説明

廃棄食品の再資源化プラント

【課題】コンビニ、スーパー等から廃棄される消費期限切れまたは賞味期限切れの廃棄食品から各用途に適した良質の飼料を製造可能にするとともに、処理ラインを簡素化して低コストにする。
【解決手段】廃棄された食品から複数種の飼料を製造する廃棄食品の再資源化プラントにおいて、前記廃棄食品のうち、低脂肪系廃棄食品を分別可能な廃棄食品a、bから分別した低脂肪系廃棄食品cの一部を乾燥機で乾燥処理して、低脂肪系乾燥飼料F1を製造する製造ラインと、該低脂肪系廃棄食品cの残りを乳酸発酵させて液状発酵飼料F3を製造する製造ラインと、前記廃棄食品のうち、高脂肪系廃棄食品を分別可能な廃棄食品から分別した高脂肪系廃棄食品eの一部を乾燥機で乾燥処理して、高脂肪系乾燥飼料F2を製造する製造ラインと、前記廃棄食品のうち低脂肪系廃棄食品c又は高脂肪系廃棄食品eを分別するのが困難な廃棄食品hの一部を堆肥化して堆肥を製造するラインと、該廃棄食品の残りをメタン発酵してバイオガスを製造するラインと、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄される廃棄食品を再利用して、複数種の良質な飼料を同時に製造可能な廃棄食品の再資源化プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア、スーパーマーケット又はデパートの食品売り場などでは、弁当や惣菜などの調理食品は、合成樹脂製の弁当箱やトレイに入れられ、合成樹脂製の蓋やラップで覆われている。例えば、トレイ入り弁当やカップ形状食品、アルミ鍋式インスタント食品、あるいは飲料では、紙パック入り飲料等が挙げられる。また、調理パンやおにぎりは、合成樹脂フィルムの袋に入れられて販売されている。
【0003】
このように包装された食品は、季節による保存温度や販売時における環境変化から消費期限または賞味期限が定められている。これらの包装食品は、賞味期限が経過すると商品として販売することができないため、店頭から取り除かれて廃棄される。
また、レストランや学校あるいは病院等からは、給食用として調理された食品の残り、いわゆる消費系廃棄食品が大量に発生している。そのため、これら廃棄される食品の有効利用を図る必要性が増大してきている。
【0004】
廃棄食品の有効利用を図る技術として、例えば、特許文献1(特開2003−88838号公報)には、外食産業や食品製造所等から排出される食品廃棄物を蒸洗、乾燥して脱油乾燥飼料を生産したり、あるいは食品廃棄物をメタン発酵させて高カロリーガスを得たり、あるいは食品廃棄物を乳酸発酵させて発酵混合飼料を生産するシステムが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−88838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、食品廃棄物を蒸洗クッカーで蒸気により90℃以上に加熱して食品廃棄物中の油分を浮揚させ、その後90℃以上の温水を食品廃棄物に噴霧して油分と塩分等を除去する蒸洗処理を行い、その後分離した固形分を加熱蒸気乾燥機で乾燥する。かかる工程を経ることによって、油分含有量が少ない脱油乾燥飼料を生産可能としている。
しかし、特許文献1の処理方法では処理工程が複雑になる上に、設備費が高価になるという問題がある。
【0007】
一方、前記消費系廃棄食品には、種々雑多な食品残渣が含まれているため、それらを分別することが困難であり、そのため、従来の処理方法では、良質の飼料を製造することが困難であった。
【0008】
また、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等から排出される前記包装食品は、包装材を廃棄食品から分別する必要があるが、かかる分別作業が容易ではない。また、近年施行された容器包装リサイクル法などにより、合成樹脂製の弁当箱やトレイなどの包装材と、廃棄食品とを分別して回収することが要求されるようになった。
【0009】
家畜用飼料の場合、一般的に、豚用飼料は脂肪分が多いと、価値が下がってしまう。これに対して、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等から廃棄される弁当類のおかず類や惣菜類は脂肪分が高く、豚用飼料としては不向きである。一方、鶏用の飼料では脂肪分の量は豚用ほど制約されないと考えられる。一般的に流通している豚用飼料は、配合飼料が主となっているが、この配合飼料のうち、主要成分はトウモロコシ等の穀物類である。しかし、最近になってエネルギ需要の変化のために、トウモロコシの国際相場が高騰している。
【0010】
一方、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の廃棄食品中、おにぎり、菓子パン、弁当のご飯などは、良質で低脂肪の穀物類が多いため、これらの廃棄食品を低コストで豚用飼料として再利用できれば、良質の豚用飼料を製造できるとともに、豚用飼料の製造コストを低減することができる。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、大量に廃棄される食品の有効利用を図るため、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別可能な廃棄食品については、それらを分別することにより、各用途に適した良質の飼料を製造可能にするとともに、それらを分別することが困難な廃棄食品については、堆肥又はバイオガス生成の原料とすることにより、廃棄食品の有効利用を図ると共に、分別した低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を別々に処理することにより、処理を簡素化し、これによって、低コストな飼料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するため、本発明の食品残渣の再資源化プラントは、
廃棄された食品から複数種の飼料を製造する廃棄食品の再資源化プラントにおいて、
前記廃棄食品のうち、低脂肪系廃棄食品を分別可能な廃棄食品から分別した低脂肪系廃棄食品の一部を乾燥機で乾燥処理して、低脂肪系乾燥飼料を製造する製造ラインと、
該低脂肪系廃棄食品の残りを乳酸発酵させて液状発酵飼料を製造する製造ラインと、
前記廃棄食品のうち、高脂肪系廃棄食品を分別可能な廃棄食品から分別した高脂肪系廃棄食品の一部を乾燥機で乾燥処理して、高脂肪系乾燥飼料を製造する製造ラインと、
前記廃棄食品のうち低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別するのが困難な廃棄食品の一部を堆肥化して堆肥を製造するラインと、
該廃棄食品の残りをメタン発酵してバイオガスを製造するラインと、からなるものである。
【0013】
本発明において、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別可能な廃棄食品とは、主として、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、若しくはデパートの食品売り場、量販店、又は食品工場から廃棄される包装食品である。一方、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別するのが困難な廃棄食品は、主として、病院、学校又はレストラン等で給食用として調理され供された食品の残りである前記消費系廃棄食品である。
【0014】
ただし、コンビニ等から廃棄された食品でも、包装されていないものがある。例えば、中華まん、おでん、やきとり等のくし物などがあり、これらの廃棄食品は、一部を除き
低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別することが困難であるので、堆肥製造の原料として堆肥化処理されるか、又はバイオバスの原料としてメタン発酵処理されるを選択される。一方、消費系廃棄食品の中でも、分別可能な野菜類は液状発酵飼料の原料となり得るので、液状発酵飼料の製造ラインに回すことができる。
また、紙パックに入った牛乳、あるいは合成樹脂製容器等に入ったプリン、ヨーグルト等の乳飲料系廃棄食品は、分別して乳酸発酵に利用できるため、液状発酵飼料の製造ラインに回すことができる。
【0015】
集積された廃棄食品の分別作業は、主として作業員が手動で行なうが、あるいは従来公知の半自動化された機械を使って行なってもよい。
分別可能な廃棄食品から分別された低脂肪系廃棄食品は、一部を乾燥処理して低脂肪系乾燥飼料を製造し、残りは乳酸菌により発酵処理して液状発酵飼料を製造する。これによって、豚用として好適な低脂肪系乾燥飼料を製造することができる。
【0016】
コンビニエンスストア、スーパーマーケット等から廃棄される消費期限切れまたは賞味期限切れの食品には、おにぎり、菓子パン、弁当のご飯など良質の低脂肪な穀物類が多く含まれ、これらの低脂肪系廃棄食品から高脂肪系廃棄食品を分別することによって、良質の低脂肪系乾燥飼料を大量に製造することができる。
【0017】
分別可能な廃棄食品から低脂肪系廃棄食品を分別した後には、サンドイッチや弁当のおかず類など、脂肪分を多く含むものが必然的に残る。これも栄養分がある程度一定となっておれば、配合飼料に混合することが可能になる。鶏用の飼料としては脂肪分が多くても使用可能である。従って、低脂肪系廃棄食品を分別した後の残った高脂肪系廃棄食品を乾燥処理して高脂肪系乾燥飼料を製造することにより、主として鶏用の飼料として利用することができる。なお、他の飼料との配合割合の制限は受けるが、豚用としても使用可能である。また、高脂肪系乾燥飼料は、ペットフードや魚餌等のようにペットや観賞用動物などの家畜以外の動物用飼料(餌)としても用いられる。
【0018】
また、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系乾燥飼料に分別できない廃棄食品、主として前記消費系廃棄食品は、堆肥化して堆肥を製造するか、又はメタン発酵してバイオガスを製造するかのいずれかの製造ラインを選択する。堆肥化は、好気性菌によって廃棄食品を分解する発酵作用であり、メタン発酵は嫌気性菌によって廃棄食品を分解する発酵作用である。そのため、対象となる廃棄食品を堆肥化に向く廃棄食品とメタン発酵に向く廃棄食品とに分別してそれぞれの製造ラインに振り分ける。
【0019】
このように、本発明によれば、各所から集積した廃棄食品のうち、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品に分別可能な廃棄食品から、豚用飼料として好適な良質の低脂肪系乾燥飼料及び液状発酵飼料と、鶏用飼料若しくはペットフードや魚餌等として好適な良質の高脂肪系乾燥飼料を同時に製造できる。さらに、かかる分別が困難な廃棄食品から堆肥やエネルギ源となるバイオガスを生成することができる。また、廃棄食品を低脂肪系廃棄食品、高脂肪系廃棄食品、及びこれらに分別できないその他の廃棄食品に分別した後で、それぞれの廃棄食品に再資源化処理を施すため、製造ラインを簡素化でき、これによって、低コストな飼料を製造することができる。
【0020】
また、廃棄される廃棄食品の中には、トレイ入り弁当やカップ形状食品、アルミ鍋式インスタント食品、あるいは合成樹脂製のフィルムで包まれた食品が混在する。本発明において、廃棄食品からこれら可撓性の包装材で包装されている廃棄食品を分別し、該包装材を破断して該包装材で包装された廃棄食品を取り出す処理を含むようにするとよい。かかる処理を含ませることにより、廃棄食品が可撓性の包装材で包装されている場合でも、廃棄食品から該包装材を確実に分別でき、製造される飼料に該包装材が混入するのを防止することができる。
【0021】
また、本発明プラントにおいて、低脂肪系乾燥飼料製造ラインが、内部に密閉可能な乾燥空間を有し、該乾燥空間に横方向に互いに間隔を置いて並設された複数の中空管を備えた回転体を備え、該中空管に加熱媒体(例えば、加熱蒸気等)を供給し、該乾燥空間に投入された低脂肪系廃棄食品を該回転体で攪拌して加熱乾燥するように構成した乾燥装置を含むようにするとよい。
【0022】
かかる構成の乾燥装置を用いれば、低脂肪系廃棄食品を該中空管の間を通しながら攪拌混合することができるので、加熱効率が良好であり、また、米飯等炭水化物類を中心とした低脂肪系廃棄食品に強い圧力を付加することがないので、低脂肪系廃棄食品の原型を比較的留めたまま乾燥処理することが可能である。従って、低脂肪系乾燥飼料が粉状とならず、飼料として食べやすい均一の粒子形状を保つことができる。
【0023】
また、本発明プラントにおいて、高脂肪系乾燥飼料製造ラインが、内部に密閉可能な乾燥空間を有し、該乾燥空間に横方向に配置された回転軸と該回転軸に該回転軸の軸方向に間隔を置いて並設された複数の中空円盤とを備え、該中空円盤に加熱媒体(例えば、加熱蒸気等)を供給し、該乾燥空間に投入された低脂肪系廃棄食品を該中空円盤加熱乾燥するように構成した乾燥装置を含むようにするとよい。
【0024】
かかる構成の乾燥装置を用いれば、前記中空円盤に加熱媒体を流して高脂肪系廃棄食品を加熱するようにしているため、中空円盤の加熱面と高脂肪系廃棄食品との間で広い接触面積を得ることができるので、加熱効果を高めることができる。従って、高脂肪系廃棄食品に対しても良好な乾燥性能を得ることができる。
また、高脂肪系廃棄食品に乾燥補助材(まぶし粉等の乾燥物)を添加することで、かなり広範囲な種類の高脂肪系廃棄食品を乾燥することが可能になる。
【0025】
さらに、本発明プラントにおいて、液状発酵飼料製造ラインが、低脂肪系廃棄食品を貯留すると共に、乳飲料系廃棄食品、野菜廃棄物及び水を供給して該低脂肪系廃棄食品の水分含有量を調整する水分量調整タンクと、水分調整された該低脂肪系廃棄食品を加熱殺菌する装置と、該乳飲料系廃棄食品を使って乳酸菌を培養する設備と、加熱殺菌された低脂肪系廃棄食品と該乳酸培養設備で培養された乳酸菌とを受け入れて該低脂肪系廃棄食品を乳酸発酵させる発酵タンクと、を含むようにするとよい。
【0026】
かかる構成とすれば、低脂肪系廃棄食品から良質の液状発酵飼料を製造することができる。特に、低脂肪系廃棄食品の水分含有量の調整及び乳酸菌を培養するために用いられる乳飲料として、乳飲料系廃棄食品を用いれば、低コストで液状発酵飼料を製造することができる。また、95%が水分である野菜廃棄物を添加することで、水分供給と飼料として必要な繊維分の補給が可能になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、各所から集積した廃棄食品のうち、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品に分別可能な廃棄食品から、豚用飼料として好適な良質の低脂肪系乾燥飼料及び液状発酵飼料と、主に鶏用飼料として好適な良質の高脂肪系乾燥飼料を同時に製造できる。さらに、前記分別が困難な廃棄食品から堆肥やエネルギ源となるバイオガスを生成することができる。従って、大量に廃棄される食品の有効利用を可能にする。
【0028】
また、廃棄食品を低脂肪系廃棄食品、高脂肪系廃棄食品、及びこれらに分別できないその他の廃棄食品に分別した後で、それぞれの廃棄食品に再資源化処理を施すため、製造ラインを簡素化でき、これによって、低コストな飼料を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
(実施形態)
【0030】
次に本発明の一実施形態を図1〜図11に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る処理ラインのブロック線図である。図1において、廃棄食品の再資源化処理を行うための廃棄食品の集積場1には、主として、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、若しくはデパートの食品売り場、量販店、又は食品工場、コンビニベンダー等から消費期限切れまたは賞味期限切れで廃棄された廃棄食品aや、主として、レストランや学校、病院等で給食用として調理された食品の残りとして廃棄された消費系廃棄食品bが集積される。
【0031】
廃棄食品aには主として前述の包装食品が含まれるが、一方で、包装されていない食品、例えば、中華まん、おでん、やきとり等のくし物などが雑多に混じった廃棄食品も含まれる。一方、消費系廃棄食品bは、種々雑多に混じった廃棄食品が主であるが、野菜系廃棄食品のように分別可能なものも含まれる。
【0032】
集積された廃棄食品a及びbは、まず前処理場2で前処理として、作業員による手作業又は半自動化された従来公知の手段により、低脂肪系廃棄食品c、包装廃棄食品d、高脂肪系廃棄食品e、野菜系廃棄食品f、飲料系廃棄食品g、及びその他残りの種々雑多な廃棄食品が混ざったその他の廃棄食品hに分類される。
【0033】
低脂肪系廃棄食品cは、主として、ご飯、麺類、パン類等の炭水化物等を含んでいる。低脂肪系廃棄食品cは、低脂破袋機3で低脂肪系廃棄食品c中に混入する柔らかいフィルム状の袋を破断して該袋中の廃棄食品を取り出す。その後、低脂肪系廃棄食品cの一部は低脂乾燥機4に送られ、低脂乾燥機4で乾燥処理して低脂肪系乾燥飼料を製造する。低脂肪系廃棄食品cの残りは、液状発酵飼料を製造するため、水分量調整タンク5に送られる。
【0034】
高脂肪系廃棄食品eは、主として、弁当のおかず類や惣菜などの高脂肪系の調理食品である。高脂肪系廃棄食品eは、高脂破袋機7を経た後、高脂乾燥機8に送られて乾燥処理され、高脂肪系乾燥飼料となる。
【0035】
包装廃棄食品dは、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、デパートの食品売り場などで販売されている、例えば、トレイや弁当箱に入った食品やカップ形状食品、あるいはアルミ鍋式インスタント食品などである。包装材としては、合成樹脂製の容器やフィルムのほか、紙パックやアルミ箔などがある。
【0036】
包装廃棄食品dは、トレーカッタ6で包装材を破断し、内部の廃棄食品を取り出す。その後、取り出した廃棄食品を低脂肪系廃棄食品と高脂肪系廃棄食品とに分別し、分別された低脂肪系廃棄食品は、低脂破袋機3の上流側で低脂肪系廃棄食品cに合流し、一方、分別された高脂肪系廃棄食品は、高脂破袋機7の上流側で高脂肪系廃棄食品eに合流する。
【0037】
野菜系廃棄食品fは、破砕機9で破砕された後、低脂肪系液状発酵飼料の原料として水分量調整タンク5に入れられる。
飲料系廃棄食品gは、飲料系砕袋機10で紙パック等の包装材を破断され、該包装材を分離した後、飲料受けタンク11に入れられる。
【0038】
その他の廃棄食品hには、例えば、学校、病院で供された給食から排出された味噌汁や、コンビニ、スーパー等で廃棄されたおでんややきとり等のくし物、その他、つけ物や、中華まん、ハンバーグ、エビフライなど種々雑多な廃棄食品が混ざっている。従って、その他の廃棄食品hからは、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別できないので、破砕機12を経た後、堆肥化処理に好適なものは乾燥機13で乾燥処理され、その後堆肥化装置14に送られ、堆肥化される。そして、その他の廃棄食品hのうちメタン発酵処理に好適なものは、メタン発酵装置15に送られ、バイオガス生成の原料となる。
【0039】
次に分別された各廃棄食品の処理ラインを具体的に説明する。図2において、低脂肪系廃棄食品cが原料前処理ゾーン2からコンベア31で搬送されて低脂破袋機3に投入される。低脂破袋機3では、低脂肪系廃棄食品cを包む柔らかいフィルム状の包みが破られ、風力選別により破袋と低脂肪系廃棄食品cとが分離される。低脂肪系廃棄食品cは、低脂破袋機3から従来公知の構成を有するサークルフィーダ32に排出され、ここで2系統の搬送路33及び34に分配される。
【0040】
搬送路33に分配された低脂肪系廃棄食品cは、低脂乾燥機4に送られ、低脂乾燥機4で乾燥処理されて低脂肪系乾燥飼料となる。一方、搬送路34に分配された低脂肪系廃棄食品cは、水分量調整タンク5a又は5bに送られて、液状発酵飼料の原料となる。
【0041】
次に、高脂肪系廃棄食品eが原料前処理ゾーン2からコンベア71で搬送されて高脂破袋機7に投入される。高脂破袋機7は低脂破袋機3と同一の構成を有する。高脂破袋機7で風力分別により破袋と分離された高脂肪系廃棄食品eは、高脂破袋機7から従来公知の構成を有するサークルフィーダ72に排出され、ここで2系統の搬送路73及び74に分配される。搬送路73に排出された高脂肪系廃棄食品eは、高脂乾燥機8aに送られ、搬送路74に排出された高脂肪系廃棄食品eは、高脂乾燥機8bに送られる。
【0042】
野菜系廃棄食品fは、原料前処理ゾーン2からコンベア91で搬送され、破砕機9に送られる。破砕機9で破砕された野菜系廃棄食品fは、液状発酵飼料の原料として搬送路92を経て水分量調整タンク5a又は5bに送られる。
次に、飲料系廃棄食品gは、原料前処理ゾーン2からコンベア101で搬送され、飲料系砕袋機10に送られる。飲料系砕袋機10で飲料系廃棄食品gが入ったペットボトル又は紙パック等の可撓性容器を破断し、該可撓性容器と飲料系廃棄食品gとを分離する。分離された飲料系廃棄食品gは、飲料受けタンク11に貯留される。
【0043】
次に、その他の廃棄食品hは、原料前処理ゾーン2からコンベア121で破砕機12に搬送される。破砕機12で破砕処理されたその他の廃棄食品hのうち、堆肥化処理に好適なものは、搬送路122を通って乾燥機13に送られ、乾燥機13で乾燥処理される。その後、コンベア131で堆肥化装置14に送られ、堆肥化される。破砕機12で破砕されたその他の廃棄食品hのうちメタン発酵処理に好適なものは、搬送路123をコンテナでメタン発酵装置15に運ばれ、バイオガスを成形するための原料となる。
【0044】
なお、包装廃棄食品dは、トレーカッタ6により包装材が破断され、包装材を除去した後、低脂肪系廃棄食品と高脂肪系廃棄食品とに分離されるが、ここでトレーカッタ6の構成を図3及び図4に基づいて説明する。図3はトレーカッタ6の立面図、図4はトレーカッタ6の搬送コンベア61の平面図である。
【0045】
図3及び図4において、トレーカッタ6は、主として、包装食品を搬送する搬送コンベア61と、搬送コンベア61上の包装廃棄食品dを押圧支持する周回体621及び搬送された包装廃棄食品dを切断するカッター622を備えたカッターユニット62と、切断時に飛散される廃棄食品や水分などを受ける水受皿63と、フレーム64によって構成されている。また図示されないが、トレーカッタ6の正面扉や側面扉、包装廃棄食品dを投入する投入部65及び包装廃棄食品dを排出する排出部66などの各部に安全カバーが設けられている。
【0046】
投入部65より投入された包装廃棄食品dは、搬送コンベア61を用いて最大30m/minで搬送され、周回体621により押圧支持される。搬送コンベア61と周回体621に狭持された包装廃棄食品dはカッター622により略中央部を切断され、排出部66より排出される。
投入部65では、図4に示すように、人手によって包装廃棄食品dが搬送コンベア61の略中央部に載置されるように投入する。なお、包装廃棄食品dは搬送コンベア61の1つの仕切り空間に1個載置することが好ましい。その際、包装廃棄食品dは1分間につき100個連続的に切断することが可能である。
【0047】
周回体621は、一対のチェーンコンベアを周回方向に空隙を持たせて隣接配置されたものを用いる。周回体621は、その周回体621に係合して作動するスプロケットを有しており、図3に示すように、投入部側スプロケット623が排出部側スプロケット624よりも上方に設けられている。また、カッター622の取付部上方に位置する周回体621の周回位置を局部的に拡幅化する引張り手段が設けられている。なお、本実施形態では前記引張り手段として、テンショナー67を用いるが、周回体621の周回位置を局部的に拡幅化するのであれば、引張り手段はテンショナーだけに限定されない。
【0048】
搬送コンベア61は、図4に示すように、外周面に仕切り空間を形成した一対のコンベアベルトをベルト周回方向pに空隙を持たせて隣接配置されている。仕切り空間は、図4(a)に示すように、コンベアベルト外周側に複数設けられた仕切り611により形成されている。そして、図4(b)のように、搬送コンベア61の仕切り空間に載置された包装廃棄食品dは、周回方向pに向って搬送される。
【0049】
本実施形態では、搬送コンベア61として、2分割桟付きプラスチックベルトコンベアを用いており、仕切り空間の幅を略150mmとした。プラスチックベルトコンベアを用いることにより、廃棄食品や廃棄食品に含まれる調味料が飛散しても腐食しにくく、容易に洗浄することが可能である。また、洗浄性を考慮し、動力として、インバータ制御による全閉外扇型若しくは防水ブレーキ付きモーターを使用している(トレーカッタ6のさらなる詳細構成は特願2007−106398号の明細書及び図面を参照)。
【0050】
次に、低脂乾燥機4の下流側の処理ラインによる低脂肪系乾燥飼料の製造ラインを説明する。図5は低脂乾燥機4の下流側の処理ラインを示す系統図、図6は低脂乾燥機4の縦断立面図、図7は同じく側面図である。図5〜7において、搬送路33を空気輸送されてきた低脂肪系廃棄食品cは、低脂乾燥機4のハウジング41の長手軸方向に間隔を置いて分散配置された投入口411a〜cから低脂乾燥機4内に投入される。低脂乾燥機4の内部には、水平方向に配置された回転軸42が設けられ、回転軸42は、ハウジング41の両外側に配置された支持台421によって回転可能に支持されている。低脂乾燥機4の外部に設けられた駆動モータ43の出力が駆動力伝達装置44を介して回転軸42に伝達される。
【0051】
低脂乾燥機4で乾燥処理された低脂肪系廃棄食品cは、ハウジング41の一端側の底面に設けられた排出口45a及びハウジング41の側面に設けられた排出口45bから排出され、コンベア451を経て分級装置452に達する。分級装置452で粗い粒子の低脂肪系廃棄食品cが除去され、均一な粒子となった低脂肪系廃棄食品cは,冷却装置453で冷却される。その後マグネットセパレータ454で金属類が除去されて、製品ホッパ455に貯留されて、低脂肪系乾燥飼料F1として出荷される。
【0052】
また、乾燥促進のためのキャリアガス取り入れ口412が設けられている。キャリアガス導入の目的は、乾燥機内部での水分蒸発を促進することにあり、外気を一定量低脂乾燥機4の内部に送り込み、内部で蒸発した水分と一緒に排ガス排出口46から排出する。低脂乾燥機4の排出口46から排出される排ガスcgは、集塵器461で除塵された後、コンデンサ462で冷却される。その後、排ガスcgは水封ポット463で凝縮水が除去された後、図示しない脱臭装置に送られて脱臭処理される。
【0053】
図6及び図7において、低脂乾燥機4は、ハウジング41の上部に長手軸方向に間隔を置いて分散配置された低脂肪系廃棄食品cの投入口411a〜cと排ガス排出口46が設けられている。ハウジング41の内部で、回転軸42に回転体47が取り付けられている。回転体47には両側に鏡板471が設けられ、両鏡板471の内側に管板472が設けられている。そして、該管板472間に多数の中空管473が架設されている。
【0054】
回転軸42の駆動側端には、駆動モータ43の駆動力を伝達するチェーン441が巻装されたスプロケット442が装着され、かかる構成の駆動力伝達装置44によって回転軸42が回転する。また、回転軸42の内部には軸方向に沿って蒸気流通孔422が穿設されているとともに、回転軸42の駆動側端に蒸気入口423が設けられ、蒸気入口423から加熱蒸気sが供給され、加熱蒸気sは蒸気流通孔422を経て、多数の中空管473内を通り、従動側の回転軸42に穿設された蒸気流通孔422を経て、ドレンqがドレン出口424から排出されるように構成されている。
【0055】
鏡板471及び管板472の外周面には、円周方向に等間隔で多数のリフタ取付枠474が低脂乾燥機4の長手軸方向に沿って装着されている。また、リフタ取付枠474には、円周方向で90度間隔ごとに多数のリフタ475が装着されている。リフタ475はハウジング41の長手軸方向に沿って分散配置されている。また、中空管473を支持する複数の支持プレート476がハウジング41の長手軸方向に沿って配設されている。
かかる構成によって、低脂乾燥機4の内部に投入され、ハウジング41の底部に落ちてきた低脂肪系廃棄食品cをリフタ475でハウジング41内の上方に掻き揚げるようにすることができる。
【0056】
かかる構成の低脂乾燥機4において、低脂乾燥機4の上部に長手軸方向に分散配置された投入口411a〜cからハウジング47の内部に投入された低脂肪系廃棄食品cは、回転体47によって攪拌されながら、加熱乾燥処理される。即ち、中空管473には120〜150℃の加熱蒸気が流され、低脂肪系廃棄食品cは100℃以下に加熱される。低脂肪系廃棄食品cをかかる温度に加熱することによって、低脂肪系廃棄食品cの炭化を防止しながら、効率の良い乾燥処理をすることができる。
【0057】
なお、図8に示すように、低脂乾燥機4のハウジング41の床面41aにまず低脂肪系廃棄食品を乾燥させた乾燥物(例えば、前日の乾燥物の残り)c1を敷き詰めて、その上に生の米飯・デンプン質類c2を載置して予備乾燥したので、生の米飯・デンプン質類c2のこげ、塊状化を防止することができる。
【0058】
投入口411a〜cから低脂肪系廃棄食品cを投入し、回転体47で低脂肪系廃棄食品cを攪拌しながら、ハウジング41内の底面近くに降下した低脂肪系廃棄食品cをリフタ475で上方に掻き揚げるようにしているので、ハウジング41内では、ハウジング41の長手軸方向に沿って同じような割合で乾燥の進んでいる低脂肪系廃棄食品cや乾燥の進んでいない生の低脂肪系廃棄食品cが混在することになる。
【0059】
そのため、低脂肪系廃棄食品cは、水分蒸発のみでなく、周りの低脂肪系廃棄食品cへの水分移動によって乾燥が進むため、自己崩壊がなく、原型を留めた乾燥処理が可能となる。従って、粒子径の均一な食べやすい低脂肪系乾燥飼料を製造することができる。このようにして乾燥処理された低脂肪系廃棄食品cは、排出口45a及び45bから停滞することなくスムーズに排出される。低脂肪系廃棄食品cは、入口側では均等になるように分散投入するが、低脂乾燥機4の内部では、リフタ475の取り付け角度を調節することにより、少しずつ後方に送り、排出口45a及び45bから排出する。図7において、回転体7は矢印方向に回転するので、乾燥処理された低脂肪系廃棄食品cは、排出口45aから排出されるとともに、排出口45bの堤451を越えて排出される。
【0060】
次に、高脂乾燥機8a又は8bの下流側の処理による高脂肪系乾燥飼料の製造ラインを説明する。図9は高脂乾燥機8a又は8bの下流側の処理ラインを示す系統図、図10は高脂乾燥機8a又は8bの内部拡大図である。図8において、搬送路73又は74を空気輸送されてきた高脂肪系廃棄食品eは、高脂乾燥機8a又は8bのハウジング81の上部入口側に配置された投入口811からハウジング81内に投入される。ハウジング81の内部には、水平方向に配置された回転軸82が貫設され、ハウジング81の両側に配置された支持台821によって回転可能に支持されている。
【0061】
ハウジング81の外部に設けられた駆動モータ83の出力が駆動力伝達装置84を介して回転軸82に伝達される。高脂乾燥機8a又は8bで乾燥処理された高脂肪系廃棄食品eは、ハウジング81の長手軸方向出口側に設けられた排出口85から排出され、コンベア851を経て分級装置852に達する。分級装置852で粗い粒子の高脂肪系廃棄食品eが除去され、均一な粒子となった高脂肪系廃棄食品eは,冷却装置853で冷却される。その後マグネットセパレータ854で金属類が除去されて、製品ホッパ855に貯留されて、高脂肪系乾燥飼料F2として出荷される。排出口85は、低脂乾燥機4の側面に設けられた排出口45bと同一の構成を有する。
【0062】
また、ハウジング81の入口側上部には、キャリアガスの取り入れ口812が設けられ、乾燥機内部での水分蒸発を促進する。ハウジング81の排出口86から排出される排ガスegは、集塵器861で除塵された後、コンデンサ862で冷却水rにより冷却される。その後、排ガスegは水封ポット863で凝縮水が除去された後、図示しない脱臭装置に送られて脱臭処理される。
【0063】
図10に示すように、ハウジング81の内部で回転軸82には、同一直径を有する多数のそろばん形状の中空円盤87が回転軸82の軸方向に微小な間隔を置いて並設されている。そして、前記低脂乾燥機4と同様に、回転軸82の内部に図示しない蒸気流通孔が軸方向に穿設され、回転軸82の駆動側端に設けられた蒸気入口から加熱蒸気が注入され、該蒸気流通孔を経て中空円盤87の内部を通ることにより、ハウジング81内に投入された高脂肪系廃棄食品eを加熱乾燥処理する。その後、高脂肪系廃棄食品eと熱交換して加熱蒸気がドレンとなり、該ドレンが回転軸82の従動側端に設けられたドレン出口から排出される。
【0064】
かかる構成の高脂乾燥機8a又は8bによれば、投入口811に投入された高脂肪系廃棄食品eは、中空円盤87で攪拌されながら徐々に乾燥が進む。そして、中空円盤87の端部には、高脂肪系廃棄食品eを出口側に向かって付勢する角度で図示しない攪拌翼が取り付けられているので、高脂肪系廃棄食品eは出口側に向かって移動していく。回転軸82には多数の回転円盤87が微小な隙間を置いて配置されているため、高脂肪系廃棄食品eとの接触面積が大きい。高脂肪系廃棄食品eは、投入口811から投入されて排出口85から排出される間に多数の回転円盤87と接触するために、熱交換効率が良い。従って、脂肪分の高い廃棄食品に対しても良好な乾燥処理が可能になる。
なお、製造した低脂肪系乾燥飼料F1及び高脂肪系乾燥飼料F2は、水分含有量を14重量%以下とすることで、カビ等の発生を防止することができる。
【0065】
次に、水分量調整タンク5a又は5bの下流側に設けられた液状発酵飼料製造ラインを図11に基づいて説明する。まず、図2において、低脂肪系廃棄食品cが破袋機3を経て水分量調整タンク5a又は5bに貯蔵されるとともに、野菜系廃棄食品fが破砕機9を経て水分量調整タンク5a又は5bに貯蔵される。
【0066】
次に図11において、乳飲料系廃棄食品iの包装材を分離する包装材分離設備51では、例えば紙パックに入った牛乳、又は合成樹脂製の容器に入ったプリン、ヨーグルト等の乳飲料系廃棄食品iがホッパ511に投入され、破袋機512で紙パック、合成樹脂製容器等の包装材を破断する。そして、内部の乳飲料系廃棄食品iを取り出して空になった紙パックj等を破袋機512で乳飲料系廃棄食品iから分離し、乳飲料系廃棄食品iを乳飲料受けタンク513に貯留する。
【0067】
水分量調整タンク5a又は5bでは、乳飲料受けタンク513に貯留された乳飲料系廃棄食品iを管路514を介して水分量調整タンク5a又は5bに供給するとともに、水wを水分量調整タンク5a又は5bに供給して原料の水分調整を行なう。即ち、低脂肪系廃棄食品c及び野菜系廃棄食品fの混合物は60重量%程度の水分量であったが、これに乳飲料系廃棄食品i及び水を注入して80重量%以上の水分量に調製する。水分量調整タンク5a又は5bでは循環路501a又は501bを使って原料を循環させ、水分量調整タンク5a又は5b内の攪拌を行なう。
【0068】
次に、水分量調整タンク5a又は5b内の原料液を管路502を介して殺菌装置52に送って殺菌処理を行う。殺菌装置52に属するタンク521に送られた原料液は、循環管路522を介して加熱/冷却器523とタンク521との間を循環する。加熱/冷却器523には加熱蒸気sが供給され、原料液は加熱蒸気sと間接熱交換することにより、80℃の温度で3分以上加熱されて減菌処理される。この処理によって、原料液中の一般性菌を減少させることにより、後から添加する乳酸菌が増殖しやすい環境をつくる。
【0069】
原料液を殺菌処理した後、加熱/冷却器523に冷却水rを供給し、原料液と熱交換して原料液を40℃に冷却する。一方、乳酸培養設備53の培養タンク531に管路515を介して乳飲料系廃棄食品iを供給し、培養タンク531で乳酸菌を培養する。その後、タンク521で殺菌処理された原料液と、培養タンク531で培養された乳酸菌とは、スタティックミキサ54で互いに混合された後、発酵設備55の発酵タンク551に送られる。
【0070】
発酵タンク551で原料液は乳酸菌により発酵処理され、液状発酵飼料を製造することができる。発酵タンク551では、該タンク内の乳酸菌混合原料液が外部加熱用熱交換器552により温水tと熱交換されることによって、35〜40℃の温度に16時間以上保持される。即ち、タンク内の原料液が液循環ポンプ553により循環され、この循環ライン上に設置された外部加熱用熱交換器552にて、温水tと原料液とが熱交換されることにより発酵タンク551内の原料液が上記温度範囲に保持される構成となっている。これによって、原料液が乳酸菌で発酵され、液状発酵飼料F3が製造され、出荷される。
【0071】
このように、本実施形態では、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、あるいは食品工場やコンビニベンダー等から消費期限切れまたは賞味期限切れで廃棄され主として包装材の包装された廃棄食品aや、レストランや学校、又は病院等で給食用に調理された食品の残りが廃棄された消費系廃棄食品bが集積場1に集積される。そして、集積された廃棄食品を、低脂肪系廃棄食品cと、高脂肪系廃棄食品eと、野菜系廃棄食品fと、飲料系廃棄食品gと、その他の廃棄食品hとに分別される。
【0072】
この場合、低脂肪系廃棄食品c及び高脂肪系廃棄食品eが分別可能な廃棄食品aから低脂肪系廃棄食品c及び高脂肪系廃棄食品eが分別される。また、包装廃棄食品dはトレーカッタ6で破断することにより、容易に低脂肪系廃棄食品cと高脂肪系廃棄食品eとに分別することができる。そして、消費系廃棄食品bからは野菜系廃棄食品fが分別可能である。
【0073】
その後、低脂肪系廃棄食品cを乾燥処理して、低脂肪系乾燥飼料F1を製造するとともに、高脂肪系廃棄食品eを乾燥処理して高脂肪系乾燥飼料F2を製造し、さらに低脂肪系廃棄食品cの一部と野菜系廃棄食品fとを乳酸菌で発酵処理して液状発酵飼料F3を製造するようにしたので、豚用飼料として好適な低脂肪系乾燥飼料F1及び低脂肪系液状飼料F3と、鶏用飼料として使用可能な高脂肪系乾燥飼料F2を同時に製造可能となる。尚、高脂肪系乾燥飼料F2は、ペットフードや魚餌等のようにペットや観賞用動物などの家畜以外の動物用飼料(餌)としても好適に用いられる。
【0074】
また、種々雑多なものが混じった廃棄食品の中から低脂肪系廃棄食品cと高脂肪系廃棄食品eとを分別した後、分別された廃棄食品に対して再資源化処理を実施しているので、個々の再資源化処理ラインを簡素化できる。そのため、低コストの飼料を製造できる。
【0075】
また、低脂肪系廃棄食品cを乾燥処理するのに好適な中空管473をもつ回転体47を装備した低脂乾燥機4で乾燥処理することにより、自己崩壊が少なく、原型を留めた均一な粒子径の低脂肪系乾燥飼料F1を製造することができる。
なお、低脂乾燥機4のハウジング41の床面41aにまず低脂肪系廃棄食品cを乾燥させた乾燥物c1を敷き詰めて、その上に生の米飯・デンプン質類c2を載置するようにして予備乾燥したことにより、生の米飯・デンプン質類c2のこげ、塊状化を防止することができる。
【0076】
また、高脂肪系廃棄食品eを乾燥処理するのに好適な中空円盤87を装備した高脂乾燥機8a又は8bを使用することにより、加熱効果を高めて、高脂肪分のべとつきをなくし、取り扱いを容易にすることができる。
【0077】
さらに、飲料系廃棄食品gから分別した乳飲料系廃棄食品iを液状発酵飼料F3の製造に再利用するようにしているので、液状発酵飼料F3を低コストで製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等あるいはレストラン、学校,病院等から廃棄された種々雑多な廃棄食品から良質な複数種の飼料を同時に低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施形態に係る処理ラインのブロック線図である。
【図2】前記実施形態で分別された各廃棄食品の処理ラインを示す系統図である。
【図3】前記実施形態のトレーカッタ6の立面図である。
【図4】前記実施形態のトレーカッタ6の平面図である。
【図5】前記実施形態の低脂乾燥機4の下流側の処理ラインを示す系統図である。
【図6】前記実施形態の低脂乾燥機4の縦断立面図である。
【図7】前記実施形態の低脂乾燥機4の側面図である。
【図8】前記実施形態で予備乾燥を行なう低脂乾燥機4の一部断面図である。
【図9】前記実施形態の高脂乾燥機8a又は8bの下流側の処理ラインを示す系統図である。
【図10】前記実施形態の高脂乾燥機8a又は8bの内部拡大図である。
【図11】前記実施形態の水分量調整タンク5a又は5bの下流側に設けられた液状発酵飼料製造ラインを示す系統図である。
【符号の説明】
【0080】
3 低脂破袋機
4 低脂乾燥機
5a、5b 水分量調整タンク
6 トレーカッタ
7 高脂破袋機
8a、8b 高脂乾燥機
14 堆肥化装置
15 メタン発酵装置
41a 床面
47 回転体
52 殺菌装置
53 乳酸培養設備
55 発酵貯蔵設備
82 回転軸
87 中空円盤
473 中空管
c 低脂肪系廃棄食品
e 高脂肪系廃棄食品
h その他の廃棄食品
s 加熱蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄された食品から複数種の飼料を製造する廃棄食品の再資源化プラントにおいて、
前記廃棄食品のうち、低脂肪系廃棄食品を分別可能な廃棄食品から分別した低脂肪系廃棄食品の一部を乾燥機で乾燥処理して、低脂肪系乾燥飼料を製造する製造ラインと、
該低脂肪系廃棄食品の残りを乳酸発酵させて液状発酵飼料を製造する製造ラインと、
前記廃棄食品のうち、高脂肪系廃棄食品を分別可能な廃棄食品から分別した高脂肪系廃棄食品の一部を乾燥機で乾燥処理して、高脂肪系乾燥飼料を製造する製造ラインと、
前記廃棄食品のうち低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別するのが困難な廃棄食品の一部を堆肥化して堆肥を製造するラインと、
該廃棄食品の残りをメタン発酵してバイオガスを製造するラインと、からなることを特徴とする廃棄食品の再資源化プラント。
【請求項2】
前記低脂肪系乾燥飼料用製造ラインに設けられた乾燥機が、
内部に密閉可能な乾燥空間を有し、該乾燥空間に横方向に互いに間隔を置いて並設された複数の中空管を備えた回転体を備え、該中空管に加熱媒体を供給し、該乾燥空間に投入された低脂肪系廃棄食品を該回転体で攪拌して加熱乾燥するように構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の廃棄食品の再資源化プラント。
【請求項3】
前記高脂肪系乾燥飼料用製造ラインに設けられた乾燥機が、
内部に密閉可能な乾燥空間を有し、該乾燥空間に横方向に配置された回転軸と該回転軸に該回転軸の軸方向に互いに間隔を置いて並設された複数の中空円盤とを備え、該中空円盤に加熱蒸気を供給し、該乾燥空間に投入された高脂肪系廃棄食品を該中空円盤で加熱乾燥するように構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の廃棄食品の再資源化プラント。
【請求項4】
前記液状発酵飼料用製造ラインが、
低脂肪系廃棄食品を貯留すると共に、乳飲料系廃棄食品、野菜廃棄物及び水を供給して該低脂肪系廃棄食品の水分含有量を調整する水分量調整タンクと、
水分調整された該低脂肪系廃棄食品を加熱殺菌する装置と、
該乳飲料系廃棄食品を使って乳酸菌を培養する設備と、
加熱殺菌された低脂肪系廃棄食品と該乳酸培養設備で培養された乳酸菌とを受け入れて該低脂肪系廃棄食品を乳酸発酵させる発酵タンクと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の廃棄食品の再資源化プラント。
【請求項5】
低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別可能な前記廃棄食品が、主として、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、若しくはデパートの食品売り場、量販店、又は食品工場から廃棄され可撓性の包装材で包装された廃棄食品であり、
低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別することが困難な前記廃棄食品が、主として、給食用として調理された食品の残りを集めたものからなることを特徴とする請求項1に記載の廃棄食品の再資源化プラント。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−284463(P2008−284463A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132203(P2007−132203)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】