説明

建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置

【課題】油圧シリンダと油圧モータの作動の切り換えを素早く行うことができるようにした建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置を提供することである。
【解決手段】油圧シリンダSのボトム室aに接続された伸長用油路6から第1分岐油路11を分岐して、その第1分岐油路11を油圧モータMに接続する。また、油圧シリンダSのロッド室bに接続された収縮用油路7から第2分岐油路12を分岐し、その第2分岐油路12を油圧モータMに接続する。第1分岐油路11と第2分岐油路12のそれぞれを油圧モータMの停止動作と始動動作とを切り換えるソレノイド操作の切換バルブVに接続する。伸長用油路6に油圧モータMに供給される圧油をパイロット圧として閉鎖状態に保持されるロジックバルブ20を組込む。油圧ポンプ4からの圧油が伸長用油路6に送り込まれるよう操作バルブ1を順方向位置に切り換えた状態において、操作スイッチSWまたはSWを操作して切換バルブV切り換えを行なうことにより、油圧モータMが回転されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設機械のアーム先端部に着脱自在に、かつ、旋回自在に取付けられる圧砕機・切断機・フォークグラブ等のアタッチメントの油圧シリンダおよび油圧モータを油圧によって制御する油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、ブーム31およびアーム32を有する建設機械30でもって建築物の破砕や切断による解体、および、解体後の破砕物の移動ならびにトラックへの積み込み等の作業を行う場合、その建設機械30のアーム32の先端部にアタッチメント40を取付けて作業を行うようにしている。
【0003】
なお、説明の都合上、解体対象物や、解体後の破砕物、切断物等を単に作業対象物という。
【0004】
解体作業に用いられるアタッチメント40として、図10に示したものが従来から知られている。このアタッチメント40は、アーム32の先端部に着脱自在に取付けられるブラケット41に、旋回台42と、その旋回台42の旋回駆動用の油圧モータMを配置し、上記旋回台42に一対の圧砕アーム44、45を開閉可能に支持し、その一対の圧砕アーム44、45を油圧シリンダSによって開閉させるようにしている。
【0005】
上記アタッチメント40による破砕・切断作業においては、一対の圧砕アーム44、45の開閉と旋回台42の旋回とによって建築物を解体するようにしている。
【0006】
ここで、アタッチメント40の油圧モータMおよび油圧シリンダSは建設機械の油圧によって制御されるが、上記油圧モータMと油圧シリンダSをそれぞれ独立した油圧系統で制御する構成であると、それぞれの油圧系統に油の送り配管と戻り配管を必要とするため、4本の配管をブーム31およびアーム32に付設して、アタッチメント40まで延接しなければならないことになり、配管作業に非常に手間がかかると共に、油圧配管が複雑化してコストが高くなるという問題が生じる。
【0007】
そのような問題を解決するため、特許文献1では、ブーム31およびアーム32に2本の配管のみを施すことによってアタッチメント40に設けられた油圧モータMと油圧シリンダSを制御することができるようにした油圧制御装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3190618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に記載された油圧制御装置においては、油圧シリンダへの送り配管および戻し配管をそれぞれ分岐し、その分岐送り配管および分岐戻し配管を油圧モータに接続し、上記分岐送り配管にシーケンスバルブを設け、上記油圧シリンダが収縮し、ストロークエンドに達して送り配管の圧力が所定圧以上に上昇したとき、上記シーケンスバルブを切り換えて油圧モータを作動させる構成であるため、旋回を必要としても油圧モータのみを直ちに単独で旋回操作することができず、しかも、シーケンスバルブはマニュアル操作でなく、油圧シリンダをストロークエンドまで収縮させないと切り換えることができないため、解体等の作業を効率よく行なうことができないという不都合がある。
【0010】
また、油圧シリンダを収縮させた状態で油圧モータを回転させるようにしているため、特にフォークグラブの場合に必要な一対の爪を閉じて作業対象物を掴んだ状態で、その作業対象物の向きを変更することができないという不都合もある。
【0011】
さらに、油圧シリンダから油圧モータへの切り換えをシーケンスバルブによって行なう構成であるため、油圧モータへの油圧の供給方向は一方向となって旋回台を一方向にしか旋回させることができず、作業性が悪いという不都合もある。
【0012】
この発明の課題は、油圧シリンダと油圧モータの作動の切り換えを素早く行うことができ、必要な時に直ちに旋回させることができるようにした建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明においては、作業アーム開閉用の油圧シリンダのボトム室に伸長用油路を接続し、油圧シリンダのロッド室に収縮用油路を接続し、その伸長用油路と収縮用油路とに油圧ポンプから吐出される圧油を切り換えて供給する操作バルブを設け、前記伸長用油路から油圧モータに接続される第1分岐油路を分岐し、かつ、前記収縮用油路から油圧モータに接続される第2分岐油路を分岐し、前記第1分岐油路および第2分岐油路のそれぞれを、前記油圧モータの作動を制御するソレノイド操作の切換バルブに接続し、前記第2分岐油路に前記切換バルブに向けて圧油が送り込まれるのを阻止するチェックバルブを組込み、前記伸長用油路には、第1分岐油路の分岐位置からボトム室に至る部分に、前記油圧モータに供給される圧油をパイロット圧として閉鎖状態に保持されるパイロット操作の方向制御バルブを組込んだ構成を採用したのである。
【0014】
ここで、作業アームとは、作業対象物を圧砕する圧砕アームや、破砕物を掴む爪、切断対象物を切断する切断アーム、あるいは、フォーク等をいう。
【0015】
上記の構成からなる油圧制御装置において、オペレータの操作によって操作バルブを油圧ポンプからの圧油が伸長用油路に送り込まれる順方向位置に切り換えると、油圧ポンプから吐出される圧油は開放状態の方向制御バルブから油圧シリンダのボトム室に送り込まれるため、油圧シリンダが伸長する。このとき、油圧シリンダのロッド室の油は収縮用油路からタンクに戻される。
【0016】
また、操作バルブを油圧ポンプからの圧油が収縮用油路に送り込まれる逆方向位置に切り換えると、油圧ポンプから吐出される圧油は収縮用油路に送り込まれて、油圧シリンダのロッド室に流入するため、油圧シリンダが収縮する。このとき、油圧シリンダのボトム室の油は伸長用油路から方向制御バルブを通ってタンクに戻される。
【0017】
上記操作バルブを順方向位置に切り換えた状態において、第1分岐油路が油圧モータに連通する順方向位置に切換バルブを切り換えると、油圧ポンプから吐出される圧油は油圧モータに送り込まれるため、油圧モータが回転する。このとき、油圧モータから排出される油は切換バルブを通って第2分岐油路に流れ込み、収縮用油路から操作バルブ内を流れてタンクに戻される。
【0018】
また、油圧モータに供給される圧油の一部は、方向制御バルブのパイロット油路に送り込まれるため、方向制御バルブは閉鎖状態に保持される。このため、伸長用油路に送り込まれる圧油が油圧シリンダのボトム室に送り込まれるようなことはなく、油圧シリンダは作動しない。このため、油圧シリンダの伸長によって閉じる方向に揺動する一対の作業アームが作業対象物を挟持する状態にあっても、作業対象物は挟持状態に保持されて落下するようなことはない。
【0019】
油圧モータの作動時、仮に、方向制御バルブからのわずかな圧油の漏れ等によって、油圧シリンダが作動しても、その油圧シリンダは伸長する方向に動くので、一対の作業アームは閉じる方向に揺動することになる。このため、作業対象物は一対の作業アームによってより強く挟持されることになり、作業対象物が落下するようなことはない。
【0020】
また、操作バルブが逆位置にあり、作業アームが開いた状態にあっても、操作バルブを順方向位置に、切換バルブを順方向または逆方向位置に切り換えることにより、作業アームの閉・開状態に関係なく油圧モータを作動させることができる。
【0021】
このように、作業アーム等の開閉状態に関係なく、回転が必要となった時点でいつでも操作バルブを順方向位置に切り換えて、ソレノイド操作の切換バルブの切り換えを行なうことにより、油圧モータを直ちに始動させることができるため、圧砕、解体等の作業を効率よく行なうことができる。
【0022】
ここで、油圧モータが一方向回転のモータである場合は、切換バルブとして、単一ソレノイド・ばねオフセット形の2位置切換弁を採用するとよい。上記切換バルブとして、油圧モータの正転用ポートと逆転用ポートとに圧油を切り換えて供給可能なソレノイド操作の4ポート3位置切換弁を採用することにより、油圧モータを正回転方向および逆回転方向の2方向に回転させることができるため、作業アームで挟持した作業対象物の向きを作業に適切な向きに素早く変更することができ、作業効率をより向上させることができる。
【0023】
この発明に係る建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置において、方向制御バルブは、ロジックバルブからなるものであってもよく、あるいは、パイロットチェックバルブからなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
上記のように、この発明においては、油圧ポンプから吐出される圧油が伸長用油路に供給される状態で切換バルブの切り換えを行なうことによって油圧モータを直ちに作動させることができるため、解体や積み込み等の作業を効率よく行なうことができる。
【0025】
また、油圧ポンプから吐出される圧油が伸長用油路に供給される状態で油圧シリンダから油圧モータへの作動の切り換えを行なうようにしているため、旋回中に誤って切換バルブを中立位置に切り換えた場合、油圧シリンダは一対の作業アームを閉じる方向に揺動させるため、仮に一対の作業アームが作業対象物を挟持している状態であっても、一対の作業アームは作業対象物の挟持を解除することがなく、安全性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明に係る建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置の第1の実施の形態を示す油圧回路図
【図2】油圧シリンダの伸長状態を示す油圧回路図
【図3】油圧シリンダの収縮状態を示す油圧回路図
【図4】油圧モータの正回転状態を示す油圧回路図
【図5】油圧モータの逆回転状態を示す油圧回路図
【図6】油圧制御装置の第2の実施の形態を示す油圧回路図
【図7】油圧制御装置の第3の実施の形態を示す油圧回路図
【図8】油圧制御装置の第4の実施の形態を示す油圧回路図
【図9】建設機械を示す正面図
【図10】図9に示すアタッチメントの一部切欠正面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する図1は、図10に示す圧砕機からなるアタッチメント40の油圧モータMと油圧シリンダSを油圧によって制御するようにした油圧制御装置の第1の実施の形態を示す。図示のように、中立ブロック形の4ポート3位置切換弁からなる操作バルブ1はオペレータのペダルの操作によって切換えられるようになっている。その操作バルブ1のPポートとタンク2とは給油通路3により接続され、その給油通路3に油圧ポンプ4が組込まれている。
【0028】
また、操作バルブ1のTポートとタンク2は戻り通路5により接続されている。
【0029】
操作バルブ1のAポートと油圧シリンダSのボトム室aは伸長用油路6により接続され、一方、操作バルブ1のBポートと油圧シリンダSのロッド室bは収縮用油路7で接続されている。
【0030】
伸長用油路6から分岐する第1分岐油路11は切換バルブVのPポートに接続され、一方、収縮用油路7から分岐する第2分岐油路12は切換バルブVのTポートに接続されている。
【0031】
切換バルブVは、ソレノイド操作の4ポート3位置切換弁からなり、その切換バルブVのAポートに接続された正転用油路13は油圧モータMの正転用ポートMPに接続されている。また、切換バルブVのBポートに接続された逆転用油路14は油圧モータMの逆転用ポートMPに接続されている。
【0032】
切換バルブVの一端のソレノイドSOLは操作スイッチSWの操作により作動し、上記操作スイッチSWをONにすると、切換バルブVは第1分岐油路11と正転用油路13とが連通する順方向位置に切り換わるようになっている。
【0033】
また、切換バルブVの他端のソレノイドSOLはオペレータにより操作される操作スイッチSWの操作により作動し、上記操作スイッチSWをONにすると、切換バルブVは第1分岐油路11と逆転用油路14とが連通する逆方向位置に切り換わるようになっている。
【0034】
第2分岐油路12にはチェックバルブ15が組込まれている。チェックバルブ15は、第2分岐油路12に送り込まれた圧油が切換バルブVに向けて流れるのを防止するようになっている。
【0035】
油圧シリンダSのボトム室aに連通する前記の伸長用油路6には、第1分岐油路11の分岐位置からボトム室aに至る部分にパイロット操作タイプの方向制御バルブとしてのロジックバルブ20が組込まれている。
【0036】
一方、正転用油路13と逆転用油路14間には、2つの供給口と1つの吐出口を有するシャトル弁21が組込まれている。この場合、シャトル弁21は、一方の供給口が正転用油路13と連通し、他方の供給口が逆転用油路14と連通する組込みとされている。
【0037】
ロジックバルブ20は、シャトル弁21の吐出口から吐出される圧油をパイロット圧として作動し、そのパイロット圧が付加されると閉鎖状態となって伸長用油路6に供給される圧油が油圧シリンダSのボトム室aに流れ込むのを阻止するようになっている。
【0038】
第1の実施の形態で示す油圧制御装置は上記の構造からなり、油圧シリンダSを伸長させる場合は、図2に示すように、オペレータによるペダル操作によって油圧ポンプ4から吐出される圧油が伸長用油路6に供給される順方向位置に操作バルブ1を切り換える。
【0039】
操作バルブ1の上記のような切り換え状態において、油圧ポンプ4を駆動すると、その油圧ポンプ4から吐出される圧油は給油通路3から伸長用油路6および第1分岐油路11に送り込まれる。
【0040】
このとき、切換バルブVは中立位置(閉鎖状態)にあるため、油圧モータMは回転しない。また、シャトル弁21に圧油が供給されないため、ロジックバルブ20にパイロット圧が付加されず、ロジックバルブ20は開放し得る状態にある。
【0041】
このため、伸長用油路6に供給された圧油は、ロジックバルブ20の内部を流れて油圧シリンダSのボトム室aに流入し、油圧シリンダSが伸長する。このとき、油圧シリンダSのロッド室bの油は収縮用油路7に流れ、戻り通路5に流れてタンク2に戻される。
【0042】
上記油圧シリンダSの伸長によって図10に示す作業アームとしての圧砕アーム44、45が閉じる方向に揺動して挟持状態にある作業対象物に大きな力が加わり、その圧砕アーム44、45によって作業対象物を圧砕することができる。
【0043】
油圧ポンプ4の作動状態において、ペダル操作により操作バルブ1を、図3に示すように、油圧ポンプ4からの圧油が収縮用油路7に送り込まれる逆方向位置に切り換えると、油圧ポンプ4から吐出される圧油は給油通路3から収縮用油路7に送り込まれて、ロッド室bに流入し、油圧シリンダSが収縮する。このとき、油圧シリンダSのボトム室aの油はロジックバルブ20の内部を流れて、伸長用油路6からタンク2に戻される。上記油圧シリンダSの収縮により、図10に示す圧砕アーム44、45が開く方向に揺動する。
【0044】
上記のような油圧シリンダSの収縮作動時、第1分岐油路11および第2分岐油路12に油が流れ込むことになるが、切換バルブVは中立位置にあり、第2分岐油路12にはチェックバルブ15も設けられているため、圧油が油圧モータMに流れ込むようなことはなく、油圧モータMは回転しない。
【0045】
図2に示すように、操作バルブ1を順方向位置に切り換えた状態において、図1に示す操作スイッチSWの操作により、切換バルブVを、図4に示すように、第1分岐油路11と正転用油路13が連通し、第2分岐油路12が逆転用油路14と連通する順方向位置に切り換えると、油圧ポンプ4から吐出される圧油は、図4の矢印で示すように、伸長用油路6から第1分岐油路11に送り込まれて切換バルブV内を流通し、正転用油路13から油圧モータMの正転用ポートMPに流れ込んで、油圧モータMが正回転する。
【0046】
また、油圧モータMの逆転用ポートMPから排出される油は逆転用油路14から切換バルブVを通って第2分岐油路12に流れ込み、収縮用油路7から操作バルブ1内に流れてタンク2に戻される。
【0047】
油圧モータMの正回転時、正転用油路13からシャトル弁21の供給口に圧油の一部が送り込まれて吐出口から吐出され、ロジックバルブ20にパイロット圧が付加されることになる。
【0048】
上記パイロット圧の付加により、ロジックバルブ20は閉鎖状態となって伸長用油路6を閉鎖する。このため、油圧シリンダSのボトム室aに圧油が流れ込むことはなく、油圧シリンダSは作動しない。
【0049】
また、操作バルブ1を順方向位置に切り換えた状態において、図1に示す操作スイッチSWの操作によって、図5に示すように、切換バルブVを、第1分岐油路11が逆転用油路14に連通し、第2分岐油路12が正転用油路13と連通する逆方向位置に切り換えると、油圧ポンプ4から吐出される圧油は、図5の矢印で示すように、伸長用油路6から第1分岐油路11に送り込まれて切換バルブV内を流通し、逆転用油路14から油圧モータMの逆転用ポートMPに流れ込んで、油圧モータMが逆回転する。
【0050】
また、油圧モータMの正転用ポートMPから排出される油は正転用油路13から切換バルブVを通って第2分岐油路12に流れ込み、収縮用油路7から操作バルブ1内を流れてタンク2に戻される。
【0051】
上記のような油圧モータMの逆回転時、逆転用油路14からシャトル弁21の供給口に圧油の一部が送り込まれて吐出口から吐出され、ロジックバルブ20にパイロット圧が付加されることになる。
【0052】
上記パイロット圧の付加により、図4に示す場合と同様に、ロジックバルブ20は閉鎖状態となって伸長用油路6を閉鎖する。このため、油圧シリンダSのボトム室aに圧油が流れ込むことはなく、油圧シリンダSは作動しない。
【0053】
このように、操作バルブ1を順方向位置に切り換えた状態において、操作スイッチSWまたはSWを操作して切換バルブVを第1分岐油路11が正転用油路13と連通する状態、または、逆転用油路14と連通する状態に切換えることにより、油圧モータMを必要な時に直ちに回転させることができると共に、正逆いずれの方向にも回転させることができる。このため、解体等の作業を効率よく行なうことができる。
【0054】
また、油圧モータMの回転時、油圧モータMに供給される圧油の一部は、ロジックバルブ20のパイロット油路に送り込まれて、ロジックバルブ20は閉鎖状態にあるため、伸長用油路6に送り込まれる圧油が油圧シリンダSのボトム室aに送り込まれるようなことはなく、油圧シリンダSは作動しない。このため、一対の圧砕アーム44、45が作業対象物を挟持している状態にあっても、その作業対象物は一対の圧砕アーム44、45によって挟持状態に保持される。
【0055】
仮に、ロジックバルブ部でのわずかな圧油の漏れ等により、油圧シリンダSが作動しても、その油圧シリンダSは伸長する方向に作動するため、作業対象物は一対の圧砕アーム44、45によって挟持状態に、より確実に保持されることになり、作業対象物が落下するという不都合の発生を完全に防止することができる。したがって、安全性を確保した状態で油圧シリンダSから油圧モータMへの作動の切り換えを行なうことができる。
【0056】
図6は、この発明に係る油圧制御装置の第2の実施の形態を示す。この実施の形態においては、第1の実施の形態で示すシャトル弁21を省略し、油圧モータMとして一方向回転用の油圧モータを採用している点、第1分岐油路11に組込まれた切換バルブVとして、スイッチSWの操作により切り換えが行なわれるソレノイド操作の2位置切換弁を採用している点で第1の実施の形態で示す油圧制御装置と相違している。
【0057】
このため、第1の実施の形態で示す油圧制御装置と同一の部品には同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
上記第2の実施の形態で示す油圧制御装置においても、操作バルブ1を順方向位置に切り換えた状態の圧砕作業中において、回転の必要が生じたときは、操作スイッチSWを操作して切換バルブVを第1分岐油路11が正転用油路13と連通する状態に切換えることにより、油圧モータMを直ちに回転させることができる。
【0059】
図7は、この発明に係る油圧制御装置の第3の実施の形態を示す。この実施の形態においては、第1の実施の形態で示すロジックバルブ20に代えて、パイロットチェックバルブ21を採用し、シャトル弁21の吐出口から吐出される圧油および収縮用油路7に流れる圧油をパイロット圧としている点で第1の実施の形態で示す油圧制御装置と相違している。
【0060】
このため、第1の実施の形態で示す油圧制御装置と同一の部品には同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
上記第3の実施の形態で示す油圧制御装置においても、操作スイッチSWまたはSWを操作して切換バルブVを第1分岐油路11が正転用油路13と連通する状態、または、逆転用油路14と連通する状態に切り換えることにより、油圧モータMを直ちに回転させることができると共に、正逆いずれの方向にも回転させることができる。
【0062】
図8は、この発明に係る油圧制御装置の第4の実施の形態を示す。この実施の形態においては、第2の実施の形態で示すロジックバルブ20に代えてパイロットチェックバルブ22を採用し、収縮用油路7に流れる圧油および正転用油路13に流れる圧油をパイロット圧としている点で第2の実施の形態で示す油圧制御装置と相違している。
【0063】
このため、第2の実施の形態で示す油圧制御装置と同一の部品には同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
上記第4の実施の形態で示す油圧制御装置においても、操作バルブ1を順方向位置に切り換えた状態において、操作スイッチSWを操作して切換バルブVを第1分岐油路11が正転用油路13と連通する状態に切り換えることにより、油圧モータMを直ちに回転させることができる。
【0065】
以上の実施の形態の説明においては、先ず、操作バルブ1を操作して、油圧シリンダSの伸縮動作を行なって、次に切換バルブVを切り換えて油圧モータMを回転させる場合を想定している。これに対して、切換バルブVを先に作動させた後、操作バルブ1を順方向位置に操作した場合においても圧砕機を旋回させて作業に適切な向きに圧砕アーム44、45を位置させることができるので、作業性が向上する。
【0066】
また、圧砕アーム44、45の開閉状態が全開、中開、全閉などのいかなる状態であっても旋回可能であるため、作業対象物を掴むために、常に圧砕アーム44、45を全開にする必要はなく、適当な度合いに圧砕アーム44、45を開けばよいので、その分、作業効率が良くなる。
【符号の説明】
【0067】
1 操作バルブ
4 油圧ポンプ
6 伸長用油路
7 収縮用油路
11 第1分岐油路
12 第2分岐油路
13 正転用油路
14 逆転用油路
15 チェックバルブ
20 ロジックバルブ(方向制御バルブ)
21 シャトル弁
22 パイロットチェックバルブ(方向制御バルブ)
M 油圧モータ
S 油圧シリンダ
切換バルブ
MP 正転用ポート
MP 逆転用ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業アーム開閉用の油圧シリンダのボトム室に伸長用油路を接続し、油圧シリンダのロッド室に収縮用油路を接続し、その伸長用油路と収縮用油路とに油圧ポンプから吐出される圧油を切り換えて供給する操作バルブを設け、前記伸長用油路から油圧モータに接続される第1分岐油路を分岐し、かつ、前記収縮用油路から油圧モータに接続される第2分岐油路を分岐し、前記第1分岐油路および第2分岐油路のそれぞれを、前記油圧モータの作動を制御するソレノイド操作の切換バルブに接続し、前記第2分岐油路に前記切換バルブに向けて圧油が送り込まれるのを阻止するチェックバルブを組込み、前記伸長用油路には、第1分岐油路の分岐位置からボトム室に至る部分に、前記油圧モータに供給される圧油をパイロット圧として閉鎖状態に保持されるパイロット操作の方向制御バルブを組込んだ建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置。
【請求項2】
前記切換バルブが、4ポート3位置切換弁から成り、その切換バルブのAポートと油圧モータの正転用ポートを接続する正転用油路の一部をシャトル弁の一方の供給口に接続し、かつ、切換バルブのBポートと油圧モータの逆転用ポートを接続する逆転用油路の一部をシャトル弁の他方の供給口に接続して、そのシャトル弁の吐出口から吐出される圧油を前記方向制御バルブのパイロット圧とした請求項1に記載の建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置。
【請求項3】
前記切換バルブが、単一ソレノイド・ばねオフセット形の2位置切換弁から成り、その切換バルブのAポートから油圧モータに供給される圧油を前記方向制御バルブのパイロット圧とした請求項1に記載の建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置。
【請求項4】
前記方向制御バルブがロジックバルブから成る請求項1乃至3のいずれかの項に記載の建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置。
【請求項5】
前記方向制御バルブがパイロットチェックバルブから成る請求項1乃至3のいずれかの項に記載の建設機械におけるアタッチメントの油圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−17213(P2011−17213A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163539(P2009−163539)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000229450)日本ニューマチック工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】