建設機械のキャブ
【課題】作業機による作業部位が高所であっても、その作業部位をオペレータの視野に収
まる範囲とすることが可能であり、しかも、十分な剛性を確保することが可能な建設機械
のキャブを提供する。
【解決手段】一対の側面パネル1、2と、上部位置に窓取付部13が形成された前面パネル3と、前面パネル3の窓取付部13に隣接して天井パネル接続部14が形成された天井パネルとを備えた建設機械のキャブは、天井パネル接続部14に沿ってキャブ室内側に延設され、一対の側面パネル間を連結する筒状連結体33を備え、筒状連結体33は、該筒状連結体33の延出方向端面でそれぞれの側面パネルと接合され、前面パネル3は、筒状連結体33の延出方向端部近傍で該筒状連結体33に接合されている。
まる範囲とすることが可能であり、しかも、十分な剛性を確保することが可能な建設機械
のキャブを提供する。
【解決手段】一対の側面パネル1、2と、上部位置に窓取付部13が形成された前面パネル3と、前面パネル3の窓取付部13に隣接して天井パネル接続部14が形成された天井パネルとを備えた建設機械のキャブは、天井パネル接続部14に沿ってキャブ室内側に延設され、一対の側面パネル間を連結する筒状連結体33を備え、筒状連結体33は、該筒状連結体33の延出方向端面でそれぞれの側面パネルと接合され、前面パネル3は、筒状連結体33の延出方向端部近傍で該筒状連結体33に接合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設機械のキャブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械には油圧ショベル等の種々の機械があり、油圧ショベルは、下方走行体と、上部旋回体とを備え、上部旋回体にオペレータが搭乗して運転操作を行うキャブ(運転室)が設けられる。また、上部旋回体には土砂の掘削等を行う作業機が付設されている。
この際、上記したように、オペレータが運転室に搭乗して運転操作を行うことになるので、運転室においては作業機による作業部位に対するオペレータの視野を確保する必要がある。また、運転室としては、建設機械が転倒等した際には、その衝撃によって変形しないようにする必要があった。
そこで、従来では、運転室の視野を狭めることなく、しかも転倒荷重等の大きな荷重が作用しても、運転室が変形するのを防止することができるようにした建設機械の運転室がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、特許文献1に記載の運転室は、図11に示すように、一対の側面部51、52と、前面部53と、後面部54と、ルーフ部55と、フロア56とから構成される。
そして、一方の側面部51にはドア57が付設され、また、ルーフ部55には天窓58が設けられている。さらに、前面部53は、窓枠60と、この窓枠60に嵌合するガラス板61とからなり、略全体を前窓59としている。
【0004】
また、前面部53の上方側の剛性を向上させるために、前面部53とルーフ部55とは図10に示すように横桟(連結部材)62を介して連結している。この場合、横桟62は、それぞれ所定形状に形成された2枚の鋼板62a、62bを接合してなるものであり、上方鍔部63と下方鍔部64とが形成される。
そして、横桟62は、その上方鍔部63がシール部材65を介してルーフ部55の天窓58に接合され、その下方鍔部64がシール部材66を介して前面部53の前窓59の窓枠60に接合される。
このため、この運転室内のオペレータは、横桟62及びその接合部のために、図10に示す範囲(視界遮蔽領域)Hにおいて、その視野(斜め上方の視野)が遮られ、オペレータの視野内に、作業機による作業部位を収まるようにするのが困難となる場合があった。
【0005】
また、建設機械が、運転室の一方の側面部51側が地面に激突するように転倒等すれば、地面から運転室が衝撃を受け、一対の側面部が相互に接近するように圧迫されて潰れるように変形するおそれがある。
そこで、上記図11に示す運転室では、運転室の剛性を向上させるために、横桟62の前方に補強部材67を配置している。この際、上記視界遮蔽領域H内において補強部材67を配置することによって、運転室の視野を狭めることなく、運転室の剛性を向上させている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−279721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、建物の解体等に使用するために作業機を長く設定した建設機械においては、作業機による作業部位が高位である場合が多い。このようなときには、作業部位とオペレータとの距離が大きく、これに伴って、横桟62及びその接合部にて形成される視野が遮られる範囲Hとしては、作業部位近傍において広くなる。このため、作業部位をオペレータの視野に収まるようにするのが困難であった。
また、上記図11に示す運転室では、横桟62及び補強部材67を必要として、部品点数が多くコスト高となると共に、組み立て工程数が多く生産性に劣る。しかも、この図11に示すように、補強部材67が運転室の外部に露出するものでは、車両の全高が高くなり、輸送時に車体からキャブを取り外す必要がある。
【0008】
なお、前面部53全体をガラス板にて構成して、この前面部53のガラス板の上端縁と、ルーフ部55の天窓58のガラス板の先端縁とをコーキング材のみを介して連結して、運転席からの斜め上方の視野を確保するようにしたものもある。この場合、コーキング材の経年変化によって雨降り時等に水洩れが生じると共に、前面部53の強度不足の問題が
あった。
【0009】
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、建設機械の作業機による作業部位が高所であっても、その作業部位をオペレータの視野に収まる範囲とすることが可能であり、しかも、十分な剛性を確保することが可能な建設機械のキャブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る建設機械のキャブは、
一対の側面パネルと、前面パネルと、天井パネルとを備えた建設機械のキャブであって、
前記前面パネル及び前記天井部分の接続部分に沿ってキャブ室内側に設けられ、前記一対の側面パネル間を連結する筒状連結体を備え、
前記筒状連結体は、該筒状連結体の端面で前記側面パネルと接合され、
前記前面パネルは、前記筒状連結体の端部近傍で該筒状連結体に接合されていることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る建設機械のキャブは、第1発明において、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記窓取付部は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする。
第3発明に係る建設機械のキャブは、第1発明又は第2発明において、
前記天井パネル接続部は、前記天井パネルを前記前面パネル面よりも前方側に突出させた庇部を備え、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記庇部は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る建設機械のキャブは、第1発明乃至第3発明において、
前記前面パネルの前方及び前記天井パネルの上方を覆うガードを備え、
前記ガードは、前記前面パネル及び前記天井パネルの外周に沿って設けられる枠体と、前記天井パネル接続部に沿って枠体内に架設される横桟とを備え、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記横桟は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする。
第5発明に係る建設機械のキャブは、第1乃至第4発明において、
前記天井パネルは、前方側に貫孔が形成されたパネル本体と、このパネル本体にシール部材を介して前記貫孔を塞ぐように装着される透明パネルとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明によれば、一対の側面パネルが筒状連結体によって連結されることにより、建設機械のキャブの幅方向の剛性を確保できるので、一方の側面パネル側が地面に激突するように転倒しても変形を防止することができる。また、筒状連結体が天井パネル接続部に沿ってキャブ室内側に延設されることにより、細い連結体で高い剛性を実現することができるので、キャブの前方及び上方の視界遮蔽領域を極力小さく設定することができ、キャブ内の運転席上のオペレータの視野を広く確保することができる。
【0014】
第2発明によれば、キャブ室内のオペレータが筒状連結体を見たときに、窓取付部が筒状連結体に隠蔽される位置に設けられることにより、窓取付部によって視界遮蔽領域が拡がることがなく、キャブの前方及び上方におけるオペレータの視野を狭めることがない。
第3発明によれば、第2発明と同様に、庇部によって視界遮蔽領域が拡がることがなく、キャブの前方及び上方におけるオペレータの視野を狭めることがない。
【0015】
第4発明によれば、第2発明及び第3発明と同様に、ガードの横桟によって視界遮蔽領域が拡がることがなく、キャブの前方及び上方におけるオペレータの視野を狭めることがない。
第5発明によれば、天井パネルに貫孔が形成されている場合に、本願発明を採用することにより、オペレータから見た作業機の先端位置をこの貫孔を通して視認する際にも、前述した筒状連結体が視界を遮蔽することがなく、本発明を好適に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、この発明の建設機械のキャブの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
■1.第1実施形態
(1)キャブの全体構成
図3は建設機械のキャブの簡略分解図を示している。
このキャブ(運転室)は、一対の側面パネル(側面部)1、2と、前面パネル3と、後面パネル4と、天井パネル5と、フロアフレーム6とを備える。
一方の側面パネル1には、ドア7と、側方窓8とが形成され、他方の側面パネル2には側方窓9が形成されている。
前面パネル3はほぼ全体が前窓10とされる。すなわち、前面パネル3は、全体略矩形状の窓枠10aと、この窓枠10aに嵌合される透明パネル10bとから構成される。この透明パネル10bは、合わせガラスからなる。
後面パネル4には後方窓11が形成され、天井パネル5には天窓12が形成されている。
【0017】
このような建設機械のキャブは、例えば、建物の解体等に使用するために作業機を長く設定した解体用の建設機械等に用いられる。建設機械は、例えば、下部走行体に、旋回装置を介して上部旋回体が搭載され、この上部旋回体上にキャブが設けられ、また、上部旋回体には作業機が設けられている。
なお、本実施形態では、図2に示すように、この建設機械の運転室内の運転席(図示省略)にオペレータOが着座、すなわち操縦姿勢となった状態で、オペレータO(図2参照)の前方側(正面側)をこの建設機械の前方側とし、これと反対側、つまりこのオペレータOの後方側をこの建設機械の後方側とする。
【0018】
また、このキャブには、図2に示すように、前面パネル3の前方及び天井パネル5の上方を保護するガード40が付設されている。
このガード40は、前ガード部材15と、天井ガード部材16とを備える。前ガード部材15は、前面パネル3の外周縁に沿った格子構造体から構成され、天井ガード部材16も、天井パネル5の外周縁に沿った格子構造体から構成され、各ガード部材15、16はオペレータOの視野を確保することができるようになっている。
また、前ガード部材15と天井ガード部材16との連結部(接合部)には、棒状体又はパイプ体等からなる横桟48が配置されている。
【0019】
(2)天井パネル5の構造
上記したように、天井パネル5には天窓12が形成されているが、図4に示すように、この天井パネル5は、パネル本体17を備え、天窓12は、パネル本体17の前方側に形成される略矩形状の貫孔18(図1参照)を透明パネル19で覆うことによって構成されている。
図1に示すように、パネル本体17の上面において、貫孔18の外周縁にはシール部材Sが配置され、このシール部材Sを介して透明パネル19が載置固定されている。なお、この透明パネル19も、合わせガラスからなる。
また、透明パネル19の周縁部には、ガラス端面を保護する断面コの字状の端縁部材(カバー部材)20が嵌着されている。
さらに、天井パネル5のパネル本体17の前端縁部にも、パネル端面を保護する断面コの字状の端縁部材(カバー部材)21が嵌着されている。なお、この天窓12及び前窓10には、図示省略のワイパー(窓拭き器)が付設されている。
【0020】
(3)前面パネル3の構造
前面パネル3の窓枠10aは、全体として矩形状であるが、上端部(天井パネル5の先端縁対応部)においては、図1に示すように、第1部材22と第2部材23とを備えた形状とされる。すなわち、第1部材22はパネル本体17の先端縁部の下面に沿う鍔部24と、この鍔部24の後端縁から屈曲してなる前壁部25とからなり、鍔部24が前面パネル3の前方側に突出して庇部を構成している。
また、第2部材23は、第1部材22の鍔部24よりも後方側においてパネル本体17の下面に沿う鍔部26と、この鍔部26の先端縁から屈曲して上記前壁部25に対向する前壁部27とからなる。
第1部材22と第2部材23とは、それぞれ、鍔部24、26がパネル本体17に溶接等にて接合され、前壁部25、27とが重ね合わされて、溶接等にて一体化される。
【0021】
窓枠10aの両側端部においては、上辺部31(前壁部25、27とが重ね合わされてなる嵌合部)に連続してこの上辺部31と同様、一対の壁部が合わされてなる側辺部32、32(図5参照)が設けられると共に、窓枠10aの下端部においては、両側辺部32、32に連続して上記上辺部31と同様、一対の壁部が合わされてなる下辺部(図示省略)が設けられる。なお、窓枠10aの両側辺部32、32は、対応する各側面パネル1、2に溶接等の接合手段で一体化され、窓枠10aの下辺部は、フロアフレーム6に溶接等の接合手段で一体化されている。
【0022】
また、窓枠10aと透明パネル10bとはゴム等からなるシール部材28を介して連結される。すなわち、シール部材28は、上辺部28aと、側辺部(図示省略)と、下辺部(図示省略)とからなる矩形リング体であり、図1に示すように、その外周側に第1嵌合スリット29が形成されると共に、その内周側に第2嵌合スリット30が形成されている。
この場合、前面パネル3の窓枠10aの上端部においては、第1嵌合スリット29に、前壁部25、27にて構成される上辺部31が嵌合すると共に、第2嵌合スリット30に透明パネル10bの上端縁が嵌合する。
また、窓枠10aの両側端部においては、第1嵌合スリット29に側辺部32、32が嵌合すると共に、第2嵌合スリット30に透明パネル10bの側縁部が嵌合し、窓枠10aの下端部においては、第1嵌合スリット29に下辺部が嵌合すると共に、第2嵌合スリット30に透明パネル10bの下端縁が嵌合する。
【0023】
(4)前面パネル3及び天井パネル5の接続構造
このように、前面パネル3の上部位置には、シール部材28の上辺部28aにて構成される窓取付部13と、第1部材22と第2部材23とにおける前面パネル対応部、つまり図1における第1部材22と第2部材23での会合部位にて構成される天井パネル接続部14とが形成される。この際、窓取付部13と天井パネル接続部14とは隣接している。パネル本体17の前端縁部17a及びこの前端縁部17aに対応するシール部材Sの前端縁部Saが、上記窓取付部13の近傍に配置される。
【0024】
(5)側面パネル1、2の連結構造
一対の側面パネル1、2は、キャブ内部に配置される連結体33によって接続(連結)されている。
この連結体33は、図5に示すように、パイプ材からなる本体部34と、この本体部34の端部に外嵌される短筒35、35とを有する金属製パイプからなる。このため、上記連結体33の断面は、両側部よりも中央部が小さく設定されている。この場合、この連結体33は、前面パネル3とは別に設けられ、本体部34及び短筒35の端面がそれぞれ対応する側面パネル1、2の内面部に溶接等にて接合され、その両端部側が支持構造41にて支持されている。
短筒35は、本体部34が挿通される挿通孔35bが形成された筒状体として構成され、その長さは、図6及び図7に示されるように、前面パネル3の側辺部32の幅寸法と略同様の長さ寸法を有し、この短筒35の挿通孔35bの反対側は、筒状体の一部が側面視でL字状に切りかかれた切欠部35aとされている。
【0025】
支持構造41は、図6及び図7に示すように、連結体33の短筒35を下方側から受ける受け部材36と、連結体33の短筒35を上方側から当接する当接部材37と、受け部材36と当接部材37との間を塞ぐ縦板38とを備える。
受け部材36は、窓枠10aの側辺部32に固定される基部36aと、この基部36aから短筒35に向かって延びる支持部36bとを備え、下方から上方に向かって側辺部32から次第に遠ざかる板状に構成され、支持部36bの先端部が短筒35を受けている。
当接部材37は、上記第2部材23の鍔部26から垂下される垂下片からなり、連結体33の端部の短筒35に上方から当接している。
縦板38は、短筒35が嵌合する切欠部39が形成された平板体から構成され、受け部材36と当接部材37との間の隙間を塞ぐものである。
【0026】
このような支持構造41において、連結体33の本体部34及び短筒35の端面は、側面パネル1、2の内面に隅肉溶接によって接合されるとともに、短筒35の切欠部35aも、側面パネル1、2上部の曲折部に隅肉溶接によって接合される。
また、受け部材の支持部36bの上面の幅方向端部に縦板38は、前面パネル3の側辺部32に溶接接合され、縦板38の側辺部32溶接部分とは反対側の端面には、受け部材36が溶接接合される。さらに、連結体33の上部の当接部材37も、縦板38の端面に溶接接合される。
【0027】
このような支持構造41の組立は、まず、連結体33の本体部34及び短筒35の延出方向端面を側面パネル1、2に隅肉溶接によって接合するとともに、側面パネル1、2の上部曲折部に短筒35の切欠部35aを溶接接合しておく、
次に、この連結体33に、予め側辺部32に縦板38が接合された前面パネル3を装着し、連結体33の短筒35と、縦板38の切欠部39とを嵌合させて、両者を溶接接合する。
最後に、受け部材36によって短筒35の下部を覆い、受け部材36を側辺部32、短筒35、及び縦板38に溶接するとともに、短筒35の上部を当接部材37で覆い、同様に短筒35及び縦板38により溶接して接合する。
【0028】
(6)実施形態の作用及び効果
前述した連結体33は、図1及び図2に示すように、キャブ室内の前方斜め上方部に位置するように配置される。
具体的には、連結体33の位置としては、運転席に着座して操縦姿勢にあるオペレータOが斜め上方を見る際の視野を遮る範囲(視界遮蔽領域)H(窓取付部13と天井パネル接続部14等にて決定される範囲)にほぼ入る範囲内とする。
この実施の形態においては、視界遮蔽領域Hは、連結体33の外周縁を通過するオペレータOの上方の目線L1と、連結体33の外周縁を通過するオペレータOの下方の目線L2との間の範囲であり、この視界遮蔽領域Hの成す角度(遮視角)θとしては、約3度程度とすることができる。このため、視界遮蔽領域Hを可能な限り小さくすることができる。
【0029】
この際、この視界遮蔽領域Hに、窓取付部13と天井パネル接続部14はもちろんのこと、上記パネル本体17の前端縁部17a及びこの前端縁部17aに対応するシール部材前端縁部Sa、さらには、ガラス端面を保護するカバー部材20が及びパネル端面を保護するカバー部材21が入ることになる。
すなわち、天井パネル接続部14を構成する庇部及び窓取付部13に設けられるシール部材Sは、オペレータOから見たときに、連結体33の裏側に配置され、これらの部材は連結体33によって隠蔽されてしまう。従って、オペレータOが操縦姿勢の状態でキャブ室内から連結体33を見ても、天井パネル接続部14及び窓取付部13が連結体33から飛び出して見えることがなく、必要以上に視界遮蔽領域Hが増えることがない。
これに対して、上記図10に示すような横桟(連結部材)を設ければ、横桟と、天井パネルと横桟との接合部と、前面パネルと横桟との接合部とのために、視野を遮る範囲(視界遮蔽領域)Hが大きくなる。この図10に示す視界遮蔽領域Hでは、その遮視角θとして10度程度となる。
【0030】
ところで、この建設機械では、図2に示すように、前ガード部材15と天井ガード部材16とを備えたガード40が配設されるものである。そこで、このガード40の横桟48の略中心を、窓取付部13の略中心と連結体33の中心を結ぶ仮想直線L(図2参照)上に位置するように配置する。これによって、ガード40の横桟48を、上記視界遮蔽領域Hの略内側に入る位置として、オペレータOの視野が遮られる範囲がこの横桟48にて大きくならないようにしている。
【0031】
上記建設機械のキャブによれば、斜め上方側のオペレータの視野が遮られる範囲(視界遮蔽領域)Hを小さく設定することができ、建設機械の作業機による作業部位をオペレータOの視野に収まる範囲とすることができ、作業性の向上を図ることができる。特に、作業機による作業部位が高所(高位)であっても、オペレータOは視野を遮られることなく、作業を行うことができる。しかも、建設機械が転倒等した際に、一対の側面パネル1、2が相互に接近するように圧迫されて変形しようとしても、連結体33にて、この変形を防止することができる。このため、キャブとして十分な剛性を確保することが可能である。また、前面パネル3と天井パネル5との間に横桟(連結部材)を設ける必要がないので、部品点数の減少を図ることができ、コスト低減及び組み立て工数の低減を図ることができる。
【0032】
さらに、前面パネル3の前方及び天井パネル5の上方に配置されるガード40を備えるので、前面パネル3及び天井パネル5はガード40にて保護される。このため、この建設機械による作業中等のキャブへの落石等による損傷を有効に防止できる。しかも、このガード40の横桟を、視界遮蔽領域の略内側に位置するように配置したので、斜め上方側のオペレータの視野がこの横桟によって狭められることがない。また、連結体33は、側面パネル1、2に接続する側の断面を大きくしているので、この連結体33の接続部の剛性を確保することができ、これによって、一対の側面パネル1、2の接続が安定する。また、連結体33は中央部の断面を小さくしているので、この連結体33の軽量化を図ることができ、これによってこの連結体33の取扱いが容易となって、接続作業性の向上を達成できる。
【0033】
また、連結体33がキャブ内部に配置されるので、この連結体33が外部に露出しない。これによって、外観形状のシンプル化にも寄与する。さらに、金属製パイプにて連結体33を構成するものであるので、特殊な加工を行うことなく、簡単に金属製パイプを形成することができると共に、組み立て性の容易化を図って、コスト低減を達成できる。また、連結体33が外部に露出しないので、外観形状のシンプル化にも寄与する。
【0034】
■2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では既に説明したと同一の部分等については、同一符号を付してその説明を省略又は簡略する。
図8には、第2実施形態に係るキャブの要部拡大図が示され、この場合、窓取付部13のシール部材28を有さない場合である。すなわち、図8では、前面パネル3の上部においては、支持片部44がパネル本体17に取付けられ、この支持片部44にシール部材43を介して窓枠10aが接続されている。
支持片部44は、パネル本体17に取付けられる固着部44aと、この固着部44aから垂下される垂下片部44bとからなり、この垂下片部44bと、窓枠10aの上端縁部との間にシール部材43を介在させて、垂下片部44bに窓枠10aを固着している。このため、窓取付部13(この場合、シール部材43にて構成される)と天井パネル接続部14(この場合、支持片部44の固着部44aから構成される)とは、平板部42(この場合、支持片部44の垂下片部44bから構成される)だけで連結されていることになる。
ここで、平板部42とは、剛性向上のための処理(種々の加工や折曲等)が行われていない部分である。
【0035】
図8では、運転席から斜め上方を見た際のオペレータOの視野を遮る視界遮蔽領域Hを確実に小さくすることができる。これによって、作業機による作業部位が高所であっても、オペレータは視野を遮られることなく、安定した作業を行うことができ、作業の信頼性が一層向上する。しかも、剛性向上のための処理を行わずに済むと共に、上記図1で示したシール部材28や第1部材22等を省略でき、全体として部品点数の減少を図って、このキャブの組み立て性の向上を図ることができる。
【0036】
■3.第3実施形態
第3実施形態に係るキャブは、図9に示されるような支持片部44を有し、支持片部44は、パネル本体17に取付けられる固着部45と、この固着部45から垂下される垂下片部46とから構成されている。
垂下片部46は、第1部46aと、この第1部46aから前方側へ立ち上がる傾斜状の第2部46bと、この第2部46bから上方へ延びる第3部46cとを備える。そして、第3部46cの表面と、窓枠10aの表面とを略同一面上に配置するようにしている。
この場合、支持片部44は複数の折曲部を有することになるが、運転席から斜め上方を見た際のオペレータOの視野を遮る視界遮蔽領域Hを小さくすることができる。しかも、上記図1で示したシール部材28や第1部材22等を省略できる。
【0037】
■4.実施形態の変形
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
例えば、連結体33としては、金属製パイプに限るものではなく、角筒体であっても、中実棒であってもよい。
また、上記実施形態では、連結体33は、本体部34と、この本体部34の両端に外嵌される短筒35、35との複数部材にて構成しているが、外周面に段差を有さない本体部34のみの1箇の筒体にて構成したものであっても、バルジ成形等にて両端部が大径部に形成された1箇の筒体にて構成したものであってもよい。
なお、建設機械としては、オペレータOが搭乗して運転操作する運転室(キャブ)を備えた種々のものが対象となる。この際、ガード40を備えないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の建設機械のキャブの第1実施形態を示す要部断面図である。
【図2】上記建設機械のキャブの簡略断面図である。
【図3】上記建設機械のキャブの分解状態の簡略斜視図である。
【図4】上記建設機械のキャブの平面図である。
【図5】上記建設機械のキャブの内部から見た要部説明図である。
【図6】上記建設機械のキャブの要部拡大斜視図である。
【図7】図6の分解斜視図である。
【図8】この発明の建設機械のキャブの他の実施形態を示す要部拡大図である。
【図9】この発明の建設機械のキャブの別の実施形態を示す要部拡大図である。
【図10】従来の建設機械のキャブの要部断面図である。
【図11】従来の建設機械のキャブの斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1、2…側面パネル、3…前面パネル、5…天井パネル、13…窓取付部、14…天井パネル接続部、18…貫孔、33…連結体、40…ガード、42…平板部、H…視界遮蔽領域、S…シール部材、Sa…前端縁部
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設機械のキャブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械には油圧ショベル等の種々の機械があり、油圧ショベルは、下方走行体と、上部旋回体とを備え、上部旋回体にオペレータが搭乗して運転操作を行うキャブ(運転室)が設けられる。また、上部旋回体には土砂の掘削等を行う作業機が付設されている。
この際、上記したように、オペレータが運転室に搭乗して運転操作を行うことになるので、運転室においては作業機による作業部位に対するオペレータの視野を確保する必要がある。また、運転室としては、建設機械が転倒等した際には、その衝撃によって変形しないようにする必要があった。
そこで、従来では、運転室の視野を狭めることなく、しかも転倒荷重等の大きな荷重が作用しても、運転室が変形するのを防止することができるようにした建設機械の運転室がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、特許文献1に記載の運転室は、図11に示すように、一対の側面部51、52と、前面部53と、後面部54と、ルーフ部55と、フロア56とから構成される。
そして、一方の側面部51にはドア57が付設され、また、ルーフ部55には天窓58が設けられている。さらに、前面部53は、窓枠60と、この窓枠60に嵌合するガラス板61とからなり、略全体を前窓59としている。
【0004】
また、前面部53の上方側の剛性を向上させるために、前面部53とルーフ部55とは図10に示すように横桟(連結部材)62を介して連結している。この場合、横桟62は、それぞれ所定形状に形成された2枚の鋼板62a、62bを接合してなるものであり、上方鍔部63と下方鍔部64とが形成される。
そして、横桟62は、その上方鍔部63がシール部材65を介してルーフ部55の天窓58に接合され、その下方鍔部64がシール部材66を介して前面部53の前窓59の窓枠60に接合される。
このため、この運転室内のオペレータは、横桟62及びその接合部のために、図10に示す範囲(視界遮蔽領域)Hにおいて、その視野(斜め上方の視野)が遮られ、オペレータの視野内に、作業機による作業部位を収まるようにするのが困難となる場合があった。
【0005】
また、建設機械が、運転室の一方の側面部51側が地面に激突するように転倒等すれば、地面から運転室が衝撃を受け、一対の側面部が相互に接近するように圧迫されて潰れるように変形するおそれがある。
そこで、上記図11に示す運転室では、運転室の剛性を向上させるために、横桟62の前方に補強部材67を配置している。この際、上記視界遮蔽領域H内において補強部材67を配置することによって、運転室の視野を狭めることなく、運転室の剛性を向上させている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−279721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、建物の解体等に使用するために作業機を長く設定した建設機械においては、作業機による作業部位が高位である場合が多い。このようなときには、作業部位とオペレータとの距離が大きく、これに伴って、横桟62及びその接合部にて形成される視野が遮られる範囲Hとしては、作業部位近傍において広くなる。このため、作業部位をオペレータの視野に収まるようにするのが困難であった。
また、上記図11に示す運転室では、横桟62及び補強部材67を必要として、部品点数が多くコスト高となると共に、組み立て工程数が多く生産性に劣る。しかも、この図11に示すように、補強部材67が運転室の外部に露出するものでは、車両の全高が高くなり、輸送時に車体からキャブを取り外す必要がある。
【0008】
なお、前面部53全体をガラス板にて構成して、この前面部53のガラス板の上端縁と、ルーフ部55の天窓58のガラス板の先端縁とをコーキング材のみを介して連結して、運転席からの斜め上方の視野を確保するようにしたものもある。この場合、コーキング材の経年変化によって雨降り時等に水洩れが生じると共に、前面部53の強度不足の問題が
あった。
【0009】
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、建設機械の作業機による作業部位が高所であっても、その作業部位をオペレータの視野に収まる範囲とすることが可能であり、しかも、十分な剛性を確保することが可能な建設機械のキャブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る建設機械のキャブは、
一対の側面パネルと、前面パネルと、天井パネルとを備えた建設機械のキャブであって、
前記前面パネル及び前記天井部分の接続部分に沿ってキャブ室内側に設けられ、前記一対の側面パネル間を連結する筒状連結体を備え、
前記筒状連結体は、該筒状連結体の端面で前記側面パネルと接合され、
前記前面パネルは、前記筒状連結体の端部近傍で該筒状連結体に接合されていることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る建設機械のキャブは、第1発明において、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記窓取付部は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする。
第3発明に係る建設機械のキャブは、第1発明又は第2発明において、
前記天井パネル接続部は、前記天井パネルを前記前面パネル面よりも前方側に突出させた庇部を備え、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記庇部は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る建設機械のキャブは、第1発明乃至第3発明において、
前記前面パネルの前方及び前記天井パネルの上方を覆うガードを備え、
前記ガードは、前記前面パネル及び前記天井パネルの外周に沿って設けられる枠体と、前記天井パネル接続部に沿って枠体内に架設される横桟とを備え、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記横桟は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする。
第5発明に係る建設機械のキャブは、第1乃至第4発明において、
前記天井パネルは、前方側に貫孔が形成されたパネル本体と、このパネル本体にシール部材を介して前記貫孔を塞ぐように装着される透明パネルとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明によれば、一対の側面パネルが筒状連結体によって連結されることにより、建設機械のキャブの幅方向の剛性を確保できるので、一方の側面パネル側が地面に激突するように転倒しても変形を防止することができる。また、筒状連結体が天井パネル接続部に沿ってキャブ室内側に延設されることにより、細い連結体で高い剛性を実現することができるので、キャブの前方及び上方の視界遮蔽領域を極力小さく設定することができ、キャブ内の運転席上のオペレータの視野を広く確保することができる。
【0014】
第2発明によれば、キャブ室内のオペレータが筒状連結体を見たときに、窓取付部が筒状連結体に隠蔽される位置に設けられることにより、窓取付部によって視界遮蔽領域が拡がることがなく、キャブの前方及び上方におけるオペレータの視野を狭めることがない。
第3発明によれば、第2発明と同様に、庇部によって視界遮蔽領域が拡がることがなく、キャブの前方及び上方におけるオペレータの視野を狭めることがない。
【0015】
第4発明によれば、第2発明及び第3発明と同様に、ガードの横桟によって視界遮蔽領域が拡がることがなく、キャブの前方及び上方におけるオペレータの視野を狭めることがない。
第5発明によれば、天井パネルに貫孔が形成されている場合に、本願発明を採用することにより、オペレータから見た作業機の先端位置をこの貫孔を通して視認する際にも、前述した筒状連結体が視界を遮蔽することがなく、本発明を好適に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、この発明の建設機械のキャブの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
■1.第1実施形態
(1)キャブの全体構成
図3は建設機械のキャブの簡略分解図を示している。
このキャブ(運転室)は、一対の側面パネル(側面部)1、2と、前面パネル3と、後面パネル4と、天井パネル5と、フロアフレーム6とを備える。
一方の側面パネル1には、ドア7と、側方窓8とが形成され、他方の側面パネル2には側方窓9が形成されている。
前面パネル3はほぼ全体が前窓10とされる。すなわち、前面パネル3は、全体略矩形状の窓枠10aと、この窓枠10aに嵌合される透明パネル10bとから構成される。この透明パネル10bは、合わせガラスからなる。
後面パネル4には後方窓11が形成され、天井パネル5には天窓12が形成されている。
【0017】
このような建設機械のキャブは、例えば、建物の解体等に使用するために作業機を長く設定した解体用の建設機械等に用いられる。建設機械は、例えば、下部走行体に、旋回装置を介して上部旋回体が搭載され、この上部旋回体上にキャブが設けられ、また、上部旋回体には作業機が設けられている。
なお、本実施形態では、図2に示すように、この建設機械の運転室内の運転席(図示省略)にオペレータOが着座、すなわち操縦姿勢となった状態で、オペレータO(図2参照)の前方側(正面側)をこの建設機械の前方側とし、これと反対側、つまりこのオペレータOの後方側をこの建設機械の後方側とする。
【0018】
また、このキャブには、図2に示すように、前面パネル3の前方及び天井パネル5の上方を保護するガード40が付設されている。
このガード40は、前ガード部材15と、天井ガード部材16とを備える。前ガード部材15は、前面パネル3の外周縁に沿った格子構造体から構成され、天井ガード部材16も、天井パネル5の外周縁に沿った格子構造体から構成され、各ガード部材15、16はオペレータOの視野を確保することができるようになっている。
また、前ガード部材15と天井ガード部材16との連結部(接合部)には、棒状体又はパイプ体等からなる横桟48が配置されている。
【0019】
(2)天井パネル5の構造
上記したように、天井パネル5には天窓12が形成されているが、図4に示すように、この天井パネル5は、パネル本体17を備え、天窓12は、パネル本体17の前方側に形成される略矩形状の貫孔18(図1参照)を透明パネル19で覆うことによって構成されている。
図1に示すように、パネル本体17の上面において、貫孔18の外周縁にはシール部材Sが配置され、このシール部材Sを介して透明パネル19が載置固定されている。なお、この透明パネル19も、合わせガラスからなる。
また、透明パネル19の周縁部には、ガラス端面を保護する断面コの字状の端縁部材(カバー部材)20が嵌着されている。
さらに、天井パネル5のパネル本体17の前端縁部にも、パネル端面を保護する断面コの字状の端縁部材(カバー部材)21が嵌着されている。なお、この天窓12及び前窓10には、図示省略のワイパー(窓拭き器)が付設されている。
【0020】
(3)前面パネル3の構造
前面パネル3の窓枠10aは、全体として矩形状であるが、上端部(天井パネル5の先端縁対応部)においては、図1に示すように、第1部材22と第2部材23とを備えた形状とされる。すなわち、第1部材22はパネル本体17の先端縁部の下面に沿う鍔部24と、この鍔部24の後端縁から屈曲してなる前壁部25とからなり、鍔部24が前面パネル3の前方側に突出して庇部を構成している。
また、第2部材23は、第1部材22の鍔部24よりも後方側においてパネル本体17の下面に沿う鍔部26と、この鍔部26の先端縁から屈曲して上記前壁部25に対向する前壁部27とからなる。
第1部材22と第2部材23とは、それぞれ、鍔部24、26がパネル本体17に溶接等にて接合され、前壁部25、27とが重ね合わされて、溶接等にて一体化される。
【0021】
窓枠10aの両側端部においては、上辺部31(前壁部25、27とが重ね合わされてなる嵌合部)に連続してこの上辺部31と同様、一対の壁部が合わされてなる側辺部32、32(図5参照)が設けられると共に、窓枠10aの下端部においては、両側辺部32、32に連続して上記上辺部31と同様、一対の壁部が合わされてなる下辺部(図示省略)が設けられる。なお、窓枠10aの両側辺部32、32は、対応する各側面パネル1、2に溶接等の接合手段で一体化され、窓枠10aの下辺部は、フロアフレーム6に溶接等の接合手段で一体化されている。
【0022】
また、窓枠10aと透明パネル10bとはゴム等からなるシール部材28を介して連結される。すなわち、シール部材28は、上辺部28aと、側辺部(図示省略)と、下辺部(図示省略)とからなる矩形リング体であり、図1に示すように、その外周側に第1嵌合スリット29が形成されると共に、その内周側に第2嵌合スリット30が形成されている。
この場合、前面パネル3の窓枠10aの上端部においては、第1嵌合スリット29に、前壁部25、27にて構成される上辺部31が嵌合すると共に、第2嵌合スリット30に透明パネル10bの上端縁が嵌合する。
また、窓枠10aの両側端部においては、第1嵌合スリット29に側辺部32、32が嵌合すると共に、第2嵌合スリット30に透明パネル10bの側縁部が嵌合し、窓枠10aの下端部においては、第1嵌合スリット29に下辺部が嵌合すると共に、第2嵌合スリット30に透明パネル10bの下端縁が嵌合する。
【0023】
(4)前面パネル3及び天井パネル5の接続構造
このように、前面パネル3の上部位置には、シール部材28の上辺部28aにて構成される窓取付部13と、第1部材22と第2部材23とにおける前面パネル対応部、つまり図1における第1部材22と第2部材23での会合部位にて構成される天井パネル接続部14とが形成される。この際、窓取付部13と天井パネル接続部14とは隣接している。パネル本体17の前端縁部17a及びこの前端縁部17aに対応するシール部材Sの前端縁部Saが、上記窓取付部13の近傍に配置される。
【0024】
(5)側面パネル1、2の連結構造
一対の側面パネル1、2は、キャブ内部に配置される連結体33によって接続(連結)されている。
この連結体33は、図5に示すように、パイプ材からなる本体部34と、この本体部34の端部に外嵌される短筒35、35とを有する金属製パイプからなる。このため、上記連結体33の断面は、両側部よりも中央部が小さく設定されている。この場合、この連結体33は、前面パネル3とは別に設けられ、本体部34及び短筒35の端面がそれぞれ対応する側面パネル1、2の内面部に溶接等にて接合され、その両端部側が支持構造41にて支持されている。
短筒35は、本体部34が挿通される挿通孔35bが形成された筒状体として構成され、その長さは、図6及び図7に示されるように、前面パネル3の側辺部32の幅寸法と略同様の長さ寸法を有し、この短筒35の挿通孔35bの反対側は、筒状体の一部が側面視でL字状に切りかかれた切欠部35aとされている。
【0025】
支持構造41は、図6及び図7に示すように、連結体33の短筒35を下方側から受ける受け部材36と、連結体33の短筒35を上方側から当接する当接部材37と、受け部材36と当接部材37との間を塞ぐ縦板38とを備える。
受け部材36は、窓枠10aの側辺部32に固定される基部36aと、この基部36aから短筒35に向かって延びる支持部36bとを備え、下方から上方に向かって側辺部32から次第に遠ざかる板状に構成され、支持部36bの先端部が短筒35を受けている。
当接部材37は、上記第2部材23の鍔部26から垂下される垂下片からなり、連結体33の端部の短筒35に上方から当接している。
縦板38は、短筒35が嵌合する切欠部39が形成された平板体から構成され、受け部材36と当接部材37との間の隙間を塞ぐものである。
【0026】
このような支持構造41において、連結体33の本体部34及び短筒35の端面は、側面パネル1、2の内面に隅肉溶接によって接合されるとともに、短筒35の切欠部35aも、側面パネル1、2上部の曲折部に隅肉溶接によって接合される。
また、受け部材の支持部36bの上面の幅方向端部に縦板38は、前面パネル3の側辺部32に溶接接合され、縦板38の側辺部32溶接部分とは反対側の端面には、受け部材36が溶接接合される。さらに、連結体33の上部の当接部材37も、縦板38の端面に溶接接合される。
【0027】
このような支持構造41の組立は、まず、連結体33の本体部34及び短筒35の延出方向端面を側面パネル1、2に隅肉溶接によって接合するとともに、側面パネル1、2の上部曲折部に短筒35の切欠部35aを溶接接合しておく、
次に、この連結体33に、予め側辺部32に縦板38が接合された前面パネル3を装着し、連結体33の短筒35と、縦板38の切欠部39とを嵌合させて、両者を溶接接合する。
最後に、受け部材36によって短筒35の下部を覆い、受け部材36を側辺部32、短筒35、及び縦板38に溶接するとともに、短筒35の上部を当接部材37で覆い、同様に短筒35及び縦板38により溶接して接合する。
【0028】
(6)実施形態の作用及び効果
前述した連結体33は、図1及び図2に示すように、キャブ室内の前方斜め上方部に位置するように配置される。
具体的には、連結体33の位置としては、運転席に着座して操縦姿勢にあるオペレータOが斜め上方を見る際の視野を遮る範囲(視界遮蔽領域)H(窓取付部13と天井パネル接続部14等にて決定される範囲)にほぼ入る範囲内とする。
この実施の形態においては、視界遮蔽領域Hは、連結体33の外周縁を通過するオペレータOの上方の目線L1と、連結体33の外周縁を通過するオペレータOの下方の目線L2との間の範囲であり、この視界遮蔽領域Hの成す角度(遮視角)θとしては、約3度程度とすることができる。このため、視界遮蔽領域Hを可能な限り小さくすることができる。
【0029】
この際、この視界遮蔽領域Hに、窓取付部13と天井パネル接続部14はもちろんのこと、上記パネル本体17の前端縁部17a及びこの前端縁部17aに対応するシール部材前端縁部Sa、さらには、ガラス端面を保護するカバー部材20が及びパネル端面を保護するカバー部材21が入ることになる。
すなわち、天井パネル接続部14を構成する庇部及び窓取付部13に設けられるシール部材Sは、オペレータOから見たときに、連結体33の裏側に配置され、これらの部材は連結体33によって隠蔽されてしまう。従って、オペレータOが操縦姿勢の状態でキャブ室内から連結体33を見ても、天井パネル接続部14及び窓取付部13が連結体33から飛び出して見えることがなく、必要以上に視界遮蔽領域Hが増えることがない。
これに対して、上記図10に示すような横桟(連結部材)を設ければ、横桟と、天井パネルと横桟との接合部と、前面パネルと横桟との接合部とのために、視野を遮る範囲(視界遮蔽領域)Hが大きくなる。この図10に示す視界遮蔽領域Hでは、その遮視角θとして10度程度となる。
【0030】
ところで、この建設機械では、図2に示すように、前ガード部材15と天井ガード部材16とを備えたガード40が配設されるものである。そこで、このガード40の横桟48の略中心を、窓取付部13の略中心と連結体33の中心を結ぶ仮想直線L(図2参照)上に位置するように配置する。これによって、ガード40の横桟48を、上記視界遮蔽領域Hの略内側に入る位置として、オペレータOの視野が遮られる範囲がこの横桟48にて大きくならないようにしている。
【0031】
上記建設機械のキャブによれば、斜め上方側のオペレータの視野が遮られる範囲(視界遮蔽領域)Hを小さく設定することができ、建設機械の作業機による作業部位をオペレータOの視野に収まる範囲とすることができ、作業性の向上を図ることができる。特に、作業機による作業部位が高所(高位)であっても、オペレータOは視野を遮られることなく、作業を行うことができる。しかも、建設機械が転倒等した際に、一対の側面パネル1、2が相互に接近するように圧迫されて変形しようとしても、連結体33にて、この変形を防止することができる。このため、キャブとして十分な剛性を確保することが可能である。また、前面パネル3と天井パネル5との間に横桟(連結部材)を設ける必要がないので、部品点数の減少を図ることができ、コスト低減及び組み立て工数の低減を図ることができる。
【0032】
さらに、前面パネル3の前方及び天井パネル5の上方に配置されるガード40を備えるので、前面パネル3及び天井パネル5はガード40にて保護される。このため、この建設機械による作業中等のキャブへの落石等による損傷を有効に防止できる。しかも、このガード40の横桟を、視界遮蔽領域の略内側に位置するように配置したので、斜め上方側のオペレータの視野がこの横桟によって狭められることがない。また、連結体33は、側面パネル1、2に接続する側の断面を大きくしているので、この連結体33の接続部の剛性を確保することができ、これによって、一対の側面パネル1、2の接続が安定する。また、連結体33は中央部の断面を小さくしているので、この連結体33の軽量化を図ることができ、これによってこの連結体33の取扱いが容易となって、接続作業性の向上を達成できる。
【0033】
また、連結体33がキャブ内部に配置されるので、この連結体33が外部に露出しない。これによって、外観形状のシンプル化にも寄与する。さらに、金属製パイプにて連結体33を構成するものであるので、特殊な加工を行うことなく、簡単に金属製パイプを形成することができると共に、組み立て性の容易化を図って、コスト低減を達成できる。また、連結体33が外部に露出しないので、外観形状のシンプル化にも寄与する。
【0034】
■2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では既に説明したと同一の部分等については、同一符号を付してその説明を省略又は簡略する。
図8には、第2実施形態に係るキャブの要部拡大図が示され、この場合、窓取付部13のシール部材28を有さない場合である。すなわち、図8では、前面パネル3の上部においては、支持片部44がパネル本体17に取付けられ、この支持片部44にシール部材43を介して窓枠10aが接続されている。
支持片部44は、パネル本体17に取付けられる固着部44aと、この固着部44aから垂下される垂下片部44bとからなり、この垂下片部44bと、窓枠10aの上端縁部との間にシール部材43を介在させて、垂下片部44bに窓枠10aを固着している。このため、窓取付部13(この場合、シール部材43にて構成される)と天井パネル接続部14(この場合、支持片部44の固着部44aから構成される)とは、平板部42(この場合、支持片部44の垂下片部44bから構成される)だけで連結されていることになる。
ここで、平板部42とは、剛性向上のための処理(種々の加工や折曲等)が行われていない部分である。
【0035】
図8では、運転席から斜め上方を見た際のオペレータOの視野を遮る視界遮蔽領域Hを確実に小さくすることができる。これによって、作業機による作業部位が高所であっても、オペレータは視野を遮られることなく、安定した作業を行うことができ、作業の信頼性が一層向上する。しかも、剛性向上のための処理を行わずに済むと共に、上記図1で示したシール部材28や第1部材22等を省略でき、全体として部品点数の減少を図って、このキャブの組み立て性の向上を図ることができる。
【0036】
■3.第3実施形態
第3実施形態に係るキャブは、図9に示されるような支持片部44を有し、支持片部44は、パネル本体17に取付けられる固着部45と、この固着部45から垂下される垂下片部46とから構成されている。
垂下片部46は、第1部46aと、この第1部46aから前方側へ立ち上がる傾斜状の第2部46bと、この第2部46bから上方へ延びる第3部46cとを備える。そして、第3部46cの表面と、窓枠10aの表面とを略同一面上に配置するようにしている。
この場合、支持片部44は複数の折曲部を有することになるが、運転席から斜め上方を見た際のオペレータOの視野を遮る視界遮蔽領域Hを小さくすることができる。しかも、上記図1で示したシール部材28や第1部材22等を省略できる。
【0037】
■4.実施形態の変形
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
例えば、連結体33としては、金属製パイプに限るものではなく、角筒体であっても、中実棒であってもよい。
また、上記実施形態では、連結体33は、本体部34と、この本体部34の両端に外嵌される短筒35、35との複数部材にて構成しているが、外周面に段差を有さない本体部34のみの1箇の筒体にて構成したものであっても、バルジ成形等にて両端部が大径部に形成された1箇の筒体にて構成したものであってもよい。
なお、建設機械としては、オペレータOが搭乗して運転操作する運転室(キャブ)を備えた種々のものが対象となる。この際、ガード40を備えないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の建設機械のキャブの第1実施形態を示す要部断面図である。
【図2】上記建設機械のキャブの簡略断面図である。
【図3】上記建設機械のキャブの分解状態の簡略斜視図である。
【図4】上記建設機械のキャブの平面図である。
【図5】上記建設機械のキャブの内部から見た要部説明図である。
【図6】上記建設機械のキャブの要部拡大斜視図である。
【図7】図6の分解斜視図である。
【図8】この発明の建設機械のキャブの他の実施形態を示す要部拡大図である。
【図9】この発明の建設機械のキャブの別の実施形態を示す要部拡大図である。
【図10】従来の建設機械のキャブの要部断面図である。
【図11】従来の建設機械のキャブの斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1、2…側面パネル、3…前面パネル、5…天井パネル、13…窓取付部、14…天井パネル接続部、18…貫孔、33…連結体、40…ガード、42…平板部、H…視界遮蔽領域、S…シール部材、Sa…前端縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側面パネルと、上部位置に窓取付部が形成された前面パネルと、前記前面パネルの窓取付部に隣接して天井パネル接続部が形成された天井パネルとを備えた建設機械のキャブであって、
前記天井パネル接続部に沿ってキャブ室内側に延設され、前記一対の側面パネル間を連結する筒状連結体を備え、
前記筒状連結体は、該筒状連結体の延出方向端面でそれぞれの側面パネルと接合され、
前記前面パネルは、前記筒状連結体の延出方向端部近傍で該筒状連結体に接合されていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械のキャブにおいて、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記窓取付部は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の建設機械のキャブにおいて、
前記天井パネル接続部は、前記天井パネルを前記前面パネル面よりも前方側に突出させた庇部を備え、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記庇部は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の建設機械のキャブにおいて、
前記前面パネルの前方及び前記天井パネルの上方を覆うガードを備え、
前記ガードは、前記前面パネル及び前記天井パネルの外周に沿って設けられる枠体と、前記天井パネル接続部に沿って枠体内に架設される横桟とを備え、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記横桟は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の建設機械のキャブにおいて、
前記天井パネルは、前方側に貫孔が形成されたパネル本体と、このパネル本体にシール部材を介して前記貫孔を塞ぐように装着される透明パネルとを備えていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項1】
一対の側面パネルと、上部位置に窓取付部が形成された前面パネルと、前記前面パネルの窓取付部に隣接して天井パネル接続部が形成された天井パネルとを備えた建設機械のキャブであって、
前記天井パネル接続部に沿ってキャブ室内側に延設され、前記一対の側面パネル間を連結する筒状連結体を備え、
前記筒状連結体は、該筒状連結体の延出方向端面でそれぞれの側面パネルと接合され、
前記前面パネルは、前記筒状連結体の延出方向端部近傍で該筒状連結体に接合されていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械のキャブにおいて、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記窓取付部は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の建設機械のキャブにおいて、
前記天井パネル接続部は、前記天井パネルを前記前面パネル面よりも前方側に突出させた庇部を備え、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記庇部は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の建設機械のキャブにおいて、
前記前面パネルの前方及び前記天井パネルの上方を覆うガードを備え、
前記ガードは、前記前面パネル及び前記天井パネルの外周に沿って設けられる枠体と、前記天井パネル接続部に沿って枠体内に架設される横桟とを備え、
前記キャブ室内で操縦姿勢となったオペレータが前記筒状連結体を見たときに、
前記横桟は、この筒状連結体に隠蔽される位置に設けられていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の建設機械のキャブにおいて、
前記天井パネルは、前方側に貫孔が形成されたパネル本体と、このパネル本体にシール部材を介して前記貫孔を塞ぐように装着される透明パネルとを備えていることを特徴とする建設機械のキャブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−21754(P2006−21754A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154633(P2005−154633)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
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