説明

建設機械の制御装置

【課題】エンジン停止前の機会を確実にとらえて再生動作を行う。また、再生動作中や再生動作後にアクチュエータが操作されることをおそれて操作者が建設機械から離れにくいという問題を抑制する。
【解決手段】エンジン13が作動しているときにキースイッチ50が「エンジン停止位置」となった場合(S204)、エンジン13を作動させたまま、排ガス浄化フィルタ再生装置23の再生動作を作動させる(S212)。また、ステップS212での再生動作の開始(S212)から、所定時間Tsが経過した後(S217)に、乗降遮断レバー40が第1位置41にある場合(S215でNO)、再生動作を停止させる(S241)とともにエンジン13を停止させる(S243)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化フィルタ再生装置を備える建設機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より排ガス浄化フィルタ再生装置(DPF(Diesel Particulate Filter)再生装置)を備えた建設機械がある(例えば特許文献1〜3)。排ガス浄化フィルタ再生装置は、排ガス浄化フィルタに捕集された粒子状固形物質(PM(Particulate Matter)、「すす」、以下では単に「捕集物」という)を焼却除去して排ガス浄化フィルタを再生させる「再生動作」を行うものである(以下、排ガス浄化フィルタ再生装置が排ガス浄化フィルタを再生させる動作を単に「再生動作」という)。再生動作は具体的には例えば、エンジンに負荷をかけたり回転数を上げてエンジンの排ガスの温度を上げることで捕集物を焼却除去する動作である。または、上記のようにエンジンの排ガスの温度を上げるとともに、排ガス浄化フィルタに油を噴射して油を燃焼させることでエンジンの排ガスの温度をさらに上げて捕集物を焼却除去する動作である。
【0003】
排ガス浄化フィルタ再生装置を備えた建設機械は、エンジンの動力により作動するアクチュエータを備える。上述したように再生動作中にはエンジンが作動するので、エンジンの動力により作動するアクチュエータも作動する可能性がある。そこで、特許文献1〜3には、アクチュエータの作動を制限して安全な状態が作り出されたことを条件に再生動作を行う技術が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術では、エンジンを停止させる指令が出るたびに再生動作を働かせ、こまめに捕集物を減らすことを図っている。こまめに捕集物を減らすことにより、排ガス浄化フィルタに多量の捕集物が溜まることを抑制し、排ガス浄化フィルタの内部温度の異常上昇や、それによる排ガス浄化フィルタの溶損を抑制することを図っている。
【0005】
また、特許文献1に記載の技術では、同文献の図4等に記載のように、乗降遮断レバーによりアクチュエータの作動制限がされている状態で(同図S100でYes)、キースイッチによりエンジンを停止させる指令をすると(同図S110でYes)、自動的に再生動作を開始させる。乗降遮断レバーの状態が再生動作をするか否かの判断条件の一つになっている理由は、非作業時(アクチュエータを用いた作業を行わない時)に再生動作を行う為である。そして、再生動作が終了した後、エンジンを自動停止させる。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、排ガス浄化フィルタの捕集物の堆積量が所定量(再生が必要な量)となると、建設機械が安全な状態(同文献の明細書の段落0031〜0033、例えばアクチュエータの作動が制限された状態)にあることを確認した上で、再生動作が必要な旨を画像表示で操作者に知らせる。そして、強制再生指示信号の入力をきっかけに再生動作を開始させる。
【0007】
特許文献3に記載の技術では、再生開始ボタンを押すことと、アクチュエータが操作中でないこととを条件にして再生動作を開始させる。再生動作を開始させた後は、アクチュエータが作動しないように制限をかけて安全な状態を確保して再生動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−79500号公報
【特許文献2】特開2009−257323号公報
【特許文献3】特開2010−59620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の技術には以下の課題がある。
【0010】
特許文献1に記載の技術には、乗降遮断レバー(ゲートロックレバー)とキースイッチの操作の順番が違うと、再生動作が開始されないという問題がある。
さらに詳しくは、上述したように、(手順A)乗降遮断レバーによりアクチュエータの作動制限を行い(同図S100でYes、同文献の請求項1の「第2位置にある状態」)、その後、キースイッチによりエンジンを停止させる指令をすると(同図S110でYes)、再生動作が開始される。
一方で、(手順B)乗降遮断レバーでアクチュエータの作動制限を行わないまま(同図S100でNo)、キースイッチによりエンジンを停止させる指令をし、その後、乗降遮断レバーでアクチュエータの作動制限を行うと(同図S100でYes)、既にエンジンは停止してしまっているので、再生動作は行えない。
【0011】
建設機械の操作者には、建設機械から離れる際に乗降遮断レバーを操作してからキースイッチを操作する(手順A)者もいれば、逆の手順(手順B)で行う者もいる。特許文献1に記載の技術では上記逆の手順(手順B)では再生動作が開始されない。これでは、エンジン停止前の機会を捉えて、こまめに再生動作を行うという、この技術の目的(本来の趣旨)を半ばしか実現できない。また、正しい手順(手順A)を行わなければ再生動作が開始されないのでは、操作者にとって建設機械の操作が煩雑なものとなりうる。
【0012】
特許文献2に記載の技術には、建設機械の操作者は再生動作の間は安心して建設機械から離れにくいという問題がある。すなわち、この技術では、建設機械の状態が安全でない場合(同文献の明細書の段落0031〜0033)に再生動作の中断処理を行う(同文献の請求項9、同文献の図4のS19、S20、明細書の段落0037)。しかしながら、再生動作が中断したとき、エンジンは作動したままである。このときに操作者が建設機械から離れていると、アクチュエータが無関係な者に動かされてしまうおそれがある(具体的には例えば、子ども等のいたずらや盗難等のおそれがある)。よって、操作者は再生動作の間、建設機械から安心して離れにくい。
【0013】
特許文献3に記載の技術にも、建設機械の操作者は再生動作の間は安心して建設機械から離れにくいという問題がある。さらに詳しくは、この技術では特許文献2に記載の技術と異なり、再生動作の完遂を重視するために再生動作の中断処理はできないように構成されている。そして、排ガス浄化フィルタの捕集物の堆積量が所定値未満になると再生動作が終了する(同文献の図2のS10〜S11)。この再生動作の開始から終了までの時間は、捕集物の堆積量により不定である(同文献の明細書の段落0033)。また、再生動作が終わればアクチュエータの作動制限は解除されてしまう。すなわち、再生動作が終了した時点で建設機械の近辺に戻っていなければアクチュエータが無関係な者に動かされてしまうおそれがあるが、一方で、再生動作がいつ終了するかを推定することは容易ではない。よって、操作者は、再生動作の間は安心して車両から離れにくい。
【0014】
本発明の目的は、エンジン停止前の機会を確実にとらえて再生動作を行うことができ、かつ、再生動作中や再生動作後にアクチュエータが操作されることをおそれて操作者が建設機械から離れにくいという問題を抑制できる、建設機械の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0015】
第1の発明の建設機械の制御装置は、建設機械を制御する制御装置である。建設機械は、エンジンと、前記エンジンの動力により作動するアクチュエータと、前記エンジンの排気管に取り付けられた排ガス浄化フィルタと、前記排ガス浄化フィルタの捕集物を焼却除去する再生動作を行う排ガス浄化フィルタ再生装置と、を備える。制御装置は、前記エンジンの停止を指令するエンジン停止指令手段と、アクチュエータ作動制限選択手段と、前記排ガス浄化フィルタ再生装置および前記エンジンの作動を制御する作動制御手段と、を備える。アクチュエータ作動制限選択手段は、前記アクチュエータの作動を制限しない第1位置と、当該作動を制限する第2位置と、を選択する。前記作動制御手段は、第1制御手段と第2制御手段とを備える。前記第1制御手段は、前記エンジンが作動しているときに前記エンジン停止指令手段が当該エンジンの停止を指令した場合、当該エンジンを作動させたまま、前記排ガス浄化フィルタ再生装置の前記再生動作を作動させる。前記第2制御手段は、前記第1制御手段による前記再生動作の作動の開始から所定時間が経過した後に前記アクチュエータ作動制限選択手段が前記第1位置にある場合、当該再生動作を停止させるとともに前記エンジンを停止させる。
【0016】
この建設機械の制御装置は、エンジンが作動しているときにエンジン停止指令手段がエンジンの停止を指令した場合、エンジンを作動させたまま、排ガス浄化フィルタ再生装置の再生動作を作動させる第1制御手段を備える。すなわち、第1制御手段は、アクチュエータ作動制限選択手段による選択と、エンジン停止指令手段による指令と、の順序にかかわらず、エンジン停止指令手段によるエンジンの停止の指令により再生動作を作動させる。したがって、エンジン停止前の機会を確実にとらえて再生動作を行うことができる。
【0017】
また、この建設機械の制御装置は、第1制御手段による再生動作の作動の開始から所定時間が経過した後にアクチュエータ作動制限選択手段が第1位置にある場合、再生動作を停止させるとともにエンジンを停止させる第2制御手段を備える。ここで、アクチュエータ作動制限選択手段が第1位置にある場合はアクチュエータの作動が制限されないので、そのままではアクチュエータが作動する可能性がある。一方で、第2制御手段は、上記のようにエンジンを停止させるので、このエンジンの停止後はアクチュエータは作動しない。上記の所定時間経過後にはアクチュエータは作動しないので、再生動作中や再生動作後にアクチュエータが操作されることをおそれて操作者が建設機械から離れにくいという問題を抑制できる。
【0018】
第2の発明の建設機械の制御装置では、前記アクチュエータ作動制限選択手段は、前記建設機械の運転室の乗降口近辺に設置された乗降遮断レバーである。
【0019】
この建設機械の制御装置の乗降遮断レバーは、運転室の外から触りやすい位置にある。よって、アクチュエータ作動制限選択手段での選択を運転室の外から容易に行える。その結果、第2制御手段による再生動作の停止およびエンジンの停止のための上記選択を運転室の外から容易に行える。
また、この建設機械の制御装置の乗降遮断レバーは、従来より建設機械に一般的に採用されているものであり、従来より運転室の乗降口での乗降動作のときに操作者が操作しているものである。したがって、従来の建設機械に新たに付加した部材(例えばスイッチ等)をアクチュエータ作動制限選択手段とした場合に比べ、操作の違和感を抑制できる。
【0020】
第3の発明の建設機械の制御装置では、前記作動制御手段は、前記第1制御手段による前記再生動作の作動の開始を報知する第1報知手段を備える。
【0021】
この建設機械の制御装置では、上述したように、エンジンの停止が指令されても第1制御手段によりエンジンは作動したままの状況になる。このとき、第1報知手段による上記の報知により、この状況は第1制御手段による再生動作の作動の開始によるものであると操作者は判る。よって、この状況に対する操作者の不安を抑制できる。
【0022】
第4の発明の建設機械の制御装置では、前記作動制御手段は、前記第1制御手段による前記再生動作の作動の開始から前記所定時間が経過するまでの間に前記アクチュエータ作動制限選択手段が前記第1位置にある場合に作動する第2報知手段を備える。
【0023】
この建設機械の制御装置では、上述したように、第2制御手段により再生動作が停止する。一方でこの発明では、第2制御手段により再生動作が停止する前に第2報知手段が作動する。よって、操作者が再生動作を行う意思があるときに、うっかり第2制御手段により再生動作を停止させてしまうことを抑制できる。
また、第2報知手段による報知により、アクチュエータ作動制限選択手段が第1位置にあることを知った操作者が、アクチュエータ作動制限選択手段を第2位置に切り換えた場合、アクチュエータの作動が制限される。この場合は、安全な状態を確保して再生動作を行える。
【0024】
第5の発明の建設機械の制御装置は、前記作動制御手段の作動の有効または無効を選択する作動制御選択手段を備える。前記作動制御手段は、前記作動制御選択手段が当該作動制御手段の作動の有効を選択している場合、当該作動の有効を選択した時から前記第2制御手段により前記再生動作が停止される時までの間、前記エンジン停止指令手段による前記指令を無効にするエンジン停止指令無効化手段を備える。
【0025】
この建設機械の制御装置では、作動制御選択手段が作動制御手段の作動の有効を選択した時(第1制御手段により再生動作の作動が開始される前の時点)から、第2制御手段により再生動作が停止される時までの間、すなわち、第1制御手段により開始された再生動作の作動の間、エンジン停止指令手段によりエンジンの停止を指令してもエンジンが停止されない。よって、第1制御手段による「エンジンを作動させたまま、排ガス浄化フィルタ再生装置の再生動作を作動させる」という作動を確実に行うことができる。
【0026】
第6の発明の建設機械の制御装置は、前記エンジンの作動を指令するエンジン作動指令手段を備える。前記作動制御手段は、エンジン作動指令検出手段と、制御手段無効化手段とを備える。前記エンジン作動指令検出手段は、前記エンジン停止指令無効化手段により前記エンジン停止指令手段による前記指令が無効にされている状態で、前記エンジン作動指令手段による前記指令を検出可能である。前記制御手段無効化手段は、前記エンジン作動指令手段による前記指令が前記エンジン作動指令検出手段により検出された場合、前記第1制御手段および前記第2制御手段を無効化する。
【0027】
この建設機械の制御装置では、制御手段無効化手段は、エンジン作動指令手段による指令がエンジン作動指令検出手段により検出された場合、第1制御手段および第2制御手段を無効化する。よって、第1制御手段および第2制御手段による、再生動作の作動、再生動作の停止、及びエンジンの停止を行う必要がない場合、エンジン作動指令手段によりエンジンの作動を指令すれば、これら必要のない作動や停止を容易に無効化できる。
【0028】
第7の発明の建設機械の制御装置は、前記作動制御手段の作動の有効または無効を選択する作動制御選択手段と、電源から前記制御装置への電力供給の遮断を指令する制御電源スイッチと、を備える。前記作動制御手段は、前記作動制御選択手段が当該作動制御手段の作動の有効を選択している場合、当該作動の有効を選択した時から前記第2制御手段により前記エンジンが停止される時までの間、前記制御電源スイッチによる前記電力供給の遮断の指令を無効にする制御電源スイッチ無効化手段を備える。
【0029】
この建設機械の制御装置では、作動制御選択手段が作動制御手段の作動の有効を選択した時から、前記第2制御手段により前記エンジンが停止される時までの間、制御電源スイッチにより上記の電力供給の遮断を指令しても制御装置への電力供給が遮断されない。よって、第2制御手段によりエンジンが停止されるまで、確実に制御装置を作動させることができる。
【0030】
第8の発明の建設機械の制御装置は、前記エンジンを始動するときに必要な照合手段と、前記エンジンを始動可能な所定の場所に前記照合手段があるか否かを検出する照合手段検出手段と、第3報知手段と、を備える。第3報知手段は、前記第1制御手段により前記再生動作が作動しているときに、前記照合手段が前記所定の場所にあることが前記照合手段検出手段により検出された場合、当該検出結果を報知する。
【0031】
この建設機械の制御装置では、上記の第3報知手段の報知により、エンジンを始動可能な所定の場所に照合手段があることを操作者は知りやすい。よって、所定の場所に照合手段がある状態のまま、操作者が建設機械から離れてしまうことを抑制できる。したがって、操作者以外の者(無関係な者)にエンジンを始動されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】建設機械の制御装置1等を示すブロック図である。
【図2】図1に示す建設機械の制御装置1の動作のフローチャートである。
【図3】図2に示す再生動作等制御S210のフローチャートである。
【図4】図3に示すキー場所判定S220のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図1〜図4を参照して建設機械の制御装置1の実施形態を説明する。まず、図1のブロック図を参照して建設機械10及び制御装置1の構成を説明する。次に、図2〜図4のフローチャートを参照して制御装置1の動作を説明する。なお、図1〜図4では「スイッチ」を「SW」と記載している。
【0034】
(建設機械)
建設機械10は、建設用の車両であり、例えば移動式クレーンや油圧ショベル等である。なお、図1では、建設機械10のうち、制御装置1及び制御装置1の周辺部分のみを図示している。建設機械10は主に、運転室、運転室に設けられた操作レバー12、エンジン13、エンジン13に接続されたポンプ16及び17、ポンプ16に接続されたアクチュエータ18、ポンプ16及び17と操作レバー12とを接続する油路に設けられた切替弁21、エンジン13の排気管14に取り付けられた排ガス浄化フィルタ22、および排ガス浄化フィルタ再生装置23を備える。
【0035】
この建設機械10では、操作者(操縦者、オペレータ)は、運転室の運転席で建設機械を運転(操縦)する。運転室の乗降口11(図1では一点鎖線で示している)近辺には乗降遮断レバー40が設置される。
【0036】
操作レバー12は、アクチュエータ18を操作するための部材(運転レバー)である。操作レバー12は、運転室内に設けられた例えば油圧リモコン弁である。
【0037】
エンジン13は、主にアクチュエータ18を作動させる駆動源である。エンジン13はディーゼルエンジンであり、エンジン制御装置15により制御される(なお、エンジン制御装置15は制御装置1の構成要素としても良い)。
【0038】
ポンプ16及び17は、エンジン13の動力により作動する。ポンプ16は、アクチュエータ18(アクチュエータ回路19)に圧油を供給する。ポンプ17は、操作レバー12にパイロット油を供給する。
【0039】
アクチュエータ18は、エンジン13の動力により作動する部材であり、建設機械10が備える各種機械要素(図示なし)を動かすための部材である。アクチュエータ18は、建設機械10が例えばクレーンの場合、ブームの起伏、巻き上げ、上部旋回体の旋回、及び建設機械10の走行などを行うための部材であり、具体的には油圧シリンダや油圧モータ等である。操作者が操作レバー12を操作すると、この操作に応じてアクチュエータ回路19が作動し、この作動に応じてアクチュエータ18が作動する。なお、ポンプ16とアクチュエータ回路19とをつなぐ油路に、ポンプ16からアクチュエータ回路19への作動油の供給を制限する機構(図示しないリリーフ弁やアンロード弁など)を設けても良い。
【0040】
切替弁21は、アクチュエータ18の作動の制限の有無を切り換え可能な弁である。切替弁21は、操作レバー12とポンプ17との間の油路に設けられる。切替弁21は、切替位置21aおよび切替位置21bを備える。切替位置21aでは、ポンプ17から操作レバー12(油圧リモコン弁)へパイロット油が供給され、操作レバー12の操作に応じてアクチュエータ18が作動可能である。切替位置21bでは、ポンプ17から操作レバー12へのパイロット油の供給が遮断される(操作レバー12とタンクTとが連通される)。この遮断により、操作レバー12(油圧リモコン弁)を操作してもアクチュエータ18は作動しない。なお、アクチュエータ18の作動制限の有無は他の方法で切り換えても良い(後述)。
【0041】
排ガス浄化フィルタ22は、エンジン13の排気管14に取り付けられ、エンジン13の排ガスに含まれる粒子状固形物質(上記PM、「すす」)を捕集するフィルタ(上記DPF)である。排ガス浄化フィルタ22に多量の捕集物が堆積すると、排ガス浄化フィルタ22の内部温度の異常上昇や、それによる排ガス浄化フィルタ22の溶損が生じる場合がある。排ガス浄化フィルタ22では、捕集物の量を測定や推測できる。例えば、排ガス浄化フィルタ22の上流側と下流側との差圧を測定することで捕集物の量を測定(推測)することができる。また例えば、エンジン13を作動させた時間等から排ガス中の粒子状固形物質の量を推測するとともに、排ガス浄化フィルタ再生装置23の再生動作を行った時間から焼却除去された(減った)粒子状固形物質の量を推測し、これらの差を求めることで排ガス浄化フィルタ22の捕集物の量を推測できる。
【0042】
排ガス浄化フィルタ再生装置23は、排ガス浄化フィルタ22の捕集物を焼却除去する、すなわち再生動作を行う装置である。排ガス浄化フィルタ再生装置23は、エンジン13に負荷をかける、または、エンジン13の回転数を上げることで、エンジン13の排気温度を上げて捕集物を焼却除去する。また、排ガス浄化フィルタ再生装置23は、エンジン13の排気温度を上げるとともに、さらに温度を上げるために油(燃料)を燃やす(ポスト噴射を行う)場合もある。
【0043】
(制御装置)
制御装置1は、建設機械10を制御する装置である。制御装置1は、主に、排ガス浄化フィルタ再生装置23の再生動作、および、エンジン13の作動または停止を制御する。制御装置1は、コントローラ30を備え、また、コントローラ30にそれぞれ接続された乗降遮断レバー40、選択スイッチ46、キースイッチ50、キー52等、緊急エンジン停止スイッチ56、報知手段60、受信装置71、及び照合装置72を備える。
【0044】
コントローラ30は、制御装置1のうち様々な制御や処理等を行う部分である。コントローラ30は、例えば、排ガス浄化フィルタ再生装置23の再生動作を制御する再生制御部31、運転室に操作者がいるか否かを検出することが主な(本来の)機能である乗降状態検出部32、アクチュエータ18の作動の制限の有無を制御する(具体的には切替弁21を切り換える)作動制限制御部33、エンジン13の作動や停止などをエンジン制御装置15に指示等するエンジン制御部34、電源(図示なし)から制御装置1への電力供給の有無等を制御する電源制御部35、及び、報知手段60を制御する報知制御部36を備える。これらの各ブロック間は例えば図1に示すように接続される。なお、これらの各ブロックの具体的な構成や機能等は、制御装置1の動作(後述)が可能な範囲で適宜変更しても良い。
【0045】
乗降状態検出部32は、本来の機能としては運転室に操作者がいるかいないかを検出するものであり、本発明での機能としては乗降遮断レバー40の状態が入力されるものである。乗降状態検出部32には、リミットスイッチ43(後述)で検出された乗降遮断レバー40の位置を示す信号が入力される。
【0046】
乗降遮断レバー40(アクチュエータ作動制限選択手段)は、建設機械10の運転席の乗降口11近辺に設置され、操作者が運転室を出入りするときに邪魔になる(引っかかる)ように配置できるレバー(ゲートレバー、ゲートロックレバー、おじゃまレバー)である。乗降遮断レバー40は、例えば棒状であり、例えば一方側の端部付近を中心に回動可能である。乗降遮断レバー40は通常、操作者が運転室内にいるとき(操作するとき)は乗降の邪魔になる第1位置41とし、操作者が運転室を出入りするときや運転室から出ているときは乗降の邪魔にならない第2位置42とする。
【0047】
また、乗降遮断レバー40は、アクチュエータ18の作動の制限の有無を選択する。乗降遮断レバー40の第1位置41はアクチュエータ18の作動を制限しない位置であり、第2位置42はアクチュエータ18の作動を制限する位置である。乗降遮断レバー40が第1位置41にあるときは、操作者が操作レバー12を操作することでアクチュエータ18を操作できる(作業ができる)。乗降遮断レバー40が第2位置42にある時は、操作者が操作レバー12を操作してもアクチュエータ18は作動しない(いわば安全装置が働いた状態、作業ができない状態である)。乗降遮断レバー40は、リミットスイッチ43を介してコントローラ30に接続される。
【0048】
リミットスイッチ43は、乗降遮断レバー40が第1位置41または第2位置42のいずれにあるかを検出し、検出結果に応じた信号をコントローラ30の乗降状態検出部32に出力するスイッチである。リミットスイッチ43は、乗降遮断レバー40の回動を規制可能な位置に設置される。なお、乗降遮断レバー40の位置の検出は他のセンサ等を用いて行っても良い。
【0049】
選択スイッチ46(作動制御選択手段)は、作動制御手段S200(図2参照)の作動の有効を選択する(「オン」という)、または、無効を選択する(「オフ」という)スイッチである。選択スイッチ46は、オンまたはオフの選択に応じてコントローラ30の再生制御部31やキースイッチ制御回路51に信号を出力する。
【0050】
キースイッチ50(エンジン停止指令手段、エンジン作動指令手段、制御電源スイッチ)は、エンジン13の停止を指令し、エンジンの作動を指令し、および、電源(図示なし)から制御装置1への電力供給の遮断を指令するスイッチである。キースイッチ50は運転室内に配置され、例えば、キースイッチ50の鍵穴に差し込まれたキー52を回すことで切り換わる。キースイッチ50は、キースイッチ制御回路51に各種指令を出力する。
【0051】
このキースイッチ50には、例えば、エンジン始動を指令する「スタート」、エンジンの作動および電源供給を指令する「ON」、エンジンの停止およびアクセサリ電源の供給を指令する「ACC」、エンジンの停止およびアクセサリ電源の供給の遮断を指令する「OFF」、(その他「HEAT」など)の位置がある。ここで、エンジンの作動の指令がなされる位置(上記の例では「ON」又は「スタート」)を、「エンジン作動位置」という。エンジンの停止の指令がなされる位置(上記の例では「ACC」又は「OFF」)を、「エンジン停止位置」という。電源(図示なし)から制御装置1への電力供給の遮断を指令する位置(上記の例では「OFF」)を、「制御電源遮断位置」という。
【0052】
キースイッチ制御回路51(エンジン停止指令無効化手段、エンジン作動指令検出手段、制御電源スイッチ無効化手段)は、キースイッチ50の指令に基づき各種制御を行う回路である。キースイッチ制御回路51は、キースイッチ50での指令(信号)を無効化する回路、および、キースイッチ50での「エンジン作動位置」を検出する回路などを備える。キースイッチ制御回路51は、コントローラ30に各種信号を出力する。なお、キースイッチ制御回路51はコントローラ30の一部としても良い。
【0053】
キー52(照合手段)は、エンジン13を始動するときに必要な鍵である。具体的には例えば、キー52を、キースイッチ50の鍵穴に差し込んで「スタート」位置にすればエンジン13が始動する。キー52にはIDタグ53が設けられる。
【0054】
IDタグ53は、キー52の位置を検出するためにキー52に設けられた部材である。IDタグ53は、キー52に取り付けても良く、また、キー52内部に埋め込んでも良い(図示なし)。
【0055】
緊急エンジン停止スイッチ56は、エンジン13を強制的に停止させる(「オン」)、または、停止させない(「オフ」)、のいずれかを選択するスイッチ(再生解除スイッチ)である。緊急エンジン停止スイッチ56は運転室内などに設けられ、コントローラ30に信号を出力する。
【0056】
報知手段60は、報知(後述)を行う装置であり、コントローラ30の報知制御部36からの信号に基づき作動する。報知手段60は、具体的には例えば、回転灯61、スピーカ62、発信手段63および通信機器64(例えば携帯電話など)、モニター(図示なし)等である。
【0057】
受信装置71および照合装置72(照合手段検出手段)は、エンジン13を始動可能な所定の場所にキー52があるか否かを検出する装置である。具体的には、キースイッチ50にキー52が差し込まれているか否かを検出する装置である。受信装置71は、IDタグ53の情報を受信する装置であり、キースイッチ50の近傍に配置される。照合装置72は、受信装置71で受信されたIDタグ53の情報を照合する装置であり、照合結果をコントローラ30の報知制御部36に出力する。なお、受信装置71および照合装置72をコントローラ30の一部としても良い。
【0058】
(制御装置1の動作)
次に、図2〜図4を参照して制御装置1の動作を説明する(以下の説明中、上述した各構成要素については図1参照)。なお、図3は、図2に示す再生動作等制御S210を示すフローチャートである。図4は、図3に示すキー場所判定S220を示すフローチャートである。
【0059】
図2に示す「START」(初期状態)では、キースイッチ50は「エンジン作動位置」であり、エンジン13が作動している状態である。
【0060】
ステップS101(作動制御選択手段)では、選択スイッチ46がオンか否かが判断される。オフ(NO)の場合、ステップS102へ進む。オン(YES)の場合、作動制御手段S200(のステップS202)へ進む。
【0061】
(選択スイッチがオフの場合)
ステップS102〜S105では、キースイッチ50の指令どおりにエンジン13の作動または停止、および、電力の供給または遮断を制御する。
ステップS102では、キースイッチ制御回路51により、キースイッチ50のエンジン停止指令を有効にする(ステップS242の説明も参照)。
ステップS103では、キースイッチ制御回路51により、キースイッチ50での電力の供給または遮断の指令を有効にする(制御電源スイッチを有効にする)(ステップS244の説明も参照)。
ステップS104では、キースイッチ50が「エンジン停止位置」か否かが判断される。キースイッチ50が「エンジン停止位置」(YES)の場合、エンジン13を停止させる(S105)。具体的には、エンジン制御部34がエンジン制御装置15に停止信号を出力する。キースイッチ50が「エンジン停止位置」でない(NO)場合、ステップS101に戻る。
【0062】
(選択スイッチがオンの場合、作動制御手段S200)
作動制御手段S200は、排ガス浄化フィルタ再生装置23およびエンジン13の作動を制御する。作動制御手段S200の概略は以下の通りである。
(第1制御手段)
エンジン13が作動しているときにキースイッチ50が「エンジン停止位置」となった場合(ステップS204でYESの場合)(エンジン停止指令手段がエンジンの停止を指令した場合)、図3に示すように、エンジン13を作動させたまま、排ガス浄化フィルタ再生装置23の再生動作を作動させる(S212)。
(第2制御手段)
また、ステップS212での再生動作の開始(第1制御手段による再生動作の作動の開始)から、所定時間Tsが経過した後に(ステップS217でYES)、乗降遮断レバー40が第1位置41にある場合(ステップS215でNOの場合)(アクチュエータ作動制限選択手段が第1位置にある場合)、再生動作を停止させる(S241)とともにエンジン13を停止させる(S243)。
以下、詳細に説明する。
【0063】
ステップS202では、図2に示すように、キースイッチ制御回路51により、キースイッチ50のエンジン停止の指令を無効にする。すなわち、キースイッチ50を「エンジン停止位置」にしても、エンジン13を作動させたままにする。これは再生動作を行うためである。さらに詳しくは、制御装置1は次のように動作する。
(エンジン停止指令無効化手段)
選択スイッチ46が「オン」の場合(ステップS101でYESの場合)(作動制御選択手段が作動制御手段S200の作動の有効を選択している場合)、選択スイッチ46の「オン」を選択した時(図2の作動制御手段S200の作動の有効を選択した時)から、図3のステップS241で再生動作が停止される時までの間(第2制御手段により再生動作が停止される時までの間)、キースイッチ50のエンジン13の停止の指令を無効にする。
【0064】
ステップS203では、図2に示すように、キースイッチ制御回路51により、キースイッチ50の電力供給の遮断の指令を無効にする。すなわち、キースイッチ50を「制御電源遮断位置」にしても(さらにキーを抜き取っても)、電源から制御装置1への電力供給を遮断しないようにする。これは、ステップS204以降の処理、すなわち、再生動作の制御や、エンジン13の停止の制御などを行うためである。さらに詳しくは、制御装置1は次のように動作する。
(制御電源スイッチ無効化手段)
選択スイッチ46が「オン」の場合(ステップS101でYESの場合)(作動制御選択手段が作動制御手段S200の作動の有効を選択している場合)、選択スイッチ46の「オン」を選択した時(作動制御手段S200の作動の有効を選択した時)から、図3のステップS243でエンジン13が停止される時までの間(第2制御手段によりエンジン13が停止される時までの間)、キースイッチ50の(制御電源スイッチによる)電力供給の遮断の指令を無効にする。
【0065】
ステップS204では、図2に示すように、キースイッチ50が「エンジン停止位置」か否か(「エンジン作動位置」か否か)が判断される。具体的にはキースイッチ制御回路51がキースイッチ50の位置を検出する。キースイッチ50が「エンジン停止位置」(YES)の場合、再生動作等制御S210へ進む。キースイッチ50が「エンジン作動位置」(「エンジン停止位置」でない)(NO)の場合、ステップS101へ戻る。さらに詳しくは、制御装置1は次のように動作する。
(エンジン作動指令検出手段および制御手段無効化手段)
キースイッチ制御回路51(エンジン停止指令無効化手段)によりキースイッチ50のエンジン13の停止の指令が無効にされている状態で(S202)、キースイッチ50のエンジン13の作動の指令をキースイッチ制御回路51が検出する(エンジン作動指令手段による指令をエンジン作動指令検出手段が検出する)。この検出がされた場合(ステップS204でNOの場合)(エンジン作動指令手段による指令がエンジン作動指令検出手段により検出された場合)、ステップ101へ戻る(第1制御手段および第2制御手段を無効化する制御手段無効化手段)。
【0066】
(再生動作等制御S210)
図3に示すように、ステップS211(第1報知手段)(図3では「音声アナウンス1」と記載)では、ステップS212での再生動作の作動の開始(第1制御手段による再生動作の作動の開始)を報知する。具体的には、報知制御部36からスピーカ62へ信号が出力される。スピーカ62からは、例えば「DPF再生動作を開始します」という音声を出力する。なお、報知は音声でなくても良く、たとえば回転灯61やモニタ画面(図示なし)への表示などを用いても良い(後述するステップS216およびS223(図4参照)も同様)。
【0067】
ステップS212では、排ガス浄化フィルタ再生装置23での再生動作を作動させる。なお、キースイッチ50を「エンジン停止位置」にする前(ステップS204(図2参照)の前)に再生動作をしていなかった場合は、ステップS212で再生動作を新たに開始する。キースイッチ50を「エンジン停止位置」にする前から再生動作をしていた場合は、ステップS212で再生動作を継続する。これらの再生動作の新たな開始と再生動作の継続とをまとめて、ステップS212での再生動作の作動の開始(第1制御手段による再生動作の作動の開始)という。
【0068】
ステップS213では、タイマカウントを開始する(タイマカウントについてはステップS216及びS217の説明も参照)。なお、キースイッチ50を「エンジン停止位置」にする前(ステップS204(図2参照)の前)から再生動作をしていた場合でも、ステップS213でタイマカウントを開始する。
【0069】
ステップS214では、再生動作を停止させる(再生解除する)か否かが判断される。具体的には、緊急エンジン停止スイッチ56が「オン」か否かが判断される。緊急エンジン停止スイッチ56が「オン」(YES)の場合はステップS241へ進み、「オフ」(NO)の場合はステップS215へ進む。
【0070】
(再生解除オンの場合)
建設機械10が用いられる現場では再生動作を中断しなければならない状況が急に起きる場合がある。例えば、建設機械10が他の車両の交通の妨げになっている場合や、騒音クレームに対して対処する場合などがある。このような場合に、再生動作を中断(S241)させ、エンジンを停止(S243)させることができる。
また、コントローラ30その他の電気回路などが何らかの原因で故障したり、その他の異常事態が起きる場合などもある。このような場合にエンジン13を停止(S243)させれば建設機械10の安全性が向上する。
【0071】
(再生解除オフの場合)
ステップS215では、乗降遮断レバー40が第1位置41または第2位置42のうちどちらが選択されているかが判断される。第1位置41(アクチュエータの作動を制限しない、非制限側)(NO)が選択されている場合、ステップS216へ進む。第2位置42(アクチュエータの作動を制限する、制限側)(YES)が選択されている場合、キー場所判定S220へ進む。
【0072】
(乗降遮断レバーが第1位置(非制限側)の場合)
ステップS216(第2報知手段)(図3では「音声アナウンス2」と記載)では、ステップS212での再生動作の作動の開始(第1制御手段による再生動作の作動の開始)から所定時間Tsが経過するまでの間(ステップS217でYESとなるまでの間)に乗降遮断レバー40が第1位置41にある場合(ステップS215でNOの場合)に作動する。すなわち、乗降遮断レバー40が第1位置41にある場合は所定時間Tsが経過すれば(ステップS217でYES)再生動作が停止する(S241)。そこで、ステップS216では、そのままでは再生動作が停止する旨を操作者に伝えるような報知を行う、または、乗降遮断レバー40を第2位置42に切り換えるように操作者をうながすような報知を行う。具体的には例えば、スピーカ62から「ゲートロックレバーを安全側にして下さい」等の音声を出力させる。
【0073】
ステップS217では、ステップS212での再生動作の作動の開始から(ステップS213でのタイマカウント開始から)、所定時間Tsが経過したか否かが判断される。なお、所定時間Tsは、あらかじめ定められた猶予時間であり、例えば、数秒、数十秒、数分などである。ステップS212での再生動作の作動の開始から所定時間Tsが経過した(YES)場合はステップS241へ進み、所定時間Tsが経過していない(NO)場合はステップS214へ戻る。
【0074】
(乗降遮断レバーが第2位置(制限側)の場合)
上記のステップS215の判断時に乗降遮断レバー40が第2位置42であった場合は、キー場所判定S220に進む(後述)。このキー場所判定S220は、行わなくても良い(ステップS215からステップS231へ進んでも良い)。
【0075】
ステップS231では、再生動作が完了したか否かが判断される。再生動作が完了したか否かは様々な方法で判断できる。例えば、上述したように、排ガス浄化フィルタ22に捕集された捕集物(すす)の量は測定や推測できるので、この測定や推測の結果に基づいて捕集物の量が所定値未満となったときに再生動作が完了したと判断する。再生動作が完了した(YES)場合はステップS241へ進み、再生動作が完了していない(NO)場合はステップS214へ戻る。
【0076】
ステップS241では、排ガス浄化フィルタ再生装置23の再生動作を停止させる。具体的には再生制御部31が再生動作を停止させる。
【0077】
ステップS242では、キースイッチ制御回路51によって、ステップS202(図2参照)で無効にしたキースイッチ50のエンジン停止指令を有効にする。すなわち、キースイッチ50を「エンジン停止位置」にすれば、キースイッチ50による指令通りにエンジン13が停止できる状態にする。
【0078】
ステップS243では、エンジン13を停止させる。具体的には、エンジン制御部34がエンジン制御装置15に信号を出力することでエンジン13を停止させる。エンジン13の停止には電力供給が必要となる。具体的には例えば、エンジン13の停止は、燃料の供給を遮断(燃料カット)することで行う。この場合は、エンジン13の停止後に、エンジン13を燃料カット前の状態に戻す必要があるが、この状態に戻すには制御装置1(エンジン制御部34等)への電力供給が必要である。
【0079】
ステップS244では、キースイッチ制御回路51により、ステップS203(図2参照)で無効にしたキースイッチ50での電力供給の遮断の指令を有効にする(制御電源スイッチを有効にする)。すなわち、キースイッチ50を「制御電源遮断位置」にすれば、キースイッチ50の指令通りに電源から制御装置1への電力供給が遮断される。このように、ステップS243でのエンジン13の停止後に制御電源スイッチが有効になるので、エンジン13の停止時には制御装置1に確実に電力が供給される。
そして、再生動作等制御S210を終了する。
【0080】
(キー場所判定S220)
図4に示すように、キー場所判定S220では、キー52が所定の場所にある場合(ステップS222でYESの場合)に報知を行う(S223)。以下、詳細に説明する。
【0081】
ステップS221では、フラグが0か否かが判断される。このフラグは、後述するステップS223(図4では「音声アラーム3」と記載)を再生動作中に繰り返し行うことを回避するためのものである。フラグの初期値は0であり、例えば再生動作等制御S210(図2参照)の開始時にフラグが初期値に設定される。フラグが0(YES)の場合はステップS222へ進み、フラグが1(NO)の場合はキー場所判定S220を終了する。
【0082】
ステップS222では、キー52が所定場所にあるか否かが判断される。具体的には例えば、キースイッチ50(の鍵穴)にキー52が差し込まれているか否かが判断される。この判断は上述したように、IDタグ53の情報を受信装置71で受信し、照合装置72でこの情報を照合することにより行う。キー52が所定場所にある(YES)場合はステップS223へ進む。キー52が所定場所にない(NO)場合はフラグを0に設定(S225)した後、キー場所判定S220を終了する。
【0083】
ステップS223(第3報知手段)(音声アラーム3)では、キー52が所定場所にある(具体的には例えばキースイッチ50からキー52を抜き忘れている)ことを報知(警告)する。さらに詳しくは、ステップS223では、ステップS212(図3参照)により再生動作が作動しているときに(第1制御手段により再生動作が作動しているときに)、キー52が所定の場所にあることが受信装置71および照合装置72により検出された場合、この検出結果が報知される。具体的には例えば、スピーカ62から「キーを抜き忘れています」という音声を出力させる。また、発信手段63を介して通信機器64(例えば携帯電話など)に検出結果を報知しても良く、具体的には例えば、「キーを抜き忘れています」という電話案内や電子メールの送信をする。
【0084】
ステップS224では、フラグを1に設定する。そして、キー場所判定S220を終了する(ステップS231(図3)へ進む)。
【0085】
(本実施形態の建設機械の制御装置の特徴)
(特徴1)
この建設機械10の制御装置1は(以下、物理的構成要素については図1参照)、エンジン13が作動しているときにキースイッチ50が「エンジン停止位置」(「ACC」又は「OFF」の位置)となった場合(図2のS204でYES)、エンジン13を作動させたまま、排ガス浄化フィルタ再生装置23の再生動作を作動させる(図3のS212)(第1制御手段)。すなわち、乗降遮断レバー40による第1位置41又は第2位置42の選択と、キースイッチ50によるエンジン13の停止の指令と、にかかわらず、キースイッチ50によりエンジン13の停止の指令がなされれば(図2のS204でYES)キースイッチ50を「エンジン作動位置」(「ON」の位置)から「エンジン停止位置」に切り替える操作のみで、再生動作を作動させる(図3のS212)。したがって、エンジン13の停止前の機会を確実にとらえて再生動作を行うことができる。その結果、排ガス浄化フィルタ22に多量の捕集物が堆積することを抑制できる。
【0086】
なお、図3に示すように、上記のようにキースイッチ50を「エンジン停止位置」に切り替えると再生動作が作動する(S212)ので、キースイッチ50を「エンジン停止位置」に切り替えたのにエンジン13も停止しないし再生動作も始まらない、といった無意味な状況は起こらない。その結果、この無意味な状況により操作者に不信を与えることがない。
【0087】
また、この建設機械10の制御装置1は、ステップS212での再生動作の開始から、所定時間Tsが経過した後に(S217)、乗降遮断レバー40が第1位置41にある場合(S215でNO)、再生動作を停止させる(S241)とともにエンジン13を停止させる(S243)(第2制御手段)。ここで、乗降遮断レバー40が第1位置41にある場合はアクチュエータ18の作動が制限されないので、そのままではアクチュエータ18が作動する可能性がある。一方で、上記のようにステップS243でエンジン13を停止させるので、このエンジン13の停止後はアクチュエータ18は作動しない。よって、再生動作中や再生動作後にアクチュエータ18が操作されることをおそれて操作者が建設機械10から離れにくいという問題を抑制できる。
【0088】
なお、乗降遮断レバー40が第2位置にある場合は、アクチュエータ18の作動が制限され、安全な状況が確保される(再生動作中のアクチュエータ18の誤作動を防止できる)ので、操作者は建設機械10から安心して離れやすい。すなわち、乗降遮断レバー40が第1位置41にあっても、第2位置42にあっても、いずれの場合も操作者は建設機械から安心して離れやすい。
【0089】
(特徴2)
この建設機械10の制御装置1での「アクチュエータ作動制限選択手段」は、建設機械10の運転室の乗降口11近辺に設置された乗降遮断レバー40である。この乗降遮断レバー40は、運転室の外から触りやすい位置にある。よって、乗降遮断レバー40の操作(選択)を運転室の外から容易に行える(ステップS215でYES側またはNO側のいずれに進むかを容易に選択できる)。特に「アクチュエータ作動制限選択手段」を運転室の外からは操作しにくい位置に配置した場合(例えば、操作者が運転席に座らないと操作できない位置にスイッチ類を配置した場合など)に比べ、本発明は上記操作が容易であり利便性が高い。その結果、ステップS241での再生動作の停止、および、ステップS243でのエンジン13の停止のための上記選択を運転室の外から容易に行える。
【0090】
また、この建設機械10の制御装置1の乗降遮断レバー40は、従来より建設機械に一般的に採用されているものであり、従来より運転室の乗降口11での乗降動作のときに操作者が操作しているものである。したがって、従来の建設機械に新たに付加した部材(例えばスイッチ等)を「アクチュエータ作動制限選択手段」とした場合に比べ、操作の違和感を抑制できる。
【0091】
なお、一旦運転席を離れた操作者が運転席に戻ってきたときに、操作者が運転席につく一連の動作の中で再生動作を自動的に停止(解除)できる場合もある。さらに詳しくは次のような場合がある。操作者が運転席から離れるときに、キースイッチ50を「エンジン停止位置」にするとともに、乗降遮断レバー40を第2位置42にして再生動作を行う(ステップS215でYESに進んで再生動作を行う)。そして、操作者は運転席から一旦離れ、その後、操作者が運転席に戻る。このとき操作者は通常、乗降遮断レバー40を第2位置42から第1位置41に切り換えてアクチュエータ18の動作の制限を解除する。すると、再生動作は停止され得る(ステップS215でNOへ進み、ステップS217で所定時間Tsが経過した場合は、ステップS241で再生動作が停止する)。この場合、操作者は運転席につく一連の動作の中で再生動作を容易に停止できる。
【0092】
(特徴3)
この建設機械10の制御装置1では、ステップS212での再生動作の作動の開始が報知される(S211)(第1報知手段)。ここで、この建設機械10の制御装置1では、キースイッチ50を「エンジン停止位置」にしても、ステップS243でエンジン13が停止されるまでは、エンジン13は作動したままの状況になる。このとき、この状況はステップS212での再生動作の作動の開始によるものであることが、ステップS211での報知により操作者は判る。よって、この状況に対する操作者の不安を抑制できる。
【0093】
(特徴4)
この建設機械10の制御装置1では、ステップS212での再生動作の作動の開始から所定時間Tsが経過するまでの間に、乗降遮断レバー40が第1位置41にある場合(ステップS215でNOの場合)に報知がなされる(S216)(第2報知手段)。すなわち、所定時間Tsが経過して(ステップS217でYES)再生動作が停止する(S241)前にステップS216で報知がなされる。よって、操作者が再生動作を行う意思があるときに、うっかり再生動作を停止(S241)させてしまうことを抑制できる。
また、この報知(S216)により、乗降遮断レバー40が第1位置41にある(ステップS215でNOに進む)ことを知った操作者が、乗降遮断レバー40を第2位置42に切り換えた場合、アクチュエータ18の作動が制限される。この場合は、安全な状態を確保して再生動作を行える。
【0094】
(特徴5)
この建設機械10の制御装置1では、ステップS202(図2参照)でキースイッチ50でのエンジン13の停止の指令が無効化される(エンジン停止指令無効化手段)。すなわち、選択スイッチ46の「オン」が選択された時(ステップS212で再生動作の作動が開始される前の時点)から、ステップS241で再生動作が停止される時までの間(すなわち少なくともステップS212〜S241の再生動作の間)、キースイッチ50を「エンジン停止位置」にしてもエンジン13が停止されない(エンジン停止指令無効化手段)。よって、この制御装置1での「エンジン13を作動させたまま、排ガス浄化フィルタ再生装置23の再生動作を作動させる」という作動を確実に行うことができる。
【0095】
(特徴6)
この建設機械10の制御装置1では、図2に示すように、ステップS202でキースイッチ50でのエンジン13の停止の指令が無効にされている状態で、キースイッチ50が「エンジン作動位置」であることがキースイッチ制御回路51により検出された場合、再生動作等制御S210へ進まず、ステップS101へ戻る(ステップS204でNO)(第1制御手段および第2制御手段を無効化する、制御手段無効化手段)。よって、図3に示す、ステップS212での再生動作の作動、ステップS241での再生動作の停止、及び、ステップS243でのエンジン13の停止を行う必要がない場合、キースイッチ50を「エンジン作動位置」にすれば、これら必要のない作動や停止を容易に無効化できる。
【0096】
(特徴7)
この建設機械10の制御装置1では、図2に示すように、ステップS203でキースイッチ50での電源から制御装置1への電力供給の遮断の指令が無効化される(制御電源スイッチ無効化手段)。すなわち、選択スイッチ46の「オン」が選択された時から、図3に示すステップS243でエンジン13が停止される時までの間は、キースイッチ50を「制御電源遮断位置」(「OFF」位置)にしても、電源から制御装置1への電力供給が遮断されない。よって、ステップS243でエンジン13が停止されるまで、確実に制御装置1を作動させることができる。
【0097】
なお、キースイッチ50からキー52を抜き取っても、ステップS243でエンジン13が停止されるまでは上記電力供給が遮断されない。よって操作者は安心して建設機械10から離れやすい。
【0098】
(特徴8)
この建設機械10の制御装置1は、エンジン13を始動するときに必要なキー52と、エンジン13を始動可能な所定の場所(例えばキースイッチ50の鍵穴)にキー52があるか否かを検出する受信装置71及び照合装置72を備える。図4に示すように、ステップS212(図3参照)により再生動作が作動しているときに、キー52が所定の場所にあることが受信装置71及び照合装置72により検出された場合(ステップS222でYES)、検出結果が報知される(S223)(第3報知手段)。この報知により、キー52のとり忘れ(キースイッチ50の鍵穴からの抜き忘れなど)を操作者は知りやすい。よって、キー52をとり忘れたまま、操作者が建設機械10から離れてしまうことを抑制できる。したがって、操作者以外の者(無関係な者)にエンジン13を始動されること(また、建設機械10を動かされてしまったり盗難されてしまったりすることなど)を抑制できる。
【0099】
(変形例)
上記実施形態は、例えば以下のように様々に変形できる。
【0100】
キースイッチ50やキー52の構成は様々に変形できる。例えば、エンジン停止指令手段、制御電源スイッチ、及び照合手段は、上記実施形態では一つのキースイッチ50としたが、これらは2以上のスイッチに分けて構成しても良い。具体的には、エンジン始動・停止ボタンと照合用の電気接点とを組み合わせた構成としても良い。また、エンジン始動・停止ボタンと照合用の電波受発信装置とを組み合わせたいわゆるスマートエントリー・インテリジェントキーを用いた構成としても良い。
【0101】
選択スイッチ46(自動停止選択手段)はなくても良い。図2に示すステップS101の判断を行わず、ステップS202から制御を開始しても良い。また、選択スイッチ46は、操作者が操作するものでも、制御装置1が自動的に作動させるものでも良い。自動的に作動させる選択スイッチとは、例えば、建設機械10の状態(例えば、アクチュエータ作動制限選択手段以外の安全装置等の状態など)に応じて、再生動作をさせるかさせないかを自動的に選択するスイッチである。
【0102】
アクチュエータ作動制限選択手段は、乗降遮断レバー40でなくても良い。具体的には、運転室の乗降口11の扉に設けた検出スイッチ、運転室の座席シート下に設けた重量センサ、または、操作レバー12を握っているか否かを検出する近接スイッチなどでも良い。これらの場合、扉、重量、または操作レバー12の状態に応じてアクチュエータ18の作動の制限の有無を選択する。
【0103】
アクチュエータ18の作動を制限する構成は様々に変形できる。すなわち、上記実施形態では、油圧リモコン弁である操作レバー12の圧源ラインを切替弁21で遮断した。この構成を次のように変形できる。例えば、操作レバー12が電気ジョイスティックの場合、信号ラインを電気的に切り離す(カットする)ことでアクチュエータ18の作動を制限しても良い。また、操作レバー12が、リンク機構やワイヤーを介してコントロールバルブのスプールを直引きする構成の場合、アクチュエータ18駆動用のポンプ16をアンロードしても良い。
【0104】
図2に示すように、選択スイッチ46が「オン」か否か(S101)、および、キースイッチ50が「エンジン停止位置」か否か(S204)は、上記実施形態では再生動作等制御S210の前に判断した。しかしこれらの判断はいずれも再生動作等制御S210の作動中に判断しても良い。例えば、再生動作等制御S210の作動中に、選択スイッチ46を「オフ」にした場合は、作動制御手段S200を停止させてステップS102へ進む。また例えば、再生動作等制御S210の作動中に、キースイッチ50を「エンジン作動位置」とした場合は、作動制御手段S200を停止させてステップS101へ戻る。これらの場合、再生動作等制御S210(ステップS212での再生動作(図3参照))を容易に解除できる。
【符号の説明】
【0105】
1 制御装置
10 建設機械
11 乗降口
13 エンジン
14 排気管
18 アクチュエータ
22 排ガス浄化フィルタ
23 排ガス浄化フィルタ再生装置
40 乗降遮断レバー(アクチュエータ作動制限選択手段)
41 第1位置
42 第2位置
46 選択スイッチ(作動制御選択手段)
50 キースイッチ(エンジン停止指令手段、エンジン作動指令手段、制御電源スイッチ)
51 キースイッチ制御回路(エンジン停止指令無効化手段、エンジン作動指令検出手段、制御電源スイッチ無効化手段)
52 キー(照合手段)
60 報知手段(第1報知手段、第2報知手段、第3報知手段)
71 受信装置(照合手段検出手段)
72 照合装置(照合手段検出手段)
S101 (作動制御選択手段)
S200 作動制御手段
S202 (エンジン停止指令無効化手段)
S203 (制御電源スイッチ無効化手段)
S204 (エンジン作動指令検出手段、制御手段無効化手段)
S204、S212 (第1制御手段)
S213、S215、S217、S241、S243 (第2制御手段)
S211 (第1報知手段)
S216 (第2報知手段)
S223 (第3報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンの動力により作動するアクチュエータと、
前記エンジンの排気管に取り付けられた排ガス浄化フィルタと、
前記排ガス浄化フィルタの捕集物を焼却除去する再生動作を行う排ガス浄化フィルタ再生装置と、
を備える建設機械を制御する制御装置であって、
前記エンジンの停止を指令するエンジン停止指令手段と、
前記アクチュエータの作動を制限しない第1位置と、当該作動を制限する第2位置と、を選択するアクチュエータ作動制限選択手段と、
前記排ガス浄化フィルタ再生装置および前記エンジンの作動を制御する作動制御手段と、
を備え、
前記作動制御手段は、
前記エンジンが作動しているときに前記エンジン停止指令手段が当該エンジンの停止を指令した場合、当該エンジンを作動させたまま、前記排ガス浄化フィルタ再生装置の前記再生動作を作動させる第1制御手段と、
前記第1制御手段による前記再生動作の作動の開始から所定時間が経過した後に前記アクチュエータ作動制限選択手段が前記第1位置にある場合、当該再生動作を停止させるとともに前記エンジンを停止させる第2制御手段と、
を備える建設機械の制御装置。
【請求項2】
前記アクチュエータ作動制限選択手段は、前記建設機械の運転室の乗降口近辺に設置された乗降遮断レバーである、請求項1に記載の建設機械の制御装置。
【請求項3】
前記作動制御手段は、前記第1制御手段による前記再生動作の作動の開始を報知する第1報知手段を備える、請求項1または2に記載の建設機械の制御装置。
【請求項4】
前記作動制御手段は、前記第1制御手段による前記再生動作の作動の開始から前記所定時間が経過するまでの間に前記アクチュエータ作動制限選択手段が前記第1位置にある場合に作動する第2報知手段を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の建設機械の制御装置。
【請求項5】
前記作動制御手段の作動の有効または無効を選択する作動制御選択手段を備え、
前記作動制御手段は、前記作動制御選択手段が当該作動制御手段の作動の有効を選択している場合、当該作動の有効を選択した時から前記第2制御手段により前記再生動作が停止される時までの間、前記エンジン停止指令手段による前記指令を無効にするエンジン停止指令無効化手段を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械の制御装置。
【請求項6】
前記エンジンの作動を指令するエンジン作動指令手段を備え、
前記作動制御手段は、
前記エンジン停止指令無効化手段により前記エンジン停止指令手段による前記指令が無効にされている状態で、前記エンジン作動指令手段による前記指令を検出可能なエンジン作動指令検出手段と、
前記エンジン作動指令手段による前記指令が前記エンジン作動指令検出手段により検出された場合、前記第1制御手段および前記第2制御手段を無効化する制御手段無効化手段と、
を備える請求項5に記載の建設機械の制御装置。
【請求項7】
前記作動制御手段の作動の有効または無効を選択する作動制御選択手段と、
電源から前記制御装置への電力供給の遮断を指令する制御電源スイッチと、
を備え、
前記作動制御手段は、前記作動制御選択手段が当該作動制御手段の作動の有効を選択している場合、当該作動の有効を選択した時から前記第2制御手段により前記エンジンが停止される時までの間、前記制御電源スイッチによる前記電力供給の遮断の指令を無効にする制御電源スイッチ無効化手段を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の建設機械の制御装置。
【請求項8】
前記エンジンを始動するときに必要な照合手段と、
前記エンジンを始動可能な所定の場所に前記照合手段があるか否かを検出する照合手段検出手段と、
前記第1制御手段により前記再生動作が作動しているときに、前記照合手段が前記所定の場所にあることが前記照合手段検出手段により検出された場合、当該検出結果を報知する第3報知手段と、
を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載の建設機械の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−97684(P2012−97684A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247258(P2010−247258)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】