、ゴムチューブを押し挟んで当該排出ラインの流路を開閉するピンチバルブが介装されていることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記切断手段は、上記排出ラインに介装されて格子間に上記廃棄物の通過を許容する開口部が形成された格子板と、この格子板に対向配置されるとともに回転自在に設けられ、上記格子との間で上記廃棄物をせん断する切断刃とを備えてなり、かつ上記切断刃は、上記ポンプの回転軸によって同軸に回転駆動されることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記圧縮機は、一端部に上記排出ラインが接続された供給口を有するとともに、他端部に排出口が設けられた円筒状の本体と、この本体内に回転自在に設けられ、上記供給口から供給された上記廃棄物および洗浄液を上記排出口側に向けて搬送するスクリューと、このスクリューの外周に設けられて上記洗浄液を分離するフィルタと、このフィルタの外方に形成された上記洗浄液の排水部とを有し、かつ上記排出口には、上記本体内を搬送される上記廃棄物を当該搬送方向に向けて順次圧縮する複数本の圧縮部材が、各々着脱自在に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜4のいずれかに記載の発明においては、投入部から装置本体内に供給した廃棄物を、破砕手段によって裁断または破砕してタンクに供給し、このタンク内において洗浄液と混合した後に、ポンプによって排出ラインから排出する。そして、この排出ラインにおいて、切断手段によって上記廃棄物を切断するとともに、さらに切断された廃棄物をポンプによって洗浄液と高速で撹拌・混合することにより、効率的に廃棄物に付着していた汚物を洗浄して殺菌することができる。
【0017】
さらに、本発明においては、上記ポンプの下流側に、撹拌・混合された廃棄物と洗浄液とを再びタンクへと循環するための戻りラインを設けているために、これら廃棄物および洗浄液を上記タンクに戻して、再び排出ラインから切断手段およびポンプへと供給することにより、上記廃棄物および洗浄液の混合液をスラリー化させつつ上記廃棄物の洗浄および殺菌を繰り返して、洗浄効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0018】
そして、最終的に圧縮機へと送って、洗浄液中の異物である水中浮遊物(SS)を捕捉するとともに、汚物が除去された上記廃棄物を圧縮された塊として取り出すことができる。この結果、廃棄物の嵩や汚れ程度等に応じて、適宜上記戻りラインを用いたタンクへ循環させる時間等を調整することにより、小型の装置によっても、短い処理時間で効率的に紙おむつ等の繊維状の廃棄物を洗浄して処分することができ、かつ水中浮遊物についても排水中から除去して排水基準を満足させることもできる。
【0019】
ここで、廃棄物の性状等に応じて、上記排出ラインの廃棄物と洗浄液の混合液を戻りラインからタンクに戻す要否や、その回数を適宜設定するためには、請求項2に記載の発明にように、上記排出ラインにおける戻りラインの接続部と圧縮機との間に、当該排出ラインの流路を切り換えるバルブを介装することが好ましい。さらに、上記混合液中に切断された廃棄物が同伴しているために、上記バルブとして、ゴムチューブを押し挟んで排出ラインの流路を開閉するピンチバルブを用いれば、上記廃棄物の噛み込みによるバルブの作動不良を防止することができて好適である。
【0020】
また、請求項3に記載の発明によれば、排水ラインを流れる廃棄物を、当該流路内において回転する切断刃と格子板の格子との間でせん断により切断することができるとともに、当該切断刃をポンプの回転軸と一体に回転駆動しているために、構造が複雑化することなく、切断刃による切断とポンプの羽根車による撹拌・混合作用とを安定的に実現することができる。
【0021】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、圧縮機における廃棄物の排出口に、スクリューによって送られてくる廃棄物を圧縮する複数本の圧縮部材を着脱自在に設けているために、廃棄物の材質による硬軟や粗密の程度に合わせて、適宜圧縮部材の本数を調整することにより、上記廃棄物の性状に合致した上記排出孔における最適の圧縮負荷を選択して、圧縮後の廃棄物の円滑な排出を行わせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る廃棄物の処理装置の一実施形態を示す全体の概略構成図である。
【図2】図1の処理装置における外壁を省略した正面図である。
【図3】図1の切断手段の要部を示す斜視図である。
【図4】図1の圧縮機を示す縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜図4は、本発明に係る廃棄物の処理装置を、紙おむつやガーゼ等の医療廃棄物の処理装置に適用した一実施形態を示すものである。
この処理装置は、装置本体1と、この装置本体1の上部に設けられた廃棄物Wの投入部2と、この投入部2の下方に設けられて廃棄物Wを破砕するシュレッダ(破砕手段)3と、このシュレッダ3の下方に設けられたタンク4と、このタンク4の底部に接続された排出ライン5と、この排出ライン5に介装された切断機(切断手段)6と、排出ライン5の他端部が接続された圧縮機7と、排出ライン5に枝配管されて他端部がタンク4に接続された戻りライン8とから概略構成されたものである。
【0024】
この装置本体1は、外周が側板によって覆われるとともに、内部に各機器類を取り付けるための骨組み部材が配置されたもので、その上部に矩形箱状の上記投入部2が設けられている。この投入部2は、上部側面に廃棄物投入口2aが形成されており、他方底部には、投入された廃物を搬送するプッシャ9が配設されている。また、このプッシャ9の搬送方向先端側には、ホッパ10が設けられている。
【0025】
そして、このホッパ10の底部に形成された開口部10aの下方に、上記シュレッダ3が配置されている。このシュレッダ3は、軸線を水平方向に位置させた2本の回動軸11が所定間隔をおいて回転自在に設けられており、各回動軸11に複数枚の回転刃12が軸線方向に等間隔をおいて取り付けられている。ここで、2本の回転軸11は、一方の回転軸11の回転刃12間に、他方の回転軸11の回転刃12が挿入された状態で配置されている。
【0026】
これにより、これら回転軸11は、互いの回転刃12を軸線方向視において外周部同士を重複させて、軸線方向に交互に位置されている。そして、回転軸11の端部には、互いに歯合する歯車11aが取り付けられるとともに、一方の回転軸11を回転駆動することにより、2本の回転軸11を互いに逆方向に回転させるモータ13が設けられている。
他方、このシュレッダ3の回転軸11間の下方に、シュレッダ3によって裁断された廃棄物が落下する上記タンク4が設けられている。
【0027】
他方、このタンク4には、洗浄液の供給手段が接続されている。この供給手段は、洗浄液受槽14と、この洗浄液受槽14内の洗浄液をタンク4に供給するポンプ15とを備えたもので、洗浄液受槽14には、装置本体1の側面に設けられた供給口16からバルブ17、ストレーナ18および電磁弁19を介して洗浄液を供給する供給ライン20が接続されている。
【0028】
また、洗浄液受槽14の底部に接続された抜出ライン21が、ポンプ15の吸入側に接続されるとともに、当該ポンプ15の吐出ライン22が、流量計23および電磁弁24aを介してタンク4の上部に接続されている。さらに、上記吐出ライン22は、流量計23の出口側において枝配管され、電磁弁24bを介して投入部2における開口部10aの上方位置に導入されるとともに、その先端部にシャワー25が取り付けられている。
【0029】
そして、このタンク4の底部に、上記排出ライン5が接続されている。この排出ライン5の接続部は、エルボおよび直管を組み合わせることにより、タンク4の底部から下方に垂下して再び上方に延出するU字状に形成されるとともに、当該U字状部分の先端部が水平に形成されている。そして、この先端部に、上記切断機6とタンク4内の廃棄物を含む洗浄液を抜き出すポンプ26とが設けられている。
【0030】
ここで、ポンプ26は、モータ27によって回転駆動される渦巻きポンプであり、その羽根車の回転軸26aの先端部に、上記切断機6が設けられている。この切断機6は、図3に示すように、排出ライン5の流路を横切るように当該排出ライン5内に配置された円板状の格子板28と、この格子板28に沿って回転自在に設けられた4枚の切断刃29とから概略構成されたものである。
【0031】
この格子板28には、中心部から径方向に延出する複数本の格子28aが形成されており、これら格子28a間に、廃棄物の通過を許容する開口部が形成されている。他方、切断刃29は、各々中心部から径方向に放射状に突出するように周方向に等間隔をおいて突設されており、これら切断刃29の中心部が、上記回転軸26aの先端に取り付けられている。
【0032】
そして、排出ライン5におけるポンプ26の吐出側が、ピンチバルブ30を介して上記圧縮機7に接続されている。なお、ピンチバルブ30は、ゴムチューブを押し挟んで排出ライン5の流路を開閉するものである。
【0033】
また、圧縮機7は、図4に示すように、下端部に上記排出ライン5が接続された供給口31を有するとともに、上端部に排出口32が設けられた円筒状の本体33と、この本体33内に軸線を一致させて回転自在に設けられ、後述する供給口31から供給された廃棄物等を排出口32側に向けて搬送するスクリュー34と、このスクリュー34の外周に密着して設けられたフィルタ35と、このフィルタ35の外方に形成された排水部36と、排出口32に設けられた複数本(図では5本)の圧縮部材37a、37bとから概略構成されたものである。
【0034】
ここで、圧縮機7の本体33は、排出口32が上方となるように、基台38上に水平に対して10°〜20°の傾斜角度で設置されている。また、基台38上には、スクリュー34を回転駆動するためのモータ39が並列的に設けられており、基台38の下面に突出するスクリュー34の下端部とモータ39の出力軸とが、スプロケット40aおよびチェーン40bによって回転自在に連結されている。
【0035】
他方、フィルタ35は、所定の内径(例えば2〜3mmφ)を有する多数の孔が穿設されたパンチングメタルからなるもので、スクリュー34の下端部から上方に向けて、スクリュー34の全長に設けられている。そして、このフィルタ35の外周と本体33との間の空間の下部に、上記排水部36が形成され、この排水部36に排水管41(図1参照)の一端部が接続されるとともに、この排水管41の他端部が、装置本体1の外壁に設けられた排水接続口42に接続されている。
【0036】
また、排出口32に設けられた圧縮部材37a、37bは、各々外径寸法が同じリング状の部材で、内周面が円筒状に形成されたもの(37a)と、排出口32の先端側に向けて漸次縮径されたテーパー状に形成されたもの(37b)との2種類が用いられている。そして、これら圧縮部材37a、37bは、ボルト43aおよびナット43bによって、本体33の端面に着脱自在に設けられている。
【0037】
さらに、この処理装置においては、図1および図2に示すように、排出ライン5におけるポンプ26の下流側であって、かつピンチバルブ30の上流側に、当該排水ライン5内の切断された廃棄物および洗浄液を再びタンク4へと循環可能な上記戻りライン8が枝配管されている。なお、図1中符号44は、圧縮機7の処理能力以上の水分をタンク4に戻すための逃がしラインである。
【0038】
次いで、以上の構成からなる廃棄物の処理装置によって紙おむつ等の繊維状の廃棄物を処理する際の作用について説明する。
一般的に、紙おむつ等の繊維状の廃棄物Wは、袋の中に各施設において決められた一定量が収納されている。そして、この廃棄物の処理装置においては、後述するように、予め設定された量の廃棄物を順次バッチ処理するようになっている。
【0039】
先ず、上記袋状の廃棄物Wを装置本体1の投入口2aから投入部2内に供給すると、当該廃棄物は、プッシャ9によってホッパ10の開口部10aから下方のシュレッダ3に落下する。この際に、シュレッダ3は、停止状態にある。
【0040】
また、これと併行して、洗浄液受槽14内の洗浄液を、ポンプ15および電磁弁24aを介してタンク4内に所定量供給するとともに、上記タンク4内に、図示されない供給ラインから、例えば上記高分子吸収剤の分離・脱水を行うための塩化カルシウム等の添加剤と、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤を供給する。
【0041】
さらに、ピンチバルブ30を閉じた状態に保持しつつ、モータ27によってポンプ26を駆動することにより、タンク4内の洗浄液を排出ライン5、切断機6、ポンプ26および戻りライン8を通して循環させておく。
【0042】
このような状態から、上記シュレッダ3を作動させて、モータ13によって回転する回転刃12によって、袋を裁断するとともに設定された量の廃棄物Wを破砕して、タンク4内に落下させる。この際に、洗浄液受槽14内の洗浄液を、ポンプ15および電磁弁24bを介して、シュレッダ3の上方からシャワー25によって散水する。これにより、上記裁断・破砕を円滑に行うことができるとともに、回転刃12に廃棄物の高分子吸収剤が張り付いて、悪臭が発生することを防止することもできる。
【0043】
次いで、このシュレッダ3において裁断された廃棄物は、回転刃12間から下方のタンク4内へと落下し、このタンク4において上記洗浄液とが混合されるとともに、排出ライン5から切断機6へと送られる。そして、この切断機6において、格子28aと切断刃29との間でせん断された後に、さらにポンプ26において羽根車によって高速に洗浄液と撹拌・混合されて、再び戻りライン8からタンク4へと戻される。
【0044】
この際に、タンク4の底部における排出ライン5の接続部分を、U字状に形成して、その水平な端部を切断機6に接続しているために、タンク4内の廃棄物を、当該タンク4の底部に滞ることなく、円滑に切断機6へと導入させることができる。
【0045】
このようにして、上記タンク4への循環が一定時間行われることにより、上記廃棄物および洗浄液の混合液がスラリー化しつつ当該廃棄物の洗浄および殺菌が繰り返されるとともに、高分子吸収剤に吸収されていた水分および汚物が脱水される。
【0046】
次いで、上記一定時間が経過した後に、ピンチバルブ30を開いて、タンク内4の所定の洗浄・殺菌が完了した廃棄物および洗浄液を、圧縮機7へと送る。すると、排出ライン5が接続された供給口31から本体33内に供給された廃棄物および洗浄液は、モータ39によって駆動されるスクリュー34の回転に伴って、本体33内を排出口32側へと送られて行く。そして、洗浄水等は、フィルタ35を通過して排出部36へと流れる。
【0047】
他方、フィルタ35を通過しない廃棄物は、本体33内を送られて排出口32から圧縮部材37a、37b内へと送られる。すると、先端側の圧縮部材37bの内壁は、搬送方向に沿って漸次狭くなるテーパー状に形成されているために、上記圧縮部材37a、37bにおいて廃棄物Wが搬送抵抗を受け、後から送られてくる廃棄物Wによって圧縮される。そして、十分に圧縮された廃棄物Wは、塊となって圧縮部材37bの先端部から外部に排出される。
【0048】
以上の工程によって、所定量の廃棄物の処理が完了すると、再びタンク4内に、洗浄液受槽14内の洗浄液が、ポンプ15および電磁弁24aを介して一定量供給されるとともに、上記高分子吸収剤の分離・脱水を行うための塩化カルシウム等の添加剤と、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤が供給され、さらにシュレッダ3が作動して、所定量の廃棄物Wが裁断・破砕されてタンク4内に供給されることにより、上記工程が繰り返される。
【0049】
このように、上記構成からなる廃棄物の処理装置によれば、タンク4内の廃棄物および洗浄液を、排出ライン5から切断機6に送って、上記廃棄物を切断するとともに、切断された廃棄物および洗浄液をポンプ26によって高速で撹拌・混合することにより、効率的に廃棄物に付着していた汚物を洗浄して殺菌することができる。
【0050】
さらに、ピンチバルブ30を閉じて、戻りライン8からタンク4へ循環させることにより上記工程を一定時間行うことにより、上記廃棄物および洗浄液の混合液をスラリー化しつつ上記廃棄物の洗浄および殺菌を繰り返して、洗浄効率を大幅に向上させることができる。
【0051】
この結果、容量の小さなモータ等を用いた小型の装置によっても、短い処理時間で効率的に紙おむつ等の繊維状の廃棄物を洗浄して処分することができ、かつ水中浮遊物についても排水中から除去して排水基準を満足させることもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 装置本体
2 投入部
3 シュレッダ(破砕手段)
4 タンク
5 排出ライン
6 切断機(切断手段)
7 圧縮機
8 戻りライン
26 ポンプ
26a 回転軸
27 モータ
28 格子板
28a 格子
29 切断刃
30 ピンチバルブ
W 廃棄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、この装置本体の上部に設けられた廃棄物の投入部と、この投入部の下方に設けられ上記廃棄物を破砕する破砕手段と、この破砕手段から排出された上記廃棄物および洗浄液を混合するタンクと、このタンクで混合された上記廃棄物および洗浄液を排出するポンプを備えた排出ラインと、この排出ラインに介装されて上記タンクから排出された上記廃棄物を切断する切断手段と、上記排出ラインから送られる切断後の上記廃棄物を圧縮して排出するとともに上記洗浄液を分離する圧縮機とを備えてなり、
かつ上記排出ラインの上記ポンプの下流側には、上記切断後の上記廃棄物および洗浄液を上記タンクに循環可能な戻りラインが枝配管されていることを特徴とする廃棄物の処理装置。
【請求項2】
上記排出ラインにおける上記戻りラインの接続部と上記圧縮機との間に、ゴムチューブを押し挟んで当該排出ラインの流路を開閉するピンチバルブが介装されていることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物の処理装置。
【請求項3】
上記切断手段は、上記排出ラインに介装されて格子間に上記廃棄物の通過を許容する開口部が形成された格子板と、この格子板に対向配置されるとともに回転自在に設けられ、上記格子との間で上記廃棄物をせん断する切断刃とを備えてなり、かつ上記切断刃は、上記ポンプの回転軸によって同軸に回転駆動されることを特徴とする請求項1または2に記載の廃棄物の処理装置。
【請求項4】
上記圧縮機は、一端部に上記排出ラインが接続された供給口を有するとともに、他端部に排出口が設けられた円筒状の本体と、この本体内に回転自在に設けられ、上記供給口から供給された上記廃棄物および洗浄液を上記排出口側に向けて搬送するスクリューと、このスクリューの外周に設けられて上記洗浄液を分離するフィルタと、このフィルタの外方に形成された上記洗浄液の排水部とを有し、かつ上記排出口には、上記本体内を搬送される上記廃棄物を当該搬送方向に向けて順次圧縮する複数本の圧縮部材が、各々着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の廃棄物の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−40518(P2012−40518A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184626(P2010−184626)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(592048475)鈴与株式会社 (6)
【出願人】(591032954)株式会社巴商会 (9)
【Fターム(参考)】