説明

建築用パネルの取付構造

【課題】建築用パネル間に形成される目地の意匠性を向上させるとともに、施工も容易な新規な構造の建築用パネルの取付構造を提供する。
【解決手段】建築用パネルの取付構造Aは、基部21の上端部に幅方向両側に向けて延出する鍔部22を形成したカバー目地部材20と、矩形状建築用パネル10の一側辺11の長さと略同長さとされた中間目地部材30とを用いて、該建築用パネル間に目地を形成して、該建築用パネルを施工下地1に取付ける構造であって、前記建築用パネルの隣接する前記一側辺間に前記中間目地部材を介在させて一方向に沿って配置された複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士が、他方向に沿って対向されて配置されるとともに、これら複数枚の建築用パネル同士の間spには、前記カバー目地部材の前記基部が介在されており、これら複数枚の建築用パネル及び前記中間目地部材のそれぞれ前記基部側の端部表面12a,32aが前記カバー目地部材の前記鍔部で隠されるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用パネル間に目地を形成して、建築用パネルを施工下地に取付ける建築用パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅等の建物の内壁や外壁、天井は、石膏ボードや合板捨張下地等の下地ボード、あるいは胴縁や受け桟、天井野縁等の下地桟等の施工下地に、複数枚の内装パネルや外装パネル、天井パネル等の建築用パネルを並列配置して取付けて壁面あるいは天井面を構成するようにしている。
このような建築用パネルの接合部の構造としては、建築用パネルの端部に雄実及び雌実を形成して互いに接合する本実接合や合抉り接合等の実接合による構造が知られている。
あるいは、他の接合部の構造としては、目地溝を形成するように一定の隙間をパネル間に形成し、該目地溝にシリコーンシーラント等のコーキング材(シーリング材)を充填して目地接合する構造が知られている。
【0003】
前者の実接合による接合構造によれば、簡易に建築用パネルを接合できるものではあるが、複数枚の建築用パネルを一方向のみではなく、他方向にも並設するような場合には、建築用パネルの寸法誤差や取付誤差によりパネル間に隙間等が生じたり、パネル間に形成される接合部に位置ズレ等が生じたりするという問題があった。特に、施工される面に対して建築用パネルが比較的、小さい寸法とされた小モジュールのものを一方向及び他方向に並設する場合には、上記した問題がより一層、顕著に現れる。
後者の目地接合では、目地幅を均一にすることが困難であり、熟練した技術を要するとともに、コーキング材等を使用して施工するいわゆる湿式施工によるため、施工工程が煩雑なものであった。
【0004】
そこで、近時においては、建築用パネル間に目地幅を一定にするための目地受け部材を介在させ、該目地受け部材により形成されたパネル間の隙間に乾式目地を挿入して取付ける構造としたものが提案されている。
例えば、下記特許文献1では、建築、構築物に用いる乾式壁材の長手方向における突合せ、すなわち縦目地部等の端部構造が提案されている。
この端部構造は、鉄骨下地に断面ハット形状とされた敷目板(目地受け部材)の釘打設片を固定具で打設して固定し、釘打設片から上方に突出した2本のガイド片のそれぞれに乾式壁材の端部を当接させるようにしている。これにより、乾式壁材の端部間には、一定の隙間が形成される。また、この隙間に無機シートを挿入し、更に、該隙間に嵌合部材を挿入して固定するとともに、該嵌合部材に乾式目地材を嵌合して縦目地を形成するようにしている。
【特許文献1】特開平8−158593号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の端部構造は、長手方向における縦目地部の美観性等を向上させるものではあるが、他方向においては雌型連結部と雄型連結部とで連結する構造とされている。従って、上記したように一方向及び他方向に沿ってそれぞれ複数枚の建築用パネルを並設する場合には、建築用パネル間の接合部位により形成される目地に位置ズレが生じたり、パネルと目地部材との間やパネル同士の間に隙間等が生じたりする恐れがあった。特に、前記したように、施工される面に対して建築用パネルが比較的、小さい寸法とされた小モジュールのものを一方向及び他方向に並設する場合には、上記した問題がより一層、顕著に現れる。
また、上記したように施工工程も敷目板の固定、無機シート及び嵌合部材の挿入、乾式目地材の嵌合等の多くの工程を必要とし、施工工程の更なる簡略化が望まれる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、建築用パネル間に形成される目地の意匠性を向上させるとともに、施工も容易な新規な構造の建築用パネルの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る建築用パネルの取付構造は、基部の上端部に幅方向両側に向けて延出する鍔部を形成したカバー目地部材と、矩形状建築用パネルの一側辺の長さと略同長さとされた中間目地部材とを用いて、該建築用パネル間に目地を形成して、該建築用パネルを施工下地に取付ける構造であって、前記建築用パネルの隣接する前記一側辺間に前記中間目地部材を介在させて一方向に沿って配置された複数枚の建築用パネル同士が、他方向に沿って対向されて配置されるとともに、これら複数枚の建築用パネル同士の間には、前記カバー目地部材の前記基部が介在されており、これら複数枚の建築用パネル及び前記中間目地部材のそれぞれ前記基部側の端部表面が前記カバー目地部材の前記鍔部で隠されるようにしていることを特徴とする。
【0008】
本発明の前記建築用パネルの取付構造においては、前記目地を前記カバー目地部材と前記中間目地部材とで格子状に形成するようにしてもよい。
また、本発明の前記建築用パネルの取付構造においては、前記カバー目地部材を、前記対向配置された複数枚の建築用パネル同士の間の全長に亙って配設される長さとしてもよい。
【0009】
また、本発明の前記建築用パネルの取付構造においては、前記カバー目地部材の前記基部の下端部に、係合部を更に形成するとともに、前記施工下地に、前記対向配置される複数枚の建築用パネル同士の間に沿って目地受け部材を更に固着して、前記カバー目地部材の係合部を前記目地受け部材に着脱可能に係合保持させる構造にしてもよい。
【0010】
また、本発明の前記建築用パネルの取付構造においては、前記対向配置された複数枚の建築用パネルの最外周端部に沿って四周に配設される見切り部材を更に備えたものとし、該見切り部材を、前記最外周端部の端面に沿うように立設された立ち上がり壁部と、該立ち上がり壁部の上端部に内方に向けて延出する突片部とを有したものとし、前記最外周端部表面と、前記カバー目地部材及び前記中間目地部材のそれぞれ最外方に位置する端部表面とを該見切り部材の該突片部で隠すようにしてもよい。
上記見切り部材を四周に配設する構造においては、前記見切り部材の下端部に、係合部を更に形成するとともに、前記施工下地に、前記最外周端部に沿って見切り受け部材を更に固着して、前記見切り部材の係合部を前記見切り受け部材に着脱可能に係合保持させる構造にしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る前記建築用パネルの取付構造では、カバー目地部材と、中間目地部材とを用いて、該建築用パネル間に目地を形成するようにしているので、上記したような湿式施工のものと比べて、施工工程の簡略化が図れる。
また、建築用パネルの隣接する一側辺間には、中間目地部材を介在させるようにしているので、一側辺間に中間目地部材を介在させて一方向に沿って順次、施工することで、建築用パネルの隣接する一側辺と中間目地部材との間に、隙間等が形成されることがない。
【0012】
さらに、前記のように中間目地部材を介在させて一方向に沿って配置された複数枚の建築用パネル同士が、他方向に沿って対向されて配置されるとともに、これら複数枚の建築用パネル同士の間には、前記カバー目地部材の前記基部が介在されており、これら複数枚の建築用パネル及び前記中間目地部材のそれぞれ前記基部側の端部表面が前記カバー目地部材の前記鍔部で隠されるようにしているので、該カバー目地部材と該中間目地部材とで形成された目地の意匠性を高めることができる。すなわち、前記カバー目地部材の基部と建築用パネルの前記基部側の端部との間に、建築用パネルの寸法誤差や取付誤差等によって隙間等が形成された場合にも、これら対向配置された複数枚の建築用パネルのそれぞれ基部側の端部表面がカバー目地部材の鍔部によって隠されてカバーされるので、このような隙間が目立つことがない。
また、前記一側辺間に介在させた中間目地部材の前記基部側の端部と建築用パネルの前記基部側の端部との間に位置ズレ等が生じている場合にも、これら端部の表面が前記カバー目地部材によって、隠されるため、そのような中間目地部材と建築用パネルとの位置ズレも目立たず、よって、意匠性に優れたものとなる。
【0013】
本発明に係る前記建築用パネルの取付構造において、前記目地を前記カバー目地部材と前記中間目地部材とで格子状に形成するようにすれば、格子状に形成された目地の交差部における意匠性を高めることができる。すなわち、このように、格子状に目地を形成する場合には、特に、目地の交差部において、中間目地部材同士の位置ズレが目立ち易くなる。上記構成とされた本発明によれば、格子状の目地とした場合にも、他方向に沿って対向配置された中間目地部材の端部間に、カバー目地部材の基部が配置される。従って、該カバー目地部材の鍔部によって、対向配置される中間目地部材の端部表面が隠され、これら対向配置された中間目地部材同士に位置ズレ等があった場合にも、そのような位置ズレを外観上、軽減することができ、よって、目地の交差部の意匠性を高めることができる。
【0014】
本発明に係る前記建築用パネルの取付構造において、前記カバー目地部材を、前記対向配置された複数枚の建築用パネル同士の間の全長に亙って配設される長さのものとすれば、一方向の目地が通ったような外観となり、意匠性をより高めることができる。
また、複数枚の建築用パネルを一方向及び他方向にそれぞれ並設する場合においては、該一方向に沿って中間目地部材を介在させて並設された建築用パネル及び中間目地部材同士の他方向に沿う取付誤差や寸法誤差等による位置ズレや隙間を、上記一方向に沿ってそれぞれ配置されるカバー目地部材によって、該カバー目地部材が配置される毎にリセットでき、それら位置ズレや隙間が累積しないため、該他方向における位置ズレや隙間が大きくなり難い。
【0015】
本発明に係る前記建築用パネルの取付構造において、前記カバー目地部材の前記基部の下端部に、係合部を更に形成するとともに、前記施工下地に、前記対向配置される複数枚の建築用パネル同士の間に沿って目地受け部材を更に固着して、前記カバー目地部材の係合部を前記目地受け部材に着脱可能に係合保持させる構造にすれば、カバー目地部材の施工工程を簡略化できるとともに、上記したように対向配置される複数枚の建築用パネル同士の位置決めを容易に行える。
すなわち、前記対向配置される複数枚の建築用パネル同士の間に沿って目地受け部材を固着するようにしているので、該目地受け部材によって、これら対向配置される複数枚の建築用パネル同士の位置決めを容易に行える。また、該対向配置される複数枚の建築用パネル同士の間に沿って固着された目地受け部材に対して前記カバー目地部材の係合部を係合させてカバー目地部材の取付が行えるので、カバー目地部材の施工工程の簡略化が図れる。
【0016】
さらに、例えば、建築用パネルの一部に不良が生じ、該建築用パネルを交換したいような場合や模様替えのために建築用パネルを交換したいような場合には、カバー目地部材の鍔部が建築用パネルの前記基部側の端部表面を隠すようにしているため、該鍔部が邪魔となり建築用パネルを脱離させるには、カバー目地部材を破壊する必要が生じる恐れがある。上記構成とされた本発明によれば、カバー目地部材が着脱可能に目地受け部材に係合保持される構造としているので、そのような場合にもカバー目地部材を目地受け部材から脱離でき、カバー目地部材を破壊する必要がない。よって、建築用パネルの交換後に、カバー目地部材を再利用できる。
また、カバー目地部材と目地受け部材とを別部材とすることで、表面側に露出しない目地受け部材は、単色のものとし、カバー目地部材を種々用意することで、趣向に応じたカバー目地部材を低コストで提供できる。
また、カバー目地部材と目地受け部材とを別部材とすることで、例えば、異なる厚さの建築用パネルに対して施工されるような場合にも、いずれか一方を該厚さに応じて種々揃えることで、一方の部材は同じものとでき、汎用性に優れたものとなる。
【0017】
本発明に係る前記建築用パネルの取付構造において、前記対向配置された複数枚の建築用パネルの最外周端部に沿って四周に配設される見切り部材を更に備えたものとし、該見切り部材を、前記最外周端部の端面に沿うように立設された立ち上がり壁部と、該立ち上がり壁部の上端部に内方に向けて延出する突片部とを有したものとし、前記最外周端部表面と、前記カバー目地部材及び前記中間目地部材のそれぞれ最外方に位置する端部表面とを該見切り部材の該突片部で隠すようにすれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、壁面や天井面等に部分的に前記建築用パネルを施工する場合に、それら施工された建築用パネルの最外周端部が前記見切り部材の立ち上がり壁部によって覆われるので、意匠性に優れたものとなる。また、カバー目地部材及び中間目地部材のそれぞれ最外方に位置する端部表面と、建築用パネルの前記最外周端部表面とが見切り部材の突片部によって隠されるので、これら端部において、取付誤差や寸法誤差等による位置ズレや隙間等が形成された場合にも、それらが目立つことがなく、意匠性に優れたものとなる。
【0018】
上記見切り部材を四周に配設する構造において、前記見切り部材の下端部に、係合部を更に形成するとともに、前記施工下地に、前記最外周端部に沿って見切り受け部材を更に固着するようにし、前記見切り部材の係合部を前記見切り受け部材に着脱可能に係合保持させる構造にすれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、異なる厚さの建築用パネルに対して施工されるような場合にも、見切り部材及び見切り受け部材のいずれか一方を、該厚さに応じて種々揃えることで、一方の部材は同じものとでき、汎用性に優れたものとなる。
また、前記のように建築用パネルを交換したり、カバー目地部材を脱離させたりする場合には、見切り部材が着脱できるので、見切り部材の突片部が邪魔とならず、容易にカバー目地部材や建築用パネルを着脱できる。また、そのような場合にも見切り部材を破壊するような必要がなく再利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る建築用パネルの取付構造を用いた建築用パネルの施工状態を示す概略正面全体図と、該全体図の一点鎖線内を概略的に拡大して示す一部破断正面図、図2(a)〜(c)は、いずれも同実施形態に係る建築用パネルの取付構造を説明するための説明図であり、(a)は、図1におけるX−X線矢視概略断面図、(b)は、図1におけるY−Y線矢視概略断面図、(c)は、図1におけるZ−Z線矢視概略断面図、図3(a)〜(d)は、いずれも同実施形態に係る建築用パネルの取付構造を説明するための説明図であり、(a)は、図1におけるV1−V1線矢視概略断面図、(b)は、図1におけるV2−V2線矢視概略断面図、(c)は、図1におけるW1−W1線矢視概略断面図、(d)は、図1におけるW2−W2線矢視概略断面図である。
【0020】
尚、図3(c),(d)では、腰壁の断面は図示省略している。
また、以下の各実施形態では、壁面に対して建築用パネルを取付けた例を示し、それに応じて縦、横の方向を示しているが、天井面に対して建築用パネルを取付けた場合には、その方向は限定されない。
また、以下の各実施形態で示す上下方向は、施工下地に対して対面した状態における手前側を上方、施工下地側を下方として説明している。すなわち、天井面に対して施工された際には、上下の方向が逆転されて把握される。
【0021】
本実施形態に係る建築用パネルの取付構造Aは、図1に示すように、施工下地1に対して部分的に施工した例を示しており、複数枚(図例では12枚)の建築用パネル10を縦横にそれぞれ並列配置して、施工下地1にこれら建築用パネル10を取付施工している。また、これら建築用パネル10間には、カバー目地部材20と、中間目地部材30とを配置して、格子状に目地を形成するようにしている。
【0022】
すなわち、本実施形態に係る建築用パネルの取付構造Aは、図1の一点鎖線内の拡大図に示すように、建築用パネル10の隣接する縦辺端部端面11,11間に中間目地部材30を介在させて一方向(横方向)に沿って複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)をそれぞれ並設している。また、これら複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士は、他方向(縦方向)に沿って対向されて配置されている。また、これら複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士の間spには、カバー目地部材20の後記する基部21が介在されており、これら複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)及び中間目地部材30のそれぞれ基部21側の端部表面12a,32aがカバー目地部材20の後記する鍔部22で隠されるようにしている。
さらに、本実施形態では、複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士のそれぞれ中間目地部材30が縦方向に沿って略同一直線上に配置されるようにして、カバー目地部材20と中間目地部材30とで目地を格子状に形成するようにしている。
これらカバー目地部材20及び中間目地部材30は、本実施形態では、それぞれカバー目地受け部材25及び中間目地受け部材35に着脱可能に係合保持されている。
【0023】
また、縦横にそれぞれ並列配置された複数枚の建築用パネル10の最外周端部に沿って縦見切り部材40及び横見切り部材50を配設するようにしている。これら縦見切り部材40及び横見切り部材50は、本実施形態では、それぞれ縦見切り受け部材45及び横見切り受け部材55に着脱可能に係合保持されている。
また、これら見切り部材40,50の四隅の突合せ部には、コーナーキャップ6が該突合せ部を覆うように、それぞれ固着されている。
尚、図1において、符号2は、天井面、符号3は、腰壁を示している。
【0024】
以下、上記した建築用パネルの取付構造Aを構成する各部材の具体的構成について、図2及び図3に基づいて説明する。
上記施工下地1は、本実施形態では、内壁面1としている。図1のように、後付的(後施工的)に、壁仕上げ面に対して部分施工するようにしてもよく、あるいは、壁仕上げ面に壁クロスや壁紙等が貼着されている場合には、それらを剥離して、石膏ボードや合板捨張下地等の下地ボードを露出させてそれらを施工下地1としてもよい。または、新築時等においては、壁クロスや壁紙等が貼着される前の下地ボードを施工下地1としてもよい。あるいは胴縁や受け桟、天井野縁等の下地桟等を施工下地1としてもよい。
また、内壁面1に限らず、天井面2や外壁面(不図示)を施工下地1としてもよい。
さらに、部分施工ではなく、内壁面1や、天井面2、外壁面に対して全面施工するようにしてもよい。
【0025】
上記建築用パネル10のそれぞれは、矩形状の板状体からなり、例えば、木質系材料や合成樹脂系材料、窯業系材料、金属系材料等から形成されている。
この建築用パネル10の縦辺端部両端面11及び横辺端部両端面12には、後記する中間目地受け部材35の雇い実部39,39、横見切り受け部材55の雄実部59及びカバー目地受け部材25の雇い実部29,29、縦見切り受け部材45の雄実部49がそれぞれ嵌合する凹溝状の雌実部13が形成されている。
【0026】
上記木質系材料としては、無垢の木材、集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板等や、これらを基材として、突き板や樹脂シート等の化粧シート材を更に貼着したものや、該基材の表面に化粧塗装を施したものが挙げられる。
上記合成樹脂系材料としては、熱硬化性樹脂材、熱可塑性樹脂材等が挙げられる。
上記窯業系材料としては、レンガ、瓦、セラミックスや、セメントを主成分として補強繊維や無機質充填材を含有したセメント系の窯業系材料等が挙げられる。
上記金属系材料としては、アルミ材や、ステンレス材等が挙げられる。
上記樹脂系材料、窯業系材料及び金属系材料は、それぞれ、上記木質系材料と同様、これらを基材として、更に突き板や樹脂シート等の化粧シート材を更に貼着したものや、該基材の表面に化粧塗装を施したものとしてもよい。
【0027】
上記建築用パネル10は、それぞれ接着剤4で内壁面1に接着される。
接着剤4としては、建築用パネル10の材質及び施工下地1の材質に応じて、適宜、選択可能であり、例えば、ユリア樹脂や、メラミン樹脂、ユリア・メラミン共縮合樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を含有する接着剤、あるいは、酢酸ビニル樹脂や、合成ゴム、ポリ乳酸、澱粉、アクリル樹脂等を含有する水性接着剤又はエマルジョン接着剤などが挙げられる。
【0028】
上記建築用パネル10は、種々の機能性が付与された機能性パネルとしてもよい。機能性パネルとしては、例えば、調湿パネルや吸音パネル、防音パネル、防汚パネル、抗菌パネル等が挙げられる。
あるいは照明装置を内蔵した照明パネルや、棚板を手前側に向けてパネルに突設した棚板パネル、前面開口箱形状の収納箱をパネルに付設した収納パネルとしてもよい。これら照明装置や棚板、収納箱は、パネルに対して着脱可能に設けるようにしてもよい。あるいは、棚板や収納箱をパネルと一体成形するようにしてもよい。
上記のように、建築用パネル10を内装用の機能性パネルとした場合には、施工箇所や施工範囲(施工枚数)を適宜、選択・変更することで、例えば、調湿パネルを施工する場合には、室内の調湿機能が適切となるように調整できたり、吸音パネルを施工する場合には、室内の音響効果が適切となるように調整できたりする。
また、上記した種々の建築用パネル10自体を施工下地(天井面、壁面)1に対して着脱可能とする構成としてもよい。すなわち、接着剤4で接着せずに、施工下地1側、及び建築用パネル10の裏面側にそれぞれ係合部を設けて、容易に着脱できるようにしてもよい。
【0029】
また、建築用パネル10の形状は、図例のような略正方形状に限らず、長方形状のものとしてもよい。
さらに、建築用パネル10の大きさは、施工箇所等に応じて適宜、設定可能であり、一辺が100mm〜500mm程度の比較的小モジュールのもの、一辺が500mm〜900mm程度の中モジュールのもの、あるいは、一辺が900mm〜1800mm程度の比較的大モジュールのものとしてもよい。
【0030】
上記カバー目地部材20は、図2(a)、(b)に示すように、縦断面形状が略I形状(略倒H形状)の基部21と、該基部21の上端部に幅方向両側に向けて延出する鍔部22と、該基部21の下端部から下方に向けて突設された係合突部23とを有している。該係合突部23の基端部近傍には、後記するカバー目地受け部材25の係合凹部28aに形成された凹条28bと係合する突条23aが長手方向に沿って幅方向両側に向けて突設されている。
該カバー目地部材20の基部21の幅方向両外側面が、建築用パネル10の横辺端部端面12及び中間目地部材30の隙間側端部端面32に対面して、当接あるいは近接配置されている。
また、上記鍔部22の裏面が建築用パネル10の横辺端部表面12a及び中間目地部材30の隙間側端部表面32aに対面して、当接あるいは近接配置されている。
【0031】
上記カバー目地部材20は、本実施形態では、アルミニウム材から押出成形や射出成形、プレス成形あるいは切削加工等によって、一体的に成形され、図1に示すように、長尺に形成されている。該カバー目地部材20の長手方向に沿う長さは、中間目地部材30を縦辺端部端面11間にそれぞれ介在させて横方向に並設された複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士の間spの全長に亙って配設される長さとされている。すなわち、縦方向に沿って対向配置させた複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士の横辺端部端面12間の全長に亙って配設される長さとされている。
また、カバー目地部材20は、本実施形態では、材料費を低減すべく、基部21の適宜箇所に長手方向に沿って凹所を形成するようにして押出成形によって形成されている。
【0032】
尚、カバー目地部材20の材質は、上記アルミニウム材に限られず、ステンレス材等の他の金属系材あるいはポリプロピレンや、ABS、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、PPS等の合成樹脂系材としてもよい。
また、カバー目地部材20の長手方向両端部に切欠を形成するように、カバー目地部材20の下方部が、図3(b)に示すように、複数枚の建築用パネル10から構成される集合体の左右端部にそれぞれ配設される後記する縦見切り受け部材45の雄実部49の両内方への突出度に合わせて、その上方部よりも短尺となるように形成されている。
【0033】
上記カバー目地受け部材25は、図2(a)、(b)に示すように、釘(フィニッシュネイル、ステイプル等)や、ビス等の固着具5(図5(a)参照)が止着されて内壁面1に固着される幅方向両側に向けてそれぞれ延出する固定板状部27及び固定短片26と、これら固定板状部27及び固定短片26から上方に向けて立設された基台部28と、該基台部28に凹設された上方に向けて開口する係合凹部28aと、該基台部28の上端部に幅方向両側に向けて延出する雇い実部29,29とを有している。
上記係合凹部28aの上端部近傍両内側面には、上記カバー目地部材20の係合突部23に設けられた突条23aが係合する凹条28bが長手方向に沿って凹設されている。
【0034】
上記基台部28の上端部近傍の幅方向両外側面には、上記カバー目地部材20の係合突部23が係合凹部28aへ嵌め入れられる際及び係合凹部28aから脱離される際の基台部28の弾性変形に伴う幅方向への変形を許容するための逃げ凹所が形成されている。
また、上記基台部28の下端部近傍の幅方向両外側面が、建築用パネル10の横辺端部端面12及び中間目地部材30の隙間側端部端面32に対面して、当接あるいは近接配置されている。
また、上記カバー目地受け部材25の雇い実部29,29が、対向配置される建築用パネル10のそれぞれ横辺端部端面12に形成された雌実部13に嵌合される。
【0035】
上記カバー目地受け部材25の基台部28の下端部近傍の幅寸法は、前記カバー目地部材20の基部21の幅寸法と略同寸法とされている。
このカバー目地受け部材25の基台部28が、建築用パネル10を後記するように内壁面1に取付施工する際に、内壁面1に固着されることで、横方向に配置される複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)を後記するように縦方向に沿って対向配置させる際の位置決め手段として機能する。また、それら対向配置された複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士の間spを、基台部28の幅寸法で規定し、上記カバー目地部材20の基部21とともに、該基台部28が横辺端部端面12間に介在される目地部として機能する。
【0036】
上記カバー目地受け部材25は、本実施形態では、上記したような合成樹脂系材料から押出成形や射出成形、切削加工等によって、一体的に成形され、上記カバー目地部材20と同様、長尺に形成されている。
尚、カバー目地受け部材25の材質は、合成樹脂系材に限られず、上記したような金属系材としてもよい。
また、カバー目地受け部材25の長手方向に沿う長さは、図3(b)に示すように、複数枚の建築用パネル10からなる集合体の左右端部にそれぞれ配設される後記する縦見切り受け部材45の固定板状部47の両内方側への延出度に合わせて、カバー目地部材20よりも短尺に形成されている。
【0037】
上記中間目地部材30は、図2(c)に示すように、縦断面形状が略矩形状の基部31と、該基部31の下端部から下方に向けて突設された係合突部33とを有している。該係合突部33の基端部近傍には、後記する中間目地受け部材35の係合凹部38aに形成された凹条38bと係合する突条33aが長手方向に沿って幅方向両側に向けて突設されている。
この中間目地部材30の長さは、建築用パネル10の縦辺の長さと略同長さとされている。
該中間目地部材30の基部31の幅方向両外側面が、建築用パネル10の縦辺端部端面11に対面して、当接あるいは近接配置されている。
尚、中間目地部材30の材質及び形成方法は、上記カバー目地部材20と同様である。
また、中間目地部材30の長手方向両端部に切欠を形成するように、中間目地部材30の下方部が、図2(b)及び図3(d)に示すように、カバー目地受け部材25の雇い実部29,29の外方への延出度及び/又は複数枚の建築用パネル10からなる集合体の天井側端部及び床側端部にそれぞれ配設される後記する横見切り受け部材55の雄実部59の両内方への突出度に合わせて、その上方部よりも短尺となるように形成されている。
【0038】
上記中間目地受け部材35は、図2(c)に示すように、上記カバー目地受け部材25とその断面形状が略同寸同形状である。このように、各目地受け部材25,35を長さのみが異なるものとすることで、製造コストが低減できるとともに、保管時や運搬時、施工時等の取扱い性に優れたものとなる。
この中間目地受け部材35は、上記同様の固着具5(図4(b)参照)が止着されて内壁面1に固着される幅方向両側に向けてそれぞれ延出する固定板状部37及び固定短片36と、これら固定板状部37及び固定短片36から上方に向けて立設された基台部38と、該基台部38に凹設された上方に向けて開口する係合凹部38aと、該基台部38の上端部に幅方向両側に向けて延出する雇い実部39,39とを有している。
上記係合凹部38aの上端部近傍両内側面には、上記中間目地部材30の係合突部33に設けられた突条33aが係合する凹条38bが長手方向に沿って凹設されている。
【0039】
上記基台部38の上端部近傍の幅方向両外側面には、上記カバー目地受け部材25の基台部28と同様の逃げ凹所が形成されている。
また、上記基台部38の下端部近傍の幅方向両外側面が、建築用パネル10の縦辺端部端面11に対面して、当接あるいは近接配置されている。
また、上記中間目地受け部材35の雇い実部39,39が、対向配置される建築用パネル10のそれぞれ縦辺端部端面11に形成された雌実部13に嵌合される。
【0040】
上記中間目地受け部材35の基台部38の下端部近傍の幅寸法は、前記中間目地部材30の基部31の幅寸法と略同寸法とされている。
この中間目地受け部材35の基台部38が、建築用パネル10を後記するように内壁面1に取付施工する際に、内壁面1に固着されることで、建築用パネル10を後記するように横方向に並設させる際の位置決め手段として機能する。また、それら横方向に並設された建築用パネル10の縦辺端部端面11間に形成される中間目地部材30を挿入するための隙間を基台部38の幅寸法で規定し、上記中間目地部材30の基部31とともに、該基台部38が縦辺端部端面11間に介在される目地部として機能する。
【0041】
尚、中間目地受け部材35の材質や形成方法は、上記カバー目地受け部材25と同様である。
また、中間目地受け部材35の長手方向に沿う長さは、図2(b)及び図3(d)に示すように、カバー目地受け部材25の固定板状部27及び固定短片26の両外方側への延出度、及び/又は、複数枚の建築用パネル10からなる集合体の天井側端部及び床側端部にそれぞれ配設される後記する横見切り受け部材55の固定板状部57の両内方側への延出度に合わせて、中間目地部材30よりも短尺に形成されている。
【0042】
上記したカバー目地部材20の基部21及びカバー目地受け部材25の基台部28の下端部近傍の幅寸法、中間目地部材30の基部31及び中間目地受け部材35の基台部38の下端部近傍の幅寸法は、形成する目地幅に応じて適宜、設定可能である。例えば、建築用パネル10間に形成される目地幅を5mm程度としたい場合には、それらの幅寸法を5mm程度とすれば良い。
また、カバー目地部材20の鍔部22の延出幅も適宜、設定可能であり、建築用パネル10及び中間目地部材30の寸法誤差や取付誤差等を考慮して、1〜4mm程度としてもよい。
【0043】
本実施形態では、上記したように、カバー目地受け部材25と中間目地受け部材35とは、その断面形状が略同寸同形状のものとされて長さのみが異なるものとされており、各基台部28,38の幅寸法は、上記各基部21,31の幅寸法と略同寸法とされている。従って、横方向に配置されるカバー目地部材20によって形成される目地幅は、縦方向に配置される中間目地部材30によって形成される目地幅よりも、カバー目地部材20の鍔部22の延出幅分、大きく形成されている。尚、横方向及び縦方向の目地幅が同幅となるように、中間目地受け部材35の基台部38及び中間目地部材30の基部31の幅寸法を、カバー目地部材20の鍔部22を含んだ目地幅と同寸法となるよう構成してもよい。
【0044】
また、中間目地部材30の内壁面1から手前側への高さは、中間目地受け部材35に係合保持された状態で、内壁面1に固着された建築用パネル10の少なくとも端部表面11aと略面一となるような高さとすることが好ましい。また、カバー目地部材20の内壁面1から手前側への高さは、カバー目地受け部材25に係合保持された状態で、上記中間目地部材30の高さ及び建築用パネル10の厚さに応じて、それらの端部表面12a,32aに、上記カバー目地部材20の鍔部22の裏面が当接あるいは近接して対面配置されるような高さとすることが好ましい。
また、上記建築用パネル10が不燃性パネルである場合は、建築用パネルの取付構造Aを、全体として不燃性に優れたものとするために、カバー目地部材20及び中間目地部材30の材質を金属系材(アルミニウム材等)とすることが好ましい。また、この場合には、嵌合性を良好とするために、カバー目地受け部材25及び中間目地受け部材35の材質を上記したように、合成樹脂系材とすることが好ましい。
【0045】
上記縦見切り部材40は、図3(a)、(b)に示すように、縦断面形状が一部開口略四角枠形状の基部41と、該基部41の上端部に内方(建築用パネル存在側)に向けて延出する突片部42と、該基部41の外方側側面に沿って下方に向けて延設された見切りカバー部44と、該見切りカバー部44の内方側で該基部41の下端部から下方に向けて突設された係合突部43とを有している。該係合突部43の下端部には、後記する縦見切り受け部材45の係合凹部46aの上端部に形成された絞り部と係合する突条が長手方向に沿って幅方向両側に向けて突設されている。
該縦見切り部材40の長手方向に沿う長さは、縦方向に並設された建築用パネル10の縦方向幅に応じて、適宜長さに設定されている。
【0046】
該縦見切り部材40の基部41が立ち上がり壁部を構成し、その内方側側面が、建築用パネル10のうちの最外方に位置する建築用パネル10(横方向に並設された建築用パネルのうちの最左方及び最右方に位置する建築用パネル)のそれぞれ外方側の縦辺端部端面11及びカバー目地部材20の両端部端面24に対面して、当接あるいは近接配置されている。
また、上記突片部42の裏面が上記最外方に位置する建築用パネル10の縦辺端部表面11a及びカバー目地部材20の両端部表面24aに対面して、当接あるいは近接配置されている。
また、上記縦見切り部材40の見切りカバー部44によって、後記する縦見切り受け部材45の固着具受部48がカバーされる。
尚、縦見切り部材40の材質及び形成方法は、上記カバー目地部材20と同様である。
【0047】
上記縦見切り受け部材45は、図3(a)、(b)に示すように、基台部46と、上記同様の固着具5(図4(a)参照)が止着されて内壁面1にそれぞれ固着される上記基台部46の下端部から内方に向けて延設された固定板状部47及び上記基台部46の下端部から外方に向けて僅かに突設された固着具受部48と、該基台部46に凹設された上方に向けて開口する係合凹部46aと、該基台部46の上端部に内方に向けて突設された雄実部49とを有している。該係合凹部46aの上端部には、縦見切り部材40の係合突部43の下端部に形成された突条と係合する絞り部が形成されている。
該縦見切り受け部材45の長手方向に沿う長さは、上記縦見切り部材40と略同長さとされている。
【0048】
上記縦見切り受け部材45の基台部46が、上記縦見切り部材40の基部41とともに、立ち上がり壁部を構成し、その内方側側面が、建築用パネル10のうちの最外方に位置する建築用パネル10のそれぞれ外方側の縦辺端部端面11及びカバー目地部材20の両端部端面24に対面して、当接あるいは近接配置されている。
また、上記縦見切り受け部材45の雄実部49が、最外方に位置する建築用パネル10のそれぞれ縦辺端部端面11に形成された雌実部13に嵌合される。
尚、縦見切り受け部材45の材質及び形成方法は、上記カバー目地受け部材25と同様である。
また、縦見切り部材40の内壁面1から手前側への高さは、縦見切り受け部材45に係合保持された状態で、上記カバー目地部材20の高さに応じて、該カバー目地部材20の端部表面24aに、縦見切り部材40の突片部42の裏面が当接あるいは近接して対面配置されるような高さとすることが好ましい。
【0049】
上記横見切り部材50及び横見切り受け部材55は、図3(c)、(d)に示すように、本実施形態では、縦見切り部材40及び縦見切り受け部材45と長手方向に沿う長さのみが異なり、他の断面形状、材質及び形成方法は、上記した縦見切り部材40及び縦見切り受け部材45とそれぞれ同様であるので、縦見切り部材40及び縦見切り受け部材45の符号をそれぞれ50番台に代えた符号を付して、それらの説明を省略する。
【0050】
尚、上記カバー目地受け部材25及び上記中間目地受け部材35のそれぞれ固定板状部27,37及び固定短片26,36の厚さ、及び上記各見切り受け部材45,55の各固定板状部47,57の厚さは、1mm程度〜2mm程度の薄板状とすることが好ましい。これにより、建築用パネル10を接着剤4で内壁面1に接着する際の接着剤4の塗布量を低減できるとともに接着剤4の塗布工程も簡易なものとなる。
【0051】
上記コーナーキャップ6は、図3(a)〜(d)及び図7(b)に示すように、正面視略L字状の上板6aと、該上板6aのL字外側辺からそれぞれ下方に向けて垂設された側板6b,6bとから構成されており、上記同様の接着剤等で縦見切り部材40及び/又は横見切り部材50の外方側側面に接着されて、これら縦見切り部材40及び横見切り部材50の突合せ部をカバーしている。尚、該コーナーキャップ6は、接着剤等で接着せずに、着脱可能な構成としてもよい。
【0052】
次に、上記構成とされた各部材で構成される本実施形態に係る建築用パネルの取付構造Aの施工手順の一例について、図4〜図7に基づいて説明する。
図4〜図7は、いずれも同施工手順を説明するための説明図であり、それぞれ概略正面全体図と、該全体図の一点鎖線内を概略的に拡大して示す正面図である。
尚、各図において示す符号27a、37a、47a、57aは、カバー目地受け部材25の固定板状部27、中間目地受け部材35の固定板状部37、縦見切り受け部材45の固定板状部47、横見切り受け部材55の固定板状部57にそれぞれ設けられたビス等の固着具5の止着箇所の目安として設けられた目印溝である。
また、図例では、6枚の建築用パネル10を内壁面1に取付施工する例を示している。
さらに、固着具5は、図例のようなビスに限られず、上記したような釘(フィニッシュネイル、ステイプル等)等を用いて固着するようにしてもよい。あるいは、これらを併用するようにしてもよい。
【0053】
まず、図4(a)に示すように、6枚の建築用パネル10の最外周端部に沿って配設される各見切り受け部材45,55のうち左側端部の縦見切り受け部材45と、床側端部の横見切り受け部材55とをそれぞれ内壁面1に固着する。この際、各見切り受け部材45,55のそれぞれ固定板状部47,57の目印溝47a,57aの適所にビス等の固着具5を止着して、内壁面1に固着する。
図例では、縦見切り受け部材45の床側端部内方側に、横見切り受け部材55の一端面が突合せられた状態を示している。
【0054】
次いで、上記のように各見切り受け部材45,55が内壁面1に固着されて位置決めがなされた状態で、図4(b)に示すように、6枚の建築用パネル10のうち最左方側かつ最床面側に配置される建築用パネル10を、その裏面に接着剤4を塗布して、内壁面1に固着する。この際、建築用パネル10の左側縦辺端部端面11に設けられた雌実部13及び床側横辺端部端面12に設けられた雌実部13のそれぞれを、各見切り受け部材45,55の雄実部49,59にそれぞれ嵌合させて固着する(図3(a)、(c)参照)。
【0055】
上記のように建築用パネル10を固着させた状態で、建築用パネル10の右側縦辺端部端面11に沿わせるようにして、中間目地受け部材35を内壁面1に固着する。この際、中間目地受け部材35の左側雇い実部39を建築用パネル10の右側縦辺端部端面11に設けられた雌実部13に嵌合させるとともに、固定短片36を建築用パネル10の裏面と内壁面1との間に挿入する(図2(c)参照)。
また、中間目地受け部材35の固定板状部37の目印溝37aの適所にビス等の固着具5を止着して、中間目地受け部材35を内壁面1に固着する。
【0056】
次いで、図5(a)に示すように、上記のように固着された中間目地受け部材35の右側雇い実部39に、左側縦辺端部端面11の雌実部13を嵌合させるとともに、床側横見切り受け部材55の雄実部59に、床側横辺端部端面12の雌実部13を嵌合させて、二枚目の建築用パネル10を接着剤4で内壁面1に固着する(図2(c)及び図3(c)参照)。このように横方向に複数枚の建築用パネル10が縦辺端部端面11間に中間目地受け部材35の基台部38を介在させて固着された状態で、これら建築用パネル10の天井側横辺端部端面12に沿わせるようにして、カバー目地受け部材25を内壁面1に固着する。この際、カバー目地受け部材25の床側雇い実部29を、建築用パネル10の天井側横辺端部端面12に設けられたそれぞれの雌実部13に嵌合させるとともに、固定短片26を建築用パネル10のそれぞれの裏面と内壁面1との間に挿入する(図2(a)参照)。
また、カバー目地受け部材25の固定板状部27の目印溝27aの適所にビス等の固着具5を止着して、カバー目地受け部材25を内壁面1に固着する。
【0057】
次いで、上記のように横方向に並設された複数枚(図例では2枚)の建築用パネル10の天井側に、左側から順に、建築用パネル10を取付施工する。まず、左側(3枚目)の建築用パネル10の左側縦辺端部端面11及び床側横辺端部端面12の雌実部13のそれぞれを、左側縦見切り受け部材45の雄実部49及びカバー目地受け部材25の天井側雇い実部29にそれぞれ嵌合させて、上記同様に接着剤4で固着する(図2(a)及び図3(a)参照)。次いで、上記同様にして建築用パネル10の右側縦辺端部端面11に沿わせるようにして、中間目地受け部材35を固着し、4枚目の建築用パネル10をその右側に固着する。この状態では、図5(b)に示すように、それぞれの縦辺端部端面11間に中間目地受け部材35の基台部38を介在させて横方向に並設された複数枚の建築用パネル10同士の間spに、カバー目地受け部材25の基台部28が横方向に沿って介在され、それら複数枚の建築用パネル10同士が該基台部28を挟んで縦方向に沿って対向配置された状態となる。
【0058】
上記のように左側かつ床側から順に各建築用パネル10を取付施工するとともに、それらの縦辺端部端面11間に中間目地受け部材35の基台部38を介在させ、また、それら中間目地受け部材35の基台部38を介在させて横方向に並設された複数枚の建築用パネル10の横辺端部端面12間にカバー目地受け部材25の基台部28を介在させて縦横にそれぞれ並列配置された複数枚(図例では6枚)の建築用パネル10の集合体が形成される。さらに、図6(a)に示すように、天井側端部の横見切り受け部材55及び右側端部の縦見切り受け部材45をそれぞれ内壁面1に固着する。この際、各見切り受け部材45,55の固定板状部47,57は、建築用パネル10の裏面と内壁面1との間に挿入されて固着具5が止着できないため、外方側に位置する各固着具受部48,58(図3(a)〜(d)参照)に対して固着具5を止着させるようにしてもよい。
また、中間目地部材30の係合突部33を、中間目地受け部材35の係合凹部38aに嵌め入れて、図6(a)に示すように、中間目地部材30を取付ける(図2(c)参照)。この状態では、それぞれの縦辺端部端面11間に中間目地部材30の基部31を介在させて横方向に並設された複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士の間spに、カバー目地受け部材25の基台部28が介在され、それら複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士が該基台部28を挟んで縦方向に沿って対向配置された状態となる。
【0059】
次いで、複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士の間spにカバー目地部材20の基部21を挿入するとともに、カバー目地受け部材25の係合凹部28aにカバー目地部材20の係合突部23を嵌め入れて、図6(b)に示すように、カバー目地部材20を取付ける(図2(a)参照)。この状態では、対向配置された建築用パネル10(#1),10(#2)同士の間spに、カバー目地部材20の基部21が介在され、それら複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士が該基部21を挟んで縦方向に沿って対向配置された状態となる。
また、これら複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)及び中間目地部材30のそれぞれ基部21側の端部表面12a,32aが、カバー目地部材20の鍔部22によって隠されている(図1の一点鎖線内拡大図参照)。
【0060】
上記のように、建築用パネル10、中間目地部材30及カバー目地部材20が取付施工された状態で、図7(a)に示すように、各見切り受け部材45,55の各係合凹部46a,56aに、各見切り部材40,50の各係合突部43,53を嵌め入れて、各見切り部材40,50を取付ける(図3(a)〜(d)参照)。この状態では、各見切り受け部材45,55の固着具受部48,58が見切りカバー部44,54によって、覆われるので、固着具5が固着具受部48,58に止着されている場合にも固着具5が表面側に露出するようなことがなく、意匠性に優れたものとなる。
次いで、図7(b)に示すように、各見切り部材40,50のそれぞれ四隅の突合せ部に、該突合せ部を覆うように、コーナーキャップ6をそれぞれ固着する。
尚、上記施工手順は、一例に過ぎず、各部材の機能を阻害しない限りにおいて、別手順でなされるようにしてもよい。
【0061】
上記のように本実施形態に係る建築用パネルの取付構造Aを用いて取付施工された建築用パネル10は、例えば、その一部に不良があったような場合や模様替え等をしたい場合にも、カバー目地部材20、中間目地部材30及び各見切り部材40,50を脱離させることで、建築用パネル10を容易に脱離できるとともに、それらカバー目地部材20、中間目地部材30及び各見切り部材40,50を、建築用パネル10の交換後に再利用できる。尚、このように、建築用パネル10を内壁面1から脱離させる際には、雌実部13を形成する内壁面1側の突部を破断して脱離させればよく、また、新たに取付施工する建築用パネル10は、該突部を破断して、あるいは該突部を有さないものとすればよい。また、本実施形態では、建築用パネル10の脱離を容易とすべく、カバー目地部材20及び中間目地部材30を、いずれも各目地受け部材25,35に対して着脱可能な構成としたが、カバー目地部材20のみを着脱可能な構成としてもよい。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る建築用パネルの取付構造Aによれば、カバー目地部材20と、中間目地部材30とを用いて、建築用パネル10間に目地を形成するようにしているので、湿式施工のものと比べて、施工工程の簡略化が図れる。
また、建築用パネル10の縦辺端部端面11間には、上記のように中間目地受け部材35の基台部38を介在させるようにしているので、縦辺端部端面11間に、中間目地受け部材35を介在させて順次、建築用パネル10を横方向に沿って施工することで、建築用パネル10の位置決めが容易に行えるとともに、建築用パネル10の縦辺端部端面11と中間目地部材30との間に、隙間等が形成されることがない。
【0063】
さらに、上記のようにカバー目地部材20の基部21を挟んで縦方向に沿って対向配置された複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)のそれぞれ基部21側の横辺端部表面12a,12a、及び対向配置された中間目地部材30の基部21側の端部表面32a,32aが、それぞれカバー目地部材20の鍔部22によって隠されるので、カバー目地部材20と中間目地部材30とで形成された目地の意匠性を高めることができる。すなわち、カバー目地部材20の基部21と建築用パネル10の基部21側の横辺端部端面12との間に、建築用パネル10の寸法誤差や取付誤差等によって隙間等が形成された場合にも、これら対向配置された建築用パネル10(#1),10(#2)のそれぞれ基部21側の横辺端部表面12a,12aがカバー目地部材20の鍔部22によって隠されてカバーされるので、このような隙間が目立つことがない。
【0064】
また、本実施形態のように、複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士のそれぞれ中間目地部材30を縦方向に沿って略同一直線上に配置して、カバー目地部材20と中間目地部材30とで格子状に目地を形成するようにした場合にも、目地の交差部における意匠性を高めることができる。すなわち、縦辺端部端面11間に介在される中間目地部材30の基部21側の端部端面32と建築用パネル10の基部21側の横辺端部端面12との間に、例えば図1の一点鎖線内拡大図の破断部に示すような位置ズレ等が生じている場合にも、これら端部の表面12a,32aがカバー目地部材20の鍔部22によって、隠されるため、そのような中間目地部材30と建築用パネル10との位置ズレが目立たず、よって、意匠性に優れたものとなる。また、カバー目地部材20の鍔部22によって、対向配置される中間目地部材30の端部表面32aが隠されるので、これら対向配置された中間目地部材30同士の縦方向に位置ズレ等があった場合にも、そのような位置ズレを外観上、軽減することができ、意匠性を高めることができる。
さらに、中間目地部材30の端部端面32がカバー目地部材20の鍔部22によって隠されて露出しないため、例えば、アルミ材等で中間目地部材30が形成されている場合に、端部縁部が鋭く尖っていわゆるシャープエッジ状となっている場合にも、中間目地部材30の端部端面32がカバー目地部材20の鍔部22によって隠されて露出しないため、引っ掛かるようなことを防止できる。換言すれば、端部縁部を引っ掛かり等の防止のために面取り等する必要がない。
【0065】
さらに、本実施形態では、カバー目地部材20を、縦方向に沿って対向配置させた複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士の横辺端部端面12間の全長に亙って配設される長さのものとしているので、一方向(図例では横方向)の目地が通ったような外観となり、意匠性をより高めることができる。
また、カバー目地部材20を上記のような長さとすることで、横方向に沿って中間目地部材30を介在させて並設された建築用パネル10及び中間目地部材30の縦方向に沿う取付誤差や寸法誤差等による位置ズレや隙間を、横方向に沿ってそれぞれ配置されるカバー目地部材20によって、該カバー目地部材20が配置される毎にリセットでき、それら位置ズレや隙間が累積しないため、縦方向における位置ズレや隙間が大きくなり難い。
【0066】
また、本実施形態では、カバー目地部材20及び中間目地部材30は、それぞれ内壁面1に固着されたカバー目地受け部材25及び中間目地受け部材35に対して着脱可能に係合保持される構成としているので、カバー目地部材20及び中間目地部材30の施工工程の簡略化が図れる。
さらに、カバー目地部材20及び中間目地部材30のそれぞれと、各目地受け部材25,35とを別部材としているので、表面側に露出しない各目地受け部材25,35は、単色のものとし、カバー目地部材20及び中間目地部材30を種々用意することで、趣向に応じたカバー目地部材20及び中間目地部材30を低コストで提供できる。
また、カバー目地部材20及び中間目地部材30のそれぞれと、各目地受け部材25,35とを別部材としているので、例えば、異なる厚さの建築用パネルに対して施工されるような場合にも、いずれか一方を該厚さに応じて種々揃えることで、一方の部材は同じものとでき、汎用性に優れたものとなる。
【0067】
さらに、本実施形態では、上記のように縦横にそれぞれ並列配置された複数枚の建築用パネル10の集合体の最外周端部に沿って四周に配設される各見切り部材40,50を備えているので、壁面や天井面等に部分的に建築用パネル10を施工する場合に、それら施工された建築用パネル10の最外周端部が各見切り部材40,50によって覆われるので、意匠性に優れたものとなる。また、上記のように、カバー目地部材20及び中間目地部材30のそれぞれ最外方に位置する端部表面24a,32aと、建築用パネルの最外周端部表面11a,12aとが各見切り部材40,50の突片部42,52によって隠されるので、これら端部において、取付誤差や寸法誤差等による位置ズレや隙間等が形成された場合にも、それらが目立つことがなく、意匠性に優れたものとなる。また、カバー目地部材20及び中間目地部材30のそれぞれ最外方に位置する端部端面24,32が各見切り部材40,50の突片部42,52によって隠されて露出しないため、上記同様、端部縁部がシャープエッジとなっているような場合にも引っ掛かるようなことを防止できる。
【0068】
また、各見切り部材40,50のそれぞれと、各見切り受け部材45,55とを別部材としているので、例えば、異なる厚さの建築用パネルに対して施工されるような場合にも、いずれか一方を該厚さに応じて種々揃えることで、一方の部材は同じものとでき、汎用性に優れたものとなる。
さらに、本実施形態では、各目地受け部材25,35のそれぞれに、建築用パネル10の雌実部13に嵌合する雇い実部29,39を設けるとともに、各見切り受け部材45,55のそれぞれに、建築用パネル10の雌実部13に嵌合する雄実部49,59を設けているので、建築用パネル10の内壁面1に対する取付強度を高めることができる。また、これら雇い実部29,39及び雄実部49,59が建築用パネル10の雌実部13に嵌合することによって建築用パネル10が仮保持されるので、接着剤4が乾燥硬化するまでの仮固定手段としても機能する。
【0069】
尚、本実施形態では、カバー目地部材20及びカバー目地受け部材25をそれぞれ横方向に配置し、中間目地部材30及び中間目地受け部材35をそれぞれ縦方向に配置する例を示しているが、それぞれ逆に配置するようにしてもよい。
また、縦横にそれぞれ並設された建築用パネルの枚数は図例のものに限られず、少なくとも4枚以上の建築用パネルを取付施工するようにすれば良い。
さらに、本実施形態では、カバー目地部材20と中間目地部材30とで、格子状に目地を形成したものを例示しているが、複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士のそれぞれ中間目地部材30を、縦方向に沿って互い違いになるように、異なる直線上に配置するようにして、いわゆる馬目地状(馬踏み目地状)となるようにしてもよい。この場合において、縦横にそれぞれ並列配置された複数枚の建築用パネル10の集合体の最外周端部に沿って各見切り部材40,50を四周に配設する場合には、最左方及び最右方に配置される建築用パネル10の左右幅をそれぞれ調整するようにすればよい。
さらにまた、本実施形態では、縦横にそれぞれ並設された複数枚の建築用パネル10の最外周端部に沿って四周に各見切り部材40,50を配設するようにしているが、全面施工する場合等においては、例えば、四周端部を廻り縁や巾木、出隅ジョイナー、入隅ジョイナー等で見切るようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、カバー目地部材20を、縦方向に沿って対向配置させた複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士の横辺端部端面12間の全長に亙って配設される長さのものとしているが、複数に分割された短尺のカバー目地部材20を、縦方向に沿って対向配置させた複数枚の建築用パネル10(#1),10(#2)同士の横辺端部端面12間に沿って、取付けるようにしても良い。
さらに、本実施形態では、各目地部材20,30及び各見切り部材40,50に、係合突部23,33,43,53をそれぞれ設け、各目地受け部材25,35及び各見切り受け部材45,55に、係合凹部28a,38a,46a,56aを設けた例を示しているが、これらを逆に設けるようにしてもよい。
また、これら係合突部23,33,43,53及び係合凹部28a,38a,46a,56aの形状は、図例のものに限られず、着脱可能に係合可能な形状とすればよい。
さらに、本実施形態では、建築用パネル10の着脱を容易とするために、中間目地部材30を中間目地受け部材35に対して着脱可能な構成としているが、中間目地部材30を、着脱不能な構成あるいは、中間目地受け部材35と一体的に形成するような構成としてもよい。
【0071】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図8(a)〜(d)は、いずれも第2実施形態に係る建築用パネルの取付構造を説明するための説明図であり、(a)は、図2(a)に対応させた概略断面図、(b)は、図2(b)に対応させた概略断面図、(c)は、図2(c)に対応させた概略断面図、(d)は、図3(a)に対応させた概略断面図である。
尚、第1実施形態との相違点は、主に、建築用パネル、カバー目地受け部材、中間目地受け部材及び各見切り受け部材の構成であり、同様の構成及び施工手順については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
【0072】
本実施形態に係る建築用パネルの取付構造B(図1参照)は、取付施工された状態では、上記第1実施形態と外観上、同様である。
この建築用パネルの取付構造Bを構成する建築用パネル10Aは、図8(a)、(c)に示すように、縦辺端部端面11及び横辺端部端面12に、雌実部が設けられていない点が、上記第1実施形態の建築用パネル10と異なる。
また、図8(a)〜(c)に示すように、カバー目地受け部材25A及び中間目地受け部材35Aに、それぞれ雇い実部が設けられていない点が、上記第1実施形態のカバー目地受け部材25及び中間目地受け部材35とそれぞれ異なる。
さらに、図8(d)に示すように、縦見切り受け部材45Aに、雄実部が設けられていない点が、上記第1実施形態の縦見切り受け部材45と異なる。尚、図示省略しているが、本実施形態に係る横見切り受け部材にも雄実部が設けられていない。
また、本実施形態に係るカバー目地部材20及び中間目地部材30のそれぞれ長手方向両端部には、カバー目地受け部材及び中間目地受け部材のそれぞれ雇い実部、及び各見切り受け部材の雄実部が設けられていないため、上記第1実施形態で説明した上記切欠は、形成されていない。
【0073】
上記構成とされた各部材で構成される本実施形態に係る建築用パネルの取付構造Bの施工手順は、カバー目地受け部材及び中間目地受け部材のそれぞれ雇い実部、及び各見切り受け部材の雄実部を、それぞれ建築用パネルの雌実部に嵌合させない点以外は、上記第1実施形態で説明した施工手順と同様である。
以上のように、本実施形態に係る建築用パネルの取付構造Bによれば、上記第1実施形態で説明した建築用パネルの雌実部に、各雇い実部及び各雄実部を嵌合させることによる効果を除いて、同様の効果を奏するとともに、建築用パネル10Aを交換等したい場合においては、その着脱が容易に行える建築用パネルの取付構造Bとなる。
【0074】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図9(a)〜(d)は、いずれも第3実施形態に係る建築用パネルの取付構造を説明するための説明図であり、(a)は、図2(a)に対応させた概略断面図、(b)は、図2(b)に対応させた概略断面図、(c)は、図2(c)に対応させた概略断面図、(d)は、図3(a)に対応させた概略断面図である。
尚、第1実施形態及び第2実施形態との相違点は、主に、カバー目地部材、中間目地部材及び各見切り部材の構成であり、同様の構成及び施工手順については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
【0075】
本実施形態に係る建築用パネルの取付構造C(図1参照)は、取付施工された状態では、上記第1実施形態と外観上、各見切り部材の外観を除いて、略同様である。
この建築用パネルの取付構造Cを構成するカバー目地部材20A及び中間目地部材30Aは、それぞれ図9(a)〜(c)に示すように、各目地受け部材に着脱可能とされておらず、目地受け部材を備えていない点が、上記第1実施形態及び第2実施形態のカバー目地部材20及び中間目地部材30と大きく異なる。
また、この建築用パネルの取付構造Cを構成する縦見切り部材40Aは、縦見切り受け部材に着脱可能とされておらず、見切り受け部材を備えていない点が、上記第1実施形態及び第2実施形態の各見切り部材40,50と大きく異なる。
【0076】
上記カバー目地部材20Aは、断面略矩形状の基部21Aと、該基部21Aの上端部に幅方向両側に向けて延出する鍔部22とを備えた構成とされている。換言すれば、該基部21Aが、上記第1実施形態及び第2実施形態のカバー目地受け部材25の基台部28及びカバー目地部材20の基部21として機能する。
また、上記中間目地部材30Aは、断面略矩形状の基部31Aから構成されており、該基部31Aが、上記第1実施形態及び第2実施形態の中間目地受け部材35の基台部38及び中間目地部材30の基部31として機能する。
【0077】
また、上記縦見切り部材40Aは、断面が一部切欠略矩形状とされ、立ち上がり壁部を構成する見切り基部41Aと、該切欠によって見切り基部41Aの下端部外方に形成された固着具受部48Aと、該見切り基部41Aの下端部から内方に向けて延設された固定板状部47Aと、該見切り基部41Aの上端部から内方に向けて突設された突片部42とを有している。換言すれば、該見切り基台部41Aが、上記第1実施形態及び第2実施形態の各見切り受け部材45,55の基台部46,56及び、固着具受部をカバーする機能は有さないが各見切り部材40,50の基部41,51として機能する。尚、図9では、図示省略しているが、本実施形態に係る横見切り受け部材50A(図1参照)の構成も縦見切り部材40Aと同様である。
【0078】
上記構成とされた各部材で構成される本実施形態に係る建築用パネルの取付構造Cの施工手順は、左側端部の縦見切り部材40A及び床側端部の横見切り部材50Aを内壁面1に固着させ、上記同様、左側かつ床側から順に建築用パネル10Aを内壁面1に固着させる。この際、横方向に並設される建築用パネル10Aの縦辺端部端面11間に中間目地部材30Aを直接、接着剤4等で内壁面1に固着させて介在させる。これにより横方向に並設させた複数枚の建築用パネル10A(#2)を形成する(図1参照)。
次いで、この複数枚の建築用パネル10A(#2)の天井側横辺端部端面12に沿うようにして、カバー目地部材20Aを直接、接着剤4等で内壁面1に固着させる。さらに、固着されたカバー目地部材20Aの基部21Aの天井側側面に沿って建築用パネル10Aを前記同様、左から順に、縦辺端部端面11間に中間目地部材30Aを介在させて内壁面1に固着させて、横方向に並設させた複数枚の建築用パネル10A(#1)を形成する(図1参照)。
この状態では、複数枚の建築用パネル10A(#1),10A(#2)同士の間spに、カバー目地部材20Aの基部21Aが介在され、それら複数枚の建築用パネル10A(#1),10A(#2)同士が該基部21Aを挟んで縦方向に沿って対向配置された状態となる。
これらを繰り返して、複数枚の建築用パネル10Aからなる集合体を形成し、右側端部の縦見切り部材40A及び天井側端部の横見切り部材50Aを内壁面1に固着させ、さらに、四隅に上記同様にして、コーナーキャップ6を取付けて、図1のように、複数枚の建築用パネル10Aが内壁面1に取付施工される。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る建築用パネルの取付構造Cによれば、各目地部材20A,30A及び各見切り部材40A,50Aを容易には着脱できないため、建築用パネル10Aを交換等したい場合には、それらを破壊する必要が生じる場合があるが、上記したように、部材点数が少ないため、更なる施工工程の簡略化が図れる。
尚、本実施形態では、カバー目地部材20A及び中間目地部材30Aを、それぞれ接着剤4で内壁面1に固着する例を示したが、上記第1実施形態及び第2実施形態のカバー目地受け部材25及び中間目地受け部材35が有する固定短片26,36及び固定板状部27,37のような固着部を、カバー目地部材20A及び中間目地部材30Aのそれぞれ下端部に設けて、上記したような固着具5で内壁面1に固着するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る建築用パネルの取付構造の一実施形態を用いた建築用パネルの施工状態を示す概略正面全体図と、該全体図の一点鎖線内を概略的に拡大して示す一部破断正面図である。
【図2】(a)〜(c)は、いずれも同実施形態に係る建築用パネルの取付構造を説明するための説明図であり、(a)は、図1におけるX−X線矢視概略断面図、(b)は、図1におけるY−Y線矢視概略断面図、(c)は、図1におけるZ−Z線矢視概略断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、いずれも同実施形態に係る建築用パネルの取付構造を説明するための説明図であり、(a)は、図1におけるV1−V1線矢視概略断面図、(b)は、図1におけるV2−V2線矢視概略断面図、(c)は、図1におけるW1−W1線矢視概略断面図、(d)は、図1におけるW2−W2線矢視概略断面図である。
【図4】(a)、(b)は、いずれも同実施形態に係る建築用パネルの取付構造の施工手順の一例を説明するための説明図である。
【図5】(a)、(b)は、いずれも同施工手順を説明するための説明図である。
【図6】(a)、(b)は、いずれも同施工手順を説明するための説明図である。
【図7】(a)、(b)は、いずれも同施工手順を説明するための説明図である。
【図8】(a)〜(d)は、いずれも本発明に係る建築用パネルの取付構造の他の実施形態を説明するための説明図であり、(a)は、図2(a)に対応させた概略断面図、(b)は、図2(b)に対応させた概略断面図、(c)は、図2(c)に対応させた概略断面図、(d)は、図3(a)に対応させた概略断面図である。
【図9】(a)〜(d)は、いずれも本発明に係る建築用パネルの取付構造の更に他の実施形態を説明するための説明図であり、(a)は、図2(a)に対応させた概略断面図、(b)は、図2(b)に対応させた概略断面図、(c)は、図2(c)に対応させた概略断面図、(d)は、図3(a)に対応させた概略断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 内壁面(施工下地)
2 天井面(施工下地)
10,10A 建築用パネル
10(#1),10(#2) 中間目地部材を介在させて一方向に沿って配置された複
数枚の建築用パネル
11 建築用パネルの縦辺端部端面(縦辺、一側辺)
11a 建築用パネルの縦辺端部表面(端部表面)
12a 建築用パネルの横辺端部表面(端部表面)
20,20A カバー目地部材
21,21A 基部
22 鍔部
23 係合突部(係合部)
24a カバー目地部材の端部表面
25,25A カバー目地受け部材(目地受け部材)
30,30A 中間目地部材
32a 中間目地部材の端部表面
40,40A 縦見切り部材(見切り部材)
41 縦見切り部材の基部(立ち上がり壁部)
41A 立ち上がり壁部
42 突片部
43 係合突部(係合部)
45,45A 縦見切り受け部材(見切り受け部材)
46 縦見切り受け部材の基台部(立ち上がり壁部)
50,50A 横見切り部材(見切り部材)
51 横見切り部材の基部(立ち上がり壁部)
52 突片部
53 係合突部(係合部)
55 横見切り受け部材(見切り受け部材)
56 縦見切り受け部材の基台部(立ち上がり壁部)
A,B,C 建築用パネルの取付構造
sp 複数枚の建築用パネル同士の間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部の上端部に幅方向両側に向けて延出する鍔部を形成したカバー目地部材と、矩形状建築用パネルの一側辺の長さと略同長さとされた中間目地部材とを用いて、該建築用パネル間に目地を形成して、該建築用パネルを施工下地に取付ける構造であって、
前記建築用パネルの隣接する前記一側辺間に前記中間目地部材を介在させて一方向に沿って配置された複数枚の建築用パネル同士が、他方向に沿って対向されて配置されるとともに、これら複数枚の建築用パネル同士の間には、前記カバー目地部材の前記基部が介在されており、これら複数枚の建築用パネル及び前記中間目地部材のそれぞれ前記基部側の端部表面が前記カバー目地部材の前記鍔部で隠されるようにしていることを特徴とする建築用パネルの取付構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記目地は、前記カバー目地部材と前記中間目地部材とで格子状に形成されていることを特徴とする建築用パネルの取付構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記カバー目地部材は、前記対向配置された複数枚の建築用パネル同士の間の全長に亙って配設される長さとされていることを特徴とする建築用パネルの取付構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記カバー目地部材の前記基部の下端部には、係合部が更に形成されるとともに、前記施工下地には、前記対向配置された複数枚の建築用パネル同士の間に沿って目地受け部材が更に固着されており、
前記カバー目地部材の係合部を前記目地受け部材に着脱可能に係合保持させる構造にしていることを特徴とする建築用パネルの取付構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記対向配置された複数枚の建築用パネルの最外周端部に沿って四周に配設される見切り部材を更に備えており、
前記見切り部材は、前記最外周端部の端面に沿うように立設された立ち上がり壁部と、該立ち上がり壁部の上端部に内方に向けて延出する突片部とを有し、前記最外周端部表面と、前記カバー目地部材及び前記中間目地部材のそれぞれ最外方に位置する端部表面とが該見切り部材の該突片部で隠されるようにしていることを特徴とする建築用パネルの取付構造。
【請求項6】
請求項5において、
前記見切り部材の下端部には、係合部が更に形成されるとともに、前記施工下地には、前記最外周端部に沿って見切り受け部材が更に固着されており、
前記見切り部材の係合部を前記見切り受け部材に着脱可能に係合保持させる構造にしていることを特徴とする建築用パネルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−191551(P2009−191551A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34791(P2008−34791)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】